特許第5827056号(P5827056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5827056
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】冷暖房装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20151112BHJP
【FI】
   F24F1/00 331
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-160830(P2011-160830)
(22)【出願日】2011年7月22日
(65)【公開番号】特開2013-24495(P2013-24495A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 清二
(72)【発明者】
【氏名】大和瀬 靖司
(72)【発明者】
【氏名】清水 保夫
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−098217(JP,U)
【文献】 特開平10−213330(JP,A)
【文献】 実開昭57−058817(JP,U)
【文献】 特開2000−274730(JP,A)
【文献】 実開平01−091861(JP,U)
【文献】 特開平11−006656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンを有し、前記ファンの回転によって空気を吸い込む吸込部と、
前記吸込部の下流側に設けられ、前記吸込部から吸込まれた空気を吹き出す吹出部と、
前記吸込部と前記吹出部との間の流路に出し入れ可能に配置され、冷熱または温熱を蓄える潜熱蓄熱材が収容された複数の蓄熱材収容器から構成されている蓄熱部と、
前記蓄熱部に向けて散水を行う散水部と、前記散水部から前記蓄熱部に向けて散水された水を回収して貯留するタンクと、前記タンクに貯留された水を前記散水部に供給するポンプとを有する水循環部と、を備え、
前記蓄熱部の外面には、前記散水部から前記蓄熱部に散水された水を吸い取る吸水マットが取付けられ、
前記流路の空気は、前記蓄熱部の潜熱および前記蓄熱部に向けて散水された水と前記蓄熱部と熱交換によって温度が調節可能であり、
前記蓄熱材収容器は、合成樹脂製の蓋付きの空の容器を使用する、
ことを特徴とする冷暖房装置。
【請求項2】
前記吸込部から吸込まれた空気が、前記蓄熱部を通過せずに前記吹出部へと流れるバイパス流路が流量調節自在に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の冷暖房装置。
【請求項3】
前記吸込口と前記ファンとは、離間して配設され、前記吸込口と前記ファンとの間の流路が屈曲している、ことを特徴とする請求項1または2に記載の冷暖房装置。
【請求項4】
前記蓄熱部には、前記蓄熱材収容器を出し入れするための開閉部が形成され、前記吸水マットは、前記開閉部側から奥行き方向に配設された前記蓄熱材収容器間には配設されていない、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の冷暖房装置。
【請求項5】
前記散水部は、前記蓄熱部の上方に設けられ、
前記散水部の下方及び前記蓄熱部の上方には、前記吸込部から吸い込まれた空気および前記散水部から散水された水が通過可能なフィルタが設けられている、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の冷暖房装置。
【請求項6】
前記蓄熱部の複数の蓄熱材収容器は、飲料用容器から構成されている、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の冷暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸込部と吹出部との間の流路に出し入れ可能に配置された潜熱蓄熱材を使用した冷暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エア・コンディショナなどの空気調和設備は、電力を使用してコイルやヒーターなどの温調器を制御して、空気を調温する。このため、外気温と設定温度との差が大となる夏季や冬季は、温調器の制御に使用する電力が大となる。
【0003】
そこで、氷蓄熱槽からの冷水を散水する仮設用冷房装置に関する技術(例えば、特許文献1参照。)や、湿式交換器で熱交換部を構成した室内空気調和装置に関する技術(例えば、特許文献2参照。)が知られている。特許文献1の技術は、氷蓄熱槽と、キャピラリーワッシャーとを有し、氷蓄熱槽からの冷水をキャピラリーワッシャーの上部に送水してこれに散水するものである。特許文献2の技術は、機筐内を流れる気流に平行な間隙を存して併設した複数枚の板状含水材を、調温装置により適温とした水で濡らした湿式熱交換器で、熱交換部を構成したものである。
