特許第5827598号(P5827598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5827598故障確率算出装置及び故障確率算出方法並びに鉄道保守システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5827598
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】故障確率算出装置及び故障確率算出方法並びに鉄道保守システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20151112BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20151112BHJP
   G01M 17/08 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
   G01M99/00 Z
   B61L25/02 Z
   G01M17/00 F
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-129214(P2012-129214)
(22)【出願日】2012年6月6日
(65)【公開番号】特開2013-253847(P2013-253847A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】峰村 今朝明
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 崇
(72)【発明者】
【氏名】湯田 晋也
【審査官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−241089(JP,A)
【文献】 特開2010−271905(JP,A)
【文献】 特開2007−323148(JP,A)
【文献】 特開平03−070069(JP,A)
【文献】 特開2009−064101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象機器の機器情報と前記診断対象機器の診断の基準となる異常度合比較基準値とを比較し、前記診断対象機器の異常度合いを算出する異常度合計算部と、
前記異常度合計算部により算出した異常度合を前記診断対象機器の使用時間に寄与しない情報に基づき補正する異常度合補正部を有し、
前記異常度合補正部は、
前記異常度合計算部により算出した異常度合を前記診断対象機器の故障確率として変換し、該故障確率を前記診断対象機器の使用時間に寄与しない情報に対して重み付けした重み付け情報に基づき補正し、該補正した故障確率をもって前記診断対象機器の異常度合として出力する故障確率算出装置であって、
前記診断対象機器は列車、自動車、バス、航空機、船舶の何れかに搭載される輸送機器であり、
前記使用時間に寄与しない情報は、前記輸送機器の輸送種別、輸送路線の、少なくとも1つ以上の情報であり、
前記異常度合計算部は、
前記輸送機器の機器情報と前記輸送機器の診断の基準となる異常度合比較基準値とから前記輸送機器の異常度合いを算出する計算手段からなり、
前記異常度合補正部は、
前記輸送種別、輸送路線の、少なくとも1つ以上の情報を受けたとき、前記異常度合計算部により算出された異常度合を前記輸送機器の故障モード毎の故障確率を定めた故障曲線の情報に基づいて故障確率に変換する異常度合/異常確率変換手段と、
前記故障確率を前記輸送種別、輸送路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応する前記重み付け情報に基づき補正する計算を行い、前記診断対象機器の異常度合として出力する補正計算手段とからなる
ことを特徴とする故障確率算出装置。
【請求項2】
前記補正計算手段は、前記輸送機器の故障モード毎の故障確率を算出する手段と、前記故障モード毎の故障確率及び/または該故障モード毎の故障確率の平均値から前記輸送機器の全体の故障確率を算出する手段を含む、
ことを特徴とする請求項記載の故障確率算出装置。
【請求項3】
前記輸送種別が普通、快速を含む列車種別、輸送路線が運行路線であり、
前記異常度合計算部の計算手段は、前記機器情報と前記異常度合比較基準値との差分を算出する減算器であり、
前記異常度合補正部の前記補正計算手段は、前記故障確率に前記列車種別、運行路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応する前記重み付け情報を乗算し、該故障確率を補正する乗算器である
ことを特徴とする請求項記載の故障確率算出装置。
【請求項4】
診断対象機器の機器情報と前記診断対象機器の診断の基準となる異常度合比較基準値とを比較し、前記診断対象機器の異常度合いを算出する異常度合処理を行うステップと、
前記診断対象機器の異常度合を前記診断対象機器の故障確率に変換し、該故障確率を前記診断対象機器の使用時間に寄与しない情報に対する重み付けした情報に基づき補正し、該補正した故障確率をもって前記診断対象機器の異常度合として出力する異常度合補正処理を行うステップと、
を有し、
診断対象機器の機器情報と前記診断対象機器の診断の基準となる異常度合比較基準値とを比較して得た前記診断対象機器の異常度合いを故障確率に変換し、該故障確率を補正して補正済の補正確率を算出する故障確率算出方法であって、
