(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に基づいた実施の形態における送電装置、受電装置、および電力伝送システムを搭載した車両について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。また、各実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。
【0024】
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態に係る電力伝送システムを搭載した車両について説明する。
図1は、実施の形態における送電装置、受電装置、および電力伝送システムを搭載した車両を模式的に説明する図である。
【0025】
本実施の形態1に係る電力伝送システムは、受電装置40を含む電動車両10と、送電装置41を含む外部給電装置20とを有する。電動車両10の受電装置40は、送電装置41が設けられた駐車スペース42の所定位置に停車して、主に、送電装置41から電力を受電する。
【0026】
駐車スペース42には、電動車両10を所定の位置に停車させるように、輪止や、駐車位置および駐車範囲を示すラインが設けられている。
【0027】
外部給電装置20は、交流電源21に接続された高周波電力ドライバ22と、高周波電力ドライバ22などの駆動を制御する制御部26と、この高周波電力ドライバ22に接続された送電装置41とを含む。送電装置41は、送電部28と、電磁誘導コイル23とを含む。送電部28は、共鳴コイル24と、共鳴コイル24に接続されたキャパシタ25とを含む。電磁誘導コイル23は、高周波電力ドライバ22に電気的に接続されている。なお、この
図1に示す例においては、キャパシタ25が設けられているが、キャパシタ25は必ずしも必須の構成ではない。
【0028】
送電部28は、共鳴コイル24のインダクタンスと、共鳴コイル24の浮遊容量およびキャパシタ25のキャパシタンスとから形成された電気回路を含む。
【0029】
電動車両10は、受電装置40と、受電装置40に接続された整流器13と、この整流器13に接続されたDC/DCコンバータ14と、このDC/DCコンバータ14に接続されたバッテリ15と、パワーコントロールユニット(PCU(Power Control Unit))16と、このパワーコントロールユニット16に接続されたモータユニット17と、DC/DCコンバータ14やパワーコントロールユニット16などの駆動を制御する車両ECU(Electronic Control Unit)18とを備える。なお、本実施の形態に係る電動車両10は、図示しないエンジンを備えたハイブリッド車両であるが、モータにより駆動される車両であれば、電気自動車や燃料電池車両も含む。
【0030】
整流器13は、電磁誘導コイル12に接続されており、電磁誘導コイル12から供給される交流電流を直流電流に変換して、DC/DCコンバータ14に供給する。
【0031】
DC/DCコンバータ14は、整流器13から供給された直流電流の電圧を調整して、バッテリ15に供給する。なお、DC/DCコンバータ14は必須の構成ではなく省略してもよい。この場合には、外部給電装置20にインピーダンスを整合するための整合器を送電装置41と高周波電力ドライバ22との間に設けることで、DC/DCコンバータ14の代用をすることができる。
【0032】
パワーコントロールユニット16は、バッテリ15に接続されたコンバータと、このコンバータに接続されたインバータとを含み、コンバータは、バッテリ15から供給される直流電流を調整(昇圧)して、インバータに供給する。インバータは、コンバータから供給される直流電流を交流電流に変換して、モータユニット17に供給する。
【0033】
モータユニット17は、たとえば、三相交流モータなどが採用されており、パワーコントロールユニット16のインバータから供給される交流電流によって駆動する。
【0034】
なお、電動車両10がハイブリッド車両の場合には、電動車両10は、エンジンをさらに備える。モータユニット17は、発電機として主に機能するモータジェネレータと、電動機として主に機能するモータジェネレータとを含む。
【0035】
受電装置40は、受電部27と、電磁誘導コイル12とを含む。受電部27は、共鳴コイル11とキャパシタ19とを含む。共鳴コイル11は浮遊容量を有する。このため、受電部27は、共鳴コイル11のインダクタンスと、共鳴コイル11およびキャパシタ19のキャパシタンスとによって形成された電気回路を有する。なお、キャパシタ19は、必須の構成ではなく、省略することができる。
【0036】
