【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記課題を解決するべく検討を重ねた結果、溶媒として脂肪族炭化水素及びアルコールを用いることにより粗製セラミド類を精製することができ、簡単な操作で高収率、高純度かつ高いジアステレオ純度のセラミド類が得られることを見出した。また、光学活性アミノジオールのN−アシル化(アミド化)反応によって光学活性セラミド類を製造する工程において、脂肪族炭化水素を溶媒としても高収率でアミド化を行うことができることを見出した。さらに、脂肪族炭化水素を溶媒として光学活性アミノジオールのN−アシル化(アミド化)反応を行い、その反応溶液にアルコールを加え晶析させることにより、簡単な操作で高収率、高純度かつ高いジアステレオ純度のセラミド類を製造できることを見出した。
即ち、本発明は、次の一般式(1)
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、R
1は、炭素−炭素不飽和結合を有してもよい炭素原子数が13個〜17個のアルキル基を表し、R
2は水酸基を有してもよい炭素原子数が11個〜23個のアルキル基を表し、*印は光学活性であることを表す。)
で表される粗セラミドを、炭素数5〜10の炭化水素溶媒に溶解し、この溶液に炭素数1〜3のアルコール類を添加する工程を含有してなる高純度セラミド類の製造方法に関する。
【0008】
また、本発明は、次の一般式(2)
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、R
1は、炭素−炭素不飽和結合を有してもよい炭素原子数が13個〜17個のアルキル基を表し、*印は光学活性であることを表す。)
で表されるアミノジオールを、炭素数5〜10の炭化水素溶媒中にて、水酸基を有してもよい炭素数12〜24の脂肪族カルボン酸の炭素数1〜5のアルキルエステルを反応させて、前記一般式(1)で表されるセラミドを製造する方法に関する。
【0011】
さらに、本発明は、前記一般式(2)で表されるアミノジオールを、炭素数5〜10の炭化水素溶媒中にて、水酸基を有してもよい炭素数12〜24の脂肪族カルボン酸の炭素数1〜5のアルキルエステルを反応させる工程、及び前記工程で生成した一般式(1)で表される粗セラミドが溶解している反応混合物中に炭素数1〜3のアルコール類を添加する工程、を含有してなる高純度セラミド類の製造方法に関する。
【0012】
より詳細には、本発明は以下の[1]〜[29]の内容を含むものである。
[1]前記一般式(1)で表される粗セラミドを、炭素数5〜10の炭化水素溶媒に溶解して炭化水素溶液とする工程、及び、この溶液に炭素数1〜3のアルコール類を添加して結晶を析出させる工程を含有してなる高純度セラミド類の製造方法。
[2]高純度セラミド類の製造方法が、さらに、析出した結晶を分離する工程、及び分離された結晶を乾燥させる工程を、含有してなる前記[1]に記載の方法。
[3]前記一般式(1)で表される粗セラミドを、炭素数5〜10の炭化水素溶媒に溶解した炭化水素溶液が、前記一般式(2)で表されるアミノジオールを、炭素数5〜10の炭化水素溶媒中にて、水酸基を有してもよい炭素数12〜24の脂肪族カルボン酸の炭素数1〜5のアルキルエステルを反応させて、前記一般式(1)で表されるセラミドを生成させた反応混合物である、前記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]炭素数5〜10の炭化水素溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサンからなる群から選ばれる1種又は2種以上からなる、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]炭素数1〜3のアルコールが、メタノール又はエタノールである、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]R
1が炭素数13〜17のアルキル基で、R
2が水酸基を有してもよい炭素数15〜23のアルキル基である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]R
1が炭素数15のアルキル基であり、立体構造がD−エリスロ体又は(2S,3R)−体である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]R
