特許第5825817号(P5825817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5825817
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】固体撮像素子及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/34 20060101AFI20151112BHJP
   G03B 13/36 20060101ALI20151112BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20151112BHJP
   H01L 27/14 20060101ALI20151112BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   G02B7/34
   G03B13/36
   H04N5/335 690
   H01L27/14 D
   H01L27/14 A
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-82189(P2011-82189)
(22)【出願日】2011年4月1日
(65)【公開番号】特開2012-215785(P2012-215785A)
(43)【公開日】2012年11月8日
【審査請求日】2014年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】西尾 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】大貫 一朗
(72)【発明者】
【氏名】福田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 亮
(72)【発明者】
【氏名】山本 英明
(72)【発明者】
【氏名】追川 真
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−065330(JP,A)
【文献】 特開2010−237401(JP,A)
【文献】 特開2010−066494(JP,A)
【文献】 特開2009−017152(JP,A)
【文献】 特開平10−042314(JP,A)
【文献】 特開2003−009010(JP,A)
【文献】 特開2005−086082(JP,A)
【文献】 特開2005−086083(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/083704(WO,A1)
【文献】 特開2007−281144(JP,A)
【文献】 特開2005−135960(JP,A)
【文献】 特開2004−080380(JP,A)
【文献】 特開2004−172278(JP,A)
【文献】 特開2004−079747(JP,A)
【文献】 特開2010−147143(JP,A)
【文献】 特開2007−103590(JP,A)
【文献】 特開2010−093619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/34
G03B 13/36
H01L 27/14
H01L 27/146
H04N 5/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロレンズと複数の光電変換部とを有する単位画素が2次元に配列された画素群を備え、当該画素群が撮像用画素と焦点検出用画素を含む固体撮像素子であって、
前記画素群の一部に焦点検出用画素として、前記複数の光電変換部のそれぞれを部分的に遮光する遮光部を設け
前記遮光部は、異なる形状の複数の開口を有し、当該開口は前記複数の光電変換部のうち、隣接する一対の光電変換部を部分的にまたがるように形成されることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】
前記焦点検出用画素には、第1ないし第4の遮光部のいずれかが設けられ、
前記第1ないし第4の各遮光部のそれぞれには、第1の開口と第2の開口が形成され、
前記第1の遮光部の第1及び第2の開口と第2の遮光部の第1及び第2の開口、並びに第3の遮光部の第1及び第2の開口と第4の遮光部の第1及び第2の開口はそれぞれ、画素中心で直交する2つの軸に対して、それぞれ線対称となるように形成されることを特徴とする請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記遮光部は、前記画素ごとにレイアウトされる電極により形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の固体撮像素子と、
前記焦点検出用画素からの信号を用いて焦点検出を行う焦点検出手段と、
