特許第5826579号(P5826579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5826579電力変換装置のコモンモード電流を低減するための制御方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5826579
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】電力変換装置のコモンモード電流を低減するための制御方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20151112BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   H02M7/48 F
   H02M7/12 B
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-218952(P2011-218952)
(22)【出願日】2011年10月3日
(65)【公開番号】特開2012-80765(P2012-80765A)
(43)【公開日】2012年4月19日
【審査請求日】2014年4月21日
(31)【優先権主張番号】1057995
(32)【優先日】2010年10月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502363191
【氏名又は名称】シュネーデル、トウシバ、インベーター、ヨーロッパ、ソシエテ、パル、アクション、セプリフエ
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER TOSHIBA INVERTER EUROPE SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100153914
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 勝己
(72)【発明者】
【氏名】アルノー、ビデ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ロワゼル
(72)【発明者】
【氏名】モハメット、シアム
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−222421(JP,A)
【文献】 米国特許第06185115(US,B1)
【文献】 特開平11−355909(JP,A)
【文献】 特開2003−018853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置のコモンモード電流を低減するように意図された制御方法であって、
前記電力変換装置は、
複数の入力相(R、S、T)に接続された整流器段(1、1’)、及び、複数の出力相(U、V、W)に接続されたインバータ段(2、2’)と、
前記整流器段(1、1’)を前記インバータ段(2、2’)に連結し、且つ、各々に電位が印加される第1の電源ラインおよび第2の電源ラインを含むDC電源バスであって、前記整流器段(1、1’)及び前記インバータ段(2、2’)が各々、前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインに接続された少なくとも2つのスイッチング・アーム(10a、10b、10c、20a、20b、20c)を含む、DC電源バスと、
切替え時間の間、各入力相(R、S、T)を前記第1の電源ラインまたは前記第2の電源ラインに選択的に接続するための前記整流器段(1、1’)の第1の制御手段(3)と、
切替え時間の間、出力相(U、V、W)を前記第1の電源ラインまたは前記第2の電源ラインに選択的に接続するための前記インバータ段(2、2’)の第2の制御手段(4)と、を備え、
各切替え期間に、前記整流器段(1、1’)及び前記インバータ段(2、2’)は、入力相(R、S、T)に印加された電位の変化が出力相(U、V、W)に印加された同符号の電位の変化に常に対応するように、同期された方法で制御され
切替え期間に、前記インバータ段(2)の第1のスイッチング・アームによって生成されたパルスの立ち上がり電圧エッジ(FM)の発生が、前記整流器段の第1のスイッチング・アームによって生成されたパルスの立ち上がり電圧エッジ(FM)の発生と一致し、且つ、前記インバータ段(2)の前記第1のスイッチング・アームによって生成された前記パルスの立ち下がり電圧エッジ(FD)の発生が、前記整流器段(1)の第2のスイッチング・アームによって生成されたパルスの立ち下がり電圧エッジ(FD)の発生と一致することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記整流器段(1、1’)および前記インバータ段(2、2’)は、前記整流器段(1、1’)および前記インバータ段(2、2’)に加えられたパルス幅変調に対する作用によって、同期された方法で制御されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記整流器段(1、1’)および前記インバータ段(2、2’)は、決定規則に従うことによって同期された方法で制御され、各決定規則は、前記インバータ段および前記整流器段の各スイッチング・アームの前記切替え時間を考慮に入れていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
