特許第5826033号(P5826033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5826033
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】内視鏡湾曲部外皮の固定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20151112BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   A61B1/00 300P
   A61B1/00 300A
   G02B23/24 A
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-538301(P2011-538301)
(86)(22)【出願日】2010年9月14日
(86)【国際出願番号】JP2010065846
(87)【国際公開番号】WO2011052303
(87)【国際公開日】20110505
【審査請求日】2013年7月16日
(31)【優先権主張番号】特願2009-252062(P2009-252062)
(32)【優先日】2009年11月2日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】古田 剛
【審査官】 野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−152564(JP,A)
【文献】 実開昭63−158302(JP,U)
【文献】 特開昭58−190420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端側から軸方向に沿って少なくとも第1及び第2の部分が設けられ、かつ管状を持つ取付部と、
内視鏡湾曲部を被覆し、かつ、前記第2の部分の外周には被せられないように、前記取付部の後端側から前記第1の部分の外周に、自身の端部が被せられるチューブ状の湾曲部外皮と、
前記端部の外周に巻回されて、前記端部を前記取付部の前記第1の部分に固定させる糸状部材と、
前記糸状部材を埋設するように少なくとも前記端部外周上に積層された接着剤と、
前記接着剤を覆うように前記端部外周に嵌合され、その内周面が前記接着剤を介して前記糸状部材に接着されるリング材とを備え、
前記リング材は、小径リング部と、前記小径リング部よりも内径が大きい大径リング部を有し、
前記大径リング部が前記糸状部材を覆うように前記端部の外側に配置されるとともに、
前記小径リング部が前記第2の部分を覆い、かつ前記接着剤を介して前記第2の部分に直に接着され、前記接着剤は前記糸状部材と前記リング材の内周面間に積層され、前記湾曲部外皮と前記リング材とに区画される領域の気密性が確保されることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記第2の部分は大径部であるとともに、前記第1の部分は前記大径部よりも外径が小さい小径部であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記糸状部材と前記リング材の内周面間に積層される前記接着剤の層厚は、前記第2の部分の外周面と前記リング材の内周面との距離より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項4】
記層厚は、0.05mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記取付部の小径部よりも後端側には、前記小径部よりも外径が大きい大径部がさらに設けられることにより、前記小径部の外周側に凹部が形成され、
前記端部が前記凹部内に配置されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記湾曲部外皮は、前記糸状部材に緊縛されて縮径した前記端部近傍に外径が漸次変化する段差部を有し、
前記リング材の一端は、前記段差部に当接するように配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記接着剤に接触する面の少なくとも一部は、粗面であり、又は凹凸が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記取付部は、内視鏡先端部を前記内視鏡湾曲部に接続するための接続管であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項9】
