【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、商品などの販売システムとして、事前に会員登録を行った顧客に対して会員カードを発行し、会員カードを提示して商品購入を行うと会員特典ポイントを加算し、次回の商品購入時に購入金額の割引などの特典を与える会員販売システムが知られている。このような販売システムでは、顧客が、店舗の支払いカウンターで会員カードを店員に渡すと、店員が会員カードをカード読取装置で読み取らせて、例えばPOS端末を、その会員との取引が開始された状態あるいは取引中の状態に切り替える。店員が読取後の会員カードを顧客に返却し、顧客が購入商品の支払いを行う。この後に、店員は、その顧客会員との取引状態にあるPOS端末を通常の状態に戻し、これにより一連の会員取引が終了となる。
【0005】
無人で発券動作を行う自動券売機に会員販売システムを採用して、会員に対して一般顧客とは異なるサービスを与えることは、集客力などの点で有利である。この場合には、自動券売機と通信回線を介して会員管理サーバーを接続し、会員認証および会員特典ポイントの管理を、無人の自動券売機の側ではなく会員管理サーバーの側において行うことがセキュリティなどの観点から望ましい。しかしながら、このような自動券売機と会員管理サーバーからなる自動券売機システムは、店員によるカウンター取引とは異なり、次のような問題が発生する可能性がある。
【0006】
自動券売機において、会員が会員情報を入力して会員認証を行うと、自動券売機は会員取引状態に切り替わる。会員取引状態に切り替わった後に、その会員がチケットの購入を止めて自動券売機から立ち去ってしまった場合には、自動券売機は会員取引状態のままになってしまう。この状態で会員でない一般の人(非会員)がチケットを購入すると、その人によるチケット購入金額に基づき、立ち去った会員に対して会員特典ポイントが付加されてしまうので、チケット販売側にとっては好ましくない。
【0007】
また、会員が前回のチケット購入によって会員特典ポイントを獲得している場合において、この会員が自動券売機において会員認証後にチケットの購入をせずに立ち去ったときには、次にチケットを購入する会員でない一般の人(非会員)に対して、立ち去った会員の会員特典ポイントを用いた割引販売が行われてしまう。これでは、会員特典サービスが有効に機能しない。
【0008】
さらに、会員取引状態において行われる非会員の取引が会員取引であると判断されると、会員のチケット購入履歴が正確でなくなり、チケット販売者および会員の双方にとって好ましくない。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、簡単な構成により、会員および非会員によるチケット購入動作を正確に識別できるようにした自動券売機及びその券売制御方法、並びに自動券売機システム及びその券売制御方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明
は、会員情報が入力されて会員認証されると、チケット販売モードが一般販売モードから会員販売モードに切り替わる自動券売機の券売制御方法であって、
チケット購入用の金銭を受け入れる入金受入れ工程と、
入金後に
のみ、前記会員情報の読取を行う会員情報読取工程と、
読み取った前記会員情報を予め定めた通信先に送信して、当該通信先から、会員であることの認証あるいは認証拒否を表す会員認証結果を受信する認証結果受信工程と、
受信した前記会員認証結果が認証拒否の場合には
前記チケット販売モードを
前記一般販売モードのままでチケット購入ボタンの操作を待ち、前記会員認証結果が認証の場合には前記チケット販売モードを
前記会員販売モードに切り替えて前記チケット購入ボタンの操作を待つモード設定工程と、
前記チケット購入ボタンが操作されると、設定されている前記一般販売モードあるいは前記会員販売モードでチケット販売動作を行うチケット販売工程と、
前記チケット販売動作によって前記入金の残高が0円になると、前記チケット販売モードが前記会員販売モードの場合には、当該会員販売モードを解除
して前記一般販売モードに戻すモード解除工程と、
前記チケット販売工程の後の時点で、前記会員販売モードによるチケット販売履歴を前記会員情報に対応付けした形態で前記通信先に送信するチケット販売履歴送信工程と
、
前記モード設定工程の後の時点、あるいは、前記チケット販売動作の後の時点で、入金額の返却処理を行って前記入金の残高が0円になると、前記チケット販売モードが前記会員販売モードの場合には、当該会員販売モードを解除して前記一般販売モードに戻す工程と、
を有していることを特徴としている。
【0011】
本発明の券売制御方法では、自動券売機に入金後に会員情報の読取を行うようにしている。換言すると、入金がないと会員情報の入力が有効にならない。したがって、チケット販売モードが会員販売モードに切り替わった時には既に入金が行われているので、この時点で会員がチケット購入を止めてそのまま立ち去ることは無い。また、この時点で会員がチケット購入を止めて、入金額の返却処理を行うと、入金残高が0円になるので、会員販売モードが解除される。同様に、会員販売モードでチケット購入を行った後に入金残高が0円になった場合も会員販売モードが解除される。よって、会員が立ち去った後の自動券売機が会員販売モードのままになっていることが無く、非会員によって会員販売モードでチケットが購入されてしまうことを防止できる。
【0012】
ここで、会員に対して会員特典ポイントを用いてチケット購入代金の割引サービスを行うことができる。この場合には、