電力変換装置のコモンモード電流を低減するように意図された制御システムであって、
前記電力変換装置は、
複数の入力相(R、S、T)に接続された整流器段(1、1’)、及び、複数の出力相(U、V、W)に接続されたインバータ段(2、2’)と、
前記整流器段(1、1’)を前記インバータ段(2、2’)に連結し、且つ、各々に電位が印加される第1の電源ラインおよび第2の電源ラインを含むDC電源バスであって、前記整流器段(1、1’)及び前記インバータ段(2、2’)が各々、前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインに接続された少なくとも2つのスイッチング・アーム(10a、10b、10c、20a、20b、20c)を含む、DC電源バスと、
パルス幅変調を使用して各入力相(R、S、T)を前記第1の電源ラインまたは前記第2の電源ラインに選択的に接続する前記整流器段(1、1’)の第1の制御手段(3)と、
パルス幅変調を使用して出力相(U、V、W)を前記第1の電源ラインまたは前記第2の電源ラインに選択的に接続する前記インバータ段(2、2’)の第2の制御手段(4)と、を備え、
前記整流器段(1、1’)の前記第1の制御手段(3)および前記インバータ段(2、2’)の前記第2の制御手段(4)は、入力相(R、S、T)に印加された電位の変化が出力相(U、V、W)に印加された同符号の電位の変化に常に対応するように、同期され
切替え期間に、前記第1の制御手段および前記第2の制御手段は、前記インバータ段(2)の第1のスイッチング・アームによって生成されたパルスの立ち上がり電圧エッジ(FM)の発生が、前記整流器段の第1のスイッチング・アームによって生成されたパルスの立ち上がり電圧エッジ(FM)の発生と一致し、且つ、前記インバータ段(2)の前記第1のスイッチング・アームによって生成された前記パルスの立ち下がり電圧エッジ(FD)の発生が、前記整流器段(1)の第2のスイッチング・アームによって生成されたパルスの立ち下がり電圧エッジ(FD)の発生と一致するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項5】
前記第1の制御手段(3)および前記第2の制御手段(4)が、前記整流器段(1)および前記インバータ段(2)それぞれの前記スイッチング・アームによって発生される各電圧パルスを時間的にシフトすることができるように構成されることを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記整流器段(1、1’)および前記インバータ段(2、2’)が各々、各スイッチング・アームに2つのパワー・トランジスタ(100)を有する3つのスイッチング・アーム(10a、10b、10c、20a、20b、20c)を含むことを特徴とする請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記整流器段(1、1’)および前記インバータ段(2、2’)が同数の電位レベルを発生することができるように構成されることを特徴とする請求項からの一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記インバータ段(2,2’)がNPCタイプのものであることを特徴とする請求項からの一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置の電圧およびコモンモード電流を低減するための制御方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置は、主電源に接続された複数の入力相、例えば、3相主電源(mains supply)に接続される場合3つの入力相を備える。入力相に接続されて、従来の変換装置は、主電源によって供給されるAC電圧をDC電圧に変換するための整流器段を含む。変換装置は、正電位をもつ第1の電源ラインと負電位をもつ第2の電源ラインとを有しDC電圧が印加される電源バスと、第1の電源ラインと第2の電源ラインとの間に接続され、バス上でDC電圧を一定に保持するように意図されたバス・キャパシタと、をさらに備える。バス・キャパシタの下流に、可変速度駆動タイプの電力変換装置は、複数のスイッチング・アーム、通常3つのスイッチング・アームを有するインバータ段をさらに備え、各々のスイッチング・アームは電気負荷に接続される出力相に接続される。各スイッチング・アームはバスの第1の電源ラインと第2の電源ラインとの間に接続され、さらに、例えば2レベル変換装置の場合には、DC電圧を電気負荷用の可変電圧に変換するための2つの制御型パワー・トランジスタを備える。
