特許第5826571号(P5826571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5826571形状記憶配備機構を含むアクセスデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5826571
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】形状記憶配備機構を含むアクセスデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20151112BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20151112BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   A61B17/02
   A61B1/00 300B
   A61B1/00 320Z
   A61B17/34
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-199484(P2011-199484)
(22)【出願日】2011年9月13日
(65)【公開番号】特開2012-110679(P2012-110679A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2014年7月29日
(31)【優先権主張番号】61/416,764
(32)【優先日】2010年11月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/224,355
(32)【優先日】2011年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507362281
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】アニバル ロドリゲス ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー オコニウスキー
【審査官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−501023(JP,A)
【文献】 特開平09−028666(JP,A)
【文献】 特開2010−005391(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0179588(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0319261(US,A1)
【文献】 米国特許第06048309(US,A)
【文献】 米国特許第05354271(US,A)
【文献】 米国特許第05279564(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/02
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用アクセスデバイスであって、該外科用アクセスデバイスは、
近位端と遠位端とを画定するハウジングであって、該ハウジングは該ハウジングを通って延びる複数の管腔を有する、ハウジングと、
第一の位置と第二の位置との間で再配置可能な環であって、該第二の位置は、該第一の位置よりも該ハウジングの該近位端に近い、環と、
複数の変形可能な部材であって、該複数の変形可能な部材は、複数の変形可能な部材の遠位部分を画定し、各変形可能な部材は、該環に結合され、該複数の管腔のうちの1つを通って移動可能であり、該環が該第一の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は後退した状態にあり、該環が該第二の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は配備された状態にある、複数の変形可能な部材と
を備え
該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上の遠位端部分に解放可能に取り付けられた鉤を含み、該鉤は、生体吸収性である、外科用アクセスデバイス。
【請求項2】
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態にあるとき、組織の内面に向かって巻かれている、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項3】
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態にあるとき、組織の内面に接触する、請求項2に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項4】
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態にあるとき、組織の内面の中に埋め込まれている、請求項2に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項5】
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記後退した状態にあるとき、本質的に直線状である、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項6】
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態に向けて付勢されている、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項7】
前記複数の変形可能な部材は、ワイヤである、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項8】