前記焦点検出手段による検出結果に応じて合焦状態になるように光学系を制御する制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記焦点検出手段は、一対の前記焦点検出用画素を用いて位相差検出方式の焦点検出を行うことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記焦点検出手段は、前記焦点検出用画素における前記複数の光電変換部からの信号を加算した信号を用いて焦点検出を行うことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記複数の光電変換部からの信号の加算方法を変えることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像用画素は、被写体像を撮像した画像に視差が生じるように構成されていることを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型の撮影機器にも簡素な構成で特殊な効果や機能を搭載するものがあり、その一例として被写体空間の3次元画像の元となる視差情報の取得を簡易に取得できる撮影機器がある。また撮影機器の撮影光学系の焦点調節を素早く且つ正確に行うためには、3次元情報を得るための視差情報から被写体距離をより正確に検出することが望まれる。
【0003】
上記素早く正確な焦点検出を行う技術として、特許文献1には、焦点検出機構に位相差検出方式の焦点検出手段を組み合わせたものが記載されている。また焦点検出を行うための専用ユニットを用いないものとして、特許文献2には固体撮像素子の撮像用画素の一部を、位相差方式の焦点検出用画素として用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−125814号公報
【特許文献2】特開2007−158109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では焦点検出のための専用ユニットが必要であり、且つ焦点検出を行う際は固体撮像素子に入射する光の全体または一部分を取り込む必要がある。また特許文献2では固体撮像素子の一部の配列を異ならせるために電気的な構成が複雑になり、撮像用画素をそのままの構成で焦点検出用画素として用いるため正確な焦点検出が行えない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、電気的な構造を複雑化することなく撮像用画素と焦点検出用画素とをレイアウトすることができる固体撮像素子及び撮像装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の固体撮像素子は、マイクロレンズと複数の光電変換部とを有する単位画素が2次元に配列された画素群を備え、当該画素群が撮像用画素と焦点検出用画素を含む固体撮像素子であって、前記画素群の一部に焦点検出用画素として、前記複数の光電変換部のそれぞれを部分的に遮光する遮光部を設け、前記遮光部は、異なる形状の複数の開口を有し、当該開口は前記複数の光電変換部のうち、隣接する一対の光電変換部を部分的にまたがるように形成される
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気的な構造を複雑化することなく撮像用画素と焦点検出用画素とをレイアウトすることができる固体撮像素子及び撮像装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態の電子カメラのブロック構成図。
図2】実施形態1の固体撮像素子の画素配列図。
図3】実施形態1の縦縞検知用の焦点検出用画素の詳細図。
図4】実施形態1の横縞検知用の焦点検出用画素の詳細図。
図5】画素への入射角度と出力値との関係を示す図。
図6】実施形態2の固体撮像素子の画素配列図。
図7】実施形態2の第1配置の焦点検出用画素の詳細図。
図8】実施形態2の第2配置の焦点検出用画素の詳細図。
図9】画素への入射角度と出力値との関係を示す図。
図10】本実施形態の固体撮像素子における読み出し回路の構成図。
図11】焦点検出用画素の断面構造を説明する図。
図12】焦点検出用画素の瞳投影を説明する図。
図13】焦点検出時の出力信号とデフォーカスマップを説明する図。
図14】本実施形態の電子カメラによる撮影処理を示すフローチャート。
図15図14のステップS131における焦点検出処理を示すフローチャート。
図16図14のステップS161における画像記録処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、後述する各実施形態の一部を適宜組み合わせて構成しても良い。
【0011】
本発明の固体撮像素子及び撮像装置は、特にデジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ(以下、カメラ)に有用なものであり、1つのマイクロレンズに覆われた複数の光電変換素子を単位画素とした複数の画素群を有する。そして、これら光電変換素子の受光角度の違いを利用して3次元画像を生成するための視差情報や被写体全域にわたる距離情報を取得すると共に、フォーカスレンズの焦点調節用の精密な測距情報を取得できるようにしたものである。
