(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5826312
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】筐体取付け構造及びそれに用いられる取付け具
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20151112BHJP
F16B 5/00 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
H05K5/02 V
H05K5/02 B
H05K5/02 E
F16B5/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-32861(P2014-32861)
(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2015-159181(P2015-159181A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2014年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康智
【審査官】
飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−107393(JP,A)
【文献】
特開2001−008242(JP,A)
【文献】
特開2003−158385(JP,A)
【文献】
特開平04−168891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00−5/06
F16B 5/00−5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付け部に対して第1設定間隔を空けた状態で筐体を固定し、且つ、この固定された筐体に対して他の一台又は複数台の筐体を筐体間に第2設定間隔を空けた状態で連結する筐体取付け構造であって、
前記第1設定間隔に相当する板厚を備えた第1板部の一側面の中間位置に、前記第2設定間隔に相当する板厚を備えた一つの第2板部が立設され、
且つ、前記第1板部と第2板部とで形成される両入隅形成面が、前記筐体における直交する両側面の角部に当て付け可能な第1当接面に構成され、
さらに、前記第1板部の他側面が、前記被取付け部に当て付け可能な第2当接面に構成されている取付け具の複数個を用い、
一台目の筐体の固定においては、前記取付け具の第2板部を前記被取付け部に直交する縦向き姿勢にし、
前記第1板部の第2当接面を前記被取付け部に当て付け、且つ、第1板部の第1当接面と第2板部の第1当接面とで形成される両入隅形成面のうち、一方の入隅形成面を前記筐体の角部に当て付け、
前記第1板部に形成されている第1取付け部を締結手段で前記被取付け部に取付けるとともに、前記第2板部に形成されている第2取付け部を締結手段で筐体における前記直交方向に沿う側面の被連結部に取付けてあり、
二台目以降の増設側の筐体の連結においては、前記取付け具の第2板部を前記被取付け部に沿う横向き姿勢にし、
固定側の筐体と増設側の筐体との間に横向き姿勢の第2板部を介装させ、且つ、第1板部の第1当接面と第2板部の第1当接面とで形成される両入隅形成面を、固定されている筐体の角部及び増設側の筐体の角部に当て付け、
前記第2板部の第2取付け部を締結手段で両筐体における前記直交方向に沿う側面の被連結部に取付けてある筐体取付け構造。
【請求項2】
前記第1板部における第2板部から先端までの第1当接長さと前記第2板部における第1板部から先端までの第2当接長さとの合計長さ、及び、前記第1当接長さの二つ分の合計長さが、筐体における連結対象の側面の幅寸法よりも小に構成されている請求項1記載の筐体取付け構造。
【請求項3】
前記第1板部及び第2板部には、筐体の側面に形成されている放熱口に連通する開口が貫通形成されている請求項1又は2記載の筐体取付け構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の筐体取付け構造に用いられる取付け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ボックス型のスイッチングハブ等の電気機器や機械機器等に装備される筐体の一台又は複数台を情報盤やラック、床等の被取付け部に取付ける場合に用いられる
筐体取付け構造及び取付け具に関する。
詳しくは、被取付け部に対して第1設定間隔を空けた状態で筐体を固定し、且つ、この固定された筐体に対して他の一台又は複数台の筐体を筐体間に第2設定間隔を空けた状態で連結する筐体取付け構造
