(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1プレス体及び/又は第2プレス体には、張りベルト部に対する張り方向両端のローラを相互離反させる方向で常時付勢するテンション付与手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の皺伸ばし装置。
前記第1プレス体及び/又は第2プレス体において前記加熱手段により加熱されるエンドレスベルトは、金属製帯材により形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の皺伸ばし装置。
前記生地はテープ生地であって、第1プレス体及び第2プレス体における各張りベルト部の一次側にはテープ生地をテープ幅方向で折り込みながら第1プレス体と第2プレス体との間へ送り込む幅折り装置が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の皺伸ばし装置。
前記生地はテープ生地であって、第1プレス体及び第2プレス体における各張りベルト部の二次側には第1プレス体と第2プレス体との間から送り出されたテープ生地をテープ長手方向で切断する切断装置が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の皺伸ばし装置。
前記生地はテープ生地であって、第1プレス体及び第2プレス体における各張りベルト部の二次側には第1プレス体と第2プレス体との間から送り出されたテープ生地に対してテープ長手方向に沿った側縁の一部に位置合わせ用ノッチを形成するノッチ入れ装置が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の皺伸ばし装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テープ生地を一対のローラ間へ通すことでテープ生地に折り目を付ける装置(特許文献1等)では、ローラとテープ生地とがほぼ線接触状態となる。そのため、テープ生地がローラ軸心に沿って幅方向に広がるだけで、テープ生地には有効なプレス圧が加わり難く、その結果、テープ生地(殊に、合繊素材の場合)に折り目が付きにくいという問題があった。
【0006】
また、テープ生地は、その幅方向両側の側縁で折り目の形成数が異なる(例えば二つ折りされている場合は、一方の側縁にのみ折り目が形成され他方の側縁に折り目は形成されない)ために、幅方向両側で生地厚さが異なっている。そのため、このようなテープ生地
が一対のローラ間で線接触状態のプレス圧を受けると、テープ生地の搬送方向に曲がりが生じやすくなるということがあった。すなわち、ローラ間を出た後のテープ生地を更に搬送させようとする場合に、直進性を保持するのが困難であるので、このことが原因となり、例えばテープ生地を一定寸法で切断するための後工程を有した処理ラインへの組み込みができないといったことがあった。
【0007】
更に、ロール間への巻き込み位置で、テープ生地に弛み皺が生じるようなことがあると、この弛み皺が大きな皺に成長した後にロール間に巻き込まれるといった現象が起こることがあった。この現象が起こると、ローラ間を出たテープ生地には、テープ幅方向へ横切るような複雑で多数の折皺が生じた瑕疵品となるため、テープ生地としての歩留まりに悪影響を及ぼす原因となる。
【0008】
一方、ズボンプレッシャーとして提案された装置(特許文献2等)では、下部ベルト装置に対し、そのローラ軸の一端側(一方のベルト側縁寄り)にヒンジ部を介して上部ベルト装置が上下揺動自在に連結された構造であった。このヒンジ部における揺動支点軸の軸方向は、ローラ軸と直交したものとされている。
すなわち、上部ベルト装置は、ローラ軸の一端側が高さを略不変にしつつ、ローラ軸の他端側を上下動させるようにして揺動する。そのため、上部ベルト装置を下方へ揺動させ、下部ベルト装置上に重ね合わせるようにしても、ローラ軸の両端側において圧力バランスは一定とならず、このことがプレス作用にバラツキを生じさせる問題があった。
【0009】
