特許第5827092号(P5827092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5827092
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】塗装システム
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/14 20060101AFI20151112BHJP
   B05B 12/04 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   B05B12/14
   B05B12/04
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-214778(P2011-214778)
(22)【出願日】2011年9月29日
(65)【公開番号】特開2013-71116(P2013-71116A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】阪中 徹
(72)【発明者】
【氏名】内藤 浩和
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−090283(JP,A)
【文献】 米国特許第05389149(US,A)
【文献】 特開平10−216576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B12/00−13/06
B05D1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる複数の色の塗料を選択的に被塗物に塗装するための塗装システムであって、
前記複数の色ごとに設けられ、作業者が操作することにより対応する色の塗料を噴霧する複数の噴霧装置と、
各前記噴霧装置に対して対応する色の塗料を供給する塗料供給装置と、
各前記噴霧装置に対して塗料を噴霧するための加圧エアを供給するエア供給装置と、
前記被塗物に対する塗装目的の色の情報に基づいて、前記塗料供給装置および前記エア供給装置の供給動作を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記塗装目的の色の情報と、作業者が操作する前記噴霧装置に対応する色の情報とが一致しない場合に、作業者が操作する前記噴霧装置に対する、前記塗料供給装置および/または前記エア供給装置の供給動作のみを停止させることを特徴とする、塗装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装システム、詳しくは、自動車を構成する部材を塗装する塗装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のボディを塗装する工程では、塗装ロボットによって、ボディの外側部分を全体的に塗装する機械塗装工程と、作業者の手作業によって、塗装ロボットがアクセス困難な部分(例えば、車室内など)を塗装するハンド塗装工程とが実施されている。
【0003】
ハンド塗装工程では、ボディに塗布すべき色を指示する色指示手段からの指示に基づいて、作業者が、ボディに塗布すべき色のハンドガン(噴霧器)を選択し、ボディに塗装している。このとき、作業者が、色指示手段からの指示を誤認して誤った色のハンドガンを操作する場合がある。
【0004】
そこで、ハンド塗装工程に用いられる塗装装置として、例えば、各ハンドガンにそれぞれ指定塗料を供給する複数の塗料配管と、各塗料配管に設けられるオン・オフバルブとを備え、手吹き塗装ゾーンに被塗物が到来すると、被塗物の塗色に適合した指定塗料に対応するハンドガンの掛止位置を表示する表示灯が点灯されるとともに、被塗物の塗色に適合した指定塗料に対応するオン・オフバルブのみが開放される手吹き塗装装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−90283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、上記した特許文献1に記載の手吹き塗装装置では、すべてのオン・オフバルブは常時閉鎖されており、手吹き塗装ゾーンに被塗物が到来したときに、被塗物の塗色に適合する指定塗料に対応するオン・オフバルブのみが開放される。同様にすべての表示灯は常時消灯されており、被塗物の塗色に適合する指定塗料に対応する表示灯のみが点灯される。
【0007】
つまり、各オン・オフバルブや各表示灯の動作頻度が、作業者が誤った色のハンドガンを操作するか否かに関係なく、被塗物を塗装する回数に対応している。
【0008】
