特許第5827400号(P5827400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5827400-フレキシブルディスプレー基板 図000011
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5827400
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】フレキシブルディスプレー基板
(51)【国際特許分類】
   B32B 17/04 20060101AFI20151112BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20151112BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20151112BHJP
   C08F 220/20 20060101ALI20151112BHJP
   C08F 220/30 20060101ALI20151112BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20151112BHJP
   C08F 299/02 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   B32B17/04 A
   B32B27/30 A
   H05K1/03 610J
   H05K1/03 630D
   H05K1/03 670Z
   C08F220/20
   C08F220/30
   C08F290/06
   C08F299/02
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-515704(P2014-515704)
(86)(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公表番号】特表2014-519715(P2014-519715A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】KR2011009563
(87)【国際公開番号】WO2012173316
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2013年12月13日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0058071
(32)【優先日】2011年6月15日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0058072
(32)【優先日】2011年6月15日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0131012
(32)【優先日】2011年12月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】314003797
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ピ−リェ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ミン−キョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジン−シク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドン−ヒ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ホン−スン
【審査官】 岸 進
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/037083(WO,A1)
【文献】 特開2011−105804(JP,A)
【文献】 特開2008−180754(JP,A)
【文献】 特開2008−150547(JP,A)
【文献】 特開2005−153273(JP,A)
【文献】 特開2004−315744(JP,A)
【文献】 特開2009−241483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00− 43/00
C08C 19/00− 19/44
C08F 6/00−246/00
C08F301/00
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維層と、前記ガラス繊維層の両面に形成された樹脂層とを含んでなり、
前記樹脂層はアクリル系単量体からの単位構造100重量部および下記化学式1の単量体からの単位構造25〜400重量部を含むものであることを特徴とする、フレキシブルディスプレー基板。
<化学式1>
(式中、R〜Rは、それぞれ同一または異なり、水素または、酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含む連結基を有する置換もしくは無置換の炭素数1〜10の炭化水素基であり、或いは極性基、単一結合または2価の連結基を有する芳香族基、シラン基、ハロゲン原子の中から選ばれ、nは〜10の整数である。)
【請求項2】
前記ガラス繊維層は直径4〜15μmのガラス繊維が一方向に配向整列され、20〜200μmの厚さに形成されることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルディスプレー基板。
【請求項3】
前記樹脂層における前記化合物はアクリル系単量体からの単位構造100重量部、化学式1の単量体からの単位構造50〜200重量部、および化学式2の単量体からの単位構造20〜200重量部を含む、請求項1に記載のフレキシブルディスプレー基板。
<化学式2>
(式中、R〜R10は、水素または、酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含む連結基を有する置換もしくは無置換の炭素数1〜10の炭化水素基であり、或いは極性基、単一結合または2価の連結基を有する芳香族基、シラン基、ハロゲン原子の中から選ばれ、R〜R10の少なくとも一つはアクリレートまたはメタクリレートを含む。)
【請求項4】
前記樹脂層における前記アクリル系単量体からの単位構造は2官能以上のアクリル系またはメタクリル系化合物から選ばれるアクリル系単量体から形成されたことを特徴とする、請求項3に記載のフレキシブルディスプレー基板。
【請求項5】
前記アクリル系単量体は、ビスフェノール−Aジアクリレート(bisphenol-A-diacrylate)、ビスフェノール−Sジアクリレート(bisphenol-S diacrylate)、ジシクロペンタジエニルジアクリレート(dicyclopentadienyl diacrylate)、ペンタエリトリトールトリアクリレート(pentaerythritol triacrylate)、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(tris(2-hydroxyethyl)isocyanurate triacrylate)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(pentaerythritol tetraacrylate)、ビスフェノール−Aジメタクリレート(bisphenol-A dimethacrylate)、ビスフェノール−S−ジメタクリレート(bisphenol-S dimethacrylate)、ジシクロペンタジエニルジメタクリレート(dicyclopentadienyl dimethacrylate)、ペンタエリトリトールトリメタクリレート(pentaerythritol trimethacrylate)、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート(tris(2-hydroxyethyl)isocyanurate trimethacrylate)、およびペンタエリトリトールテトラメタクリレート(pentaerythritol tetramethacrylate)よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項4に記載のフレキシブルディスプレー基板。
