特許第5826059号(P5826059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5826059
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20151112BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   A61B1/00 300Q
   G02B23/24 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-26895(P2012-26895)
(22)【出願日】2012年2月10日
(65)【公開番号】特開2013-162863(P2013-162863A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2014年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】内藤 直幸
(72)【発明者】
【氏名】平山 哲
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−254043(JP,A)
【文献】 特開平07−136102(JP,A)
【文献】 特開2011−120863(JP,A)
【文献】 特開平08−071031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
該操作部から前方に延びる挿入部と、
該挿入部内に互いに独立した管路として形成しかつ共に該挿入部の前端面において開口する送気管路及び送水管路と、
上記挿入部の軸線方向に上記前端面を見たときに上記送水管路を挟んで上記送気管路と反対側に位置する、該前端面に設けた対物レンズと、
上記前端面に上記送水管路と上記対物レンズの間に位置させて凹設した、該対物レンズ側から上記送水管路側に向かうにつれて後方への凹み量を徐々に大きくする水流案内傾斜面を有するノズル取付用凹部と、
該ノズル取付用凹部に設けた、上記送水管路の前端開口から排出された水を上記水流案内傾斜面に向けて噴射する送水ノズルと、
上記送水ノズルの前面を覆うようにして上記ノズル取付用凹部に設けた、上記送気管路の前端開口から排出された空気流を上記水流案内傾斜面の直前位置を通過させながら上記対物レンズ側に導く送気ノズルと、
を備えることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡において、
上記水流案内傾斜面が、上記挿入部の軸線方向に見たときに上記送水管路の前端開口を囲み、かつ該送水管路の軸線を中心とする略円弧形状をなすテーパ面である内視鏡。
【請求項3】
請求項1または2記載の内視鏡において、
上記送気ノズルの後部が開口しており、
上記送気ノズルの前部と上記送水ノズルの前面の間に、上記空気流の流路を形成した内視鏡。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の内視鏡において、
上記送気ノズルの上記対物レンズ側の端部より、上記送水ノズルの上記対物レンズ側の端部が該対物レンズ側に位置する内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡に関し、特に内視鏡の挿入部の先端部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に内視鏡の操作部及び挿入部の内部には送気管路と送水管路が設けてあり、送気管路と送水管路の先端部は挿入部の先端面において開口し、各管路の先端開口にはノズルが取り付けてある。そして送水管路の先端開口に取り付けたノズルから洗浄水を噴射することにより、挿入部の先端面に設けた対物レンズ(観察光学系)の汚れを洗い流すことができる。また送気管路の先端開口に取り付けたノズルから空気を対物レンズに吹き付けることにより、対物レンズの表面に付着した水を吹き飛ばすことができる。
【0003】
内視鏡には、送気管路と送水管路を一本の管路として共用しているものと(例えば特許文献1、2)、送気管路と送水管路を互いに独立した2本の管路として備えるもの(特許文献3)の2つのタイプが存在する。