前記異常度合補正処理を行うステップは、
前記診断対象機器を搭載する輸送機の輸送種別、輸送路線の、少なくとも1つ以上の情報を受けたとき、前記異常度合処理を行うステップにより算出された異常度合を前記診断対象機器の故障モード毎の故障確率を定めた故障曲線情報に基づいて前記異常度合処理を行うステップにより算出された異常度合を故障確率に変換する異常度合/故障確率変換処理を行うステップと、
前記故障確率を前記輸送機の輸送種別、輸送路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応する前記重み付け情報により補正し、前記診断対象機器の異常度合として出力する補正計算処理を行うステップからなる
ことを特徴とする故障確率算出方法。
【請求項5】
前記補正計算処理を行うステップは、前記診断対象機器の故障モード毎の故障確率を算出するステップと、また前記故障モード毎の故障確率から前記診断対象機器全体の故障確率を算出するステップを含む、
ことを特徴とする請求項記載の故障確率算出方法。
【請求項6】
前記輸送機の輸送種別が普通、快速を含む列車種別、輸送路線が運行路線であり、
前記機器情報と前記異常度合比較基準値との差分を算出する減算器であり、
前記補正計算処理を行うステップは、前記故障確率に前記輸送機の列車種別、運行路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応する前記重み情報を乗算し、該故障確率を補正する
ことを特徴とする請求項記載の故障確率算出方法。
【請求項7】
鉄道車両に搭載される診断対象機器の状態を診断する際に、前記診断対象機器に関する情報と異常度合比較基準情報とを元に前記診断対象機器の異常度合を算出する異常度合計算部と、
前記異常度合計算部による異常度合を前記診断対象機器の故障確率に変換し、かつ該故障確率を前記診断対象機器の使用時間に寄与しない情報に基づいて補正し、該補正した故障確率を前記診断対象機器の異常度合として出力する異常度合補正部と、
前記異常度合補正部から出力された補正済み故障確率による異常度合を表示する表示部を有し、
前記診断対象機器の機器情報と、該診断対象機器が正常状態において測定した過去正常データである異常度合比較基準情報とを元に、前記診断対象機器の異常度合を算出し、該異常度合をもって前記診断対象機器の状態を推定する鉄道保守システムであって、
前記診断対象機器は列車に搭載される輸送機器であり、
前記使用時間に寄与しない情報は、前記列車の種別、路線の、少なくとも1つ以上の情報であり、
前記異常度合計算部は、
前記輸送機器の機器情報と前記輸送機器の診断の基準となる異常度合比較基準値とから前記輸送機器の異常度合いを算出する計算手段からなり、
前記異常度合補正部は、
前記列車の種別、路線の、少なくとも1つ以上の情報を受けたとき、前記異常度合計算部により算出された異常度合を前記輸送機器の故障モード毎の故障確率を定めた故障曲線情報に基づいて故障確率に変換する異常度合/異常確率変換手段と、
前記故障確率を前記列車の種別、路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応して重み付けした情報に基づき補正する計算を行い、前記輸送機器の異常度合として出力する補正計算手段とからなる
ことを特徴とする鉄道保守システム。
【請求項8】
前記補正計算手段は、前記輸送機器の故障モード毎の故障確率を算出する手段と、前記故障モード毎の故障確率及び/または該故障モード毎の故障確率の平均値から前記輸送機器の全体の故障確率を算出する手段を含み、
前記表示部は、前記補正計算手段により算出した前記故障モード毎の故障確率を異常度合及び/又は前記全体の故障確率を表示するディスプレイからなる
ことを特徴とする請求項記載の鉄道保守システム。
【請求項9】
前記列車の輸送種別が普通、快速を含む列車種別、輸送路線が運行路線であり、
前記異常度合計算部の計算手段は、前記機器情報と前記異常度合比較基準値との差分を算出する減算器であり、
前記異常度合補正部の前記補正計算手段は、前記故障確率に前記列車種別、運行路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応する前記重み付け情報を乗算し、該故障確率を補正する乗算器である
ことを特徴とする請求項記載の鉄道保守システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障確率算出装置及び故障確率算出方法並びに鉄道保守システムに関する。
【0002】
例えば、鉄道などの交通機関の輸送機器や該機器の部品(以下、部品を含めて輸送機器と称する)などの故障確率を算出する故障確率算出装置及び故障確率算出方法並びに鉄道保守システムに関する。
【背景技術】
【0003】