【0004】
また、雪氷貯溜型熱交換器を使用した雪氷貯溜型冷房装置に関する技術(例えば、特許文献3参照。)や、冷熱源雪氷のセイロ収納による冷房装置の構成方法に関する技術(例えば、特許文献4参照。)が知られている。特許文献3の技術は、取風口に送風機をつなぎ吸引運転することで、吸風口より吸い込まれた風は、貯溜雪氷に加工された通風孔を通過することで冷却され、涼風となって取風口より送風機へと流れるものである。特許文献4の技術は、冷熱源雪氷は、専用の収納セイロを仕立てこれに充填して通風孔を加工し、冷熱源ユニットとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−240330号公報
【特許文献2】特許第2923765号公報
【特許文献3】特開2000−121101号公報
【特許文献4】特開2000−230763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1ないし4に記載されたいずれの技術も、冷房のみに対応するものであって、暖房はできないという問題がある。また、特許文献1は、散水箇所に向けて室内空気が送気されるだけなので、冷房効果が十分でなく、特許文献2では、調温装置はコンプレッサを用いたヒートポンプ方式を採用しているので、構成が比較的複雑となり製造コストが高くなるという問題がある。さらに、特許文献3および4の冷房技術は、雪氷を利用して冷房を行うので、雪氷を確保できない場合は実施が困難となる。
【0007】
この発明は、前記の課題を解決し、コイル、ヒーター、ヒートポンプなどの調温器を用いることなく、簡易な構成で十分な冷房または暖房を行うことが可能な冷暖房装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、ファンを有し、前記ファンの回転によって空気を吸い込む吸込部と、前記吸込部の下流側に設けられ、前記吸込部から吸込まれた空気を吹き出す吹出部と、前記吸込部と前記吹出部との間の流路に出し入れ可能に配置され、冷熱または温熱を蓄える潜熱蓄熱材が収容された複数の蓄熱材収容器から構成されている蓄熱部と、前記蓄熱部に向けて散水を行う散水部と、前記散水部から前記蓄熱部に向けて散水された水を回収して貯留するタンクと、前記タンクに貯留された水を前記散水部に供給するポンプとを有する水循環部と、を備え、前記蓄熱部の外面には、前記散水部から前記蓄熱部に散水された水を吸い取る吸水マットが取付けられ、前記流路の空気は、前記蓄熱部の潜熱および前記蓄熱部に向けて散水された水と前記蓄熱部と熱交換によって温度が調節可能であり、前記蓄熱材収容器は、合成樹脂製の蓋付きの空の容器を使用する、ことを特徴とする冷暖房装置である。
【0009】
この発明によれば、吸込部から吸い込まれた空気は、散水部から散水される水と潜熱蓄熱材との熱交換によって温度が調節されて、吹出部から吹き出される。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の冷暖房装置において、前記吸込部から吸込まれた空気が、前記蓄熱部を通過せずに前記吹出部へと流れるバイパス流路が流量調節自在に形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の冷暖房装置において、前記吸込口と前記ファンとは、離間して配設され、前記吸込口と前記ファンとの間の流路が屈曲している、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の冷暖房装置において、前記蓄熱部には、前記蓄熱材収容器を出し入れするための開閉部が形成され、前記吸水マットは、前記開閉部側から奥行き方向に配設された前記蓄熱材収容器間には配設されていない、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の冷暖房装置において、前記散水部は、前記蓄熱部の上方に設けられ、前記散水部の下方及び前記蓄熱部の上方には、前記吸込部から吸い込まれた空気および前記散水部から散水された水が通過可能なフィルタが設けられている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の冷暖房装置において、前記蓄熱部の複数の蓄熱材収容器は、飲料用容器から構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、吸込部から吸い込まれた空気は、散水された水と潜熱蓄熱材との熱交換によって温度が調節されるので、空気の冷却または加熱にコイルやヒーターなどが不要となり、簡易な構成で十分な冷房または暖房を行うことができる。つまり、吸込部のファンによって空気を吸い込むだけで、空気の温度を調節することができるため、電力を使用して温調器を制御する必要がなく、消費電力を抑制できる。