(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃焼器と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器とを有する燃焼装置において、前記燃焼装置内から前記熱交換器で発生するドレンを中和して排出するための中和装置であって、
本体内部は、仕切壁によって複数の空間に区切られており、
本体の下方部分に、本体内部に貯留された液体を外部へ排出可能な排水部が設けられており
当該排水部は、本体内部の内周面から上方へ突出する突出部と、本体内部と本体外部とを連通する排水孔とを備え、
前記突出部の少なくとも一部が前記仕切壁と一体に形成されており、
前記排水孔は、突出部を通過するものであり、前記突出部の側方上部に開口しており、前記仕切壁において対向する側面のそれぞれの外側から、突出部の内部へと向かう貫通孔が形成されていることを特徴とする中和装置。
前記排水孔の開口は、高さ成分を含んだ方向の長さが、水平成分を含んだ方向の長さより短くなっており、粒状の中和剤が通過できない大きさであることを特徴とする請求項1に記載の中和装置。
【背景技術】
【0002】
近年、バーナを燃焼させた際に発生する熱の熱交換効率を向上するべく、燃焼ガスの顕熱だけでなく潜熱まで回収する潜熱回収型の燃焼装置が市場に普及している。この潜熱回収式燃焼装置は、燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器に加え、潜熱を回収する二次熱交換器が具備されており、高い熱交換効率を有している。
【0003】
このような燃焼装置でバーナを燃焼させる際の燃料として、主成分がメタンやプロパン等のガスが使用されている。このようなガスは水素を含有しており、燃焼させると燃焼ガス中に水蒸気が含まれる。このことから、この水蒸気が有する潜熱を二次熱交換器で回収すると、燃焼ガス中の水蒸気が液化してドレンが発生する。加えて、燃焼によって空気中の窒素と酸素とが反応して窒素酸化物が生成されるため、燃焼ガスに晒されたドレンがこの窒素酸化物によって酸性となる。即ち、このような潜熱回収式燃焼装置は、構造上、酸性のドレンが発生してしまう。
【0004】
この酸性のドレンは、具体的には強酸性を呈する硝酸であるため、処理を行うことなくそのまま外部に排水すると環境等に対して悪影響を及ぼす懸念がある。そのため、潜熱回収式燃焼装置には、ドレンを外部に導くドレン排出系統を設け、そのドレン排出系統の中途に酸性のドレンを中和する中和装置が備えられたものがある。この種の燃焼装置では、二次熱交換器で発生したドレンを中和装置で中和してから外部に排水しているため、環境等に対して悪影響を及ぼすことがない。
【0005】
このような中和装置では、中和装置内部の内部空間に中和剤を配し、流入したドレンを内部空間に一旦貯留している。そして、ドレンが内部へ流入され続けることで、ドレンが中和装置の内部空間の貯留量を超え、ドレンが中和装置の外部へ排出される構造となっている。より詳細には、中和装置の内部は、仕切壁で各空間に区切られており、各空間に流入したドレンは、所定以上の水位になるまで他の空間へ流れ込まない構造となっている。したがって、所定の空間に流れ込んだドレンは、所定以上の水位となるまで貯留され、他の空間へ流れ込む。これを繰り返し、各空間を順に流れたドレンは、最後に排出口が設けられた空間に流入する。そして、最後に排出口が設けられた空間においても所定以上の水位となったとき、ドレンは排出口から外部へと排出される。そのため、中和装置の外部から流入したドレンが、各空間を経由し、排出されるまでには所定の時間を要する。換言すると、ドレンは、中和装置の中和剤が配された空間に所定の時間だけ留まることで、中和される。
【0006】
したがって、このような中和装置を擁する燃焼装置では、構造上、長期間使用しない場合等に、中和装置内部の空間にドレンが溜まってしまうことがある。
【0007】