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部28の固有周波数と、受電部27の固有周波数との差は、受電部27または送電部28の固有周波数の10%以下である。このような範囲に各送電部28および受電部27の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を高めることができる。その一方で、固有周波数の差が受電部27または送電部28の固有周波数の10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%より小さくなり、バッテリ15の充電時間が長くなるなどの弊害が生じる。
【0037】
ここで、送電部28の固有周波数とは、キャパシタ25が設けられていない場合には、共鳴コイル24のインダクタンスと、共鳴コイル24のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ25が設けられた場合には、送電部28の固有周波数とは、共鳴コイル24およびキャパシタ25のキャパシタンスと、共鳴コイル24のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、送電部28の共振周波数とも呼ばれる。
【0038】
同様に、受電部27の固有周波数とは、キャパシタ19が設けられていない場合には、共鳴コイル11のインダクタンスと、共鳴コイル11のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ19が設けられた場合には、受電部27の固有周波数とは、共鳴コイル11およびキャパシタ19のキャパシタンスと、共鳴コイル11のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、受電部27の共振周波数とも呼ばれる。
【0039】
図2および
図3を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。
図2は、電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す。電力伝送システム89は、送電装置90と、受電装置91とを備え、送電装置90は、電磁誘導コイル92と、送電部93とを含む。送電部93は、共鳴コイル94と、共鳴コイル94に設けられたキャパシタ95とを含む。
【0040】
受電装置91は、受電部96と、電磁誘導コイル97とを備える。受電部96は、共鳴コイル99とこの共鳴コイル99に接続されたキャパシタ98とを含む。
【0041】
共鳴コイル94のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ95のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。共鳴コイル99のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ98のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、送電部93の固有周波数f1は、下記の式(1)によって示され、受電部96の固有周波数f2は、下記の式(2)によって示される。
【0042】
f1=1/{2π(Lt×C1)
1/2}・・・(1)
f2=1/{2π(Lr×C2)
1/2}・・・(2)
ここで、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合において、送電部93および受電部96の固有周波数のズレと、電力伝送効率との関係を
図3に示す。なお、このシミュレーションにおいては、共鳴コイル94および共鳴コイル99の相対的な位置関係は固定した状態であって、さらに、送電部93に供給される電流の周波数は一定である。
【0043】
図3に示すグラフのうち、横軸は、固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は、一定周波数での伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記式(3)によって示される。
【0044】
(固有周波数のズレ)={(f1−f2)/f2}×100(%)・・・(3)
