【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1特徴構成は、蓄熱式ガス処理装置の運転方法に係り、その特徴は、
複数の蓄熱室の夫々に通気性の蓄熱材層を設け、加熱手段を備える燃焼室に前記蓄熱室夫々の一端を連通させ、それら蓄熱室夫々の他端に対する接続風路を選択的に切り換える切換手段を設け、
被処理ガスに含まれる除去対象成分を前記燃焼室で燃焼させて被処理ガスを浄化するガス処理運転では、前記切換手段による接続風路の切り換えにより、
複数の前記蓄熱室のうちの一部の蓄熱室を入口側蓄熱室とし、かつ、他の一部の蓄熱室を出口側蓄熱室として、被処理ガスを入口側蓄熱室を通じ前記燃焼室に導入して処理し、それに伴い前記燃焼室から送出される高温の処理済ガスを出口側蓄熱室に通過させる状態にするとともに、
それら蓄熱室の夫々を入口側蓄熱室と出口側蓄熱室とに交互に切り換え、
このガス処理運転の開始に先立ち実施する立上運転では、
立上用空気を前記燃焼室に導入して前記加熱手段により加熱し、それに伴い前記燃焼室から送出される加熱後の立上用空気を前記蓄熱室に通過させることで、その蓄熱室の前記蓄熱材層を加熱して高温蓄熱状態に立ち上げる蓄熱式ガス処理装置の運転方法であって、
前記立上運転の初期には、前記燃焼室に導入する立上用空気の風量を小風量に制限し、その後、前記立上運転の途中において、前記燃焼室に導入する立上用空気の風量を増加させる点にある。
【0011】
また、本発明の第2特徴構成も、蓄熱式ガス処理装置の運転方法に係り、その特徴は、
複数の蓄熱室の夫々に通気性の蓄熱材層を設け、加熱手段を備える燃焼室に前記蓄熱室夫々の一端を連通させ、それら蓄熱室夫々の他端に対する接続風路を選択的に切り換える切換手段を設け、
被処理ガスに含まれる除去対象成分を前記燃焼室で燃焼させて被処理ガスを浄化するガス処理運転では、前記切換手段による接続風路の切り換えにより、
複数の前記蓄熱室のうちの一部の蓄熱室を入口側蓄熱室とし、かつ、他の一部の蓄熱室を出口側蓄熱室として、被処理ガスを入口側蓄熱室を通じ前記燃焼室に導入して処理し、それに伴い前記燃焼室から送出される高温の処理済ガスを出口側蓄熱室に通過させる状態にするとともに、
それら蓄熱室の夫々を入口側蓄熱室と出口側蓄熱室とに交互に切り換え、
このガス処理運転の休止期間中に実施する空焼運転では、空焼用空気を前記燃焼室に導入して前記加熱手段により加熱し、それに伴い前記燃焼室から送出される加熱後の空焼用空気を前記蓄熱室に通過させることで、その蓄熱室の付着ヤニ成分を除去し、
この空焼運転の開始に先立ち実施する立上運転では、
立上用空気を前記燃焼室に導入して前記加熱手段により加熱し、それに伴い前記燃焼室から送出される加熱後の立上用空気を前記蓄熱室に通過させることで、その蓄熱室の前記蓄熱材層を加熱して高温蓄熱状態に立ち上げる蓄熱式ガス処理装置の運転方法であって、
前記立上運転の初期には、前記燃焼室に導入する立上用空気の風量を小風量に制限し、その後、前記立上運転の途中において、前記燃焼室に導入する立上用空気の風量を増加させる点にある。
【0012】
これらの運転方法によれば、立上運転の初期には、立上用空気の風量を小風量に制限することにより、その風量制限分だけ、加熱手段による加熱での昇温幅を大きくして、蓄熱室の蓄熱材層に通過させる加熱後の立上用空気の温度を高くするとともに、蓄熱材層に通過させる加熱後の立上用空気の通過風速を小さくし、これにより、蓄熱材層の温度が未だ低くて空気通過抵抗が小さい状況下でも、加熱後の立上用空気が高い温度のままで蓄熱材層を素通り的に通過することを抑止することができる。
【0013】
即ち、このことにより、立上運転の初期には、加熱後の立上用空気の通過方向において先ず蓄熱材層の上流側部分を効率良く昇温させることができ、また、それに伴い、蓄熱材層を通過した後の立上用空気の保有熱量を立上用空気の風量面及び蓄熱材層通過後における温度面で少量化することができて、その保有熱量の持ち出しによる運転初期の熱ロスも効果的に低減することができる。
