(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施例で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【実施例1】
【0016】
[画像形成装置の構成]
図1は本実施例の構成であるカラーレーザプリンタの構成図である。
図1に示すカラーレーザプリンタ(以下、本体と称す)は、本体101に対して着脱可能なプロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kを備えている。これら4個のプロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kは、同一構造であるものの、異なる色、すなわち、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナーによる画像を形成する点で相違している。以下、Y,M,C,Kを省略して表記する場合がある。プロセスカートリッジ5は、現像ユニットと画像形成ユニットと廃トナーユニットの3つの構成で成り立っている。現像ユニットは、現像ローラ3、トナー補給ローラ12、トナー容器23、攪拌マイラ34を有している。ここで攪拌マイラ34の厚さは150μmである。また、画像形成ユニットは、像担持体である感光ドラム1、帯電ローラ2を有している。廃トナーユニットは、クリーニングブレード4、廃トナー容器24を有している。
【0017】
プロセスカートリッジ5の下方にはレーザユニット7が配置され、画像信号に基づく露光を感光ドラム1に対して行う。感光ドラム1は、帯電ローラ2によって所定の負極性の電位に帯電された後、レーザユニット7によってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ローラ3によって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY,M,C,Kのトナー像が形成される。中間転写ベルトユニットは、中間転写ベルト8、駆動ローラ9、二次転写対向ローラ10から構成されている。また、各感光ドラム1に対向して、中間転写ベルト8の内側に一次転写ローラ6が配設されており、バイアス印加手段(不図示)により転写バイアスが一次転写ローラ6に印加される。
【0018】
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、各感光ドラム1の矢印方向に回転し、中間転写ベルト8が矢印F方向に回転する。更にバイアス印加手段(不図示)により一次転写ローラ6に正極性のバイアスを印加することにより、感光ドラム1Y上のトナー像から順次、中間転写ベルト8上に一次転写され、4色のトナー像が重なった状態で二次転写ローラ11まで搬送される。給搬送装置は、転写材Pを収納する給紙カセット13内から転写材Pを給紙する給紙ローラ14と、給紙された転写材Pを搬送する搬送ローラ対15とを有している。そして、給搬送装置から搬送された転写材Pはレジストローラ対16によって二次転写ローラ11に搬送される。
【0019】
中間転写ベルト8から転写材Pへの転写においては、二次転写ローラ11に正極性のバイアスを印加することにより、中間転写ベルト8上の4色のトナー像が搬送された転写材Pに二次転写される。トナー像転写後の転写材Pは、定着装置17に搬送され、定着フィルム18と加圧ローラ19とによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着された転写材Pは排紙ローラ対20によって排出される。一方、トナー像転写後に、感光ドラム1の表面に残ったトナーは、クリーニングブレード4によって除去され、除去されたトナーは廃トナー容器24へと回収される。また、転写材Pへの二次転写後に中間転写ベルト8上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニングブレード21によって除去され、除去されたトナーは廃トナー容器22へと回収される。また、制御基板80は本体の制御を行うための電気回路が搭載されている。制御基板80には1チップマイクロコンピュータ(以後CPUと記す)40が搭載されている。CPU40は転写材Pの搬送に関る駆動源(不図示)やプロセスカートリッジの駆動源(不図示)の制御、画像形成に関する制御、更には故障検知に関する制御など本体の動作を一括して制御する。ビデオコントローラ42は、画像データからレーザユニット内のレーザの発光を制御する。このビデオコントローラ42は、不図示のコントロールパネルを介して、ユーザとのインターフェイスも行う。このコントロールパネルには、各色のトナーの残量が棒グラフ状に表示される。
