(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の供給装置が前記複数の第1の緩衝体及び前記複数の第2の緩衝体を供給した後、前記複数の第1の緩衝体及び前記複数の第2の緩衝体の上に前記被梱包物を載置する被梱包物載置装置を更に備える
請求項1又は2に記載の梱包システム。
前記第2の供給装置が前記複数の第1の緩衝体及び前記複数の第2の緩衝体を供給した後、前記複数の第1の緩衝体と前記複数の第2の緩衝体とを前記梱包箱に押し込むように前記梱包箱の蓋を閉じる蓋閉め装置を更に備える
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の梱包システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1や非特許文献1に例示されるようなバラ緩衝材には、荷物の受取人(以下、単に「受取人」ともいう。)が物品を取り出すために梱包箱を開けるとき、梱包箱内の緩衝材をテーブルや床に散らかしてしまうおそれがある。梱包箱の中では、物品は緩衝材の中に埋もれている。そのため、受取人が梱包箱から物品を取り出すとき、物品を覆う緩衝材を取り除かなければならない。そのとき、取り除いた緩衝材を袋や箱などに移すなど適切に処置していないとテーブルや床に散らかしてしまう可能性がある。それに対処する方法として、少量ずつ袋詰めにしたバラ緩衝材を用いる方法が考えられる。しかし、作業者が物品の梱包時に袋詰めのバラ緩衝材を物品の周りに詰めようとすると、手作業で行わなければならない。袋詰めのバラ緩衝材は供給された位置からほとんど動かず、梱包箱の角や端へ転がって移動しない。そのため、袋詰めのバラ緩衝材を梱包箱の角や端にまで隙間なく充填するには手作業が必須であり、手間と時間とがかかっている。バラ緩衝材は、物品形状に依らず使用可能な点や緩衝効果の高さの点から極めて有効であるが、梱包において色々と問題があり、取り扱いに困難な面がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、梱包における緩衝材の取り扱いを容易にする梱包装置及び梱包方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の観点によれば、複数の第1の緩衝体及び
当該複数の第1の緩衝体とは異なる複数の第2の緩衝体を梱包箱内に供給する第1の供給装置と、前記梱包箱内の前記複数の第1の緩衝体及び前記複数の第2の緩衝体の上に載置された被梱包物の周囲及び上に、更に複数の第1の緩衝体及び
当該複数の第1の緩衝体とは異なる複数の第2の緩衝体を前記梱包箱の上方からはみ出すように前記梱包箱内に供給する第2の供給装置と、を備え、前記第1の緩衝体は、第1の接着用材料を少なくとも表面に有し、前記第2の緩衝体は、
前記第1の接着用材料と異なる第2の接着用材料
を含み、
前記第1の接着用材料及び前記第2の接着用材料は、それぞれのみでは接着力を発現せず、前記第2の供給装置が前記複数の第1の緩衝体及び前記複数の第2の緩衝体を供給した後、前記梱包箱の蓋が閉じられて前記梱包箱内の前記複数の第1の緩衝体と前記複数の第2の緩衝体とが相対的に押し合ったとき、押し合った箇所で、前記第1の接着用材
料が前記第2の接着用材料
と混ざることにより接着力が発現して、前記第1の緩衝体と前記第2の緩衝体とが結合する
ように構成された、梱包システムが提供される。ただし、前記第1の緩衝体と前記第2の緩衝体はバラ緩衝材であり、袋詰めにされていない。第1の接着用材料及び第2の接着用材料とは、両者ともに接着力を発現する必要はない。また、第1、第2の接着用材料は、それぞれ第1、第2の緩衝体の内部にまで存在していてもよいし、第1、第2の緩衝体そのものが第1、第2の接着用材料で形成されていてもよい。
【0008】
この梱包システムは、梱包箱内の被梱包物の下側と上側とに、複数の第1の緩衝体及び複数の第2の緩衝体を混合して配置する。そのとき、第1の緩衝体や第2の緩衝体は、袋詰めにされていないので転がり易く、機械で供給しても梱包箱の角や端まで達することができ、梱包作業が容易になる。また、第1の緩衝体や第2の緩衝体は、梱包箱の上方からはみ出すように十分に多く供給されているので、梱包箱に蓋をされたとき、第1の緩衝体と第2の緩衝体とは互いに強く接触し、押し合うことができる。そのため、第1の緩衝体と第2の緩衝体とは互いに結合するが、第1の緩衝体及び第2の緩衝体のいずれかと物品又は梱包箱とは互いに結合しない。その結果、梱包された荷物を開くとき、第1の緩衝体と第2の緩衝体が結合して塊になっているので、物品を覆う緩衝材を容易に取り除くことができる。加えて、テーブルや床などにほとんど散らかることなく緩衝材を処分することができる。更に、第1の緩衝体及び第2の緩衝体が物品と結合しないので、緩衝材が物品に張り付いて物品が取り出し難くなる、などの悪影響も排除することができる。
【0009】
上記の梱包システムにおいて
、前記第1の接着用材
料は再湿接着剤の材料
を含み、前記第2の接着用材料
料は前記再湿接着剤の材料を溶解可能な溶解用溶液
を含み、前記第1の供給装置及び前記第2の供給装置は、それぞれ、前記第2の緩衝体の表面に前記溶解用溶液を供給する溶液供給装置を備えてもよい。その場合、前記第2の緩衝体が前記溶解用溶液を吸収し、前記第1の緩衝体と前記第2の緩衝体とが相対的に押し合ったとき、押し合った箇所で、前記第2の緩衝体から前記溶解用溶液が放出され、前記放出された前記溶解用溶液により、前記第1の緩衝体の再湿接着剤の材料が溶解することにより接着力が発
現する。ただし、溶解用溶液としては、水分、アルコール及びアルコール水溶液に例示され、更に他の物質を含んでいてもよい。また、接着層は、第1の緩衝体の内部にまで存在していてもよいし、第1の緩衝体の全体に分散していていもよし、第1の緩衝体そのものが再湿接着剤の材料を含む材料で形成されていてもよい。また、吸水層は、第2の緩衝体の内部にまで存在していてもよいし、第2の緩衝体そのものが溶解用溶液を吸収し、放出することが可能な材料で形成されていてもよい。
【0010】
この梱包システムにおいて、第2の緩衝体を梱包箱内へ供給する前に、自動的に、第2の緩衝体の表面に溶解用溶液を付着させ、吸収させることができる。それにより、梱包作業をより容易にすることができる。また、その結果、第1の緩衝体と第2の緩衝体とが押し合ったとき、再湿接着剤の材料と前記溶解用溶液とが接触した箇所で、すなわち緩衝体同士が接触した箇所で再湿接着剤の接着力を発現させることができる。また、再湿接着剤の材料は、接着用材料としては、有機溶媒を用いないので毒性がなく、火気の危険がなく安全である。
【0011】
この梱包システムは、前記第1の供給装置が前記複数の第1の緩衝体及び前記複数の第2の緩衝体を供給した後、前記複数の第1の緩衝体及び前記複数の第2の緩衝体の上に前記被梱包物を載置する被梱包物載置装置を更に備えていてもよい。被梱包物載置装置は、自動的に、前記被梱包物を載置するので、梱包作業をより容易に行うことができる。
【0012】
この梱包システムは、前記第2の供給装置が前記複数の第1の緩衝体及び前記複数の第2の緩衝体を供給した後、前記複数の第1の緩衝体と前記複数の第2の緩衝体とを前記梱包箱に押し込むように前記梱包箱の蓋を閉じる蓋閉め装置を更に備えていてもよい。蓋閉め装置は、自動的に、前記梱包箱の蓋を閉じるので、梱包作業をより容易に行うことができる。