そのため、各オン・オフバルブや各表示灯の動作頻度が高くなり、それらの故障頻度も、それらの動作頻度に比例して高くなる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、作業者が塗装目的の色と異なる色の噴霧装置を操作した場合に、操作した噴霧装置による塗料の噴霧を停止させることができるとともに、故障を抑制することができる塗装システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、互いに異なる複数の色の塗料を選択的に被塗物に塗装するための塗装システムであって、前記複数の色ごとに設けられ、作業者が操作することにより対応する色の塗料を噴霧する複数の噴霧装置と、各前記噴霧装置に対して対応する色の塗料を供給する塗料供給装置と、各前記噴霧装置に対して塗料を噴霧するための加圧エアを供給するエア供給装置と、前記被塗物に対する塗装目的の色の情報に基づいて、前記塗料供給装置および前記エア供給装置の供給動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記塗装目的の色の情報と、作業者が操作する前記噴霧装置に対応する色の情報とが一致しない場合に、前記塗料供給装置および/または前記エア供給装置の供給動作を停止させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御装置は、塗装目的の色の情報と、作業者が操作する噴霧装置に対応する色の情報とが一致しない場合に、塗料供給装置および/またはエア供給装置の供給動作を停止させる。
【0012】
つまり、作業者が、塗装目的の色と異なる噴霧装置を操作した場合にのみ、塗料供給装置および/またはエア供給装置の供給動作を停止させることができる。
【0013】
そのため、塗料供給装置および/またはエア供給装置の供給停止動作の頻度を低減することができる。
【0014】
その結果、塗料供給装置および/またはエア供給装置の故障を抑制することができ、ひいては、塗装システムの故障を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の塗装システムの一例としてのハンド塗装装置が使用される塗装ブースの概略構成図である。
図2図2は、図1に示すハンド塗装装置の概略構成図である。
図3図3は、図2に示す制御部におけるインターロックバルブ閉鎖制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.塗装ブース
図1は、本発明のハンド塗装装置が使用される塗装ブースの概略構成図である。
【0017】
車体の塗装では、例えば、電着塗装された被塗物の一例としての車体1に対して、複数回の塗装工程(下塗塗装工程、中塗塗装工程、上塗塗装工程など)が順次実施される。
【0018】
塗装工程は、図1に示すように、塗装ライン2上において、一方(図1紙面左側)から他方(図1紙面右側)へ車体1を搬送しながら、流れ作業により実施される。
【0019】
塗装ライン2は、コンベヤ3と、塗装ブース4とを備えている。
【0020】
コンベヤ3は、一方および他方に延び、その上に、車体1が1台ずつ間隔を隔てて載置されている。コンベヤ3は、一方から他方へ車体1を搬送する。
【0021】
塗装ブース4は、コンベヤ3を跨ぐように、塗装ライン2の途中に設けられている。塗装ブース4には、センサ5と、メイン制御部6と、本発明の塗装システムの一例としてのハンド塗装装置7と、塗装ロボット8と、表示盤9とが設けられている。
【0022】
センサ5は、塗装ブース4の入口において、コンベヤ3の近傍に設けられており、車体1に取り付けられるIDタグ10が有する情報を読み取る。IDタグ10には、車体1の識別番号(ID番号)が記録されている。センサ5は、メイン制御部6に、読み取ったID番号を送信する。
【0023】
メイン制御部6には、ID番号に対応した車体の色情報が記憶されている。メイン制御部6は、受信したID番号に基づいて、対応する色情報を、ハンド塗装装置7、塗装ロボット8および表示盤9に送信する。
【0024】
ハンド塗装装置7と塗装ロボット8とは、塗装ブース4内において、コンベヤ3の近傍に設けられ、コンベヤ3の搬送方向において、上流側にハンド塗装装置7が配置され、下流側に塗装ロボット8が配置されている。
【0025】
表示盤9は、塗装ブース4の外側において、塗装ブース4内からガラス窓(図示せず)を介して視認できるように、ハンド塗装装置7や塗装ロボット8よりも高い位置に取り付けられている。表示盤9は、メイン制御部6からの色情報に基づいて、車体1の塗装目的の色の名称を、文字で表示する。
【0026】
塗装ブース4では、まず、作業者が、表示盤9の表示を確認して、ハンド塗装装置7で車体1の内部など、塗装ロボット8がアクセス困難な部位を塗装し、その後、塗装ロボット8が、メイン制御部6から送信された色情報に基づいて、車体1を全体的に塗装する。
2.ハンド塗装装置
図2は、図1に示すハンド塗装装置の概略構成図である。
【0027】
ハンド塗装装置7は、装置本体11と、各色に対応する複数(4つ)の噴霧装置の一例としてのスプレーガン12とを備えている。
【0028】
装置本体11は、エア供給装置の一例としての加圧エア供給部13と、塗料供給装置の一例としての塗料供給部14と、制御装置の一例としての制御部15とを備えている。