【0014】
一方、これに続いて立上運転の途中で立上用空気の風量を増加させることにより、先の運転初期において効率良く昇温させた蓄熱材層上流側部分の蓄熱熱量を、ある程度温度上昇して蓄熱材層の空気通過抵抗が大きくなった状況の下で、風量増加させた加熱後の立上用空気により蓄熱材層の下流側部分へ効率的に移行させる状態にして、蓄熱材層の上流側部分における蓄熱熱量の一部も利用した状態で蓄熱材層の下流側部分を効率良く昇温させることができ、これにより、蓄熱材層の全体を均一な高温蓄熱状態にすることができる。
【0015】
即ち、これらのことで、蓄熱材層を所要の高温蓄熱状態まで立上げるのに要する時間を効果的に短縮することができて、立上運転の運転管理を容易にすることができ、また、蓄熱材層における下流側部分の昇温が不十分になってその後のガス処理運転や空焼運転に悪影響を与えることも効果的に防止することができる。
【0016】
また、上述の如く立上運転の初期における熱ロスを効果的に低減し得ることと、上記の如く立上運転の所要時間を短縮することができて熱ロスの発生時間そのものを短縮し得ることとが相俟って、使用済み立上用空気の保有熱量持ち出しによる熱ロスを立上運転の全体について効果的に低減することができる。
【0017】
しかも、これらの運転方法によれば、立上運転の初期において立上用空気の風量を小風量に制限するから、立上運転の初期には立上用空気の温度が未だ低くてファンの単位送風量あたりの必要動力が大きいにしても、立上運転の運転初期においてファンの必要動力が大きくなることを抑止することができ、これにより、搬送ガスの温度が上昇してファンの単位送風量あたりの必要動力が小さくなった状態を基準として選定した小動力のファンを用いながらも、立上げ運転の初期においてファンの過負荷運転を招くことを確実に防止することができる。
【0018】
本発明の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成の運転方法を実施するのに好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記立上運転の途中において立上用空気の風量を増加させるのに、
前記燃焼室の計測温度、若しくは、加熱後の立上用空気が通過する前記蓄熱材層の計測温度、若しくは、前記蓄熱材層を通過した加熱後の立上用空気の計測温度が設定閾温度まで上昇したとき、又は、前記立上運転の開始時点からの計測時間が設定閾時間に達したとき、立上用空気の風量を段階的に増加させる点にある。
【0019】
この運転方法によれば、立上用空気の風量を段階的に増加させるから、立上運転における立上用空気の風量調整を簡易にすることができる。
【0020】
なお、この運転方法の実施において段階的な風量増加の段数は1段ないし複数段のいずれであってもよく、複数段を採用する場合は、各段ごとに設定閾温度又は設定閾時間を設定しておき、計測温度が各段の設定閾温度まで上昇するごとに、又は、計測時間が各段の設定閾時間に達するごとに立上用空気の風量を一段階増加させるようにすればよい。
【0021】
本発明の第4特徴構成は、第1又は第2特徴構成の運転方法を実施するのに好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記立上運転の途中において立上用空気の風量を増加させるのに、
前記燃焼室の計測温度、若しくは、加熱後の立上用空気が通過する前記蓄熱材層の計測温度、若しくは、前記蓄熱材層を通過した加熱後の立上用空気の計測温度の変化に同調させて、又は、時間経過に同調させて、立上用空気の風量を連続的に増加させる点にある。
【0022】
この運転方法によれば、立上用空気の風量を連続的に増加させるから、立上用空気の急激な風量変動に原因する立上運転の不安定化を防止することができて、立上運転を安定的かつ円滑に進めることができる。
【0023】
