(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から知られているカラー画像形成装置には、像担持体である感光ドラム上に形成したトナー像を中間転写体に一旦転写(以後、「1次転写」と呼ぶ。)し、その後、中間転写体のトナー像を記録材に再度転写(以後、「2次転写」と呼ぶ。)するものがある。
【0003】
このような装置では、1次転写手段や中間転写体の抵抗値の耐久変動及び環境変動に対応する為に、転写電圧制御として、ATVC制御法(Active Transfer Voltage Controlの略、以下「ATVC」と呼ぶ。)を採用している。ATVCは、感光ドラム上の非画像部に対し1次転写部を予め設定された値で定電流制御し、このときの発生電圧値の変動により1次転写手段の抵抗変動を検知し、画像形成時には先の発生電圧値を演算処理した結果で定電圧制御を行う制御法である。
【0004】
ATVCの実施タイミングとしては、プリント出力時の1次転写手段や中間転写体の抵抗値の耐久変動及び環境変動に対応する為に、画像形成開始の直前としている。また、最近のカラー画像形成装置では、現像装置の耐久性向上の為に、感光ドラムに対して現像装置が離接する構成を採用している。現像装置は画像形成開始の直前に感光ドラムに当接し、画像形成終了の直後に離間している(以下、現像装置の感光ドラムに対する当接、離間を、単に「現像当接」、「現像離間」という。)。このようなカラー画像形成装置の場合、ATVCの実施は安定化を図るために感光ドラム上にトナーが介在していない現像当接前としている。現像当接前にATVCを実施するのは、カブリトナーの影響でATVC中の転写電流が暴れるのを避ける為である。
【0005】
転写電圧制御時、感光ドラムは、帯電ローラにより接触帯電された部分に1次転写部にて転写バイアスが印加される。接触帯電方式は一般的にDC、又は、ACとDCを重畳させたバイアス印加方式を使用しており、電圧印加時に放電を繰り返す。そのため、この放電による被帯電体である感光ドラムの表面劣化が大きく、劣化した感光ドラム表面部分がクリーニングブレードなどの当接部との摩擦により削り取られ、これにより感光体の感光層が次第に薄くなっていくことになる。特に、現像当接前は感光ドラム上にトナーが介在していないので、感光ドラム表面部分とクリーニングブレードの当接部の摩擦はより大きくなり、感光ドラム表面部分の削れが更に促進されることになる。
【0006】
このように感光ドラムの感光層が次第に薄くなっていくと、感光ドラムの静電容量が増加し、これに伴いATVC制御によって検出される初期検出電圧VOが下がる。そのため、転写コントラスト(感光ドラムの表面電位と1次転写バイアスとの差の絶対値)が小さくなり、転写不良等の問題が発生する。
【0007】
感光ドラム表面とクリーニングブレードの当接部の摩擦を抑制する方法としては、記録材に転写されない吐き出しトナー像を感光ドラムに形成する場合がある。特許文献1には、記録材に転写する通常の画像形成開始に先立つ前回転時に、感光ドラムに吐き出しトナー像を形成する画像形成装置が示される。ここでは、吐き出しトナー像をクリーニング装置のクリーニングブレードに供給して潤滑剤の役目としている。
【0008】
特許文献2には、記録材に転写する通常の画像形成の間隔で感光ドラムに吐き出しトナー像を形成する画像形成装置が示される。ここでは、現像装置の連続使用時間が所定値に達すると、吐き出しトナー像を感光ドラムに形成して、現像ローラに長時間連れ回りして劣化したトナーを一掃して新しいトナーに置き換える。
【0009】
また、感光ドラムの耐久に伴う転写不良を防止する方法としては、感光ドラムの耐久の進行に応じて転写時の目標電流を可変する場合がある。特許文献3には、感光ドラムの使用時間と、トナー像の量に基づいて、前記制御目標値を変更する画像形成装置が示されている。ここでは、感光ドラムの耐久枚数や現像装置のトナー像形成枚数(トナー像の量)によって、目標の転写電流値を徐々に上げ、最適な転写電流値にすることで、耐久後まで初期と同様の転写効率を得ている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0017】