図3からも明らかなように、固有周波数のズレ(%)が±0%の場合には、電力伝送効率は、100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は、40%となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は、10%となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は、5%となる。すなわち、固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、受電部96の固有周波数の10%以下の範囲となるように各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができることがわかる。さらに、固有周波数のズレ(%)の絶対値が受電部96の固有周波数の5%以下となるように、各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率をより高めることができることがわかる。なお、シミュレーションソフトしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
【0045】
次に、本実施の形態に係る電力伝送システムの動作について説明する。
図1において、電磁誘導コイル23には、高周波電力ドライバ22から交流電力が供給される。電磁誘導コイル23に所定の交流電流が流れると、電磁誘導によって共鳴コイル24にも交流電流が流れる。この際、共鳴コイル24を流れる交流電流の周波数が特定の周波数となるように、電磁誘導コイル23に電力が供給されている。
【0046】
共鳴コイル24に特定の周波数の電流が流れると、共鳴コイル24の周囲には特定の周波数で振動する電磁界が形成される。
【0047】
共鳴コイル11は、共鳴コイル24から所定範囲内に配置されており、共鳴コイル11は共鳴コイル24の周囲に形成された電磁界から電力を受け取る。
【0048】
本実施の形態においては、共鳴コイル11および共鳴コイル24は、所謂、ヘリカルコイルが採用されている。このため、共鳴コイル24の周囲には、特定の周波数で振動する磁界が主に形成され、共鳴コイル11は当該磁界から電力を受け取る。
【0049】
ここで、共鳴コイル24の周囲に形成される特定の周波数の磁界について説明する。「特定の周波数の磁界」は、典型的には、電力伝送効率と共鳴コイル24に供給される電流の周波数と関連性を有する。そこで、まず、電力伝送効率と、共鳴コイル24に供給される電流の周波数との関係について説明する。共鳴コイル24から共鳴コイル11に電力を伝送するときの電力伝送効率は、共鳴コイル24および共鳴コイル11の間の距離などの様々な要因よって変化する。たとえば、送電部28および受電部27の固有周波数(共振周波数)を固有周波数f0とし、共鳴コイル24に供給される電流の周波数を周波数f3とし、共鳴コイル11および共鳴コイル24の間のエアギャップをエアギャップAGとする。
【0050】
図4は、固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、共鳴コイル24に供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。
【0051】
図4に示すグラフにおいて、横軸は、共鳴コイル24に供給する電流の周波数f3を示し、縦軸は、電力伝送効率(%)を示す。効率曲線L1は、エアギャップAGが小さいときの電力伝送効率と、共鳴コイル24に供給する電流の周波数f3との関係を模式的に示す。この効率曲線L1に示すように、エアギャップAGが小さい場合には、電力伝送効率のピークは周波数f4,f5(f4<f5)において生じる。エアギャップAGを大きくすると、電力伝送効率が高くなるときの2つのピークは、互いに近づくように変化する。そして、効率曲線L2に示すように、エアギャップAGを所定距離よりも大きくすると、電力伝送効率のピークは1つとなり、共鳴コイル24に供給する電流の周波数が周波数f6のときに電力伝送効率がピークとなる。エアギャップAGを効率曲線L2の状態よりもさらに大きくすると、効率曲線L3に示すように電力伝送効率のピークが小さくなる。
【0052】
たとえば、電力伝送効率の向上を図るため手法として次のような第1の手法が考えられる。第1の手法としては、エアギャップAGにあわせて、
図1に示す共鳴コイル24に供給する電流の周波数を一定として、キャパシタ25やキャパシタ19のキャパシタンスを変化させることで、送電部28と受電部27との間での電力伝送効率の特性を変化させる手法が考えられる。具体的には、共鳴コイル24に供給される電流の周波数を一定とした状態で、電力伝送効率がピークとなるように、キャパシタ25およびキャパシタ19のキャパシタンスを調整する。この手法では、エアギャップAGの大きさに関係なく、共鳴コイル24および共鳴コイル11に流れる電流の周波数は一定である。なお、電力伝送効率の特性を変化させる手法としては、送電装置41と高周波電力ドライバ22との間に設けられた整合器を利用する手法や、コンバータ14を利用する手法などを採用することもできる。
【0053】
また、第2の手法としては、エアギャップAGの大きさに基づいて、共鳴コイル24に供給する電流の周波数を調整する手法である。たとえば、