のみならず、下部ベルト装置や上部ベルト装置において、エンドレスベルトが2本のローラ間で弛み(張り側の撓み)を生じた場合には、下部ベルト装置と上部ベルト装置との間で十分なプレス圧を生じさせることができない。従って、このような根幹的で、且つ重大な問題を抱えたズボンプレッシャーを、連続的に搬送されるテープ生地へ使用することはできない(すなわち、一連の処理ラインに対して組み込むことはできない)という事情もあった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、連続搬送されるテープ生地等の生地に対し、確実な折り目の付与や生地全体にわたって均一となる皺伸ばしが、生地としての歩留まり低下を招来することなく、しかも高能率で行えるようにした皺伸ばし装置を提供することを目的とする。
また本発明は、処理ラインへの組み込みが可能となる皺伸ばし装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る皺伸ばし装置は、生地が搬送される生地搬送路を挟み込むように互いに対向設置された第1プレス体と第2プレス体とを有し、第1プレス体は一対のローラ間にエンドレスベルトが巻き掛けられて当該エンドレスベルトの張り側となる張りベルト部が生地搬送路に搬送される生地の一方面と面接触しつつ一体移動する状態に設けられており、第2プレス体は一対のローラ間にエンドレスベルトが巻き掛けられて当該エンドレスベルトの張り側となる張りベルト部が生地搬送路に搬送される生地の他方面と面接触しつつ一体移動する状態に設けられており、
前記第1プレス体と前記第2プレス体は互いの張りベルト部における搬送方向一次側ローラと二次側ローラとを上下一致させて配置されており、第1プレス体及び/又は第2プレス体には、張りベルト部の内側に当該張りベルト部を加熱する加熱手段が設けられ、
第1プレス体における搬送方向一次側の両端部と第2プレス体における搬送方向一次側の両端部との上下間、及び第1プレス体における搬送方向二次側の両端部と第2プレス体における搬送方向二次側の両端部との上下間にそれぞれ対応させた両プレス体の四隅部を上下方向で同時に相互近接方向にバネ付勢する加圧手段が設けられており、前記加圧手段は、一方のプレス体に長手方向を上下に向けて設けられた支柱と、他方のプレス体に設けられて前記支柱に上下摺動自在に保持されたガイド部材とを有していることを特徴とする。
【0012】
前記第1プレス体及び/又は第2プレス体には、張りベルト部に対する張り方向両端のローラを相互離反させる方向で常時付勢するテンション付与手段が設けられたものとする
のがよい。
前記第1プレス体及び/又は第2プレス体において前記加熱手段により加熱されるエンドレスベルトは、金属製帯材により形成されたものとするのがよい。
【0013】
前記生地がテープ生地であるとき、第1プレス体及び第2プレス体における各張りベルト部の一次側にはテープ生地をテープ幅方向で折り込みながら第1プレス体と第2プレス体との間へ送り込む幅折り装置が設けられたものとするとよい。
また、前記生地がテープ生地であるとき、第1プレス体及び第2プレス体における各張りベルト部の二次側には第1プレス体と第2プレス体との間から送り出されたテープ生地をテープ長手方向で切断する切断装置が設けられたものとするとよい。
【0014】
更に、前記生地がテープ生地であるとき、第1プレス体及び第2プレス体における各張りベルト部の二次側には第1プレス体と第2プレス体との間から送り出されたテープ生地に対してテープ長手方向に沿った側縁の一部に位置合わせ用ノッチを形成するノッチ入れ装置が設けられたものとするとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る皺伸ばし装置では、連続搬送されるテープ生地等の生地に対し、確実な折り目の付与や生地全体にわたって均一となる皺伸ばしが、生地としての歩留まり低下を招来することなく、しかも高能率で行える。また本発明に係る皺伸ばし装置は、処理ラインへの組み込みが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至
図6は、本発明に係る皺伸ばし装置1の実施形態を示している。本実施形態では、処理の対象とする生地をテープ生地に適用した場合について説明する。また本実施形態では、テープ生地をテープ幅方向で二つ折りしつつ、その直後に折り目の付与とテープ面の皺伸ばしとを同時に行い、更に、テープ長手方向を所定長さに切断したり必要に応じて所定長さ位置にノッチ(切り込み又は切欠)を入れたりするといった一連の処理を行う場合を説明する。
【0018】
従って、本実施形態では、