実施例1
図1に、本発明に係る画像形成装置の一実施例であるカラー画像形成装置の全体構成を示す。
【0018】
本実施例にて、カラー画像形成装置1は、横一列に並設された複数の画像形成手段(画像形成部)を備えており、本実施例では、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4つの画像形成部8(8M、8C、8Y、8K)を備えている。各画像形成部は同じ構成とされ、像担持体であるドラム状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」と呼ぶ。)9(9M、9C、9Y、9K)を有している。感光ドラム9の周りには、帯電手段としての帯電装置10(10M、10C、10Y、10K)、露光手段としての露光装置11(11M、11C、11Y、11K)、現像手段としての現像装置12(12M、12C、12Y、12K)が配置されている。更に、感光ドラム9の周りには、クリーニング手段としてのクリーニング装置14(14M、14C、14Y、14K)が配置されている。
【0019】
画像形成部8(8M、8C、8Y、8K)の下方には、複数のローラ31、32、33に張設されて矢印方向に循環移動する中間転写体としての中間転写ベルト30が配置されている。また、各感光ドラム8と対向した位置に中間転写ベルト30を介して1次転写手段としての1次転写ローラ13(13M、13C、13Y、13K)が配置されている。
【0020】
また、本実施例にて、画像形成装置1の下部には、記録材Sを積載収容した給紙部2が配置され、給紙ローラ16にて、記録材Sを1枚毎に分離し、2次転写部T2へと給送するようになっている。2次転写部T2には、2次転写対向ローラ32と対向して2次転写手段としての2次転写ローラ34が配置されている。
【0021】
図2には、本実施例のカラー画像形成装置におけるマゼンタの画像形成部8Mを示す。このマゼンタの画像形成部8Mにて、本発明の画像形成装置による画像形成プロセスについて説明する。
【0022】
画像形成開始信号が入力されると、中間転写ベルト30、負極性のOPC感光ドラム9Mの回転が開始される。このとき、中間転写ベルト30は感光ドラム9Mに接触するように構成される。そして、感光ドラム9M表面を帯電装置である帯電ローラ10Mに負極性のDC電圧を印加することにより所望の帯電電位(VD)に帯電する(本実施例では負極性)。次いで、帯電された感光ドラム9M表面に露光装置11Mにより画像情報に基づいた画像露光(露光電位VL)がなされ静電潜像が形成される。
【0023】
次に、感光ドラム9M上に形成された静電潜像を現像装置12Mによりマゼンタトナー(負帯電特性のトナー)で現像し、感光ドラム9M上にマゼンタトナー像が形成される。このマゼンタトナー像は、1次転写部T1Mにて1次転写ローラ13Mにより中間転写ベルト30に静電的に転写される。このとき、1次転写ローラ13Mには、転写バイアス制御手段50Mに制御された転写電源51Mより所定の電圧(本実施例では正極性の電圧)が印加される。
【0024】
1次転写時に中間転写ベルト30に転写されないで感光ドラム9M表面に残ったトナー(残留トナー)は、クリーニング装置14Mによって除去され、廃トナー容器(不図示)に回収される。こうして表面が清掃された感光ドラム9Mは、帯電から始まる次の画像形成に供される。
【0025】
本実施例においては、画像形成部8Mを構成する、上述の感光ドラム9M、帯電ローラ10M、現像装置12M、クリーニング装置14Mは、カートリッジ容器15M(
図2中の点線で図示)に一体的に組み込まれて、全体でカートリッジを構成している。このカートリッジ8Mは、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されていて、例えば感光ドラム9Mが寿命に達したときには、全体が画像形成装置本体から取り出されて新規なものと交換されるようになっている。
