(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記ベルトが搬送されている際に、前記検知手段の出力が所定範囲内である状態が所定時間経過した際の前記ステアリングローラの傾斜位置を、前記ベルトの蛇行を所定範囲内に抑えることが可能な前記ステアリングローラの傾斜位置として測定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
前記制御手段は、前記ベルトが搬送されている際に、前記検知手段の出力が所定範囲外である状態が所定時間経過した場合は、前記像担持体及び前記ベルトの駆動を停止することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
前記回転体は、前記像担持体上のトナー像を前記ベルトに転写する一次転写ローラ、前記ベルト上のトナー像を記録紙上に転写する二次転写ローラ、及び前記ベルトの表面を清掃するクリーナローラのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
前記ベルトは、前記像担持体からトナー像を転写される中間転写ベルト、及び前記像担持体へ向けて記録紙を搬送する搬送ベルトのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、画像形成装置の概略断面図である。
【0013】
本実施形態の画像形成装置1は、複数の画像形成部を並列に配置し、且つ中間転写方式を採用したカラー電子写真装置である。画像形成装置1は、記録画像信号出力部1Rと、画像出力部1Pとを有する。画像出力部1Pは、4つ並設された画像形成部10(10a、10b、10c、10d)と、給紙ユニット20と、中間転写ユニット30と、定着ユニット40と、制御ユニット70とを有する。更に、個々のユニットについて詳しく説明する。
【0014】
各画像形成部10a〜10dは同じ構成とされ、各画像形成部10a〜10dでは、円筒形状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム11a〜11d(像担持体)が回転自在に軸支され、矢印方向に回転駆動される。感光ドラム11a〜11dの外周面に対向してその回転方向に一次帯電器12a〜12d、露光系13a〜13d、ミラー16a〜16d、現像装置14a〜14d、及びクリーニング装置15a〜15dが配置されている。
【0015】
一次帯電器12a〜12dにおいて感光ドラム11a〜11dの表面に均一な帯電量の電荷を与える。次いで、光学系13a〜13dにより、記録画像信号出力部1Rからの記録画像信号に応じて変調した、例えばレーザービームなどの光線をミラー16a〜16dを介して感光ドラム11a〜11d上に露光することによって、そこに静電潜像を形成する。
【0016】
更に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックといった4色の現像剤(以下、「トナー」という)は、それぞれ収納した現像装置14a〜14dによって上記静電潜像を顕像化される。顕像化されたトナー像は、一次転写ローラ35a〜35dによって中間転写ユニット30を構成する中間転写ベルト31に転写される。クリーニング装置15a〜15dは、中間転写ベルト31へ転写されずに感光ドラム11a〜11d上に残されたトナーを掻き落としてドラム表面の清掃を行う。
【0017】
二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31上のトナー像を記録紙Pに転写する。クリーニング装置50は、中間転写ベルト31の表面をクリーニングする。クリーニング装置50は、中間転写ベルト31上のトナーを除去するためのクリーニングブレードと、廃トナーを収納する廃トナーボックスとを備えている。
【0018】
給紙ユニット20は、カセット21a及び21bと、ピックアップローラ22a、22b及び26と、給紙ローラ対23と、給紙ガイド24と、レジストローラ25a、25bと、手差しトレイ27とを有する。カセット21a、21b、及び手差しトレイ27に収納された記録紙Pは、各ピックアップローラ22a、22b、26により送り出される。送り出された記録紙Pは、給紙ローラ対23によってレジストローラ25a、25bへと搬送される。レジストローラ25a、25bは、各画像形成部の画像形成タイミングに合わせて記録紙Pを二次転写ローラ36へ送り出す。
【0019】
