(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力出力部の使用時に、前記走行駆動力が増加することによって、前記主蓄電装置が出力可能な電力を示す出力可能電力を前記主蓄電装置に対する要求出力が超えることになるとき、前記制御装置は、前記補機用蓄電装置に蓄えられた電力を電圧変換して前記電力出力部へ出力するように前記電力変換装置を制御する、請求項1に記載の電動車両。
前記制御装置は、さらに、前記走行駆動力が増加するとき、前記補機用蓄電装置の充電状態を予め高めるように前記補機用蓄電装置の充電状態を制御する、請求項1または2に記載の電動車両。
前記走行駆動力が増加するとき、前記補機用蓄電装置の充電状態を予め高めるように前記補機用蓄電装置の充電状態を制御するステップをさらに含む、請求項8または9に記載の電動車両の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による電動車両の一例として示されるハイブリッド車両の全体構成図である。
図1を参照して、ハイブリッド車両100は、主蓄電装置10と、システムメインリレー(以下「SMR(System Main Relay)」とも称する。)15と、コンバータ20と、インバータ22,24と、モータジェネレータ32,34とを備える。また、ハイブリッド車両100は、エンジン36と、プラネタリギヤ38,40と、伝達ギヤ42と、駆動輪44と、DC/DCコンバータ50と、正極線PL1,PL2と、負極線NL1,NL2とをさらに備える。
【0023】
主蓄電装置10は、再充電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池によって構成される。主蓄電装置10には、車両外部の電源(以下「外部電源」とも称する。)90から供給される電力の他、モータジェネレータ32,34によって発電される電力が蓄えられる。なお、主蓄電装置10として、大容量のキャパシタも用いてもよい。
【0024】
主蓄電装置10は、蓄えられた電力をコンバータ20へ供給する。また、主蓄電装置10は、DC/DCコンバータ50を介して、補機用蓄電装置65および補機負荷70が接続される正極線PL3,負極線NL3へ給電可能である。さらに、主蓄電装置10は、双方向充電器60を介してコンセント75へも電力を供給可能である。
【0025】
SMR15は、主蓄電装置10に接続される正極線PL1,負極線NL1と、コンバータ20に接続される正極線PL2,負極線NL2との間に設けられる。SMR15は、正極線PL1,負極線NL1と正極線PL2,負極線NL2との電気的な接続/切離を行なうためのリレーである。
【0026】
コンバータ20は、正極線PL2,負極線NL2とインバータ22,24との間に設けられる。コンバータ20は、MG−ECU48からの信号PWCに基づいて、インバータ22,24の入力電圧(コンバータ20とインバータ22,24との間の電圧)を主蓄電装置10の電圧以上に昇圧する。コンバータ20は、たとえば、電流可逆チョッパ回路によって構成される。
【0027】
インバータ22,24は、互いに並列してコンバータ20に接続される。インバータ22は、MG−ECU48からの信号PWI1に基づいてモータジェネレータ32を駆動する。インバータ24は、MG−ECU48からの信号PWI2に基づいてモータジェネレータ34を駆動する。インバータ22,24の各々は、たとえば、三相分のスイッチング素子を含む三相PWMインバータによって構成される。
【0028】
モータジェネレータ32,34の各々は、力行動作および回生動作可能な電動発電機であり、たとえば、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動発電機によって構成される。モータジェネレータ32は、プラネタリギヤ38に機械的に接続される。そして、モータジェネレータ32は、プラネタリギヤ38を介して機械的に連結されるエンジン36の始動トルクを発生してエンジン36を始動させ、エンジン36の始動後はエンジン36により駆動されて発電する。
【0029】
モータジェネレータ34は、プラネタリギヤ40に機械的に接続される。そして、モータジェネレータ34は、走行用の駆動トルクを発生してプラネタリギヤ40および伝達ギヤ42を介して駆動輪44を駆動し、車両の制動時等には、車両の有する運動エネルギーを駆動輪44から受けて発電する。プラネタリギヤ40は、モータジェネレータ34の出力を変速して伝達ギヤ42に伝達する。なお、プラネタリギヤ40を省略してモータジェネレータ34を伝達ギヤ42に直結してもよい。
【0030】
エンジン36は、燃料の燃焼による熱エネルギーをピストンやロータなどの運動子の運動エネルギーに変換し、その変換された運動エネルギーをプラネタリギヤ38を介して駆動輪44およびモータジェネレータ32の少なくとも一方へ出力する。すなわち、プラネタリギヤ38は、モータジェネレータ32、エンジン36および伝達ギヤ42に機械的に接続され、エンジン36の出力をモータジェネレータ32と伝達ギヤ42とに分割して出力する。
【0031】
DC/DCコンバータ50は、正極線PL2,負極線NL2と正極線PL3,負極線NL3との間に接続される。DC/DCコンバータ50は、PM−ECU80からの信号CNTL2に基づいて、正極線PL2,負極線NL2から供給される電力を補機負荷70の電圧レベルに変換して正極線PL3へ出力する。
【0032】
また、ハイブリッド車両100は、受電部55と、双方向充電器60と、補機用蓄電装置65と、補機負荷70と、コンセント75と、正極線PL3と、負極線NL3とをさらに備える。さらに、ハイブリッド車両100は、電池ECU(Electronic Control Unit)46と、MG−ECU48と、PM−ECU80とをさらに備える。
