(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5825762
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】プリント装置およびプリント装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/46 20060101AFI20151112BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20151112BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20151112BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
B41J29/46 A
B41J2/01 451
B41J2/21
B41J11/42
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-111533(P2010-111533)
(22)【出願日】2010年5月13日
(65)【公開番号】特開2011-240490(P2011-240490A)
(43)【公開日】2011年12月1日
【審査請求日】2013年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】杉村 英夫
(72)【発明者】
【氏名】浅野 晋也
(72)【発明者】
【氏名】野島 隆司
【審査官】
大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−046260(JP,A)
【文献】
特開2005−225001(JP,A)
【文献】
特開2006−193302(JP,A)
【文献】
特開昭62−211176(JP,A)
【文献】
特開2003−182053(JP,A)
【文献】
特開2005−311644(JP,A)
【文献】
特開2005−144667(JP,A)
【文献】
特開2001−239715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/46
B41J 2/01
B41J 2/21
B41J 11/42
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続シートを供給するシート供給部と、
前記シート供給部から供給される連続シートに画像を順次プリントするプリント部と、
前記プリント部よりも前記供給部の側にて連続シートのスプライス部を検知する検知部と、
前記プリント部でプリントしたパターンを読み取る読取部と、
制御部と、
を有し、前記制御部は、前記検知部で前記スプライス部が検知されたら前記プリント部での画像のプリントを一時中断し、前記スプライス部に続く後続シートの領域に前記プリント部で調整パターンをプリントし、プリントした前記調整パターンを前記読取部で読み取った結果に基づいて前記プリント部における画質調整処理を行ない、その後、前記画像調整処理に用いた領域に続く前記後続シートに前記プリント部で画像のプリントを再開するように制御するものであり、
前記画質調整処理は、カラーシェーディング調整、プリントヘッドの色間レジストレーション調整のいずれかであることを特徴とするプリント装置。
【請求項2】
前記検知部を用いて前記後続シートに関する情報を取得し、前記制御部は取得した情報に基づいて前記画質調整処理を行なうことを特徴とする、請求項1に記載のプリント装置。
【請求項3】
前記連続シートに前記後続シートに関する情報が保持されており、前記制御部は前記情報の読取に基づいて前記画質調整処理を行なうことを特徴とする、請求項1に記載のプリント装置。
【請求項4】
連続シートを供給するシート供給部と、前記シート供給部から供給される連続シートに画像を順次プリントするプリント部と、前記プリント部よりも前記供給部の側にて連続シートのスプライス部を検知する検知部と、前記プリント部でプリントしたパターンを読み取る読取部とを有するプリント装置の制御方法であって、
前記検知部で前記スプライス部が検知されたら前記プリント部での画像のプリントを一時中断し、前記スプライス部に続く後続シートの領域に前記プリント部で調整パターンをプリントし、プリントした前記調整パターンを前記読取部で読み取った結果に基づいて前記プリント部における画質調整処理を行ない、その後、前記画像調整処理に用いた領域に続く前記後続シートに前記プリント部で画像のプリントを再開するように制御するものであり、