図6に示すように、テープ生地をテープ幅方向で折り込む幅折り装置2(いわゆる「ラッパ管」等と呼称される器具を備えた装置)と、テープ生地をテープ長手方向で切断する切断装置3との間に皺伸ばし装置1が設置されており、これら幅折り装置2と皺伸ばし装置1と切断装置3とによって一連の処理ラインが構成されたものとなっている。また、切断装置3の二次側(下流位置)にはノッチ入れ装置4が設置されている。
【0019】
皺伸ばし装置1は、上下方向で互いに対向設置された第1プレス体5と第2プレス体6とを有している。第1プレス体5が上位側で第2プレス体6が下位側としてある。前記したように、本実施形態において皺伸ばし装置1は、後続の切断装置3と作業的な連携を図る必要がある。またこの切断装置3は、シュート7によってテープ生地を斜め下方へ滑り出させて、重力を利用した直進性を得る(テープ長手方向を真っ直ぐの形体にさせる)方
式を採用している。
【0020】
そのため、下位側とされる第2プレス体6は、作業者Mにとって作業しやすい高さ範囲において、装置フレーム8によりシュート7の落差を確保できる高さに支持されている。なお、ここでシュート7の落差は、テープ生地に必要とされる切断長さ及び滑落角度との関係で決定される。これに対して上位側とされる第1プレス体5は、この第2プレス体6の上部に載設されている。
【0021】
これら第1プレス体5及び第2プレス体6は、互いの対向間(上下間)にテープ生地を挟み込むようにして、このテープ生地を両プレス体5,6の対向界面に沿って搬送(
図6の右側から左側へ向けた水平方向に搬送)させるようになっている。
すなわち、これら第1プレス体5と第2プレス体6とは、テープ生地が搬送される生地搬送路Wを挟み込む配置となっている。この生地搬送路Wの搬送方向に対し、前記幅折り装置2は、第1プレス体5及び第2プレス体6の一次側(
図6右側)に設けられ、また前記切断装置3は、第1プレス体5及び第2プレス体6の二次側(
図6左側)に設けられていることになる。
【0022】
そして、これら第1プレス体5と第2プレス体6との間は、両者間にわたって設けられる加圧手段9により、互いに近接する方向へバネ付勢される構成となっている。
まず、上位側の第1プレス体5について説明する。
第1プレス体5は、
図1乃至
図5に示すように、一対のローラ10,10間にエンドレスベルト11が巻き掛けられた構成の上部ベルト装置12を有している。また、この上部ベルト装置12の内側に加熱手段13を有している。
【0023】
上部ベルト装置12において、エンドレスベルト11は、ステンレス等の金属製帯材により、表裏面が共に平滑面となるように形成されている。エンドレスベルト11は金属製帯材なので、ローラ10,10に対する巻き掛け及び巻き出しの繰り返しにも柔軟に対応し、またテープ生地に対して擦過疵を付けるおそれがなく、更にテープ生地に対する伝熱性にも優れている。
【0024】
各ローラ10,10のローラ軸10a,10aは、互いに所定間隔をおいて対向設置された一対のローラ枠14,14によって両端支持され、回転自在に保持されている。
一方のローラ10(
図1の左側)のローラ軸10aには、その両端部に対してテンション付与手段17が設けられている。このテンション付与手段17は、
図1に示すように、ローラ10,10を、エンドレスベルト11の張り方向に沿って相互離反方向へ常時付勢するもので、この付勢によってエンドレスベルト11に適切な張力を保持させるようにする。
【0025】
このテンション付与手段17は、具体的には次のような構成となっている。すなわち、ローラ枠14には、ローラ軸10aの軸端部を保持する部分に、エンドレスベルト11の張り方向に沿って長い長孔18が形成されている。ローラ軸10aは、この長孔18内で長孔方向に移動自在となっている。また、ローラ枠14には、長孔18の一端部から第1プレス体5の二次側(
図1左方側)へ向けて貫通する尾通孔19が形成されている。これに対してローラ軸10aには、長孔18内に嵌る軸端部を、長孔18の長孔方向に沿って(ローラ軸10aの径方向に)貫通する径通孔21が形成されている。
【0026】
そして、ローラ枠14の尾通孔19に対して調整ボルト22が差し込まれている。この調整ボルト22は、ボルト先端部が長孔18内へ突き出た後、更にローラ軸10aの径通孔21をも通り抜けるように配置され、この径通孔21を通り抜けた部分にコイルバネ24が挿通されている。また、更にこのコイルバネ24をローラ軸10aに押し付けるようにして、長孔18内に収まるナット部材25が螺合されている。
【0027】