【0033】
受電部55は、外部電源90に接続可能に構成され、外部電源90から供給される電力を双方向充電器60へ出力する。また、受電部55は、外部電源90との接続状態を示す接続信号CNCTをPM−ECU80へ出力する。そして、外部電源90が受電部55に接続されると、受電部55は、接続信号CNCTを活性化する。なお、受電部55は、外部電源90側のコネクタと嵌合可能なインレットで構成してもよいし、外部電源90のアウトレットに嵌合可能なプラグで構成してもよい。
【0034】
双方向充電器60は、受電部55と、主蓄電装置10が接続される正極線PL1および負極線NL1と、補機用蓄電装置65および補機負荷70が接続される正極線PL3および負極線NL3と、コンセント75とに電気的に接続される。双方向充電器60は、PM−ECU80からの信号CNTL1に基づいて、外部電源90から供給される電力を主蓄電装置10の電圧レベルに変換して正極線PL1および負極線NL1へ出力し、主蓄電装置10を充電する。また、双方向充電器60は、外部電源90から供給される電力を補機負荷70の電圧レベルに変換して正極線PL3および負極線NL3へ出力し、補機負荷70へ電力を供給する。
【0035】
さらに、双方向充電器60は、主蓄電装置10から出力される電力を電圧変換してコンセント75へ出力可能に構成される。また、さらに、双方向充電器60は、補機用蓄電装置65から出力される電力を電圧変換してコンセント75へ出力可能に構成される。すなわち、双方向充電器60は、外部電源90から供給される電力を電圧変換して主蓄電装置10を充電するとともに補機負荷70へ供給し、また、主蓄電装置10および補機用蓄電装置65に蓄えられた電力を電圧変換してコンセント75へ出力することができる。一例として、双方向充電器60は、主蓄電装置10および補機用蓄電装置65に蓄えられた電力をAC100Vに電圧変換してコンセント75へ出力する。なお、双方向充電器60の詳細な構成については、後ほど説明する。
【0036】
補機用蓄電装置65は、再充電可能な直流電源であり、たとえば、鉛やニッケル水素、リチウムイオン等の二次電池によって構成される。二次電池に代えてキャパシタを用いてもよい。補機用蓄電装置65は、正極線PL3および負極線NL3に接続され、双方向充電器60またはDC/DCコンバータ50から電力を受けて充電される。補機負荷70は、DC/DCコンバータ50、双方向充電器60、またはそれらによって充電される補機用蓄電装置65から電力を受けて動作するハイブリッド車両100の補機を総括的に示したものである。
【0037】
コンセント75は、家電製品やパソコン等の電気機器へ電力を出力するための電力出力部である。コンセント75は、双方向充電器60に電気的に接続され、双方向充電器60から受ける電力をコンセント75に接続される電気機器へ出力する。また、コンセント75については、それを使用可能とするためのACスイッチ(図示せず)が設けられ、ACスイッチがオンされると、PM−ECU80へ出力される信号ACSWが活性化される。
【0038】
電池ECU46は、予め記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することによるソフトウェア処理および/または専用の電子回路によるハードウェア処理により、主蓄電装置10が出力可能な電力を示す出力可能電力Woutを設定する。出力可能電力Woutは、主蓄電装置10の過放電を抑制するために設定されるものである。また、電池ECU46は、主蓄電装置10の充電状態(以下「SOC(State Of Charge)」とも称し、たとえば主蓄電装置10の容量に対する百分率で表される。)を算出する。なお、SOCの算出方法としては、主蓄電装置10の開回路電圧(OCV(Open Circuit Voltage))とSOCとの関係を用いて算出する方法や、入出力電流の積算値を用いて算出する方法等、種々の公知の手法を用いることができる。そして、電池ECU46は、出力可能電力Woutおよび主蓄電装置10のSOCをMG−ECU48およびPM−ECU80へ出力する。
【0039】
MG−ECU48は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理および/または専用の電子回路によるハードウェア処理により、コンバータ20およびインバータ22,24の動作を制御する。具体的には、MG−ECU48は、アクセルペダルの操作量や車両速度等から走行パワーの要求値(以下「要求走行パワー」と称する。)を算出する。そして、MG−ECU48は、算出された要求走行パワーに基づいて、モータジェネレータ34を駆動するための信号(たとえばPWM(Pulse Width Modulation)信号)を生成し、その生成された信号を信号PWI2としてインバータ24へ出力する。
【0040】
主蓄電装置10の出力可能電力Woutを要求走行パワーが超えると、MG−ECU48は、モータジェネレータ32を駆動するための信号(たとえばPWM信号)を生成し、その生成された信号を信号PWI1としてインバータ22へ出力する。これにより、エンジン36が始動する。また、主蓄電装置10のSOCの低下を示す所定のしきい値までSOCが低下したときも、MG−ECU48は、信号PWI1を生成してインバータ22へ出力し、エンジン36を始動させる。これにより、エンジン36の出力を用いてモータジェネレータ32が発電し、主蓄電装置10が充電される。
【0041】