また、温度の調節は、散水と潜熱蓄熱材との両方によって行われるので、効率的に温度を調節可能である。さらに、潜熱蓄熱材が、固体から液体、または、液体から固体へと相転移する際に吸収する融解熱または凝固熱によって、流路の空気よび蓄熱部に向けて散水された水の温度を低下または上昇させることができる。つまり、電力を使用せずに、温度調節が可能である。その上、散水部から蓄熱部に散水された水を吸い取る吸水マットが取付けられているので、蓄熱部の熱容量が大となり、蓄熱部との熱交換を促進することができ、熱交換効率を高めることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、吸込口から吸い込んだ空気を、バイパス流路によって蓄熱部を通過しないようにすることができ、蓄熱部に流入する空気の流量を調節できるので、蓄熱部の温度調節機能を長寿命化することが可能である。また、バイパス流路に流れる空気の流量を調節することにより、吹出口から吹き出す空気の温度調節が可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、吸込口とファンとは、離間して配設され、吸込口とファンとの間の流路が屈曲しているため、ファンで発生した騒音が吸込口に到達するまでの間に、気流方向変換の過程で騒音を十分に吸収することが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、吸水マットは、開閉部側から奥行き方向に配設された蓄熱材収容器間には配設されていないため、蓄熱材収容器の出し入れが容易である。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、散水部は、蓄熱部の上方に設けられ、散水部の下方及び蓄熱部の上方に、吸込部から吸い込まれた空気および散水部から散水された水が通過可能なフィルタが設けられているので、吸込部からの流入した空気や水に混在している異物を捕捉することができる。また、フィルタによって、散水部からの蓄熱部への散水を均一に行うことができるので、熱交換効率をさらに高めることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、蓄熱部の複数の蓄熱材収容器は、潜熱蓄熱材としての水を収容する複数の飲料用容器から構成されているので、飲用後の飲料用容器を利用することで、蓄熱部の製作コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態1に係る冷暖房装置の斜視図である。
図2図1の冷暖房装置のA−A断面図である。
図3図1の冷暖房装置のB−B断面図である。
図4図1の冷暖房装置のC−C断面図である。
図5図5の冷暖房装置の側面図である。
図6】この発明の実施の形態2に係る冷暖房装置の斜視図である。
図7図6の冷暖房装置のD−D断面図である。
図8図6の冷暖房装置のE−E断面図である。
図9】この発明の実施の形態3に係る冷暖房装置のE−E断面図である。
図10】この発明の他の実施の形態に係る冷暖房装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1ないし図5は、この発明の実施の形態1を示している。冷暖房装置1は、図1および図2に示すように、主として、吸込部2と、吹出部3と、蓄熱部4と、水循環部5と、これらを収容している筺体7とを有している。この冷暖房装置1は、住宅内の部屋や事務室などの屋内の床面に設置され、図1に示すように、筺体7の下側にキャスタ73a〜73dを有し、床面を移動可能となっている。
【0024】
筺体7は、図2ないし図4に示すように、本体部71と、本体部71の内面に配設された仕切り壁72a、72b、72eとを有している。本体部71は、防錆加工が施された金属、または、強化プラスチックなどの合成樹脂などで略直方体に形成されている。上部仕切り板72aと下部仕切り板72bとは、金網などの網状部材や格子状部材で板状に形成され、前面仕切り板72eは、防錆加工が施された金属、または、強化プラスチックなどの合成樹脂などで板状に形成されている。
【0025】
上部仕切り板72aは、本体部71の上面71aから所定距離だけ下方に離れて略平行に配設され、下部仕切り板72bは、底面71bから所定距離だけ上方に離れて略平行に配設されている。前面仕切り板72eは、前面71eから所定距離だけ離れ、下部仕切り板72bから上面71aまで略垂直に延びている。図3に示すように、上部仕切り板72aと下部仕切り板72bとの間に、空間部S0が形成され、上部仕切り板72aの上方に、第1の空間部S1が形成され、下部仕切り板72bの下方に、第2の空間部S2が形成され、前面仕切り板72eと前面71eとの間に、第3の空間部S3が形成されている。そして、空間部S0には、蓄熱部4が配設されており、第1の空間部S1には、散水部51が配設されている。また、第2の空間部S2には、タンクとしてのドレンパン52が配設されている。また、第3の空間部S3は、第2の空間部S2を通過した空気Kが吹出部3へ向かって流れる流路となっている。