及びそれに用いられる取付け具に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体取付け構造に用いられる取付け具としては、前記第1設定間隔を形成するベース板を、前記第2設定間隔を空けて縦向き姿勢で並置される連結対象の両筐体の上面全域及び下面全域に当接可能な大きさの矩形状に形成し、このベース板の一側面の短辺方向中央位置に、並置された両筐体間の第2設定間隔内に入り込む仕切り板を一体形成するとともに、ベース板の短辺方向の一端部には、一方の筐体における並置方向外方側の側面に当接して仕切り板とで筐体を挾持する係止板を折り曲げ形成し、さらに、ベース板における他方の筐体の上面又は下面に当接する部位には、他方の筐体の上面又は下面に設けた雌ネジにビスで固定するための固定座を形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−107393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の取付け具では、二台の筐体を縦向き姿勢で連結する場合の専用の取付け具であるため、汎用性が低く、しかも、第2設定間隔を空けて縦向き姿勢で並置される連結対象の両筐体の上面全域及び下面全域にベース板を当接させるため、取付け具が大型化、重量化する不都合があった。
【0005】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、汎用性の向上と小型化、軽量化を図りながら1台又は複数台の筐体を被取付け部又は連結対象の筐体との間に所定間隔を空けた状態で能率良く容易に取付けることのできる
筐体取付け構造及びそれに用いられる取付け具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
被取付け部に対して第1設定間隔を空けた状態で筐体を固定し、且つ、この固定された筐体に対して他の一台又は複数台の筐体を筐体間に第2設定間隔を空けた状態で連結する筐体取付け構造に用いられる取付け具であって、
前記第1設定間隔の少なくとも一部を形成する第1板部の一側面の中間位置に、前記第2設定間隔の少なくとも一部を形成する一つの第2板部が立設され、
前記第1板部と第2板部とで形成される両入隅形成面が、前記筐体における直交する両側面に当て付け可能な第1当接面に構成され、
前記第1板部の他側面が、前記被取付け部に当て付け可能な第2当接面に構成され、
前記第1板部における前記第2板部で区画された両側部には、連結対象の両筐体の側面の被連結部及び前記被取付け部に対して締結手段で選択的に取付けるための第1取付け部が形成され、
前記第2板部には、前記被取付け部に固定される筐体の側面の被連結部に締結手段で取付けるための第2取付け部が形成されて
いる。
【0007】
上記構成によれば、例えば、1台の筐体を被取付け部に取付ける場合には、被取付け部に載置された取付け具の第1板部に、筐体の下部側の角部を構成する底面側の一側面を当て付けることにより、被取付け部と筐体の底面の間に第1設定間隔の少なくとも一部を形成することができるとともに、第1板部とで一方の入隅部を形成する第2板部の入隅形成面で筐体の横移動を当接規制することができる。
【0008】
この状態で第1板部の第1取付け部を締結手段で被取付け部に固定操作し、且つ、第2板部の第2取付け部を締結手段で筐体の側面に設けられている被連結部に連結操作するだけで、筐体を被取付け部に第1設定間隔を空けた状態で簡単に固定することができる。
【0009】
次に、筐体を増設する場合には、固定されている筐体の上面に、他の取付け具の第2板部を介して増設の筐体を載置すると、連結対象の両筐体間に第2設定間隔の少なくとも一部を形成することができる。
【0010】
この状態では、他の取付け具の第1板部と第2板部とで形成される一方の両入隅形成面が、固定されている筐体の上部側において直行する両側面に当接し、かつ、他方の両入隅形成面が増設側の筐体の下部側において直行する両側面に当接して、増設側の筐体の横方向の位置が固定されている筐体と合致する位置規制状態にあるので、第1板部の両第1取付け部を締結手段で連結対象の両筐体の側面に設けられる被連結部に連結操作するだけで、増設側の筐体を固定されている筐体に対して第2設定間隔を空けた状態で簡単に固定することができる。
【0011】
したがって、1台又は複数台の筐体を取付ける場合でも、一種類の取付け具の向き姿勢を変更しながら締結具で確実に取付けることができるから、従来に比して取付け具の汎用化と小型化、軽量化を図りながら1台又は複数台の筐体を被取付け部又は連結対象の筐体との間に所定間隔を空けた状態で能率良く容易に取付けることができる。
【0012】
前記第2板部には、筐体の側面に形成されている放熱口に連通する開口が貫通形成されて
いる。
【0013】
上記構成によれば、筐体が発熱源を備えた機器であっても、機器の放熱性能の低下を抑制しながら被取付け部に筐体を能率良く容易に取付けることができる。