なお、以下では、エンジン36が始動する前のモータジェネレータ34のみを用いた走行は、EV(Electric Vehicle)走行と称し、エンジン36を動作させての走行は、HV(Hybrid Vehicle)走行と称する。そして、MG−ECU48は、EV走行時の要求走行パワーをEV要求パワーPevとしてPM−ECU80へ出力する。また、MG−ECU48は、コンバータ20を駆動するための信号(たとえばPWM信号)を生成し、その生成された信号を信号PWCとしてコンバータ20へ出力する。
【0042】
PM−ECU80は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理および/または専用の電子回路によるハードウェア処理により、双方向充電器60の動作を制御する。具体的には、PM−ECU80は、外部電源90による主蓄電装置10の充電(以下「外部充電」と称する。)時、受電部55から受ける電力を主蓄電装置10および補機負荷70へ供給するように双方向充電器60を駆動するための信号CNTL1を生成して双方向充電器60へ出力する。
【0043】
また、PM−ECU80は、コンセント75からの信号ACSWに基づいてコンセント75の使用/不使用を判断し、コンセント75の使用時に双方向充電器60からコンセント75へ電力を供給するための制御を実行する。具体的には、PM−ECU80は、コンセント75の使用時に、MG−ECU48から受けるEV要求パワーPevが増加すると、補機用蓄電装置65に蓄えられた電力を電圧変換してコンセント75へ供給するように信号CNTL1を生成する。たとえば、EV要求パワーPevとコンセント75からの出力との合計が主蓄電装置10の出力可能電力Woutを超える程度にEV要求パワーPevが増加すると、PM−ECU80は、補機用蓄電装置65に蓄えられた電力を電圧変換してコンセント75へ供給するように信号CNTL1を生成する。
【0044】
一方、EV要求パワーPevが大きくないときは、PM−ECU80は、主蓄電装置10に蓄えられた電力をコンセント75へ供給するように信号CNTL1を生成する。たとえば、EV要求パワーPevとコンセント75からの出力との合計が主蓄電装置10の出力可能電力Woutを下回る程度にEV要求パワーPevが大きくないときは、PM−ECU80は、主蓄電装置10に蓄えられた電力を電圧変換してコンセント75へ供給するように信号CNTL1を生成する。そして、PM−ECU80は、その生成された信号CNTL1を双方向充電器60へ出力する。
【0045】
また、PM−ECU80は、受電部55が外部電源90に接続されていない場合(たとえば走行中など)に補機用蓄電装置65のSOCが低下したときは、正極線PL2および負極線NL2から補機用蓄電装置65および補機負荷70へ電力を供給するように信号CNTL2を生成し、その生成した信号CNTL2を双方向充電器60へ出力する。
【0046】
図2は、外部充電時の電力の流れを示した図である。
図2を参照して、外部充電時、双方向充電器60を用いて外部電源90により主蓄電装置10が充電される(経路a)。また、外部充電時は、双方向充電器60を用いて外部電源90から補機負荷70へ電力が供給される(経路b)。
【0047】
図3は、コンセント75使用時の電力の流れを示した図である。
図3を参照して、走行に必要な走行要求パワー(EV要求パワーPev)が大きくないときは、主蓄電装置10からコンバータ20を介してインバータ24へ電力が供給され(経路c)、主蓄電装置10から双方向充電器60を介してコンセント75へ電力が供給される(経路d)。なお、停車時は、経路cの電力は零である。一方、走行要求パワー(EV要求パワーPev)が増加すると、コンセント75への給電について、補機用蓄電装置65から双方向充電器60を介してコンセント75へ電力が供給される(経路e)。
【0048】
これにより、EV走行性能を確保しつつコンセント75を使用することができる。すなわち、従来は、主蓄電装置10の出力のみで走行パワーとコンセント出力とをカバーしていたので、走行パワーが主蓄電装置10の出力可能電力Woutに達していなくても、走行パワーとコンセント出力との合計が出力可能電力Woutに達すると、エンジン36が始動する。つまり、コンセント75の使用が優先される場合には、コンセント75の使用時はエンジン36がかかりやすくなり(EV走行範囲の縮小)、EV走行性能の確保が優先される場合には、走行パワーとコンセント出力との合計が出力可能電力Woutを超えるとコンセント75が使用不可となる。
【0049】
一方、この実施の形態1では、走行パワーとコンセント出力との合計が出力可能電力Woutに達すると、補機用蓄電装置65から双方向充電器60を介してコンセント75へ電力が供給される。これにより、走行パワーが出力可能電力Woutに達するまでEV走行をすることができ、かつ、コンセント75の使用も確保することができる。
【0050】
図4は、
図1に示した双方向充電器60の回路図である。
図4を参照して、双方向充電器60は、主回路110と、サブ電源回路120とを含む。主回路110は、AC/DC変換部112,114,118と、絶縁トランス116とを含む。
【0051】
AC/DC変換部112,114,118の各々は、単相ブリッジ回路によって構成され、双方向に電力変換可能である。AC/DC変換部112は、PM−ECU80(
図1)からの信号CNTL1に基づいて、外部充電時に受電部55から入力される外部電源90からの交流電力を直流電力に変換してAC/DC変換部114へ出力する。また、AC/DC変換部112は、主蓄電装置10からコンセント75への電力供給時、AC/DC変換部114から受ける直流電力を交流電力に変換してコンセント75へ供給することができる。
【0052】
AC/DC変換部114は、外部充電時、AC/DC変換部112から受ける直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス116へ出力する。また、AC/DC変換部114は、主蓄電装置10からコンセント75への電力供給時、絶縁トランス116から受ける交流電力を直流電力に変換してAC/DC変換部112へ出力することができる。