なお、この運転方法の実施においては、立上運転の全期間を通じ計測温度の変化又は時間経過に同調させて立上用空気の風量を連続的に増加させるのに限らず、立上運転の運転期間中における特定の期間だけ計測温度の変化又は時間経過に同調させて立上用空気の風量を連続的に増加させるようにしてもよい。
【0024】
本発明の第5特徴構成は、第1〜第4特徴構成のいずれかの運転方法を実施するのに好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記立上運転において、前記燃焼室の計測温度、若しくは、加熱後の立上用空気が通過する前記蓄熱材層の計測温度、若しくは、前記蓄熱材層を通過した加熱後の立上用空気の計測温度が設定完了温度に上昇すると、又は、前記立上運転の開始時点からの計測時間が設定完了時間に達すると、立上運転を終了して次運転の開始を許容する点にある。
【0025】
この運転方法によれば、実験や試運転などに基づいて設定完了温度又は設定完了時間として適当な温度又は時間を設定しておくことにより、蓄熱材層を過不足のない適切な高温蓄熱状態に確実に立ち上げた上で、次運転(即ち、ガス処理運転や空焼運転)を行なうことができる。
【0026】
本発明の第6特徴構成は、第1〜第5特徴構成のいずれかの運転方法を実施するのに好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記立上運転において前記蓄熱材層を通過した加熱後の立上用空気の一部を、立上用空気の一部として、前記燃焼室に導入する立上用空気に混合する点にある。
【0027】
この運転方法によれば、蓄熱材層を通過した後の使用済み立上用空気が未だ保有する熱量を用いて、燃焼室に導入する立上用空気を予熱することができ、これにより、加熱手段の必要加熱量を低減し得るとともに、使用済み立上用空気の保有熱量持ち出しによる熱ロスを一層効果的に低減することができる。
【0028】
本発明の第7特徴構成は、蓄熱式ガス処理装置に係り、その特徴は、
前記立上運転において前記燃焼室に立上用空気を導入するファン、及び、このファンの送風量を調整する制御手段を備え、
この制御手段は、前記ファンの送風量を調整することで、前記立上運転の初期には、前記燃焼室に導入する立上用空気の風量を小風量に制限し、その後、前記立上運転の途中で、前記燃焼室に導入する立上用空気の風量を増加させる構成にしてある点にある、
【0029】
この構成の蓄熱式ガス処理装置によれば、制御手段によるファン送風量の自動調整により、前述した第1特徴構成の運転方法を容易に実施することができる。
【0030】
なお、この構成の蓄熱式ガス処理装置を実施するにあたっては、第3〜第6特徴構成夫々の運転方法に対応する次の付加構成を選択的に採用してもよい。
【0031】
前記制御手段は、前記立上運転の途中において立上用空気の風量を増加させるのに、
前記燃焼室の計測温度、若しくは、加熱後の立上用空気が通過する前記蓄熱材層の計測温度、若しくは、前記蓄熱材層を通過した加熱後の立上用空気の計測温度が設定閾温度まで上昇したとき、又は、前記立上運転の開始時点からの計測時間が設定閾時間に達したとき、立上用空気の風量を段階的に増加させる構成にする。
【0032】
前記制御手段は、前記立上運転の途中において立上用空気の風量を増加させるのに、
前記燃焼室の計測温度、若しくは、加熱後の立上用空気が通過する前記蓄熱材層の計測温度、若しくは、前記蓄熱材層を通過した加熱後の立上用空気の計測温度の変化に同調させて、又は、時間経過に同調させて、立上用空気の風量を連続的に増加させる構成にする。
【0033】
前記制御手段は、前記立上運転において、前記燃焼室の計測温度、若しくは、加熱後の立上用空気が通過する前記蓄熱材層の計測温度、若しくは、前記蓄熱材層を通過した加熱後の立上用空気の計測温度が設定完了温度に上昇すると、又は、前記立上運転の開始時点からの計測時間が設定完了時間に達すると、立上運転を終了して次運転の開始を許容する構成にする。
【0034】
前記立上運転において前記蓄熱材層を通過した加熱後の立上用空気の一部を、立上用空気の一部として、前記燃焼室に導入する立上用空気に混合する循環混合路を設ける。