【0003】
変換装置の入力部に配置された整流器段は、各々が例えば少なくとも2つのパワー・トランジスタを有する複数のスイッチング・アームをさらに備えることによる能動タイプのものとすることができる。これらのトランジスタは各々ゲート制御デバイスによって制御され、それにより主電源からのAC電圧を電源バスに印加されるDC電圧に変換することができる。入力部に能動整流器段をもつこのタイプの変換装置は、一般に「能動フロント・エンド」と呼ばれる。
【0004】
従来、整流器段およびインバータ段のパワー・スイッチの制御は、パルス幅変調(以下、PWM)によって生成される。インターセクティブ・タイプ(intersective type)のPWMは、対称または非対称三角搬送波を1つまたは複数のモジュラント(modulants)と比較することにある。インバータ段または整流器段のパワー・トランジスタでは、搬送波と1つまたは複数のモジュラントとの交差は、トランジスタが閉および開になるときの切替えの瞬間を規定する。
【0005】
インバータ段に印加されるスイッチング周波数が増加すると、コモンモード電流が増大し、このことはコモンモード電圧のdv/dt変化の密度の増加に起因することが知られている。発生されたコモンモード電流は、可変速度駆動装置と電気負荷との間で異なる経路を取ることがある。これらの経路は、可変速度駆動装置を電気負荷に連結するケーブルの導体間、モータおよび固定子の巻線間、または、パワー半導体と、接地に連結された放散器(dissipater)と、の間に発生する容量性結合によって生成される。可変速度駆動装置がインバータ段と能動整流器段とを備える場合、可変速度駆動装置の全コモンモード電圧は整流器段およびインバータ段によって与えられる外乱の和である。
【0006】
様々な解決策がコモンモード電流を低減するために開発されている。これらの解決策は、受動フィルタの追加、または、整流器段およびインバータ段の制御への作用を含み得る。
【0007】
文献、特開2003−018853は、例えば、整流器段の3つのパワー・スイッチ(ハイ又はロー)の閉(または開)の切替えを、インバータ段の3つの対応するスイッチ(それぞれハイ又はロー)の閉(または開)の切替えと同期させることによって可変速度駆動装置のコモンモード電流を低減する方法を提案している。この解決策により、コモンモード電流をフィルタ処理するのに使用されるフィルタのサイズを小さくし、したがって、変換装置のコストを低減することが可能になる。しかし、それは、可変速度駆動装置のコモンモード電流を十分に低減することができない。
【0008】
米国特許第6,185,115号は、さらに、整流器段の切替えをインバータ段の切替えと同期させ、それによりコモンモード電圧を低減させる方法を説明している。前に引用された文献の場合のように、この方法は可変速度駆動装置のコモンモード電圧を十分には低減することができないので、この方法は満足なものではない。実際には、提案された方法は、立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジにおいて、インバータ段の単一のスイッチング・アームの切替えを整流器段の単一のスイッチング・アームの切替えと同期させ、それにより、切替え期間の間、すべてのスイッチング・アームで単に12個の電圧エッジから8個の電圧エッジに変更するのを可能にすることにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、電力変換装置のコモンモード電圧および電流を著しく低減することを可能にする制御方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、
電力変換装置のコモンモード電流を低減するように意図された制御方法であって、
前記電力変換装置は、
− 複数の入力相に接続された整流器段、及び、複数の出力相に接続されたインバータ段と、
− 前記整流器段を前記インバータ段に連結し、且つ、各々に電位が印加される第1の電源ラインおよび第2の電源ラインを含むDC電源バスであって、
− 前記整流器段及び前記インバータ段が各々、前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインに接続された少なくとも2つのスイッチング・アームを含む、DC電源バスと、
− 切替え時間(switchover time)の間、各入力相を前記第1の電源ラインまたは前記第2の電源ラインに選択的に接続するための前記整流器段の第1の制御手段と、
− 切替え時間の間、出力相を前記第1の電源ラインまたは前記第2の電源ラインに選択的に接続するための前記インバータ段の第2の制御手段と、を備え、