【0053】
絶縁トランス116は、磁性材から成るコアと、コアに巻回された一次コイルおよび二次コイルを含む。一次コイルおよび二次コイルは、電気的に絶縁されており、それぞれAC/DC変換部114,118に接続される。そして、絶縁トランス116は、AC/DC変換部114,118間で、一次コイルおよび二次コイルの巻数比に応じた電圧変換を行なう。
【0054】
AC/DC変換部118は、外部充電時、絶縁トランス116から出力される交流電力を直流電力に変換して主蓄電装置10(
図1)へ出力する。また、AC/DC変換部118は、主蓄電装置10からコンセント75への電力供給時、主蓄電装置10から出力される直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス116へ出力することができる。
【0055】
そして、AC/DC変換部112の受電部55側にコンセント75が接続される。なお、コンセント75の接続場所は、ここに限定されるものではない。絶縁トランス116の一次側または二次側にコンセント75を接続してもよいし、コンセント75の出力が直流電力であれば、AC/DC変換部112とAC/DC変換部114との間の直流線にコンセント75を接続してもよい。
【0056】
サブ電源回路120は、主回路110のAC/DC変換部112の受電部55側に接続される。サブ電源回路120の回路構成は、主回路110と同様であるが、サブ電源回路120の容量は、主回路110よりも小さい。サブ電源回路120は、外部充電時の補機電力を外部電源90から取得するために設けられたものであり、主回路110よりも小容量のもので十分であるからである。
【0057】
サブ電源回路120は、AC/DC変換部122,124,128と、絶縁トランス126とを含む。AC/DC変換部122,124,128の各々は、単相ブリッジ回路によって構成され、双方向に電力変換可能である。AC/DC変換部122は、PM−ECU80からの信号CNTL1に基づいて、外部充電時に受電部55から入力される外部電源90からの交流電力を直流電力に変換してAC/DC変換部124へ出力する。また、AC/DC変換部122は、補機用蓄電装置65からコンセント75への電力供給時、AC/DC変換部124から受ける直流電力を交流電力に変換してコンセント75へ供給することができる。
【0058】
AC/DC変換部124は、外部充電時、AC/DC変換部122から受ける直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス126へ出力する。また、AC/DC変換部124は、補機用蓄電装置65からコンセント75への電力供給時、絶縁トランス126から受ける交流電力を直流電力に変換してAC/DC変換部122へ出力することができる。
【0059】
絶縁トランス126は、磁性材から成るコアと、コアに巻回された一次コイルおよび二次コイルを含む。一次コイルおよび二次コイルは、電気的に絶縁されており、それぞれAC/DC変換部124,128に接続される。そして、絶縁トランス126は、AC/DC変換部124,128間で、一次コイルおよび二次コイルの巻数比に応じた電圧変換を行なう。
【0060】
AC/DC変換部128は、外部充電時、絶縁トランス126から出力される交流電力を直流電力に変換して補機用蓄電装置65へ出力する。また、AC/DC変換部128は、補機用蓄電装置65からコンセント75への電力供給時、補機用蓄電装置65から出力される直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁トランス126へ出力することができる。
【0061】
この双方向充電器60においては、外部充電時は、受電部55から入力される外部電源90からの電力が主回路110のAC/DC変換部112によって直流電力に変換され、AC/DC変換部114によって高周波の交流電力に変換される。AC/DC変換部114から出力される高周波の交流電力は、絶縁トランス116を介してAC/DC変換部118に与えられ、AC/DC変換部118によって直流電力に変換されて主蓄電装置10へ供給される。
【0062】
外部充電時は、さらに、受電部55から入力される外部電源90からの電力の一部がサブ電源回路120のAC/DC変換部122によって直流電力に変換され、AC/DC変換部124によって高周波の交流電力に変換される。AC/DC変換部124から出力される高周波の交流電力は、絶縁トランス126を介してAC/DC変換部128に与えられ、AC/DC変換部128によって直流電力に変換されて補機負荷70および補機用蓄電装置65へ供給される。
【0063】
一方、主蓄電装置10からコンセント75への給電時は、主蓄電装置10から出力される電力が主回路110のAC/DC変換部118によって高周波の交流電力に変換される。AC/DC変換部118から出力される高周波の交流電力は、絶縁トランス116を介してAC/DC変換部114に与えられ、AC/DC変換部112によって交流電力に変換されてコンセント75へ供給される。
【0064】
また、補機用蓄電装置65からコンセント75への給電時は、補機用蓄電装置65から出力される電力がサブ電源回路120のAC/DC変換部128によって高周波の交流電力に変換される。AC/DC変換部128から出力される高周波の交流電力は、絶縁トランス126を介してAC/DC変換部124に与えられ、AC/DC変換部122によって交流電力に変換されてコンセント75へ供給される。
【0065】