ナット部材25は、長孔18内において調整ボルト22のまわりで回転しない大きさに形成されており、調整ボルト22を回転させたときの螺進作用で、長孔18内を移動できるようになっている。
そのため、調整ボルト22のボルト頭部を締め込み方向へ回転操作してナット部材25をローラ軸10aに近接させる方向へ螺進させると、コイルバネ24が圧縮され、このコイルバネ24に生じる弾発力でローラ軸10aが第1プレス体5の二次側(
図1左方側)
へ押されるようになる。その結果として、ローラ10,10が相互離反方向へ付勢され、この付勢によってエンドレスベルト11に適切な張力が生じるようになる。
【0028】
すなわち、コイルバネ24を設けない場合であると、エンドレスベルト11が加熱昇温して伸びたときに各ローラ10,10のまわりでスリップが生じたり、エンドレスベルト11が冷却して収縮したときにローラ10,10間で高張力状態となって過負荷が生じたりするおそれがあるが、前記のようにコイルバネ24を設けることで、これらの不具合が確実に回避されるという作用効果が得られるものである。
【0029】
なお、調整ボルト22のボルト頭部を回転操作する方向や操作量により、ナット部材25によるコイルバネ24の圧縮力、即ち、エンドレスベルト11の張力を調節できることは言うまでもない。
このようなテンション付与手段17により、エンドレスベルト11は、ローラ10,10間の下部接線を張り側とするように張り渡されている(以下、この張り側となるベルト部分を「張りベルト部11a」と言う)。すなわち、この第1プレス体5では、上部ベルト装置12の下張り側となる張りベルト部11aが、生地搬送路Wを搬送されるテープ生地の一方面(上面)と面接触するようになっている。
【0030】
上部ベルト装置12において、テンション付与手段17が設けられたのとは反対側のローラ10(
図1〜3の各右側、また
図4に示す側)のローラ軸10aには、ローラ枠14を突き抜けた部分に歯付きベルト等の巻掛け伝動手段27を介して駆動モータ28の回転駆動が入力されるようになっている。この駆動モータ28の駆動でローラ軸10aが回転されることで、両ローラ10,10のまわりにエンドレスベルト11が一方向の循環走行を行うようになる。
【0031】
駆動モータ28は、エンドレスベルト11の走行速度が、生地搬送路W(第1プレス体5と第2プレス体6との対向間)を搬送されるテープ生地の搬送速度と合致するように駆動設定されている。そのため、上部ベルト装置12の張りベルト部11aが、生地搬送路Wを搬送されるテープ生地と面接触したまま、このテープ生地と一体移動(相対速度差がゼロ)するようになっている。
【0032】
加熱手段13は、上部ベルト装置12の張りベルト部11aに対して、その内側(上面側)に当接する配置で設けられている。この加熱手段13には、熱線ヒータ方式、電磁誘導加熱方式、温風吹きつけ方式、温水循環方式などの各種加熱方式を採用可能である。
次に、第2プレス体6について説明する。
第2プレス体6は、基本的に、第1プレス体5の構成を上下反転させた構成となっている。すなわち、この第2プレス体6は、ローラ枠34,34によって両端支持された一対のローラ30,30間に、金属製帯材で形成されたエンドレスベルト31が巻き掛けられて成る下部ベルト装置32を有している。また、この下部ベルト装置32の内側に、熱線ヒータ方式などの加熱手段33を有している。
【0033】
この下部ベルト装置32のローラ間隔は、第1プレス体5における上部ベルト装置12のローラ間隔と同じとされ、下部ベルト装置32のローラ30,30と上部ベルト装置12のローラ10,10とが上下方向で一致した配置となっている。
第2プレス体6において、一方のローラ30(
図1の左側)のローラ軸30aにテンション付与手段37が設けられ、ローラ30,30を、エンドレスベルト31の張り方向に沿って相互離反方向へ常時付勢し、エンドレスベルト31に適切な張力を保持できるようになっている点は、第1プレス体5のテンション付与手段17と同じである。
【0034】
テンション付与手段37の具体的構造についても、ローラ枠34の尾通孔39から調整ボルト42を差し込み、長孔38内でローラ軸30aの径通孔41及びコイルバネ44をも挿通させた状態でナット部材45を螺合させてある点で、第1プレス体5のテンション付与手段17と同じである。
このようなテンション付与手段37により、エンドレスベルト31は、ローラ30,30間の上部接線を張り側とするように張り渡されている(以下、この張り側となるベルト部分を「張りベルト部31a」と言う)。すなわち、この第2プレス体6では、下部ベルト装置32の上張り側となる張りベルト部31aが、生地搬送路Wを搬送されるテープ生