【0029】
加圧エア供給部13は、エアコンプレッサ16とエア供給ライン17とを備えている。
【0030】
エアコンプレッサ16は、エア供給ライン17を介して、スプレーガン12に加圧エアを供給する。
【0031】
エア供給ライン17は、スプレーガン12にエアコンプレッサ16からの加圧エアを供給するための金属製の配管である。エア供給ライン17の供給方向上流側端部は、エアコンプレッサ16に接続されている。また、エア供給ライン17は、各スプレーガン12に対応して4つに分岐されている。エア供給ライン17の分岐された供給方向下流側端部は、それぞれ、樹脂製のフレキシブルチューブ21を介して、対応するスプレーガン12のエア通路35(後述)の供給方向上流側端部に接続されている。また、エア供給ライン17の分岐された各供給方向下流側端部には、その途中において、エア側インターロックバルブ20が1つずつ設けられている。
【0032】
エア側インターロックバルブ20は、エア供給ライン17を開放する開位置と、エア供給ライン17を閉鎖する閉位置とに切り替えられる。エア側インターロックバルブ20は、常には、開位置に配置されている。
【0033】
塗料供給部14は、各色に対応する複数(4つ)の塗料タンク18と、各色に対応する複数(4つ)の塗料供給ライン19とを備えている。
【0034】
各塗料タンク18には、互いに異なる色の塗料が貯留されている。塗料タンク18内の塗料は、ポンプ(図示せず)により、対応する塗料供給ライン19へ供給される。
【0035】
各塗料供給ライン19は、スプレーガン12に対応する色の塗料を供給するための金属製の配管である。塗料供給ライン19の供給方向上流側端部は、対応する色の塗料タンク18に接続されている。また、塗料供給ライン19の供給方向下流側端部は、樹脂製のフレキシブルチューブ22を介して、対応する色のスプレーガン12の塗料通路36(後述)の供給方向上流側端部に接続されている。また、塗料供給ライン19の供給方向下流側端部には、塗料側インターロックバルブ23が1つずつ設けられている。
【0036】
塗料側インターロックバルブ23は、塗料供給ライン19を開放する開位置と、塗料供給ライン19を閉鎖する閉位置とに切り替えられる。塗料側インターロックバルブ23は、常には、開位置に配置されている。
【0037】
制御部15は、CPU24を備えており、メイン制御部6、各エア側インターロックバルブ20および各塗料側インターロックバルブ23に電気的に接続されている。制御部15は、メイン制御部6からの色情報に基づいて、各エア側インターロックバルブ20および各塗料側インターロックバルブ23の開閉動作を制御する。
【0038】
各スプレーガン12は、ガン本体31と、グリップ32と、トリガ33を一体的に備えている。
【0039】
ガン本体31は、所定方向に延びる略筒形状に形成され、その一端部において、噴霧ノズル34を有している。噴霧ノズル34には、塗料を吐出する塗料吐出口38と、加圧エアを吐出するエア吐出口37とが形成されている。なお、エア吐出口37は、複数形成され、塗料吐出口38の周囲に近接配置されている。
【0040】
また、ガン本体31には、塗料を塗料吐出口38へ案内する塗料通路36と、加圧エアをエア吐出口37へ案内するエア通路35とが形成されている。
【0041】
塗料通路36は、ガン本体31の所定方向一端部に形成されている。塗料通路36の案内方向上流側端部は、フレキシブルチューブ21を介して、塗料供給ライン19の供給方向下流側端部に接続されている。塗料通路36の案内方向下流側端部は、塗料吐出口38に連通されている。また、塗料通路36には、塗料開閉弁40が設けられている。
【0042】
塗料開閉弁40は、塗料通路36の途中において、トリガ33の揺動に連動可能に設けられている。塗料開閉弁40は、トリガ33の噴霧位置(後述)への揺動に連動してエア通路35を開放する開位置と、トリガ33の噴霧停止位置(後述)への揺動に連動して塗料通路36を閉鎖する閉位置とに切り替えられる。
【0043】
エア通路35は、グリップ32およびガン本体31に形成されている。エア通路35の案内方向上流側端部は、フレキシブルチューブ21を介して、エア供給ライン17の供給方向下流側端部に接続されている。エア通路35の案内方向下流側端部は、エア吐出口37に連通されている。また、エア通路35には、エア開閉弁39が設けられている。
【0044】
エア開閉弁39は、エア通路35の途中において、トリガ33の近傍に配置され、塗料開閉弁40の開閉動作に連動可能に設けられている。エア開閉弁39は、塗料開閉弁40の開動作に連動してエア通路35を開放する開位置と、塗料開閉弁40の閉動作に連動してエア通路35を閉鎖する閉位置とに切り替えられる。
【0045】
グリップ32は、ガン本体31の所定方向他端部に連続して設けられている。
【0046】