図5は、コンセント75への給電経路を決定するためのフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理は、一定時間毎または所定の条件が成立する毎にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図5を参照して、PM−ECU80は、コンセント75の使用を利用者が要求するためのACスイッチがオンされているか否かを判定する(ステップS10)。ACスイッチがオフされていると判定されると(ステップS10においてNO)、PM−ECU80は、以降の一連の処理を実行せずにステップS80へ処理を移行する。
【0066】
ステップS10においてACスイッチがオンされていると判定されると(ステップS10においてYES)、PM−ECU80は、主蓄電装置10のSOCがその低下を示す所定のしきい値よりも高いか否かを判定する(ステップS20)。SOCがしきい値よりも高いと判定されると(ステップS20においてYES)、PM−ECU80は、車両の状態がREADYオン状態であるか否かを判定する(ステップS30)。なお、READYオン状態は、車両システムが起動されていることを示す。
【0067】
車両の状態がREADYオン状態であると判定されると(ステップS30においてYES)、PM−ECU80は、MG−ECU48(
図1)から受けるEV要求パワーPevと、コンセント75から出力される電力を示す出力電力Poutとの合計が主蓄電装置10の出力可能電力Wout以下であるか否かを判定する(ステップS40)。なお、出力電力Poutは、図示されない電力センサや、電圧センサおよび電流センサによって検出される。なお、実測値の出力電力Poutに代えて、コンセント75の最大使用電力を示すコンセント75の定格電力を用いてもよい。
【0068】
そして、EV要求パワーPevとコンセント75の出力電力Poutとの合計が主蓄電装置10の出力可能電力Wout以下であると判定されると(ステップS40においてYES)、PM−ECU80は、モータジェネレータ34がEV要求パワーPevを発生するようにインバータ24およびコンバータ20を制御するとともに、主蓄電装置10からコンセント75へ電力が供給されるように双方向充電器60を制御する(ステップS50)。これにより、
図3に示した経路cを介して主蓄電装置10からモータジェネレータ34へ走行パワーが供給され、経路dを介して主蓄電装置10からコンセント75へ電力が供給される。
【0069】
一方、ステップS40において、EV要求パワーPevとコンセント75の出力電力Poutとの合計が主蓄電装置10の出力可能電力Woutよりも大きいと判定されると(ステップS40においてNO)、PM−ECU80は、モータジェネレータ34がEV要求パワーPevを発生するようにインバータ24およびコンバータ20を制御するとともに、補機用蓄電装置65からコンセント75へ電力が供給されるように双方向充電器60を制御する(ステップS60)。これにより、
図3に示した経路cを介して主蓄電装置10からモータジェネレータ34へ走行パワーが供給され、経路eを介して補機用蓄電装置65からコンセント75へ電力が供給される。
【0070】
なお、ステップS20において主蓄電装置10のSOCがしきい値以下であると判定されたとき(ステップS20においてNO)、またはステップS30において車両の状態がREADYオン状態でないと判定されると(ステップS30においてNO)、PM−ECU80は、コンセント75の使用を不可とする(ステップS70)。コンセント75の使用不可は、たとえば、双方向充電器60をシャットダウンしたり、双方向充電器60とコンセント75との間に設けられる図示されないリレーをオフにしたりする等して実現される。
【0071】
以上のように、この実施の形態1においては、コンセント75の使用時に走行駆動力(EV要求パワーPev)が増加したとき、補機用蓄電装置65に蓄えられた電力が双方向充電器60のサブ電源回路120を介してコンセント75へ出力される。これにより、コンセント75の使用時に主蓄電装置10から出力される電力をコンセント75に振り分ける必要がない。したがって、この実施の形態1によれば、走行性能を確保しつつ、家電製品を含む電気機器へ電力を供給することができる。
【0072】
また、この実施の形態1によれば、外部充電のための充電器を双方向化することによって主蓄電装置10および補機用蓄電装置65からコンセント75へ電力を出力可能としたので、コンセント75へ電力を出力するための専用コンバータを別途設ける必要がない。
【0073】
さらに、この実施の形態1によれば、双方向充電器60において、小容量のサブ電源回路120を双方向化することによって補機用蓄電装置65からコンセント75へ電力を出力可能としたので、補機用蓄電装置65からコンセント75へ電力を出力する際の損失を低減することができる。
【0074】
[実施の形態2]
この実施の形態2では、走路の情報に基づいて走行パワーの増加が見込まれるときは、補機用蓄電装置65からコンセント75への給電に備えて、補機用蓄電装置65のSOCが予め高められる。
【0075】
図6は、実施の形態2による電動車両の一例として示されるハイブリッド車両の全体構成図である。
図6を参照して、このハイブリッド車両100Aは、
図1に示した実施の形態1によるハイブリッド車両100の構成において、カーナビゲーション装置85をさらに備え、PM−ECU80に代えてPM−ECU80Aを備える。
【0076】
カーナビゲーション装置85は、目的地までの走路に関する情報を収集してPM−ECU80Aへ送信する。走路情報には、たとえば、目的地までの距離や、走路の勾配、制限速度等の情報が含まれる。
【0077】