【0012】
[カメラの構成]先ず図1を参照して、本発明の固体撮像素子及び撮像装置を適用したカメラの構成について説明する。本実施形態のカメラは、固体撮像素子を有したカメラ本体と撮影光学系が一体となっており、動画及び静止画が記録可能である。
【0013】
図1において、101は撮影光学系(結像光学系)の先端に配置された第1レンズ群で、光軸方向に移動可能に保持される。102は絞りで、その開口面積を調節することで撮影時の光量調節を行うほか、静止画撮影時には露光秒時調節用シャッタとしての機能も備える。103は第2レンズ群である。そして絞り102及び第2レンズ群103は一体となって光軸方向に駆動され、第1レンズ群101との連動により変倍作用(ズーム機能)を実現する。
【0014】
105は第3レンズ群で、光軸方向の移動により焦点調節を行う。106は光学的ローパスフィルタで、撮影画像の偽色やモアレを軽減するための光学素子である。107はCMOSイメージセンサとその周辺回路で構成された固体撮像素子である。固体撮像素子107は、単位画素が水平方向にM画素、垂直方向にN画素それぞれ2次元に配列された矩形の画素群からなり、ベイヤー配列の原色カラーモザイクフィルタがオンチップで形成された、2次元単板カラーセンサが用いられる。
【0015】
111はズームアクチュエータで、不図示のカム筒を手動もしくはアクチュエータで回動することにより、第1レンズ群101ないし第3レンズ群103を光軸方向に駆動し、ズーム機能を実現する。112は絞りアクチュエータで、絞り102の開口面積を制御して撮影光量を調節すると共に、静止画撮影時の露光時間制御を行う。114はフォーカスアクチュエータで、第3レンズ群105を光軸方向に駆動して焦点調節を行う。
【0016】
115は無線又は有線の通信器で、インターネット等のネットワーク回線を通じてサーバーコンピュータと通信するためのアンテナや信号処理回路で構成される。116はカメラの姿勢検知センサで、カメラの撮影姿勢、すなわち横位置撮影か縦位置撮影かを判別するための電子水準器が用いられる。
【0017】
121はCPUで、カメラ本体の種々の制御を司るために、演算部、ROM、RAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェイス回路等を有する。そしてROMに記憶された所定のプログラムに基づいて、カメラが有する各種回路を駆動し、AF、撮影、画像処理と記録等の一連の動作を実行する。
【0018】
122は通信制御回路で、通信器115を介してカメラから撮影画像データをサーバーコンピュータへの送信を行ったり、サーバーコンピュータから画像データや各種情報の受信を行ったりする。123は姿勢検知回路で、姿勢検知センサ116の出力信号からカメラの姿勢を判別する。124は撮像素子駆動回路で、固体撮像素子107の撮像動作を制御し、固体撮像素子107から取得したアナログ画像信号をデジタル信号に変換してCPU121に出力する。125は画像処理回路で、固体撮像素子107から取得した画像信号のγ変換、カラー補間、画像圧縮等の処理を行ない、デジタル画像データを生成する。
【0019】
126はフォーカス駆動回路で、後述する焦点検出結果に基づいてフォーカスアクチュエータ114を駆動し、第3レンズ群105を光軸方向に駆動して焦点調節を行う。128は絞り駆動回路で、絞りアクチュエータ112を駆動して絞り102の開口面積を調節する。129はズーム駆動回路で、撮影者による操作スイッチ132を介したズーム操作に応じてズームアクチュエータ111を駆動する。
【0020】
131はLCD等の表示器で、カメラの撮影モードに関する情報、撮影時のプレビュー画像と撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態表示画像、カメラの姿勢情報等を表示する。132は操作スイッチ群で、電源スイッチ、撮影開始スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等で構成される。133はカメラ本体に対して着脱可能なフラッシュメモリで、撮影済みの画像データを記録する。
【0021】
[実施形態1]次に図2を参照して、実施形態1の固体撮像素子の画素構成について説明する。
【0022】
図2は2次元CMOSエリアセンサの縦(Y方向)13行と横(X方向)15列の範囲を、撮影光学系から観察した状態を示している。カラーフィルタはベイヤー配列が適用され、奇数行の画素には、左から順に緑(Green)と赤(Red)のカラーフィルタが交互に設けられる。また、偶数行の画素には、左から順に青(Blue)と緑(Green)のカラーフィルタが交互に設けられる。211i、221i等の円はオンチップマイクロレンズを表わす。オンチップマイクロレンズの内側に配置された複数の矩形はそれぞれ光電変換部である。
【0023】
また、図中で黒くハッチングされた部分は単位画素内で遮光されている部分である。