【0026】
このような画像形成工程から転写工程は、
図1に示すように、他の画像形成部(即ち、カートリッジ)8C、8Y、8Kにおいても同様に繰り返される。他の画像形成部8C〜8Kにおける感光ドラム9C〜9K上に形成されたシアントナー像、イエロートナー像、ブラックトナー像は、1次転写部T1C〜T1Kにて中間転写ベルト30上に順次重ねて1次転写される。なお、
図1においては、
図2中の転写バイアス制御手段50M、転写電源51Mに相当する部材は省略している。
【0027】
その後、中間転写ベルト30上の複数色のトナー像は、所定のタイミングで給送される記録材Sに2次転写部T2にて2次転写ローラ34により一括して2次転写される。このとき、2次転写ローラ34には、
図1に示すように電源35により所定の電圧(本実施例では正極性の電圧)が2次転写ローラ34に印加され、記録材S上にトナー21が2次転写され、中間転写ベルト30上には転写残トナーとしてトナー22が残る。転写残トナー22は、中間転写体クリーニング装置17にて中間転写ベルト30から除去される。
【0028】
トナー像が転写された記録材Sは定着装置15に搬送され、定着装置15によりトナー像は記録材S上に加熱加圧して定着され、定着された記録材Sは機外に排出され、一連の画像形成工程は終了する。
【0029】
ここで、上述のトナー像の1次転写、即ち、各感光ドラム9M〜9K上のトナー像を中間転写ベルト30上に転写する際には、転写電圧制御を実行する。本実施例ではATVCによる定電圧制御を行った。
図3を参照して、ATVCについて説明する。
【0030】
マゼンタトナーを例にすると、画像形成時の帯電電位で帯電ローラ10Mにより、感光ドラム9Mを帯電する。転写バイアス制御手段50Mにより、転写電源(電圧印加手段)51Mを制御して所定の転写電圧(Vft1、Vft2、Vft3)の3種類の電圧を印加する。そして、その出力電圧に対応した電流値(Ift1、Ift2、Ift3)を電流検知手段52Mによって検知する。目標転写電流Ifttargetに対応する目標転写電圧Vfttargetを算出し、これを転写電圧として設定する。この転写電圧制御は、各色ごとに独立に行い、転写電圧制御実施タイミングとしては、1次転写ローラや中間転写ベルトの抵抗値の耐久変動及び環境変動に対応する為に、画像形成直前に行う。
【0031】
次に、本実施例で用いた感光ドラム9(9M〜9K)について説明する。
【0032】
図4に感光ドラム9の層構成を示す。感光ドラム9は、有機感光体であり、内側(同図では下側)から順に、基層のアルミ層91とCP層(下引き層)92とUC層(正荷電注入防止層)93とCG層(電荷発生層)94とCT層(電荷輸送層)95とによって構成されている。同図に示す層構成では、UC層93とCG層94とCT層95とによって感光層が形成されることになる。従って、感光層の膜厚とは、UC層93とCG層94の膜厚とCT層95の膜厚との合計となる。なお、CT層95の上にコート層を塗るものもあるが、コストアップを抑制するため、総プリント枚数の少ない低コスト機ではあまり採用されていない。ここで、CT層95は初期の膜厚が20μmである。CG層94、及びUC層93は1μm以下の厚さでほぼ無視できる。CT層95は、帯電、クリーニングにより耐久とともに削られ、A4サイズ紙を2枚通紙して休止する設定(以後、「2枚間欠通紙」と呼ぶ。)を繰り返して、20000枚耐久後には、
図5に示すように、10μmぐらいまで削られ薄くなっている。
【0033】
次に、CT層95が削られることによって、転写不良が生じる事について説明する。
【0034】
図6に、感光ドラム9の2つの状態における転写コントラスト(感光ドラムの表面電位と1次転写バイアスとの差の絶対値)と1次転写電流との関係を示す。実線で示す感光ドラム9は、前述の様に負極性のOPC感光体を使用しており、その層構成は使用初期の状態であって、CT層95の膜厚は20μmである(以下、「初期ドラム」と呼ぶ。)。これに対して点線で示す感光ドラム9は、A4サイズ紙を2枚間欠通紙で20000枚(20K枚)耐久後の状態であって、CT層95の膜厚は10μmである(以下、「耐久ドラム」と呼ぶ。)。