PM−ECU80Aは、カーナビゲーション装置85から受ける走路情報に基づいて、目的地までの走路に沿ったEV走行パワーを予測する。たとえば、所定の単位区間毎に走路に沿ってEV走行パワーが予測され、登坂路や高速道路等の走行区間では、EV走行パワーの増加が予測される。そして、PM−ECU80Aは、EV走行パワーの増加が予測される走行区間をハイブリッド車両100Aが走行する前に、補機用蓄電装置65のSOCを高めるための制御を実行する。具体的には、PM−ECU80Aは、主蓄電装置10からDC/DCコンバータ50を介して補機用蓄電装置65へ電力が供給されるようにDC/DCコンバータ50を制御する。
【0078】
なお、PM−ECU80Aのその他の機能は、実施の形態1におけるPM−ECU80と同じである。また、ハイブリッド車両100Aのその他の構成も、実施の形態1によるハイブリッド車両100と同じである。
【0079】
図7は、
図6に示したPM−ECU80Aにより実行される上記制御を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理も、一定時間毎または所定の条件が成立する毎にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図7を参照して、PM−ECU80Aは、コンセント75の使用を利用者が要求するためのACスイッチがオンされているか否かを判定する(ステップS110)。ACスイッチがオフされていると判定されると(ステップS110においてNO)、PM−ECU80Aは、以降の一連の処理を実行せずにステップS210へ処理を移行する。
【0080】
ステップS110においてACスイッチがオンされていると判定されると(ステップS110においてYES)、PM−ECU80Aは、カーナビゲーション装置85において目的地が設定されているか否かを判定する(ステップS120)。目的地が設定されていないときは(ステップS120においてNO)、PM−ECU80Aは、ステップS210へ処理を移行する。
【0081】
ステップS120において、目的地が設定されていると判定されると(ステップS120においてYES)、PM−ECU80Aは、目的地までの走路情報(走路の勾配や制限速度等の情報)をカーナビゲーション装置85から取得する(ステップS130)。そして、PM−ECU80Aは、その取得された走路情報を用いて、目的地までの走路に沿ったEV要求パワーPevを算出することによって、目的地までの走路に沿ったEV走行パワーを予測する(ステップS140)。
【0082】
次いで、PM−ECU80Aは、ステップS140において算出されたEV要求パワーPevにコンセント75の出力電力Poutを加えた値が主蓄電装置10の出力可能電力Woutよりも大きくなる走行区間を抽出する(ステップS150)。なお、コンセント75の出力電力Pout(W)については、コンセント75の最大使用に備えてコンセント75の定格電力とする。
【0083】
次いで、PM−ECU80Aは、ステップS150において抽出された各走行区間におけるコンセント75の出力電力量(Wh)を予測する(ステップS160)。たとえば、カーナビゲーション装置85から取得した目的地までの走路情報に基づいて、抽出された各走行区間の走行時間を予測し、その予測走行時間に基づいて各走行区間におけるコンセント75の出力電力量(Wh)を算出することが可能である。
【0084】
続いて、PM−ECU80Aは、補機用蓄電装置65のSOCを算出する(ステップS170)。補機用蓄電装置65のSOCは、補機用蓄電装置65の電圧および入出力電流等に基づいて、公知の種々の手法を用いて算出することができる。
【0085】
次いで、PM−ECU80Aは、ステップS150で抽出された走行区間のうち現在の走行地点からみた次の走行区間のために、補機用蓄電装置65を事前に充電する必要があるか否かを判定する(ステップS180)。具体的には、ステップS160において算出された次走行区間のコンセント出力電力量と、ステップS170において算出された補機用蓄電装置65のSOCとに基づいて、ステップS150で抽出された次走行区間のために補機用蓄電装置65を充電する必要があるか否かが判定される。
【0086】
そして、補機用蓄電装置65の充電が必要であると判定されると(ステップS180においてYES)、PM−ECU80Aは、主蓄電装置10からDC/DCコンバータ50を介して補機用蓄電装置65へ電力が供給されるように、DC/DCコンバータ50の動作を制御する(ステップS190)。なお、補機用蓄電装置65の充電は不必要であると判定されると(ステップS180においてNO)、PM−ECU80Aは、ステップS200へ処理を移行する。
【0087】
次いで、PM−ECU80Aは、カーナビゲーション装置85からの走路情報に基づいて、ハイブリッド車両100Aが目的地に到達したか否かを判定する(ステップS200)。ハイブリッド車両100Aが目的地にまだ到達していないと判定されると(ステップS200においてNO)、PM−ECU80Aは、ステップS170へ処理を戻す。ハイブリッド車両100Aが目的地に到達したものと判定されると(ステップS200においてYES)、PM−ECU80Aは、ステップS210へ処理を移行する。
【0088】
以上のように、この実施の形態2においては、走行パワーの増加が見込まれるときは、補機用蓄電装置65からコンセント75への給電に備えて、補機用蓄電装置65のSOCが予め高められる。したがって、この実施の形態2によれば、補機用蓄電装置65の電力不足によりコンセント75が使用不可になるのを回避することができる。
【0089】
[実施の形態3]
実施の形態3も、上記の実施の形態2と同様に、走路の情報に基づいて走行パワーの増加が見込まれるとき、補機用蓄電装置65からコンセント75への給電に備えて、補機用蓄電装置65のSOCが予め高められる。