【0024】
以下の説明では、単位画素内の各光電変換部を連結した形状を連結形状、当該連結形状の中心を連結中心と称する。
【0025】
211は第1の画素で、X方向とY方向にそれぞれ2分割された計4個の光電変換部211a〜211dを有する。これら光電変換部211a〜211dは、画素中心で直交するX軸及びY軸に対して、それぞれ線対称となるように分割されている。すなわち、各分割領域の平面形状は正方形、4個の領域を合わせた連結形状も正方形で、像面上のすべての位置において同一の形状となっている。第1の画素211で光電変換された出力信号は、画像データの生成用及び合焦位置近傍での焦点検出用に供される。ここで画像データには、JPEG等のフォーマットで規定された通常の2D(Dimensional)画像データのほかに、視差情報を含む複数の画像データから構成される3D画像データも含み、また動画データと静止画データのいずれも該当する。
【0026】
第2の画素221、及び第3の画素222は、後述する第1の遮光部m1〜第4の遮光部m4が設けられている以外は第1の画素211と同等の構成を有している。
【0027】
第2及び第3の各画素221,222は直交方向の被写体像(縦縞及び横縞パターン)をそれぞれ検出するもので、図示の画素配列では、第2の画素221は水平方向、第3の画素222は垂直方向の被写体像をそれぞれ検知する。
【0028】
図3及び図4は第2及び第3の各画素221,222の拡大図であり、単位画素における4個の光電変換部をa〜dで示している。
【0029】
第2及び第3の各画素221,222はそれぞれ、4個の光電変換部a〜dにまたがるような異なる形状の開口が形成された第1ないし第4の4種類の遮光部m1〜m4が設けられている。第1ないし第4の各遮光部m1〜m4のそれぞれには、画素ごとに4個の光電変換部a〜dを部分的にまたがるような第1ないし第4の異なる形状の開口n1〜n4が形成されている。そして、上記第1ないし第4の各遮光部m1〜m4のうち、第1の遮光部m1の第1の開口n1と第2の遮光部m2の第2の開口n2、並びに第3の遮光部m3の第3の開口n3と第4の遮光部m4の第4の開口n4はそれぞれ、画素中心で直交する2つのX軸、Y軸に対して、それぞれ線対称となるように形成される(図3及び図4参照)。
【0030】
そして、第2及び第3の各画素221,222では、4個の光電変換部a〜dの出力信号の加算方法が以下のように分類される。
(i)a、b、c、dの信号を加算
(ii)a、bの信号を加算
(iii)c、dの信号を加算
図5は、図3に示す遮光部m1、m2が設けられた画素を示している。
【0031】
本実施形態では、図中の(A)画素と(B)画素のように部分的に遮光された画素を一対として互いの出力値の関係により焦点検出を行う。
【0032】
図5中のグラフは、均一な輝度の被写体を撮影した場合において、撮影光学系の入射瞳から(A)画素と(B)画素に射出される光線の角度を横軸に、それに対する光電変換強度の変化を縦軸で表したもので一般には瞳強度分布と呼ばれている。
【0033】
以下では(A)画素について説明を行うが、(B)画素は(A)画素に対して遮光部の形状(開口)が左右(ここではX軸方向)対称なだけであるため瞳強度分布も左右対称な特性となる。また、図4に示す遮光部m3,m4については、瞳強度は図5とは異なるものの、瞳強度分布は左右対称な特性となる。
【0034】
図5中の瞳強度分布グラフにて破線で囲まれた(アa)及び(ア‘a)は、遮光部が設けられていない第1の画素211の出力値の上記(ii)及び(iii)の状態における瞳強度分布である。通常の2D画像データの撮像用に用いる場合は上記(i)のようにa〜dの各信号を加算して単一の画素の役割を持たせる。
【0035】
また遮光部が設けられた状態において、(イa)は上記(ii)の状態における瞳強度分布、(ウa)は上記(iii)の状態における瞳強度分布である。また図5中の重複している瞳強度分布領域は加算されて2倍の強度を有するようになる。
【0036】
このように各光電変換部の出力信号の加算方法を変化させることにより、見かけ上遮光部の短辺の長さ(スリット幅)を変化させたような作用を付与することができる。
【0037】
[実施形態2]次に図6を参照して、実施形態2における固体撮像素子の画素構成について説明する。なお、実施形態2において、カラーフィルタ、画素及び光電変換部の構成及び配置並びに各画素の出力信号の利用方法は実施形態1と同様である。
【0038】
図6中の第2及び第3の各画素621,622で光電変換された出力信号は、画像データの生成用及び合焦位置近傍での焦点検出用に供される。
【0039】
ここで第2及び第3の各画素621,622は、直交方向(縦縞及び横縞模様)の被写体像を後述する光電変換部の信号の加算方法により選択的に検出する。
【0040】
図7及び図8は第2及び第3の各画素621,622の拡大図であり、単位画素における4個の光電変換部をa〜dで示している。
【0041】