【0035】
初期ドラムは、CT層95の膜厚が厚い(20μm)ために、静電容量が小さい。このため1次転写電流は流れにくい。一方、耐久ドラムは、CT層95の膜厚が薄くなるため(10μm)、静電容量が大きくなる。このため、使用初期と同じ転写コントラストであっても、一次転写電流がより多く流れる。このため、初期の目標電流が5μAであった場合、転写コントラストは、初期ドラムでは約800Vであるが、耐久ドラムでは、約730Vと小さくなる。
【0036】
また、現像剤も耐久により劣化する。
図7に、トナー帯電量の分布を示す。同図中の実線は使用初期のトナー(以下、「初期剤」と呼ぶ。)のトリボ分布を、また、破線はA4サイズ紙を2枚間欠通紙で20000枚耐久後のトナー(以下、「耐久剤」と呼ぶ。)のトリボ分布を示している。同図に示すように、耐久剤のトリボ分布は初期剤のトリボ分布に比べて、ブロードとなっている。これに伴い、転写効率は更に悪化してくる。従って、転写効率が悪化する最悪ケースとしては、耐久ドラムと耐久剤の組合せとなる。ここで、トナー帯電量分布の測定は、ホソカワミクロン(株)のESPARTアナライザー(商品名)を用い、測定に係るトナーを窒素ガスで吹き飛ばして測定装置の測定部(測定セル)内にサンプリング孔から導入することで行なった。また、トナーは3000個をカウントするまで行なった。
【0037】
図8に、1次転写におけるトナーについての、転写電流(1次転写電流)と転写効率との関係を示す。実線は初期剤を、また破線は耐久剤を示している。実線に示すように、初期ドラムと初期剤との組み合わせでは、転写効率がほとんど上昇しなくなるのが5μA(
図8の実線↓部分に相当)である。また破線に示すように、耐久ドラムと耐久剤との組み合わせでは、転写効率がほとんど上昇しなくなるのが12μA(
図8の破線↓部分に相当)となる。耐久剤の場合、転写効率は、転写電流が12μAのときに90%になるのに対して、初期剤の転写電流5μAでは80%と低下している。
【0038】
ここで、使用初期から転写電流を12μAに設定することも考えられるが、この場合には、転写コントラストが高くなりすぎて、ドラムメモリが発生するおそれがある。本実施例では
図6に示すように転写コントラストが900V以上であると、感光ドラム9上のトナー像のある部分と無い部分との間で中間転写ベルト30を突き抜けて転写ローラ13から直接感光ドラムに流れる転写電流量に差ができる。そのため、次の帯電で感光ドラム9の表面電位を均一にできず、画像上に黒点が発生したり、前に印字した画像の履歴が濃度差となるドラムメモリが発生する。初期ドラムで目標転写電流を12μAに設定すると転写コントラストは930Vとなり、ドラムメモリの発生領域となってしまう。
【0039】
次に、ATVCの実施タイミングとCT層95の削れ量の関係について説明する。
【0040】
CT層95は、帯電、クリーニングにより耐久とともに削られ、その削れ量は特に現像当接前の感光ドラム上にトナーが介在していない状態での回転時間が長い程顕著である。つまり、ATVCの実施回数が多い程、CT層95の削れ量は多くなり、従来の前回転時毎にATVCを実施するタイミングは、CT層95の削れ量を多くする設定となっている。本実施例ではATVCを従来からのプリントジョブの前回転時毎にするのではなく、感光ドラムの積算使用量、本実施例では通紙枚数に基づいて行う制御とした。以下に、その制御について説明する。
【0041】
本実施例の画像形成装置は、プリント枚数の定義を、表1のように用紙の通紙方向の長さで切り分けてカウントとする。
【0044】
用紙の通紙方向の長さをLとすると、
(1)Lがハガキ(縦)サイズ以上で、A5サイズ縦以下である場合(148[mm]≦L≦210[mm])、通紙1枚に対しカウント0.5とする。