【0020】
[現像ユニットの構成]
図2(a)は、プロセスカートリッジを構成する現像ユニットの断面図である。現像ユニット内の感圧抵抗センサ301は、現像剤であるトナー28の残量センサとして機能する。本実施例の感圧抵抗センサ301は、1層の配線パターンと導電性インク層を有し、各層の間の周囲にスペーサを配置して、空間(ギャップ)を形成している。検知面の上面が押されると、上面の導電性インク面が変形し下面の配線パターンと接触する構成を有している。このような構成により、押された圧力に対応する接触面積に応じて抵抗値が変動する。本実施例ではIEE社の感圧抵抗センサ(CP1642)301を用いている。
【0021】
図2(b)は、本実施例の圧力検知を行う感圧素子である感圧抵抗センサ301の断面図である。シート305及びシート306は、シート状の部材である。スペーサ307は、シート305とシート306との間に空間(ギャップ)を形成する。導電性インク308は、シート305の下面にある。電極パターン309は、シート306上に形成されている。シート305の上面が検知面である。検知面が押されると、シート305の上面が変形し、その下の電極パターン309と接触する。
【0022】
図2(c)は、感圧抵抗センサ301の検知面に小さい圧力が付加された状態を示している。中央の2箇所の電極パターンが導電性インク308と接触している。また、
図3(d)は、感圧抵抗センサ301の検知面に大きい圧力が付加された状態を示している。4箇所の電極パターンが導電性インク308と接触している。更に電極パターンの長手方向にも接触面積が増える。感圧抵抗センサ301は、圧力の大きさと抵抗値が反比例の特性を有する。また、感圧抵抗センサ301は、検知部と電線が一体構成となっている。この検知部は、トナー28を収納するトナー容器23の内部(現像ユニット内壁面)にシート305がトナー容器23の内部側になるように攪拌マイラ34の周回方向(
図2(a)矢印方向)に接着固定されている。また、電線は現像ユニットの外部に出ており、取り出し口は密封されている。そして、感圧抵抗センサ301は2つの電極(不図示)で本体101と接続している。この電極は、プロセスカートリッジ5を本体101へ装着した際に接触する。
図2(a)に示すように、第1の周回部材である攪拌マイラ34が回転動作を行うと、攪拌マイラ34は攪拌するトナー28の抵抗を受けて、回転方向後側に変形し大きく撓む。トナー28の残量が多い場合、攪拌マイラ34が感圧抵抗センサ301上を通過する時間が長くなるため、感圧抵抗センサ301の検知面に圧力を及ぼしている時間が長くなる。一方、トナー28の残量が少ない場合は、トナー28の抵抗が小さくなるため、攪拌マイラ34の撓み量が小さい。その結果、攪拌マイラ34が感圧抵抗センサ301上を通過する時間が短くなり、感圧抵抗センサ301の検知面に圧力を及ぼす時間が短くなる。この原理を使ってトナー28の残量検知を行う。
【0023】
図3は、感圧抵抗センサ301の抵抗値の変化を検知する回路図である。DC3.3Vの電源電圧を感圧抵抗センサ301と分圧抵抗37で分圧した信号をCPU40のA/Dポートに入力している。
【0024】
次に、
図4を用いて本実施例におけるトナー28の残量検知の検知特性を説明する。
図4(a)は、トナー28の残量と感圧抵抗センサ301のセンサオン時間の特性グラフである。
図4(b)は、トナー28の残量が16%のときの波形データである。感圧抵抗センサ301が、8msecの間オンしている。
図4(c)は、
図4(a)の特性グラフを表にしたテーブルTである。テーブル数値間のトナー28の残量は、既知のトナー28の残量の線形補間により求める。このことは、以後のテーブルにおいても同様とする。ここで、算出された時間は、本実施例における値であるため、条件が変われば算出される時間も変わる。トナー28の残量を判断するテーブルの数値も同様である。