【0013】
この梱包システムは、前記梱包箱を少なくとも前記第1の供給装置の近傍から、前記第2の供給装置の近傍まで搬送する搬送装置を更に備えていてもよい。搬送装置は、自動的に、梱包作業中の梱包箱を搬送してくれるので、梱包作業をより容易に行うことができる。
【0014】
この梱包システムでは、前記第1の供給装置及び前記第2の供給装置の各々は、複数の第1の緩衝体又は複数の第2の緩衝体を格納する緩衝体格納部と、前記緩衝体格納部の下部に連通するように設けられ、下方に向かうに連れ断面が小さくなる絞り部と、前記絞り部の下端の開口部に、開閉可能に設けられたシャッター部と、前記開口部の下端に接続され、前記開口部から送出される複数の第1の緩衝体又は複数の第2の緩衝体を下方へ案内する案内路とを備えていてもよい。前記シャッター部は、前記開口部の内側の前記絞り部内に配置され、前記シャッター部に接する第1の緩衝体又は第2の緩衝体の一部は、前記シャッター部の動きに対応して動く。この梱包システムにおいて、絞り部の下端の開口部付近では、例えば、第1の緩衝体又は第2の緩衝体が集まって、開口部を塞ぐようにアーチを形成する、いわゆるアーチアクションのような詰まりを引き起こす可能性がある。そうなると、開口部から第1の緩衝体又は第2の緩衝体が送出されなくなるおそれがある。しかし、この梱包システムでは、シャッター部の開閉動作に対応して、アーチを構成する第1の緩衝体又は第2の緩衝体の一部を動かすことで、アーチを壊してアーチアクションのような詰まりを解消できる。
【0015】
この梱包システムにおいて、前記第1の緩衝体と前記第2の緩衝体とは同一の形状を有してもよい。この緩衝材は、前記第1の緩衝体と前記第2の緩衝体とを混合したとき、概ね均一に混ざることができる。それにより、第1の緩衝体の隣に第2の緩衝体が概ね配置され、緩衝体同士が接触した、より大きな塊を形成することができる。
【0016】
この梱包システムにおいて、前記第1の緩衝体と前記第2の緩衝体とは球形であってもよい。この緩衝材は、梱包箱の中で極めて転がりやすい。そのため、第1の供給装置や第2の供給装置で緩衝材を梱包箱に詰める場合でも、梱包箱の角や端にまで緩衝材をより容易に充填することができる。
【0017】
本発明の他の観点によれば、第1の供給装置と被梱包物載置装置と第2の供給装置と蓋閉め装置とを備える梱包装置を用いた梱包方法であって、前記第1の供給装置により、複数の第1の緩衝体及び
当該複数の第1の緩衝体とは異なる複数の第2の緩衝体を梱包箱内に供給するステップと、前記被梱包物載置装置により、前記梱包箱内の前記複数の第1の緩衝体及び前記複数の第2の緩衝体の上に被梱包物を載置するステップと、前記第2の供給装置により、更に複数の第1の緩衝体及び
当該複数の第1の緩衝体とは異なる複数の第2の緩衝体を前記梱包箱の上方からはみ出すように前記梱包箱内に供給するステップと、前記蓋閉め装置により、前記複数の第1の緩衝体と前記複数の第2の緩衝体とを前記梱包箱に押し込むように前記梱包箱の蓋を閉じるステップと、を備
え、前記第1の緩衝体は、第1の接着用材料を少なくとも表面に有し、前記第2の緩衝体は、前記第1の接着用材料と異なる第2の接着用材料を含み、前記第1の接着用材料及び前記第2の接着用材料は、それぞれのみでは接着力を発現せず、前記梱包箱の蓋を閉じるステップにおいて、前記梱包箱内の前記複数の第1の緩衝体と前記複数の第2の緩衝体とが相対的に押し合ったとき、押し合った箇所で、前記第1の接着用材料が前記第2の接着用材料と混ざることにより接着力が発現して、前記第1の緩衝体と前記第2の緩衝体とが結合する、梱包方法が提供される。
【0018】
この梱包方法は、第1の緩衝体及び第2の緩衝体の供給、被梱包物(物品)の載置、梱包箱の蓋閉めを行う。そのとき、第1の緩衝体や第2の緩衝体は、袋詰めにされていないので転がり易く、機械で供給しても梱包箱の角や端まで達することができるので、梱梱包作業が容易になる。また、第1の緩衝体や第2の緩衝体は、梱包箱の上方からはみ出すように十分に多く供給されているので、梱包箱に蓋をされたとき、第1の緩衝体と第2の緩衝体とは互いに強く接触し、結着できる。それにより、梱包された荷物を開くとき、第1の緩衝体と第2の緩衝体が結合して塊になっているので、物品を覆う緩衝材を容易に取り除くことができる。加えて、ほとんどテーブルや床などに散らかる異なる緩衝材を処分することができる。更に、第1の緩衝体及び第2の緩衝体が物品と結合しないので、緩衝材が物品に張り付いて物品が取り出し難くなる、などの悪影響も排除することができる。
【0019】
上記の梱包方法において
、前記第1の接着用材
料は再湿接着剤の材料
を含み、前記第2の接着用材
料は前記再湿接着剤の材料を溶解可能な溶解用溶液
を含んでいてもよい。その場合、前記第1の供給装置により前記第2の緩衝体を前記梱包箱内に供給するときに、前記第1の供給装置により、前記第2の緩衝体の表面に前記溶解用溶液を供給するステップと、前記第2の供給装置により前記第2の緩衝体を前記梱包箱内に供給するときに、前記第2の供給装置により、前記第2の緩衝体の表面に前記溶解用溶液を供給するステップとを更に備
え、前記梱包箱の蓋を閉じるステップにおいて、前記梱包箱内の前記第1の緩衝体と前記第2の緩衝体とが相対的に押し合ったとき、押し合った箇所で、前記第2の緩衝体から前記溶解用溶液が放出され、前記放出された前記溶解用溶液により、前記第1の緩衝体の再湿接着剤の材料が溶解することにより接着力が発現してもよい。この梱包方法は、第2の緩衝体を梱包箱内へ供給する前に、自動的に、第2の緩衝体の表面に溶解用溶液を付着させ、吸収させることができる。それにより、梱包作業をより容易にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、梱包における緩衝材の取り扱いを容易にする梱包装置及び梱包方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る梱包装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係る梱包装置の構成を示す概略図である。梱包装置Aは、梱包箱に緩衝材と被梱包物とを詰めて蓋を閉めて梱包するために使用される装置である。緩衝材としては、第1の緩衝体と第2の緩衝体という2種類の緩衝材を同時に混合して用いるが、その緩衝材の詳細は後述される。梱包装置Aは、第1の供給装置1と第2の供給装置2と被梱包物載置装置3と蓋閉め装置4と搬送装置5と制御装置8とを備えている。
【0024】
搬送装置5は、第1の供給装置1の手前の領域9−1に載置された梱包箱9を、第1の供給装置1の近傍の領域9−2、被梱包物載置装置3の近傍の領域9−3、第2の供給装置2の近傍の領域9−4、蓋閉め装置4の近傍の領域9−5及び蓋閉め装置4の後方の領域9−6の各々の所定の位置まで移動させ、停止させる。そして、各領域での作業が終了するまで梱包箱9を静止させておく。搬送装置5は、領域9−1〜9−6に対応したセンサ5a−1〜5a−6を備え、センサ5a−1〜5a−6で梱包箱9の位置及び梱包箱9を特定する情報を検出する。センサ5a−1〜5a−6としては光学式センサや物理式スイッチが例示され、搬送装置5としてはコンベアーが例示される。