【請求項6】
前記樹脂層における前記化学式1の単量体からの単位構造は、フルオレン骨格構造が、
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、および9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルディスプレー基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルディスプレー基板に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレー方式が従来のCRT(Cathode Ray Tube)方式から平板ディスプレー方式、例えばプラズマディスプレー(Plasma display pannel、PDP)、液晶ディスプレー(Liquidcrystal display、LCD)、有機EL(Organic Light Emitting Diodes、OLED)などへ転換されている。特に、このような平板ディスプレーをフレキシブルディスプレーとして実現することができるように全世界的に研究が盛んに行われている。
【0003】
上述したような平板ディスプレーでは基本的に基板の素材としてガラスを用いるが、一般な平板ディスプレーでは、TFT(薄膜トランジスタ)を形成させるための条件として高温熱処理が求められるので、これに最適な素材としてガラス基板が使われている。
【0004】
ところが、ガラス基板は、基本的に硬い特性を持つので、可撓性が低くフレキシブルディスプレーの基板には適さないという問題点がある。
【0005】
このため、フレキシブルディスプレー基板の素材として、ガラス基板と比較して重さ、成形性、非破壊性、デザインなどに優れるうえ、特にロールツーロール(Roll−to−Roll)生産方式で生産できて製造コストが節減できるプラスチック素材を用いる技術に関する研究が盛んに行われているが、未だ商用化に向けたプラスチック素材のフレキシブルディスプレー基板が開発されていない実情である。
【0006】
このようなプラスチック基板がフレキシブルディスプレーの基板となるためには、基本的に優れた光透過度が要求されると同時に、熱的安定性、耐化学性、表面平坦性などの特性が複合的に要求され、特に、優れた光学特性を保つと同時に熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion、CTE)に代表される優れた熱的安定性が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れた光学特性を保ち且つ優れた熱的安定性を有するフレキシブルディスプレー基板を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフレキシブルディスプレー基板は、ガラス繊維層と、前記ガラス繊維層の両面に形成された樹脂層とを含んでなり、前記樹脂層は、アクリル系単量体からの単位構造および環状オレフィン系単量体からの単位構造を含む重量平均分子量500〜1,000,000の化合物を含有する。この際、前記樹脂層における前記化合物はアクリル系単量体からの単位構造100重量部、および環状オレフィン系単量体からの単位構造25〜400重量部を含むことがさらに好ましい。
【0009】
また、前記樹脂層において前記環状オレフィン系単量体からの単位構造を形成する環状オレフィン系単量体は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-methyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-ethyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-propyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-hexyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−デシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-decyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5,6-dimethyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−メチル−5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-methyl-5-ethyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-phenyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-cyclohexyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(tricyclo[4.3.0.12,5]deca-3-ene)、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(tetracyclo[4.4.0.12,5.17,10]dodeca-3-ene)、
3−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン(3-methyl-tetracyclo[4.4.0.12,5.17,10]dodeca-8-ene)、
3−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン(3-ethyl-tetracyclo[4.4.0.12,5.17,10]dodeca-8-ene)、
メチル−2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボキシレート(methyl 2-methyl-bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2-carboxylate)、
2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン アクリレート(2-methyl-bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene acrylate)、
2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン メタクリレート(2-methyl-bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene methacrylate)、
ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシレート(dimethyl bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2,3-dicarboxylate)、
ジエチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシレート(diethyl bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2,3-dicarboxylate)、