定着ユニット40は、内部にハロゲンヒーターなどの熱源を備えた定着ローラと、そのローラに加圧される加圧ローラ(このローラにも熱源を備える場合もある)とを有する。
【0020】
なお、濃度センサ71は、画像調整モードの実行時において、感光ドラム11a〜11d上から中間転写ベルト31上に転写されたパターン画像を検知するためのセンサである。
【0021】
次に、上記構成の画像形成装置1の動作について説明する。
画像形成動作開始信号が発せられると、先ず、ピックアップローラ22aにより、カセット21aから記録紙Pが一枚ずつ送り出される。そして、給紙ローラ対23によって記録紙Pが給紙ガイド24の間を案内されてレジストローラ25a、25bまで搬送される。そのとき、レジストローラ25a、25bは停止されており、記録紙Pの先端はニップ部に突き当たる。その後、画像形成部が画像の形成を開始するタイミングに合わせてレジストローラ25a、25bは回転を始める。この回転時期は、記録紙Pと画像形成部より中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー画像とが二次転写ローラ36において一致するようにそのタイミングが設定されている。
【0022】
一方、画像形成部では、画像形成動作開始信号が発せられると、前述したプロセスにより感光ドラム11d上に形成されたトナー画像が、高電圧が印加された一次転写ローラ35dによって中間転写ベルト31に一次転写される。一次転写されたトナー像は、次の一次転写ローラ35cまで搬送される。そこでは各画像形成部間をトナー像が搬送される時間だけ遅延して画像形成が行われており、前画像の上に位置を合わせて、その次のトナー像が転写される。以下も同様の工程が繰り返され、最終的に4色のトナー像が中間転写ベルト31上において一次転写される。
【0023】
その後、記録紙Pが二次転写ローラ36に進入し、中間転写ベルト31に接触すると、記録紙Pの通過タイミングに合わせて二次転写ローラ36に高電圧が印加される。これにより、中間転写ベルト31上に形成された4色のトナー画像が記録紙Pの表面に転写される。その後、記録紙Pは定着ユニット40へと案内される。そして、定着ユニット40は、記録紙Pに熱及び圧力を加えることによってトナー像を記録紙Pの表面に定着させる。その後、記録紙Pは機外に排出される。
【0024】
図2は、中間転写ベルトの蛇行補正制御及び当接/離間動作を説明する図である。
図2(a)において、中間転写ベルト31は、駆動ローラ33と、ステアリングローラ32と、二次転写対向ローラ34により、矢印で示される移動方向に回転可能に支持される。そして、駆動ローラ33とステアリングローラ32の間に一次転写平面が形成される。駆動ローラ33は、中間転写ベルト31に駆動を伝達するため、金属ローラの表面に数mm厚のゴムをコーティングしてベルトとのスリップを防ぐように構成されている。
【0025】
ステアリングローラ32は、中間転写ベルト31の回動に従動して回転する。ステアリングローラ32の一方の軸は固定されており、もう一方の軸にステアリングアーム64が連結されている。制御ユニット70は、ステッピングモータであるステアリングモータ63の駆動を制御し、カム62を回転移動させる。カム62が回転すると、軸65を中心としてステアリングアーム64が回動する。すなわち、制御ユニット70がカム62の回転位置を制御することで、ステアリングローラ32の傾きを制御できる。
【0026】
また、HPセンサ61は、カム62の一端部に設けられた切欠きを検知することで、カム62の初期位置としてのホームポジション(HP)を検知する。HPセンサ61の検知結果は、カム62の回転角度を検知するのに用いられる。
【0027】
ステアリングローラ32と感光ドラム11aとの間には、エッジセンサ60が配置されている。エッジセンサ60は、中間転写ベルト31の移動方向に直交する方向(幅方向)の端部(エッジ)の位置を検知して、中間転写ベルト31の蛇行に応じた出力信号を発生する。エッジセンサ60は、中間転写ベルト31の端部に当接するフラグ部材の位置に応じた光量を検知する光学式センサであるが、ラインセンサ等、中間転写ベルト31の端部位置を検知できるならばこれらに限られない。
【0028】
また、
図2(b)において、一次転写ローラ35b〜35dと二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31に当接/離間するように、移動可能に設けられている。
【0029】