【0025】
第1の供給装置1は、梱包箱9が領域9−2に到達したとき、緩衝材、すなわち複数の第1の緩衝体及び複数の第2の緩衝体を梱包箱9内に供給する。第1の供給装置1は、複数の第1の緩衝体を梱包箱9内に供給するための第1の緩衝体供給装置1aと、複数の第2の緩衝体を梱包箱9内に供給するための第2の緩衝体供給装置1bとを備えている。第1の緩衝体供給装置1a及び第2の緩衝体供給装置1bは、例えば搬送装置5の両側に配置され、第1の緩衝体を梱包箱9へ案内する第1の緩衝体供給装置1aの案内路14と、第2の緩衝体を梱包箱9へ案内する第2の緩衝体供給装置1bの案内路14とが互いに向かい合っている。それにより、第1の緩衝体及び第2の緩衝体を梱包箱9へ供給するとき、第1の緩衝体と第2の緩衝体とがぶつかり合って互いに混合される。第1の供給装置1は、第1の緩衝体及び第2の緩衝体をほぼ同数量ずつ供給すること、及び、第1の緩衝体及び第2の緩衝体を併せて梱包箱9の底面を覆う数量を供給することが好ましい。供給量の調節は、図示されないカメラにより梱包箱9を撮影した映像の映像解析から把握される梱包箱9の底面積と高さとに基づいて行うか、又は、図示されないバーコードリーダにより読み取られる梱包箱9に予め印刷された底面積と高さとに基づいて行うことができる。
【0026】
被梱包物載置装置3は、梱包箱9が領域9−3に到達したとき、第1の供給装置1が梱包箱9内に供給した複数の第1の緩衝体及び複数の第2の緩衝体の上に被梱包物、すなわち物品を載置する。被梱包物載置装置3としては、所定の箇所に配置された物品を緩衝材上に載置する動作が可能であれば特に制限されるものではないが、産業用ロボットが例示される。例えば、画像処理装置連動産業ロボットである小型6軸垂直多関節ロボットNBR−3(日本ビーテーエー株式会社)が挙げられる。この場合、梱包箱の大きさや梱包箱に記載された情報や梱包される物品を画像認識で判断できる。
【0027】
第2の供給装置2は、梱包箱9が領域9−4に到達したとき、被梱包物載置装置3が梱包箱9内に載置した物品の周囲及び上に複数の第1の緩衝体及び複数の第2の緩衝体を、梱包箱9の上方からはみ出すように、更に供給する。第2の供給装置2は、複数の第1の緩衝体を梱包箱9内に供給するための第1の緩衝体供給装置2aと、複数の第2の緩衝体を梱包箱9内に供給するための第2の緩衝体供給装置2bとを備えている。第1の緩衝体供給装置2a及び第2の緩衝体供給装置2bは、例えば搬送装置5の両側に配置され、第1の緩衝体を梱包箱9へ案内する第1の緩衝体供給装置2aの案内路14と、第2の緩衝体を梱包箱9へ案内する第2の緩衝体供給装置2bの案内路14とが互いに向かい合っている。それにより、第1の緩衝体及び第2の緩衝体を梱包箱9へ供給するとき、第1の緩衝体と第2の緩衝体とがぶつかり合って互いに混合される。第2の供給装置2は、第1の緩衝体及び第2の緩衝体をほぼ同数量ずつ供給すること、及び、第1の緩衝体及び第2の緩衝体を併せて梱包箱9の上方からはみ出す数量、すなわち梱包箱9の高さより多めの数量を供給することが好ましい。供給量の調節は、図示されないカメラにより梱包箱9を撮影した映像の映像解析から把握される梱包箱9の上方からの緩衝材のはみ出し具合に基づいて行うことができる。
【0028】
蓋閉め装置4は、梱包箱9が領域9−5に到達したとき、第2の供給装置2が梱包箱9内に供給した複数の第1の緩衝体及び複数の第2の緩衝体を梱包箱に押し込むように梱包箱9の蓋を閉じる。蓋閉め装置4としては、緩衝材を押し込みつつ蓋を閉める動作が可能であれば特に制限されるものではないが、産業用ロボットが例示される。例えば、段ボール箱自動封函機であるFLAPMASTERフルカバーシーラーCS−600(株式会社ユニテック)が挙げられる。
【0029】
ここで、第1の緩衝体は、第1の接着用材料を少なくとも表面に有する。また、第2の緩衝体は、第2の接着用材料を少なくとも表面に有する。第2の供給装置2が複数の第1の緩衝体及び複数の第2の緩衝体を供給した後、蓋閉め装置4が梱包箱9の蓋を閉じることで、梱包箱9内の複数の第1の緩衝体と複数の第2の緩衝体とが相対的に押し合う。そのとき、押し合った箇所で、第1の接着用材料と第2の接着用材料とが混ざることにより接着力が発現して、第1の緩衝体と第2の緩衝体とが結合する。ただし、物品や梱包箱9は、第1の接着用材料や第2の接着用材料を有していないので、第1の緩衝体や第2の緩衝体とは結合しない。緩衝材である第1の緩衝体や第2の緩衝体の詳細は後述される。
【0030】
制御装置8は、第1の供給装置1、第2の供給装置2、被梱包物載置装置3、蓋閉め装置4及び搬送装置5の動作を制御する。
図2は、本実施の形態に係る制御装置8の構成を示す機能ブロック図である。制御装置8はコンピュータやタブレット端末やスマートフォンに例示される情報処理装置である。制御装置8は、図示されていないCPUと記憶装置とリムーバブルメディアドライブと通信装置と入力装置と出力装置とインターフェースとを備えている。CPUは、制御装置8にインストールされたコンピュータプログラムを実行し、これら記憶装置等を制御する。記憶装置は、コンピュータプログラムを記憶し、CPUが利用する情報及び生成した情報を記憶する。リムーバブルメディアドライブは、コンピュータプログラムが記憶された記憶媒体から、コンピュータプログラムを制御装置8にインストールするときに用いられる。通信装置は、通信回線網を介して他のコンピュータからコンピュータプログラムを制御装置8にダウンロード/インストールするときに用いられる。入力装置は、ユーザー操作により生成される情報をCPUに出力する。出力装置は、CPUにより生成された情報をユーザー認識可能に出力する。インターフェースは、制御装置8に接続される外部機器により生成される情報をCPUに出力し、CPUにより生成された情報を外部機器に出力する。外部機器は、第1の供給装置1と第2の供給装置2と被梱包物載置装置3と蓋閉め装置4と搬送装置5とを含んでいる。記憶装置としては、ROMやRAMやHDDや不揮発性メモリが例示される。リムーバブルメディアドライブとしては、CD−ROMドライブ、DVDドライブが例示される。入力装置としては、キーボード、マウスが例示される。出力装置としては、ディスプレイやプリンタが例示される。
【0031】
制御装置8にインストールされるコンピュータプログラムは、制御装置8に複数の機能をそれぞれ実現させるための複数のコンピュータプログラムから形成されている。その複数の機能は、搬送装置5を制御する搬送部31と、第1の供給装置1を制御する第1の供給部32と、被梱包物載置装置3を制御する被梱包物載置部33と、第2の供給装置2を制御する第2の供給部34と、蓋閉め装置4を制御する蓋閉め部35とを含んでいる。第1の供給部32は、第1の緩衝体供給装置1aを制御する第1の緩衝体供給部32aと、第2の緩衝体供給装置1bを制御する第2の緩衝体供給部32bとを含み、第2の供給部34は、第1の緩衝体供給装置2aを制御する第1の緩衝体供給部34aと、第2の緩衝体供給装置2bを制御する第2の緩衝体供給部34bとを含んでいる。
【0032】
次に、本実施の形態に係る緩衝材について更に説明する。