【0014】
前記第2板部における第1板部から先端までの第2当接長さが、前記第1板部における第2板部から先端までの第1当接長さよりも大に構成され、前記第1板部の第1当接長さと第2板部の第2当接長さとの和が、筐体における連結対象の側板の幅寸法よりも小に構成されて
いる。
【0015】
上記構成によれば、取付け具の第2板部に形成される開口の開口面積を大きくして放熱性能の向上を図ることができるとともに、この第2板部を両筐体間に介在させる使用形態においては、第1板部よりも当接長さが長い分だけ増設側の筐体の荷重を安定支持することができる。
【0016】
しかも、第1板部の第1当接長さと第2板部の第2当接長さとの和が、筐体における連結対象の側板の幅寸法よりも小に構成されているので、例えば、二台の筐体を被取付け部に取付ける場合において、筐体における連結対象の側板に対する第1板部の当て付け面積を小さくして、当該第1板部による放熱面での悪影響を抑制することができる。
【0017】
前記第1取付け部が前記第1板部の幅方向に沿う長孔から構成されて
いる。
【0018】
上記構成によれば、被取付け部の取付け位置や筐体の被連結位置等の変動を吸収して、1台又は複数台の筐体を確実、容易に取付けることができ、取付け具の汎用化を高めることができる。
そして、本発明による第1の特徴構成は、被取付け部に対して第1設定間隔を空けた状態で筐体を固定し、且つ、この固定された筐体に対して他の一台又は複数台の筐体を筐体間に第2設定間隔を空けた状態で連結する筐体取付け構造であって、
前記第1設定間隔に相当する板厚を備えた第1板部の一側面の中間位置に、前記第2設定間隔に相当する板厚を備えた一つの第2板部が立設され、
且つ、前記第1板部と第2板部とで形成される両入隅形成面が前記筐体における直交する両側面の角部に当て付け可能な第1当接面に構成され、
さらに、前記第1板部の他側面が前記被取付け部に当て付け可能な第2当接面に構成されている取付け具の複数個を用い、
一台目の筐体の固定においては、前記取付け具の第2板部を前記被取付け部に直交する縦向き姿勢にし、
前記第1板部の第2当接面を前記被取付け部に当て付け、且つ、第1板部の第1当接面と第2板部の第1当接面とで形成される両入隅形成面のうち、一方の入隅形成面を前記筐体の角部に当て付け、
前記第1板部に形成されている第1取付け部を締結手段で前記被取付け部に取付けるとともに、前記第2板部に形成されている第2取付け部を締結手段で筐体における前記直交方向に沿う側面の被連結部に取付けてあり、
二台目以降の増設側の筐体の連結においては、前記取付け具の第2板部を前記被取付け部に沿う横向き姿勢にし、
固定側の筐体と増設側の筐体との間に横向き姿勢の第2板部を介装させ、且つ、第1板部の第1当接面と第2板部の第1当接面とで形成される両入隅形成面を、固定されている筐体の角部及び増設側の筐体の角部に当て付け、
前記第2板部の第2取付け部を締結手段で両筐体における前記直交方向に沿う側面の被連結部に取付けてある点にある。
本発明による第2の特徴構成は、前記第1板部における第2板部から先端までの第1当接長さと前記第2板部における第1板部から先端までの第2当接長さとの合計長さ、及び、前記第1当接長さの二つ分の合計長さが、筐体における連結対象の側面の幅寸法よりも小に構成されている点にある。
本発明による第3の特徴構成は、前記第1板部及び第2板部には、筐体の側面に形成されている放熱口に連通する開口が貫通形成されている点にある。
本発明による第4の特徴構成は、上記特徴構成1〜3のいずれか一つに記載の筐体取付け構造に用いられる取付け具にある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】取付け具の平面図(a)と正面図(b)及び側面図(c)
【
図3】一台の筐体を被取付け部に固定するときの斜視図
【
図4】一台の筐体を被取付け部に固定する前の分離状態での斜視図
【
図5】二台の筐体を被取付け部に固定するときの斜視図
【
図6】二台の筐体を被取付け部に固定する前の分離状態での斜視図
【
図7】一台の筐体を被取付け部に固定したときの要部の正面図
【
図8】二台の筐体を被取付け部に固定したときの要部の正面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
図3〜
図8は、発熱源を備えた電気機器の一例であるスイッチングハブ(例えば、L2インテリジェントハブ)Hの筐体(ハウジング)1を、情報盤やラック、床等の被取付け部Aに対して第1設定間隔S1を空けた状態で固定する、或いは、この固定された筐体1に対して増設側となる一台又は複数台のスイッチングハブHの筐体1を各筐体1間に第2設定間隔S2を空けた状態で連結する筐体取付け構造を示す。
【0021】