地の他方面(下面)と面接触するようになっている。
【0035】
なお、この下部ベルト装置32では、第1プレス体5の上部ベルト装置12を駆動する駆動モータ28より、駆動を受けて、ローラ30のローラ軸30aが回転駆動されるようになっている。すなわち、第1プレス体5の上部ベルト装置12に対して駆動モータ28の駆動が入力されるローラ軸10aには、巻掛け伝動手段27が設けられる側とは逆側の軸端部に上ギヤ50が一体回転可能に設けられている。これに対し、このローラ軸10aの下に配置されたローラ軸30aの軸端部には、上ギヤ50と噛合する下ギヤ51が一体回転可能に設けられている。
【0036】
そのため、駆動モータ28を作動させ、第1プレス体5の上部ベルト装置12を駆動すると、上ギヤ50と下ギヤ51との噛合を介して、第2プレス体6の下部ベルト装置32が、上部ベルト装置12とは相対逆方向で、且つ同一回転速度となるように連動する(エンドレスベルト31が循環走行する)ようになる。これにより、下部ベルト装置32の張りベルト部31aが、生地搬送路Wを搬送されるテープ生地と面接触したまま、このテープ生地と一体移動(相対速度差がゼロ)するようになる。
【0037】
第1プレス体5と第2プレス体6との両者間にわたって設けられた加圧手段9は、第1プレス体5の上部ベルト装置12が有する張りベルト部11aと、第2プレス体6の下部ベルト装置32が有する張りベルト部31aとを、相互近接方向にバネ付勢するためのものである。
この加圧手段9は、
図1、
図2、及び
図5に示すように、具体的には次のような構成となっている。すなわち、第2プレス体6のローラ枠34には、第1プレス体5のローラ枠14を超える高さの支柱56がブラケット55を介して立設されており、第1プレス体5のローラ枠14には、支柱56に対して上下方向に摺動自在に嵌められるガイド部材57が固定されている。
【0038】
支柱56の上端部には雄ねじ端部58が設けられており、この雄ねじ端部58に調整ナット59を螺合できるようになっている。そして、支柱56には、ガイド部材57を突き抜けて上方へ突出する部分にコイルバネ60が挿通される。また、このコイルバネ60をガイド部材57に押し付けるようにして、支柱56の雄ねじ端部58に調整ナット59が螺合される。
【0039】
第2プレス体6のローラ枠34に対し、支柱56は、下部ベルト装置32が有する張りベルト部31aの張り方向両端となり、且つベルト幅両側となるように複数箇所に設けられている(即ち、下部ベルト装置32の四隅に設けられている)。また当然に、第1プレス体5のローラ枠14に対し、ガイド部材57は、各支柱56に対応する複数箇所に設けられている(即ち、上部ベルト装置12の四隅に設けられている)。
【0040】
従って、この加圧手段9により、第1プレス体5の上部ベルト装置12が、第2プレス体6の下部ベルト装置32に対して四隅位置を同時に加圧される状態となっており、第1プレス体5の張りベルト部11aと第2プレス体6の張りベルト部31aとが、相対的に面均一となるように加圧されることになる。
なお、調整ナット59を回転操作する方向や操作量により、コイルバネ60の圧縮力、即ち、第1プレス体5の張りベルト部11aと第2プレス体6の張りベルト部31aとの接触圧や圧力分布の均整化を調節できることは言うまでもない。
【0041】
ところで、皺伸ばし装置1に後続して設置される切断装置3は、
図6に示したように、シュート7の上端寄りにカッター部70が設けられていると共に、このカッター部70からの距離が異なる3つのセンサ71が設けられている。そのため、これら3つのセンサ71のうち、いずれを検出に使用するかの選択によって、テープ生地の切断長さを3種類に変更できるようになっている。
【0042】
カッター部70によって上端側が切断されたテープ生地は、シュート7を滑り落ちる勢いで、このシュート7の下端部から、床面Fに近い高さを保持して設置された取出台72へと乗り移るようになっている。この取出台72上へ乗り移ったテープ生地は、その後、取出台72に寄り添うようにして床面F上に置かれる移載箱(図示略)などへと投入される。
【0043】
なお、シュート7の下端部には、シュート7を滑落するテープ生地を取出台72へ乗り移らせる(ガイドする)ようにする乗り継ぎプレート73が設けられている。この乗り継ぎプレート73は、流体圧シリンダ等の出入り用アクチュエータ74に連結されている。そのため、この乗り継ぎプレート73は、