そこで、このような中和装置には、水抜き用の補助排出口が設けられたものがある。この補助排出口は、通常時は、排水栓で閉じられており、外部にドレンを排出しないように設計されている。そして、メンテナンスを実施する場合や、寒冷地でドレンの凍結を防止するために強制的に排水する場合等の、特定の状況下において、中和装置内のドレン(液体)を外部へ排出するために使用する。
【0008】
ところで、上記したように、中和装置の内部には、中和剤が詰め込まれている。
そしてまた、中和装置の内部底面にドレンが貯留されるとき、溶けて泥状となった中和剤や、割れて微細な欠片や粉となった中和剤、ドレンと共に流入したすすやごみ等がドレンと共に堆積している場合がある。
【0009】
したがって、水抜きを実施すると、中和剤や内部底面に堆積した堆積物等の異物が、補助排出口に入り込んでしまい、排水栓のOリングや排水孔に取付けたシール材等に付着してしまうことがある。すると、シール材に付着した異物が、シール材と他部材との密着を阻害し、補助排出口を液密に封止できなくなってしまう。つまり、補助排水口から、内部の液体(主にドレン)が漏れ出してしまい、補助排出口がその機能をなさなくなってしまう。
【0010】
そこで、補助排出口への異物を浸入する防止するための構造を備えた中和装置として、例えば、特許文献1に開示されている中和装置がある。特許文献1に開示されている中和装置は、中和装置の内部空間を仕切る仕切壁の下方側に補助排出口を形成し、仕切壁が補助排出口の上方を覆うように位置させている。このことにより、補助排出口に対する上方からの中和剤の浸入を阻止する構造としている。
【0011】
さらに、特許文献1に開示されている中和装置では、補助排出口の開口を周囲より高い位置に形成している。このことにより、中和剤の粉末といった内部底面に堆積した堆積物の補助排出口への浸入を防止している。即ち、堆積物が堆積している部分の上方に補助排出口を設け、水抜き時における堆積物の補助排出口への浸入を阻止している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、特許文献1に開示している中和装置では、仕切壁が補助排出口の上方を覆うように位置せねばならず、仕切壁の設置位置及び形状に制限ができてしまう。即ち、仕切壁を形成するとき、補助排出口の上方に仕切壁を必ず形成しなければならないという設置上の制限と、補助排出口の上方を覆うように延びる壁でなければならないという形状の制限とが発生してしまう。このように、仕切壁の形成に制限が加わると、中和装置内の仕切壁によって区切られた空間の形状及び位置にも制限が加わり、延いては、中和装置内を流れるドレンの流れにも制限が加わる。そして、ドレンの流れに制限が加わると、排水口の設置位置等にも制限が加わるため、燃焼装置の種類に応じた中和装置の設計が困難になってしまう。
【0014】
またさらに、補助排出口を周囲より高い位置に設けねばならないため、中和装置の内部空間の底面部分に丘状部分を形成する必要があり、この底面部分の形状に制限ができてしまう。このこともまた、中和装置の内部に形成される空間の形状に制限を加えてしまうため、燃焼装置の種類に応じた中和装置の設計が困難になってしまう。
【0015】
そこで本発明は、中和装置の内部空間における仕切壁の位置及び形状、さらには、仕切壁で区切られて形成される空間の形状に制限を加えることなく、異物の排水口への浸入を阻止可能な補助排水機構を有する中和装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、燃焼器と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器とを有する燃焼装置において、前記燃焼装置内から前記熱交換器で発生するドレンを中和して排出するための中和装置であって、
本体内部は、仕切壁によって複数の空間に区切られており、本体の下方部分に、本体内部に貯留された液体を外部へ排出可能な排水部が設けられており当該排水部は、本体内部の内周面から上方へ突出する突出部と、本体内部と本体外部とを連通する排水孔とを備え、
前記突出部の少なくとも一部が前記仕切壁と一体に形成されており、前記排水孔は、突出部を通過するものであり、前記突出部の側方上部に開口して