前記複数の変形可能な部材は、形状記憶材料から作られている、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項9】
前記形状記憶材料はニチノールである、請求項8に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項10】
前記複数の管腔のうちの1つ以上は、外科用物体の密封された受け入れに適合されている、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項11】
前記複数の変形可能な部材うちの1つ以上は、前記鉤に取り付けられた縫合糸を含む、請求項に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項12】
前記複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上を通る、前記縫合糸の受け入れのための通路を画定する、請求項11に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項13】
外科用アクセスデバイスを組織の切開に固定するためのシステムであって、該システムは外科用アクセスデバイスを備え、
該外科用アクセスデバイスは、
近位端と遠位端とを画定するハウジングであって、該ハウジングは該ハウジングを通って延びる複数の管腔を有する、ハウジングと、
第一の位置と第二の位置との間で再配置可能な環であって、該第二の位置は、該第一の位置よりも該ハウジングの近位端に近い、環と、
複数の変形可能な部材であって、該複数の変形可能な部材は、複数の変形可能な部材の遠位部分を画定し、各変形可能な部材は、該環に結合され、該複数の管腔のうちの1つを通って移動可能であり、該環が該第一の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は後退した状態にあり、該環が該第二の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は配備された状態にある、複数の変形可能な部材と
を備え
該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上の遠位端部分に解放可能に取り付けられた鉤を含み、該鉤は、生体吸収性であり、
該外科用アクセスデバイスは組織の切開の中に挿入されるように構成されており、
該環は、該第一の位置から該第二の位置に作動されるように構成されており、これによって、該複数の変形可能な部材は、該後退した状態と該配備された状態との間で移動されるように構成されており、
該環は、該第二の位置から該第一の位置に作動されるように構成されており、これによって、該複数の変形可能な部材は、該配備された状態と該後退した状態との間で移動されるように構成されている、システム。
【請求項14】
前記複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、前記鉤に取り付けられた縫合糸含み、該複数の変形可能な部材のうちの該1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの該1つ以上を通る、該縫合糸の受け入れのための通路を画定する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の変形可能な部材が前記後退した状態から前記配備された状態に移動するときに、前記鉤が少なくとも部分的に組織の内面の中に埋め込まれるように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の変形可能な部材が前記配備された状態から前記後退した状態に移動するときに、前記鉤が組織の内面の中に少なくとも部分的に埋め込まれた状態に留まるように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記外科用アクセスデバイスは、前記組織の切開から取り除かれるように構成されており、れによって、前記鉤は組織の内面の中に少なくとも部分的に埋め込まれた状態に留まるように構成されており、前記縫合糸は前記変形可能な部材のうちの1つ以上の前記通路から外に出て外科医が該切開を結ぶことを可能にするように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2010年11月24日に出願された米国仮出願番号第61/416,764号の利益と優先権を主張するものであり、その全体の内容が本明細書に参照により援用されている。
【背景技術】
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して、内視鏡型または腹腔鏡型処置のような低侵襲性外科処置に使用するポートアセンブリに関し、より詳細には、アクセスデバイスを組織に解放可能に固定するための装置と方法に関する。
(関連技術の背景)
現在、患者に対する外傷と回復時間の両方を低減する目的で、多くの外科処置が、従来の処置に一般的に必要とされた大きな切開に比べて、皮膚における小さな切開を通して行なわれている。一般的に、そのような処置は、患者の腹腔で行なわれない限り(この場合、処置は「腹腔鏡敵」と言われる)、「内視鏡的」と言われる。本開示を通じて、用語「低侵襲性」は内視鏡処置および腹腔鏡処置の両方を包含すると理解されるべきである。
【0003】
一般の低侵襲性処置の間、外科用アクセスデバイス(例えば、トロカールおよびカニューレアセンブリ)または内視鏡のような外科用物体が、組織の切開を通して患者の体内に挿入される。一般に、患者の体内への外科用物体の導入に先立って、吹送ガス(例えば、CO)が使用されて目的外科部位を囲む領域を拡大し、より大きなよりアクセス可能な作業領域を生成する。よって、吹送ガスの漏れおよび拡大された外科部位の収縮または崩壊を防止するように、実質的に流体密封なシールの維持が望ましい。
【0004】