3−メチル−3−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン(3-methyl-3-methoxycarbonyl-tetracyclo[4.4.0.12,5.17,10]dodeca-8-ene)、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−シクロヘキシル−2,3−マレイミド(bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-N-cyclohexyl-2,3-maleimide)、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−3’−N−フェニルスクシンイミド(bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2-spiro-3'-N-phenylsuccinmide)、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−スピロ−3’−N−シクロヘキシルスクシンイミド(bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2-spiro-3'-N-cyclohexylsuccinmide)、
2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(2-[(3-ethyl-3-oxetanyl)methoxy]bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(2-[(3-ethyl-3-oxetanyl)methoxymethyl]bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
(3−エチル−3−オキセタニル)メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボキシレート((3-ethyl-3-oxetanyl)methylbicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2-carboxylate)、
5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.]ヘプタ−2−エン(5-triethoxysilyl-bicyclo[2.2.1]-hepta-2-ene)、
5−メチルジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-methyldimethoxysilyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-[1'-methyl-2',5'-dioxa-1'-silacyclopentyl]-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラフェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-[1'-methyl-3',3',4',4'-tetraphenyl-2',5'-dioxa-1'-silacyclopentyl]-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、および
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’および6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-[1',4',4'-trimethyl-2' and 6'-dioxa-1'-silacyclohexyl]-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)よりなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0010】
そして、前記樹脂層において前記環状オレフィン系単量体からの単位構造を形成する環状オレフィン系単量体は、化学式1から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0011】
<化学式1>

【0012】
ここで、R〜Rは、それぞれ同一または異なり、水素または、酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含む連結基を有する置換もしくは無置換の炭素数1〜10の炭化水素基であり、或いは極性基、単一結合または2価の連結基を有する芳香族基、シラン基、ハロゲン原子の中から選ばれ、nは1〜10の整数である。
【0013】
光透過性および熱的安定性を考慮するとき、好ましくは、前記化学式1の単量体からの単位構造におけるnは4〜10である。
【0014】
また、前記樹脂層は、アクリル系単量体からの単位構造、化学式1の単量体からの単位構造、および下記化学式2の単量体からの単位構造を含むものであってもよく、この際、前記樹脂層における前記化合物は、アクリル系単量体からの単位構造100重量部を基準として、化学式1の単量体からの単位構造50〜200重量部、および化学式2の単量体からの単位構造20〜200重量部を含むことがさらに好ましい。
【0015】
<化学式2>

【0016】
ここで、R〜R10は、水素または、酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含む連結基を有する置換もしくは無置換の炭素数1〜10の炭化水素基であり、或いは極性基、単一結合または2価の連結基を有する芳香族基、シラン基、ハロゲン原子の中から選ばれ、R〜R10の少なくとも一つはアクリレートやメタクリレートなどの2価の連結基を含む。
【0017】
前記樹脂層において前記アクリル系単量体からの単位構造を形成するアクリル系単量体は2官能以上のアクリルまたはメタクリル化合物であることが好ましい。この際、前記アクリル系単量体は、ビスフェノール−Aジアクリレート(bisphenol-A-diacrylate)、ビスフェノール−Sジアクリレート(bisphenol-S diacrylate)、ジシクロペンタジエニルジアクリレート(dicyclopentadienyl diacrylate)、ペンタエリトリトールトリアクリレート(pentaerythritol triacrylate)、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(tris(2-hydroxyethyl)isocyanurate triacrylate)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(pentaerythritol tetraacrylate)、ビスフェノール−Aジメタクリレート(bisphenol-A dimethacrylate)、ビスフェノール−S−ジメタクリレート(bisphenol-S dimethacrylate)、ジシクロペンタジエニルジメタクリレート(dicyclopentadienyl dimethacrylate)、ペンタエリトリトールトリメタクリレート(pentaerythritol trimethacrylate)、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート(tris(2-hydroxyethyl)isocyanurate trimethacrylate)、およびペンタエリトリトールテトラメタクリレート(pentaerythritol tetramethacrylate)よりなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0018】
前記樹脂層において前記化学式1の単量体からの単位構造を形成するフルオレン系単量体は、フルオレン骨格含有アクリレートが特に制限されず、2以上の作用基を有する任意のフルオレン骨格含有アクリレートであってもよい。フルオレン骨格構造としては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、および