しかし、送気管路と送水管路を一本の管路として共用した内視鏡は、送水操作を行った直後に送気操作を行った場合に、管路内に滞留している洗浄水が先端開口から排出されるまで管路の先端開口から空気を排気できないという問題がある。
【0004】
一方、送気管路と送水管路を互いに独立した2本の管路として備える特許文献3の内視鏡には、この欠点は存在しない。
さらに特許文献3の内視鏡の挿入部の先端面には、送気管路の先端開口と送水管路の先端開口の周縁部にそれぞれ位置する2つのテーパ状凹部が凹設してあり、送気管路と送水管路の先端開口には、一部が対応するテーパ状凹部内に位置するノズルがそれぞれ固定してある。
そのため2つのノズルは挿入部の先端面からの突出量が小さいので、対物レンズの観察視野を大きくした場合であってもノズルが入る観察視野に入ることがない。
さらに送水管路側のノズルから噴射された水は、テーパ状凹部によって放射状に拡散しかつ勢いを持続しながら対物レンズ側に向かうので、対物レンズの表面の汚れを効果的に洗い流すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−210388号公報
【特許文献2】特開2011−41641号公報
【特許文献3】特開2010−279533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
挿入部の先端部は患者の負担を考慮して小径に構成してあるので、特許文献3の送気管路の先端開口と送水管路の先端開口に取り付けた2つのノズルは小型にせざるを得ない。しかしながら、ノズルを小型にするとノズルの開口が小さくなるので、各ノズルから噴射できる洗浄水や空気の量が制限されてしまう。
また送水管路の先端開口の周縁部にテーパ状凹部を形成してあるので、送水管路に供給される洗浄水の水圧が大きい場合には、ノズルから噴射された洗浄水がテーパ状凹部によって前方にジャンプしてしまい、対物レンズ側に向かわなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、挿入部の先端面に互いに独立した送気管路と送水管路を設けた構造でありながら、挿入部の先端部の径を大きくすることなくノズルを大型にでき、さらに送水管路の先端開口の周縁部にノズルから噴射された水の勢いを持続させるための凹部を形成した構造でありながら、ノズルから噴射された水を対物レンズ側に確実に導くことが可能な内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡は、操作部と、該操作部から前方に延びる挿入部と、該挿入部内に互いに独立した管路として形成しかつ共に該挿入部の前端面において開口する送気管路及び送水管路と、上記挿入部の軸線方向に上記前端面を見たときに上記送水管路を挟んで上記送気管路と反対側に位置する、該前端面に設けた対物レンズと、上記前端面に上記送水管路と上記対物レンズの間に位置させて凹設した、該対物レンズ側から上記送水管路側に向かうにつれて後方への凹み量を徐々に大きくする水流案内傾斜面を有するノズル取付用凹部と、該ノズル取付用凹部に設けた、上記送水管路の前端開口から排出された水を上記水流案内傾斜面に向けて噴射する送水ノズルと、上記送水ノズルの前面を覆うようにして上記ノズル取付用凹部に設けた、上記送気管路の前端開口から排出された空気流を上記水流案内傾斜面の直前位置を通過させながら上記対物レンズ側に導く送気ノズルと、を備えることを特徴としている。
【0009】
上記水流案内傾斜面が、上記挿入部の軸線方向に見たときに上記送水管路の前端開口を囲み、かつ該送水管路の軸線を中心とする略円弧形状をなすテーパ面であってもよい。
【0010】
上記送気ノズルの後部を開口させ、上記送気ノズルの前部と上記送水ノズルの前面の間に、上記空気流の流路を形成してもよい。
【0011】
上記送気ノズルの上記対物レンズ側の端部より、上記送水ノズルの上記対物レンズ側の端部が該対物レンズ側に位置させてもよい。
【発明の効果】
【0012】
送水管路と送気管路を互いに独立した別個の管路としてあるものの、挿入部の前端面に設けた送気ノズルが(該前端面に設けた)送水ノズルの前面を覆っている(送水ノズルと送気ノズルを前後方向に重ねて配置している)。そのため挿入部の先端部が小径であっても(前端面が小面積であっても)、送水ノズルと送気ノズルを大きくして各ノズルから噴射できる水量や空気量を多くすることが可能である。