例えば、ブラック単色で画像形成を行う白黒プリントモード時には、感光ドラム11b〜11dから遠ざかるように、一次転写ローラ35b〜35dが下方の離間位置へ移動する。これは、使用されない色(イエロー、マゼンタ、シアン)の感光ドラム11b〜11dと中間転写ベルト31との間の摩擦により、感光ドラム11b〜11d及び中間転写ベルト31が劣化するのを防止するためである。
【0030】
一方、4色全てで画像形成を行うカラープリントモード時には、白黒プリントモード時とは逆に、中間転写ベルト31を感光ドラム11b〜11dに接触させるように、一次転写ローラ35b〜35dが上方の当接位置へ移動する。
【0031】
また、画像調整モード時には、感光ドラム11a〜11d上から中間転写ベルト31上に転写されたパターン画像の濃度が濃度センサ71により読み取られる。このとき、二次転写ローラ36が二次転写対向ローラ34に当接していると、パターン画像が二次転写位置を通過する際に、パターン画像のトナーが二次転写ローラ36を汚してしまうことになる。
【0032】
このため、画像調整モード時には、二次転写ローラ36が二次転写対向ローラ34から離間する。二次転写位置を通過したパターン画像は、クリーニング装置50によりクリーニングされる。
【0033】
図3は、中間転写ベルトの蛇行補正の原理を説明するための図である。
この図の左から、カム62の正面図、カム62及びステアリングローラ32の側面図、ステアリングローラ32の正面図を示す。なお、ステアリングローラ32の正面図は、側面図に示されるステアリングローラ32をA方向から見た図である。
【0034】
図3(a)に示されるように、カム62が所定の角度で停止し、その停止角度に対応してステアリングローラ32がほぼ水平(傾きがほぼゼロ)に保持された状態では、基本的には中間転写ベルトの位置を補正する力が働かない。
【0035】
この状態から、
図3(b)に示されるように、ステアリングモータ63の駆動によりカム62を回転させると、カム62の偏心量に応じてステアリングアーム64が矢印θ1方向に揺動する。これにより、ステアリングローラ32の一端がステアリングアーム64によって持ち上がるため、その持ち上げ量に応じてステアリングローラ32に傾きが生じる。
【0036】
このとき、ステアリングローラ32に巻き付けられた中間転写ベルト31は、ステアリングアーム64にて持ち上げられたローラ端側に移動する。これは、ステアリングローラ32を中間転写ベルト31が通過する際に、ステアリングローラ32の持ち上げられている側の端部の外側へ、ステアリングローラ32に巻きついている中間転写ベルト31の進行方向がずれるためである。
【0037】
これに対して、
図3(c)に示されるように、ステアリングモータ63の駆動によりカム62を回転させると、カム62の偏心量に応じてステアリングアーム64が矢印θ2方向に揺動する。これにより、ステアリングローラ32の一端がステアリングアーム64によって押し下げられるため、その押し下げ量に応じてステアリングローラ32に傾きが生じる。
【0038】
このとき、ステアリングローラ32に巻き付けられた中間転写ベルト31は、ステアリングアーム64にて押し下げられたローラ端と反対側に移動する。これは、ステアリングローラ32を中間転写ベルト31が通過する際に、ステアリングローラ32の押し下げられている側の端部の内側へ、ステアリングローラ32に巻きついている中間転写ベルト31の進行方向がずれるためである。
【0039】
制御ユニット70は、中間転写ベルト31の蛇行方向とは反対方向に中間転写ベルト31が移動するようにステアリングローラ32の傾きを制御することで、中間転写ベルト31の蛇行を補正することが可能となる。
【0040】
図4は、画像形成装置の制御ブロック図である。
制御ユニット70は、CPU100、ROM101、及びRAM102を有する。CPU100は、画像形成装置1全体を制御する制御回路である。ROM101には、画像形成装置1で実行する各種処理を制御するための制御プログラムが格納されている。RAM102は、CPU100が動作するためのシステムワークメモリであり、また画像データを一時記憶するための画像メモリとしても機能する。操作部67はタッチパネルディスプレイを備え、ユーザからの操作指示を受け付ける。
【0041】
ベルト駆動モータ66は、中間転写ベルト31を回転させる駆動ローラ33を駆動するためのモータである。CPU100は、ベルト駆動モータ66へ流す電流を制御することで、中間転写ベルト31の回転速度を制御する。
【0042】