おり、前記仕切壁において対向する側面のそれぞれの外側から、突出部の内部へと向かう貫通孔が形成されていることを特徴とする中和装置である。
【0017】
本発明の中和装置は、体内部の内周面から上方へ突出する突出部を有し、突出部及び本体を貫通する排水孔が、突出部の側方上部に開口している。即ち、中和装置の内部空間では、排水孔の開口の向きが突出部の側方に向いており、上下方向に交わる方向となっている。このため、排水孔に上方から異物が入り込むことがない。
さらに、本発明の中和装置は、突出部の上部に開口を形成しているため、排水孔の開口を比較的高い位置に形成することができる。このことにより、中和装置の底部に堆積する堆積物よりも上方に排出孔の開口を設けることができる。このことにより、排水孔から中和装置内部の液体を外部へ排出するとき、堆積物が排出孔に流れ込むことがない。
そして、本発明の中和装置では、排出孔に対する異物の上方からの浸入や、堆積物の浸入を阻止するために、中和装置の内部底面の構造や仕切壁の構造を変更する必要がない。したがって、中和装置の内部空間における仕切壁の位置及び形状、さらには、仕切壁で区切られて形成される空間の形状に制限を加えることがない。
【0018】
請求項2に記載の発明は、前記排水孔の開口は、高さ成分を含んだ方向の長さが、水平成分を含んだ方向の長さより短くなっており、粒状の中和剤が通過できない大きさであることを特徴とする請求項1に記載の中和装置である。
【0019】
本発明の中和装置では、排水孔の開口は、高さ成分を含んだ方向の長さが短くなっており、粒状の中和剤が通過できなくなっている。このことにより、より確実に排水孔への異物の浸入を阻止できる。
【0020】
上記した本発明の中和装置は、本体内部は、仕切壁によって複数の空間に区切られるものであって、前記突出部の少なくとも一部が前記仕切壁と一体に形成される
構成である。
【0021】
請求項3に記載の発明は、燃料を燃焼するバーナと、バーナが作動して生成される燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器と、当該燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器と、請求項
1又は2に記載の中和装置を備えたドレン排水系統を有することを特徴とする燃焼装置である。
【0022】
本発明の燃焼装置は、中和装置の内部空間における仕切壁の位置及び形状、さらには、仕切壁で区切られて形成される空間の形状に制限に加えることなく、排水孔への異物の浸入を阻止可能な上記の中和装置を備えている。換言すると、設計の自由度が高く、汎用性の高い構造であって、排水孔への異物の浸入を阻止可能な中和装置を備えている。ここで、燃焼装置に汎用性の高い構造の中和装置を採用すると、燃焼装置の製造コストを低減できるという利点がある。即ち、本発明の燃焼装置によると、安価であり、優れた補助排水機構を有する燃焼装置を提供できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の中和装置は、突出部の側方上部に排水孔の開口が設けられており、上方から異物が入り込むことがなく、堆積物が排出孔に流れ込むことがないという効果がある。また、仕切壁の位置及び形状、さらには、仕切壁で区切られて形成される空間の形状に制限を加える必要がないため、設計の自由度及び汎用性が高いという利点がある。
また、そのような中和装置を備えた本発明の燃焼装置は、排水孔に異物が浸入することのない優れた補助排水機構を有するという効果がある。また、汎用性の高い構造の中和装置を採用することで製造コストを低減できるため、安価であるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態にかかる燃焼装置1、並びに中和装置15について詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また以下の説明において、上下左右の位置関係については特に断りのない限り通常の設置状態を基準として説明する。
【0026】
燃焼装置1は、