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0019】
前記ガラス繊維層は、直径4〜20μmのガラス繊維が一方向に配向整列され、横方向と縦方向の縦糸と横糸が1本ずつ直交して製織された形態で20〜200μmの厚さにガラス繊維層を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、優れた光学特性を保ち且つ優れた熱的安定性を有するフレキシブルディスプレー基板を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1〜5および比較例1のTGA分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のフレキシブルディスプレー基板は、プラスチック基板として優れた光学特性を保ち且つ優れた熱的安定性を有するために、ガラス繊維からなるガラス繊維層を感光性樹脂組成物に含浸してガラス繊維層の両面に感光性樹脂組成物層を形成させ、その厚さを適切に調節した後、UV硬化させて樹脂層を形成させることにより得られる。
【0023】
この際、ガラス繊維層は、直径4〜15μmのガラス繊維が一方向に配向整列され、20〜200μmの厚さに形成できる。このようなガラス繊維層は、熱的特性に優れるうえ、吸水性がなく、吸湿性が少ない。化学的耐久性があるため腐食せず、引張強度が強く、伸長率が少ないうえ、電気絶縁性が大きいという利点がある。
【0024】
前記樹脂層に含まれる化合物は、アクリル系単量体からの単位構造と、環状オレフィン系単量体からの単位構造を含む。
【0025】
この化合物において、アクリル系単量体は、硬化前組成物の親水性、疎水性の物性に応じて様々に選択でき、硬化前組成物の相溶性を向上させる役割を果たす。粘度が100cPs〜50000cPsまで多様な商用製品が多いので選択の幅が広く、光開始剤のラジカル形成によって光硬化が行われるので、光重合により重合体が形成され、フィルム製膜の基本支持体としてネットワークを形成する役割を果たす。
【0026】
環状オレフィン系単量体の場合、低粘度・高屈折化合物であって、安定な芳香族分子構造を持っているため、高いガラス転移温度を有し、これにより熱的安定性が向上する。この他にも、耐摩耗性に優れてスクラッチ発生頻度を減らし、耐薬品性に優れて後工程および素子製作の際にも物性変化を発生させないことに大きく役立つ。
【0027】
このようにアクリル系単量体と環状オレフィン系単量体のUV硬化によって光重合された化合物は、その重量平均分子量が500〜1,000,000であることが好ましい。重量平均分子量が500未満の場合には、硬化後の後工程段階で煙(Fume)および大きい重量損失(Weight Loss)が発生する可能性が大きく、重量平均分子量が1,000,000超過の場合には、フィルムが硬くなり、柔軟性に劣るという欠点がある。
【0028】
この際、前記樹脂層はアクリル系単量体からの単位構造100重量部、および環状オレフィン系単量体からの単位構造25〜400重量部を含むことがさらに好ましく、この含量範囲内でガラス繊維との屈折率調和がなされてさらに透明な基板になれる。
【0029】
前記樹脂層において前記環状オレフィン系単量体からの単位構造を形成する環状オレフィン系単量体は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-methyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-ethyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-propyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-hexyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−デシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-decyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5,6-dimethyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−メチル−5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-methyl-5-ethyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-phenyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-cyclohexyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(tricyclo[4.3.0.12,5]deca-3-ene)、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(tetracyclo[4.4.0.12,5.17,10]dodeca-3-ene)、
3−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン(3-methyl-tetracyclo[4.4.0.12,5.17,10]dodeca-8-ene)、
3−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン(3-ethyl-tetracyclo[4.4.0.12,5.17,10]dodeca-8-ene)、
メチル−2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボキシレート(methyl 2-methyl-bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2-carboxylate)、
2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン アクリレート(2-methyl-bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene acrylate)、
2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン メタクリレート(2-methyl-bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene methacrylate)、
ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシレート(dimethyl bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2,3-dicarboxylate)、
ジエチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシレート(diethyl bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2,3-dicarboxylate)、