(2)LがA5サイズ縦より大で、A4サイズ縦以下である場合(216[mm]<L≦300[mm])、通紙1枚に対しカウント1.0とする。
(3)LがA4サイズ縦より大で、LEGALサイズ以下である場合(300[mm]<L≦356[mm])、通紙1枚に対しカウント1.5とする。
【0045】
ただし,同一の用紙に両面印刷を行った際は,プリントカウントを二倍する。
【0046】
以下の表2に、代表的な用紙サイズ及び面積と、本実施例で定義している印刷回数(プリントカウント)との対応を示す。
【0048】
次に、ATVCを実施する間隔について説明する。
図9は、ある1日(24時間)に1時間毎にATVCを実施し、その結果(転写電圧)をモニターしたものである。転写電圧は昼間安定していて、深夜及び早朝において最大5V程度低くなり、1日(24時間)において転写電圧は大きく変化しない。ここで、深夜や早朝に変化する理由は、使用環境の変化や長期停止によるものと思われる。従って、使用環境が大幅に変わった時や、長時間使用されてなかった時等以外は、ATVCの頻度を少なくすることが可能である。本実施例では、温湿度センサーを搭載し、
図10の絶対水分量換算表から絶対水分量を求め、5g/m
2以上増減した時や、1時間以上プリント動作がなく放置されていた場合は、強制的にATVCを実施するようにしている。
【0049】
次に、プリントカウントに対するATVCを実施する間隔カウントについて
図11のフローチャートを用いて説明する。ATVCを実施する間隔は、感光ドラムの削れ量に比例して短くし、表3のような間隔でプリントジョブの前回転でATVCを実施することにした。
【0051】
プリント待機状態(S1)からプリントが開始されると(S2)、最初に、前のプリントからの絶対水分量の変化と放置時間を判定する(S3)。
【0052】
絶対水分量の増減が5g/m
2以上、又は、放置時間が1時間以上ならば(S3でYes)、ATVCを強制的に実施し(S4)、画像形成を行う(S10)。
【0053】
絶対水分量の増減が5g/m
2より小さいか、又は、放置時間が1時間より小さいならば(S3でNo)、プリントカウントを参照し、以下のように行う。
(1)3000カウント迄はATVCを実施せず、画像形成を行い(S5、S10)、
(2)3001〜5000カウント迄は1000カウント毎にATVCを実施してから画像形成を行い(S6、S6−1、S10)、
(3)5001〜10000カウント迄は500カウント毎にATVCを実施してから画像形成を行い(S7、S7−1、S10)、
(4)10001〜15000カウント迄は300カウント毎にATVCを実施してから画像形成を行い(S8、S8−1、S10)、
(5)15001〜20000カウント迄は100カウント毎にATVCを実施してから画像形成を行い(S9、S9−1、S10)、
(6)20001カウント以上は50カウント毎にATVCを実施してから画像形成を行い(S9、S9−2、S10)、
(7)最後にプリントカウントを積算して(S11)、プリント待機に戻る(S1)。
【0054】
本実施例では、
図1を参照すると、感光ドラム積算使用量としてのプリントカウントを、積算使用量取得手段としてのプリントカウント積算回路42によって取得(即ち、計数)している。プリントカウントがプリントカウント積算回路42に入力されるとCPU(制御手段)41は、各画像形成ステーション共に所定カウントに到達したらプリントジョブの前回転でATVCを実施するようにする。所定カウントには一定範囲を設けているので、ある1色をATVC実施する時に他色もこの範囲に入っていたら、同時にATVCを実施するようにしている。このようにすることで、効率良くATVCを実施することができる。また、CPU41はメモリ(記憶手段)40、本実施例では、不揮発性メモリを有し、プリントカウントを記憶し、電源OFF/ON後も残りの処理が継続される。
【0055】
ここで、従来の実施タイミングと本実施例の実施タイミングとでCT層95の削れ方を比較すると、A4サイズ紙を2枚間欠通紙で20000枚通紙した時、