【0026】
さらにまた、本体部71の側面71c側には、蓄熱材収容器としての飲料用容器41およびドレンパン52を収容したり、取り出したりするための2つの開口(図示略)が形成されている。
【0027】
開閉部8は、側面71c側に形成された開口を着脱自在に覆うものであり、図5に示すように、第1のカバー部81と、第1のバンド82と、第2のカバー部83と、第2のバンド84とを有している。第1のカバー部81は、飲料用容器41の取出口としての開口を覆うものであり、本体部71と同材料で構成されている。第1のバンド82は、帯状で、ゴムなどの弾性材料で構成されている。第1のカバー部81は、第1のバンド82によって本体部71側に押圧されて、固定されており、第1のバンド82を緩めることによって第1のカバー部81は本体部71から取り外し可能となっている。第2のカバー部83は、ドレンパン52の取出口としての開口を覆うものであり、本体部71と同材料で構成されている。第2のバンド84は、第1のバンド82と同様に構成されている。第2のカバー部83は、第2のバンド84によって本体部71側に押圧されて、固定されており、第2のバンド84を緩めることによって第2のカバー部83は本体部71から取り外し可能となっている。
【0028】
吸込部2は、図1および図2に示すように、筺体7の上面71aに配設され、ファン21を有し、ファン21の回転によって空気Kを吸い込むものである。ファン21は、商用電源からの電力によって駆動するモータ(図示略)を備え、制御盤1Cを介して回転速度(吸込流量)を調節可能となっている。また、吸込部2は、折畳まれた蛇腹状の方向可変ダクト22と、方向可変ダクト22の先端側に配設された開口部23と、を有している。この方向可変ダクト22を変形させて開口部23の向きを変えることによって、空気Kを吸い込む方向を変えることができる。また、開口部23を人のいない方向に向けることによって、ファン21の駆動音、回転音などの騒音が、室内に伝播することを防止できる。
【0029】
吹出部3は、図1図3に示すように、筺体7の前面71eに配設され、吸込部2の下流側に設けられ、吸込部2から吸込まれた空気Kを吹き出すものであり、上部吹出部31と、下部吹出部32とを有している。上部吹出部31は、前面71eの上部に配設され、羽根およびシャッタを有し、気流の方向、到達距離や風量を調節自在となっており、図1においては、上部吹出部31は、開状態となっている。下部吹出部32は、前面71eの下部に配設され、上部吹出部31と同様に構成されており、図1においては、下部吹出部32は、閉状態となっている。つまり、例えば、冷房時は、上部吹出部31を開状態とし、下部吹出部32を閉状態として室内の上部に冷気を吹き出し、暖房時は、下部吹出部32を開状態とし、上部吹出部31を閉状態として室内の下部に暖気を吹き出すようにする。
【0030】
蓄熱部4は、図1ないし図4に示すように、吸込部2と吹出部3との間の空気Kの流路(空間部S0)に出し入れ可能に配置されている。この実施の形態では、蓄熱部4は、潜熱蓄熱材としての水W2と、この水W2を収容する複数の飲料用容器41から構成されている。蓄熱部4は、冷房時は凝固させた潜熱蓄熱材である水W2の融解熱を利用し、暖房時は略40℃で相転移(凝固)する潜熱蓄熱材の凝固熱を利用するようになっている。蓄熱部4の外面(外周)側には、散水部5から蓄熱部4に散水された水W1を吸い取る吸水マット421〜426が取付けられている。
【0031】
吸水マット421〜426は、吸水性・通気性を有し、変形自在なスポンジ状部材で構成されている。吸水マット421〜426は、飲料用容器41の外周を覆うように配設されている。具体的には、図4に示すように、飲料用容器41が長手方向に6個、奥行き方向に3列並んでいる場合は、両側端を挟むように吸水マット421、422が配設され、各列の間を仕切るように吸水マット423〜426が配設されている。ここでは、飲料用容器41の交換性を考慮して、長手方向に並んだ飲料用容器41間には吸水マットを配設しないようになっている。また、吸水マット422は、図2に示すように、外周側から押圧バンド420によって内側に押圧されている。この押圧バンド420の両端部側は、筺体7の背面71f内周面と前面仕切り板72e内周面とに着脱自在に配設されている。このような押圧バンド420により、飲料用容器41の交換時に、後述する第1のカバー部81を取外した際に、吸水マット422が外側へ脱落することを防止している。
【0032】
吸水マット421〜426で外面を覆われた飲料用容器41と、側面71dとの間にはスペーサ431が配設され、背面71fとの間にはスペーサ432が配設され、飲料用容器41を固定するようになっている。スペーサ431、432は、非吸水性・非通気性の板状部材で構成されている。
【0033】