第1の当接/離間モータ68は、中間転写ベルト31と感光ドラム11b〜11dを当接又は離間させるためのモータである。CPU100は、中間転写ベルト31を感光ドラム11b〜11dに当接させる際には、一次転写ローラ35b〜35dを上方へ移動させるよう第1の当接/離間モータ68を制御する。また、CPU100は、中間転写ベルト31を感光ドラム11b〜11dから離間させる際には、一次転写ローラ35b〜35dを下方へ移動させるよう第1の当接/離間モータ68を制御する。
【0043】
第2の当接/離間モータ69は、中間転写ベルト31と二次転写ローラ36を当接又は離間させるためのモータである。CPU100は、二次転写ローラ36を中間転写ベルト31に当接させる際には、二次転写ローラ36を上方へ移動させるよう第2の当接/離間モータ69を制御する。また、CPU100は、二次転写ローラ36を中間転写ベルト31から離間させる際には、二次転写ローラ36を下方へ移動させるよう第2の当接/離間モータ69を制御する。
【0044】
エッジセンサ60及びHPセンサ61の検出信号はCPU100に伝送され、CPU100に内蔵されたAD変換回路でアナログ信号からデジタル信号に変換されてCPU100で演算処理される。CPU100は、エッジセンサ60及びHPセンサ61の検出信号に基づき、ステアリングモータ63へ流す電流を制御することで、カム62を回転させてステアリングローラ32の傾きを制御する。
【0045】
中間転写ベルト31が安定して搬送されている際、一次転写ローラ35b〜35d及び二次転写ローラ36の少なくとも一方が駆動されることにより、当接状態と離間状態とが切り替わると、中間転写ベルト31の搬送の安定性が損なわれる可能性がある。このため、当接動作又は離間動作後、一時的に大きく中間転写ベルト31が蛇行し、色ずれが発生してしまう。そこで、本実施形態では、複数のモード毎に中間転写ベルト31を安定して搬送できるカム62の位置を算出する。この処理についてフローチャートを用いて説明する。
【0046】
図5は、各モードにおけるカムの初期位置の補正値算出処理を示すフローチャートである。
このフローチャートを実行するためのプログラムは、ROM101に記憶されており、CPU100により読み出されることにより実行される。このフローチャートは、画像形成装置がスタンバイ状態にあるときに、操作部67からの指示により実行される。
【0047】
まず、CPU100は、感光ドラム11a〜11d及び中間転写ベルト31の回転駆動を開始する(S500)。次に、CPU100は、一次転写ローラ35b〜35dを中間転写ベルト31に当接させるとともに、二次転写ローラ36を中間転写ベルト31に当接させるよう、第1の当接/離間モータ68及び第2の当接/離間モータ69を制御する(S501)。そして、CPU100は、中間転写ベルト31を安定して搬送するための、カム62の位置の補正値Aを算出する(S502)。この補正値算出処理の詳細は、
図6を用いて後述する。その後、算出した補正値AをRAM102に記憶させる(S503)。ここで記憶された補正値Aは、カラープリントモードの実行時に使用される。
【0048】
次に、CPU100は、一次転写ローラ35b〜35dを中間転写ベルト31から離間させるとともに、二次転写ローラ36を中間転写ベルト31に当接させるよう、第1の当接/離間モータ68及び第2の当接/離間モータ69を制御する(S504)。そして、CPU100は、中間転写ベルト31を安定して搬送するための、カム62の位置の補正値Bを算出する(S505)。この補正値算出処理の詳細は、
図6を用いて後述する。その後、算出した補正値BをRAM102に記憶させる(S506)。ここで記憶された補正値Bは、白黒プリントモードの実行時に使用される。
【0049】
次に、CPU100は、一次転写ローラ35b〜35dを中間転写ベルト31に当接させるとともに、二次転写ローラ36を中間転写ベルト31から離間させるよう、第1の当接/離間モータ68及び第2の当接/離間モータ69を制御する(S507)。そして、CPU100は、中間転写ベルト31を安定して搬送するための、カム62の位置の補正値Cを算出する(S508)。この補正値算出処理の詳細は、
図6を用いて後述する。その後、算出した補正値CをRAM102に記憶させる(S509)。ここで記憶された補正値Cは、カラー画像調整モードの実行時に使用される。
【0050】
次に、CPU100は、一次転写ローラ35b〜35dを中間転写ベルト31から離間させるとともに、二次転写ローラ36を中間転写ベルト31から離間させるよう、第1の当接/離間モータ68及び第2の当接/離間モータ69を制御する(S510)。そして、CPU100は、中間転写ベルト31を安定して搬送するための、カム62の位置の補正値Dを算出する(S511)。この補正値算出処理の詳細は、