図12に示すようにATVCを従来のタイミングで実施した場合(グラフの破線)、CT層95は10μmくらいまで削れ、ATVCを本実施例のタイミングで実施した場合は(グラフの実線)、CT層95は15μmくらいまで削れていた。
【0056】
また、
図13に初期ドラム、及びCT層95が15μmくらいまで削れた時のドラムの転写電流(1次転写電流)と転写効率との関係を各々示す。実線は初期ドラムと初期剤の組合せを、また破線は耐久ドラムと耐久剤の組合せの結果を示している。初期ドラムと初期剤との組み合わせと耐久ドラムと耐久剤との組み合わせ共に、8μA(
図13の実線↓部分に相当)以降では転写効率が殆ど変化せず、転写効率は90%になっている。また
図6に示す転写コントラストも850Vと、ドラムメモリが発生しない領域であり、従って、使用初期から転写電流を8μAに設定することで、初期から耐久後まで良好な転写効率及び、ドラムメモリ等の画像欠陥がない良好な画像を得ることが出来る。
【0057】
このような構成にすることで、プリントジョブ毎の前回転で実行していた転写電圧制御(ATVC)を、プリント枚数に応じて実行するタイミングを変えて、感光ドラムの削れの進行を遅らせて、転写不良を防止することが可能となる。更に感光ドラムの使用時間やトナー消費量などに基づいて、ATVCの目標値を変更するなどの従来技術(特許文献3等)を、本発明と併用することで、更なる感光ドラムの高寿命化、即ちカートリッジ自体の高寿命化を図ることもできるのは言うまでもない。
【0058】
実施例2
本発明の第2の実施例について説明する。本実施例では、記憶手段により記憶されている積算使用量に応じて、ATVCを前回転以外で実施することが実施例1と異なり、それ以外は実施例1と同じである。従って、画像形成装置の全体構成などについての説明は省略し、実施例1の説明を援用する。
【0059】
本実施例ではATVCを実施例1のプリントジョブの前回転時にするのではなく、即ち、画像形成を開始する直前以外で行うこととし、本実施例では、プリントジョブの後回転で、現像離間後にATVCを実施することにした。なお、プリント枚数の定義、及びATVCを実施する間隔は実施例1と同様である。
【0060】
このような構成にすることで、実施例1と同様に感光ドラムの削れの進行を遅らせて高寿命化を図りつつ、転写不良を防止することが可能となる。
【0061】
また、本実施例では更にスタンバイ状態からプリント命令を受けて1枚目がプリントアウトされるまでの時間、First Print Out Time(以下、FPOTと呼ぶ)が短縮可能である。
【0062】
以下、FPOT短縮について
図14及び
図15を用いて説明する。
【0063】
図14はATVCを前回転で実施した時の、1プリント出力する際の主要なシーケンスである。
【0064】
プリントが開始されると前回転が始まり、前回転中にATVCを実施し、ATVC終了後に現像当接を行う。現像当接前にATVCを実施するのは、トナーの影響を受けない為である。次に、現像当接が終了した後、画像形成を開始し、画像形成終了後に後回転を実施する。現像離間は後回転中に行う。プリントは画像形成後から所定時間後に装置から排出され、プリント開始から排出するまでの時間をFPOTと定義している。
【0065】
ここで、本実施例のATVCを後回転で実施した時の、1プリント出力する際の主要なシーケンスを
図15に示す。
【0066】
本実施例では前回転でATVCを実施しない為、前回転を開始してから直ぐに現像当接を行え、画像形成開始タイミングが早くなっている。従って、プリントが画像形成後から所定時間後に装置から排出されるタイミングも早くなり、FPOTが短縮される。
【0067】
このように、本実施例では、プリントジョブ毎の画像形成直前に実行していたATVCをプリント枚数に応じて実行するタイミングを、後回転時に変える。この構成により、感光ドラムの削れの進行を遅らせて高寿命化を図りつつ、転写不良を防止し、更にFPOTを短縮することが可能となる。