さらに送水ノズルの開口端部から噴射された水流の勢いを水流案内傾斜面によって持続させることが可能で、かつ、水流案内傾斜面に当たった水流が挿入部の前端面の前方にジャンプしようとするのを送気ノズルから噴射された空気流が防止するので、対物レンズに向けて洗浄水を勢いよくかつ確実に吹き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の内視鏡の全体図である。
図2】挿入部の先端部の拡大斜視図である。
図3】送水ノズル、ノズルカラー、及び、送気ノズルを分離して示す挿入部の先端部の斜視図である。
図4】送水ノズルと送気ノズルの分離状態の斜視図である。
図5図2のV−V矢線に沿う断面図である。
図6】プロセッサと送気送水ユニットの断面図である。
図7】操作部に設けた送気送水機構の断面図であり、(a)は送気送水ボタンが非操作状態にあるときの図、(b)は術者が手の指で送気送水ボタンの空気噴射孔を塞いだときの図、(c)は術者が手の指で送気送水ボタンを押込位置まで押し込んだときの図である。
図8】第一の変形例の図5と同様の断面図である。
図9】第二の変形例のプロセッサと、送気送水ユニットと、内視鏡のコネクタ部と、補助圧縮空気源を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1から図7を参照しながら本発明の一実施形態の内視鏡システム100について説明する。以下の説明中の前後方向は、内視鏡10の挿入部12の先端側を「前方」、ユニバーサルチューブ13の先端側(コネクタ部14側)を「後方」と定義している。
内視鏡システム100は大きな構成要素として内視鏡10と、プロセッサ60と、送気送水ユニット65と、モニタと、を具備している。
医療用の内視鏡10は、硬質樹脂からなる操作部11と、操作部11から前方に延びる挿入部12と、操作部11から後方に延びるユニバーサルチューブ13と、ユニバーサルチューブ13の後端に固定したコネクタ部14と、を備えている。
【0015】
挿入部12は、操作部11から前方に延びかつ可撓性を有する可撓管部16と、可撓管部16より前方に位置する部分を構成する先端硬質部17と、を具備している。先端硬質部17は実質的に弾性変形不能な硬質樹脂材料(例えば、ABS、変性PPO、PSUなど)によって構成してある。先端硬質部17の平面からなる前端面18には、先端硬質部17をその軸線方向に貫通する貫通孔が形成してあり、該貫通孔には3枚のレンズからなる観察光学系19が嵌合固定してある。観察光学系19の中で最も前方に位置する対物レンズ20は前端面18において露出している。さらに当該貫通孔には観察光学系19の直後に位置する撮像素子(図示略)が設けてあり、撮像素子から後方に延びる画像信号用ケーブルの後端部が、挿入部12、操作部11、ユニバーサルチューブ13、及び、コネクタ部14の内部空間を通り抜けてコネクタ部14に突設した画像処理用接続スリーブ14Aに接続している。
【0016】
図2図3に示すように前端面18には正面視において前端面18の略径方向に直線的に延びるノズル取付用凹部22が凹設してある。図示するようにノズル取付用凹部22の対物レンズ20側の端部は、正面視において略円弧形状(後述する送水用流路26の軸線を中心とする略円弧形状)をなし、かつ該円弧の外周側(対物レンズ20側)から内周側(送水用流路26側)に向かうにつれて後方への凹み量が徐々に増大するテーパ面23(水流案内傾斜面)となっている。ノズル取付用凹部22の底面には、前端面18の外周側に位置する送気用流路25(送気管路)と、内周側(前端面18の中心側)に位置し送気用流路25と反対側の端部の周囲がテーパ面23によって囲まれた送水用流路26(送水管路)と、が並べて形成してある。送気用流路25及び送水用流路26は先端硬質部17をその軸線方向に貫通している。また図示するように挿入部12(可撓管部16)の軸線方向に前端面18を見たときに、送気用流路25、送水用流路26、及び、対物レンズ20はほぼ同一直線上に位置し、対物レンズ20と送気用流路25の間に送水用流路26が位置する。挿入部12(可撓管部16)、操作部11、ユニバーサルチューブ13、及び、コネクタ部14の内部空間には、共に可撓性を有する送気用チューブ28(送気管路)と送水用チューブ29(送水管路)が、互いに独立した別個のチューブとして配設してある。送気用チューブ28の前端は送気用流路25の後端開口に接続し、送水用チューブ29の前端は送水用流路26の後端開口に接続しており、送気用チューブ28と送水用チューブ29の後端はそれぞれコネクタ部14に突設した送気送水用口金15に接続している。