図3は、本実施の形態に係る緩衝材40を示す概略図である。緩衝材40は、上述のように複数の第1の緩衝体41と、複数の第2の緩衝体42とを備えている(図では1個ずつを表示)。第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42の形状としては、混合により両者が偏り少なく均一に分布することができれば特に制限はなく、球状、繭玉状、紡錘形状、回転楕円体状、円筒状、多面体状などが例示され、特に繭玉状、円筒状、多面体状のものは既存の設備にて低コストで製造でき好ましい。また、第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42は同じ形状を有することが好ましい。互いに混合されて梱包箱9に入れられたとき、より確実に、梱包箱9の中に両者が偏り少なく均一に分布できるようにするためである。この場合、同じ形状とは、厳密に形状が同じである必要はなく、例えば、大きさや寸法において±10%程度のずれや歪みがあってもよい。
【0033】
また、第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42は、転がりやすい形状を有していることが好ましい。梱包箱9に流し込まれたとき、梱包箱9の角や端にまで充填され易くするためである。転がりやすい形状としては、球形が例示される。球形であることは、機械を用いて第1の緩衝体41と第2の緩衝体42とを混合し、梱包箱9へ供給することを容易に行えるので、好ましい。この場合、球形とは、厳密に球形である必要はなく、例えば、真球から10%程度の形状の相違(大きさや寸法のずれや歪み)を有してもよいし、あるいは、梱包箱9を少し傾けたとき梱包箱内を端から端まで転がることができる程度の球形であればよい。
【0034】
また、第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42の個数は、混合により、任意の1個の第1の緩衝体41が少なくとも1個の第2の緩衝体42と接し、任意の1個の第2の緩衝体42が少なくとも1個の第1の緩衝体41と接することができれば特に制限はないが、同じ個数であることが好ましい。互いに混合されて梱包箱9に入れられたとき、より確実に、任意の1個の第1の緩衝体41が少なくとも1個の第2の緩衝体42と接し、任意の1個の第2の緩衝体42が少なくとも1個の第1の緩衝体41と接するようにするためである。ここで、同数とは、厳密に個数が同じである必要はなく、例えば±10%程度の個数の相違があってもよい。なお、混合により、任意の1個の第1の緩衝体41が少なくとも1個の第2の緩衝体42と接し、任意の1個の第2の緩衝体42が少なくとも1個の第1の緩衝体41と接することができるならば、第1の緩衝体41や第2の緩衝体42と同じ形状の他の緩衝材を含んでもよい。
【0035】
第1の緩衝体41や第2の緩衝体42の大きさは、被梱包物である物品の大きさにより決定される。物品が化粧箱等に格納された携帯電話やスマートフォンやタブレット端末のような電子機器の場合、第1の緩衝体41や第2の緩衝体42の大きさとしては、一辺が10mm〜20mmの立方体に収まる程度の大きさが考えられる。例えば、直径が10mm〜20mmの球体である。
【0036】
図4は、本実施の形態に係る第1の緩衝体41の構成を示す部分断面図である。第1の緩衝体41は、緩衝体本体51と、第1の接着用材料層52とを備えている。緩衝体本体51は、衝撃や振動を和らげる緩衝用の材料で形成され、第1の緩衝体41の形を構成する基材である。緩衝体本体51は、第1の緩衝体41が梱包箱に流し込まれたとき、梱包箱の角や端にまで充填されるように、転がりやすい形状を有していることが好ましく、上述のように球形が例示される。一方、第1の接着用材料層52は、第1の接着用材料を含む層(接着層)で、緩衝体本体51の表面を覆うように薄い層状に形成されている。ただし、緩衝体本体51の表面を覆っていない個所が部分的にあってもよい。第1の接着用材料層52は薄く形成されるので、第1の緩衝体41の形状は実質的にはほぼ緩衝体本体51の形状で決まる。
【0037】
緩衝体本体51を構成する材料としては、外部からの衝撃や振動を和らげる機能を有する緩衝用の材料であれば特に制限はないが、合成又は天然の高分子化合物中にガスを細かく分散させ、発泡状又は多孔質状に形成した材料である高分子発泡体(又は発泡プラスチック)が例示される。高分子発泡体としては、発泡スチロール、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンなどが例示される。コーンスターチ等のでんぷん、パルプモールドや不織布で形成されていてもよい。
【0038】
第1の接着用材料層52を構成する第1の接着用材料としては、水分又はアルコールの存在により接着力を発現する材料であれば特に制限はないが、水分を付与されることで溶解し、接着力を発現する接着剤の材料、いわゆる再湿接着剤の材料が例示される。再湿接着剤の材料としては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキシド、でんぷん、変性でんぷん、デキストリン、カゼイン、膠、ゼラチン、アラビアゴム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガムなどの、単体、共重合体、又は混合物が例示される。必要に応じて各種添加物を含んでいてもよい。再湿接着剤は、接着剤としては、有機溶媒を用いないので毒性がなく、火気の危険がなく安全である。なお、これら再湿接着剤の材料のうち、ポリビニルピロリドンのようにアルコールでも溶解する材料に関しては、水分又はアルコールの存在により接着力を発現する材料ということができる。言い換えれば、少なくとも水分、アルコール及びアルコール水溶液が、再湿接着剤の材料を溶解可能な溶解用溶液である、ということができる。ここでアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール及びtert−ブタノールのような低級アルコールが例示される。
【0039】
また、緩衝体本体51上に第1の接着用材料層52を形成する方法としては、緩衝体本体51上に第1の接着用材料層52を塗布する方法を用いることができる。塗布方法としては、スプレーガンを用いる方法、ロールコーターを用いる方法、刷毛やブラシを用いる方法、浴に浸漬する方法など公知の塗布方法が例示される。
【0040】
図5は、本実施の形態に係る第2の緩衝体42の構成を示す部分断面図である。第2の緩衝体42は、緩衝体本体61と、第2の接着用材料層62とを備えている。緩衝体本体61は、緩衝体本体51と同様に、衝撃や振動を和らげる緩衝用の材料で形成され、第2の緩衝体42の形を構成する基材である。緩衝体本体61は、第2の緩衝体42が梱包箱に流し込まれたとき、梱包箱の角や端にまで充填されるように、転がりやすい形状を有していることが好ましく、上述のように球形が例示される。一方、第2の接着用材料層62は、第2の接着用材料を含む層(吸水層)で、緩衝体本体61の表面を覆うように薄い層状に形成されている。ただし、緩衝体本体61の表面を覆っていない個所が部分的にあってもよい。第2の接着用材料層62は薄く形成されるので、第2の緩衝体42の形状は実質的にはほぼ緩衝体本体61の形状で決まる。