− 各切替え期間(switching period)に、前記整流器段及び前記インバータ段は、入力相に印加された電位の変化が出力相に印加された同符号の電位の変化に常に対応するように、同期された方法で制御されることを特徴とする方法によって達成される。
【0011】
特定の特徴によれば、前記整流器段および前記インバータ段は、前記整流器段および前記インバータ段に加えられたパルス幅変調に対する作用(action)によって、同期された方法で制御される。
【0012】
別の特定の特徴によれば、前記整流器段および前記インバータ段は、決定規則に従うことによって同期された方法で制御され、各決定規則は、前記インバータ段および前記整流器段の各スイッチング・アームの前記切替え時間を考慮に入れている。
【0013】
本発明は、さらに、
電力変換装置のコモンモード電流を低減するように意図された制御システムであって、
前記電力変換装置は、
− 複数の入力相に接続された整流器段、及び、複数の出力相に接続されたインバータ段と、
− 前記整流器段を前記インバータ段に連結し、且つ、各々に電位が印加される第1の電源ラインおよび第2の電源ラインを含むDC電源バスであって、
− 前記整流器段及び前記インバータ段が各々、前記第1の電源ライン及び前記第2の電源ラインに接続された少なくとも2つのスイッチング・アームを含む、DC電源バスと、
− パルス幅変調を使用して各入力相を前記第1の電源ラインまたは前記第2の電源ラインに選択的に接続する前記整流器段の第1の制御手段と、
− パルス幅変調を使用して出力相を前記第1の電源ラインまたは前記第2の電源ラインに選択的に接続する前記インバータ段の第2の制御手段と、を備え、
− 前記整流器段の前記第1の制御手段および前記インバータ段の前記第2の制御手段は、入力相に印加された電位の変化が出力相に印加された同符号の電位の変化に常に対応するように、同期されることを特徴とするシステムに関する。
【0014】
特定の特徴によれば、整流器段およびインバータ段は各々、各スイッチング・アームに2つのパワー・トランジスタをもつ3つのスイッチング・アームを含む。
【0015】
別の特定の特徴によれば、整流器段およびインバータ段は、同数の電位レベルを発生することができるように構成される。
【0016】
別の特定の特徴によれば、インバータ段は、例えばNPCタイプのものである。
【0017】
他の特徴および利点は、例として与えられ添付図面によって示される実施形態を参照することによって、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】2レベル・インバータ段および能動整流器を備えた可変速度駆動タイプの電力変換装置を示す図である。
図2】NPC(中性点クランプ)タイプの3レベル・インバータ段およびウィーン・ブリッジ・タイプの3レベル能動整流器を備えた可変速度駆動タイプの電力変換装置を示す図である。
図3】整流器段のスイッチング・アームの制御とインバータ段のスイッチング・アームの制御との間の同期の原理を示す図である。
図4】本発明の制御方法で実施される例示的なアルゴリズムを機能図の形態で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び2を参照すると、既知のように、例えば可変速度駆動タイプの電力変換装置は、整流器段1,1’と、DC電源バスと、インバータ段2,2’と、を備える。異なる電力変換装置の構成が可能である。本発明は、能動整流器段を備える電力変換装置にとりわけ適合する。
【0020】
図1は、例えば、能動整流器段1を備えた2レベル可変速度駆動装置を示す。図2は、例えば、NPC(中性点クランプ(Neutral Point Clamped))タイプのインバータ段2’と、ウィーン・ブリッジ・タイプの能動整流器段1’と、を使用する3レベル可変速度駆動装置を示す。フライング・キャパシタをもつインバータ段を使用するなどの他の構成が可能である。
【0021】
図1を参照すると、整流器段1は、ACインダクタンス(図示せず)を介して主電源に、例えば、3相整流器段1では3つの入力相R、S、Tで接続される。通常、可変速度駆動装置では、整流器段はダイオード・ブリッジからなる。しかし、整流器段1は、さらに、同様に制御される1つまたは複数のスイッチング・アーム10a、10b、10cを含むことによって能動タイプのものとすることができる。したがって、整流器段1は、主電源から取り込んだ電流を制御し、且つ、主電源によって供給されたAC電圧をDC電源バスに印加されるDC電圧に変換するように制御される。3相主電源では、整流器段1は、各々がACインダクタンスを通して3相主電源の3つの入力相R、S、Tのうちの1つに接続される3つのスイッチング・アーム10a、10b、10cを含む。従来の構成では、各スイッチング・アームは、例えばIGBTまたはJFETタイプの、例えば2つのパワー・トランジスタ100と、2つのトランジスタ間に位置し、且つ、入力相R、S、Tに接続される接続中点Ma、Mb、Mcと、を含む。DC電源バスは整流器段1をインバータ段2に連結する。それは、正電位V+をもつ電源ラインと、負電位V−をもつ電源ラインと、を含む。少なくとも1つのバス・キャパシタCbusは、バスの2つの電源ラインの各々に接続されると共にバスの電圧を一定値に保持する。