【0017】
送水用流路26の前端開口の周縁部には環状段部27が凹設してあり、環状段部27には非円形孔32を備える円形のノズルカラー31が嵌合してある。そして送水用流路26及び非円形孔32には前方から送水ノズル34が固定状態で嵌合してある。送水ノズル34は、前端部を構成する噴射部35と、噴射部35から後方に延びる略半円筒形の嵌合挿入部36とを有している。噴射部35の後面にはノズル取付用凹部22の長手方向(前端面18の径方向)と略平行に延び、かつ対物レンズ20側の端部が開口した噴射案内溝37が形成してある。図5に示すように噴射案内溝37は送気用流路25側から対物レンズ20側に向かうにつれて前方から後方に傾斜する断面形状である。送水ノズル34は嵌合挿入部36を非円形孔32及び送水用流路26に対して挿入(嵌合)することにより送水用流路26に対して固定してあり、送水用流路26に固定すると図2及び図5に示すように噴射部35の後半部がノズル取付用凹部22内に位置し、噴射部35の前半部が前端面18の前方に突出する。
【0018】
一方、送気用流路25には送水ノズル34より大寸の送気ノズル39が固定状態で取り付けてある。送気ノズル39は、前端部を構成する正面視矩形の噴射部40と、噴射部40から後方に延びる略半円筒形の嵌合挿入部41とを有している。噴射部40の後面にはノズル取付用凹部22の長手方向と略平行に延び、かつ対物レンズ20側の端部が開口した噴射案内溝42が形成してある。図5に示すように噴射案内溝42は、嵌合挿入部41側から対物レンズ20側に向かうにつれて前方から後方に傾斜する断面形状である。送気ノズル39は嵌合挿入部41を送気用流路25に対して挿入(嵌合)することにより送気用流路25に対して固定してある。送気ノズル39を送気用流路25に固定すると、図2及び図5に示すように噴射部40の後半部がノズル取付用凹部22内に位置し、噴射部40の前半部が前端面18の前方に突出する。さらに噴射部40が、噴射部35の前面及び周面(前面の周縁部に連続する面)を囲み、送気ノズル39の一対の側壁39aの内面が送水ノズル34の噴射部35の側面に接触する。図5に示すように、送気ノズル39を送気用流路25に固定すると、噴射案内溝42の延長方向は対物レンズ20の表面(前端面)に向かう方向となる。
図5に示すように、先端硬質部17の前端面18に固定された送水ノズル34及び送気ノズル39は、対物レンズ20の観察視野(角)Aの範囲外に位置する。
【0019】
さらに先端硬質部17の前端面18には一対の照明レンズ44が設けてある。挿入部12、操作部11、ユニバーサルチューブ13、及び、コネクタ部14の内部空間には可撓性を有する一対のライトガイドファイバ(図示略)が配設してあり、各ライトガイドファイバの前端は先端硬質部17の内部において各照明レンズ44にそれぞれ接続しており、各ライトガイドファイバの後端はコネクタ部14に突設した光源用接続スリーブ14Bに接続している。
【0020】
図7に示すように操作部11の内部空間には送気送水シリンダ46が固定状態で設けてある。送気送水シリンダ46の軸線方向の一端(内側端部)は閉塞しており、軸線方向の他端(外側端部)は操作部11の表面において開口している。さらに送気用チューブ28及び送水用チューブ29の中間部が送気送水シリンダ46に接続しており、送気用チューブ28及び送水用チューブ29は送気送水シリンダ46によって前部28a、29a(送気送水シリンダ46より挿入部12側に位置する部分)と後部28b、29b(送気送水シリンダ46よりユニバーサルチューブ13側に位置する部分)とに分断されている。