図6を用いて後述する。その後、算出した補正値DをRAM102に記憶させる(S512)。ここで記憶された補正値Dは、白黒画像調整モードの実行時に使用される。
【0051】
次に、CPU100は、感光ドラム11a〜11d及び中間転写ベルト31の回転駆動を停止する(S513)。その後、CPU100はこのフローチャートの処理を終了し、再びスタンバイ状態に移行する。
【0052】
図6は、
図5のS502、S505、S508、及びS511における補正値算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0053】
このフローチャートを実行するためのプログラムは、ROM101に記憶されており、CPU100により読み出されることにより実行される。
【0054】
まず、CPU100は、HPセンサ61からの出力に基づき、カム62を初期位置(ホームポジション)へと移動させるようにステアリングモータ63を制御する(S600)。そして、CPU100は、中間転写ベルト31の蛇行補正制御を開始する(S601)。蛇行補正制御において、CPU100は、エッジセンサ60からの出力が目標値(2.5V)となるように、ステアリングモータ63を制御する。
【0055】
次に、CPU100は、エッジセンサ60からの出力が所定範囲内(2.4V〜2.6V)かどうかを判断する(S602)。エッジセンサ60からの出力が所定範囲内にあると判断された場合、CPU100は、当該出力が所定範囲内にある状態が所定時間(30秒)経過したかどうかを判断する(S603)。
【0056】
所定時間が経過していない場合、CPU100はステップS602の処理に戻る。一方、所定時間経過した場合、カム62の角度位置が中間転写ベルト31を安定して搬送できる位置にあると考えられる。したがって、CPU100はカム62の位置を測定する(S604)。
【0057】
具体的には、CPU100は、HPセンサ61の出力に基づき検知されたホームポジションを基準とし、ステアリングモータ63を駆動するためのパルス数に応じてカム62の角度位置を測定する。ここで測定されたカム62の角度位置は、中間転写ベルト31を安定して搬送できるステアリングローラ32の傾斜位置に対応する。
【0058】
カム62の角度位置は蛇行補正制御の最中に検知されるため、ステアリングモータ63のパルス数は刻々と変化する。したがって、本実施形態においては、約10秒間、0.1秒間隔で測定した100個分のサンプリングデータを平均処理することで測定誤差を低減している。
【0059】
CPU100は、ステップS604で検知された角度位置に基づき、ホームポジションからのカムの回転量を補正値として算出する(S605)。その後、CPU100は、中間転写ベルト31の蛇行補正制御を停止し(S606)、本フローチャートを終了する。
【0060】
一方、ステップS602において、エッジセンサ60からの出力が所定範囲外であると判断された場合、CPU100は、当該出力が所定範囲外の状態が所定時間(2分)経過したかどうかを判断する(S607)。
【0061】
所定時間が経過していない場合、CPU100はステップS602の処理に戻る。一方、所定時間経過した場合、画像形成装置1は何らかの異常により蛇行補正制御が安定しない状態にあると考えられる。したがって、CPU100は、補正値の算出を行わずに、感光ドラム11a〜11d及び中間転写ベルト31の駆動を停止し(S608)、本フローチャートによる処理を中断する。
【0062】
図7は、画像形成装置の各動作モードにおけるカムの制御を示すフローチャートである。
【0063】
このフローチャートを実行するためのプログラムは、ROM101に記憶されており、CPU100により読み出されることにより実行される。本フローチャートによる処理は、画像形成装置1の電源が投入され、画像形成装置1の初期動作が終わってスタンバイ状態となった時に実行される。スタンバイ状態では、一次転写ローラ35b〜35d及び二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31から離間している。
【0064】