【0025】
[トナー残量検知のシーケンス]
本実施例におけるトナー28の残量検知の流れを
図5のフローチャートを用いて説明する。以降の実施例におけるフローチャートも同様に、これらのフローの処理はCPU40により行われる。しかしながら、これに限定されず、例えば特定用途向けの集積回路(ASIC)が画像形成装置に実装されている場合には、ASICに何れかのステップの機能を持たせても良い。
【0026】
まず、CPU40は、攪拌マイラ34の回転を開始させる(S101)。CPU40は、CPU40のA/D入力ポートをモニタして、センサ値の読み取りを開始する(S102)。CPU40は感圧抵抗センサ301に圧力がかかっていない初期値を検知するために、0.5秒以上3.3V±0.3Vが継続するかモニタする(S103)。攪拌マイラ34の周期は、本実施例では約1秒である。そのため、S103で0.5秒以上3.3V±0.3Vが継続せず(S103、No)、読み取り開始から2.0秒以上経過した場合には(S114、Yes)、CPU40は感圧抵抗センサ301の異常と判断し、ビデオコントローラ42へ報知する(S115)。S103で0.5秒以上3.3V±0.3Vが継続した場合、CPU40は正常動作と判断し、CPU40のA/D入力ポートをモニタして、2.0V以下になったときに(S104、Yes)センサの信号の立ち下がりと認識する。そして、不図示のタイマを0とし初期化する(S105)。そしてCPU40は時間幅を計測するためのタイマをスタートさせる(S106)。次にCPU40は、CPU40のA/D入力ポートをモニタして、2.3V以上になったときに(S107)信号の立ち上がりと認識し、タイマをストップさせる(S108)。ここで、立ち下がりの閾値を2.0Vとし、立ち上がりの閾値を2.3Vとした理由は、ヒステリシスを持たせノイズによる誤動作を防止するためである。
【0027】
次に、CPU40はそのタイマの値を読み込み(S109)、テーブルTと照合する(S110)。そして、CPU40は照合した値に対応するトナー28の残量(トナー量)をビデオコントローラ42へ報知する(S111)。S107で2.3V未満と判断され、タイマスタート後2.0秒以上経過した場合には(S112、Yes)、CPU40は異常と判断してビデオコントローラ42へ報知する(S113)。このように感圧抵抗センサ301が圧力を検知している時間幅でトナー28の残量を逐次検知する。上記の例では、出力が3.3Vに安定したことをCPU40が検知してから、感圧抵抗センサ301の信号の立ち下りエッジを検知するシーケンスとしたものの、攪拌マイラ34の回転開始から所定時間後に、立ち下りを検知するシーケンスにすることも可能である。尚、本実施例によれば、CPU40のA/D入力ポートで電圧値を検知した。しかしながら、コンパレータ等で電圧検知回路を構成することでデジタル化して、デジタルポートで時間幅を検知しても良い。また、圧力を検知している時間幅が検知できれば良いので、感圧抵抗センサ301の代わりにスイッチ素子であるシートスイッチ(メンブレンスイッチ)(実施例7で説明)や汎用の圧力センサを使用しても良い。
【0028】
本実施例によれば、前述のような構成と動作によって、次のような効果がある。まず、第一に感圧抵抗センサ301が圧力を検知している時間幅でトナー28の残量を検知しているので、トナー28が満載から空になるまで逐次トナー残量の検知ができる。第二に感圧抵抗センサ301を用いることで、検知回路が簡素化することができるとともに、反応速度が速いため、検知時間の高速化を図ることができる。更に、攪拌マイラ34の反りは、高速で回転していてもトナー28の残量に応じて安定しているため、画像形成動作と同時に行うことが可能である。
【0029】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、簡単な構成でトナーの量の多寡にかかわらず、逐次残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例2】
【0030】