送気送水シリンダ46の内部には、その軸線が送気送水シリンダ46と平行なピストン47が該軸線方向にスライド自在に設けてある。ピストン47の内部にはピストン47を軸線方向に貫通する空気連通路48が形成してある。ピストン47の外周面の内側端部近傍には空気流連通用環状溝47aが凹設してあり、外周面の中央部には水流連通用環状溝47bが凹設してある。さらにピストン47の外周面の3カ所に形成した環状溝には弾性材料からなる3つのOリング49、50、51がそれぞれ嵌合してあり、各Oリング49、50、51が送気送水シリンダ46の内周面に水密(気密)状態で摺動可能に接触している。またピストン47の外周面の内側端近傍部には弾性材料からなる環状のシール材47cの内周側端部が固定してあり、シール材47cの外周側端部が送気送水シリンダ46の内周面に水密(気密)状態で摺動可能に接触している。ピストン47の一端(外側端部)には、空気連通路48と連通する空気噴射孔53を備える送気送水ボタン52が固定してある。さらに操作部11の外面には、ピストン47の周囲を囲む筒形状のリテーナ54が固定してあり、リテーナ54の底部と送気送水ボタン52の間には送気送水ボタン52を外側に移動付勢する圧縮コイルバネ55が縮設してある。ピストン47及び送気送水ボタン52は図1及び図7(a)(b)に示す突出位置と、図7(c)に示す押込位置との間を送気送水シリンダ46に対してスライド自在であり、ピストン47に対して外力(押込力)を及ぼさないときは圧縮コイルバネ55の付勢力によって突出位置に保持される。図7(a)に示すように、ピストン47及び送気送水ボタン52が突出位置に位置するとき、送気用チューブ28の後部28bは送気送水シリンダ46の底部側空間を介して空気連通路48と連通し、送気用チューブ28の前部28aと後部28bの連通はシール材47cによって遮断される。その一方で、送水用チューブ29の前部29aと後部29bの連通はピストン47の外周面及びOリング50、51によって遮断される。図7(b)に示すように術者が手の指Fで送気送水ボタン52の上面(空気噴射孔53)を塞ぐと送気送水シリンダ46内の気圧が高まるため、送気送水シリンダ46に供給された圧縮空気がシール材47cを送気送水シリンダ46の内周面から離間させる方向に変形させる。そのため圧縮空気は空気流連通用環状溝47aを介して送気用チューブ28の前部28aに流れ、さらに送気用流路25を通って送気ノズル39に流れる。一方、図7(c)に示すようにピストン47及び送気送水ボタン52が押込位置までスライドすると、送気用チューブ28の前部28aと後部28bの連通が空気流連通用環状溝47aによって持続され、さらに水流連通用環状溝47bを介して送水用チューブ29の前部29aと後部29bが連通する。
【0021】
図6に示したプロセッサ60は内視鏡10のコネクタ部14に突設した画像処理用接続スリーブ14A及び光源用接続スリーブ14Bを着脱可能な装置であり、プロセッサ60のケーシング61の内部には、光源と、画像処理手段と、圧縮空気源62(ポンプ)とが設けてある。さらにケーシング61の内部には、一端が圧縮空気源62に接続し、他端がケーシング61に支持した送気用接続部64の内側開口端部に接続する送気用チューブ63が設けてある。
送気送水ユニット65は、送水ボトル66、キャップ67、送気チューブ68、及び、送水チューブ69を具備している。送水ボトル66は、ケーシング61に固着された不図示のホルダを介してプロセッサ60に取り付けてある。送水ボトル66の上端開口部にはキャップ67が着脱可能に取り付けてあり、キャップ67には可撓性を有する送気チューブ68の一端が接続している。さらに送気チューブ68の内部には可撓性を有する送水チューブ69が位置しており、送水チューブ69の一端はキャップ67を通り抜けて送水ボトル66内部の底面近傍に位置している。さらにキャップ67の側面に形成した接続用開口部に対して送気用接続部64の外側開口端部が接続している。送気チューブ68及び送水チューブ69のキャップ67と反対側の端部は内視鏡10の送気送水用口金15を介して、内視鏡10の送気用チューブ28と送水用チューブ29の端部にそれぞれ別個に接続している。
さらにプロセッサ60には図示を省略したモニタが接続してある。
【0022】
プロセッサ60のメインスイッチをONにした上でプロセッサ60に設けた光源スイッチをONにすると、光源が発した光が光源用接続スリーブ14B内のライトガイドファイバに供給されるので、先端硬質部17の前端面18に設けた一対の照明レンズ44が照明光を前方に向けて照射する。さらに観察光学系19(対物レンズ20)を透過した観察像が上記撮像素子によって撮像され、撮像データが上記画像信号用ケーブルを介してプロセッサ60の上記画像処理手段に送られる。画像処理手段によって処理された画像データは、プロセッサ60に接続する上記モニタに表示される。