【0041】
緩衝体本体61は、緩衝体本体51と概ね同じ形状で形成されていることが好ましい。それにより、第1の緩衝体41と第2の緩衝体42とを概ね同じ形状とすることができる。それにより、互いに混合され梱包箱に入れられたとき、両者がより偏り少なく分布することができる。
【0042】
緩衝体本体61を構成する材料としては、緩衝体本体51を構成する材料として使用可能である上述された材料を用いることができる。緩衝体本体61を構成する材料は、緩衝体本体51を構成する材料と同じ材料であることが好ましい。形状と材料とが同じであれば、互いに混合され梱包箱に入れられたとき、両者が更により偏り少なく分布することができる。
【0043】
第2の接着用材料層62を構成する第2の接着用材料としては、水分を吸収し、一定条件下で水分を放出することが可能な材料であれば特に制限はなく、親水性ポリマー、吸水性ポリマー、高吸水性ポリマーが例示される。高吸水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸ナトリウムのようなポリアクリル酸塩系材料、ポリスルホン酸塩系材料、無水マレイン酸塩系材料、ポリアクリルアミド系材料、ポリビニルアルコール系材料、ポリエチレンオキシド系材料、ポリアスパラギン酸塩系材料、ポリグルタミン酸塩系材料、ポリアルギン酸塩系材料、でんぷん系材料、セルロース系材料が例示される。なお、高吸水性ポリマーはアルコール水溶液についても吸収し、一定条件下で放出することが可能である。あるいは、毛細管現象を利用して水分を吸収可能な無機又は有機の多孔膜であってもよい。
【0044】
また、緩衝体本体61上に第2の接着用材料層62を形成する方法としては、緩衝体本体61上に溶液に溶かした第2の接着用材料層62を塗布する方法を用いることができる。塗布方法としては、スプレーガンを用いる方法、ロールコーターを用いる方法、刷毛やブラシを用いる方法、浴に浸漬する方法など公知の塗布方法が例示される。あるいは、第2の接着用材料が例えば粉末状や繊維状のような固形のものであれば、緩衝体本体61上に公知の塗布方法で接着剤を塗布し、その接着剤の上に第2の接着用材料層62を結着する方法が考えられる。また、高吸水性ポリマーを水中でゲル状にし、ゲル状物を剪断によりペースト状にし、それを緩衝体本体61状に塗布して、被膜状の第2の接着用材料層62を形成する方法も考えられる。
【0045】
緩衝体本体61上の第2の接着用材料層62は、適度な量の水分を吸収でき、かつ、梱包箱に詰め込まれるときに隣接する第1の緩衝体41と接触し、第1の緩衝体41による押圧で接触箇所から水分を放出できる、という機能を有することが必要である。ここで、吸水性ポリマーは、イオンの浸透圧及び高分子電解質の水との親和力が高いほど、架橋密度が低いほど、吸水力は高くなる。また、一般に、架橋密度を低くし過ぎると、圧力をかけた場合に水を離し易くなる。したがって、吸水性ポリマーにおいて少なくともイオンの浸透圧、高分子電解質の水との親和力及び架橋密度を調整することにより、適度な量の水分を吸収でき、かつ、所望の圧力で水分を放出できる第2の接着用材料層62を形成することができる。また、多孔膜であれば、孔径を制御することで、適度な量の水分を孔に吸収した後、所望の圧力で押しつぶされて水分を放出可能な第2の接着用材料層62を形成することができる。これらの場合、適当な水分の量としては、その下限は、第2の接着用材料層62に隣接する第1の接着用材料層52の再湿接着剤の材料が溶解して接着力を発現させることが可能な量である。その上限は、第2の接着用材料層62に隣接する物品の化粧箱等に悪影響を及ぼさない(ほとんど浸み込まない)程度の量である。
【0046】
図6は、緩衝材40の第1の緩衝体41と第2の緩衝体42とが接触した様子を示す断面図である。この緩衝材40では、第1の緩衝体41と第2の緩衝体42とが接触すると、第2の接着用材料層62から水分が放出され、第1の接着用材料層52の再湿接着剤の材料を溶解させる。その結果、第1の緩衝体41と第2の緩衝体42とが接触した箇所において、溶解した再湿接着剤の材料が接着力を発現して接着層71を形成し、緩衝体本体51と、緩衝体本体61とが結着する。
【0047】
なお、第2の緩衝体42以外のもの(例示:物品や梱包箱)と第1の緩衝体41とが接触しても、第1の接着用材料層52へ水分が供給されることはないため、第1の接着用材料層52に接着力は発現しない。それゆえ、第2の緩衝体42以外のものと第1の緩衝体41とは結着しない。同様に、第1の緩衝体41以外のもの(例示:物品や梱包箱)と第2の緩衝体42とが接触しても、第1の緩衝体41以外のものは接着剤の材料を有さないため、第1の緩衝体41以外のものと第2の緩衝体42とは結着しない。言い換えると、第1の接着用材料層52と第2の接着用材料層62とが接触した箇所には接着力が発現するが、第1の接着用材料層52のみが接触した箇所及び第2の接着用材料層62のみが接触した箇所には接着力が発現しない。
【0048】
次に、本実施の形態に係る第1の供給装置1及び第2の供給装置2について更に説明する。ここで、第1の緩衝体供給装置1a、第2の緩衝体供給装置1b、第1の緩衝体供給装置2a及び第2の緩衝体供給装置2bの基本的な構成は同じであるので、以下では、主に第1の緩衝体供給装置1aを例に説明する。
【0049】
図7は、本実施の形態に係る第1の緩衝体供給装置1aの構成の一例を示す斜視図である。第1の緩衝体供給装置1aは、緩衝体格納部11と、絞り部12と、シャッター部13と、案内路14とを備えている。緩衝体格納部11は、複数の第1の緩衝体41を格納する(ただし、第2の緩衝体供給装置1b、第1の緩衝体供給装置2a及び第2の緩衝体供給装置2bの場合には、緩衝体格納部11は、それぞれ複数の第2の緩衝体42、複数の第1の緩衝体41及び複数の第2の緩衝体42を格納する。以下同様である。)。
図7の例では緩衝体格納部11は直方体形状を有するが、その形状には特に制限はなく、例えば円筒形状を有していてもよい。絞り部12は、緩衝体格納部11の下部に連通するように設けられ、下方に向かうに連れ断面が小さくなる。絞り部12も、緩衝体格納部11に連通しているので複数の第1の緩衝体41を格納する。絞り部12の下端には、第1の緩衝体41を送出可能な開口部Pが設けられている。シャッター部13は、開口部Pを開閉する扉である。案内路14は、開口部Pの下端に接続され、開口部Pから送出される複数の第1の緩衝体41を下方へ案内する。
【0050】
図8は、本実施の形態に係る第1の緩衝体供給装置1aのシャッター部13の構成の一例を示す部分断面図である。ただし、シャッター部13を動かす機構は図示を省略している。絞り部12は、下端に開口部Pを有する前方斜め部材12aと、それと対向する後方斜め部材12bとを備えている。前方斜め部材12aと後方斜め部材12bとは点Oxで交わる。このとき、前方斜め部材12aと後方斜め部材12bとの成す角をθとする。また、開口部Pの開口幅をdとする。シャッター部13は、絞り部12内に配置され、前方斜め部材12aに沿って滑りながら移動することにより、開口部Pを開閉する。ここで、絞り部12は、更に調整部12eを備えていてもよい。調整部12eは、前方斜め部材12aの開口部P上端側の部分を、図のD方向に沿って、後方斜め部材12bに近づけたり後方斜め部材12bから遠ざけたりして、開口部Pの開口幅dの大きさを調整可能である。また、調整部12eは、前方斜め部材12aを、図のR方向に沿って、起き上がるようにしたり寝かせるようにしたりして、角θの大きさを調節可能である。この開口幅dや角θを調節することで、開口部P付近で緩衝材40がアーチを形成して緩衝材40が詰まってしまうアーチアクションを回避することができる。開口幅dは広いほど、角θは大きいほどアーチアクションは起き難くなる。