【0022】
図1では、インバータ段2は、バス・キャパシタCbusの下流でDC電源バスに接続される。それは、電気負荷Cに連結される出力相U、V、Wに各々が接続された複数の同様なスイッチング・アーム20a、20b、20cを含む。したがって、3相モードで動作する電気負荷Cでは、インバータ段2は3つのスイッチング・アーム20a、20b、20cを含む。従来の構成(図1)のインバータ段2では、各スイッチング・アーム20a、20b、20cは、2つのパワー・トランジスタ200と、2つのトランジスタ間に位置し、且つ、電気負荷に接続される接続中点Pa、Pb、Pcと、を含む。
【0023】
図1と同様の構成で、図2の可変速度駆動装置は、ウィーン・ブリッジ・タイプの3レベル能動整流器段1’と、NPCタイプの3レベル・インバータ段2’と、を含む。その上、DC電源バスは、複数のバス・キャパシタCbus1、Cbus2と、中間電位をもつ1つまたは複数の電源ラインと、を含む。このよく知られたトポロジーは本出願では詳細には説明されないが、以下で説明されるような本発明はそのトポロジー及び他のトポロジーに完全に適用することができることが理解されるべきである。
【0024】
可変速度駆動装置は、さらに、整流器段1、1’のスイッチング・アームの各々の切替えを制御するための第1の制御手段3と、インバータ段2、2’のスイッチング・アームの各々の切替えを制御するための第2の制御手段4と、を含む。スイッチング・アームのパワー・トランジスタの切替えごとに、第1または第2の制御手段3、4は、整流器段1、1’およびインバータ段2、2’の各トランジスタの切替えの瞬間を規定するのを可能にするパルス幅変調(PWM)による制御を使用する。PWMによる従来の制御はインターセクティブ・タイプのものであり、対称または非対称三角搬送波を1つまたは複数のモジュラントと比較することを必要とする。搬送波と1つまたは複数のモジュラントとの間の交差が、パワー・トランジスタの閉および開の切替えの瞬間を規定する。
【0025】
本発明によれば、第1の制御手段および第2の制御手段は共有されてもよく、整流器段1、1’の制御およびインバータ段2、2’の制御の両方を管理する共通のマイクロプロセッサを含んでもよい。
【0026】
本発明の制御方法は、整流器段1、1’およびインバータ段2、2’に同数のスイッチング・アーム、例えば3つのスイッチング・アームを含み、各アームが少なくとも2つのパワー・トランジスタを含む変換装置に適用される。優先的には、整流器段1、1’のレベルの数はインバータ段2、2’のレベルの数に等しい。したがって、図1では、2レベル整流器段1は従来の2レベル・インバータ段2に関連づけられる。同様に、図2では、「ウィーン」タイプの3レベル整流器段1’はNPCタイプの3レベル・インバータ段2’に関連づけられる。
【0027】
以下、説明では、図1に示されるような従来の2レベル可変速度駆動装置の場合に焦点を置くことになる。
【0028】
本発明の目的は、能動整流器段1およびインバータ段2を含む、例えば、可変速度駆動タイプの電力変換装置のコモンモード電流を、著しく低減させることである。
【0029】
この可変速度駆動装置の構造は、実際には、インバータ段2および整流器段1の切替えの存在に関連するコモンモード電圧の2つの供給源を有する。切り替えることによって、インバータ段2はVmcinvと呼ばれるコモンモード電圧を発生し、整流器段1はコモンモード電圧Vmcrecを発生し、これらは以下の関係によって定義される。
【数1】
【0030】
ここで、
− VU0、VV0、VW0は、DC電源バスの下部ポイント(O)に基準を置いたインバータ段の出力相U、V、Wの単一の電圧に対応し、
− VR0、VS0、VT0は、DC電源バスの下部ポイント(O)に基準を置いた整流器段の各アームの単一の電圧に対応する。
【0031】
可変速度駆動装置の全コモンモード電圧は整流器段1およびインバータ段2によって与えられる外乱の和に等しい。整流器段1およびインバータ段2によって発生されたコモンモード電圧は反対符号を有するので、可変速度駆動装置で発生される全コモンモード電圧を表わす以下の関係が得られる。
【数2】
【0032】
整流器段1およびインバータ段2が、同じスイッチング周波数で切り替わると仮定すると、したがって、能動整流器をもつ可変速度駆動装置は、従来の可変速度駆動装置に比べて2倍のコモンモード電圧の変化を発生する。
【0033】
したがって、本発明の原理は、インバータ段2によって発生されたコモンモード電圧を整流器段1によって発生されたコモンモード電圧に対して、または逆に、オフセットすることである。
【0034】