3−メチル−3−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン(3-methyl-3-methoxycarbonyl-tetracyclo[4.4.0.12,5.17,10]dodeca-8-ene)、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−シクロヘキシル−2,3−マレイミド(bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-N-cyclohexyl-2,3-maleimide)、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−3’−N−フェニルスクシンイミド(bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2-spiro-3'-N-phenylsuccinmide)、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−スピロ−3’−N−シクロヘキシルスクシンイミド(bicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2-spiro-3'-N-cyclohexylsuccinmide)、
2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(2-[(3-ethyl-3-oxetanyl)methoxy]bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(2-[(3-ethyl-3-oxetanyl)methoxymethyl]bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
(3−エチル−3−オキセタニル)メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボキシレート((3-ethyl-3-oxetanyl)methylbicyclo[2.2.1]hepta-5-ene-2-carboxylate)、
5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-triethoxysilyl-bicyclo[2.2.1]-hepta-2-ene)、
5−メチルジメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-methyldimethoxysilyl-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-[1'-methyl-2',5'-dioxa-1'-silacyclopentyl]-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、
5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラフェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-[1'-methyl-3',3',4',4'-tetraphenyl-2',5'-dioxa-1'-silacyclopentyl]-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)、および
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’および6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(5-[1',4',4'-trimethyl-2' and 6'-dioxa-1'-silacyclohexyl]-bicyclo[2.2.1]hepta-2-ene)よりなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0030】
特に、本発明のフレキシブルディスプレー基板の光透過度と熱的安定性を同時に大幅向上させるためには、前記樹脂層において前記環状オレフィン系単量体からの単位構造を形成する環状オレフィン系単量体は、下記の化学式1で表される化合物であることが好ましい。このような単量体は、低粘度・高屈折の化合物であって、樹脂層の屈折率を大きく向上させてガラス繊維層との屈折率を最小化させ、これによりガラス繊維層と樹脂層間の界面における反射率を低下させ、基板の全体光透過率を向上させることができる。また、安定な芳香族分子構造を持っているため、高いガラス転移温度を有し、熱的安定性が大きく向上する。その他にも、耐摩耗性に優れてスクラッチ発生頻度を減らし、耐薬品性に優れて後工程および素子製作の際にも物性の変化を発生させないことに大きく役立つ。
【0031】
<化学式1>

【0032】
ここで、R〜Rは、それぞれ同一または異なり、水素または、酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含む連結基を有する置換もしくは無置換の炭素数1〜10の炭化水素基であり、或いは極性基、単一結合または2価の連結基を有する芳香族基、シラン基、ハロゲン原子の中から選ばれ、nは1〜10の整数である。
【0033】
また、前記炭素数1〜10の炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つのシクロアルキル基;並びにビニル基、アリール基、プロフェニル基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つのアルケニル基;の中から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0034】
前記置換もしくは無置換の炭化水素基は、化学式1のように直接環構造に結合してもよく、連結基を介して環状に結合してもよい。
【0035】
前記連結基としては、炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基、酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含む連結基、例えばカルボニル基、オキシカルボニル基、スルホン基、エーテル結合、チオエーテル結合、イミノ基、アミド結合、シロキサン結合などを挙げることができ、これらの組み合わせを含む連結基であってもよい。
【0036】
前記極性基は、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、アミノ基、アシル基、スルホニル基およびカルボキシル基などを挙げることができる。さらに具体的には、前記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基などを挙げることができ、カルボニルオキシ基としてはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、エトキシカルボニル基などを挙げることができ、アミノ基としては第1級アミノ基を挙げることができる。
【0037】
前記単一結合または2価の連結基を有する芳香族基における2価の連結基としては、アルキレン基、特に炭素数1〜10、好ましくは1〜5であり、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、アリレン基、オキシアルキレン基、オキシアリレン基、オキシカルボニル基、イミノカルボニル基、カルボニル基、アセチレン基、ウレイレン基、硫黄または酸素などのへテロ原子、アミノ基などを挙げることができる。また、これらの連結基を2つ以上組み合わせてもよい。
【0038】
このような連結基を介して芳香族基を含めなければならないが、前記芳香族基は芳香族化合物の1水素離脱体を含む。
【0039】
前記1水素離脱体の具体的な例としては、ベンゼン、ペンタレン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、プライアデン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘプタセン、ピラセン、オバレンおよびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つの単環式化合物;チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、クサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、ベータカルボリン、フェナンチリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジンおよびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるヘテロ環化合物;およびこれらの置換基を有するものが挙げられる。