【0051】
アーチアクションによりできてしまったアーチを取り除く方法について説明する。
図9は、
図8のシャッター部13でのアーチを取り除く動作を示す模式図である。
図9の(a)に示されように、開口部P付近のシャッター部13の近傍に、アーチアクションにより第1の緩衝体41のアーチが形成されている場合を想定する。このような場合に対処するために、シャッター部13の表面を、第1の緩衝体41に対して適度な摩擦力を有するように粗面処理しておく。そのようにすると、
図9(b)に示すように、シャッター部13を開く、又は、必要に応じて開閉を繰り返すことで、シャッター部の動きに対応して第1の緩衝体41を動かすことができ、アーチを崩すことができる。それにより、
図9(c)に示すように、開口部Pでの第1の緩衝体41の詰まりをなくして、開口部Pからスムーズに第1の緩衝体41を送出できる。
【0052】
次に、本実施の形態に係る第1の供給装置1及び第2の供給装置2の第2の緩衝体供給装置1b及び第2の緩衝体供給装置2bについて更に説明する。第2の緩衝体供給装置1b及び第2の緩衝体供給装置2bは、案内路14に溶液供給装置15を備えている。
【0053】
図10は、本実施の形態に係る溶液供給装置15の構成の一例を示す模式図である。溶液供給装置15は、第2の緩衝体42の表面に溶解用溶液、例えば水を供給する。溶液供給装置15は、溶液タンク21とバルブ22とチャンバー23と溶液噴霧ノズル24と溶液供給管25とを備えている。溶液タンク21は溶解用溶液を格納している。溶液供給管25は、溶液タンク21と溶液噴霧ノズル24とを接続している。溶液噴霧ノズル24はチャンバー23内に設けられ、チャンバー23内を通過する第2の緩衝体42へ溶解用溶液を噴霧する。バルブ22は溶液供給管25の途中に配置され、溶液タンク21から溶液噴霧ノズル24への溶解用溶液の供給を制御する。
【0054】
図11は、本実施の形態に係る溶液供給装置15の動作を示す模式図である。開口部Pから送出された第2の緩衝体42は、傾斜した案内路14上を転がりながら下方に案内されて、溶液供給装置15を通過する。そのとき、第2の緩衝体42は、溶液噴霧ノズル24から噴霧される溶解用溶液を表面に塗布される。ここで、第2の緩衝体42は、転がりながら溶解用溶液を噴霧されるので、第2の緩衝体42の表面のほぼ全面に溶解用溶液を塗布される。
【0055】
次に、本実施の形態に係る梱包装置を用いた梱包方法について説明する。
図12は、本実施の形態に係る梱包装置を用いた梱包方法の一例を説明する概略図である。
【0056】
まず、空の梱包箱が領域9−1に配置される。梱包箱には梱包箱を特定する情報が、例えばラベルとして添付されている。梱包箱を特定する情報としては、梱包箱の底面積及び高さや梱包される物品に関する情報が例示される。
【0057】
制御装置8の搬送部31は、センサ5a−1により、領域9−1に梱包箱9が配置されたと認識すると共に、梱包箱9を移動してよいか否かを判別する。具体的には、領域9−2〜9−5での各部(第1の供給部32、被梱包物載置部33、第2の供給部34、蓋閉め部35)での処理が終了したか否かを判別する。各部の処理が終了したとき、搬送部31は、各領域の梱包箱9を次の領域へ搬送するように、例えば領域9−1の梱包箱9を領域9−2まで搬送するように搬送装置5を制御する。
【0058】
第1の供給部32はセンサ5a−2により領域9−2に梱包箱9が配置されたことを認識する。第1の緩衝体供給部32aは、ラベルの情報又は画像から得られる梱包箱9の大きさの情報に基づいて、必要な量の複数の第1の緩衝体41を梱包箱9へ供給するように、第1の緩衝体供給装置1aを制御する。それと同時に、第2の緩衝体供給部32bは、ラベルの情報又は画像から得られる梱包箱9の大きさの情報に基づいて、必要な量の複数の第2の緩衝体42を、溶液供給装置15で溶解用溶液を塗布しながら梱包箱へ供給するように第2の緩衝体供給装置1bを制御する。このとき、複数の第1の緩衝体41と複数の第2の緩衝体42とは案内路14から離れた後に衝突し、混ざり合いながら梱包箱9へ落下し、供給される。また、供給される第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42の個数は概ね等しい。したがって、複数の第1の緩衝体41と複数の第2の緩衝体42とはほぼ均一に混ざり合う。それにより、第1の緩衝体41の隣には概ね第2の緩衝体42が存在し、第2の緩衝体42の隣には概ね第1の緩衝体41が存在するようになる。複数の第1の緩衝体41と複数の第2の緩衝体42とは梱包箱9の底部を覆うように梱包箱9内に供給されている。
【0059】
続いて、搬送部31は、梱包箱9を移動してよいか否か、すなわち領域9−2〜9−5での各部での処理が終了したか否かを判別する。各部の処理が終了したとき、搬送部31は、各領域の梱包箱9を次の領域へ搬送するように、例えば領域9−2の梱包箱9を領域9−3まで搬送するように搬送装置5を制御する。
【0060】
被梱包物載置部33はセンサ5a−3により領域9−3に梱包箱9が配置されたことを認識する。被梱包物載置部33は、ラベルの情報又は外部の指示情報に基づいて、所定の化粧箱などに納められた物品(被梱包物)6を梱包箱9へ供給するように、被梱包物載置装置3を制御する。物品6は、一個でも良いし、複数個でも良い。
【0061】
次に、搬送部31は、梱包箱9を移動してよいか否か、すなわち領域9−2〜9−5での各部での処理が終了したか否かを判別する。各部の処理が終了したとき、搬送部31は、各領域の梱包箱9を次の領域へ搬送するように、例えば領域9−3の梱包箱を領域9−4まで搬送するように搬送装置5を制御する。
【0062】
第2の供給部34はセンサ5a−4により領域9−4に梱包箱9が配置されたことを認識する。第1の緩衝体供給部34aは、画像から得られる梱包箱9の上端部の様子に基づいて、緩衝材40が梱包箱9の上部からはみ出る程度の複数の第1の緩衝体41を梱包箱9へ供給するように、第1の緩衝体供給装置2aを制御する。それと同時に、第2の緩衝体供給部34bは、画像から得られる梱包箱9の上端部の様子に基づいて、緩衝材40が梱包箱9の上部からはみ出る程度の複数の第2の緩衝体42を、溶液供給装置15で溶解用溶液を塗布しながら梱包箱9へ供給するように第2の緩衝体供給装置2bを制御する。この場合、第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42が物品6の周辺及び物品6の上を覆い、かつ、梱包箱9の上部からはみ出るように、梱包箱9内に第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42を詰める。このときも、複数の第1の緩衝体41と複数の第2の緩衝体42とは案内路14から離れた後に衝突し、混ざり合いながら梱包箱9へ供給される。また、供給される第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42の個数は概ね等しい。したがって、複数の第1の緩衝体41と複数の第2の緩衝体42とはほぼ均一に混ざり合う。それにより、第1の緩衝体41の隣には概ね第2の緩衝体42が存在し、第2の緩衝体42の隣には概ね第1の緩衝体41が存在するようになる。