後端側から軸方向に沿って少なくとも第1及び第2の部分が設けられ、かつ管状を持つ取付部の外周に、内視鏡湾曲部を被覆するためのチューブ状の湾曲部外皮の端部を前記後端側から被せ、前記第1の部分の外周に前記端部を被せるとともに、前記第2の部分の外周には前記湾曲部外皮を被せない第1工程と、
糸状部材を前記端部の外周に巻回させて、前記端部を前記取付部の前記第1の部分に固定させる第2工程と、
前記糸状部材を埋設するように少なくとも前記端部外周上に接着剤を積層する第3工程と、
リング材を前記接着剤を覆うように前記端部外周に嵌合させ、前記リング材の内周面を前記接着剤によって前記糸状部材に接着させる第4工程とを備え、
前記リング材は、小径リング部と、前記小径リング部よりも内径が大きい大径リング部を有し、
前記大径リング部によって前記糸状部材を覆わせるように、前記大径リング部を前記端部の外側に配置させ、
前記小径リング部によって前記第2の部分を覆わせ、かつ前記接着剤を介して前記小径リング部を前記第2の部分に直に接着させ、前記接着剤は前記糸状部材と前記リング材の内周面間に積層され、前記湾曲部外皮と前記リング材とに区画される領域の気密性が確保されることを特徴とする内視鏡の製造方法。
【請求項10】
前記小径リング部の内周面は、前記第2の部分の外周面に沿って設けられることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記小径リング部の外周面は、テーパ状であることを特徴とする請求項1乃至8又は請求項10のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記端部外周上に積層された接着剤は、前記小径リング部と前記第2の部分の間にはみ出るように配置されて、前記小径リング部を前記第2の部分に接着させることを特徴とする請求項1乃至8並びに請求項10又は11のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項13】
前記端部外周上に積層された接着剤は、前記リング材の一端と前記段差部の間にはみ出るように配置されて、前記リング材の一端を前記段差部に接着させることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
【請求項14】
前記第1及び第2の部分が連続することを特徴とする請求項1乃至8並びに請求項10乃至13のいずれか1項に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲部外皮の端部が、糸状部材によって内視鏡先端部、又は湾曲部を可撓部に接続するための接続管に固定された内視鏡、及び内視鏡の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の湾曲部は、複数の湾曲駒が連結されて形成された湾曲管の上に網状管が被覆され、その網状管の上に、さらにゴムから形成されるチューブ状の湾曲部外皮が被覆されて構成される。湾曲部外皮は、先端が内視鏡先端部の外周に被せられているともに、後端が湾曲部を可撓管に接続するための接続管に被せられている。湾曲部外皮の先端及び後端それぞれは、内視鏡内部を水密に保つために、巻回された糸によって内視鏡先端部の外周及び接続管の外周それぞれに固定されている。
【0003】
従来、糸が脱落するのを防止するために、巻回された糸の上から接着剤が塗布され、その接着剤の内部に糸が埋設されることが知られている(特許文献1参照)。また、接着剤が使用される代わりに、糸として外周が熱可塑樹脂で皮膜されたものが使用される場合や(特許文献2参照)、熱可塑性樹脂から成るリング状の外装体が巻回した糸の上に配置される場合がある(特許文献3参照)。これらの場合、巻回した糸又は外装体の上に熱収縮チューブが被せられた後、熱収縮チューブの上から熱が加えられることによって、溶融された熱可塑樹脂内部に糸が埋設される。なお、特許文献2、3において熱収縮チューブは、加熱後に外皮端部から取り外される。
【0004】