さらにプロセッサ60に設けた圧縮空気源62のスイッチをONにすると、圧縮空気源62で発生した圧縮空気が送気用チューブ63及び送気用接続部64を介して洗浄水が入れられた送水ボトル66内に供給されるので、送気チューブ68及び送気用チューブ28の後部28bを介して送水ボトル66の内部空間と連通している送気送水シリンダ46内の気圧が高まる。そして送気送水シリンダ46に供給された圧縮空気は、空気連通路48を通して空気噴射孔53から内視鏡10の外側に排出される。さらに送水ボトル66内の洗浄水にも圧力が掛かるため、送水ボトル66内の洗浄水が送水チューブ69内に流入し、送水用チューブ29の後部29bを介して洗浄水が送気送水シリンダ46側に送られる。しかしながら、図7(a)に示すように術者が送気送水ボタン52を何ら操作しない場合は、送水用チューブ29の後部29bを通って送気送水シリンダ46側に供給された洗浄水はピストン47及びOリング50、51によって送気送水シリンダ46内への進入が規制される。
【0023】
一方、図7(b)に示すように術者が手の指Fで送気送水ボタン52の上面(空気噴射孔53)を塞ぐと送気送水シリンダ46内の気圧が高まるため、送気送水シリンダ46に供給された圧縮空気がシール材47cを送気送水シリンダ46の内周面から離間させる方向に変形させる。そのため圧縮空気は空気流連通用環状溝47aを介して送気用チューブ28の前部28aに流れ、さらに送気用流路25を通って送気ノズル39に流れる。そして圧縮空気は、噴射部40の噴射案内溝42と送水ノズル34の前面によって形成された流路を通って送気ノズル39の開口端部から排出され、テーパ面23の直前位置を通りながら対物レンズ20の表面に向かう(図5参照)。
【0024】
さらに、図7(c)に示すように術者が手の指Fで送気送水ボタン52の上面(空気噴射孔53)を塞いだままピストン47及び送気送水ボタン52を押込位置まで押し込んだ場合も、送気送水シリンダ46に供給された圧縮空気は空気流連通用環状溝47aを介して送気用チューブ28の前部28aに流れ続けるので、送気ノズル39は対物レンズ20の表面に向けて圧縮空気を噴射し続ける。またピストン47及び送気送水ボタン52が押込位置まで移動すると、ピストン47の水流連通用環状溝47bが送水用チューブ29の前部29a及び後部29bの送気送水シリンダ46との接続端部(開口部)と対向するので、送水用チューブ29の後部29bを通って送気送水シリンダ46に供給された洗浄水が水流連通用環状溝47bを介して送水用チューブ29の前部29aに供給される。洗浄水は送水用チューブ29bの前部29aから送水用流路26を通って送水ノズル34に供給され、噴射部35の噴射案内溝37からノズル取付用凹部22のテーパ面23に向けて勢いよく噴射される。すると洗浄水はテーパ面23に接触することにより、その勢いを殆ど失うことなく正面視で扇形状に拡散しながら対物レンズ20側に向かう。このときテーパ面23によって拡散された洗浄水の一部は前端面18から前方に離間するようにジャンプしようとするが、送気ノズル39から対物レンズ20の表面に向けて噴射された上記圧縮空気によって洗浄水のジャンプが規制されるので、送水ノズル34から噴射された洗浄水の殆どは対物レンズ20の表面に向かう。そのため対物レンズ20の表面に付着した汚れ(例えば、挿入部12を患者の体腔内に挿入することによって付着した患者の体液等)を洗浄水によって確実に洗い流すことが可能である。
洗浄水によって対物レンズ20の表面を洗浄した後に、術者が手の指Fで送気送水ボタン52の上面(空気噴射孔53)を塞いだままピストン47及び送気送水ボタン52を突出位置に戻せば、送気ノズル39の開口端部から噴射された空気流によって対物レンズ20の表面に付着している洗浄水を吹き飛ばすことができる。
【0025】
以上説明したように本実施形態の内視鏡システム100によれば、送水ノズル34の開口端部から噴射された洗浄水をノズル取付用凹部22のテーパ面23によって勢いよく扇形状に拡散させることができ、しかも送気ノズル39から噴射された空気流によって洗浄水がテーパ面23から前方に大きくジャンプするのを防止できるので、対物レンズ20に向けて洗浄水を勢いよくかつ確実に吹き付けることができる。
さらに先端硬質部17に送気用流路25と送水用流路26を互いに独立した別個の管路として形成してあるものの、送気ノズル39を送水ノズル34の前面(及び周面)を覆うようにして前端面18に取り付けているので(送水ノズル34と送気ノズル39を前後方向に重ねて配置しているので)、先端硬質部17(挿入部12)が小径であっても(前端面18が小面積であっても)、送水ノズル34と送気ノズル39を大きくして送水ノズル34と送気ノズル39から噴射できる洗浄水や空気の量を多くすることが可能である。