第2及び第3の各画素621,622には、実施形態1とは異なり、異なる形状の複数の開口を有し、各画素621,622の複数の光電変換部621a〜d,622a〜dを部分的に遮光する第1ないし第4の4種類の遮光部p1〜p4が設けられている。第1ないし第4の各遮光部p1〜p4のそれぞれには、4個の光電変換部a〜dのうち、隣接する一対の光電変換部aとb、cとdを部分的にまたがるような異なる形状を有する第1の開口q1x〜q4xと第2の開口q1y〜q4yが形成されている。そして、上記第1ないし第4の各遮光部p1〜p4のうち、第1の遮光部p1の第1及び第2の開口q1x,q1yと第2の遮光部p2の第1及び第2の開口q2x,q2y、第3の遮光部p3の第1及び第2の開口q3x,q3yと第4の遮光部p4の第1及び第2の開口q4x,q4yはそれぞれ、画素中心で直交する2つのX軸、Y軸に対して、それぞれ線対称となるように形成される(図7及び図8参照)。
【0042】
そして、第2及び第3の各画素621,622では、4個の光電変換部a〜dの出力信号の加算方法が以下のように分類される。
(i)a、b、c、dの信号を加算
(ii)a、bの信号を加算
(iii)c、dの信号を加算
(iv)cまたはd信号
図9は、図7における遮光部p1,p2が設けられた画素の瞳強度分布を示している。以下では(A)画素について説明を行うが、(B)画素は(A)画素に対して遮光部の開口が左右(ここではX軸方向)対称なだけであるため瞳強度分布も左右対称な特性となる。また、図8に示す遮光部p3,p4については、瞳強度は図9とは異なるものの、瞳強度分布は左右対称な特性となる。
【0043】
そして、図中の(A)画素と(B)画素のように部分的に遮光された画素を一対として互いの出力値の関係により焦点検出を行う。
【0044】
図9中の瞳強度分布グラフの破線で囲まれた(アa)及び(ア’a)は、上記(i)の状態における遮光部が設けられていない画素の瞳強度分布である。
【0045】
また遮光部が設けられた状態において、(エa)は上記(ii)の状態における瞳強度分布、(オa)は上記(iii)の状態における瞳強度分布である。
【0046】
また図9中の重複している瞳強度分布領域は加算されて2倍の強度を有するようになる。
【0047】
このように遮光された各光電変換部の出力信号の加算方法を変化させることにより、見かけ上遮光部の長辺及び短辺の長さ(スリット長及びスリット幅)を変化させたような作用を付与することができる。
【0048】
ここで、第2及び第3の各画素621,622の遮光部の開口をスリット状に形成する理由を説明する。
【0049】
位相差検出方式の焦点検出では、撮影光学系の射出瞳上で焦点検出用光束の瞳分割を行うが、瞳分割方向における瞳寸法が大きい場合には焦点検知像のボケが大きくなりすぎて焦点検出可能範囲が狭くなってくる。
【0050】
また、撮影光学系のF値が暗く(Fナンバーが大きい)なってくると焦点検出用光束のケラレが大きくなり、一対の焦点検知信号の相似性が損なわれてくるため焦点検出能力が低下してくる。更にこのケラレ現象はデフォーカス量に依存するため、デフォーカス量が大きいときには焦点検出能力が一層低下してしまう。
【0051】
ここで、撮影光学系の射出瞳面上における焦点検出用瞳と、固体撮像素子の各画素における光電変換部とは、オンチップマイクロレンズを介して共役関係にある。そこで、焦点検出用画素の開口をスリット形状として評価しうる被写体の縞パターン方向を開口の短辺方向とすることで、焦点検出用の瞳分割方向における瞳寸法を小さくすることで上記焦点検出能力の低下を回避する。
【0052】
他方、合焦位置近傍、すなわちデフォーカス量が小さい場合には焦点検出用瞳の寸法が大きくとも焦点検知像のボケは小さいものとなる。
【0053】
よって、現在撮像を行っている被写体像が合焦位置近傍であると判断された場合には、光電変換部a、b、c、dの出力信号を全て加算した出力値を焦点検出用信号とすればよい。
【0054】
また更には、第1の画素211の出力信号も焦点検出に用いることで、焦点検出に用いる焦点検出用信号の情報量が増加し、画素出力のノイズの影響が低減され、焦点検出精度がより一層向上できる。
【0055】
[読み出し回路構成]次に図10を参照して、本実施形態の固体撮像素子における読み出し回路の構成について説明する。図10において、151は水平走査回路、153は垂直走査回路である。そして各画素の境界部には、水平走査ライン152aないし152dと、垂直走査ライン154aないし154dが配線され、各画素の光電変換部から上記各走査ラインを介して画素信号が読み出される。
【0056】
上記4個の光電変換部を有した画素は全て同様な構造となっており、撮像用画素と焦点検出用画素に応じて光電変換部の数が異なるような複雑な構造にはしていない。
【0057】
図中の配線構造は簡略化のため同じ線幅で示しているが、後述するように画素内での線幅を変えることで遮光部の役割を有するように設定を行う。
【0058】
なお、本実施形態の固体撮像素子は第1及び第2の2種類の読み出しモードを有する。第1の読み出しモードは全画素読み出しモードと称し、高精細静止画を撮像するために全画素の信号が読み出される。