この目的のために、弁およびシールを有する様々なポートが低侵襲性処置の間に使用され、当該技術において広く公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外科医にとって比較的容易にまた不便が少なく下方に横たわる組織部位へのアクセス可能性を容易にするために、組織の切開に簡単にかつ解放可能に固定され得る外科用ポータル装置に対する継続するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されるのは、体腔内にアクセスシールを配備し固定するためのデバイスとそれらのデバイスを使用する方法である。
【0007】
開示される外科用アクセスデバイスは、ハウジングと、環と、複数の変形可能な部材とを含む。このハウジングは、近位端と遠位端とを画定し、その近位端と遠位端とを通って延びる複数の管腔を有する。複数の管腔は、外科用物体の密封された受け入れに適応され得る。環は第一の位置と第二の位置との間で再配置可能であり、第二の位置はハウジングの近位端に第一の位置より近い。各変形可能部材は、環に結合され、かつ遠位部分を画定する。各変形可能部材は、複数の管腔のうちの1つを通って移動可能である。複数の変形可能な部材は、環が第一の位置にある場合に後退した状態にあり、環が第二の位置にある場合に配備された状態にある。
【0008】
1つの実施形態において、複数の変形可能な部材の遠位部分は、配備状態にある場合に組織の内面に向かって巻かれており、組織の内面と接触するか組織の内面に埋め込まれ得る。複数の変形可能な部材の遠位部分は、後退状態にある場合に本質的に直線状であり、配備状態に向けて付勢され得る。複数の変形可能な部材は、例えば、ニチノールのような形状記憶材料から作られ得、また、ワイヤとして形成され得る。
【0009】
別の実施形態において、複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、変形可能な部材の遠位部分に取り付けられた鉤を含む。この鉤は、解放可能に取り付けられ得、また、生体吸収性材料から作られ得る。変形可能な部材のうちの1つ以上は、鉤に取り付けられた縫合糸も含み得、また、縫合糸を受け入れるための変形可能な部材を通る通路を画定する。
【0010】
外科用アクセスデバイスを組織の切開に固定する方法が開示される。この方法は、ハウジングと、環と、複数の変形可能な部材とを含む外科用アクセスデバイスを提供することを含む。ハウジングは、近位端と遠位端とを画定し、近位端と遠位端とを通って延びる複数の管腔を有する。環は、第一の位置と第二の位置との間で再配置可能であり、第二の位置は第一の位置よりもハウジングの近位端に近い。複数の変形可能な部材は、遠位部分を画定し、各変形可能な部材は環に結合され、複数の管腔のうちの1つを通って移動可能である。複数の変形可能な部材は、環が第一の位置にある場合に後退した状態にあり、環が第二の位置にある場合に配備された状態にある。
【0011】
方法は、外科用アクセスデバイスを組織の切開の中に挿入するステップと、環を第一の位置から第二の位置に作動するステップと、環を第二の位置から第一の位置に作動するステップとを含む。第一の位置から第二の位置への作動の間、複数の変形可能な材料は、後退した状態と配備された状態との間で移動される。第二の位置から第一の位置への作動の間、複数の変形可能な部材は、配備された状態と後退した状態との間で移動される。複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、変形可能な部材の遠位部分に解放可能に取り付けられた鉤も含む。縫合糸は鉤に取り付けられ得、複数の変形可能な部材のうちの1つは、縫合糸を受け入れるための変形可能な部材を通る通路を画定する。複数の変形可能な部材が後退した状態から配備された状態に移動する場合に、鉤は少なくとも部分的に組織の内面の中に埋め込まれ、複数の変形可能な部材が配備された状態から後退した状態に移動する場合には、鉤は少なくとも部分的に組織の内面の中に埋め込まれた状態に留まる。方法は、また、外科用アクセスデバイスを組織の切開から取り除くステップも含み得る。取り除きの間、鉤は少なくとも部分的に組織の内面の中に埋め込まれた状態に留まり、縫合糸が変形可能な部材のうちの1つ以上の通路から外に出て、外科医が切開を結ぶことを可能にする。
【0012】
この開示の様々な局面が、添付の図面と合わせて読まれる場合、以下の詳細な記載からより容易に理解されるであろう。
【0013】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
外科用アクセスデバイスであって、該外科用アクセスデバイスは、
近位端と遠位端とを画定するハウジングであって、該ハウジングは該ハウジングを通って延びる複数の管腔を有する、ハウジングと、
第一の位置と第二の位置との間で再配置可能な環であって、該第二の位置は、該第一の位置よりも該ハウジングの該近位端に近い、環と、
複数の変形可能な部材であって、該複数の変形可能な部材は、複数の変形可能な部材の遠位部分を画定し、各変形可能な部材は、該環に結合され、該複数の管腔のうちの1つを通って移動可能であり、該環が該第一の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は後退した状態にあり、該環が該第二の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は配備された状態にある、複数の変形可能な部材と
を備える、外科用アクセスデバイス。
(項目2)
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態にあるとき、組織の内面に向かって巻かれている、上記項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目3)