トリガ33は、グリップ32の所定方向一方側において、その遊端部がグリップ32に対して、近接または離間するように、その基端部においてガン本体31に揺動可能に支持されている。そして、トリガ33は、その遊端部がグリップ32に近接される噴霧位置と、その遊端部がグリップ32から離間される噴霧停止位置とに、その基端部を支点として揺動される。
【0047】
なお、トリガ33は、ばねなどの付勢部材(図示せず)の付勢力により、常には、噴霧停止位置に配置されている。また、トリガ33は、噴霧停止位置から噴霧位置へ揺動され始めてから、塗料開閉弁40と連動されるまでの間に、遊びを有している。そして、トリガ33の基端部には、メカニカルスイッチなどの公知のセンサ(図示せず)が設けられている。センサ(図示せず)は、制御部15に電気的に接続され、例えば、トリガ33が噴霧停止位置に配置されているときに、オン信号を発信するように構成されている。
【0048】
そして、トリガ33が噴霧停止位置から噴霧位置へ揺動されると、トリガ33が塗料開閉弁40と連動されるまで(すなわち、遊びの分、揺動される間)に、センサ(図示せず)からのオン信号が解除(すなわち、オフ)される。
【0049】
なお、各スプレーガン12は、それぞれ、装置本体11の近傍に配置されるラック43に、ホルダ41を介して着脱可能に係止されている。
【0050】
また、ハンド塗装装置7は、各エア側インターロックバルブ20および各塗料側インターロックバルブ23が閉位置に配置されたときに点灯される警告灯42を備えている。
【0051】
警告灯42は、装置本体11の制御部15に電気的に接続されている。
3.ハンド塗装装置による塗装作業
図3は、図2に示す制御部におけるインターロックバルブ閉鎖制御のフローチャートである。
【0052】
ハンド塗装装置7で車体1を塗装するには、作業者が、表示盤9の表示に基づいて、スプレーガン12を用いてスプレー塗装する。
【0053】
例えば、車体1にレッドの塗料を塗装する場合を説明する。
【0054】
図1に示すように、塗装ブース4にレッドに塗装される予定の車体1が搬送されてくると、まず、塗装ブース4の入口において、センサ5によって車体1のID番号が読み取られ、そのID番号がセンサ5からメイン制御部6に送信される。
【0055】
すると、上記したように、メイン制御部6から、ID番号に基づいて、車体1の塗装目的の色情報(すなわち、レッド)が、ハンド塗装装置7、および、塗装ロボット8に送信され、表示盤9にレッドの文字が表示される。このとき、色情報は、制御部15の図示しないRAMなどに一時的に保存される(S1、図3参照)。
【0056】
そして、車体1がハンド塗装装置7の近傍まで搬送されてくると、図2に示すように、作業者は、まず、表示盤9の表示を視認し、レッドのスプレーガン12を、ハンド塗装装置7のラック43から取り外す。
【0057】
そして、作業者は、スプレーガン12のグリップ32を握って、噴霧ノズル34を車体1に向け、指でトリガ33を噴霧停止位置から噴霧位置へ移動させる。
【0058】
すると、塗料開閉弁40が開位置へ移動される前に、レッドのスプレーガン12において、トリガ33のセンサ(図示せず)からのオン信号が解除される。
【0059】
センサ(図示せず)からのオン信号が解除されると、図3に示すように、制御部15のCPU24は、まず、レッドのスプレーガン12が操作されていると判断する(S2)。
【0060】
次いで、CPU24は、制御部15に一時保存されている色情報(レッド)と、操作されているスプレーガン12の色(レッド)とが一致しているか判断する(S3)。
【0061】
そして、制御部15は、一時保存されている色情報(レッド)と、操作されているスプレーガン12の色(レッド)とが一致していれば(S3:YES)、各エア側インターロックバルブ20および各塗料側インターロックバルブ23を作動させずに、開位置に維持させる(S4)。
【0062】
その後、図2に示すように、作業者が、トリガ33を噴霧位置へ移動させると、塗料開閉弁40とエア開閉弁39とが、両方、開位置に配置される。
【0063】
すると、塗料供給ライン19および塗料通路36を介して、レッドの塗料が塗料吐出口38から吐出されるとともに、エア供給ライン17およびエア通路35を介して、加圧エアがエア吐出口37から吐出される。
【0064】
これにより、レッドの塗料が、加圧エアと混合されて、噴霧ノズル34から噴霧される。
【0065】
一方、作業者が表示盤9の表示を誤認した場合など、操作するスプレーガン12を誤ると、例えば、作業者が、塗装目的の色情報(レッド)と異なる色(例えば、オレンジ色)のスプレーガン12を操作する場合がある。
【0066】
すると、塗料開閉弁40が開位置へ移動される前に、オレンジ色のスプレーガン12において、トリガ33のセンサ(図示せず)からのオン信号が解除される。
【0067】
すると、図3に示すように、制御部15のCPU24は、まず、オレンジ色のスプレーガン12が操作されていると判断する(S2)。
【0068】