図7に示すように、出入り用アクチュエータ74の作動に伴ってシュート7の下端部から取出台72側へ突出した状態(実線)と、滑落するテープ生地Tとは接触干渉しないようにシュート7の下端部から引き込んだ状態(二点鎖線)とに切り換わるようになっている。
【0044】
言うまでもなく、乗り継ぎプレート73を引き込んだ状態にすると、シュート7を滑落するテープ生地Tを取出台74へ乗り移らせることができない。このような乗り継ぎプレート73の状態切り換えにより、不良のテープ生地や、テープ生地に生じた継ぎ足し縫製箇所、或いは、捺染の不連続箇所などをライン外へ排出する(例えば、床面F上に置いた不良品回収箱へ回収する)ことができる。
【0045】
また、
図6に示すように、取出台72の上方には、所定高さ位置を維持してガイドバー77が架設されており、このガイドバー77に沿って移動自在となるように生地キャッチャー78が設けられている。
この生地キャッチャー78は、
図7に示すように、シュート7上を滑落するテープ生地Tの先端部(下向きに先行する生地端)をキャッチするためのもので、テープ生地Tの先端部をキャッチした後、この生地キャッチャー78がガイドバー77に沿って移動することで、テープ生地Tを取出台72上へ真っ直ぐに引き出して、延びた状態に展開できるものである。
【0046】
この生地キャッチャー78は、
図8に示すように、流体圧シリンダ等のキャッチ用アクチュエータ80により、一対のフィンガー81,81が相対逆方向に開閉揺動されるようになっており、両フィンガー81,81を閉じさせるときにそれらの間でテープ生地Tを挟持する構成である。キャッチ用アクチュエータ80は、シュート7に沿って設けられたいずれかのセンサ71からテープ生地Tの通過信号を受けて、作動タイミングを図るようにすればよい。
【0047】
一方、切断装置3(
図6参照)の二次側に設置されているノッチ入れ装置4は、詳しく言えば、シュート7の中途部であって、このシュート7に沿って滑落するテープ生地に対し、その長手方向に沿った側縁の適所(図例では2箇所を想定しているが1箇所でもよいし3箇所以上でもよい)にノッチ(線状の切り込み又は三角形状の切欠)を入れることができるような配置とされている。
【0048】
このノッチ入れ装置4でテープ生地にノッチを入れることにより、例えばTシャツの襟ぐり部(丸首部分)へ沿わせてテープ生地を取り付けるときに、Tシャツ側の肩継ぎ縫着ライン等とテープ生地とを位置合わせする作業がいとも簡単に、且つ正確に行えるものとなる。従来は、ノッチを入れるのではなく、テープ生地に焦げ目を付けることで対応していたため、煙の発生や焦げ臭の発生などが嫌われることがあったが、ノッチ入れにより、これらの問題の解消が図れるものである。
【0049】
このノッチ入れ装置4は、
図9及び
図10に示すように、シュート7から側方へはみ出すようになるテープ生地Tに対し、テープ生地Tの下面側に配置されるダイブロック85と、テープ生地Tの上方からダイブロック85に接触と離反とを行うように設けられたパンチ86とを有している。パンチ86は、流体圧シリンダ等のパンチ動作用アクチュエータ87によって上下駆動される。
【0050】
図6に示したように、ダイブロック85は先端ほど尖った形状とされ、パンチ86は、ダイブロック85と接触する面がフラット面とされている。なお、パンチ86が先端を尖らせた形状であって、ダイブロック85がフラット面である組み合わせとすることも可能である。但し、ダイブロック85又はパンチ86の一方を上記のように尖らせた先端形状にするのは、テープ生地Tに形成させるノッチを線状の切り込み又は三角形状の切欠とする場合であって、ノッチをその他の形状にする場合(例えば、角形の切欠など)では、当該ノッチに合わせた先端形状(板状又は角棒状の端面形状など)を採用すればよい。
【0051】
図示は省略するが、このノッチ入れ装置4は、テープ生地Tの長さ違いや幅違い、更に
はテープ生地Tの長手方向に対するノッチ入れ箇所の違いなどに対応するために、シュート7に対する上下方向の位置調整や、シュート7の幅方向に対する位置調整が簡単に行えるようにした機構が設けられているものとする。
シュート7に対してこのノッチ入れ装置4を設けるに際しては、シュート7の側部に対し、テープ生地Tの側縁を位置出しするためのガイド88(