このように、吸水マット421〜426およびスペーサ431、432によって飲料用容器41の外面が覆われると、空間部S0の蓄熱部4に流入した空気Kは、吸水マット421〜426と接して、飲料用容器41と吸水マット421〜426およびスペーサ431、432との狭小な隙間から下方(第2の空間部S2)に向かって流れるようになる。また、吸水マット421〜426は、散水部51によって散水されて吸水した状態となっているため、吸水していない状態に比べて熱容量が高くなっている。つまり、吸水マット421〜426は、熱交換の効率が高められた状態となっている。
【0034】
水循環部5は、図2および図3に示すように、蓄熱部4に向けて散水を行う散水部51と、散水部51から蓄熱部4に向けて散水した水W1を回収して貯留するドレンパン52と、ドレンパン52に貯留された水Wを散水部51に供給するポンプ53とを有している。散水部51は、ドレンパン52から、フィルタ6上方までの水Wの流路となるものであり、可橈性、伸縮性を有する合成樹脂などの細管材で構成されている。散水部51は、フィルタ6を介して蓄熱部4に均等に散水可能となるように、フィルタ6上方に櫛形に配設されており、フィルタ6側(下部側)に複数の散水穴(図示略)を有している。この散水部51から散水された水W1は、フィルタ6を通過して、上部仕切り板72aから蓄熱部4に流入し、吸水マット421〜426に吸水されるようになっている。そして、散水された水W1は、吸水マット421〜426および下部仕切り板72bを通過して、再びドレンパン52に貯留されるようになっている。ポンプ53には、商用電源からの電力によって駆動するモータ(図示略)が配設され、制御盤1Cを介して回転速度(散水量)を調節可能となっている。
【0035】
水循環部5の散水部51と蓄熱部4との間には、吸込部2から吸い込まれた空気Kおよび散水部5から散水された水W1が通過可能な散水用マットとしてのフィルタ6が設けられている。このフィルタ6は、上部仕切り板72aの上側に配設され、通気性・透水性を有し、不織布などの徐塵フィルタで四角形状に構成されている。このフィルタ6は、通過する空気Kや水W1に混在している異物を捕捉してろ過し、空気Kの風速を均一化し、さらに、蓄熱部4への散水を均一化するためのものである。
【0036】
制御盤1Cは、図1に示すように、筺体7の前面71aに配設され、ファン21およびポンプ53の各電源の入切や、ファン21の回転速度(吸込流量)、ポンプ53の回転速度(吐出水量、散水量)などを調節するための制御ボタン(図示略)や表示部(図示略)などを有している。
【0037】
次に、このような構成の冷暖房装置1の使用方法および作用について説明する。まず、冷房する場合について説明する。
【0038】
まず、第1のバンド82を緩めて、第1のカバー部81および吸水マット422を本体部71の側面71cから取り外す。そして、冷凍庫で凝固(凍結)させておいた複数の飲料用容器41を空間部S0に収容した後に、第1のカバー部81および吸水マット422を側面71cに取り付け、第1のバンド82で締結する。また、第2のバンド84を緩めて、第2のカバー部83を側面71cから取り外す。そして、ドレンパン52に水Wを貯留した後に、第2のカバー部83を側面71cに取り付け、第2のバンド84で締結する。
【0039】
そして、吸込部2の開口部23を、例えば事務室の入口など人が不在の区域に向け、上部吹出部31を開状態として、下部吹出部32を閉状態とする。
【0040】
つぎに、制御盤1Cで電源を投入し、冷暖房装置1を起動する。
【0041】
吸込部2のファン21の回転によって開口部23から空気Kが吸い込まれ、ドレンパン52に貯留されている水Wが、水循環部5のポンプ53によって散水部51から散水される。そして、散水された水W1は、フィルタ6を介して蓄熱部4に供給される。そして、蓄熱部4に供給された水W1は、吸水マット421〜426に吸水される。さらに、吸水マット421〜426を通過した水W1は、ドレンパン52に再び貯留される。
【0042】
また、吸込部2からファン21の回転によって吸い込まれた空気Kによって、第1の空間部S1、空間部S0、第2の空間部S2、第3の空間部S3を通過して、吹出部3から吹き出される流路が形成される。吸込部2から吸い込まれた空気Kは、第1の空間部S1から空間部S0へと流入する際に、吸込部2の下流にあるフィルタ6を通過する。この際に、フィルタ6によって、空気Kに混在している異物が捕捉される。
【0043】
つぎに、フィルタ6でろ過された空気Kは、上部仕切り板72aを通過して、空間部S0の蓄熱部4へ流入する。蓄熱部4においては、飲料用容器41に収容された潜熱蓄熱材としての水W2が、固体(氷)から液体(水)へと相転移する際に吸収する融解熱によって、空気Kおよび吸水マット421〜426に浸透している水W1の温度が低下させられる。このとき、吸水マット421〜426は、吸水しているために熱容量が大きい状態となっている。また、空気Kが第2の空間部S2へと流入する際に、吸水マット421〜426と接触する。この際に、飲料用容器41および吸水マット421〜426に含まれる水W1と接して、空気Kの温度が熱交換によってさらに低下させられる。そして、冷却された空気Kは、飲料用容器41に沿って吸水マット421〜426の下端に到達すると、下部仕切り板72bを通過して、第2の空間部S2に流入する。