【特許文献1】特開平6−319677号公報
【特許文献2】特開2008−55052号公報
【特許文献3】特許第4236305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内視鏡は通常、使用毎に薬液等に浸漬されること等により、殺菌、滅菌処理が施される。上記各特許文献に開示された内視鏡では、糸状部材は接着剤や熱可塑樹脂によって薬液から保護される。しかし、これら接着剤や熱可塑樹脂は、内視鏡外周に露出しているため、薬液により比較的早期に劣化し、糸状部材が十分に保護されないおそれがある。また、劣化した接着剤や熱可塑性樹脂が、体内へ脱落するおそれもある。
【0006】
また、特許文献1の構成を製造する場合、接着剤の塗布作業は、手作業であるため、ばらつきが大きく、また耐薬品性を向上させるために接着剤の厚みは比較的大きくする必要がある。このように、接着剤が肉厚になったり、不均一になったりすると、内視鏡の挿入性が低下する等の不具合が生じることがある。
【0007】
さらに、特許文献2の製造方法においては、糸外周の熱可塑性樹脂が溶融するとき、糸が緩んで湾曲部外皮を固定するための糸の緊縛力が低下するおそれがある。また、熱収縮チューブを被せたときに糸とチューブ間に空気が内包されることにより、溶融樹脂表面に気泡ができ、熱可塑性樹脂の表面状態が不均一になることがある。さらに、特許文献2、3の記載においては、熱収縮チューブが取り外されるために熱収縮チューブが切断されるが、チューブ切断時に熱可塑性樹脂表面が傷つけられるおそれがある。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、糸状部材を埋設させるための接着剤を保護して糸状部材や接着剤の劣化を防ぐとともに、接着剤が肉厚となることを防ぎ、内視鏡の挿入性を向上させることが可能な内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る内視鏡は、内視鏡湾曲部を被覆し、管状を持つ取付部の外周に端部が被せられるチューブ状の湾曲部外皮と、端部の外周に巻回されて、端部を取付部に固定させる糸状部材と、糸状部材を埋設するように端部外周上に積層された接着剤と、接着剤を覆うように端部外周に嵌合され、その内周面が接着剤を介して糸状部材に接着されるリング材とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記取付部には、その一端部側から軸方向に沿って少なくとも、例えば小径部である第1の部分と、大径部である第2の部分が設けられている。小径部は、大径部よりも外径が小さい。湾曲部外皮は、取付部の一端部側から、取付部に被せられることにより、端部が第1の部分の外周に被せられるとともに、第2の部分の外周には湾曲部外皮が被せられないことが好ましい。リング材は、第1及び第2の部分に跨るように配置され、接着剤を介して直に第2の部分の外周にも接着されることがさらに好ましい。
【0011】
例えば、リング材は、小径リング部と、小径リング部よりも内径が大きい大径リング部を有し、大径リング部が第1の部分を覆い、小径リング部が第2の部分を覆う。また、糸状部材と、リング材の内周面の離間距離は、第2の部分の外周面とリング材の内周面との距離より大きいことが好ましい。糸状部材と、リング材の内周面の離間距離は、例えば0.05mm以下である。また、端部は例えば、取付部の凹部内に配置される。
【0012】
湾曲部外皮は、糸状部材に緊縛されて縮径した端部近傍に外径が漸次変化する段差部を有しており、リング部材の一端は、上記段差部に当接するように配置されることが好ましい。接着剤に接触する面の少なくとも一部は、粗面であり又は凹凸が設けられても良い。取付部は例えば、内視鏡先端部、又は内視鏡湾曲部を内視鏡可撓部に接続するための接続管である。
【0013】
本発明に係る内視鏡の製造方法は、内視鏡湾曲部を被覆するためのチューブ状の湾曲部外皮の端部を、取付部の外周に被せる第1工程と、糸状部材を端部の外周に巻回させて、端部を取付部に固定させる第2工程と、糸状部材を埋設するように端部外周上に接着剤を積層する第3工程と、リング材を接着剤を覆うように端部外周に嵌合させ、リング材の内周面を接着剤によって糸状部材に接着させる第4工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、糸状部材を保護するための接着剤がリング部材によって被覆されたことにより、糸状部材や接着剤の劣化が防止されるとともに、糸状部材が巻回された部分が肉厚になることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】内視鏡の全体構造を示す概略図である。