【0063】
続いて、搬送部31は、梱包箱9を移動してよいか否か、すなわち領域9−2〜9−5での各部での処理が終了したか否かを判別する。各部の処理が終了したとき、搬送部31は、各領域の梱包箱9を次の領域へ搬送するように、例えば領域9−4の梱包箱9を領域9−5まで搬送するように搬送装置5を制御する。
【0064】
蓋閉め部35はセンサ5a−5により領域9−5に梱包箱9が配置されたことを認識する。蓋閉め部35は、ラベルの情報又は外部の指示情報に基づいて、梱包箱9の蓋7を閉めて、テープ又はホットメルト接着剤のような接着剤で蓋7を固定することにより梱包を完了する。このとき、梱包箱9の上部からはみ出ていた第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42が梱包箱9に押し込まれて、押さえ付けられて、第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42が互いに接触し、押し合うようになる。その結果、第1の緩衝体41と第2の緩衝体42とが接触した箇所において、第2の接着用材料層62から水分が放出され、第1の接着用材料層52の再湿接着剤の材料を溶解させる。それにより、溶解した再湿接着剤の材料が接着力を発現し、
図6に示すように、緩衝体本体51と緩衝体本体61とが接着層71を介して結着する。すなわち、第1の緩衝体41と第2の緩衝体42とが結着する。一方、物品6及び梱包箱9と第1の緩衝体41とが接触しても、第1の接着用材料層52へ水分が供給されることはないため、物品6及び梱包箱9と第1の緩衝体41とは結着しない。同様に、物品6及び梱包箱と第2の緩衝体42とが接触しても、物品6及び梱包箱9は接着剤の材料を有さないため、物品6及び梱包箱と第2の緩衝体42とは結着しない。
【0065】
その後、搬送部31は、梱包箱9を移動してよいか否か、すなわち領域9−2〜9−5での各部での処理が終了したか否かを判別する。各部の処理が終了したとき、搬送部31は、各領域の梱包箱9を次の領域へ搬送するように、例えば領域9−5の梱包箱を領域9−6まで搬送するように搬送装置5を制御する。以下、同様の工程が繰り返される。
【0066】
次に、梱包された梱包箱9が開梱されるときの様子について説明する。
図13は、梱包箱9を開梱するときの様子を説明する概略図である。受取人により梱包箱9の蓋7が取り外されて開梱されるとき、隣接する緩衝材40(第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42)同士は互いに結着して塊状になっている。しかし、緩衝材40同士の接触は曲面同士の接触であるため(
図6)、接着層71の接触面積が小さいことから、緩衝材40の塊は人の力で容易に所望の大きさに分けられる。したがって、物品6が取り出されるとき、まず物品6の上側の緩衝材40の塊が取り出される。このとき、物品6の上側の緩衝材40と物品6及び梱包箱9とは結着していないので、物品6の上側の緩衝材40の塊は簡単に取り除ける。また、取り除かれた緩衝材40は塊状なので、散らばることはなく、テーブルや床に散らかることもない。その後、物品6が梱包箱9から取り出される。このとき、物品6と物品6の下側の緩衝材40とは結着していないので、物品6は簡単に取り出せる。物品6を取り出した後に梱包箱9の底部に残っている緩衝材40と梱包箱9とは結着していないので、梱包箱9の底部に残っている緩衝材40の塊は簡単に取り除ける。
【0067】
図14は、本実施の形態に係る梱包装置を用いた梱包方法を示すフローチャートである。ステップ100では、第1の供給装置1により、複数の第1の緩衝体41及び複数の第2の緩衝体42が梱包箱9内に供給される。続くステップ101では、被梱包物載置装置3により、梱包箱9内の複数の第1の緩衝体41及び複数の第2の緩衝体42の上に被梱包物である物品6が載置される。次のステップ102では、第2の供給装置2により、更に複数の第1の緩衝体41及び複数の第2の緩衝体42が梱包箱9の上方からはみ出すように梱包箱9内に供給される。その後のステップ103では、蓋閉め装置4により、複数の第1の緩衝体41と複数の第2の緩衝体42とが梱包箱9に押し込まれるように梱包箱9の蓋7が閉じられる。
【0068】
ただし、上記の第2の供給装置2において、緩衝材40の最も上の層、すなわち梱包箱9の蓋7と接する層については、第1の緩衝体41のみ、又は、第2の緩衝体42のみとしてもよい。あるいは、その層については、第1の緩衝体41と第2の緩衝体42の数量を同等にしなくてもよい。それにより、開梱するとき、緩衝材40が結着しない箇所をつくることで物品6を取り出しやすくすることができる。
【0069】
あるいは、上記の第2の供給装置2において、緩衝材40の最も上の層、すなわち梱包箱9の蓋7と接する層については、第1の接着用材料や第2の接着用材料を有さない緩衝体を用いてもよい。それにより、開梱するとき、緩衝体が結着しない箇所をつくることで物品6を取り出しやすくすることができる。
【0070】
また、緩衝材40として、大きさの相違する緩衝体を混合して用いてもよい。例えば、大きい緩衝体と小さい緩衝体の2種類である。その場合、小さい緩衝体は、小さな隙間、特に梱包箱9と物品6との間にできる隙間にも確実に入り込むことができる。それにより、梱包箱9と物品6との隙間に緩衝材40が無いという状況を防止できる。この場合、例えば、小さい緩衝体については第1の接着用材料や第2の接着用材料を有さない緩衝体を用いてもよい。
【0071】
また、第1の緩衝体41の色及び第2の緩衝体42の色を互いに異なるようにしてもよい。例えば、一方の色を赤に、他方の色を白にする。それにより、緩衝体同士が結着していない箇所、すなわち同色の緩衝体が並んだ箇所を判別しやすくして、物品6を取り出しやすくすることができる。
【0072】
本実施の形態に係る梱包システム及び梱包方法は、自動的に、梱包箱9内の物品6の下側と上側とに、袋詰めにしていないバラの複数の第1の緩衝体41及び複数の第2の緩衝体42を混合して配置する。それにより、第1の緩衝体41や第2の緩衝体42のような緩衝材を用いた梱包作業を容易にすることができる。また、緩衝材40では、第1の緩衝体41と第2の緩衝体42とは互いに結合するので、梱包された荷物を開くとき、第1の緩衝体41と第2の緩衝体42が結合して塊になっており、物品6を覆う緩衝材40を容易に取り除くことができる。加えて、テーブルや床などにほとんど散らからずに第1の緩衝体41及び第2の緩衝体42を処分することができる。
【0073】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、第1の実施の形態に係る緩衝材40の第1の接着用材料が、第1の緩衝体41の内部にまで存在し、特に、第1の緩衝体41そのものが第1の接着用材料で形成されている点で第1の実施の形態の構成と相違している。以下、その相違点について主に説明する。