【0044】
つぎに、第2の空間部S2に流入した空気Kは、第3の空間部S3を通過して、上部吹出部31から吹き出される。
【0045】
潜熱蓄熱材としての水W2が融解して潜熱を失った場合、すなわち、冷房の効果が低下した場合は、第1のカバー部81および吸水マット422を取り外して、凍結している水W2が収容された飲料用容器41と交換する。
【0046】
つづいて、暖房する場合について説明する。ここでは、飲料用容器41の内部に略40℃で相転移(凝固)する潜熱蓄熱材(例えば、酢酸ナトリウム三水和物、リン酸水素二ナトリウム十二水和物など)を収容して使用し、空間部S0に、温めて融解させておいた潜熱蓄熱材を収容した飲料用容器41を収容する。
【0047】
そして、吸込部2の開口部23を事務室内の人が不在の区域に向け、上部吹出部31を閉状態として、下部吹出部32を開状態とする。
【0048】
つぎに、制御盤1Cで電源を投入し、冷暖房装置1を起動させると、吸込部2からファン21の回転によって空気Kが吸い込まれ、水循環部5の散水部51から水W1が散水される。
【0049】
吸込部2からファン21の回転によって吸い込まれた空気Kは、吸込部2の下流にあるフィルタ6を通過する際に、空気Kに混在している異物が捕捉される。
【0050】
そして、フィルタ6を通過した空気Kは、蓄熱部4に流入する。蓄熱部4は、潜熱蓄熱材によって吸水マット421〜426に浸透している水W1の温度が上昇させられた状態となっている。蓄熱部4においては、潜熱蓄熱材が、液体から固体へと相転移する際に放出する凝固熱によって、空気Kおよび吸水マット421〜426に浸透している水W1の温度が上昇させられる。このとき、吸水マット421〜426は吸水しているために熱容量が大きい状態となっている。また、空気Kが第2の空間部S2へと流入する際に、吸水マット421〜426と接触する。この際に、飲料用容器41および吸水マット421〜426に含まれる水W1と接して、空気Kの温度が熱交換によって上昇させられる。そして、温められた空気Kは、飲料用容器41に沿って吸水マット421〜426の下端に到達すると、下部仕切り板72bを通過して、第2の空間部S2に流入する。また、水W1が散水されていることにより空気Kの加湿効果も得られる。
【0051】
そして、第2の空間部S2に流入した空気Kは、第3の空間部S3を通過して、吹出部3へと流入して、下部吹出部32から吹き出される。
【0052】
潜熱蓄熱材が凝固して潜熱を失った場合、すなわち、暖房の効果が低下した場合は、第1のカバー部81および吸水マット422を取り外して、温められて融解している潜熱蓄熱材を収容した飲料用容器41と交換する。また、交換可能な融解している潜熱蓄熱材を収容した飲料用容器41がなく、加湿の必要もない場合は、ポンプ53を停止して散水を停止し、余熱のみによって暖房を継続する。
【0053】
以上のように、この実施の形態に係る発明によれば、吸込部2から吸い込まれた空気Kは、散水部51から散水された水W1と潜熱蓄熱材である水W2との熱交換によって温度が調節されるので、空気Kの冷却または加熱にコイルやヒーターなどの温調器が不要となる。つまり、吸込部2のファン21によって空気Kを吸い込むだけで、空気Kの温度を調節することができるため、電力を使用して温調器を制御する必要がなく、消費電力を抑制できる。また、温度の調節は、散水による水W1と潜熱蓄熱材である水W2との両方によって行われるので、効率的に温度を調節可能である。さらに、潜熱蓄熱材が、固体から液体、または、液体から固体へと相転移する際に吸収する融解熱または凝固熱によって、流路の空気よび吸水マット421〜426に含まれる水W1の温度を低下または上昇させることができる。つまり、電力を使用せずに、温度調節が可能である。
【0054】
また、蓄熱部4の外面には、散水部51から蓄熱部4に散水された水W1を吸い取る吸水マット421〜426が取付けられているので、蓄熱部4の熱容量が大となり、蓄熱部4との熱交換を促進することができ、熱交換効率を高めることができる。
【0055】
また、散水部51と蓄熱部4との間に、吸込部2から吸い込まれた空気Kおよび散水部51から散水された水W1が通過可能なフィルタ6が設けられているので、吸込部2からの流入した空気Kや水W1に混在している異物を捕捉することができる。また、蓄熱部4へ流入する空気Kの風速を均一化するので、蓄熱部4における空気Kの冷却や加熱を均一にすることができる。さらにまた、散水部51から蓄熱部4への散水を均一に行うことができるので、吸水マット421〜426に均等に水を供給し、熱交換効率をさらに高めることができる。