【0090】
そして、この実施の形態3では、補機用蓄電装置65のSOCを高めるために主蓄電装置10から補機用蓄電装置65へ電力を供給する際に、双方向充電器のサブ電源回路を介して主蓄電装置10から補機用蓄電装置65へ電力を供給することもできる。ここで、双方向充電器のサブ電源回路は、外部充電時に外部電源90から補機負荷70へ電力を供給するために設けられたものであり、容量は小さいけれども損失が小さい。そこで、この実施の形態3では、主蓄電装置10から補機用蓄電装置65への給電量に応じて、主蓄電装置10から補機用蓄電装置65への給電経路が切替えられる。
【0091】
図8は、実施の形態3による電動車両の一例として示されるハイブリッド車両の全体構成図である。
図8を参照して、このハイブリッド車両100Bは、
図6に示した実施の形態2によるハイブリッド車両100Aの構成において、双方向充電器60およびPM−ECU80Aに代えてそれぞれ双方向充電器60AおよびPM−ECU80Bを備える。
【0092】
図9は、
図8に示した双方向充電器60Aの回路図である。
図9を参照して、双方向充電器60Aは、
図4に示した双方向充電器60の構成において、サブ電源回路120に代えてサブ電源回路120Aを含む。サブ電源回路120Aは、
図4に示したサブ電源回路120において、AC/DC変換部122を含まない構成から成る。そして、AC/DC変換部124の直流側が主回路110の直流側(主蓄電装置10側)に接続される。
【0093】
この双方向充電器60Aは、主蓄電装置10からサブ電源回路120Aを介して補機用蓄電装置65へ電力を供給することができる。すなわち、主蓄電装置10から出力される電力がサブ電源回路120AのAC/DC変換部124に供給され、AC/DC変換部124によって高周波の交流電力に変換される。AC/DC変換部124から出力される高周波の交流電力は、絶縁トランス126を介してAC/DC変換部128に与えられ、AC/DC変換部128によって直流電力に変換されて補機用蓄電装置65へ供給される。
【0094】
なお、外部電源90(
図8)による主蓄電装置10の充電時は、受電部55から主回路110を介して主蓄電装置10へ電力が供給され、さらに、主回路110の出力がサブ電源回路120Aによって電圧変換されて補機負荷70および補機用蓄電装置65へ供給される。
【0095】
この実施の形態3では、上記のように主蓄電装置10から双方向充電器60Aを介して補機用蓄電装置65へ給電可能である。したがって、走行パワーの増加が見込まれるときに補機用蓄電装置65のSOCを予め高めるために主蓄電装置10から補機用蓄電装置65へ給電する経路は、2つ存在する。
【0096】
図10は、主蓄電装置10から補機用蓄電装置65への給電経路を示した図である。
図10を参照して、主蓄電装置10から補機用蓄電装置65へ給電するための経路としては、DC/DCコンバータ50を介する経路fと、双方向充電器60A(より詳しくはサブ電源回路120A)を介する経路gとの2つの経路が存在する。
【0097】
DC/DCコンバータ50は、もともと補機負荷70用の電力を生成するために設けられたものであり、補機負荷70へ十分な電力を供給できるだけの容量を有する。一方、双方向充電器60Aは、外部充電用に設けられたものであるが、主蓄電装置10および補機用蓄電装置65からコンセント75への給電や、主蓄電装置10から補機用蓄電装置65への給電も可能なように双方向化されている。そして、
図9に示したように、主蓄電装置10から補機用蓄電装置65への給電は、双方向充電器60Aのサブ電源回路120Aを介して行なわれる。
【0098】
ここで、サブ電源回路120Aは、外部充電時に動作する限定的な補機負荷70の電力を外部電源90から確保するために設けられたものであり、DC/DCコンバータ50に比べて容量は小さく、損失が小さい。そこで、この実施の形態3では、補機用蓄電装置65のSOCを予め高めるために主蓄電装置10から補機用蓄電装置65へ供給される電力が双方向充電器60Aのサブ電源回路120Aの定格内であるときは、双方向充電器60Aのサブ電源回路120Aを介して主蓄電装置10から補機用蓄電装置65へ電力が供給される。一方、主蓄電装置10から補機用蓄電装置65へ供給される電力が双方向充電器60Aのサブ電源回路120Aの定格を超える場合には、DC/DCコンバータ50を介して主蓄電装置10から補機用蓄電装置65へ電力が供給される。これにより、一律にDC/DCコンバータ50を介して主蓄電装置10から補機用蓄電装置65への給電を行なう場合よりも、損失を抑えることが可能である。
【0099】
図11は、
図8に示したPM−ECU80Bにより実行される上記制御を説明するためのフローチャートである。
図11を参照して、このフローチャートは、
図7に示したフローチャートにおいて、ステップS182,S184をさらに含む。すなわち、ステップS180において、ステップS150で抽出された走行区間のうち現在の走行地点からみた次の走行区間のために、補機用蓄電装置65を事前に充電する必要があると判定されると(ステップS180においてYES)、PM−ECU80Bは、充電電力がサブ電源回路120Aの定格内であるか否かを判定する(ステップS182)。たとえば、補機用蓄電装置65のSOCが大きく低下しており、サブ電源回路120Aの定格を超える電力での充電が要求される場合には、充電電力がサブ電源回路120Aの定格を超えるものと判定される。
【0100】
そして、ステップS182において、主蓄電装置10から補機用蓄電装置65への充電電力がサブ電源回路120Aの定格内であると判定されると(ステップS182においてYES)、PM−ECU80Bは、主蓄電装置10から双方向充電器60Aのサブ電源回路120Aを介して補機用蓄電装置65へ電力が供給されるように、サブ電源回路120Aの動作を制御する(ステップS184)。