【0059】
第2の読み出しモードは間引き読み出しモードと称し、動画又はプレビュー画像の表示のみを行うためのモードである。この場合に必要な画素数は全画素よりも少ないため、第1の画素211はX方向及びY方向ともに所定比率に間引いた画素のみ読み出す。また第2及び第3画素221,222,621,622からすべての信号を読み出すことで、焦点検出機能は維持される。
【0060】
図11は本実施形態の画素群における焦点検出用画素の断面構造を模式的に示している。詳細は特開2009−244862号公報に記載された通りであり、この公知技術を本実施形態に適用している。
【0061】
図11中、光電変換部302は、シリコン基板301に埋め込まれている。透明ポリシリコン電極303が光電変換部302とシリコン基板301の上面に設けられる。
【0062】
多層構造を有する第1ないし第3の各電極群304〜306は、透明ポリシリコン電極303の上方に設けられる。第3の電極群306は各画素の境界部に配置されている。これら3層の電極群304〜306はアルミニウムもしくは銅等の金属膜をエッチングして形成される。
【0063】
また、第1ないし第3の各電極群304〜306は、二酸化珪素(SiO2)等からなる透明な層間絶縁膜307によって絶縁されている。308は第3の電極群306の上部を覆うパッシベーション膜、309は第1の平坦化層である。310はカラーフィルタである。311は第2の平坦化層、312はマイクロレンズである。
【0064】
撮像用画素と焦点検出用画素とは、画素内における第1の電極群304及び第2の電極群305の形状が異なっている。
【0065】
焦点検出用画素にスリット状の開口を形成するように第1及び第2の各電極群304,305の幅が隣接する電極間の絶縁領域も考慮すると、撮像用画素の幅OP0に対し図中のOP1及びOP2のようにレイアウトされる。
【0066】
このように本実施形態では、第1及び第2の各電極群304,305を遮光膜として用いて画素に瞳分割機能を付与し、焦点検出用画素を形成している。
【0067】
他方、撮像用画素は、第1及び第2の各電極群304,305が破線で示した長さになっており、図中のOP0で示した開口領域として光電変換部に十分に導光されるようにレイアウトされる。
【0068】
なお、図11は一方向の断面のみを示しているが、この断面と直交する方向(奥行き方向)について、第2の電極群305も第1の電極群304と同様に画素の仕様に合わせて電極の幅や形状が設定される。
【0069】
このように、光電変換部の構成を撮像用画素と焦点検出用画素とで特に差異を設けなくとも、上記遮光部や構成(上述の例では配線の幅を変化させる構成)を焦点検出用画素に施し、光電変換部の信号の加算方法を変えることにより、電気的な構造を複雑化することなく撮像用画素と焦点検出用画素をレイアウトすることができる。
【0070】
図12は、撮影光学系の一次元方向(例えばX方向)の位相差検出用画素(焦点検出用画素)の瞳投影を説明する図である。
【0071】
図12では、図11で示した画素構造(一部簡略化している)を左右方向に反転させた向きでの2つの画素(a)及び(b)を一対として被写体像の位相差を検知する。
【0072】
図11で示した構造で設定される開口OP0は、マイクロレンズ312を介して図12に示す撮影光学系の射出瞳TLの瞳EP0a及びEP0bとして投影される。
【0073】
他方、焦点検出用画素では遮光部の開口が図12のOP1及びOP2に規制されている。このため、瞳EP0a及びEP0bの領域内にOP1に対応した瞳は図12のEP1a及びEP1b、同様にOP2に対応した瞳はEP2a及びEP2bとなるように瞳が分割され、その瞳領域を通過した光束を画素(a)及び(b)が受光する。
【0074】
そして、画素(a)及び画素(b)は、図2及び図6に示したように水平方向および/または垂直方向に規則的に配列されている。そこで、複数の画素(a)の出力信号を連ねて生成した第1の像信号と、複数の画素(b)の出力信号を連ねて生成した第2の像信号との像ずれ量、すなわち位相差を検出することで被写体像のデフォーカス量が検出できる。
【0075】
本実施形態では、固体撮像素子の全面にわたって、各画素が複数の光電変換部を有し、各光電変換部は1つのマイクロレンズを通じて受光を行うため、各光電変換部とマイクロレンズの光軸との位置関係はそれぞれが異なったものになる。そのため、各光電変換部に入射する被写体像はそれぞれがズレを生じたものを受光していることとなる。
【0076】
そこで画素内の全ての光電変換部の信号を加算して扱えば解像度は低下するが通常の2D画像データとして用いることができる。
【0077】
他方、本実施形態の画素構成によれば、1画素中の4つの光電変換部で水平方向または垂直方向に隣接する光電変換部の出力信号を加算して1つの画素から2つの像信号を分けて出力する。これにより、上述したように各像信号で再現される被写体像の視差画像を取得できるので、以下の方法で3D画像データを生成することが可能である。