図2】内視鏡先端部と湾曲部との接続構造を示す部分断面図である。
図3】湾曲部と可撓部の接続構造を示す部分断面図である。
図4】リング材の構造を示す拡大斜視図である。
図5】内視鏡の製造方法を示すための部分断面図である。
図6】内視鏡の製造方法を示すための部分断面図である。
図7】内視鏡の製造方法を示すための部分断面図である。
【符号の説明】
【0016】
10 内視鏡
11 挿入部
12 可撓部
13 湾曲部
14 内視鏡先端部(取付部)
14B 大径部(第2の部分)
14C 大径部(第1の部分)
14D 環状溝(凹部)
23 湾曲部外皮
23A 外皮前端部
23B 外皮後端部
23C 中途部分
23D、23F 段差部
30 接続管(取付部)
32、42 糸状部材
33、43 接着剤
34、44 リング材
34A 小径リング部
34B 大径リング部
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る内視鏡の概略図である。図1に示すように、内視鏡10は、体内に挿入される挿入部11と、内視鏡10を操作するために使用者によって把持される操作部15と、内視鏡10をプロセッサ(不図示)に接続するためのコネクタ部16を備える。挿入部11は、可撓性を有する可撓部12と、可撓部12の先端に連結される湾曲部13と、湾曲部13の先端に接続された内視鏡先端部14とを備える。操作部15は、ユニバーサルケーブル部17を介してコネクタ部16に接続される。
【0018】
内視鏡先端部14の内部には、撮像素子(不図示)が設けられ、撮像素子で得られた被写体の画像信号がプロセッサに送られる。また、コネクタ部16から内視鏡先端部14までライトガイド(不図示)が挿通されており、ライトガイドを介して内視鏡先端部14から被写体に照明光が照射される。
【0019】
図2は、内視鏡先端部と湾曲部との接続部分を示す拡大断面図である。図3は、湾曲部と可撓部との接続部分を示す拡大断面図である。湾曲部13は、湾曲管21と、湾曲管21の外周を被覆する網状管22と、その網状管22の外周をさらに被覆し、ゴム等の弾性材料で構成されるチューブ状の湾曲部外皮23とから構成される。湾曲管21は、複数の湾曲駒24がリベットで回転自在に連結されて細長管状に形成される。湾曲管21は、不図示のガイドワイヤを介して、操作部15からの遠隔操作によって湾曲される。
【0020】
図2に示すように、内視鏡先端部14は管状部材であって、硬質樹脂や金属等で構成される。内視鏡先端部14には、後端側から軸方向に沿って、大径部14A、小径部14C、大径部14Bが設けられている。小径部14Cは大径部14B、14Aよりも外径が小さく、これにより、小径部14Cの外周側に環状溝(環状凹部)14Dが形成される。内視鏡先端部14は、後端側の大径部14Aが湾曲管21の先端部(最も先端側の湾曲駒24)に嵌合されることにより、湾曲管21に連結される。
【0021】
図3に示すように、湾曲部13の後端部は、接続管30を介して可撓部12に接続される。接続管30は、管状部材であって、先端側の小径部30Aと、小径部30Aよりも外径が大きい後端側の大径部30Bによって構成される。小径部30Aの外周面は、段差部30Cを介して大径部30Bの外周面に接続される。接続管30の小径部30Aの内部には、湾曲管21の後端部(最も後方側に設けられた湾曲駒24)が嵌合され、これにより、接続管30に湾曲部13が接続される。
【0022】
網状管22は、湾曲管21を被覆するとともに、その後端部が、小径部30Aの先端部に接続される。網状管22の後端部は、その外周に巻回された網状管用糸状部材31によって、湾曲管21の最も後部側に設けられた湾曲駒24の外周面に固定される。網状管22のさらに外周に被覆された湾曲部外皮23は、その先端部23Aが内視鏡先端部14の一部に被覆されて固定されるとともに(図2参照)、その後端部23Bが接続管30の一部に被覆されて固定される(図3参照)。
【0023】