図4において、電力伝送特性が効率曲線L1となる場合には、共鳴コイル24には周波数が周波数f4または周波数f5の電流を共鳴コイル24を供給する。そして、周波数特性が効率曲線L2,L3となる場合には、周波数が周波数f6の電流を共鳴コイル24に供給する。この場合では、エアギャップAGの大きさに合わせて共鳴コイル24および共鳴コイル11に流れる電流の周波数を変化させることになる。
【0054】
第1の手法では、共鳴コイル24を流れる電流の周波数は、固定された一定の周波数となり、第2の手法では、共鳴コイル24を流れる周波数は、エアギャップAGによって適宜変化する周波数となる。第1の手法や第2の手法などによって、電力伝送効率が高くなるように設定された特定の周波数の電流が共鳴コイル24に供給される。共鳴コイル24に特定の周波数の電流が流れることで、共鳴コイル24の周囲には、特定の周波数で振動する磁界(電磁界)が形成される。受電部27は、受電部27と送電部28の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界を通じて送電部28から電力を受電している。したがって、「特定の周波数で振動する磁界」とは、必ずしも固定された周波数の磁界とは限らない。なお、上記の例では、エアギャップAGに着目して、共鳴コイル24に供給する電流の周波数を設定するようにしているが、電力伝送効率は、共鳴コイル24および共鳴コイル11の水平方向のずれ等のように他の要因によっても変化するものであり、当該他の要因に基づいて、共鳴コイル24に供給する電流の周波数を調整する場合がある。
【0055】
なお、本実施の形態では、共鳴コイルとしてヘリカルコイルを採用した例について説明したが、共鳴コイルとして、メアンダラインなどのアンテナなどを採用した場合には、共鳴コイル24に特定の周波数の電流が流れることで、特定の周波数の電界が共鳴コイル24の周囲に形成される。そして、この電界をとおして、送電部28と受電部27との間で電力伝送が行われる。
【0056】
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。
図5は、電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
図5を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電界」と「誘導電界」と「静電界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πとあらわすことができる。
【0057】
「静電界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、本実施の形態に係る電力伝送システムでは、この「静電界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電部28および受電部27(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、送電部28から他方の受電部27へエネルギー(電力)を伝送する。この「静電界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
【0058】
このように、本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部28と受電部27とを電磁界によって共振させることで送電装置41から受電装置に電力を送電している。そして、送電部28と受電部27との間の結合係数(κ)は、好ましくは0.1以下である。なお、結合係数(κ)は、この値に限定されるものではなく電力伝送が良好となる種々の値をとりうる。一般的に、電磁誘導を利用した電力伝送では、送電部と受電部と間の結合係数(κ)は1.0に近いものとなっている。
【0059】
本実施の形態の電力伝送における送電部28と受電部27との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」または「電界(電場)共振結合」という。
【0060】
「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
【0061】
本明細書中で説明した送電部28の共鳴コイル24と受電部27の共鳴コイル11とは、コイル形状のアンテナが採用されているため、送電部28と受電部27とは主に、磁界によって結合しており、送電部28と受電部27とは、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」している。
【0062】