スイッチングハブHの筐体1は、六つの側面からなる横長偏平状の直方体に構成され、前側面1aには、ケーブル接続用コネクタ部10や電源コンセント11等が配備されているとともに、左右の横側面1bには、放熱口の一例である多数の上下方向に沿う通気用スリット12が二列状態で貫通形成されている。
【0022】
この筐体取付け構造に用いられる金属製の取付け具Bは、
図1、
図2に示すように、前記第1設定間隔S1に相当する板厚を備えた長方形状の第1板部2の一側面(片面)の中間位置、詳しくは、第1板部2の一側面における短辺方向中央位置に、前記第2設定間隔S2に相当する板厚を備え、且つ、第1板部2の長辺方向寸法と同一に構成された一つの長方形の第2板部3が一体的に立設されている。
【0023】
第1板部2と第2板部3とで入隅部を形成する両入隅形成面2a,3aが、筐体1における直交する両側面、つまり、上側面1cと横側面1bとで構成される上側角部(上側出隅)、及び、下側面1dと横側面1bとで構成されるうえ下側角部(下側出隅)に当て付け可能な第1当接面に構成され、さらに、第1板部2の他側面2bが、被取付け部Aに当て付け可能な第2当接面に構成されている。
【0024】
第1板部2における第2板部3で区画された両側部には、連結対象の両筐体1の横側面1bに設けた被連結部の一例である雌ネジ部(ネジ孔)4及び被取付け部Aに対して締結手段5で選択的に取付けるための第1取付け部6が形成されているとともに、第2板部3には、被取付け部Aに固定される筐体1の横側面1bに設けた被連結部の一例である雌ネジ部4に締結手段5で取付けるための第2取付け部7が形成されている。
【0025】
第1板部2の第1取付け部6は、第1板部2の幅方向に沿う長孔から構成され、第1板部2の長辺方向両端部と長辺方向中央部との三箇所に形成されている。
【0026】
また、第2板部3の第2取付け部7は、丸孔(円形の貫通孔)から構成され、第2板部3の長辺方向両端部の二箇所に形成されている。
【0027】
締結手段5としてはビス、ボルト・ナット、釘等があり、当該実施形態においては、第1板部2の第1取付け部6及び第2板部3の第2取付け部7を筐体1の横側面1bに設けた雌ネジ部4に締め付け固定するビスが用いられている。
【0028】
また、第1板部2の第1取付け部6を情報盤やラック等の被取付け部Aに取付ける場合には、この被取付け部Aの取付け条件に適したビスやボルト・ナット等の締結手段5を用いる。
【0029】
第2板部3における両第2取付け部7間には、筐体1の横側面1bに形成されている通気用スリット12に連通する矩形状の開口8が貫通形成されている。
【0030】
図2に示すように、第2板部3における第1板部2から先端までの第2当接長さL2が、第1板部2における第2板部3から先端までの第1当接長さL1よりも大に構成され、さらに、
図4、
図8に示すように、第1板部2の第1当接長さL1と第2板部3の第2当接長さL2との和が、筐体1における連結対象の横側板1bの幅寸法(高さ)Lよりも小に構成されている。
【0031】
そして、情報盤やラック等の被取付け部AにスイッチングハブHを取付ける場合は、
図3、
図4に示すように、左右一対の取付け具Bの第2板部3を縦向き姿勢にしてスイッチングハブHの筐体1の左右寸法に相当する間隔で配置し、両取付け具Bの第1板部2における内方側の入隅形成面2aに亘ってスイッチングハブHの筐体1を載置し、各取付け具Bの第2板部3の第2取付け部7に挿入した締結手段5の一例であるビスを、連結対象の筐体1の横側面1bに設けた被連結部の一例である雌ネジ部4に螺合操作し、各取付け具Bの第2板部3とスイッチングハブHの筐体1とを固定する。
【0032】
各取付け具Bの第1板部2は、図示はしていないが、それの外方側の入隅形成面2aに形成されている第1取付け部6に被取付け部Aの取付け条件に応じて選定した締結手段5としてのビス又はボルトを挿入して螺合操作し、各取付け具Bの第1板部2を被取付け部Aの据付面に固定する。
【0033】
この固定状態では、
図7に示すように、スイッチングハブHの筐体1の底面と被取付け部Aの据付面との間には、第1設定間隔S1に相当する隙間が形成されている。
【0034】
尚、取付け具Bの第1板部2を被取付け部Aの据付面に固定したのち、取付け具Bの第2板部3とスイッチングハブHの筐体1とを固定してもよい。
【0035】
そして、二台目のスイッチングハブHを増設する場合には、一台目のスイッチングハブHの筐体1における上側面1cと横側面1bとで構成される上側角部(上側出隅)に、左右一対の取付け具Bの第2板部3を横向き姿勢(水平姿勢)にして当該取付け具Bの第1板部2と第2板部3とで入隅部を形成する両入隅形成面2a,3aを当て付ける。
【0036】