まず、CPU100は、カラープリントモード、白黒プリントモード、カラー画像調整モード、及び白黒画像調整モードのいずれかの動作モードの実行が操作部67から指示されるまで待つ(S700)。いずれかの動作モードの実行が指示された場合、CPU100は、感光ドラム11a〜11d及び中間転写ベルト31の回転駆動を開始する(S701)。そして、CPU100は、中間転写ベルト31の蛇行補正制御を開始する(S702)。蛇行補正制御において、CPU100は、エッジセンサ60からの出力が目標値(2.5V)となるように、ステアリングモータ63を制御する。
【0065】
次に、CPU100は、操作部67から指示された動作モードがカラープリントモードであるかどうかを判断する(S703)。カラープリントモードである場合、CPU100は、カラープリントモードで中間転写ベルト31の搬送を安定させることができる位置にカム62を移動させるよう、ステアリングモータ63を制御する(S704)。
【0066】
カム62の目標位置は、初期位置(ホームポジション)に、
図5のステップS503で記憶した補正値Aを加算することにより求められる。したがって、CPU100は、ステアリングモータ63の制御量を式(1)により算出する。
制御量=初期位置+補正量A−現在位置 (1)
そして、CPU100は、一次転写ローラ35b〜35dを中間転写ベルト31に当接させるとともに、二次転写ローラ36を中間転写ベルト31に当接させるよう、第1の当接/離間モータ68及び第2の当接/離間モータ69を制御する(S705)。
【0067】
また、ステップS703において、カラープリントモードでないと判断された場合は、CPU100は、操作部67から指示された動作モードが白黒プリントモードであるかどうかを判断する(S706)。白黒プリントモードである場合、CPU100は、白黒プリントモードで中間転写ベルト31の搬送を安定させることができる位置にカム62を移動させるよう、ステアリングモータ63を制御する(S707)。
【0068】
カム62の目標位置は、初期位置(ホームポジション)に、
図5のステップS506で記憶した補正値Bを加算することにより求められる。したがって、CPU100は、ステアリングモータ63の制御量を式(2)により算出する。
制御量=初期位置+補正量B−現在位置 (2)
そして、CPU100は、一次転写ローラ35b〜35dを中間転写ベルト31から離間させたままの状態とする一方、第2の当接/離間モータ69を制御して二次転写ローラ36を中間転写ベルト31に当接させる(S708)。
【0069】
また、ステップS706において、白黒プリントモードでないと判断された場合は、CPU100は、操作部67から指示された動作モードがカラー画像調整モードであるかどうかを判断する(S709)。カラー画像調整モードである場合、CPU100は、カラー画像調整モードで中間転写ベルト31の搬送を安定させることができる位置にカム62を移動させるよう、ステアリングモータ63を制御する(S710)。
【0070】
カム62の目標位置は、初期位置(ホームポジション)に、
図5のステップS509で記憶した補正値Cを加算することにより求められる。したがって、CPU100は、ステアリングモータ63の制御量を式(3)により算出する。
制御量=初期位置+補正量C−現在位置 (3)
そして、CPU100は、第1の当接/離間モータ68を制御して一次転写ローラ35b〜35dを中間転写ベルト31に当接させる一方、二次転写ローラ36は中間転写ベルト31から離間させたままの状態にする(S711)。
【0071】
また、ステップS709において、カラー画像調整モードでないと判断された場合、CPU100は、白黒画像調整モードで中間転写ベルト31の搬送を安定させることができる位置にカム62を移動させるよう、ステアリングモータ63を制御する(S712)。
【0072】
カム62の目標位置は、初期位置(ホームポジション)に、
図5のステップS512で記憶した補正値Dを加算することにより求められる。したがって、CPU100は、ステアリングモータ63の制御量を式(4)により算出する。
制御量=初期位置+補正量D−現在位置 (4)
そして、CPU100は、一次転写ローラ35b〜35d及び二次転写ローラ36を中間転写ベルト31から離間させたままの状態にする(S713)。
【0073】
次に、CPU100は、動作モードが終了するまで待つ(S714)。その後、CPU100は、操作部67からの指示に基づき、次の動作モードの実行指示があるかどうかを判断する(S715)。次の動作モードの実行指示の指示がある場合は、ステップS703に戻る。次の動作モードの実行指示が無い場合は、CPU100は、感光ドラム11a〜11d及び中間転写ベルト31の駆動を停止する(S716)。
【0074】