実施例1では、感圧抵抗センサ301が圧力を検知している時間でトナー28の残量を検知した。本実施例では、CPU40は感圧抵抗センサ301が検知している圧力に対応する抵抗値の変化を出力される電圧の変化として検知して、トナー28の残量を検知する。まず、本実施例の構成であるカラーレーザプリンタについて説明する。なお、実施例1で説明した
図1、
図2、
図3の構成は、本実施例においても適用されるものとする。また、実施例1と同一の構成は、同一の記号を付して説明は省略する。
【0031】
次に、
図6を用いて本実施例におけるトナー28の残量検知の検知特性を説明する。
図6(a)は、トナー28の残量(%)と感圧抵抗センサ301と分圧抵抗37との分圧によって出力されるA/Dポート入力電圧(V)との特性グラフである。
図6(b)は、A/Dポート入力電圧(V)とそれに対応するトナー残量(%)を示したテーブルNである。ここで、算出された電圧出力値は、本実施例における値であるため、条件が変われば算出される電圧出力値も変わる。トナー28の残量を判断するテーブルの数値も同様である。
【0032】
[トナー量検知処理のシーケンス]
続いて、本実施例におけるトナー28の残量検知の流れを
図7のフローチャートを用いて説明する。本実施例のS201〜S203,S213,S214は実施例1の
図5のS101〜S103,S114,S115と同じであるため説明を省略する。S203で0.5秒以上3.3V±0.3Vが継続した場合には、CPU40はその間の平均値を初期値と判断して不図示のメモリに記憶する(S204)。次に感圧抵抗センサ301へ圧力が
かかり始めたことを検知するためにCPU40は、初期値−0.4V以下になるかモニタする(S205)。もし、初期値−0.4V以下とならず(S205、No)2.0秒以上3.3V±0.3Vを継続した場合(S211、Yes)には、CPU40はトナー無しと判断し、ビデオコントローラ42へ報知する(S212)。S205でモニタ中に初期値−0.4V以下になった場合には、CPU40は感圧抵抗センサ301へ圧力が
かかり始めたと認識し、連続読み取りを開始して読み取った値を不図示のメモリ等に記憶する(S206)。初期値−0.4V以下の値が0.1秒間、±0.3Vを継続した場合には(S207、Yes)、CPU40は正常な値と判断し、平均値を算出してトナー量検出値とし(S208)、テーブルNとその値を照合する(S209)。その後、CPU40は照合したトナー28の残量をビデオコントローラ42へ報知する(S210)。このように、CPU40は感圧抵抗センサ301の圧力に対応する抵抗値の変化に基づく電圧出力でトナー28の残量を逐次検知する。
【0033】
本実施例によれば、前述のような構成と動作によって、次のような効果がある。実施例1で説明した時間幅検知でも十分な精度が得られるものの、本実施例で説明したように、検知圧力に対応する抵抗値の変化に基づく電圧出力を使えばトナー28の残量の20%以下をより高精度に検知できる。また、実施例1の検知制御でトナー28の残量の20%程度までを検知し、本実施例の検知制御でトナー28の残量の20%未満程度を検知するように制御を切り替えることもできる。その結果、それぞれの単独制御より、トナー28の残量が0%から100%までのどの領域でも更に検知精度を上げることが可能である。
【0034】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、簡単な構成でトナーの量の多寡にかかわらず、逐次残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例3】
【0035】
まず、実施例1,2との違いを記載する。実施例1,2では、攪拌マイラ34がトナー28を介して圧力を感圧抵抗センサ301へ付与している。本実施例では、更に可撓性の大きい第2の周回部材である検知マイラ351を攪拌マイラ34とは別に備える。そして、トナー28の残量が少量の場合に、その検知マイラ351が感圧抵抗センサ301へ直接圧力を与えている時間幅を検知して、トナー28の残量を検知する検知方式を兼ね備える。
【0036】
本実施例の構成であるカラーレーザプリンタについて説明する。なお、実施例1で説明した
図1、
図3の構成及び
図5のフローチャートは、本実施例においても適用されるものとする。但し、
図5のフローチャートのS110は、「テーブルMと照合」と読み替える。また、実施例1,2と同一の構成は、同一の記号を付して説明は省略する。