可撓部12は、可撓管28の外周にチューブ状の可撓管外皮29が被覆されて構成される。可撓管28は、螺旋管26と、螺旋管26の外周に被覆された網状管27とによって構成される。可撓管28の先端部は、大径部30Bの内部に配置され、大径部30B内部に固定される。可撓管外皮29の先端部29Aは、接続管30の大径部30Bを被覆するように配置され、その内周面が大径部30Bの外周面に接着される。
【0024】
次に、図2を用いて、湾曲部外皮23の先端部(外皮先端部)23Aが、内視鏡先端部14に固定される構成を詳細に説明する。図2に示すように、湾曲部外皮23は、内視鏡先端部14の後端側から内視鏡先端部14の小径部14Cまで被せられ、外皮先端部23Aは環状溝14D内部に配置される。そして、内視鏡先端部14の大径部14Bには、湾曲部外皮23が被せられない。
【0025】
環状溝14D内部に配置された外皮先端部23Aは、その外周に巻き回された糸状部材32によって内視鏡先端部14に固定される。外皮先端部23Aの外周には、糸状部材32を埋設するように、接着剤33が積層されるとともに、接着剤33を覆うようにさらにリング材34が嵌合されている。接着剤33は、糸状部材32を内部に埋設させて保護するとともに、リング材34を糸状部材32に接着させて、リング材34が外皮先端部23Aから外れるのを防止する。
【0026】
外皮先端部23Aは、環状溝14Dの内部に配置されるとともに、糸状部材32によって緊縛されて縮径される。つまり、外皮先端部23Aの外径は、湾曲部外皮本来(固有)の外径よりも小さくなる。さらに言えば、緊縛された外皮先端部23A近傍は、外径が漸次変化する段差部23Dが形成されている。なお、以下の説明では、便宜上、湾曲部外皮23において、何らの外圧が与えられず、外径が縮径されていない部分を中途部分23Cと記す。
【0027】
リング材34としては、ステンレス等の金属、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルイミド(ウルテム)、ポリフェニルサルホン等の樹脂が使用される。これら樹脂は、生体適合性、耐薬品性、加工性、強度に優れるためリング材として使用することが可能である。リング材34は、高強度のものでも薄くできることから、金属であることが好ましい。接着剤33としては、例えばエポキシ樹脂等の生体適合性があって、耐薬品性の高い接着剤が使用される。
【0028】
リング材34は、図4に示すように薄厚の略円環状に形成され、先端側の小径リング部34Aと、小径リング部34Aよりも内径が大きい後端側の大径リング部34Bで構成される。小径リング部34Aの内周面は、大径リング部34Bの内周面に段差部34Cを介して接続される。小径リング部34A及び大径リング部34Bの内径は、それぞれ一定となっている。小径リング部34Aの外径は先端に向かうに従って小さくなる、換言すれば小径リング部34Aの外周面はテーパー状に形成される。このような形状を採用することにより、内視鏡先端部14を体腔内へ挿入した際における、操作性の向上と被検者への負担軽減が担保される。一方、大径リング部34Bの外径は一定となっている。
【0029】
図2に示すように、リング材34は、内視鏡先端部14の大径部14Bと小径部14Cに跨って配置される。具体的には、大径リング部34Bは、糸状部材32を覆うように外皮先端部23Aの外側に配置され、接着剤33を介して糸状部材32に接着される。小径リング部34Aは、内視鏡先端部14の大径部14Bの外周に、嵌め合わされるように配置される。
【0030】
外皮先端部23Aの外周に積層された接着剤33は、一部が、小径リング部34Aと大径部14Bの間にはみ出るように配置され、小径リング部34Aを大径部14Bの外周面に接着させる。また、接着剤33は、大径リング部34Bの後端面と段差部23Dの間にもはみ出すように配置され、これにより、大径リング部34Bの後端面は、接着剤33を介して段差部23Dに当接し、接着剤33によって段差部23Dに接着される。なお好ましくは、大径リング部34Bの後端面は、段差部23Dに押し当てられた状態で接着される。これにより、段差部23Dの弾性によって上記後端面と段差部23Dとが略密着状態となり、内視鏡先端部14のより一層の気密性が確保される。
【0031】