【0040】
前記シラン基は、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つのアルコキシシリル基、またはトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つのトリオルガノシロキシ基であることが好ましい。
【0041】
前記ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素などを挙げることができる。
【0042】
前記化学式1の単量体において、アルキレンオキシドの繰り返し単位数であるnの増加に伴い、光透過性は向上するが、熱的安定性は低下することもある。このような観点から光透過性および熱的安定性を考慮するとき、好ましくは、前記化学式1の単量体からの単位構造におけるnは4〜10である。
【0043】
具体的な一例として、前記化学式1の単量体からの単位構造を形成するフルオレン系単量体は、フルオレン骨格含有アクリレートが特に制限されず、2つ以上の作用基を有する任意のフルオレン骨格含有アクリレートであってもよい。フルオレン骨格構造としては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、および
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0044】
特に、本発明のフレキシブルディスプレー基板の光透過度と熱的安定性を同時に大幅向上させるためには、前記樹脂層において化学式2の単量体からの単位構造をさらに含むことが好ましい。
【0045】
<化学式2>

【0046】
ここで、R〜R10は、水素または、酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含む連結基を有する置換もしくは無置換の炭素数1〜10の炭化水素基であり、或いは極性基、単一結合または2価の連結基を有する芳香族基、シラン基、ハロゲン原子の中から選ばれ、R〜R10の少なくとも一つはアクリレートやメタクリレートなどの2価の連結基を含む。
【0047】
化学式2の単量体からの単位構造は、樹脂層の屈折率を大幅向上させてガラス繊維層との屈折率を最小化させ、これによりガラス繊維層と樹脂層間の界面における反射率を低下させ、基板の全体光透過率を向上させることができる。すなわち、また、化学式2の単量体は、1.58以上の高い屈折率を有する化合物であって、高いガラス転移温度、架橋度および耐熱性を同時に有する。このように化学式2の単量体からの単位構造を含む場合、前記樹脂層の化合物は、アクリル系単量体からの単位構造100重量部を基準として、化学式1の単量体からの単位構造50〜200重量部、および化学式2の単量体からの単位構造20〜200重量部を含むことがさらに好ましく、この含量範囲内でガラス繊維との屈折率調和がなされてさらに透明な基板になれる。そして、アクリル系単量体からの単位構造100重量部に対して、化学式1の単量体および/または化学式2の単量体からの単位構造を200重量部超過して含む場合には、硬化度があまり高くなって基板の硬度が非常に増加してしまい、可撓性に劣るという問題点が発生する。
【0048】
前記化学式2において、前記炭素数1〜10の炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つのシクロアルキル基;並びにビニル基、アリール基、プロフェニル基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つのアルケニル基;の中から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0049】
前記置換もしくは無置換の炭化水素基は、化学式1のように直接環構造に結合してもよく、連結基を介して環構造に結合してもよい。
【0050】
前記連結基としては、炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基、酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含む連結基、例えばカルボニル基、オキシカルボニル基、スルホン基、エーテル結合、チオエーテル結合、イミノ基、アミド結合、シロキサン結合などを挙げることができ、これらの組み合わせを含む連結基であってもよい。
【0051】
前記極性基は、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、アミノ基、アシル基、スルホニル基およびカルボキシル基などを挙げることができる。さらに具体的には、前記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基などを挙げることができ、カルボニルオキシ基としてはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、エトキシカルボニル基などを挙げることができ、アミノ基としては第1級アミノ基を挙げることができる。
【0052】
前記単一結合または2価の連結基を有する芳香族基における2価の連結基としては、アルキレン基、特に炭素数1〜10、好ましくは1〜5であり、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、アリレン基、オキシアルキレン基、オキシアリレン基、オキシカルボニル基、イミノカルボニル基、カルボニル基、アセチレン基、ウレイレン基、硫黄または酸素などのへテロ原子、アミノ基などを挙げることができる。また、これらの連結基を2つ以上組み合わせてもよい。
【0053】
このような連結基を介して芳香族基を含めなければならないが、前記芳香族基は芳香族化合物の1水素離脱体を含むことができる。
【0054】
前記1水素離脱体の芳香族化合物の具体的な例としては、ベンゼン、ペンタレン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、プライアデン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘプタセン、ピラセン、オバレンおよびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つの単環式化合物;チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、クサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、ベータカルボリン、フェナンチリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジンおよびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるヘテロ環化合物;およびこれらの置換基を有するものが挙げられる。
【0055】
前記シラン基は、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つのアルコキシシリル基、またはトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるいずれか一つのトリオルガノシロキシ基であることが好ましい。
【0056】
前記ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素などを挙げることができる。
【0057】