【0037】
図8(a)は、本実施例におけるプロセスカートリッジ5を構成する現像ユニットの断面図である。実施例1,2における現像ユニットの構成に対して、攪拌マイラ34に比べて厚みが半分程度の可撓性の大きい検知マイラ351が追加されている。攪拌マイラ34は、攪拌機能を持たせるために現像ユニットの長手方向の全体に対応する幅にする必要がある。しかし、検知マイラ351は現像ユニットの長手方向の全体に対応する幅にしても良いし感圧抵抗センサ301の検知部のみに対応する幅にしても良い。
図8(a)は、トナー28の残量が多いときの現像ユニットの断面図であり、
図8(b)は、トナー28の残量が少ないときの現像ユニットの断面図である。
図8(a)のようにトナー28の残量が多いときは、検知マイラ351は、感圧抵抗センサ301に接触しないで攪拌マイラ34と同軸でトナー容器23内を周回動作する。一方で
図8(b)のようにトナー28の残量が少ないときは、検知マイラ351は、感圧抵抗センサ301に接触しながら、トナー容器23内を周回動作する。
図8(c)は、検知マイラ351と感圧抵抗センサ301の位置関係を表す斜視図である。検知マイラ351の長手方向の幅は、感圧抵抗センサ301の検知面の幅に対応する長さである。一方で攪拌マイラ34の長手方向の幅は、トナー容器内の全体のトナー28を攪拌する必要があるので長手方向の全域に対応する長さである。
【0038】
図8(d)は、トナー28の残量(%)と、検知マイラ351が感圧抵抗センサ301へ直接圧力を与えているセンサオン時間(ms)との特性グラフである。
図8(e)は、
図8(e)の特性グラフを表にしたテーブルMである。ここで、算出された時間は、本実施例における値であるため、条件が変われば算出される時間も変わる。トナー28の残量を判断するテーブルMの数値も同様である。本実施例も実施例2と同様に、実施例1の検知制御でトナー28の残量が所定量である30%程度までを検知する(第1の判断モード)。その後、本実施例の検知制御でトナー28の残量が所定量以下である30%以下を検知する(第2の判断モード)ように制御を切り替えることで、それぞれの単独制御より、トナー28の残量が0%から100%までのどの領域でも検知精度を上げることが可能である。
【0039】
本実施例によれば、前述のような構成と動作によって、次のような実施例2と同様の効果がある。すなわち、トナー28の残量が約30%以下になったところで感圧抵抗センサ301を検知マイラ351が押す圧力に対応する抵抗値に基づく出力電圧の変化でトナー28の残量を検知しているので、トナー28の残量の検知精度が上がる。
【0040】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、簡単な構成でトナーの量の多寡にかかわらず、逐次残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例4】
【0041】
実施例
2との違いは、トナー28の残量が多いときは、実施例
2の検知方式で検知し、トナー28の残量が少なくなってくると本実施例の検知方式に切り替える点である。トナー28の残量が少なくなると、検知マイラ351が感圧抵抗センサ301へ与える圧力による抵抗値の変化に基づく電圧出力の変化を検知して、トナー28の残量を検知する制御に切り替える。
【0042】
まず、本実施例の構成であるカラーレーザプリンタについて説明する。なお、実施例1〜3のいずれかで説明した
図1、
図3、
図8(a)の構成及び
図7のフローチャートは、本実施例においても適用されるものとする。但し、
図7のフローチャートのS209は、「テーブルTと照合」と読み替える。また、実施例1乃至3と同一の構成は、同一の記号を付して説明は省略する。
【0043】
次に、
図9を用いて本実施例におけるトナー28の残量検知の検知特性を説明する。
図9(a)は、トナー28の残量(%)と、感圧抵抗センサ301と分圧抵抗37との分圧によって出力されるA/Dポート入力電圧(V)との特性グラフである。
図9(b)は、
図9(a)の特性グラフを表にしたテーブルTである。ここで、算出された電圧出力値は、本実施例における値であるため、条件が変われば算出される時間も変わる。
【0044】
実施例