このために、本発明の制御方法は、入力相R、S、Tに印加された電位の変化(=立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジ)が、出力相U、V、Wに印加された同符号の電位の変化(=立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジ)に常に対応するように、同期された方法(時間的に同期された)でインバータ段2および整流器段1を制御することにある。このために、したがって、整流器段1に専用の第1の制御手段3は、インバータ段2に専用の第2の制御手段4と同期されなければならない。
【0035】
したがって、理論上、それは、整流器段1のスイッチング・アームの切替えによって生成された立ち上がり電圧エッジFMまたは立ち下がり電圧エッジFDの発生が、インバータ段2のスイッチング・アームの切替えによって生成された立ち上がり電圧エッジFMおよびそれぞれ立ち下がり電圧エッジFDの発生と一致するように、整流器段1とインバータ段2との間で二重の切替え(double switchovers)を実施することを含む。より具体的には、インバータ段2のスイッチング・アームのパルスに対して、このパルスの立ち上がり電圧エッジの発生は、整流器段のスイッチング・アームによって発生されたパルスの立ち上がり電圧エッジの発生と一致し、且つ、したがって、このパルスの立ち下がり電圧エッジの発生は、整流器段の別のスイッチング・アームによって発生された別のパルスの立ち下がり電圧エッジの発生と一致する。したがって、インバータ段のスイッチング・アームによって生成された2つのエッジ(立ち上がり及び立ち下がり)の同期は、整流器段の2つの異なるスイッチング・アームにより行われる。明らかに、同じ論法が、整流器段1からのパルスから開始するのに適用される。したがって、このようにして、図4に関連して以下で説明されるもののような決定された選択規則に従うことによって、すべての切替えの全体の同期を生成することが可能となる。
【0036】
したがって、このことの結果は、整流器段1のアームの切替えによって発生されたコモンモード電圧と、インバータ段2のアームの切替えによって発生されたコモンモード電圧と、が相殺されることである。
【0037】
全体の同期を生成するために、第1および第2の制御手段3、4は、整流器段1およびインバータ段2それぞれのスイッチング・アームによって発生される各電圧パルスを時間的にシフトすることができるように構成される。
【0038】
インバータ段(図3のINV)と整流器段(図3のREC)との間の全体の同期の一例が図3に示される。この図3では、整流器段1のスイッチング・アーム10a、10b、10cの制御によって発生された各立ち上がり電圧エッジFMは、インバータ段2のスイッチング・アーム20a、20b、20cの制御によって生成された立ち上がり電圧エッジFMの発生と時間的に同期される。同様に、整流器段1のスイッチング・アーム10a、10b、10cの制御によって発生された各立ち下がり電圧エッジFDは、インバータ段2のスイッチング・アーム20a、20b、20cの制御によって生成された立ち下がり電圧エッジFDの発生と時間的に同期される。
【0039】
そのような全体の同期を達成するのを可能にする例示的なアルゴリズムが図4に示される。
【0040】
このアルゴリズムは、制御手段3、4によって実施される複数の連続したステップを含む。
【0041】
※最初の比較ステップEは、整流器段1に印加されるべき最長パルスMaxRecがインバータ段2に印加されるべき最長パルスMaxInvよりも長いかどうかを決定することにある。
【0042】
※長くない場合、
⇒インバータ段2に印加されるべき最長パルスMaxInvの立ち下がり電圧エッジFDが、整流器段1に印加されるべき最長パルスMaxRecの立ち下がり電圧エッジFDと同期される(E0)。
【0043】
⇒インバータ段2に印加されるべき中間期間のパルスIntInvが、整流器段1に印加されるべき中間期間のパルスIntRecよりも長い場合(E1):
・整流器段1に印加されるべき最長パルスMaxRecに対応する立ち上がり電圧エッジFMは、インバータ段2に印加されるべき中間期間のパルスIntInvの立ち上がり電圧エッジFMと同期され(E10)、
・インバータ段2に印加されるべき中間期間のパルスIntInvの立ち下がり電圧エッジFDは、整流器段1に印加されるべき中間期間のパルスIntRecの立ち下がりエッジFDと同期され(E11)、
・整流器段に印加されるべき中間期間のパルスIntRecの立ち上がり電圧エッジFMは、インバータ段2に印加されるべき最短期間のパルスMinInvの立ち上がり電圧エッジFMと同期され(E12)、
・インバータ段2に印加されるべき最短パルスMinInvの立ち下がり電圧エッジFDは、整流器段に印加されるべき最短パルスMinRecの立ち下がり電圧エッジFDと同期され(E13)、
・整流器段1に印加されるべき最短パルスMinRecの立ち上がり電圧エッジFMは、インバータ段2に印加されるべき最長パルスMaxInvのパルスの立ち上がり電圧エッジFMと同期される(E14)。