前記認証結果受信工程において、前記会員認証結果が認証の場合に、認証された会員に付与されている会員特典ポイントを受信し、
前記会員販売モードによる前記チケット販売工程では、前記チケットの購入金額から前記会員特典ポイントに対応する金額を減額した割引販売金額で前記チケット販売動作を行うようにすればよい。
【0013】
非会員による会員販売モードでのチケット購入を防止できるので、非会員によるチケット購入金額に応じた会員特典ポイントが、チケットを購入していない会員に付与されてしまうことを防止できる。また、非会員によるチケット購入が、会員特典ポイントによる割引価格で行われてしまうことを防止できる。
【0014】
次に、本発明の自動券売機は、
チケット購入用の金銭を受け入れる入金部と、
入力される会員情報を読み取る会員情報読取部と、
予め定めた通信先との間で通信を行う通信部と、
チケットを購入するために操作されるチケット購入ボタンと、
前記チケット購入ボタンが操作されると、一般販売モードおよび会員販売モードのうちのいずれかのチケット販売モードで前記チケットの販売動作を行う発券制御部とを有し、
前記発券制御部は、上記の券売制御方法によりチケット販売動作を行うことを特徴としている。
【0015】
一方、本発明は、
会員情報が入力されて会員認証されると、チケット販売モードが一般販売モードから会員販売モードに切り替わる自動券売機と、当該自動券売機との間で通信可能な会員管理サーバーとを備えた自動券売機システムの券売制御方法であって、
前記自動券売機は、
チケット購入用の金銭を受け入れる入金受入れ工程と、
入金後に
のみ、前記会員情報の読取を行う会員情報読取工程と、
読み取った前記会員情報を前記会員管理サーバーに送信して、当該会員管理サーバーから、会員であることの認証あるいは認証拒否を表す会員認証結果を受信する認証結果受信工程と、
受信した前記会員認証結果が認証拒否の場合には
前記チケット販売モードを
前記一般販売モードのままでチケット購入ボタンの操作を待ち、前記会員認証結果が認証の場合には前記チケット販売モードを
前記会員販売モードに切り替えて前記チケット購入ボタンの操作を待つモード設定工程と、
前記チケット購入ボタンが操作されると、設定されている前記一般販売モードあるいは前記会員販売モードでチケット販売動作を行うチケット販売工程と、
前記チケット販売動作によって前記入金の残高が0円になると、前記チケット販売モードが前記会員販売モードの場合には、当該会員販売モードを解除
して前記一般販売モードに戻すモード解除工程と、
前記チケット販売工程の後の時点で、前記会員販売モードによるチケット販売履歴を前記会員情報に対応付けした形態で前記会員管理サーバーに送信するチケット販売履歴送信工程と
、
前記モード設定工程の後の時点、あるいは、前記チケット販売動作の後の時点で、入金額の返却処理を行って前記入金の残高が0円になると、前記チケット販売モードが前記会員販売モードの場合には、当該会員販売モードを解除して前記一般販売モードに戻す工程と、
を実行し、
前記会員管理サーバーは、
前記自動券売機から前記会員情報を受信すると、会員データベースに記憶保持されている情報に基づき会員認証を行い、会員認証結果を前記自動券売機に返信する認証工程と、
前記自動券売機から前記チケット販売履歴を前記会員情報に対応付けした形態で受信すると、前記会員データベースにおける該当会員のチケット購入履歴を更新するデータベース更新工程とを実行することを特徴としている。
【0016】
ここで、会員に対して会員特典ポイントを用いてチケット購入代金の割引サービスを行う場合には、
前記自動券売機は、
前記認証結果受信工程では、前記会員認証結果が認証の場合に、認証された会員に付与されている会員特典ポイントを受信し、
前記会員販売モードによる前記チケット販売工程では、前記チケットの購入金額から前記会員特典ポイントに対応する金額を減額した割引販売金額で前記チケット販売動作を行い、
前記会員管理サーバーは、
前記認証工程では、前記会員認証結果として認証する旨の結果を返信する場合に、前記データベースに記憶保持されている認証された会員に付与されている会員特典ポイントも返信し、
前記データベース更新工程では、前記自動券売機から受信した前記チケット販売履歴に基づき前記会員特典ポイントの算出処理を行い、前記会員データベースにおける該当する会員特典ポイントを更新する。
【0017】
次に、本発明の自動券売機システムは、
自動券売機と、当該自動券売機との間で通信可能な会員管理サーバーとを有し、
前記自動券売機は、
チケット購入用の金銭を受け入れる入金部と、
入力される会員情報を読み取る会員情報読取部と、
予め定めた通信先との間で通信を行う通信部と、
チケットを購入するために操作されるチケット購入ボタンと、
上記の券売制御方法による前記チケットの販売動作を行い、前記チケット購入ボタンが操作されると、一般販売モードおよび会員販売モードのうちのいずれかのチケット販売モードで前記チケットの販売動作を行う発券制御部とを有し、
前記会員管理サーバーは、
前記自動券売機との間で通信を行うサーバー側通信部と、
前記会員情報および前記会員特典ポイントを対応付けした形態で記憶保持している会員データベースと、
前記自動券売機の側から前記サーバー側通信部を介して受信した前記会員情報を前記会員データベースの記憶内容と照合して会員認証を行い、会員認証結果を前記サーバー側通信部を介して前記自動券売機に送信する会員認証部と、
前記自動券売機の側から前記サーバー側通信部を介して受信した前記チケット販売履歴に基づき、前記会員データベースにおける前記会員特典ポイントを更新するデータベース更新部とを備えていることを特徴としている。