【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されるのは、体腔内にアクセスシールを配備し固定するためのデバイスとそれらのデバイスを使用する方法である。
【0007】
開示される外科用アクセスデバイスは、ハウジングと、環と、複数の変形可能な部材とを含む。このハウジングは、近位端と遠位端とを画定し、その近位端と遠位端とを通って延びる複数の管腔を有する。複数の管腔は、外科用物体の密封された受け入れに適応され得る。環は第一の位置と第二の位置との間で再配置可能であり、第二の位置はハウジングの近位端に第一の位置より近い。各変形可能部材は、環に結合され、かつ遠位部分を画定する。各変形可能部材は、複数の管腔のうちの1つを通って移動可能である。複数の変形可能な部材は、環が第一の位置にある場合に後退した状態にあり、環が第二の位置にある場合に配備された状態にある。
【0008】
1つの実施形態において、複数の変形可能な部材の遠位部分は、配備状態にある場合に組織の内面に向かって巻かれており、組織の内面と接触するか組織の内面に埋め込まれ得る。複数の変形可能な部材の遠位部分は、後退状態にある場合に本質的に直線状であり、配備状態に向けて付勢され得る。複数の変形可能な部材は、例えば、ニチノールのような形状記憶材料から作られ得、また、ワイヤとして形成され得る。
【0009】
別の実施形態において、複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、変形可能な部材の遠位部分に取り付けられた鉤を含む。この鉤は、解放可能に取り付けられ得、また、生体吸収性材料から作られ得る。変形可能な部材のうちの1つ以上は、鉤に取り付けられた縫合糸も含み得、また、縫合糸を受け入れるための変形可能な部材を通る通路を画定する。
【0010】
外科用アクセスデバイスを組織の切開に固定する方法が開示される。この方法は、ハウジングと、環と、複数の変形可能な部材とを含む外科用アクセスデバイスを提供することを含む。ハウジングは、近位端と遠位端とを画定し、近位端と遠位端とを通って延びる複数の管腔を有する。環は、第一の位置と第二の位置との間で再配置可能であり、第二の位置は第一の位置よりもハウジングの近位端に近い。複数の変形可能な部材は、遠位部分を画定し、各変形可能な部材は環に結合され、複数の管腔のうちの1つを通って移動可能である。複数の変形可能な部材は、環が第一の位置にある場合に後退した状態にあり、環が第二の位置にある場合に配備された状態にある。
【0011】
方法は、外科用アクセスデバイスを組織の切開の中に挿入するステップと、環を第一の位置から第二の位置に作動するステップと、環を第二の位置から第一の位置に作動するステップとを含む。第一の位置から第二の位置への作動の間、複数の変形可能な材料は、後退した状態と配備された状態との間で移動される。第二の位置から第一の位置への作動の間、複数の変形可能な部材は、配備された状態と後退した状態との間で移動される。複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、変形可能な部材の遠位部分に解放可能に取り付けられた鉤も含む。縫合糸は鉤に取り付けられ得、複数の変形可能な部材のうちの1つは、縫合糸を受け入れるための変形可能な部材を通る通路を画定する。複数の変形可能な部材が後退した状態から配備された状態に移動する場合に、鉤は少なくとも部分的に組織の内面の中に埋め込まれ、複数の変形可能な部材が配備された状態から後退した状態に移動する場合には、鉤は少なくとも部分的に組織の内面の中に埋め込まれた状態に留まる。方法は、また、外科用アクセスデバイスを組織の切開から取り除くステップも含み得る。取り除きの間、鉤は少なくとも部分的に組織の内面の中に埋め込まれた状態に留まり、縫合糸が変形可能な部材のうちの1つ以上の通路から外に出て、外科医が切開を結ぶことを可能にする。
【0012】
この開示の様々な局面が、添付の図面と合わせて読まれる場合、以下の詳細な記載からより容易に理解されるであろう。
【0013】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
外科用アクセスデバイスであって、該外科用アクセスデバイスは、
近位端と遠位端とを画定するハウジングであって、該ハウジングは該ハウジングを通って延びる複数の管腔を有する、ハウジングと、
第一の位置と第二の位置との間で再配置可能な環であって、該第二の位置は、該第一の位置よりも該ハウジングの該近位端に近い、環と、
複数の変形可能な部材であって、該複数の変形可能な部材は、複数の変形可能な部材の遠位部分を画定し、各変形可能な部材は、該環に結合され、該複数の管腔のうちの1つを通って移動可能であり、該環が該第一の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は後退した状態にあり、該環が該第二の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は配備された状態にある、複数の変形可能な部材と
を備える、外科用アクセスデバイス。
(項目2)
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態にあるとき、組織の内面に向かって巻かれている、上記項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目3)
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態にあるとき、組織の内面に接触する、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目4)
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態にあるとき、組織の内面の中に埋め込まれる、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目5)
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記後退した状態にあるとき、本質的に直線状である、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目6)
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態に向けて付勢されている、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目7)
前記複数の変形可能な部材は、ワイヤである、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目8)
前記複数の変形可能な部材は、形状記憶材料から作られる、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目9)
前記形状記憶材料はニチノールである、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目10)
前記複数の管腔のうちの1つ以上が外科用物体の密封された受け入れに適合される、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目11)
前記複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上の遠位部分に取り付けられた鉤を含む、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目12)