【0101】
一方、主蓄電装置10から補機用蓄電装置65への充電電力がサブ電源回路120Aの定格を超えると判定されると(ステップS182においてNO)、ステップS190へ処理が移行され、主蓄電装置10からDC/DCコンバータ50を介して補機用蓄電装置65へ電力が供給されるように、DC/DCコンバータ50が制御される。
【0102】
以上のように、この実施の形態3においては、補機用蓄電装置65からコンセント75への給電に備えて補機用蓄電装置65のSOCを予め高める場合に、補機用蓄電装置65への給電量が大きくないときは、DC/DCコンバータ50よりも小容量のサブ電源回路120Aを介して主蓄電装置10から補機用蓄電装置65へ給電される。したがって、この実施の形態3によれば、一律にDC/DCコンバータ50を介して主蓄電装置10から補機用蓄電装置65への給電を行なう場合よりも、損失を抑えることができる。
【0103】
[実施の形態4]
上記の実施の形態1〜3では、外部充電可能な電動車両について説明したが、この発明は、外部充電機能を有していない電動車両にも適用可能である。
【0104】
図12は、実施の形態4による電動車両の一例として示されるハイブリッド車両の全体構成図である。
図12を参照して、このハイブリッド車両100Cは、
図1に示したハイブリッド車両100の構成において、双方向充電器60およびPM−ECU80に代えてそれぞれ電力変換器150およびPM−ECU80Cを備える。
【0105】
図13は、
図12に示した電力変換器150の構成図である。
図13を参照して、電力変換器150は、降圧回路152と、昇圧回路154と、インバータ156とを含む。降圧回路152は、主蓄電装置10が接続される正極線PL1および負極線NL1に電気的に接続される。インバータ156は、降圧回路152とコンセント75との間に接続される。昇圧回路154は、降圧回路152およびインバータ156間の電力線と、補機用蓄電装置65との間に接続される。
【0106】
降圧回路152は、主蓄電装置10から出力される電力を降圧してインバータ156へ出力する。昇圧回路154は、補機用蓄電装置65から出力される電力を昇圧してインバータ156へ供給する。インバータ156は、降圧回路152または昇圧回路154から受ける直流電力を所定の交流電力に変換してコンセント75へ供給する。
【0107】
再び
図12を参照して、PM−ECU80Cは、双方向充電器60からコンセント75へ電力を供給するための制御を実行する。具体的には、PM−ECU80Cは、コンセント75の使用時に、MG−ECU48から受けるEV要求パワーPevが増加すると、補機用蓄電装置65に蓄えられた電力を電圧変換してコンセント75へ供給するように信号CNTL3を生成して電力変換器150へ出力する。たとえば、一方、EV要求パワーPevが大きくないときは、PM−ECU80Cは、主蓄電装置10に蓄えられた電力をコンセント75へ供給するように信号CNTL3を生成して電力変換器150へ出力する。
【0108】
なお、ハイブリッド車両100Cのその他の構成は、
図1に示したハイブリッド車両100と同じである。
【0109】
なお、
図13に示した昇圧回路154を双方向に電力変換可能に構成することによって、主蓄電装置10から降圧回路152および昇圧回路154を介して補機用蓄電装置65を充電することが可能となる。これにより、外部充電機能を除いて実施の形態2,3と同様の機能を実現することもできる。
【0110】
以上のように、この実施の形態4によっても、実施の形態1〜3と同様の効果を得ることができる。
【0111】
なお、上記の各実施の形態においては、コンセント75は、主回路110のAC/DC変換部112の受電部55側に接続されるものとしたが、コンセント75の接続箇所は、必ずしもここに限定されるものではなく、絶縁トランス116の一次側または二次側にコンセント75を接続してもよい。
【0112】
また、上記においては、ハイブリッド車両100(100A〜100C)におけるEV走行時について説明したが、この発明は、ハイブリッド車両におけるEV走行時の制御に限定されるものではなく、HV走行時にも適用可能である。さらに、この発明の適用範囲は、ハイブリッド車両に限定されるものではなく、エンジンを搭載しない電気自動車や燃料電池車等の電動車両も含む。
【0113】
また、上記においては、電動車両の一例として示したハイブリッド車両100(100A〜100C)は、プラネタリギヤ38によりエンジン36の動力を分割して駆動輪44とモータジェネレータ32とに伝達可能なシリーズ/パラレル型のハイブリッド車両について説明したが、この発明は、その他の形式のハイブリッド車両にも適用可能である。すなわち、たとえば、モータジェネレータ32を駆動するためにのみエンジン36を用い、モータジェネレータ34でのみ車両の駆動力を発生する、いわゆるシリーズ型のハイブリッド車両や、エンジンを主動力として必要に応じてモータがアシストするモータアシスト型のハイブリッド車両等にもこの発明は適用可能である。
【0114】
なお、上記において、モータジェネレータ34は、この発明における「電動機」の一実施例に対応し、双方向充電器60,60Aおよび電力変換器150の各々は、この発明における「電力変換装置」の一実施例に対応する。また、PM−ECU80,80A〜80Cは、この発明における「制御装置」の一実施例に対応し、カーナビゲーション装置85は、この発明における「情報装置」の一実施例に対応する。
【0115】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。