なお、共鳴コイル24,11として、たとえば、メアンダラインなどのアンテナを採用することも可能であり、この場合には、送電部28と受電部27とは主に、電界によって結合している。このときには、送電部28と受電部27とは、「電界(電場)共振結合」している。
【0063】
(受電装置40)
図6から
図8を参照して、実施の形態1における受電装置40の具体的構成について説明する。
図6は、本実施の形態における電動車両10に搭載される受電装置の配置を示す車両の底面図、
図7は、本実施の形態における電動車両10に搭載される受電装置の配置を示す部分横(左右方向)断面、
図8は、本実施の形態における電動車両10に搭載される受電装置の配置を示す部分縦(前後方向)断面である。
【0064】
図6に示すように、電動車両10の前端から前輪タイヤ160Fの後端までの領域を前部、前輪タイヤ160F
の後端から後輪タイヤ160Rの前端までの領域を中央部、後輪タイヤ160Rの
前端から電動車両10の後端までの領域を後部と称する。以下の説明においても同様である。
図7に示すように、電動車両10を水平面に載置した状態において、鉛直方向上向きを上方、鉛直方向下向きを下方、車両の前方側を向いた場合の左手側を左側、車両の前方側を向いた場合の右手側を右側と称する。以下の説明においても同様である。
【0065】
図6を参照して、本実施の形態における電動車両10は、
後部にリアフロアパネル31、マフラー130、および左右の後輪タイヤ160Rを有し、中央部にセンタフロアパネル32、燃料タンク120、サイドメンバ32A,32B、およびエキゾーストパイプ131を有し、前部にエンジンフロアパネル33、左右の前輪タイヤ160Fを有している。
【0066】
図6を参照して、電動車両10の後部において、バッテリ15は、フロアパネルであるリアフロアパネル31の上方に配置されている(
図7参照)。受電装置40は、リアフロアパネル31を挟んで、バッテリ15の下方に配置されている。本実施の形態においては、受電装置40の前側半分程度の領域が、左右の後輪タイヤ160Rの間に位置し、受電装置40の後側半分程度が、左右の後輪タイヤ160Rから後側に向けて突出している。なお、受電装置40の後輪タイヤ160Rに対する配置位置は、本実施の形態に限定されない。
【0067】
受電装置40は、受電部27と円形の電磁誘導コイル12を含む。受電部27は、円形の共鳴コイル11およびキャパシタ19を有している。本実施の形態では、受電装置40を取り囲むようにシールド部材27Sが設けられている。シールド部材27Sは、受電装置40の半径方向の外側を取り囲む円筒形状を有し、リアフロアパネル31側には底部27bが設けられ、送電部28側は開放している。なお、シールド部材27Sの形状は、本実施の形態の形状に限定されない。
【0068】
共鳴コイル11は、樹脂製の支持部材11aを用いて、シールド部材27Sの底部27bに固定されている。電磁誘導コイル12は、樹脂製の支持部材12aを用いて、シールド部材27Sの底部27bに固定されている。
【0069】
本実施の形態では、共鳴コイル11の外側に電磁誘導コイル12を配置しているが、共鳴コイル11と電磁誘導コイル12とに配置関係は、この配置関係には限定されない。また、共鳴コイル11および電磁誘導コイル12の形状は、円形に限定されず、多角形、正八角形等の採用が可能であるが、形状は特に限定されるものではない。
【0070】
図7および
図8を参照して、電動車両10の後部において、バッテリ15は、リアフロアパネル31の上方に配置され、受電装置40は、リアフロアパネル31の下方に配置されている。さらに、平面視において、受電装置40とバッテリ15とは少なくとも一部が重なるように配置されている。具体的には、平面視(上方から下方を鉛直方向に見た場合)において、バッテリ15の投影面に受電装置40の投影面が重なることを意味する。投影面が重なるとは、バッテリ15と受電装置40との平面視における大きさ(外形)は様々であり、バッテリ15の投影面の中に受電装置40の投影面が含まれる場合、受電装置40の投影面の中にバッテリ15の投影面が含まれる場合、相互の投影面の一部が重なる場合が該当する。
【0071】
また、
図8に示すように、受電装置40の後端部40a
(シールド部材27Sの後端部40a)は
、バッテリ15の後端部15aよりも、当該車両の後側に突出(距離CZ1)するように配置されている。
【0072】
通常、車両の後側において、後側から衝突された場合に、クラッシャブルゾーンが規定され、バッテリ15は、クラッシャブルゾーンよりも前側に配置される。そこで、受電装置40の一部が、クラッシャブルゾーン側に突出するように配置することで、後側から衝突された場合に、受電装置40を衝撃吸収材として用いることができ、バッテリ15等の高圧部品を保護することが可能となる。