図1に示すように、筺体2の内部に燃焼部3(燃焼器)と、主に顕熱を回収する一次熱交換器4と、主に潜熱を回収する二次熱交換器5(熱交換器)とを備えた所謂潜熱回収型と称される燃焼装置である。
【0027】
燃焼部3は、図示しないバーナによって、下方に向けて火炎を形成可能となっている。即ち、燃焼部3は、所謂逆燃焼式バーナを備えた構成となっている。
【0028】
また、燃焼装置1では、燃焼部3が筺体2の上端よりに位置しており、燃焼部3の下方に一次熱交換器4が位置している。さらに、一次熱交換器4の下方に二次熱交換器5を収納する収納ケース7があり、収納ケース7の上側であって一次熱交換器4の側方に消音部8が位置している。また、消音部8の上方には排気部9が設けられており、排気部9は筺体2の天面から上方に突出している。
そして、燃焼部3の内部から一次熱交換器4、収納ケース7、消音部8、排気部9の各内部を連通する空間が形成され、燃焼部3で発生した燃焼ガスが流動可能となっている。
【0029】
したがって、この燃焼装置1を稼働すると、燃焼部3で発生した燃焼ガスが一次熱交換器4、収納ケース7、消音部8へと流れ、排気部9へと至る。そして、排気部9の上方に形成された排気口から外部へ放出される。その一方、外部から供給されてきた湯水が入水配管(図示せず)を介して二次熱交換器5へと供給される。そして湯水が二次熱交換器5を経て一次熱交換器4に流入する。このとき、二次熱交換器5及び一次熱交換器4で回収した燃焼ガスの熱によって湯水が加熱される。そして、加熱された湯水は一次熱交換器4の出水口から流出し、給湯先となるカランや浴槽等に向けて供給される。
【0030】
ここで前記したように、二次熱交換器5は燃焼ガスの主に潜熱を回収するので、二次熱交換器5では燃焼ガスの温度が一定値以下に低下する。そのことにより、燃焼ガスに含まれる水蒸気が液化してドレンが発生する。そして発生したドレンは、燃焼ガスに晒されることにより、燃焼により生成された窒素酸化物が溶け込んで酸性を呈する。
【0031】
そこで、本実施形態の燃焼装置1は、発生したドレンを中和し、外部に排出するためのドレン排出系統6を備えた構成となっている。
【0032】
ドレン排出系統6は、ドレンの流れ方向上流側から順番に、収納ケース7の底部に形成された図示しないドレン排出部と、ドレンホース14と、中和装置15と、下流側配管部材16によって構成されている。
【0033】
そして、ドレン排出系統6では、ドレン排出部(図示せず)から排出されたドレンが、ドレンホース14を介して中和装置15に流入する。
【0034】
このとき、中和装置15の内部空間は、仕切り壁によって複数の空間に区切られており、少なくとも1つ以上の空間に中和剤が充填されている。そして、流入したドレンは、この複数の空間を順次流れていく。このとき、各空間では、空間内に流れ込んだドレンが一旦留まり、一定以上の水位になると空間外へと流出する。即ち、中和装置15内に流入したドレンは、中和装置15内のそれぞれの空間に、所定時間留まった後で流出することになる。したがって、中和剤が充填された空間をドレンが通過するとき、時間をかけてゆっくりと通過する。また、ドレンは、空間内に留まっている間に中和剤と反応することで中和される。
【0035】
つまり、中和装置15に流入したドレンは、中和装置15内に所定時間貯留され、貯留されている間に中和剤と反応して中和される。そして、中和されたドレンは、中和装置15の排出口まで流れていき、中和装置15の排出口から下流側配管部材16を介して筺体2の外部へ排出される。
【0036】
ここで本発明の特徴的構成部材たる、中和装置15について詳細に説明する。
【0037】
中和装置15は、
図2で示されるように、本体部23(本体)と蓋部24から形成される箱状の部材であり、内部に液体(ドレン)を貯留可能となっている。
【0038】
本体部23は、
図3で示されるように、上部が開放された容器であり、略直方体箱状の中和空間形成部30と、中和空間形成部30から横側に張り出すように設けられた補水用空間形成部31から形成されている。補水用空間形成部31は、中和空間形成部30に比べて、小さな直方体箱状の部分であって、中和空間形成部30の1側面と一体に形成されている。詳細には、中和空間形成部30の1側面の長手方向端部であって、上端部分から外側へ突出するように設けられている。