【0074】
緩衝材40の第1の緩衝体41における緩衝体本体51は、再湿接着剤の材料を含む高分子化合物中にガスを細かく分散させ、発泡状又は多孔質状に形成した材料である高分子発泡体で形成される。したがって、その再湿接着剤の材料を含む高分子化合物は、第1の緩衝体41(緩衝体本体51)の内部にまで存在し、第1の緩衝体41そのものがその再湿接着剤の材料を含む高分子化合物で形成されている。すなわち、第1の接着用材料(再湿接着剤の材料)が、第1の緩衝体41の内部にまで存在し、特に、第1の緩衝体41そのものが第1の接着用材料で形成されている。
【0075】
再湿接着剤の材料としては、第1の実施の形態で挙げた材料が例示されるが、特に、コーンスターチのようなでんぷん又は変性でんぷんを含む材料が好ましい。例えば、コーンスターチを含む材料で形成された高分子発泡体は、水溶性であり、表面部分を水分で湿らせると、その表面部分に接着性を発現する。言い換えれば、この第1の緩衝体41の表面には第1の接着用材料としての再湿接着剤の材料が存在しているということができる。また、再湿接着剤の材料の代わりに、又は、再湿接着剤の材料と併せて、他の水溶性ポリマー材料を用いてもよい。
【0076】
この場合にも第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
加えて、第1の緩衝体41の緩衝体本体51の表面に、第1の接着用材料層52を形成する必要がなく、第1の緩衝体41の製造が容易となる。また、でんぷんを材料に用いた緩衝材は生分解性を有するので環境にやさしい緩衝材となる。
【0077】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、第1の実施の形態に係る緩衝材40の第2の接着用材料が、第2の緩衝体42の内部にまで存在し、特に、第2の緩衝体42そのものが第2の接着用材料で形成されている点で第1の実施の形態の構成と相違している。以下、その相違点について主に説明する。
【0078】
緩衝材40の第2の緩衝体42における緩衝体本体61は、高分子化合物中にガスを細かく分散させ、発泡状又は多孔質状に形成した高分子発泡体である場合、少なくとも表面に多孔質層を有することがある。その場合、その多孔質層に適度な量の水分を一時的に吸収させることができ、かつ、緩衝体本体61への適当な押圧によりその多孔質層から水分を放出させうる。その場合、その表面の多孔質層を第2の接着用材料層62とみなすこともできる。言い換えれば、第2の接着用材料が、第2の緩衝体42の内部にまで存在し、第2の緩衝体42そのものが第2の接着用材料で形成されているということができる。
【0079】
この場合にも第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
加えて、第2の緩衝体42の緩衝体本体61の表面に、第2の接着用材料層62を形成する必要がなく、第2の緩衝体42の製造が容易となる。
【0080】
(第4の実施の形態)
本実施の形態では、緩衝材40の第1の接着用材料層52と第2の接着用材料層62の構成が、第1の実施の形態の構成と相違している。以下、その相違点について主に説明する。
【0081】
第1の接着用材料層52は、シェル物質の内部に接着剤の主剤を含んだコアシェル型粒子を含んでいる。ただし、コアシェル型粒子は、容器として機能するシェル物質と、容器内部に格納されたコア物質とを備えている。この場合、接着剤の主剤がコア物質であり、第1の接着用材料である。第1の接着用材料層52はコアシェル型粒子41を複数個含んでいる。また、第2の接着用材料層62は、シェル物質の内部に接着剤の助剤を含んだコアシェル型粒子を含んでいる。この場合、接着剤の助剤がコア物質であり、第2の接着用材料である。第2の接着用材料層62はコアシェル型粒子を複数個含んでいる。これらのようなコアシェル型粒子としては、マイクロカプセルが例示される。ただし、接着剤の主剤と助剤とは、それぞれ単独では接着力を有さないが、二つが合わさることにより接着力が発現する材料である。
【0082】
コアシェル型粒子に含まれる接着剤の主剤と助剤の組み合わせとしては、上述された再湿接着剤と水分や、2液型接着剤における一方の液と他方の液などが例示される。2液型接着剤の一方の液と他方の液としては、アクリル樹脂系接着剤における主剤(アクリルモノマー、エラストマー、過酸化物又は還元剤)とプライマー(還元剤又は過酸化物)又は主剤A(アクリルモノマー、エラストマー、還元剤又は過酸化物)と主剤B(アクリルモノマー、エラストマー、過酸化物又は還元剤)、ポリウレタン系接着剤におけるポリオールとポリイソシアネート又はポリオールとウレタンプレポリマー、エポキシ樹脂系接着剤におけるエポキシ樹脂プレポリマーと硬化剤などが例示される。いずれにも、必要に応じて各種添加物を含んでいてもよい。
【0083】
マイクロカプセルの製造方法としては、公知の製造方法、例えば界面重合法、in−site重合法、液中乾燥法、コアセルベーション法、噴霧乾燥法、乾式混合法などが例示される。緩衝体本体51、61上に複数個のマイクロカプセルを形成する方法としては、例えば、緩衝体本体51、61上に公知の塗布方法で接着剤を塗布し、その接着剤の上に複数個のマイクロカプセルを結着する方法が例示される。
【0084】
この緩衝材40を用いる場合、第1の供給装置1の第2の緩衝体供給装置1bや第2の供給装置2の第2の緩衝体供給装置2bは、溶液供給装置15を用いない、又は設けない。
【0085】
この緩衝材40は、第1の接着用材料としての主剤が第1の接着用材料層52のコアシェル型粒子に収容され、第2の接着用材料としての助剤が第2の接着用材料層62のコアシェル型粒子に収容されている。そのため、第1の緩衝体41と第2の緩衝体42とが接触したとき、その接触箇所においてコアシェル型粒子及及びコアシェル型粒子が壊れて主剤と助剤とが接触し、主剤の接着力が発現することができる。そして、主剤及び助剤のいずれか一方しか存在しない箇所、すなわち緩衝材40と物品6とが接着した箇所や緩衝材40と梱包箱9とが接着した箇所では接着力を発現させないようにできる。
【0086】
上記各実施の形態に記載された技術は、矛盾の発生しない限り、他の実施の形態に適用可能であり、複数の実施の形態の技術を組み合わせて他の実施の形態に適用可能である。
【解決手段】梱包システムは、複数の第1の緩衝体及び複数の第2の緩衝体を梱包箱内に供給する第1の供給装置と、梱包箱内の複数の第1の緩衝体及び複数の第2の緩衝体の上に載置された被梱包物の周囲及び上に、更に複数の第1の緩衝体及び複数の第2の緩衝体を梱包箱の上方からはみ出すように梱包箱内に供給する第2の供給装置とを備える。第1の緩衝体は第1の接着用材料を表面に有し、第2の緩衝体は第2の接着用材料を表面に有する。第2の供給装置が複数の第1の緩衝体及び複数の第2の緩衝体を供給した後、梱包箱の蓋が閉じられて梱包箱内の複数の第1の緩衝体と複数の第2の緩衝体とが相対的に押し合ったとき、押し合った箇所で第1の接着用材料と第2の接着用材料とが混ざることにより接着力が発現して、第1の緩衝体と第2の緩衝体とが結合する。