【0078】
[3D画像データの生成方法]図13は、焦点検出時に取得された画像と焦点検出信号、並びに焦点検出結果から得られたデフォーカスマップを示している。図13(a)において、撮像面に形成された被写体像には、中央に近景の人物、左側に中景の樹木、右側に遠景の山並みが写っている。以下、図13における焦点検出信号として、第3の画素222の信号を採用した場合について説明する。
【0079】
図13(a)においては、画面中央に人物の顔が存在している。そこで公知の顔認識技術によって顔の存在が検出されると、顔領域を中心に第3の画素222による一対の焦点検出用信号AFb及びAFcが得られる。また、顔以外の領域は、所定ピッチで焦点検出領域が撮画面全面にわたって設定される。図13(a)の左は木の幹に対応した焦点検出領域とその信号が、右上には山の稜線に対応した焦点検出領域とその信号が示されている。そして、各焦点検出領域にて得られた一対の信号はそれぞれ横ずれしているため、公知の相関演算により横ずれ量を計算し、さらに上記横ずれ量を基線長で除算を行うことでデフォーカス量を算出する。
【0080】
その後、主被写体、図13(a)では中央に位置する顔領域について、デフォーカス量がゼロとなるように撮影光学系のフォーカスレンズを駆動し、再度焦点検出を行う。
【0081】
以上の焦点調節過程で、撮影画面全面における焦点ずれ情報、いわゆるデフォーカスマップが取得できるが、その一例を図13(b)に示す。図13(b)は、デフォーカス量を所定の分解能に基づいて整理統合し、デフォーカス量の小さい領域から順に、DEF0ないしDEF3に統合した例である。
【0082】
[撮影処理]図14ないし図16のほか、図1ないし図13を参照しながら、本実施形態のカメラによる撮影処理について説明する。以下に説明するフローチャートは、CPU121がROMに格納されたプログラムをRAMのワークエリアに展開することにより実行される。
【0083】
図14は実施形態1によるメインルーチンの撮影処理を示すフローチャートである。
【0084】
図14において、撮影者がカメラの電源スイッチをオン操作すると、ステップS102では、CPU121はカメラ内の各アクチュエータや固体撮像素子の動作確認を行い、メモリ内容や実行プログラムの初期化を行うと共に、撮影準備動作を実行する。
【0085】
ステップS103では、CPU121は撮影条件の設定受付け処理を行う。具体的には、露光調節モード、焦点調節モード、画像記録モード(2D又は3D)、画質(記録画素数や圧縮率)等を撮影者による設定操作を受け付ける。
【0086】
ステップS104では、CPU121は画像記録モードを判定し、3D画像記録モードが設定されていたら、ステップS105にて、撮影時の絞り値を開放に設定する。ここで、3D画像記録モードの場合は一対の画像が適正な視差情報を有していることが必要だが、光量調節のために撮影光学系の絞りを小絞りにしてしまうと、視差情報が減少してしまう。よって、3D画像記録モードでは絞りを開放に固定し、露光量は固体撮像素子の蓄積時間にて調節する。
【0087】
一方、ステップS104にて2D画像記録モードに設定されていたら、CPU121はステップS106にて絞り値を指定値に制御する。ここでの指定値とは、絞り優先AEでは撮影者が選択した絞り値、プログラムAEでは予め設定された露出制御プログラムに基づく絞り値となる。
【0088】
ステップS107では、CPU121は撮影光学系のズーム状態、フォーカスレンズ状態、及び絞り状態を検出し、射出瞳の大きさや射出瞳距離等の情報をROMから読み出す。
【0089】
ステップS108では、CPU121は固体撮像素子の撮像動作を開始し、画素信号を読み出す。
【0090】
ステップS109では、CPU121は読み出した画素信号から表示用縮小画像を生成し、カメラ本体の背面に設けられた表示器131に表示する。すると撮影者はこのプレビュー画像を目視して構図決定やズーム操作等を行う。
【0091】
ステップS131では、CPU121は後述する焦点検出処理を実行する。
【0092】
ステップS151では、CPU121はステップS131で算出したフォーカスレンズ駆動量が所定値以下か否かを判定する。そして駆動量が所定値以下の場合は合焦と判定しステップS153に移行するが、所定値を超えている場合はステップS152でフォーカスレンズを駆動する。
【0093】
ステップS153では、CPU121は撮影スイッチがオンされたか否かを判定し、オンされていなければステップS181に移行し、オンされた場合はステップS161にて後述する画像記録処理を実行する。
【0094】
ステップS181では、CPU121はメインスイッチの状態を判定し、オン状態が維持されている場合はステップS102に戻り、オフされたらステップS182に移行する。
【0095】
ステップS182では、CPU121はステップS161で記録された画像データを、インターネット回線を介してサーバーコンピュータに送信する。するとサーバーコンピュータでは、3D画像データの視差情報の再構成や、デフォーカスマップの高精度演算等、演算規模の大きな処理を実行する。