【0039】
このとき、中和空間形成部30の内部空間と、補水用空間形成部31の内部空間は、円弧状に屈曲した補水空間仕切壁32を介して連続している。具体的には、補水空間仕切壁32には、上下方向に延びるスリットが複数設けられており、補水空間仕切壁32の延び方向で並列している。そして、このスリットを介して中和空間形成部30の内部空間と、補水用空間形成部31の内部空間とが連通している。
【0040】
中和空間形成部30は、底面部35と、底面部35の縁部分から略垂直上方へ突出する側壁部36,37,38,39によって形成されている。ここで、底面部35は、底面部35の大部分を占める低位置部35aと、低位置部35aより高い位置に設けられた高位置部35bから形成されている。このとき、低位置部35aと高位置部35bは段差を介して連続しており、高位置部35bには、ドレン排出部42が設けられている。
【0041】
ドレン排出部42は、底面部35の一部である高位置部35bから、略垂直下方へ突出する管状部分である。そして、ドレン排出部42は、下流側配管部材16(
図1参照)の内孔に挿入可能となっている。
【0042】
次に、本体部23の内部について説明する。
本体部23の内部は、
図4で示されるように、第1仕切壁45、第2仕切壁46、第3仕切壁47、第4仕切壁48(仕切壁)によって区切られている。このことにより、本体部23の内部空間は、ドレンの流れ方向上流側から、第1空間51、第2空間52、第3空間53、第4空間54、第5空間55に区切られている。
【0043】
ここで、第2空間52の底面には、第1排水部58(排水部)が設けられており、第4空間54の底面と第5空間55の底面とに跨がる位置には、第2排水部59(排水部)が設けられている。このとき、第4仕切壁48は、第2排水部59の上を通過するように延びており、換言すると、第2排水部59は、第4仕切壁48の下端に埋め込まれるように、第4仕切壁48と一体に設けられている。
【0044】
これら第1排水部58及び第2排水部59は、通常時においては液密に封止されている。そして、メンテナンスを実施する場合のように、中和装置15内に溜まった液体を強制的に排水する必要があるとき、中和装置15の外部に内部に溜まった液体を排出するために使用される。これら第1排水部58及び第2排水部59について、以下で詳細に説明する。
【0045】
まず、第1排水部58について説明する。
【0046】
第1排水部58は、
図4,5で示されるように、中和装置15の底面部35と一体に形成されるものであり、より具体的には、底面部35のうち、第2空間52の底面を形成する部分と一体に形成されている。ここで第1排水部58は、
図5で示されるように、本体部23の内部空間において、底面部35から略垂直上方へ突出する内側突出部70(突出部)を有している。さらに、
図6で示されるように、本体部23の外部において、底面部35から略垂直下方へ突出する外側突出部71を有している。そして、内側突出部70と外側突出部71とは、底面部35を挟んで対向する位置にある(
図7参照)。
【0047】
内側突出部70は、
図5で示されるように、下方側から、上方に向かうにつれて狭径となる略円錐台状の下方部分72と、略円柱状の上方部分73とが上下方向で連続することによって、形成されている。
【0048】
外側突出部71は、
図6で示されるように、略円筒状の突起であり、上下方向に沿って延びている。
【0049】
次に、第1排水部58の内部構造について詳細に説明する。
【0050】
第1排水部58の内部には、
図7で示されるように、本体部23の内外を連通する排水孔74が形成されている。排水孔74は、上方から順に、ドレン導入孔75と、連通孔76と、排水栓取付孔77の3つの貫通孔が連続して形成された、断面略T字状の貫通孔である。
【0051】
ドレン導入孔75は、内側突出部70の上方部分73の内部に設けられており、