2が炭素数17のアルキル基であり、得られるセラミドの化学純度及び光学純度が共に95〜100%であることを特徴とする、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]炭素数5〜10の炭化水素溶媒がヘプタンであり、炭素数1〜3のアルコールがメタノールである、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
【0013】
[10]前記一般式(2)で表されるアミノジオールを、炭素数5〜10の炭化水素溶媒中にて、水酸基を有してもよい炭素数12〜24の脂肪族カルボン酸の炭素数1〜5のアルキルエステルを反応させて、前記一般式(1)で表されるセラミドを製造する工程、及び前記工程の反応混合物に、炭素数1〜3のアルコールを添加して結晶を析出させる工程を含有してなる、高純度セラミド類の製造方法。
[11]高純度セラミド類の製造方法が、さらに、析出した結晶を分離する工程、及び分離された結晶を乾燥させる工程を、含有してなる前記[10]に記載の方法。
[12]炭素数5〜10の炭化水素溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサンからなる群から選ばれる1種又は2種以上からなる、前記[10]又は[11]に記載の方法。
[13]セラミドを製造する工程が、一般式(2)で表されるアミノジオールに対して、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド及びカリウムアルコキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種の塩基の存在下で行われる、前記[10]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[14]セラミドを製造する工程が50〜130℃にて実施され、炭素数1〜3のアルコールを添加して結晶を析出させる工程が−10〜40℃の範囲で実施される、前記[10]〜[13]のいずれかに記載の方法。
[15]炭素数1〜3のアルコールが、メタノール又はエタノールである、前記[10]〜[14]のいずれかに記載の方法。
[16]R
1が炭素数13〜17のアルキル基で、R
2が水酸基を有してもよい炭素数15〜23のアルキル基である、前記[10]〜[15]のいずれかに記載の方法。
[17]R
1が炭素数15のアルキル基であり、立体構造がD−エリスロ体又は(2S,3R)−体である、前記[10]〜[16]のいずれかに記載の方法。
[18]R
2が炭素数17のアルキル基であり、得られるセラミドの化学純度及び光学純度が共に95〜100%である、前記[10]〜[17]のいずれかに記載の方法。
[19]炭素数5〜10の炭化水素溶媒がヘプタンであり、炭素数1〜3のアルコールがメタノールである、前記[10]〜[18]のいずれかに記載の方法。
【0014】
[20]前記一般式(2)で表されるアミノジオールを、炭素数5〜10の炭化水素溶媒中にて、水酸基を有してもよい炭素数12〜24の脂肪族カルボン酸の炭素数1〜5のアルキルエステルを反応させて、前記一般式(1)で表されるセラミドを製造する方法。
[21]炭素数5〜10の炭化水素溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びシクロヘキサンからなる群から選ばれる1種又は2種以上からなる、前記[20]に記載の方法。
[22]反応が、一般式(2)で表されるアミノジオールに対して、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド及びカリウムアルコキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種の塩基の存在下で行われる、前記[20]又は[21]に記載の方法。
[23]反応が、50〜130℃にて実施される、前記[20]〜[22]のいずれかに記載の方法。
[24]R
1が炭素数13〜17のアルキル基で、R
2が水酸基を有してもよい炭素数15〜23のアルキル基である、前記[20]〜[23]のいずれかに記載の方法。
[25]R
1が炭素数15のアルキル基であり、立体構造がD−エリスロ体又は(2S,3R)−体である、前記[20]〜[24]のいずれかに記載の方法。
[26]R
2が炭素数17のアルキル基であり、得られるセラミドの化学純度及び光学純度が共に95〜100%である、前記[20]〜[25]のいずれかに記載の方法。
[27]炭素数5〜10の炭化水素溶媒がヘプタンであり、炭素数1〜3のアルコールがメタノールである、前記[20]〜[26]のいずれかに記載の方法。
【0015】
[28]かさ密度が0.30g/mL〜0.4g/mLの範囲で、粉末状である高純度セラミド。
[29]化学純度及び光学純度が共に95〜100%である、前記[28]に記載の高純度セラミド。