次に、第1板部2の下方側の入隅形成面2aに形成されている第1取付け部6に挿入した締結手段5の一例であるビスを、一台目の筐体1の横側面1bに設けてある雌ネジ部4に螺合操作するとともに、第1板部2の上方側の入隅形成面2aに形成されている第1取付け部6に挿入した締結手段5の一例であるビスを、二台目の筐体1の横側面1bに設けてある雌ネジ部4に螺合操作し、二台目のスイッチングハブHの筐体1を一台目のスイッチングハブHの筐体1の上部に固定連結する。
【0037】
この固定状態では、
図8に示すように、一台目のスイッチングハブHの筐体1の上側面と二台目のスイッチングハブHの筐体1の下側面との間に、取付け具Bの第2板部3が横向き姿勢で介装されているため、両スイッチングハブHの筐体1間には第2設定間隔S2に相当する隙間が形成されている。
【0038】
尚、上述の第1実施形態では、取付け具Bの第1板部2の板厚と第2板部3の板厚とが同一であるため、第1設定間隔S1と第2設定間隔S2とが同一に構成されている。
そのため、要求される第1設定間隔S1と第2設定間隔S2とが異なる場合では、それに対応して取付け具Bの第1板部2及び第2板部3の各板厚を変更してもよい。
【0039】
また、上述の第1実施形態では、第1板部2の第1取付け部6を幅方向に沿う長孔から構成したが、丸孔又は長手方向に沿う長孔に形成してもよい。同じく、上述の第1実施形態では、第2板部3の第2取付け部7を丸孔から構成したが、幅方向に沿う長孔又は長手方向に沿う長孔に形成してもよい。
【0040】
さらに、上述の第1実施形態では、筐体1に形成される通気用スリット12等の放熱口に対する第2板部3の開口8を矩形に形成したが、筐体1の放熱口の形状、位置等に応じて一つ又は複数の任意の開口形状に設定することができる。
【0041】
〔第2実施形態〕
図9に示す取付け具Bでは、第1板部2及び第2板部3の表面にゴム等の弾性被覆層9が形成されている。
【0042】
この弾性被覆層9の表面をもって、第1板部2の第1当接面である入隅形成面2aと第2当接面である他側面2bとが形成され、さらに、第2板部3の第1当接面である入隅形成面3aが形成されている。
【0043】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0044】
〔第3実施形態〕
図10に示す取付け具Bでは、第1板部2の各隣接する第1取付け部6間の板部分には、筐体1の横側面1bに形成されている通気用スリット12に連通する矩形状の開口15が貫通形成されている。
【0045】
この開口15は、筐体1の通気用スリット12等の放熱口の形状、位置等に応じて一つ又は複数の任意の開口形状に設定することができる。
【0046】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0047】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、取付け具Bの第1板部2の板厚及び第2板部3の板厚をもって第1設定間隔S1及び第2設定間隔S2を構成したが、第1板部2及び第2板部3の表面にゴム板やゴムシート等の第三部材を当て付けて固定する場合には、この第三部材の厚みと第1板部2の板厚とで第1設定間隔S1を形成し、同じく、第三部材の厚みと第2板部3の板厚とで第2設定間隔S2を形成することになる。
そのため、第三部材を併用する場合には、第1板部2の板厚が第1設定間隔S1の少なくとも一部を形成し、同じく、第2板部3の板厚が第2設定間隔S2の少なくとも一部を形成することになる。
【0048】
(2)上述の第1実施形態では、第2板部3における第1板部2から先端までの第2当接長さL2を、第1板部2における第2板部3から先端までの第1当接長さL1よりも大に構成したが、第1板部2の第1当接長さL1と第2板部3の第2当接長さL2とを同じ長さに構成してもよく、さらに、第1板部2の第1当接長さL1を第2板部3の第2当接長さL2よりも大に構成してもよい。
【0049】
(3)上述の第1実施形態では、電気機器の一例であるスイッチングハブHの筐体1について説明したが、筐体としては、スイッチングハブH以外の電気機器の筐体であってもよく、さらに、機械や装置を被う筐体であってもよい。
【0050】
(4)上述の第1実施形態では、取付け具Bを金属から構成したが、樹脂から構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、汎用化の向上と小型化、軽量化を図りながら1台又は複数台の筐体を被取付け部又は連結対象の筐体との間に所定間隔を空けた状態で能率良く容易に取付けることのできる取付け具を提供することができる。
【符号の説明】
【0052】
A 被取付け部
B 取付け具
L 幅寸法
L1 第1当接長さ
L2 第2当接長さ
S1 第1設定空間
S2 第2設定空間
1 筐体
2 第1板部
2a 入隅形成面
2b 他側面
3 第2板部
3a 入隅形成面
4 被連結部
5 締結手段
6 第1取付け部
7 第2取付け部
8 開口