【0096】
ステップS183では、CPU121はサーバーコンピュータで処理した画像データを受信する。
【0097】
ステップS184では、CPU121はステップS161で記録した元画像データに対して、サーバーコンピュータで処理した修正部分の追加や置き換え修正を行い、撮影処理を終了する。
【0098】
<焦点検出処理>図15図14のステップS131におけるサブルーチンの焦点検出処理を示すフローチャートである。図14のステップS131から焦点検出サブルーチンへ移行すると、ステップS132において、CPU121はプレビュー画像から被写体パターンを認識し、顔画像の判別や、撮影画面全体のコントラスト分析等を行う。
【0099】
ステップS133では、CPU121はステップS132での認識結果から、焦点を合わせるべき主被写体を決定する。
【0100】
ステップS134では、CPU121はステップS107で取得したレンズ情報に基づき、撮影光学系の射出瞳計算を行う。具体的には、射出瞳の大きさや像面からの距離を算出し、次いで像高毎のビネッティング計算を行う。
【0101】
ステップS135では、CPU121はステップS134で計算した射出瞳情報に基づき、焦点検出エリアごとに、ケラレの影響が少ない画素群を選択する。
【0102】
ステップS136では、CPU121は選択された画素群の各光電変換部の出力信号から相関演算用の一対2像を生成する。なお、ここで選択される画素群は1種類には限定されず、ビネッティングの影響が少ない画素群であれば、複数種を選択する。
【0103】
ステップS137では、CPU121は生成した焦点検出信号に対して、ビネッティングにより生じた光量アンバランスを軽減する、いわゆるシェーディング補正を施す。これにより、2像の強度差が軽減され、焦点検出精度が向上する。
【0104】
ステップS138では、CPU121はシェーディング補正が施された2像の横ずれ量uを算出するための相関演算を行う。
【0105】
ステップS139では、CPU121はステップS138での相関演算の過程で算出された2像の一致度から、像ずれ検出結果の信頼性を判定し、信頼性の低い値は不採用とする。
【0106】
ステップS140では、CPU121はステップS138及びS139にて得られた信頼性の高い像ずれ量と、焦点検出に用いた画素群の基線長から、像ずれ量を基線長で除算することによりデフォーカス量を算出する。
【0107】
ステップS141では、CPU121は撮影領域全域におけるデフォーカスマップを作成する。なお、デフォーカスマップの分解能(平面方向及び奥行き方向)を高くすると演算時間も増加するため、動画の記録レートに影響を及ぼさない程度の分解能に設定する。そして、詳細なデフォーカスマップが必要な場合は、図14のステップS182で説明したように、高性能のサーバーコンピュータにて実施すればよい。
【0108】
ステップS142では、CPU121はステップS133で決定した主被写体領域と、ステップS141で作成したデフォーカスマップに基づき、フォーカスレンズの駆動量を算出する。その後、図14のメインルーチンにリターンする。
【0109】
<画像記録処理>図16図14のステップS161におけるサブルーチンの画像記録処理を示すフローチャートである。
【0110】
図16において、撮影スイッチがオン操作され、図14のステップS161から画像記録サブルーチンへ移行すると、CPU121はステップS162にてカメラの姿勢検知を行う。
【0111】
ステップS163では、CPU121は姿勢検知結果に基づき、重力方向に応じた光電変換部の加算と画素の補間処理を行う。
【0112】
ステップS164では、CPU121は所定のフォーマットに則った3D画像データを生成する。
【0113】
ステップS165では、CPU121はステップS164で生成した画像データから、視差情報を消去した通常の2D画像データを生成する。例えば、一対の画像における同一座標の画素情報同士を加算することで、視差情報が消失した2D画像データが得られる。
【0114】
ステップS166では、CPU121はステップS164及びS165で生成した画像データに所定の圧縮処理を施し、フラッシュメモリ133に記録する。
【0115】
ステップS167では、CPU121は図14のステップS141で作成したデフォーカスマップを画像に関連付けて記録する。その後、図14のメインルーチンにリターンする。
【0116】
以上説明したように、本実施形態によれば、電気的な構造を複雑化することなく撮像用画素と焦点検出用画素をレイアウトすることができる。
【0117】
[他の実施形態]本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上記実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び当該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16