外皮先端部23Aは、外径が中途部分23Cより小さく、両者の外周面の間には段差がある。本実施形態では、糸状部材32、接着剤33、及びリング材34によってその段差はなくなり、リング材34の外周面は中途部分23Cの外周面に面一となる。すなわち、大径リング部34Bの外径は、湾曲部外皮23の中途部分23Cの外径に等しくされている。
【0032】
大径リング部34Bの内周面は、糸状部材32から離間するように配置されており、大径リング部34Bの内周面と糸状部材32の離間距離(クリアランス)L1は、小径リング部34Aの内周面と大径部14Bの外周面との距離より大きく、0.05mm以下であることが好ましい。糸状部材32は、大径リング部34Bから離間されるため、これらの間に積層された接着剤33によって、リング材34に接触することが防止される。またこれらの間の接着剤によって、糸状部材32は、接着剤33に完全に埋設され、その接着剤によって十分に保護される。また、クリアランスL1を0.05mm以下とすることにより、後述する接着剤拭き取り工程等において、リング材34が移動して偏心することが防止される。
【0033】
小径リング部34Aの内周面は、内視鏡先端部14の大径部14Bの外周面に沿うように設けられ、小径リング部34Aの内径は、大径部14Bの外径と略同一である。リング材34は、このような構成によっても、後述する接着剤拭き取り工程等において偏心することが防止される。
【0034】
次に、図3を用いて湾曲部外皮23の後端部(外皮後端部)23Bが、接続管30に固定される構成を説明する。なお、糸状部材、接着剤、リング材の材質等以下の説明において特に言及しない構成は、外皮先端部23Aが内視鏡先端部14に固定される構成と同じである。
【0035】
図3に示すように、湾曲部外皮23は、接続管30の前端側から接続管30に被せられ、外皮後端部23Bが接続管30の小径部30Aに被覆される。一方、接続管30の大径部30Bには、湾曲部外皮23が被せられず、上記したように可撓部外皮29が被せられている。外皮後端部23Bの後端面は、段差部30C及び可撓管外皮29の前端面に突き合わされている。外皮後端部23Bは、その外周に巻き回された糸状部材42によって小径部30Aに固定される。
【0036】
小径部30Aは、その前後の部分(網状管用糸状部材31及び大径部30B)よりも小径にされ、その外周側が環状凹部50となり、その環状凹部50に外皮後端部23Bが配置されることになる。そして、外皮後端部23Bは、糸状部材42によって緊縛されることにより縮径され、その前後の外皮(湾曲部外皮23の網状管用糸状部材31を被覆する中途部分23C、及び可撓管外皮29の先端部29A)よりも小径になる。これにより、外皮後端部23Bの外周側は、前後の外皮の外周面よりも凹み、環状凹部51が形成される。なお、外皮後端部23Bの外周面は、環状凹部51の側壁面を構成するテーパー状の段差部23Fを介して中途部分23Cに接続する。
【0037】
環状凹部51の内部(すなわち、外皮後端部23Bの外周側)には、接着剤43が充填され、糸状部材42はその接着剤43内部に埋設した状態になる。また、外皮後端部23Bの外周側には、環状凹部51を塞ぎ、かつ接着剤43を被覆するようにリング材44が嵌合されている。
【0038】
リング材44は、内径及び外径それぞれが略一定とされた薄厚の円環形に形成される。リング材44は、環状凹部51に充填された接着剤43を介して糸状部材42及び外皮後端部23Bの外周面に接着固定される。なお、糸状部材42が内部に配置された凹部内部に接着剤が充填されたことにより、糸状部材42が接着剤内部に完全に埋設される。これにより、糸状部材42とリング材44内周面が接触することが防止される。
【0039】
環状凹部51内部に充填された接着剤43は、リング材44の先端部と段差部23Fの間にも入り込む。すなわち、リング材44の先端部は、接着剤43を介して、段差部23Fに当接し、接着剤43によって段差部23Fに接着される。リング材44の後端部は、可撓部外皮29の先端部29Aの外周側に配置される。環状凹部51内部の接着剤43は、先端部29Aの外周上に一部が入り込み、リング材44の後端部は、接着剤43によって先端部29Aにも接着される。
【0040】