2の検知制御でトナー28の残量が20%程度になるまでを検知し、本実施例の検知制御で残りのトナー28の残量が20%未満を検知するように制御を切り替える。そうすることで、それぞれの単独制御よりも、トナー28の残量が0%から100%までのどの領域でも検知精度を上げることが可能である。
【0045】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、簡単な構成でトナーの量の多寡にかかわらず、逐次残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例5】
【0046】
実施例1では、攪拌マイラ34が可撓性を有しており、その反りによってトナー28を介して感圧抵抗センサ301が圧力を検知している時間でトナー28の残量を検知している。本実施例では、攪拌部材が剛体である場合の適用例を説明する。本実施例では、トナー28の残量検知用に設けた剛体の三角柱が攪拌棒軸と同軸に回転してその斜面でトナー28を押し、感圧抵抗センサ301が検知している圧力に対応する抵抗値に基づく出力電圧の変化を検知して、トナー28の残量を検知する。まず、
図10を用いて本実施例の構成であるプロセスカートリッジ5について説明する。
図10(a)は、本実施例におけるプロセスカートリッジ5の断面図である。なお、実施例1と同一の構成は、同一の記号を付して説明は省略する。攪拌棒26は、回転軸を中心として回転運動しトナー28を攪拌する。トナー押し部材27は、攪拌棒26と同軸で回転運動を行う三角柱形状をした部材である。フローチャート及び検知特性は、実施例1と同様である。
図10(b)は、感圧抵抗センサ301と、三角柱形状をしたトナー押し部材27の位置関係を表した斜視図である。本実施例によれば、前述のような構成と動作によって、攪拌部材が金属棒のような剛体の場合でも適用可能である。
【0047】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、簡単な構成でトナーの量の多寡にかかわらず、逐次残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例6】
【0048】
実施例
2との違いは、トナー28の残量が少なくなったときに、より精度が上がるように分圧抵抗を切り替える制御を追加したことである。まず、本実施例の構成であるカラーレーザプリンタについて説明する。なお、実施例1,2で説明した
図1、
図2の構成は、本実施例においても適用されるものとする。また、実施例1と同一の構成は、同一の記号を付して説明は省略する。
図11(a)は、感圧抵抗センサ301の抵抗値の変化を検知する回路図である。CPU40のデジタル出力DOポートからアナログスイッチ39をオン/オフする構成である。アナログスイッチ39は、オンすると固定抵抗38が分圧抵抗37と並列接続され、感圧抵抗センサ301との分圧比が変わる。
【0049】
次に、
図11(b)、
図11(c)を用いて本実施例におけるトナー28の残量検知の検知特性を説明する。
図11(b)のG1(V)は、トナー28の残量と、感圧抵抗センサ301と分圧抵抗37との分圧によって得られるA/Dポートの入力電圧の特性グラフである。また、G2(V)は、トナー28の残量と、感圧抵抗センサ301と、分圧抵抗37及び固定抵抗38の並列接続との分圧によって得られるA/Dポート入力電圧との特性グラフである。
図11(c)は、
図11(b)の特性グラフを表にしたテーブルXである。ここで、算出された電圧値は、本実施例における値であるため、条件が変われば算出される時間も変わる。トナー28の残量を判断するテーブルの電圧値も同様である。
【0050】
CPU40は、トナー28の残量が多いときにDOポート出力をローレベルに設定する。プロセスカートリッジ5が新品でトナー28の残量が100%からプリント枚数を重ねていくと、まず
図11(c)の矢印Aの方向に推移する。次にトナー28の残量が30%となったときに、CPU40は、DOポート出力をハイレベルに切り替えてアナログスイッチ39をオンすると、固定抵抗38が分圧抵抗37と並列接続され感度が切り替えられ、出力電圧がG1(V)からG2(V)に変化する。そうすると、矢印Bの方向に推移する。もし、感度を切り替えないときは、出力電圧G1(V)の特性を推移するので0%から30%までの電圧変化量は、1.286Vである。感度を切り替えると出力電圧G2(V)の特性に切り替わり、0%から30%までの電圧変化量は、1.515Vと大きくなり、トナー28の残量検知の分解能が上がる。