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態にあるとき、組織の内面に接触する、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目4)
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態にあるとき、組織の内面の中に埋め込まれる、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目5)
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記後退した状態にあるとき、本質的に直線状である、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目6)
前記複数の変形可能な部材の遠位部分は、前記配備された状態に向けて付勢されている、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目7)
前記複数の変形可能な部材は、ワイヤである、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目8)
前記複数の変形可能な部材は、形状記憶材料から作られる、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目9)
前記形状記憶材料はニチノールである、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目10)
前記複数の管腔のうちの1つ以上が外科用物体の密封された受け入れに適合される、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目11)
前記複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上の遠位部分に取り付けられた鉤を含む、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目12)
前記鉤は、解放可能に取り付けられている、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目13)
前記鉤は、生体吸収性である、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目14)
前記複数の変形可能な部材ののうちの1つ以上は、前記鉤に取り付けられた縫合糸を含む、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目15)
前記複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上を通る、前記縫合糸の受け入れのための通路を画定する、上記いずれかの項目に記載の外科用アクセスデバイス。
(項目16)
外科用アクセスデバイスを組織の切開に固定する方法であって、該方法は
外科用アクセスデバイスを提供するステップであって、該外科用アクセスデバイスは、
近位端と遠位端とを画定するハウジングであって、該ハウジングは該ハウジングを通って延びる複数の管腔を有する、ハウジングと、
第一の位置と第二の位置との間で再配置可能な環であって、該第二の位置は、該第一の位置よりも該ハウジングの該近位端に近い、環と、
複数の変形可能な部材であって、該複数の変形可能な部材は、複数の変形可能な部材の遠位部分を画定し、各変形可能な部材は、該環に結合され、該複数の管腔のうちの1つを通って移動可能であり、該環が該第一の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は後退した状態にあり、該環が該第二の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は配備された状態にある、複数の変形可能な部材と
を備える外科用アクセスデバイスを提供するステップと、
該外科用アクセスデバイスを組織の切開の中に挿入するステップと、
該環を該第一の位置から該第二の位置に作動するステップであって、それによって、該複数の変形可能な部材は、該後退した状態と該配備された状態との間で移動される、ステップと、
該環を該第二の位置から該第一の位置に作動するステップであって、それによって、該複数の変形可能な部材は、該配備された状態と該後退した状態との間で移動される、ステップと
を含む、方法。
(項目17)
前記複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上の遠位部分に取り付けられた鉤と、該鉤に取り付けられた縫合糸とを含み、該複数の変形可能な部材のうちの該1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの該1つ以上を通る、該縫合糸の受け入れのための通路を画定する、上記いずれかの項目に記載の方法。
(項目18)
前記複数の変形可能な部材が前記後退した状態から前記配備された状態に移動するとき、前記鉤は、少なくとも部分的に組織の内面の中に埋め込まれる、上記いずれかの項目に記載の方法。
(項目19)
前記複数の変形可能な部材が前記配備された状態から前記後退した状態に移動するとき、前記鉤は、組織の内面の中に少なくとも部分的に埋め込まれた状態に留まる、上記いずれかの項目に記載の方法。
(項目20)
前記外科用アクセスデバイスを前記組織の切開から取り除くステップであって、それによって、前記鉤は組織の内面の中に少なくとも部分的に埋め込まれた状態に留まり、前記縫合糸は前記変形可能な部材のうちの1つ以上の前記通路から外に出て外科医が該切開を結ぶことを可能にする、ステップをさらに含む、上記いずれかの項目に記載の方法。
(項目21)
外科用アクセスデバイスを組織の切開に固定するためのシステムであって、該システムは、
外科用アクセスデバイスであって、該外科用アクセスデバイスは、
近位端と遠位端とを画定するハウジングであって、該ハウジングは該ハウジングを通って延びる複数の管腔を有する、ハウジングと、