【0044】
⇒インバータ段に印加されるべき中間期間のパルスIntInvが整流器段1に印加されるべき中間期間のパルスIntRecよりも短い場合(E1):
・整流器段に印加されるべき最長パルスMaxRecの立ち上がり電圧エッジFMは、インバータ段に印加されるべき最短パルスMinInvの立ち上がり電圧エッジFMと同期され(E100)、
・インバータ段に印加されるべき最短パルスMinInvの立ち下がり電圧エッジFDは、整流器段に印加されるべき最短パルスMinRecの立ち下がり電圧エッジFDと同期され(E101)、
・整流器段1に印加されるべき最短パルスMinRecの立ち上がり電圧エッジFMは、インバータ段に印加されるべき中間期間のパルスIntInvの立ち上がり電圧エッジFMと同期され(E102)、
・インバータ段2に印加されるべき中間期間のパルスIntInvの立ち下がり電圧エッジFDは、整流器段に印加されるべき中間期間のパルスIntRecの立ち下がり電圧エッジFDと同期され(E103)、
・整流器段1に印加されるべき中間期間のパルスIntRecの立ち上がり電圧エッジFMは、インバータ段に印加されるべき最長パルスMaxInvの立ち上がり電圧エッジFMと同期される(E104)。
【0045】
※yesの場合、
⇒整流器段1に印加されるべき最長パルスMaxRecの立ち下がり電圧エッジFDは、インバータ段2に印加されるべき最長パルスMaxInvの立ち下がり電圧エッジFDと同期される(E00)。
【0046】
⇒整流器段1に印加されるべき中間期間のパルスIntRecが、インバータ段2に印加されるべき中間期間のパルスIntInvよりも長い場合(E2):
・インバータ・モジュール2に印加されるべき最長パルスMacInvの立ち上がり電圧エッジFMは、整流器モジュールに印加されるべき中間期間のパルスIntRecの立ち上がり電圧エッジFMと同期され(E20)、
・整流器モジュールに印加されるべき中間期間のパルスIntRecの立ち下がり電圧エッジFDは、インバータ・モジュール2に印加されるべき中間期間のパルスIntInvの立ち下がり電圧エッジFDと同期され(E21)、
・インバータ・モジュール2に印加されるべき中間期間のパルスIntInvの立ち上がり電圧エッジFMは、整流器モジュールに印加されるべき最短パルスMinRecの立ち上がり電圧エッジFMと同期され(E22)、
・整流器モジュールに印加されるべき最短パルスMinRecの立ち下がり電圧エッジFDは、インバータ・モジュールに印加されるべき最短パルスMinInvの立ち下がり電圧エッジFDと同期され(E23)、
・インバータ・モジュールに印加されるべき最短パルスMinInvの立ち上がり電圧エッジFMは、整流器モジュールに印加されるべき最長パルスMaxRecの立ち上がり電圧エッジFMと同期される(E24)。
【0047】
⇒整流器段に印加されるべき中間期間のパルスIntRecが、インバータ段に印加されるべき中間期間のパルスIntInvよりも短い場合(E2):
・インバータ段に印加されるべき最長パルスMaxInvの立ち上がり電圧エッジFMは、整流器モジュールに印加されるべき最短パルスMinRecの立ち上がり電圧エッジFMと同期され(E200)、
・整流器モジュールに印加されるべき最短パルスMinRecの立ち下がり電圧エッジFDは、インバータ・モジュールに印加されるべき最短パルスMinInvの立ち下がり電圧エッジFDと同期され(E201)、
・インバータ・モジュールに印加されるべき最短パルスMinInvの立ち上がり電圧エッジFMは、整流器モジュールに印加されるべき中間期間のパルスIntRecの立ち上がり電圧エッジFMと同期され(E202)、
・整流器モジュールに印加されるべき中間期間のパルスIntRecの立ち下がり電圧エッジFDは、インバータ・モジュールに印加されるべき中間期間のパルスIntInvの立ち下がり電圧エッジFDと同期され(E203)、
・インバータ・モジュール2に印加されるべき中間期間のパルスIntInvの立ち上がり電圧エッジFMは、整流器段に印加されるべき最長パルスMaxRecの立ち上がり電圧エッジFMと同期される(E204)。
【0048】
本発明によれば、図3および4に関連して上記で説明されたような整流器段1とインバータ段2との間の全体の同期は、切替え期間ごとに達成され得ると共に系統的に動作し、最後の2つの立ち上がり電圧エッジは自動的に同期される。このことは、特に、整流器段1に印加されるパルスの幅の和がインバータ段2に印加されるパルスの幅の和と等しいということによって、及び、整流器部分においてはパルス幅が加えられ(図3の右への方向)、その一方、インバータ部分においてはパルス幅が差し引かれる(図3の左の方に)ということによって、説明される。
【0049】
明らかに、本発明の枠組みから逸脱することなく、細部の他の変形および改良を考案し、同様に、均等手段の使用を考慮することが可能である。
図1
図2
図3
図4