特許第5826503号(P5826503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5826503
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】LED電球
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20151112BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20151112BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20151112BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20151112BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20151112BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20151112BHJP
【FI】
   F21S2/00 216
   F21V19/00 170
   H01L33/00 L
   H01L33/00 410
   H01L33/00 422
   F21Y101:02
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-47043(P2011-47043)
(22)【出願日】2011年3月4日
(65)【公開番号】特開2012-185946(P2012-185946A)
(43)【公開日】2012年9月27日
【審査請求日】2014年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(72)【発明者】
【氏名】八木 寿雄
(72)【発明者】
【氏名】五味 正人
(72)【発明者】
【氏名】大長 久芳
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/102910(WO,A1)
【文献】 特開2007−165811(JP,A)
【文献】 特開2010−282838(JP,A)
【文献】 特開2010−103241(JP,A)
【文献】 特開2004−186109(JP,A)
【文献】 特開2005−108700(JP,A)
【文献】 特開2010−278246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 19/00
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具ボディの一端に口金を備え、口金と反対側の灯具ボディに透光カバーを設け、透光カバーの内側に光源基板を設置し、光源基板上にLEDパッケージを装着し、LEDパッケージがLEDチップと、LEDチップを封止し、且つLEDチップの発光を白色可視光に変換する蛍光体を含有する光透過性の封止部材とを備え、LEDチップが前記光源基板に実装され、該光源基板が灯具ボディの端面部に接する状態で取り付けられ、封止部材が光源基板のチップ実装面から盛り上がるように成形され、前記チップ実装面の延長方向からみた封止部材の投影面積がチップ実装面と対向する方向からみた封止部材の投影面積の30%〜125%であり、前記LEDパッケージがLEDチップの発光を封止部材の表面全体から該パッケージの外周域を含む広角に放射し、放射角度0°地点の照度を1としたとき、放射角度70°地点の相対照度が0.5〜1であることを特徴とするLED電球。
【請求項2】
前記LEDチップが紫外または近紫外可視光を発生し、前記封止部材が光透過性材料中にLEDチップの発光を白色可視光に波長変換する複数種の蛍光体を含む請求項1記載のLED電球。
【請求項3】
前記光源基板上に複数のLEDパッケージを環状に配列した請求項1または2記載のLED電球。
【請求項4】
前記透光カバーの内面に光拡散層を設けた請求項1〜3の何れか一項に記載のLED電球。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源基板上にLEDパッケージを装備したLED電球に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、白熱電球と類似する形状の灯具ボディ内部にLEDパッケージを備えたLED電球が知られている。例えば、特許文献1には、灯具ボディの一端に口金を設け、口金と反対側の灯具ボディに光源基板を設置し、光源基板上にLEDパッケージを装着し、LEDパッケージを透光カバーで覆ったLED電球が記載されている。
【0003】
特許文献1のLEDパッケージは、青色光を発生するLEDチップと、LEDチップを封止する封止樹脂とを不透明な容器に収め、封止樹脂中に青色光の一部を吸収して黄色光を発生する蛍光体を混入し、青色光と黄色光との混色により白色光を照射するように構成されている(段落0027)。
【0004】
また、特許文献2には、青色発光のLEDチップおよび黄色系発光の蛍光体を含む封止樹脂をカップ形の不透明容器に収め、容器内面を反射面として複数色の加色混合を促進することで、指向性の強い白色可視光を照射するLEDパッケージが記載されている(段落0015、図2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−033959号公報
【特許文献2】特開平10−107325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のLED電球によると、可視光の指向性を強める構造のLEDパッケージを使用しているため、LEDチップからパッケージの外周に向かう光量が不足し、電球側方域の照度が低下するという問題点があった。例えば、図6に示す従来品は、放射角度0°地点(電球の真下)の照度を1とした場合、放射角度が広がるに従って、相対照度が急に低下し、放射角度90°地点(電球の真横)で0となる。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、LEDチップからLEDパッケージの外周に向かう光量を増やし、電球側方域の照度を高めることができるLED電球を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のLED電球は、灯具ボディの一端に口金を備え、口金と反対側の灯具ボディに透光カバーを設け、透光カバーの内側に光源基板を設置し、光源基板上にLEDパッケージを装着し、LEDパッケージが可視光を発生するLEDチップと、LEDチップを封止する光透過性の封止部材とを備え、LEDチップが光源基板に実装され、封止部材が光源基板のチップ実装面から盛り上がるように成形され、LEDパッケージがLEDチップの発光を封止部材の表面全体から該パッケージの外周域を含む広角に放射することを特徴とする。
【0009】
ここで、白熱電球と同等の配光パターンが得られる点で、封止部材の側面投影面積は正面投影面積の30%〜125%であるのが好ましい。下限値の30%は、放射角度70°地点において白熱電球と同等の相対照度0.5が得られる比率である。上限値の125%は、放射角度0°地点と90°地点の照度が同等となる電球、つまり、どこから見ても同じ明るさのLED電球が得られる比率である。