前記画質調整処理は、カラーシェーディング調整、プリントヘッドの色間レジストレーション調整のいずれかであることを特徴とするプリント装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロール状の連続シートを用いてプリントを行うプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラボプリント等の大量のプリントにはロール状の連続シートが用いられる。ロール状の連続シートを製造する際には、製造上の歩留まり改善の観点から、必要長さに満たない複数の連続シートの端部同士をスプライシングテープ等の固定材(以下テープという)で結合し、必要長さを有するロールとすることがある。このロール状の連続シートは、テープで結合されたスプライス部(繋ぎ部)を1箇所以上且つランダムな位置に有する。
【0003】
特許文献1に開示される装置では、光学センサを用いてテープを検出することでスプライス部の位置を検知し、スプライス部を含む領域を記録不可領域としてプリントを行わないよう制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−239715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高品位の写真画像などをプリントする際には、使用するシートの特性(紙種、紙質、紙厚など)の僅かな違いがプリント画質の違いとなって現われる。そのため、連続シートのスプライス部で結合された前後のシートの特性が違っていると、スプライス部の前後で色み、階調、コントラストなどの画質の違う画像が得られる。写真アルバムなど一冊のプリント物の複数のページの途中でプリント画質が変わると鑑賞者に大きな違和感を与えるので、連続シートに順次プリントする一連の画像は同じプリント画質を維持することが望まれる。特許文献1には、このような課題認識や解決の手法については何ら開示がない。
【0006】
本発明は上述の課題の認識に基づいてなされたものである。本発明の目的は、スプライス部を有する連続シートへのプリントにおいて、スプライス部の前後でのプリント画質の変化を小さくする手法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプリント装置は、連続シートを供給するシート供給部と、前記シート供給部から供給される連続シートに画像を順次プリントするプリント部と、前記プリント部よりも前記供給部の側にて連続シートのスプライス部を検知する検知部と、前記プリント部でプリントしたパターンを読み取る読取部と、制御部とを有し、前記制御部は、前記検知部で前記スプライス部が検知されたら前記プリント部での画像のプリントを一時中断し、前記スプライス部に続く後続シートの領域に前記プリント部で調整パターンをプリントし、プリントした前記調整パターンを前記読取部で読み取った結果に基づいて前記プリント部における画質調整処理を行ない、その後、前記画像調整処理に用いた領域に続く前記後続シートに前記プリント部で画像のプリントを再開するように制御する
ものであり、前記画質調整処理は、カラーシェーディング調整、プリントヘッドの色間レジストレーション調整のいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、連続シートのスプライス部に続く後続シートの領域を用いて画質調整処理を行なうので、スプライス部の前後でシートの特性が変化したとしても、違和感のない同等のプリント画質でプリントを継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】プリント動作の全体シーケンスを示すフローチャート
【
図5】カラーシェーディング調整のための調整パターンの例
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、インクジェット方式を用いたプリント装置の実施形態を説明する。本例のプリント装置は、長尺で連続したシート(搬送方向において繰り返しのプリント単位(1ページあるいは単位画像という)の長さよりも長い連続シート)を使用し、片面プリントおよび両面プリントの両方に対応した高速ラインプリンタである。例えば、プリントラボ等における大量の枚数のプリントの分野に適している。
【0011】