図10参照)を設けるのが好適である。また、シュート7の上面(テープ生地Tの滑落を支持する面)には、長手方向を滑落方向に向けた突条が複数条形成された滑り材89(
図9参照)を貼り付けておくことで、テープ生地Tとの接触面積を小さくさせ、スムーズで位置ズレのないテープ生地Tの滑落が起こるように対処しておくのが好適である。
【0052】
次に、皺伸ばし装置1の動作状況を説明する。
皺伸ばし装置1において、まず駆動モータ28を作動させ、第1プレス体5の上部ベルト装置12及び第2プレス体6の下部ベルト装置32を、それらのエンドレスベルト11,13の各張りベルト部11a,31a間が同方向に移動するように駆動させる。また、第1プレス体5の加熱手段13及び第2プレス体6の加熱手段33を作動させ、各張りベルト部11a,31aを加熱させる。
【0053】
幅折り装置2(
図6参照)に対するテープ生地の送り込みを開始すると、テープ生地は、この幅折り装置2によってテープ幅方向で二つ折りされながら、皺伸ばし装置1の第1プレス体5と第2プレス体6との間へと送り込まれる。
第1プレス体5の張りベルト部11aと、第2プレス体6の張りベルト部31aとは、加圧手段9により、相対的に面均一となるように加圧されているので、これら張りベルト部11a,31a間で挟持されるようになるテープ生地は、その上下両面が密接的に加圧及び加熱される状態となる。その結果、連続搬送されるテープ生地に対して、確実な折り目の付与や生地全体にわたって均一となる皺伸ばしが、生地としての歩留まり低下を招来することなく、しかも高能率で行われるものとなる。
【0054】
なお、加熱手段13,33によりエンドレスベルト11,31に伸びが生じるようなことがあっても、テンション付与手段17,37により、第1プレス体5及び第2プレス体6のエンドレスベルト11,31は、常に適切な張力を保持するようになっている。そのため、張りベルト部11a,31aが撓むようなことはなく、これら張りベルト部11a,31a間でテープ生地が密接的に加圧及び加熱される状態は、確実に維持される。
【0055】
このようにして、皺伸ばし装置1によって折り目の付与と皺伸ばしとが施されたテープ生地は、第1プレス体5と第2プレス体6との間から送り出されると同時に切断装置3(
図6参照)のシュート7へと排出され、このシュート7上で所定長さに切断されるものとなる。
切断装置3による切断動作時は、皺伸ばし装置1を間欠停止させるようにするのが好適である。また、テープ生地に対してノッチ(切り込み又は切欠)を入れる必要がある場合には、切断装置3による切断動作を行う前に、ノッチ入れ装置4を作動させてテープ生地にノッチを形成させるようにし、その後、切断装置3を切断動作させるようにすればよい。
【0056】
皺伸ばし装置1による処理が的確且つ高効率で行われ、折り目付けや皺伸ばしなどに関する失敗や装置内での生地詰まりなどは起こらないので、この皺伸ばし装置1に、幅折り装置2や切断装置3、更にはノッチ入れ装置4を接続して構成される一連の処理ラインでは、高効率の処理が実行できるものとなる。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【0057】
例えば、皺伸ばし装置1は、幅折り装置2や切断装置3と接続して設置することが限定されるものではなく、単独で設置することも可能である。従って、テープ生地はテープ幅方向で折り込むことは限定されず、そもそも生地はテープ生地に限定されない。例えば、皺伸ばし装置1は一枚生地を皺伸ばしするために使用してもよい。
加圧装置9は、第1プレス体5に支柱56を設け、第2プレス体6にガイド部材57を設けて、前記実施形態とは上下を逆に使用してもよい。
【0058】
第1プレス体5のテンション付与手段17は、第1プレス体5の二次側となるローラ1
0に対して設ける配置としたが、第1プレス体5の一次側となるローラ10に対して設ける配置としてもよい。また、両側のローラ10,10に対して設けるようにしてもよい。第2プレス体6のテンション付与手段37についても同じである。
第1プレス体5の上部ベルト装置12に対し、ローラ10,10間において張りベルト部11aではない方のベルト架設部分にアイドルローラを設けて、エンドレスベルト11にテンションを付与させるようにしてもよい。第2プレス体6の下部ベルト装置32についても同じである。その意味において、テンション付与手段は、第1プレス体5又は第2プレス体6のうち、少なくとも一方に設けてもよいものである(テンション付与手段を設けない場合にアイドルローラを設ける)。