一方、樹脂層において前記アクリル系単量体からの単位構造を形成するアクリル系単量体は、2官能以上のアクリルまたはメタクリル化合物であることが好ましく、この際、前記アクリル系単量体は、ビスフェノール−Aジアクリレート(bisphenol-A-diacrylate)、ビスフェノール−Sジアクリレート(bisphenol-S diacrylate)、ジシクロペンタジエニルジアクリレート(dicyclopentadienyl diacrylate)、ペンタエリトリトールトリアクリレート(pentaerythritol triacrylate)、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(tris(2-hydroxyethyl)isocyanurate triacrylate)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(pentaerythritol tetraacrylate)、ビスフェノール−Aジメタクリレート(bisphenol-A dimethacrylate)、ビスフェノール−S−ジメタクリレート(bisphenol-S dimethacrylate)、ジシクロペンタジエニルジメタクリレート(dicyclopentadienyl dimethacrylate)、ペンタエリトリトールトリメタクリレート(pentaerythritol trimethacrylate)、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート(tris(2-hydroxyethyl)isocyanurate trimethacrylate)、およびペンタエリトリトールテトラメタクリレート(pentaerythritol tetramethacrylate)よりなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0058】
本発明の樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物は、メイン組成としては、上述した単量体以外に、これらを光硬化させるために光開始剤をさらに含む。本発明における光重合開始剤とは、露光によって分解または結合を引き起こし、ラジカル、陰イオン、陽イオンなどの前記アクリル系単量体および環状オレフィン系単量体の重合を開始することが可能な活性種を発生させる化合物を意味する。ここで、光開始剤は、アクリル系単量体および環状オレフィン系単量体を光硬化させることが可能な通常の光開始剤を選択することができる。
【0059】
前記光重合開始剤としては、Irgacure 907、Irgacure 369、Irgacure OX01、Irgacure 242、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α’−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2’−ジメトキシ−2−フェチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジエチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2-メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのケトン類;アトランキノン、1,4−ナフトキノンなどのキノン類;1,3,5−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロフェニル)−s−トリアジン、フェナシルクロリド、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのハロゲン化合物;ジ−t−ブチルペルオキシドなどの過酸化物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド類;が使用できる。本発明において、前記光重合開始剤は単独で或いは組み合わせて使用できる。
【0060】
前記光重合開始剤は組成物100重量%に対して0.5〜20重量%含有することができる。前記光重合開始剤の含量が0.5重量%未満の場合には、感度が十分でないため、アクリル系重合転換率が80%以下であって、粘着性のある単量体の特性が残るおそれがあり、形成しようとするフィルムの基本光学物性を有することが難しい。また、前記光重合開始剤の含量が20重量%超過の場合には、形成されたフィルムの光透過性、ヘイズ、イエローインデックス(Yellow Index)などが低下し易い。
【0061】
感光性樹脂組成物の粘度を調節するために希釈剤を含み、希釈剤の含量は重量20〜80%であることが好ましい。
【0062】
前記希釈剤としては、前記組成物の製造または粘度維持のためのものであって、次のような物質を使用することができる。例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;などを挙げることができる。このような希釈剤の中でも、溶解性、各成分との反応性および塗膜形成の便利性の観点から、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;酢酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル、2−ヒドロキシプロピオン酸のエチルエステルおよびメチルエステル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸のエチルエステル、ヒロキシ酢酸のメチルエステル、エチルエステルおよびブチルエステル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、メトキシ酢酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル、プロポキシ酢酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル、ブトキシ酢酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル、2−メトキシプロピオン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル、2−エトキシプロピオン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル、2−ブトキシプロピオン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル、3−メトキシプロピオン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル、3−エトキシプロピオン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステル、3−ブトキシプロピオン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステルなどのエステル類の使用が好ましい。
【0063】
また、前記希釈剤は高沸点希釈剤と共に使用できる。使用可能な高沸点希釈剤として、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエステルを挙げることができる。
【0064】
前記希釈剤は、組成物100重量%に対して20〜80重量%含むが、前記希釈剤の含量が前記範囲内にある場合、円滑なフィルムを製膜することができる効果がある。
【0065】
その他にも、特別な機能の発現のために、界面活性剤、硬化促進剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含むこともできる。
【0066】
前記添加剤のうち、特に、表面塗布性を向上させるための界面活性剤を含むことができるが、界面活性剤としては、フッ素系およびシリコン系の界面活性剤、例えば、3M社のFC−129、FC−170CおよびFC−430、DIC社のF−172、F−173、F−183、F−470およびF−475、信越シリコーン社のKP322、KP323、KP340、KP341などがある。このような界面活性剤は、組成物100重量部に対して5重量部以下、好ましくは2重量部以下で含まれ得る。界面活性剤の含量が5重量部を超過する場合、塗布の際に泡が発生するという問題がある。このような問題はガラス繊維の含浸およびフィルム製膜の際に影響を与えて好ましくない。