図1は実施形態のプリント装置の全体外観図である。プリント装置は概略、プリント部1、シート供給部2、シート巻取部3、制御部6を有する。シート供給部2はロール状に巻かれたロールシート4を保持して、連続シートをロールから引き出しながらプリント部1に供給する。プリント部1では連続シートに複数の画像を順次プリントしていく。プリントされた連続シートは、シート巻取部3にてロールシート5として巻き取られてゆく。制御部6は、コントローラ、メモリ、各種I/Oインターフェースを有し、プリント装置全体の制御を司る。制御部6はプリント装置自体に内蔵されていてもよいし、プリント装置に接続される外部のホストコンピュータであってもよい。なお、シート搬送経路の任意の位置において、シート供給部2に近い側を「上流」、その逆側を「下流」という。
【0012】
シート供給部2で保持するシートは、連続したシートであればロール状に巻かれたものに限らない。例えば、単位長さごとのミシン目が付与された連続したシートがミシン目ごとに折り返されて積層され、シート供給部2に収納されるものでもよい。
【0013】
ここで使用する連続シートは、
図3に示すように、テープや糊で結合されたスプライス部(繋ぎ部)を1箇所以上且つランダムな位置に有するものとする。連続シートは、ロールを製造した段階で予めスプライス部を持っている。それ以外にも、1つのロールの連続シートを使い切ったらユーザ自身がシートを繋いで新たな連続シートとしてプリントを継続する場合もあり、その場合も連続シートの途中にスプライス部が形成される。
【0014】
図3において、先行する連続シート(先行シート26)と後続の連続シート(後続シート27)とは、スプライス部で結合されて、ひと繋ぎの連続シートSとなっている。この例では、先行シート26と後続シート27との一部を重ねて両者が糊付けされ、さらにその上からテープ25が貼られている。テープ25が貼られた部分がスプライス部である。シート同士の重なりおよびテープ25の厚みによって、その部分だけ本来のシート厚よりも大きい段差が形成されている。
【0015】
図2はプリント部1の内部の構成を示す構成図であり、
図2(a)は上面図、
図2(b)は正面図、
図2(c)はシートよりも上方にある主要部材を下方から見た下面図である。シート供給部2からプリント部1に供給された連続シートSはプリント部において矢印A方向に搬送される。プリント部におけるシート搬送機構として、搬送ローラ11と従動回転するピンチローラ12からなる上流側の搬送ローラ対、および搬送ローラ13と従動回転するピンチローラ14からなる下流側の搬送ローラ対が設けられている。プラテン15は記録位置において連続シートの下面を案内保持する。プリントヘッド部30はインクジェット方式の複数のプリントヘッドを含む。各プリントプリントヘッドは、使用が想定される最大プリント幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型プリントヘッドを有する。インクノズル列は単位ノズルチップが千鳥配列等の規則的な配列によって幅方向全域に渡って形成されたもの、一列が幅方向全域に渡って形成されたもの、いずれであってもよい。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介して各プリントヘッドに供給される。プリントヘッド部30は、本例では、シアン色インク用のシアンヘッド7、マゼンタ色インク用のマゼンタヘッド8、およびイエロー色用のイエローヘッド9の3つを有する。
図2(c)に示すように、シアンヘッド7の吐出面にはノズル列16が、マゼンタヘッド8の吐出面にはノズル列17が、イエローヘッド9の吐出面にはノズル列18がそれぞれ形成されている。なお、色数およびプリントヘッドの数は3つには限定はされず、さらに多い数あるいは少ない数であってもよい。各プリントヘッドにはインクチューブが接続され、図示しないインクタンクからインクが供給される。なお、各プリントヘッドは対応する色のインクを貯蔵するインクタンクと一体のユニットとしてもよい。各プリントヘッドは、ヘッドホルダ10に一体に保持されている。ヘッドホルダ10は駆動機構により矢印B方向に昇降可能である。
【0016】
スキャナ装置19(読取部)は下流側の搬送ローラ対(ピンチローラ14)のさらに下流に位置する。プリントヘッド部30を用いて連続シートにプリントされた画質調整用画像や検査画像を読み取るためのものである。
図2(c)に示すように、スキャナ装置19はRGB3色の発光素子20を含む発光部と、イメージセンサ21(CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサ)を含む受光部からなる。白色基準プレート24は、イメージセンサ21の読取位置にシートを挟んで対向して配置される。白色基準プレート24は白色板からなり、イメージセンサ21のカラーキャリブレーションに用いられる。スキャナ装置19および白色基準プレート24の下流には、連続シートを排出するための排出ローラ対23が設けられている。