【0051】
[トナー残量検知のシーケンス]
図12は、本実施例の感度切り替えによるトナー残量検知処理のフローチャートである。まず、
図7で説明したフローチャートでCPU40はトナー28の残量を検知する(S401)。但し、
図7のS209では、
図11(c)のテーブルXの出力電圧G1(V)を参照する。CPU40はトナー28の残量が30%以下かどうかを判断する(S402)。もし、30%より多いときは、CPU40はトナー28の残量をビデオコントローラ42へ報知して(S407)終了する。S402でトナー28の残量が30%以下と判断した場合には、CPU40はアナログスイッチ39をオンする(S403)。その後、再度、CPU40は
図7で説明したフローチャートでトナー28の残量を検知する(S404)。但し、
図7のS209では、
図11(c)のテーブルXの出力電圧G2(V)を参照する。CPU40はトナー無しかどうかを判断する(S405)。このときトナー無しの場合は、CPU40はトナー無しをビデオコントローラ42へ報知して(S406)終了する。一方でトナー28が残っている場合には、CPU40はトナー28の残量をビデオコントローラ42へ報知して(S407)終了する。
【0052】
本実施例も実施例
2の検知制御でトナー28の残量が30%程度になるまでを検知し、本実施例の検知制御でトナー28の残量が30%未満程度を検知するように制御を切り替える。そうすることで、それぞれの単独制御より、トナー28の残量が0%から100%までのどの領域でも検知精度を上げることが可能となる。
【0053】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、簡単な構成でトナーの量の多寡にかかわらず、逐次残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。
【実施例7】
【0054】
実施例1との違いは、2点ある。1点目は、実施例1では、感圧抵抗センサ301が圧力を検知している時間でトナー28の残量を検知しているのに対して、本実施例では、シートスイッチ311(
図13(a))が圧力を検知している時間幅を検知して、トナー28の残量を検知する点である。また2点目は、シートスイッチ311が圧力を検知していないタイミングを使用して、プロセスカートリッジ5の温度を検知する点である。このプロセスカートリッジ5の温度データは、不図示の冷却ファンの制御等に使用する。本実施例は、この温度検知の信号ラインとトナー28の残量検知の信号ラインを共用することが特徴である。
【0055】
次に、本実施例の構成であるカラーレーザプリンタについて説明する。なお、実施例1で説明した
図1、
図2の構成は、本実施例においても適用されるものとする。但し、感圧抵抗センサ301はシートスイッチ311とする。これらは、同形状であり、同じ位置に配置される。本実施例のシートスイッチ311は、2層の配線パターンを有し、各層の間の周囲にスペーサを用いて、空間(ギャップ)を形成している。検知面の上面が押されると、上面の配線パターン面が変形し、下面の配線パターンと接触する構成を有している。このような構成で一定以上の圧力が検知面の上面にかかると、圧力の大小にかかわらず、抵抗値がほぼ0オームとなる。また、実施例1と同一の構成は、同一の記号を付して説明は省略する。
【0056】
図13(a)は、シートスイッチ311の抵抗値の変化を検知する回路図である。シートスイッチ311は、トナー28の圧力を検知してトナー28の残量を検知し、サーミスタ41は、プロセスカートリッジ5の温度を検知する。
図13(b)は、CPU40のA/Dポートに入力されるサーミスタ41と分圧抵抗37により分圧したA/D入力電圧と温度の特性グラフである。
図13(c)は、
図13(b)の特性グラフを表にしたテーブルQである。
図13(d)は、カラーレーザプリンタがプリント中にCPU40のA/Dポートへ入力されるA/D入力電圧(V)の波形である。