次に、図5〜7を用いて、本発明の実施形態に係る内視鏡の製造方法を説明する。まず、図5に示すように、湾曲部外皮23を湾曲部13及び内視鏡先端部14の一部に被せ、外皮先端部23Aを、内視鏡先端部14の環状溝14D内部に嵌め入れる。次に、外皮先端部23Aの外周に糸状部材32を複数回巻き付け、これにより、外皮先端部23Aを内視鏡先端部14に固定させる。
【0041】
次に、図6に示すように、外皮先端部23Aの外周面に糸状部材32の上から、液状又は流動性のある接着剤33を塗布する。接着剤33は、内視鏡先端部14の大径部14Bと外皮先端部23A、さらには段差部23Dに跨るように塗布する。
【0042】
次いで、接着剤33が硬化または固化する前に、リング材34を内視鏡先端部14の大径部14Bの外周に取り付け、その後、リング材34を段差部23Dに当接するまで後方に移動させる。これにより、図7に示すように、リング材34は、外皮先端部23Aの外側に嵌合させられる。
【0043】
接着剤33は、リング材34と内視鏡先端部14との間にある隙間よりも大きい体積分塗布する。したがって、リング材34を嵌合すると、リング材34と内視鏡先端部14との間の隙間全体に接着剤が充填され、リング材34の内部に気泡は生じない。
【0044】
すなわち、接着剤33は、大径リング部34Bと、外皮先端部23Aの間の隙間を埋め、大径リング部34Bを糸状部材32や外皮先端部23Aの外周面に接着させる。また、小径リング部34Aと、大径部14Bの間にも入り込み、小径リング部34Aを大径部14Bに接着させる。接着剤33はさらに、大径リング部34Bの後端面と段差部23Dの間にも入り込み、大径リング部34Bの後端面を段差部23Dに接着させる。
【0045】
リング材34を嵌合すると、接着剤33の一部は図7に示すように、リング材34の外部にはみ出す。外部にはみ出た余分な接着剤33は、接着剤が硬化または固化する前に拭き取る。その後、接着剤33を加熱乾燥等することにより硬化または固化させ、図2に示すような内視鏡を得る。
【0046】
外皮後端部23Bを接続管に固定させ、さらにリング材44を嵌合する方法は、上記した方法と同様であるため、その説明は省略する。ただし、湾曲部13に湾曲部外皮23を被覆する前に、リング材44を可撓部12の外周側に取り付けて、接続管30よりも後方に配置させる。そして、接着剤を塗布した後、リング材44をその先端部が段差部23FDに当接するまで前方側に移動させて、外皮後端部23Bの外周に嵌合させる。湾曲部外皮23が被覆された湾曲部13には、リング材44の内径よりも外径が大きい部分(すなわち、中途部分23C)が形成されるので、リング材44を前方側から移動させて嵌合させることが難しいからである。
【0047】
以上のように本実施形態では、糸状部材32、42を埋設させて保護するための接着剤33、43が、リング部材34、44によって被覆され、ほとんど内視鏡の外周に露出しないので、接着剤33、43が薬液によって劣化されることが防止される。したがって、接着剤33、43の層厚をそれほど厚くしなくても、内視鏡の耐久性を良好なものに維持することができ、また接着剤33、43が脱落することも防止される。
【0048】
また、内視鏡製造工程において、接着剤を均一に塗布しなくても、リング材34、44が嵌合されるときにリング材34、44内部の接着剤の形状は均一になるので、内視鏡製造の作業性や歩留まりを向上させることができる。
【0049】
また、リング材34、44を、端部23A、23Bに嵌合させるとき、段差部23D、23Fに当接するまで移動させればよいので、取付位置の調整をしなくても、リング材34、44を一定位置に配置させることができる。さらに、外皮先端部23Aに嵌合されるリング材33は、内視鏡先端部14に嵌合されるための小径リング部34Aが設けられるため、より安定的に外皮先端部23Aの外周に固定させることができる。
【0050】
なお、リング材34、44の内周面は、粗面とされても良いし、或いはネジ切り等によって凹凸が設けられても良い。また、大径部14B外周面の小径リング部34Aで覆われる部分も粗面としても良い。すなわち、接着剤に接触するリング材34、44や内視鏡先端部14等の面は、粗面や凹凸を有する面とされていても良い。このような構成によれば、アンカー効果によって、接着剤33、43のリング材34、44に対する接着力を高めることが可能になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7