【0017】
上流側の搬送ローラ対(ピンチローラ12)の上流には、シート面の上方から連続シートのスプライス部(テープ25)を光学的に非接触で検知するための検知部31が設けられている。検知部31はシート面に斜めから光を照射する発光部と反射光を検出するアレイセンサを含む。先行シート26および後続シート27はともに光沢性を有する白色であり反射率が高い。これに対して、テープ25の表面は黒色で且つマット処理を施してあり光反射率が低い。この反射率の違いを利用して、検知部31によってセンサの検知位置をスプライス部のテープ25が通過したことを検知する。また、検知部31は、2つ以上の受光素子を持つアレイセンサのどの素子が中心的に反射光を受光したかでシート面の高さを検知することもできるようになっている。検知部31を上下流に挟んで2つのガイドローラ対29が設けられており、検知部31の検知位置におけけるシートの高さ方向の位置を安定させて、検知精度を安定化させている。
【0018】
図4は制御部6で制御するプリント動作の全体シーケンスを示すフローチャートである。ステップS101では、連続シートに対して複数の単位画像の順次プリントを開始する。ステップ102では、プリント中に検知部31によって連続シートのスプライス部の検知する。スプライス部が検知された(Yes)らステップS103に移行し、検知されない(No)場合はステップS107に移行する。
【0019】
ステップ103では、検知されたスプライス部がプリントヘッド部30の最上流のプリントヘッド9のプリント位置に来るまで、単位画像のプリントを継続して、可能な限り多くの単位画像をプリントする。検知部31の検知位置と最上流のプリントヘッド9のプリント位置までの搬送経路の長さは設計上決まっている。したがって、その長さの領域にいくつの単位画像をプリントすることができるかは、単位画像の搬送方向の長さから計算で求めることができる。
【0020】
ステップS104では、スプライス部を含む領域にプリント禁止領域として設定して、この間がプリント位置を通過する際にはプリントを行なわずにスキップする。したがって、プリント禁止領域はインクが付与されずに空白となる。
【0021】
ステップS105では、スプライス部がプリント位置を通過した後に、スプライス部に続く後続シートの領域を用いてプリントヘッド部30の画質調整処理を行なう。画質調整処理の一つの例として、カラーシェーディング調整処理がある。カラーシェーディングとは、インクが付与されるシート特性に応じて色調等の色目が変わってしまう現象をいい、先行シート26と後続シート27のシート特性が同じでないと、ユーザには異なる色目として認識されてしまう。カラーシェーディング調整処理とは、このカラーシェーディングをシート特性に応じて適切に補正して本来の色目でプリントするためのデータ処理である。スプライス部に続く後続シートの先頭領域に、各色のプリントヘッドを用いてカラーシェーディング調整のための調整パターンをプリントする。プリントした調整パターンはスキャナ装置19で読み取って、制御部は読み取られた結果に基づいて、各色のプリントヘッドの駆動を補正する。
【0022】
図5はカラーシェーディング調整のための調整パターン22の例を示す。プリントヘッド部30の3色のプリントヘッドを用いて、後続シート27の先頭領域にシアンパターン22c、マゼンタパターン22m、イエローパターン22yをそれぞれ、所定の一定デューティでプリントして形成する。調整パターン22はスキャナ装置19で読み取って画像データを取得する。制御部では読み取った画像データから各色の濃度を判定して、それぞれのプリントヘッドでのインク吐出量を調整する。各色のパターンは、搬送方向においてインクジェットの吐出エネルギを設計値に対して上下に僅かに変化させながら形成したものである。プリントヘッドに与えた吐出エネルギとパターン内の記録位置とは対応付けて制御部のメモリにデータテーブルとして格納されている。プリントした調整パターンは、スキャナ装置19においてRGB3色それぞれ多値化データとして読み取る。制御部は読み取った画像の中から、メモリ内の理想の色バランスデータに最も近い記録位置を判別する。そして、データテーブルを参照してプリントヘッドを駆動する吐出エネルギを設定して、後続シート27にプリントを継続する。なお、先行シート26についても、同様に先行シート26のシート特性に合わせたカラーシェーディング処理が最初に行われる。これにより、もし、先行シート26と後続シート27とでシート特性が変わっても、両者とも同じ色目で画像をプリントすることができユーザに違和感を与えることがない。