第一の位置と第二の位置との間で再配置可能な環であって、該第二の位置は、該第一の位置よりも該ハウジングの近位端に近い、環と、
複数の変形可能な部材であって、該複数の変形可能な部材は、複数の変形可能な部材の遠位部分を画定し、各変形可能な部材は、該環に結合され、該複数の管腔のうちの1つを通って移動可能であり、該環が該第一の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は後退した状態にあり、該環が該第二の位置にあるとき、該複数の変形可能な部材は配備された状態にある、複数の変形可能な部材と
を備える外科用アクセスデバイスを含み、
該外科用アクセスデバイスは組織の切開の中に挿入されるように構成されており、
該環は、該第一の位置から該第二の位置に作動されるように構成され、それによって、該複数の変形可能な部材は、該後退した状態と該配備された状態との間で移動されるように構成されており、
該環は、該第二の位置から該第一の位置に作動されるように構成され、それによって、該複数の変形可能な部材は、該配備された状態と該後退した状態との間で移動されるように構成されている、システム。
(項目22)
前記複数の変形可能な部材のうちの1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの1つ以上の遠位部分に取り付けられた鉤と、該鉤に取り付けられた縫合糸とを含み、該複数の変形可能な部材のうちの該1つ以上は、該複数の変形可能な部材のうちの該1つ以上を通る、該縫合糸の受け入れのための通路を画定する、上記項目に記載のシステム。
(項目23)
前記複数の変形可能な部材が前記後退した状態から前記配備された状態に移動するときに、前記鉤が少なくとも部分的に組織の内面の中に埋め込まれるように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目24)
前記複数の変形可能な部材が前記配備された状態から前記後退した状態に移動するときに、前記鉤が組織の内面の中に少なくとも部分的に埋め込まれた状態に留まるように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目25)
前記外科用アクセスデバイスは、前記組織の切開から取り除かれるように構成されており、それによって、前記鉤は組織の内面の中に少なくとも部分的に埋め込まれた状態に留まるように構成されており、前記縫合糸は前記変形可能な部材のうちの1つ以上の前記通路から外に出て外科医が該切開を結ぶことを可能にするように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(摘要)
外科用アクセスデバイスが開示され、この外科用アクセスデバイスは、ハウジングと、環と複数の変形可能な部材とを含む。ハウジングは、近位端と遠位端とを画定し、それらを通って延びる複数の管腔を有する。環は、第一の位置と第二の位置との間で再配置可能であり、第二の位置は、第一の位置よりも該ハウジングの近位端に近い。複数の変形可能な部材のそれぞれは、遠位部分を画定し、環に結合され、複数の管腔のうちの1つを通って移動可能である。複数の変形可能な部材は、環が第一の位置にある場合に後退した状態にあり、環が第二の位置にある場合に配備された状態にある。複数の変形可能な部材のうちの1つ以上が遠位部分に取り付けられた鉤を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の実施形態が、添付の図面を参照して記述される。それらの図面は、以下の図面である。
図1図1は、この開示の実施形態に従った外科用アクセスデバイスの透視図である。
図2図2は、図1の外科用アクセスデバイスの環の透視図である。
図3図3は、組織に挿入された場合の、図1の外科用アクセスデバイスの側面の断面図である。
図4図4は、組織に挿入された場合の、図1の外科用アクセスデバイスの側面の断面図であり、環が配備された状態である。
図5図5は、この開示の代替の実施形態に従った外科用アクセスデバイスの断面図である。
図5A図5Aは、図5の外科用アクセスデバイスの変形可能な部材の、配備された状態の場合の、拡大図であり、鉤が組織に埋め込まれた状態である。
図5B図5Bは、、図5の外科用アクセスデバイスの変形可能な部材の拡大図であり、鉤が取り外されて組織に埋め込まれた状態である。
図6図6は、図5の外科用アクセスデバイスの断面図であり、外科用アクセスデバイスが組織の切開から取り除かれた状態である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照して本明細書に記述される。同様な参照記号は同様なあるいは同等の要素を識別する。図面に示され以下の記載を通じて記述されるように、また、伝統的であるように、物体の相対的な位置に言及する場合、用語近位はデバイスの、ユーザに近い端を言い、用語遠位はデバイスの、ユーザからより遠い端を言う。デバイスは切開を通る用途として議論されるが、任意の天然のオリフィス(口、肛門、膣等)を通って使用され得ることが企図される。以下の記載において、不必要な詳細によって本開示を曖昧にすることを避けるため、周知の機能あるいは構造は詳細には記述されない。
【0016】
ここで、図1を参照すると、ハウジング20とアンカー30とを含む外科用アクセスデバイス10が開示されている。ハウジング20は近位端24および遠位端26を画定するが、複数の外科用管腔22と、近位端と遠位端を通って長手方向に延びる複数のアンカー管腔23とを含む。ハウジング20は、組織の切開の中への密封挿入に適合され、外科用管腔22は、外科手術を行なうために実質的に密封された態様で、外科用管腔22を通る外科用物体を受け入れるように適合され得る。外科用管腔22およびアンカー管腔23は、弁を通る吹送流体の損失を抑制するための、例えば、ダックビル弁、フラッパ弁または当該技術で公知の他の弁のような、密封弁を含み得る。
【0017】