前記鉤は、解放可能に取り付けられている、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目13)
前記鉤は、生体吸収性である、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目14)
前記複数の変形可能な部材ののうちの1つ以上は、前記鉤に取り付けられた縫合糸を含む、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目15)
前記複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上を通る、前記縫合糸の受け入れのための通路を画定する、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目16)
外科用アクセスデバイスを組織の切開に固定する方法であって、該方法は
外科用アクセスデバイスを提供するステップであって、該外科用アクセスデバイスは、
近位端と遠位端とを画定するハウジングであって、該ハウジングは該ハウジングを通って延びる複数の管腔を有する、ハウジングと、
第一の位置と第二の位置との間で再配置可能な環であって、該第二の位置は、該第一の位置よりも該ハウジングの該近位端に近い、環と、
複数の変形可能な部材であって、該複数の変形可能な部材は、複数の変形可能な部材の遠位部分を画定し、各変形可能な部材は、該環に結合され、該複数の管腔のうちの1つを通って移動可能であり、該環が該第一の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は後退した状態にあり、該環が該第二の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は配備された状態にある、複数の変形可能な部材と
を備える外科用アクセスデバイスを提供するステップと、
該外科用アクセスデバイスを組織の切開の中に挿入するステップと、
該環を該第一の位置から該第二の位置に作動するステップであって、それによって、該複数の変形可能な部材は、該後退した状態と該配備された状態との間で移動される、ステップと、
該環を該第二の位置から該第一の位置に作動するステップであって、それによって、該複数の変形可能な部材は、該配備された状態と該後退した状態との間で移動される、ステップと
を含む、方法。
(項目17)
前記複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上の遠位部分に取り付けられた鉤と、該鉤に取り付けられた縫合糸とを含み、該複数の変形可能な部材のうちの該1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの該1つ以上を通る、該縫合糸の受け入れのための通路を画定する、上記いずれかの項目に記載の方法。
(項目18)
前記複数の変形可能な部材が前記後退した状態から前記配備された状態に移動するとき、前記鉤は、少なくとも部分的に組織の内面の中に埋め込まれる、上記いずれかの項目に記載の方法。
(項目19)
前記複数の変形可能な部材が前記配備された状態から前記後退した状態に移動するとき、前記鉤は、組織の内面の中に少なくとも部分的に埋め込まれた状態に留まる、上記いずれかの項目に記載の方法。
(項目20)
前記外科用アクセスデバイスを前記組織の切開から取り除くステップであって、それによって、前記鉤は組織の内面の中に少なくとも部分的に埋め込まれた状態に留まり、前記縫合糸は前記変形可能な部材のうちの1つ以上の前記通路から外に出て外科医が該切開を結ぶことを可能にする、ステップをさらに含む、上記いずれかの項目に記載の方法。
(項目21)
外科用アクセスデバイスを組織の切開に固定するためのシステムであって、該システムは、
外科用アクセスデバイスであって、該外科用アクセスデバイスは、
近位端と遠位端とを画定するハウジングであって、該ハウジングは該ハウジングを通って延びる複数の管腔を有する、ハウジングと、
第一の位置と第二の位置との間で再配置可能な環であって、該第二の位置は、該第一の位置よりも該ハウジングの近位端に近い、環と、
複数の変形可能な部材であって、該複数の変形可能な部材は、複数の変形可能な部材の遠位部分を画定し、各変形可能な部材は、該環に結合され、該複数の管腔のうちの1つを通って移動可能であり、該環が該第一の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は後退した状態にあり、該環が該第二の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は配備された状態にある、複数の変形可能な部材と
を備える外科用アクセスデバイスを含み、
該外科用アクセスデバイスは組織の切開の中に挿入されるように構成されており、
該環は、該第一の位置から該第二の位置に作動されるように構成され、それによって、該複数の変形可能な部材は、該後退した状態と該配備された状態との間で移動されるように構成されており、
該環は、該第二の位置から該第一の位置に作動されるように構成され、それによって、該複数の変形可能な部材は、該配備された状態と該後退した状態との間で移動されるように構成されている、システム。
(項目22)
前記複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上の遠位部分に取り付けられた鉤と、該鉤に取り付けられた縫合糸とを含み、該複数の変形可能な部材のうちの該1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの該1つ以上を通る、該縫合糸の受け入れのための通路を画定する、上記項目に記載のシステム。
(項目23)
前記複数の変形可能な部材が前記後退した状態から前記配備された状態に移動するときに、前記鉤が少なくとも部分的に組織の内面の中に埋め込まれるように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目24)
前記複数の変形可能な部材が前記配備された状態から前記後退した状態に移動するときに、前記鉤が組織の内面の中に少なくとも部分的に埋め込まれた状態に留まるように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目25)
前記外科用アクセスデバイスは、前記組織の切開から取り除かれるように構成されており、それによって、前記鉤は組織の内面の中に少なくとも部分的に埋め込まれた状態に留まるように構成されており、前記縫合糸は前記変形可能な部材のうちの1つ以上の前記通路から外に出て外科医が該切開を結ぶことを可能にするように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(摘要)
外科用アクセスデバイスが開示され、この外科用アクセスデバイスは、ハウジングと、環と複数の変形可能な部材とを含む。ハウジングは、近位端と遠位端とを画定し、それらを通って延びる複数の管腔を有する。環は、第一の位置と第二の位置との間で再配置可能であり、第二の位置は、第一の位置よりも該ハウジングの近位端に近い。複数の変形可能な部材のそれぞれは、遠位部分を画定し、環に結合され、複数の管腔のうちの1つを通って移動可能である。複数の変形可能な部材は、環が第一の位置にある場合に後退した状態にあり、環が第二の位置にある場合に配備された状態にある。複数の変形可能な部材のうちの1つ以上が遠位部分に取り付けられた鉤を含み得る。