図5,7で示されるように、上方部分73の径方向で対向する側面を貫通している。ここで、ドレン導入孔75の開口形状は、略長方形状としている。より具体的には、このドレン導入孔75は、上方部分73の周方向に沿って延びる開口を有する、略長方形長孔状の貫通孔としている。したがって、ドレン導入孔75の開口の上下方向の長さL1は、ドレン導入孔75の開口の左右方向の長さ(上下方向に対して略垂直な方向の長さ)より短くなっている。そして、ドレン導入孔75は、上方部分73の径方向(開口面に対して略垂直な方向であり内側へ向かう方向)に断面略長方形状で延びており、上方部分73の内部に略直方体状の空間を形成している。このとき、ドレン導入孔75の底面と下方部分72の上面とは、同一面となる。
なお、ドレン導入孔75の開口の上下方向の長さL1は、特に限定されるものではないが、直径が6mm以上の粒状の中和剤を使用する場合、4mm程度であることが望ましい。
【0052】
連通孔76は、内側突出部70の下方部分72の上面に設けられており、
図5,7で示されるように、下方部分72の上面の中心部分を貫通している。そして、連通孔76の開口形状は略円形としている。そして、連通孔76は、断面円形状で上下方向に沿って延びている。
【0053】
排水栓取付孔77は、
図7で示されるように、内側突出部70の下方部分72及び外側突出部71の内部に形成されており、下方部分72及び外側突出部71の外形と略相似形の空間を形成している。具体的には、排水栓取付孔77は、下方部分72の内側においては略円錐台状の空間を形成し、外側突出部71及び底面部35の内側においては円柱形の空間を形成している。即ち、排水栓取付孔77は、上方の円錐台状の空間と、下方の円柱上の空間とが連続して形成される貫通孔となっている。
【0054】
ここで、ドレン導入孔75の開口軸は上下方向に対して略垂直な方向に延びており、連通孔76の開口軸は上下方向に沿って延びている。したがって、連通孔76とドレン導入孔75とは、略垂直に交わっている。このとき、連通孔76は、ドレン導入孔75の長手方向(延び方向)の中心近傍と交わっている。さらに連通孔76の径の大きさは、排水栓取付孔77の径の大きさが最小の部分と略同じとなっている。また連通孔76と、排水栓取付孔77の中心軸とは略同一となっている。
【0055】
以上で、第1排水部58についての説明を終了する。
【0056】
次に、第2排水部59について説明するが、第1排水部58と同様の部分ついては説明を省略する。
【0057】
第2排水部59は、
図8で示すように、内側突出部80と外側突出部71(
図8では図示せず、
図1参照)から構成されており、その内部構造は、第1排水部58と略同じ構造としている。ここで、第2排水部59の内側突出部80(上方部分73及び下方部分72)は、外周面の一部が、第4仕切壁48(
図4参照)と一体に形成されている。換言すると、内側突出部80の外側部分の一部は、第4仕切壁48に埋没している。このとき、ドレン導入孔75の2つの開口は、それぞれ、第4仕切壁48を挟む両側にそれぞれ形成しており、第4仕切壁48を介して対向する位置にある(片側の開口については図示せず)。即ち、ドレン導入孔75は、内側突出部80の上方部分73と、第4仕切壁48を貫通している。このことから、第4仕切壁48において対向する側面のそれぞれの外側から、内側突出部80の内部へと向かう貫通孔が形成される。
【0058】
以上で、第2排水部59についての説明を終了する。
【0059】
また、
図4で示されるように、第5空間55には、排水用連通孔60が設けられている。この排水用連通孔60は、第5空間55の底面を貫通するものであり、上記した本体部23のドレン排出部42(
図3参照)の内孔と連通する連通孔となっている。
【0060】
以上で本体部23についての説明を終了する。
【0061】
次に蓋部24について説明する。
蓋部24は、
図2で示されるように、平面視が略L字板状の蓋本体部24aと、蓋本体部24aの縁部分を囲むように一体的に接合し、略垂直下方へと突出する蓋側壁部24bによって形成されている。
【0062】
また、蓋部24には、ドレンホース14(
図1参照)を取付け可能なドレン導入部61と、補水電磁弁19との間に設けられる補水配管20(