ここで図2を参照すると、アンカー30は環32および環32に結合されそこから遠位に延びる複数の変形可能な部材34を含む。変形可能な部材34の遠位部分36は、示されるように、巻かれたあるいは湾曲した状態に付勢されている。変形可能な部材34は、アンカー管腔23を通る挿入に適合されている。アンカー管腔23は、実質的に密封された態様で、変形可能な部材34を受け入れるように適合されている。
【0018】
ここで図3および4を参照すると、アンカー30は第一の位置(図3)と第二の位置(図4)との間で、再配置可能である。第一の位置において、環32は、ハウジング20の近位端24から離間しており、変形可能な部材34の遠位部分36は、アンカー管腔23の中に後退している。変形可能な部材34の遠位部分36は、通常、巻いた状態あるいは湾曲した状態に向けて付勢されており(図2および4)、一方、後退している場合は、変形可能な部材34の遠位部分36は、本質的に直線状態に抑制されている(図1および3)。変形可能な部材34の遠位部分36のある部分は、アンカー30が第一の位置にある場合、代替として、アンカー管腔23から突き出得る。第二の位置において、環32はハウジング20の近位端24に近く、かつ、変形可能な部材34は、ハウジング20の遠位端26を過ぎて延びる。変形可能な部材34の遠位部分36は、アンカー管腔23から解放され、組織「T」の内壁に向けて巻くかあるいは湾曲することを可能にされる。変形可能な部材34の遠位部分36は、また、組織「T」の内壁に接触し得るか、あるいは、組織「T」の内壁に埋め込まれるようになり得る。変形可能な部材34は、例えば、ニチノールまたは形状記憶ポリマのような、形状記憶材料から作られ得る。変形可能な部材34は、また、ワイヤとして形成され得る。
【0019】
使用の間、ハウジング20は、組織「T」の切開の中に挿入され、環32が作動されてアンカー30を第一の位置(図3)から第二の位置(図4)に移動させる。環32の作動の間、変形可能な部材34は、アンカー管腔23を通って遠位に動く。変形可能な部材34の遠位部分36は、アンカー管腔23から出て、もはやアンカー管腔23によって抑制されてはいないので、組織「T」の内壁に向けて巻くかまたは湾曲して、外科手術の間、ハウジング20を使用のための正しい位置に固定する。外科手術が完了すると、環32が作動されアンカー30を第二の位置(図4)から第一の位置(図3)に移動する。変形可能な部材34の遠位部分36は、それらがアンカー管腔23の中に近位に後退して本質的に直線状態に抑制されるので、巻かれていない。ハウジング20は、もはや固定されておらず、切開から取り除かれ得る。
【0020】
ここで、図5、5Aおよび5Bを参照すると、本開示に従った外科用アクセスデバイス110の別の実施形態が例示されている。簡略の関心のために、本実施形態は前に記載した外科用アクセスデバイス10と外科用アクセスデバイス110との間の差異に焦点を当てる。外科用アクセスデバイス110は、上記のように、環132を有するアンカー130と複数の変形可能な部材134とを含む。この実施形態において、変形可能な部材134のうちの1つ以上が、遠位部分136に取り付けられた鉤あるいは複数の鉤138を含み得る。鉤138はまた、解放可能に変形可能な部材134に取り付けられ得る。鉤138は、少なくとも部分的に組織の内壁の中に埋め込まれた後に、変形可能な部材134から取り外され得、また、鉤138は、生体吸収性であり得る。変形可能な部材134は、また、それを通る縫合糸142の受け入れのための通路140を画定する。縫合糸142は、鉤138が変形可能な部材134から取り外される場合に、縫合糸142が鉤138に取り付けられたままで残るように、鉤138に取り付けられる。縫合糸が使用される場合、少なくとも2つの変形可能な部材134が、縫合糸142が取り付けられた鉤138を有し、切開を結ぶことを容易に、または閉じることを容易にすることが企図される。縫合糸142の全長は通路140に中に格納されて、外科用アクセスデバイス110が切開から取り除かれるとき引き出されるか、または、縫合糸が通路140を通って延びて通路140の近位開口部(示されない)の外に出る時ように延びている。
【0021】
使用の間、上に記載したようにおよび図5、5A、5Bおよび6に見られるように、環132が第一の位置から第二の位置に作動される場合、変形可能な部材134の遠位部分136は、アンカー管腔123から出て、もはやアンカー管腔123によって抑制されていないので、組織「T」の内壁に向けて巻くかまたは湾曲する。変形可能な部材134の遠位部分136が組織「T」の内壁と接触するとき、図5および5Aに見られるように、鉤138は少なくとも部分的に組織「T」の内壁の中に埋め込まれる。そして環132が第二の位置から第一の位置に作動され、変形可能な部材134の遠位部分136がアンカー管腔123の中に近位に後退され、それらが巻きを解かれるとき、鉤138が取り外され、図5Bに見られるように、組織「T」の内壁の中に埋め込まれた状態に留まる。縫合糸142は、鉤138に取り付けられたままで残り、通路140から外に延びる。外科用アクセスデバイス110が切開から取り除かれる場合、縫合糸142が通路140から出ることを可能にされ、切開を閉じるのに十分な長さの縫合糸を外科医に提供する(図6)。そして、縫合糸142は通路140から取り外され、外科医によって結ばれる。
【0022】
様々な変更が本明細書に記載された実施形態になされ得ることが理解されるであろう。従って、上の記載は限定として解釈されるべきではなく、単に特定の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は明細書に添付された特許請求の範囲の範囲と精神の中で、別の変形を想起するであろう。
【符号の説明】
【0023】
10 外科用アクセスデバイス
20 ハウジング
22 外科用管腔
23 アンカー管腔
24 近位端
26 遠位端
30 アンカー
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図5B
図6