【0010】
また、本発明のLED電球は、均質な白色光を発生するために、LEDチップが紫外または近紫外可視光を発生し、封止部材が光透過性材料中にLEDチップの発光を白色可視光に波長変換する複数種の蛍光体を含むことを特徴とする。
【0011】
LEDパッケージの個数は、特に限定されず、電球の用途や電気的仕様に応じて適宜に選択できる。電球の周囲に均等量の可視光を分配できる点で、光源基板上に複数のLEDパッケージを環状に配列するのが好ましい。また、透光カバーとしては、内面に光拡散層を設けたもの、あるいは、光拡散グレード樹脂で成形したものを使用できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のLED電球によれば、LEDパッケージの封止部材を光源基板のチップ実装面から盛り上がるように成形したので、LEDチップの発光を封止部材の表面全体からパッケージの外周域を含む広角に放射し、電球側方の照度を高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態を示すLED電球の正面図である。
図2図1のLED電球を分解して示す断面図である。
図3図1のLED電球の組付形態を示す断面図である。
図4】LEDパッケージを示す図1のLED電球の部分斜視図である。
図5図4のLEDパッケージの構造を示す断面図である。
図6】本発明および従来のLED電球の配光パターンを示すグラフである。
図7】本発明の変更例を示すLED電球の部分斜視図である。
図8】本発明の別の変更例を示すLED電球の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、この実施形態のLED電球1は、ヒートシンクとして機能する灯具ボディ2の一端に口金3を備え、口金3と反対側の灯具ボディ2に透光カバー4が取り付けられている。透光カバー4の内側には光源基板5が設置され、光源基板5上に一つのLEDパッケージ6が装着されている。口金3は天井等に設備されたソケット7に取り付けられ、LEDパッケージ6が白色可視光を透光カバー4に通して室内の広範囲に照射するようになっている。
【0015】
図2図3に示すように、透光カバー4は内面に光拡散層8が塗装されている。灯具ボディ2は端面部9と中空部10と放熱部11とを備え、全体がアルミニウム等の金属材料で成形されている。端面部9には、透光カバー4と光源基板5が取り付けられている。中空部10には、樹脂製の絶縁ケース12を介して回路基板13が格納されている。回路基板13上の電源回路14は、リード線15,16により口金3と光源基板5に接続され、交流商用電源を直流電圧に変換してLEDパッケージ6に供給する。
【0016】
図4図5に示すように、この実施形態のLEDパッケージ6は、窒化アルミニウム製の光源基板5上に、紫外または近紫外可視光を発生するLEDチップ18と、LEDチップ18を封止する光透過性の封止部材19とを備えている。光源基板5のチップ実装面5aにはAuメッキにより陽極20と陰極21が形成され、陽極20の上にAgペースト22を介してLEDチップ18が実装されている。LEDチップ18には、380〜420nmの波長域に発光ピークを有する半導体発光素子が用いられ、その上面はAuワイヤ23を介して陰極21に接続されている。
【0017】
封止部材19は、透明シリコーン樹脂により光源基板5のチップ実装面5aから盛り上がるように成形されている。つまり、封止部材19は、底面がチップ実装面5aに接着され、底面を除く全表面が露出し、LEDパッケージ6が、チップ18の発光を封止部材19の表面全体からパッケージ6の外周域を含む広角に放射するように構成されている。図示例の封止部材19は半球ドーム形に成形され、側面投影面積が正面投影面積の50%に設定されている。ただし、封止部材19の盛り上がり形状は適宜に変形可能であり、それに応じて、側面投影面積を正面投影面積の30%〜125%の範囲内で変更できる。
【0018】
また、封止部材19は、LEDチップ18が発した紫外または近紫外可視光を白色可視光に波長変換する2種類の蛍光体24,25を含有してる。第1の蛍光体24は、LEDチップ18の発光を吸収し、560〜600nmの波長域にピーク波長を有する青色系の可視光を発生する。第2の蛍光体25は、LEDチップ18の発光を吸収し、430〜480nmの波長域にピーク波長を有する黄色系の可視光を発生する。第1、第2蛍光体24,25は、シリコーン樹脂中に均一な分布で分散し、補色の関係にある青色と黄色の混色によって、封止部材19の全表面からランバーシアンな白色可視光を発生する。
【0019】
上記構成のLED電球1によれば、次のような作用効果が得られる。
(a)LEDパッケージ6の封止部材19を光源基板5のチップ実装面5aから盛り上がるように成形したので、LEDチップ18の発光をパッケージ6の外周を含む広角に放射し、図1に矢印で示すように、LED電球1の側方領域を明るく照明できる。
(b)特に、封止部材19を半球ドーム形に成形し、その側面投影面積を正面投影面積の50%に設定したので、図6に示すように、放射角度90°地点におけるLED電球1の相対照度を0.4とすることができ、既存の白熱電球とほぼ同等の配光パターンが得られる。
【0020】
(c)また、封止部材19は、透明シリコーン樹脂中に青色発光の第1蛍光体24と黄色発光の第2蛍光体25を均一な分布で含有しているので、LEDチップ18が発生した紫外または近紫外光を白色可視光へ効率よく波長変換し、外周域における発光色の変動を抑え、均質な白色可視光で広範囲を明るく照明できる。
(d)特に、上記波長域の蛍光体24,25は、黄色発光の第2蛍光体25が第1蛍光体24の青色光をほとんど吸収しないため、封止部材19を盛り上がり形状とした場合でも、多重励起(カスケード励起)による発光色の変動を抑制できるという利点もある。
(e)透光カバー4は、内面に光拡散層8が設けられているので、LEDパッケージ6の発光を効率よく透過して、LED電球1の周囲へ均一に拡散できる。
【0021】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成や形状を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)図7に示すように、光源基板5上に複数のLEDパッケージ31を環状に配列し、灯具ボディ2の外周部から均等量の可視光を照射できるように構成すること。
(2)図8に示すように、LEDパッケージ32の封止部材を立方体または角柱形に成形すること。
(3)その他、封止支部材を円柱形、円錐形、円錐台形、角錐形、多面体など、各種の盛り上がり形状で成形すること。
【符号の説明】
【0022】
1 LED電球
2 灯具ボディ
3 口金
4 透光カバー
5 光源基板
5a チップ実装面
6,31,32 LEDパッケージ
8 光拡散層
11 放熱部
14 電源回路
18 LEDチップ
19 封止部材
24,25 蛍光体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8