【0073】
以上、本実施の形態においては、平面視において、受電装置40の投影面にバッテリ15の投影面の一部が少なくとも重なるように配置している。これにより、電動車両10の限られたスペースに、平面視において、受電装置40を効率良く搭載することを可能としている。
【0074】
また、バッテリ15と受電装置40との間にリアフロアパネル31が位置することで、受電装置40から発熱される熱のバッテリ15への伝熱を、リアフロアパネル31により抑制することができる。
【0075】
受電装置40とバッテリ15との距離が短くなるため、受電装置40とバッテリ15との間に配設されるケーブルの配索を短くすることができる。これにより、充電効率の向上を期待することも可能となる。また、バッテリ15をクラッシャブルゾーンよりも車両の前側に配置することにより、高圧機器に対する安全性を高め、ケーブル損失(漏電、ショート)の発生を回避することができる。
【0076】
(実施の形態2)
次に、
図9から
図15を参照して、本実施の形態に係る電力伝送システムを搭載した車両について説明する。なお、上述の実施の形態1との相違は、外部に設けられた送電部28を含む送電装置41から非接触で電力を受電する受電部27を含む受電装置40を有することに、外部に設けられた給電コネクタに接続される充電部をさらに有する点にある。実施の形態1と同一または相当部分については、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0077】
図9は、本実施の形態おける電動車両10に搭載される受電装置40の配置を示す車両の斜視図、
図10は、本実施の形態にける電動車両10に搭載される受電装置40、充電器200、およびバッテリ15の回路を示す図、
図11は、本実施の形態おける電動車両10に搭載される受電装置40、充電器200、およびバッテリ15の搭載状態を示す斜視図、
図12は平面図、
図13は部分横(左右方向)断面図、
図14は部分縦(前後方向)断面図、
図15は他の回路を示す図である。
【0078】
図9を参照して、本実施の形態における電動車両10は、乗員収容室内の後部座席下に位置する部分には、燃料タンク120が設けられている。後部座席より電動車両10の後側には、バッテリ15が配置されている。実施の形態1と同様に、受電装置40は、リアフロアパネル31を挟んで、バッテリ15の下方に配置されている。
【0079】
電動車両1
0の左側のリアフェンダには充電部1が設けられ、右側のリアフェンダには給油部2が設けられている。なお、この図
9に示す例においては、充電部1と給油部2とが車両の互いに異なる側面に設けられているが、充電部1が
右側、給油部2が
左側に設けられてもかまわない。また、同一の側面(左側、右側)に設けられてもよい。さらに、充電部1と給油部2と位置は、リヤフェンダに限らず、フロントフェンダに設けてもよい。
【0080】
給油作業を行なう際には、給油部2(燃料供給部)に給油コネクタ2Aを挿入することで燃料が供給される。給油部2から給油されたガソリンなどの燃料は、燃料タンク120に貯留される。
【0081】
充電作業を行なう際には、充電部1(電力供給部)に給電コネクタ1Aを挿入することで電力が供給される。給電コネクタ1Aは、商用電源(たとえば、日本では単相交流100V)から供給される電力を充電するためのコネクタである。給電コネクタ1Aとしては、たとえば、一般の家庭用電源に接続されたプラグなどが用いられる。
【0082】
図10を参照して、本実施の形態では、充電器200に充電部1および受電装置40が接続されている。また、充電器200にバッテリ15が接続され、バッテリ15には、充電制御ユニット300が接続されている。このように、本実施の形態では、接触充電である充電部1と非接触受電である受電装置40とが、兼用の充電器200に接続されている。
【0083】
したがって、充電器200は、充電部1から給電される電力を、バッテリ15の充電電力に変換するとともに、受電装置40から受電した電力をバッテリ15の充電電力に変換する。これにより、部品点数の削減を図ることができる。
【0084】
図11および
図12を参照して、リアフロアパネル31には、下方に向かう凹部領域31Pが設けられている。この凹部領域31Pの底面および斜面に沿うように、左右方向に延びるブラケット210を有し、このブラケット210に充電器200が載置される。
【0085】
図13および
図14を参照して、電動車両10の後部において、バッテリ15は、リアフロアパネル31の上方に配置され、受電装置40は、リアフロアパネル31の下方に配置され、平面視において、実施の形態1の場合と同様に、受電装置40とバッテリ15とは少なくとも一部が重なるように配置されている。
【0086】