【0056】
また、蓄熱部4は、潜熱蓄熱材と、潜熱蓄熱材を収容する複数の飲料用容器41から構成されているので、飲用後の飲料用容器41を利用することで、取り扱いが容易で、蓄熱部4の製作コストを低減することができる。また、潜熱蓄熱材を収容した飲料用容器は、第1のカバー部81を取り外すことで、出し入れが自由であるため、潜熱蓄熱材に蓄えた冷熱や温熱が小となった場合には、取り出して十分に冷熱や温熱を蓄えているものと容易に入れ替えすることができる。特に、吸水マット421〜426は、開閉部8側から奥行き方向に配設された飲料用容器41間には配設されていないため、飲料用容器41を容易に出し入れすることが可能である。このため、冷暖房装置1の冷房、暖房の効果を長く、一定に持続させることができる。
【0057】
さらに、冷房時に使用する蓄熱部4は、潜熱蓄熱材として水W2と、飲用後の飲料用容器41とを利用することで、蓄熱部4をオフィスや家庭に設置されている冷凍庫などで容易に凝固(凍結)させることができる。特に、飲料用容器41に収容した水W2を、電力使用量が減る夜間に冷凍庫で凍結させて、昼間に冷暖房装置1の蓄熱部4として使用することによって、昼間は電気使用量を削減しながら、つまり、電力を使用して蓄熱部4を冷却することなく、高い冷房効果を得ることができる。また、暖房時に使用する蓄熱部4は、略40℃で相転移(凝固)する潜熱蓄熱材を飲料用容器41に収容し、蓄熱部4をお風呂などに入れることで容易に融解させることができる。そして、使用するまでは溶解させた蓄熱部4を保温しておくことにより、電力を使用して蓄熱部4を加熱することなく、高い暖房効果を得ることができる。
【0058】
さらにまた、既設の空気調和設備を停止して、冷暖房装置1のみを使用する場合について説明したが、既設の空気調和設備とともに使用することも可能である。つまり、この冷暖房装置1によって、室内に冷房または暖房した空気Kを吹き出すことができるので、既設の空気調和設備の吸込温度が低温または高温になる。このため、既設の空気調和設備のヒートポンプエアコンなどの圧縮機や、弁開度、ファンコイルなどの送風機の運転を抑制することができる。このように、冷房や暖房の電力使用量を削減しながらも、冷房や暖房の効果を高めることができる。
【0059】
(実施の形態2)
図6ないし図8は、この発明の実施の形態2を示している。この実施の形態では、図6に示すように、冷暖房装置100は、主として吸込部200の構成が、実施の形態1の吸込部2と異なる。このため、実施の形態1と同等の構成については、同一符号又は対応する符号を付することで、その説明を省略する。後述する他の実施の形態においても同様とする。
【0060】
この実施の形態では、筺体7の本体部71の内側には、第2の上部仕切り板72gが、上部仕切り板72aから上方に離れて水平に配設されており、上面71aと第2の上部仕切り板72gとで囲まれた第4の空間部S14の内面(内周)には、例えば発泡スチロールなどの合成樹脂材料で構成された防音材、吸音材(図示略)が貼付されている。前面仕切り板72hは、断面形状が逆L字型の板状部材で構成され、前面71eから所定距離だけ離れ、下部仕切り板72bから上部仕切り板72aまで延びる垂直部72h1と、垂直部の上端から前面71eまで延びる水平部72h2とから構成されている。この前面仕切り板72hと前面71eとの間に、第3の空間部S13が形成されている。
【0061】
吸込部200は、主として、ファン201、202と、吸込口203とを有している。吸込口203は、筺体7の上面71a後部(背面側)に長方形状に形成されている。ファン201、202は、第2の上部仕切り板72gの前方(前面側)に配設されている。
【0062】
水循環部500は、水循環部5と同等の構成、機能を有しているが、ここでは、水循環部500のポンプ503は、第2の上部仕切り板72gに配設されている。
【0063】
このような構成の吸込部200を有する冷暖房装置100においては、吸込口203から吸い込まれた空気Kは、第4の空間部S14をファン201、202に向かって流れ、ファン201、202を介して、第1の空間部S11へ流入するようになっている。そして、さらに、空間部S10、第2の空間部S12を通過して、第3の空間部S13に流入して、上部吹出部31から吹き出されるようになっている。
【0064】
この冷暖房装置100によれば、空気Kを吸い込むためのファン201、202が、筺体7の内側に、吸込口203と離間して配設されており、さらに、吸込口203からファン201、202までの流路が屈曲しているため、駆動音、回転音などの騒音の発生を抑制できる。具体的には、吸込口203はファン201、202との距離が大きい後部(背面側)に配設されているため、ファン201、202で発生した騒音が第4の空間部S14を進んで吸込口203に到達する間に、気流方向変換の過程で防音材、吸音材によって十分に吸収することが可能となっている。また、ポンプ503の駆動音、回転音などの騒音の発生も同様に抑制することができる。