次いで、CPU24は、制御部15に一時保存されている色情報(レッド)と、操作されているスプレーガン12の色(オレンジ色)とが一致しているか判断する(S3)。
【0069】
そして、制御部15は、一時保存されている色情報(レッド)と、操作されているスプレーガン12の色(オレンジ色)とが一致していなければ(S3:NO)、オレンジ色に対応するエア側インターロックバルブ20および塗料側インターロックバルブ23を作動させて、閉位置に移動させる(S5)。
【0070】
これにより、オレンジ色に対応するエア供給ライン17および塗料供給ライン19が閉鎖される。
【0071】
すると、作業者が、トリガ33を噴霧位置へ移動させても、オレンジ色の塗料が塗料吐出口38から吐出されない。
【0072】
また、制御部15は、オレンジ色のエア側インターロックバルブ20および塗料側インターロックバルブ23を作動させると同時に、警告灯42を点灯させて、作業者に、車体1の塗装目的の色(レッド)と異なる色(オレンジ色)のスプレーガン12を操作していることを通知する(S6)。
4.作用効果
このハンド塗装装置7によれば、図2および図3に示すように、制御部15は、塗装目的の色の情報と、作業者が操作するスプレーガン12に対応する色の情報とが一致しない場合(S3:NO、図3参照))に、エア側インターロックバルブ20および塗料側インターロックバルブ23を閉位置に移動させて、塗料供給部14および加圧エア供給部13の供給動作を停止させる。
【0073】
そのため、作業者が、塗装目的の色と異なるスプレーガン12を操作した場合に、操作したスプレーガン12による塗料の噴霧を停止させることができる。
【0074】
つまり、作業者が、塗装目的の色と異なるスプレーガン12を操作した場合にのみ、エア側インターロックバルブ20および塗料側インターロックバルブ23を作動させることができる。
【0075】
そのため、エア側インターロックバルブ20および塗料側インターロックバルブ23の開閉動作の頻度を低減することができる。
【0076】
その結果、塗料供給部14および加圧エア供給部13の故障を抑制することができ、ひいては、ハンド塗装装置7の故障を抑制することができる。
5.変形例
上記した実施形態では、作業者が塗装目的の色と異なるスプレーガン12を操作した場合に、制御部15は、エア側インターロックバルブ20および塗料側インターロックバルブ23を、両方、閉位置へ移動させたが、例えば、塗料側インターロックバルブ23のみを閉位置へ移動させてもよく、エア側インターロックバルブ20のみを閉位置へ移動させてもよい。好ましくは、制御部15は、少なくとも、塗料側インターロックバルブ23を閉位置へ移動させる。
【0077】
また、上記した実施形態では、スプレーガン12の塗料開閉弁40およびエア開閉弁39を、トリガ33の揺動に直接連動させている。しかし、トリガ33と、塗料開閉弁40およびエア開閉弁39とを連動させる構成は、特に限定されず、例えば、塗料開閉弁40およびエア開閉弁39を、制御部15を介して連動されるように構成することもできる。
【0078】
詳しくは、塗料開閉弁40およびエア開閉弁39を、例えば、電磁弁などの電気的駆動弁から構成する。塗料開閉弁40およびエア開閉弁39は、制御部15に電気的に接続される。
【0079】
制御部15は、トリガ33のセンサ(図示せず)からオン信号が発信されているときに、塗料開閉弁40およびエア開閉弁39を閉動作させ、トリガ33のセンサ(図示せず)からのオン信号が解除されたときに、塗料開閉弁40およびエア開閉弁39を開動作させる。
【0080】
この場合には、制御部15は、一時保存されている色情報と、操作されているスプレーガン12の色とが一致しないときに、操作されているスプレーガン12の塗料開閉弁40およびエア開閉弁39を、トリガ33のセンサ(図示せず)からのオン信号の解除にかかわらず、閉位置に保持(開動作させない)させてもよい。なお、この場合、ハンド塗装装置7は、エア側インターロックバルブ20および塗料側インターロックバルブ23を備えていなくてもよい。
【0081】
また、上記した実施形態では、トリガ33にメカニカルスイッチなどのセンサ(図示せず)を設け、作業者がトリガ33を操作したときに、CPU24において、制御部15に一時保存されている色情報と、操作されているスプレーガン12の色とが一致しているか判断している(S3)。
【0082】
しかし、作業者によるスプレーガン12の操作を検知することができれば、センサ(図示せず)を設ける場所は特に限定されない。
【0083】
例えば、スプレーガン12を係止するホルダ41に、センサ(図示せず)を設け、作業者が、塗装目的の色と異なるスプレーガン12をホルダ41から取り外したときに、CPU24において、塗装目的の色と、操作されているスプレーガン12の色とが一致しているか判断してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 車体
7 ハンド塗装装置
12 スプレーガン
13 加圧エア供給部
14 塗料供給部
15 制御部
図1
図2
図3