図1参照)を取付け可能な湯水供給部62が形成されている。そして、蓋部24には、図示しない水位検出機構の一部たる、電極が一体に取り付けられた電極配置領域63が形成されている。
即ち、本実施形態の中和装置15は、本体部23の内部に貯留されたドレンの水位を検知可能な構成となっている。また、外部から、本体部23の内部に湯水を流入可能な構成となっている。
【0063】
次に、本実施形態の中和装置15を、燃焼装置1に取付けるときの手順について説明する。
【0064】
中和装置15を燃焼装置1に取付けるとき、
図1で示されるように、収納ケース7と中和装置15とをドレンホース14を介して接続した状態とする。具体的には、予めドレンホース14取付けた中和装置15を筺体2内へ移動させ、中和装置15を筺体2内に設置した状態とし、収納ケース7にドレンホース14を取付けた状態とする。このことにより、収納ケース7と中和装置15とをドレンホース14で接続した状態とする。このとき、ドレンホース14は、収納ケース7のドレン排出用配管(図示せず)と、中和装置15のドレン導入部61(
図2参照)とにそれぞれ取付けられた状態となる。
【0065】
このとき、中和装置15の底面を筺体2の内部底面に載置した状態とする。そして、中和装置15の底面に形成された外側突出部71(
図1,6参照)を、筺体2の底面に形成された貫通孔(図示せず)に挿通し、外側突出部71の下部近傍が筺体2の外部に露出した状態とする。
【0066】
そして、
図9(a),(b)で示されるように、外側突出部71の内部に、筺体2の下部から排水栓82を挿入し、外側突出部71に排水栓82を取付けた状態とする。具体的には、排水栓取付孔77の内周面の一部と、排水栓82の外周面の一部とにそれぞれネジ山を形成し(図示せず)、これらを螺合させることよって、排水栓取付孔77に排水栓82を取付けた状態とする。したがって、排水栓82をネジが緩む方向、又は締まる方向に回転させることにより、排水栓82が排水栓取付孔77に対して相対的に上下方向に移動する状態で取付けられている。
【0067】
なお、排水栓82は、内部中心に貫通孔82aが形成されている。この貫通孔82aは、上端よりやや下方よりの部分から下端まで延びる貫通孔であり、上部側に形成されて側方に開いた開口部分82bと、下端面に形成された開口部分82cで外部と連続している。また、排水栓82の上端近傍には、防水性を有する封止部材であるOリング85が取付けられている。
【0068】
排水栓取付孔77に排水栓82が取付けられると、
図9(b)で示されるように、連通孔76が、排水栓82に取付けられたOリング85によって塞がれた状態となる。
【0069】
そして、中和装置15のドレン排出部42(
図2参照)に下流側配管部材16(
図1参照)を取付け、下流側配管部材16を筺体2の外部の部材に接続した状態とする。このことにより、中和装置15の燃焼装置1への取付けを終了する。
【0070】
以上で、中和装置15を燃焼装置1に取付けるときの手順について説明を終了する。
【0071】
次に、本実施形態の水抜き動作について、
図10を参照しつつ説明する。
【0072】
本実施形態の中和装置15は、中和したドレンをドレン排出部42から排出する通常の排水動作に加えて、第1排水部58、第2排水部59による排水動作(水抜き動作)を実施可能となっている。即ち、メンテナンス実施時や、中和装置15内部のドレンが凍結するおそれがある場合など、中和装置15内に溜まったドレン(液体)をすぐに外部に排出する必要があるとき、中和装置15の内部のドレンを第1排水部58や第2排水部59を介して外部に排水可能となっている。
【0073】
具体的に説明すると、
図10で示されるように、排水栓82が締められた状態から、排水栓82を緩めた状態とする。即ち、排水栓82を下方へと移動させ、連通孔76を開放された状態とする。
【0074】
すると、ドレン導入孔75を経て連通孔76へ至ったドレンが、連通孔76に流れ込み、連通孔76から排水栓取付孔77へと流入する。そして、
図10(b)で示されるように、排水栓82の開口部分82bから、内部の貫通孔82aへ流入し、排水栓82の下端から外部へ排出される。