【0065】
(実施の形態3)
図9は、この発明の実施の形態3を示している。この実施の形態では、冷暖房装置110は、ダンパ204を備えている点で、実施の形態2と異なる。
【0066】
前面仕切り板72hの垂直部72h1上部に開口(バイパス流路)が形成され、当該開口に開度調整が可能なダンパ204が設置されている。また、吸水マット426の当該開口に係る部分は切り欠かれており、ダンパ204が開状態のときには空気が当該開口を通過できるようになっている。
【0067】
このような構成の冷暖房装置110においては、ダンパ204が開状態のときには、ファン201、202の回転によって吸込口203から吸い込まれ、第4の空間部S14、第1の空間部S11を通過した空気の一部は、空間部S10の飲料用容器41が配設された領域を通過せず、すなわち、ほとんど冷却や加熱をされることなく開口(バイパス流路)を通過する。そして、空間部S10で冷却または加熱されて第2の空間部S12を通過してきた空気と、第3の空間部S13で合流して、吹き出し口31または32から吹き出される。
【0068】
この冷暖房装置110によれば、ダンパ204の開度を調整することで、冷却・加熱されることなくバイパス流路を通過する空気の量を調整して、吹き出し空気の温度を調整することができるので、必要以上に冷却・加熱された空気が吹き出されることを防止することができる。また、潜熱蓄熱材が蓄えている冷熱または温熱を必要以上に消費することなく、潜熱蓄熱材の冷却・加熱効果を長持ちさせることができる。また、実施の形態1の冷暖房装置1においては、前面仕切り板72eに同様の開口及びダンパを設けることで適用可能である。
【0069】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、この実施の形態では、潜熱蓄熱材としての水W2を収容する蓄熱材収容器は、飲料用容器41を用いる場合について説明したが、蓄熱材収容器は水W2を含有する高吸水性樹脂材料などを収容した合成樹脂材の他の容器や袋であってもよい。また、潜熱蓄熱材は、冷房時は0℃から略10℃で相転移(融解)し、暖房時は略40℃で相転移(凝固)するものであれば、この実施の形態にあげたものに限定されないことはもちろんである。
【0070】
また、蓄熱材収容器は飲料用容器41には限定されず、ペットボトルなどに代表される合成樹脂製の蓋付きの容器で、飲料水以外にも、洗剤、調味料などが収容されて市販されているものを、内容物を消費して空にした後に用いる。材質はポリエチレンテレフタラートに限らずポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどでもよいことはもちろんである。
【0071】
また、蓄熱部4の外面(外周)を覆う吸水マットを格子状に配設してもよい。この場合は、潜熱蓄熱材を収容した飲料用容器41を開閉部8から引き出し状(トレイ状)に引き出せるように構成することで、飲料用容器41の取り出しを容易とすることが可能である。
【0072】
さらに、図10に示すように、冷暖房装置120に形成される開閉部9を、筺体7の側面71c全面が取り外し可能となるように構成してもよい。
【0073】
開閉部9は、側面71c側に形成された開口(図示略)を着脱自在に覆うものであり、カバー部91と、支持枠92と、面ファスナを先端部内側に有する第1のバンド93および第2のバンド94とを有している。カバー部91は、開口の下端部側すなわち、底面71b側に取り付けられ、カバー部91と同等の厚みを有する支持部92上に着脱自在に配設されている。ここで、支持部92は、断面形状が略L字型に形成され、カバー部91と嵌合可能となっている。また、カバー部91の上側両端部には、第1のバンド93と第2のバンド94とが配設されている。第1のバンド93は、前面71eに配設された面ファスナ(図示略)と接着可能となっており、第2のバンド94は、背面71fに配設された面ファスナ(図示略)と接着可能となっている。つまり、カバー部91は、第1のバンド93と第2のバンド94とによって本体部71側に押圧されて、固定されており、第1のバンド93と第2のバンド94とを緩めることによって本体部71から取り外し可能となっている。
【0074】
この冷暖房装置120は、構成が簡易であり、側面71c全面が開放されるため、メンテナンスが容易である。
【符号の説明】
【0075】
1 冷暖房装置
2 吸込部
21 ファン
3 吹出部
31 上部吹出口
32 下部吹出口
4 蓄熱部
41 飲料用容器
421〜426 吸水マット
5 水循環部
51 散水部
52 ドレンパン(タンク)
53 ポンプ
6 フィルタ
7 筺体
8 開閉部
W2 水(潜熱蓄熱材)
K 空気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10