そして、CPU100は、一次転写ローラ35b〜35dを中間転写ベルト31から離間させるとともに、二次転写ローラ36を中間転写ベルト31から離間させるよう、第1の当接/離間モータ68及び第2の当接/離間モータ69を制御する(S717)。その後、CPU100は、画像形成装置1をスタンバイ状態に設定し(S718)、ステップS700に戻る。
【0075】
以上の処理によれば、画像形成装置1がいずれかの動作モードで動作中に、中間転写ベルト31の駆動を停止することなく別の動作モードへ移行する際、当接動作/離間動作による中間転写ベルト31の蛇行量を十分に低減することが可能となる。ここで、本実施形態による効果を、カラー画像調整モードからカラープリントモードへ切り替えた場合を例にとって説明する。
【0076】
図8(a)は、本実施形態に係るカムの位置補正制御を行った場合のエッジセンサの検出波形を示す図である。
図8(b)は、本実施形態に係るカムの位置補正制御を行わない場合のエッジセンサの検出波形を示す図である。
図8(c)は、カラー画像調整モードからカラープリントモードへの切り替えに伴う、二次転写ローラの当接状態/離間状態を示す図である。
【0077】
この図に示されているように、カラー画像調整モードからカラープリントモードへ切り替えた瞬間に、カム62の位置補正制御が実行されない場合には、エッジセンサ60の出力波形が約500μmの蛇行量分変動している。この出力は形の変動が収束するまでには、約20秒の時間を要している。
【0078】
一方、カム62の位置補正制御が実行される場合には、二次転写ローラ36を中間転写ベルト31に当接させると同時にカム62の角度位置が最適化される。このため、中間転写ベルト31の蛇行量が約20μm相当に抑えられており、すぐに画像形成を開始しても所望の画質レベルが期待できる。
【0079】
図9は、カラー画像調整モードからカラープリントモードへ切り替える場合の、カムの位置補正制御を示す図である。
【0080】
図9(a)はカラー画像調整モードへ移行した直後のカム62の位置を示す図であり、
図9(b)はカラープリントモードへ移行した直後のカム62の位置を示す図である。
【0081】
図9(a)に示されるカラー画像調整モードにおいて、(初期位置+補正量C)の角度位置にカム62が回転移動することで、中間転写ベルト31の搬送が安定する。カラー画像調整モードからカラープリントモードへ切り替えられる際、上記(1)式の演算処理に基づいて、CPU100は(初期位置+補正量A−現在位置)分だけステアリングモータ63を制御する。この制御が行われることにより、カラープリントモードに切り替えられた際には、カム62は(初期位置+補正量A)の位置に移動し、中間転写ベルト31の蛇行は抑制されて安定して搬送される。
【0082】
以上で説明したように、本実施形態によれば、中間転写ベルト31の搬送中に、中間転写ベルト31に対して回転体が当接又は離間することにより生じる中間転写ベルト31の蛇行を抑制することができる。また、本実施形態によれば、中間転写ベルト31に対して回転体が当接又は離間動作を行ってから中間転写ベルト31を安定して搬送できるまでの時間を短縮して生産性を向上することができる。
【0083】
なお、本実施形態においては、
図5のフローチャートにあるように、4つのモードにおける補正値A〜Dを一度に算出するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、特定のモードの補正値のみを算出するように操作部67から指示を出せるようにしてもよい。
【0084】
また、本実施形態においては、中間転写ベルト31の蛇行制御を例に挙げて説明したが、他のベルトに対して本発明の蛇行制御を行っても構わない。例えば、感光ドラム上のトナー像を記録紙に転写させるために、記録紙を感光ドラムへ向けて搬送する搬送ベルトについて、本発明を適用しても構わない。
【0085】
また、本実施形態では、中間転写ベルト31に当接/離間する回転体として、一次転写ローラ35b〜35dや二次転写ローラ36を挙げたが、これらに限られない。例えば、中間転写ベルト31に当接/離間し、中間転写ベルト31の表面を清掃するクリーナローラに対して本発明を適用してもよい。
【0086】
また、本実施形態では、カラー画像形成装置を例に挙げて説明したが、中間転写ベルトを有する白黒画像形成装置に本発明を適用しても構わない。白黒画像形成装置の場合、一次転写ローラを当接/離間する構成は不要であるが、二次転写ローラを当接/離間する場合に本発明を適用すればよい。