本実施の形態では、充電器200は、バッテリ15とリアフロアパネル31の間(リアフロアパネル31の上方)に位置しているが、充電器200を、リアフロアパネル31と受電装置40との間(リアフロアパネル31の下方)に位置させることも可能である。なお、受電装置40の下方については、上記実施の形態1と同様である。
【0087】
また、本実施の形態では、充電器200は、ブラケット210に載置されているが、ブラケットは必ずしも必須ではない。充電器200の位置も、平面視において、バッテリ15と受電装置40との間において、全てが含まれるように配置しているが、一部が重なるように配置してよい。また、充電器200とバッテリ15との間、充電器200とブラケット210との間、または充電器200とリアフロアパネル31との間に、電力配線、電力配線結合部を配置してもよい。
【0088】
図14に示すように、受電装置40の後端部40a(シールド部材27Sの後端部40a)は、バッテリ15の後端部15aよりも、当該車両の後側に突出(距離CZ1)するように配置されている。また、充電器200の後端部200aは、バッテリ15の後端部15aよりも、車両の前側に位置していることから、受電装置40の後端部40aは、充電器200の後端部200aよりも、当該車両の後側に突出(距離CZ2)するように配置されていることなる。充電制御ユニット300も充電器200と同様である。
【0089】
このように、本実施の形態においても、車両の後側において、後側から衝突された場合に、クラッシャブルゾーン(
図12の矢印CZの領域)が規定され、バッテリ15は、クラッシャブルゾーンよりも前側に配置される。そこで、受電装置40の一部が、クラッシャブルゾーン側に突出するように配置することで、後側から衝突された場合に、受電装置40を衝撃吸収材として用いることができる。バッテリ15および充電器200等の高圧部品を保護することが可能となる。
【0090】
以上、本実施の形態においても、平面視において、受電装置40の投影面にバッテリ15の投影面の一部が少なくとも重なるように、受電装置40は、リアフロアパネル31を挟んで、バッテリ15の下方に配置している。これにより、電動車両10の限られたスペースに、平面視において、受電装置40を効率良く搭載することを可能としている。
【0091】
また、バッテリ15と受電装置40との間にリアフロアパネル31が位置することで、受電装置40から発熱される熱のバッテリ15への伝熱を、リアフロアパネル31により抑制することができる。
【0092】
また、受電装置40とバッテリ15との距離が短くなるため、受電装置40とバッテリ15との間に配設されるケーブルWH1,WH2の配索を短くすることができる。これにより、充電効率の向上を期待することも可能となる。また、バッテリ15、充電器200、および充電制御ユニット300をクラッシャブルゾーンよりも車両の前側に配置することにより、高圧機器に対する安全性を高め、ケーブル損失(漏電、ショート)の発生を回避することができる。
【0093】
なお、
図15に示すように、受電装置40に充電制御ユニット300を設けることも可能である。この場合、充電制御ユニット300は、
図16に示すように、ブラケット210に充電制御ユニット300が固定される。充電制御ユニット300から延びる一方のワイヤWH1は、バッテリ15に接続される。充電制御ユニット300から延びる他方のワイヤWH2は、リアフロアパネル31に設けられた連通孔31Hを通過して、
受電装置40に接続される。
【0094】
また、充電制御ユニット300がブラケット210に固定されていることから、充電制御ユニット300も受電装置40とバッテリ15との間に配置されている。充電制御ユニット300を、リアフロアパネル31と受電装置40との間(リアフロアパネル31の下方)に位置させることも可能である。
【0095】
なお、上記各実施の形態では、バッテリ15および受電装置40を、リアフロアパネル31に配置した場合について説明しているが、配置位置は、電動車両10の後部には限定されない。
【0096】
図17に示すように、上記各実施の形態に示した構成を、電動車両10の中央部において、バッテリ15および受電装置40を、センタフロアパネル32に配置することも可能である。また、
図18に示すように、上記各実施の形態に示した構成を、電動車両10の前部において、バッテリ15および受電装置40を、エンジンフロアパネル33に配置することも可能である。
【0097】
なお、上記各実施の形態では、電磁誘導コイル12,23を含んだ送電装置および受電装置を例示したが、電磁誘導コイルを含まない共鳴型非接触送受電装置にも本発明は適用可能である。
【0098】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。