【0026】
さらに送気ノズル39の流路の一部(後面)を送水ノズル34の前面によって構成しているので、筒状部材として構成したノズルに比べて送気ノズル39の構成を簡単にできる。
また送水ノズル34と送気ノズル39を前後に重ねた構成であるものの、先端硬質部17の前端面18に凹設したノズル取付用凹部22に送水ノズル34及び送気ノズル39の後部を位置させているので、送気ノズル39の前端面18からの前方への突出量を小さく抑えることが可能である。そのため対物レンズ20の観察視野(角)Aを大きくとった場合においても、送水ノズル34及び送気ノズル39を観察視野A内に入らないようにすることが可能である。
【0027】
以上、上記実施形態を利用して本発明を説明したが、本発明は様々な変形を施しながら実施可能である。
図8に示す第一の変形例の内視鏡10’は送気ノズル39’の形状が送気ノズル39と異なる。即ち、送気ノズル39’の噴射部40’は送気ノズル39に比べて長手方向寸法(ノズル取付用凹部22の延長方向寸法)が短く、噴射部40’の対物レンズ20側の端部は送水ノズル34の噴射部35の対物レンズ20側の端部より後退している。そのため対物レンズ20の観察視野(角)Aを上記実施形態より大きくしつつ、観察視野A内に送気ノズル39’(及び送水ノズル34)が入らないようにできる。
【0028】
図9に示す第二の変形例は、プロセッサ60の近傍に圧縮空気源62とは別個の補助圧縮空気源70(補助ポンプ)を配置し、補助圧縮空気源70から延びる補助送気チューブ72を送気チューブ68に接続したものである。補助圧縮空気源70に設けたスイッチ71をON操作して補助圧縮空気源70内で圧縮空気を発生させると、この圧縮空気が補助送気チューブ72を介して送気チューブ68に供給されるので、送水ボトル66内の洗浄水の水圧を上げることなく、送気チューブ68内の空気圧を高めることが出来る。そのため送水ノズル34から噴射される洗浄水の水圧を変えることなく、送気ノズル39(39’)から噴射される空気流の勢いを増大させることが可能である。
【0029】
また送水ノズル34の前面位置は前端面18より後方でなければよく、例えば送水ノズル34の前面を前端面18と同一平面上に位置させてもよい。このようにしても送気ノズル39(39’)の開口端部から排出された空気流は対物レンズ20の表面側に向かうので、テーパ面23によって拡散された洗浄水が前端面18から前方に離間する方向にジャンプするのを規制して、洗浄水を対物レンズ20の表面に向かわせることが可能である。
さらに工業用内視鏡に対して本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 10’ 内視鏡
11 操作部
12 挿入部
13 ユニバーサルチューブ
14 コネクタ部
14A 画像処理用接続スリーブ
14B 光源用接続スリーブ
15 送気送水用口金
16 可撓管部
17 先端硬質部
18 前端面
19 観察光学系
20 対物レンズ
22 ノズル取付用凹部
23 テーパ面(水流案内傾斜面)
25 送気用流路(送気管路)
26 送水用流路(送水管路)
27 環状段部
28 送気用チューブ(送気管路)
29 送水用チューブ(送水管路)
31 ノズルカラー
32 非円形孔
34 送水ノズル
35 噴射部
36 嵌合挿入部
37 噴射案内溝
39 39’ 送気ノズル
40 40’ 噴射部
41 嵌合挿入部
42 噴射案内溝
44 照明レンズ
46 送気送水シリンダ
47 ピストン
47a 空気流連通用環状溝
47b 水流連通用環状溝
47c シール材
48 空気連通路
49 50 51 Oリング
52 送気送水ボタン
53 空気噴射孔
54 リテーナ
55 圧縮コイルバネ
60 プロセッサ
61 ケーシング
62 圧縮空気源
63 送気用チューブ
64 送気用接続部
65 送気送水ユニット
66 送水ボトル
67 キャップ
68 送気チューブ
69 送水チューブ
70 補助圧縮空気源
71 スイッチ
72 補助送気チューブ
100 内視鏡システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9