【0067】
本発明の樹脂組成物の中には、必要に応じて透明性、耐溶剤性、耐熱性などの特性を損傷させない範囲で少量の酸化防止剤、紫外線吸収剤、染色顔料などを含んでもよい。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0069】
<実施例1〜5および比較例1>
下記表1のような成分および含量(重量%)を混合し、これを3時間攪拌して感光性樹脂組成物を製造した後、ここに厚さ40〜150μmのガラス繊維層を含浸して約5〜30分間超音波処理(sonication)し、これをガラス基板と離型フィルムとの間に置き、ドクターブレード法を用いて、ガラス繊維層の一面の樹脂層の厚さが40〜130μmとなるように厚さを調節した後、UV硬化を行って基板を得た。
【0070】
【表1】
ここで、実施例1〜5における環状オレフィン系単量体は、化学式1の化合物(R1〜Rとも水素)であって、実施例1はn=2、実施例2はn=4、実施例3はn=6、実施例4はn=8、実施例5はn=10の場合であり、アクリル系単量体として使用されたE60とE90はSK CYTEC社の商品名「EBECRYL9260」、「EBECRYL9390」の製品であり、希釈剤はプロピレングリコールエチルエーテルアセテートを使用し、光開始剤はIrgacure907とIrgacure369を1:1で混合して使用した。
【0071】
こうして得た実施例1〜5および比較例1の性能を評価した結果は下記表2および図1のとおりであり、各評価項目に対する測定方法は次のとおりである。
【0072】
<透過率(Transmittance)およびヘイズ(Haze)測定方法>
ヘイズ測定器(日本電色工業株式会社製、NDH2000モデル)を用いてMethod3によってD65光源でフィルムの透過度およびヘイズを測定する。この際、波長は550nm基準である。
【0073】
<YI測定方法>
UV−vis spectrometer(Varian社製、CARY−100モデル)を用いてASTM E313測定法によってフィルムのYI(Yellow Index)を測定した。
【0074】
<屈折率>
アッペ屈折計を用いてフィルムを25℃で測定した。
【0075】
<熱重量分析器による分析方法>
2条件の下に600℃で10℃/minで昇温しながら発生する重量損失(Weight loss)(%)の部分を重点的に観察した。
【0076】
<IR>
FT−赤外線分光光度計(FT−IR spectrophotometer、Thermo Nicolet社のAvatar 360 FT−IR製品)を用いて反射モード(Smart Miracleアクセサリー付)で500〜4000cm−1領域の透過率(Transmittance)値を測定する。
【0077】
【表2】
このように、比較例1は光透過度が90%に達せず、ヘイズが40%を上回り、YI値が6.5を上回るが、実施例1〜5はいずれも比較例1より優れた光学特性を示すことが分かる。
【0078】
熱安定性評価のために、熱重量分析器(Thermogravimetric Analyzer、TGA)で分析した結果は図1図1において、Y軸は600℃まで熱的安定性を有する残留率(%)を示す)のとおりであり、その結果、環状オレフィン系単量体を含んでいない比較例1は600℃まで昇温したときに残留物が約40重量%であるが、実施例1〜5は約50重量%を超過して残留して熱安定性に優れることが分かる、
<実施例6>
トリメチロールプロパンアセタール化生成物ジアクリレート(R604、日本化薬株式会社製)と、このトリメチロールプロパンアセタール化生成物ジアクリレート100重量部を基準として、化学式2の単量体に該当するテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン−GAC25重量部、2価の作用基を有するフルオレンアクリレート(HR−6060、ミウォンスペシャルティケミカル製、化学式1におけるR1〜RはいずれもHであり、nは3である化合物)100重量部をまず混合し、この単量体混合物100重量部を基準として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure184、Basf社製)2重量部と、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート30重量部をさらに混合して、硬化前樹脂層組成物を製造した。この硬化前樹脂層組成物に厚さ100μmのガラス繊維を含浸させ、30分間超音波処理した。ガラス基板2枚内に離型フィルム2枚を位置させ、その間にガラス繊維層を挿入し、ドクターブレード法を用いて樹脂層の厚さが100μmとなるように調節し、両側に約10J/cmのUV光で照射させた後、ガラス基板と離型フィルを除去することにより基板を得た。
【0079】
<実施例7>
化学式2の単量体に該当するテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン−GAC をトリメチロールプロパンアセタール化生成物ジアクリレート100重量部を基準として50重量部含む以外は、実施例6と同様にして基板を製造した。
【0080】
<実施例8>
化学式2の単量体に該当するテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン−GAC をトリメチロールプロパンアセタール化生成物ジアクリレート100重量部を基準として100重量部含む以外は、実施例6と同様にして基板を製造した。
【0081】
<実施例9>
化学式2の単量体に該当する単量体を1,1,2,2−テトラキス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]エタンとし、その含量をトリメチロールプロパンアセタール化生成物ジアクリレート100重量部を基準として50重量部とする以外は、実施例6と同様にして基板を製造した。
【0082】
<実施例10>
実施例9において化学式2の単量体に該当する単量体1,1,2,2−テトラキス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]エタンをトリメチロールプロパンアセタール化生成物ジアクリレート100重量部を基準として100重量部含む以外は、実施例と同様にして基板を製造した。
【0083】
<比較例2>
化学式2の単量体を含まない以外は実施例6と同様にして基板を製造した。
【0084】
こうして得た実施例6〜10および比較例2の性能を評価した結果は下記表3のとおりであり、各評価項目の測定方法は次のとおりである。
【0085】
<透過率(Transmittance)およびヘイズ(Haze)測定方法>
ヘイズ測定器( 日本電色工業株式会社製、NDH2000モデル)を用いてMethod3によってD65光源でフィルムの透過度およびヘイズを測定する。この際、波長は550nm基準である。
【0086】
<Tg測定>
Perkin Elmer社のモデルTGA−TGA7を用いて10℃/分の昇温速度で測定した。
【0087】
<熱膨張係数>
Perkin Elmer社のモデルTMA−Diamondを使用し、窒素雰囲気中で10℃/minの速度で昇温し、1g重量で荷重を加えた。フィルムの熱履歴を除去するために、室温から200℃まで10℃/minの速度で昇温した後、再び室温から10℃/minの速度で300℃まで昇温し、温度50〜250℃での熱膨張係数を算出した。
【0088】
【表3】
本発明の実施例6〜実施例10は、ガラス繊維を用いる場合でも比較例2のように高い光透過率を示す。そして、化学式2の単量体からの単位構造を含むことにより、実施例6〜10は230℃以上の優れたTgおよび15ppm以下の熱膨張係数を得ることができることが分かる。
図1