【0075】
このとき、連通孔76の上部には、内側突出部70(内側突出部80)の上方部分73が位置している。即ち、連通孔76の開口の上方が、上方部分73の上端部分(天面を形成する円板状の部分)で覆われている。このことにより、連通孔76に対する上方からの異物の浸入を阻止できる。即ち、中和装置15の内部空間において、溶けて小片状となった中和剤等の異物が内側突出部70に上方から接近しても、上方部分73の天面に当たるのみであり、連通孔76に到達することはない。このことにより、水抜き時にドレンの流れに流される等によって、内側突出部70の上方から内側突出部70に向かって異物が接近してきても、異物は連通孔76に入り込むことはない。
【0076】
ここで、本実施形態では、ドレン導入孔75の開口形状が略長方形状となっており、開口の上下方向の長さL1が小さくなっている(例えば4mm)。このことにより、側方から、粒状の中和剤等の異物がドレン導入孔75に入り込むことはない。
【0077】
またこのとき、ドレン導入孔75の開口が、中和装置15の内部底面より高い位置に設けられている。即ち、排水孔74の開口のうち、中和装置15の内部空間と連続する開口が、内部底面の上方に設けられている。このことにより、中和装置15の内部底面に堆積する堆積物の排水孔74への浸入を阻止できる。
具体的に説明すると、中和装置15の内部底面には、溶けて泥状となった中和剤や、割れて微細な欠片や粉となった中和剤、ドレンと共に流入したすすやごみ等が堆積している場合がある。ここで、本実施形態では、内部底面から内側突出部70(内側突出部80)が上方へ突出しており、その上側にドレン導入孔75の開口が設けられている。このことにより、排水孔74の開口は、堆積物が堆積している部分より高い位置に形成される。したがって、水抜き時に排水孔74の内部へ向かうドレンの流れが形成されても、堆積物は上方へ流れないので、堆積物が排水孔74の開口に浸入することがない。
【0078】
以上で、本実施形態の水抜き動作についての説明を終了する。
【0079】
上記した実施形態では、円錐台形の下方部分72と、円柱形の上方部分73から形成される内側突出部70を採用する例を示したが、本発明の中和装置はこれに限るものではない。例えば、下方部分と上方部分とは同形であってもよい。また、下方部分、上方部分、又は内側突出部は、四角柱形、五角柱形等の角柱形であってよく、円柱形、楕円柱形であってもよく、これらに類似する形、これらを天地逆とした形であってよい。さらにまた、下方部分、上方部分、又は内側突出部は、円錐形、楕円推形、角錐形であってよく、これらに類似する形、これらを天地逆とした形状であってもよい。
【0080】
本発明の排水部に採用される排水孔74もまた、上記した実施形態のものに限るものでない。例えば、ドレン導入孔75の開口形状は、平面視四角形に限るものではく、円形状、楕円形状、多角形状、又はこれらに類似する形状であってよい。そして、ドレン導入孔は、上下方向に略垂直に交わる方向に延びるものに限るものでなく、ドレン導入孔の開口から連通孔まで傾斜していてもよい。即ち、ドレン導入孔は斜め方向に延びるものであってよい。
【0081】
したがって、排水孔74は、上記した断面略T字状の貫通孔に限るものではない。ドレン導入孔が斜め方向に延びる場合、断面略Y字状の貫通孔となってもよい。さらに排水孔74は、突出部に形成される開口が2つでなく、1つであってもよい
(参考例)。それに伴い、排水孔は、突出部の側面から中心近傍まで延びる穴(ドレン導入孔)と、連通孔76が連続する構成であってもよい。換言すると、排水孔は、略L字状の貫通孔となってもよい
(参考例)。また、突出部に形成される開口は3つ以上形成されていてもよい。それに伴い、突出部の上方部分に、中心部分から側壁に向かって放射状に延びる複数個の貫通孔(ドレン導入孔)を形成し、それらと連通孔76が連続する構成であってもよい。即ち、突出部に形成される開口の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。また、開口の数や位置に応じて排水孔の延び方向、断面形状は適宜変更してよい。