図13(b)はプロセスカートリッジ5の温度が25℃であり、トナー28の残量が100%の条件のグラフである。ローレベルの時間幅のテーブルは、
図4(c)のテーブルTを参照する。
【0057】
[トナー量残量検知のシーケンス]
図14は、本実施例の温度検知兼用のトナー残量検知処理を説明するフローチャートである。まず、CPU40は攪拌マイラ34を回転させ(S501)、A/Dポート入力電圧を読み取る(S502)。CPU40はシートスイッチ311に圧力がかかっていないプロセスカートリッジ5の温度に対応する電圧の初期値を検知するために1.5V以上となる時間が0.5秒以上継続したかを判断する(S503)。継続した場合は、CPU40は0.5秒間のカートリッジ温度に対応する電圧の平均値を算出する(S504)。CPU40はテーブルQを照合し、プロセスカートリッジ5の温度を検知する(S505)。CPU40はトナー28の残量検知用のタイマEをリセットする(S506)。CPU40はA/Dポートを読み取り、1.0V以下かどうかを判断する(S507)。1.0V以下になった場合には、CPU40はシートスイッチ311に圧力がかかっていると判断し、タイマEをカウントアップする(S508)。ここでタイマEが1.0秒以上になった場合には、CPU40はセンサ異常と判断し、ビデオコントローラ42へ報知する(S518)。CPU40はタイマEが1.0秒以上になり(S509、No)、A/Dポートが1.3V以上になった場合(S510、Yes)には、タイマEの値を読み取りトナー量検出値に対応する電圧値とし(S511)、テーブルTと照合する(S512)。その後、CPU40はトナー28の残量をビデオコントローラ42へ報知する(S513)。ここでS503の処理中に1.5V未満(S503、No)を2.0秒間継続した場合には(S514、Yes)、CPU40はサーミスタ41の異常と判断し、ビデオコントローラ42へ報知する(S515)。また、S507でCPU40のA/Dポート入力電圧が、2.0秒以上1.0V以下にならない場合には(S516、Yes)、CPU40はトナー無しあるいはセンサ異常と判断し、ビデオコントローラ42へ報知する(S517)。
【0058】
本実施例においても、実施例1と同様のトナー残量の検知精度が得られる。更にプロセスカートリッジ5の温度を検知する信号ラインとシートスイッチ311の信号ラインを共通にできるので、それぞれを別の信号ラインとする構成と比較した場合に以下の効果がある。まず、信号ラインの本数を2本削減することができるので電線とコネクタが削減できる。更にCPU40のA/D入力ポートも削減できる。よって、コストを下げることができる。本実施例においては、温度検知として、サーミスタ41を用いた。しかしながら、既知のポジスタ(登録商標)でも適用可能である。
【0059】
実施例1〜7においては、基準電位の信号ラインを単独で備える形態を説明した。しかしながらプロセスカートリッジと、画像形成装置本体の基準となる電位は、同電位となるように接続されているので、その基準電位となる信号ラインと感圧抵抗センサ301やシートスイッチ311の基準電位は、共通にすることもできる。そうすることによって、信号ラインを1本削減することできるので電線とコネクタが削減でき、その分のコストを下げることができる。
【0060】
また、実施例1〜7においては、圧力を電圧に変換する例を挙げた。しかしながら、その他の電流、抵抗値、周波数に変換する圧力センサでも代用可能である。
【0061】
更に実施例1〜7においては、理解し易いように1回の検知でテーブルを参照するような説明をしている。しかし、複数回のデータを平均化した後に、それぞれのテーブルを参照するような制御にすると、更に検知精度をあげることができる。
【0062】
更に、実施例1〜7においては、現像ユニットが一体構成の例を挙げた。しかし、現像ローラ3とトナー容器23が別体となった補給系のトナー容器においても、トナー容器23の内部に圧力センサと検知マイラを設けることにより、本発明が適用可能である。
【0063】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、簡単な構成でトナーの量の多寡にかかわらず、逐次残量を検知でき、かつ高速で攪拌部材が動作しているときでも、トナーの残量を精度良く検知することができる。