【0023】
図4に戻って、ステップS106では、画像調整処理の後に、単位画像のプリントを再開する。ステップS107では、予定枚数の単位画像のプリントが完了した(Yes)か否か(No)を判断する。判断がNoの場合はステップS101に戻って処理を繰り返し、判断がYesの場合はシーケンスを終了する。
【0024】
なお、ステップS105で行なう画質調整処理は、カラーシェーディング調整処理とは別の処理であってもよい。例えば、プリントヘッドのノズル列とシート間の距離調整(ギャップ調整)がある。先行シート26と後続シート27とでシート厚が変化すると、ヘッド位置が一定であればヘッドとシートとの間のギャップが変化する。ギャップが変化すると、ノズルから吐出されたインクがシート面に着弾するまでの距離(時間)が変わって、着弾位置精度も変化するので、先行シート26と後続シート27とで画質が変化する場合がある。上述したように、検知部31はスプライス部の検知だけでなく、シート厚を検知することができる。検知したシート厚に応じて、プリントヘッド部30を保持するヘッドホルダ10をB方向に変化させて、先行シート26と後続シート27とでシート厚が変化したとしても一定のギャップが維持されるように制御する。つまり、この例の画質調整処理は、でシート厚の変化に関わらずギャップが一定となるようにして画質を維持する処理である。
【0025】
ステップS105で行なう画質調整処理のさらに別の例として、複数のプリントヘッドの色間レジストレーション調整がある。シートの厚みやシート表面の摩擦係数が変化すると搬送ローラによるシートの送り量が微妙に変化する。そのため、複数のプリントヘッドでの各色のプリント位置もシート搬送方向において相対的にずれを生じ、異なる色同士のインク重ね精度が劣化してプリント画質に影響を及ぼす。これを補正するのが色間レジストレーション調整である。具体的には、スプライス部に続く後続シートの先頭領域に、各色のプリントヘッドを用いて色間レジストレーション調整のための調整パターンを個別にプリントする。プリントした各色の調整パターンの間のシート搬送方向の相対的な位置関係をスキャナ装置19で読み取る。制御部6は読み取られた結果に基づいて各色のインクの吐出タイミングを補正して、各色のインクが正確な位置に着弾するようにする。もし、先行シート26と後続シート27とでシート特性が変わっても、後続シート27に対して各色間の色ずれを自動的に補正して先行シート26と同じ高画質を維持するものである。
【0026】
以上、画質調整処理として3つの形態を例示したが、これらを任意に組み合わせて複数の調整処理を行なうようにしてもよい。なお、画質調整処理を行う後続シートの領域はスプライス部に近いほうがシートの消費が抑えられて好ましいが、必ずしも直後の先頭領域でなくてもよい。
【0027】
ところで上述の例では、後続シート27のシート情報を検知部31を用いて取得するものであるがこれ以外の手法でシート情報を取得するようにしてもよい。例えば、シート自体に後続シート27に関するシート情報を保持しておいて、このシート情報を読み取って画質調整処理を行なうようにしてもよい。
【0028】
図2(a)は、シートSのスプライス部の直後(後続シート27の先頭部)に、コードパターン28を予め記録した例である。これを検知部31を用いて読み取ることで、後続シート27に関するシート情報を取得することができる。コードパターン28は、後続シート27に関する情報(シート種類、シート特性、シート厚など)をバーコードのような形態で記録する。なお、コードパターン28は後続シート27に限らず、テープ25の上あるいは先行シート26の後端に予め読取可能な形態で記録するようにしてもよい。光学パターンに替えて磁気パターンとしてシート情報を保持して磁気センサでコードを読み取るようにしてもよい。また、シートにICタグを埋め込んで電子的にシート情報を保持しておき、非接触で情報を読み取るようにしてもよい。
【0029】
以上の実施形態によれば、連続シートのスプライス部に続く後続シートの先頭領域で画質調整処理を行なうので、スプライス部の前後でシートの特性が変化したとしても、違和感のない同等のプリント画質でプリントを継続することができる。
【符号の説明】
【0030】
7 シアンヘッド
8 マゼンタヘッド
9 イエローヘッド
10 ヘッドホルダ
19 スキャナ装置
25 テープ
26 先行シート
27 後続シート
28 コードパターン
208 スプライスセンサ
219 プリントヘッド部