本技術分野の背景技術として、特開2006−17471号公報(特許文献1)がある。この公報には、「寿命予測の対象となる前記部品の寿命を予め所定の寿命値に変換し、前記部品の測定を行ったときに、得られた測定結果から当該部品についての消耗度を表す状態量を計算し、得られた前記状態量を、測定を行った日付及び前記部品と関連付けて記憶部に記憶させ、所定の部品について寿命予測を行う際に、当該部品について複数回の測定で得られた少なくとも三つの前記状態量を、測定の日付とともに前記記憶部から読み出し、前記記憶部から読み出した前記状態量のうち、隣り合う測定点の前記状態量から、これら測定点における状態量の中間点及び日付の中間点を求め、前記中間点と今回測定における状態量及び日付を示す点を通る直線と、前記記憶部から読み出した前記部品の寿命を示す線とが交差する位置を求め、この位置に対応する日付を寿命到来予測日とする。(要約参照)」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−17471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1には、複数の測定データを用いて、部品の寿命到来予測日を決定すること、主に使用時間に関する過去のデータに基づく故障曲線と測定データを比較することで使用時間が変化しても、より部品の寿命を予測する方法が記載されている。
【0006】
しかし、寿命到来日をより正確に予測するに際して、今後の装置の使用頻度に関する情報を予め入手し、今後の使用頻度を、寿命到来予測日の決定にあたり加味することについては記載されているも、時間並びに距離に寄与しない情報については加味されていない。
例えば、鉄道システムにあっては、快速・普通列車といった列車の種別や運用されている路線といった使用時間並びに走行距離に寄与しない情報があるが、このような情報を加味し、故障予測若しくは故障確率算出を行うことについては何ら考慮されていない。
【0007】
要するに、従来にあっては、時間並びに距離に寄与しない情報、例えば、快速・普通列車といった列車種別や運用されている路線といった使用時間並びに走行距離に寄与しない情報をもって機器の異常度合を補正し、機器の故障予測もしくは故障確率の算出を行うことまでは考慮されていなかった。しかし、快速列車は、普通列車よりも加速や制動の回数が少なく、場合によっては最高速度が高いという違いがある。また、運行される路線が異なると、乗客数やレールの整備状態が異なる。発明者は、これらの相違と機器の寿命の因果関係に初めて着目した。
【0008】
鉄道などの交通機関にあっては、運用の途中で輸送機器や部品に故障が発生すると、鉄道システム全体に影響を及ぼすことになる。例えば、大きな鉄道事故や鉄道の運行停止に繋がり兼ねない。この場合、運用者側にとって、大きな損害を被る。また、その利用者側にとっても大きな被害、迷惑を被る。
したがって、鉄道などの交通機関にあっては、より信頼性の高い装置、方法などの開発が求められている。
【0009】
そこで、本発明は、係る点に鑑みなされ、より信頼性の高い故障確率を算出することができる故障確率算出装置及び方法並びに鉄道保守システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、診断対象機器の異常度合を、診断対象機器の使用時間に寄与しない情報、例えば運用路線、列車種別といった走行距離、走行時間等の使用頻度に起因しない情報に基づいて診断対象機器の異常度合いを生成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、故障確率の精度をより高めることができ、信頼性の高い故障確率算出装置及び故障確率算出方法並びに鉄道保守システムを提供することができる。
上述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例を示すものであり、鉄道保守システムにおける故障確率算出装置の構成を示す構成図である。
図2】本発明の故障確率算出装置の異常度合補正部の構成を示す構成図である。
図3】本発明の異常度合計算部における異常度合検出処理及び異常度合補正部における異常度合補正処理の手順を説明するフローチャートである。
図4】故障曲線格納データベースの故障モード毎の故障曲線の一例を示す図である。
図5】重み表格納データベースの異常度合補正テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【0014】
本発明の異常度合確率算出装置は、診断対象機器の機器情報と前記対象機器の診断の基準となる異常度合比較基準値とを比較し、前記診断対象機器の異常度合いを算出する異常度合計算部と、前記異常度合計算部により算出した異常度合を前記診断対象機器の使用時間に寄与しない情報に基づき補正する異常度合補正部を有し、前記異常度合補正部は、前記異常度合計算部により算出した異常度合を前記診断機器の故障確率として変換し、該故障確率を前記対象機器の使用時間に寄与しない情報に対して重み付けした重み付け情報に基づき補正し、該補正した故障確率をもって前記診断対象機器の異常度合として出力することを特徴とする。
【0015】
係る構成によれば、使用頻度を加味した故障確率の算出、つまり使用時間並びに走行距離に寄与しない情報に基づいて機器の故障度合を補正し、機器の故障確率算出装置を提供することができる。
【0016】
本発明の前記診断対象機器は、列車、自動車、バス、航空機、船舶の何れかに搭載される輸送機器であり、前記使用時間に寄与しない情報は、前記輸送機器の輸送種別、輸送路線の、少なくとも1つ以上の情報であり、前記異常度合計算部は、前記輸送機器の機器情報と前記輸送機器の診断の基準となる異常度合比較基準値とから前記輸送機器の異常度合いを算出する計算手段からなり、前記異常度合補正部は、前記輸送種別、輸送路線、輸送距離の、少なくとも1つ以上の情報を受けたとき、前記異常度合計算部により算出された異常度合を前記輸送機器の故障モード毎の故障確率を定めた故障曲線の情報に基づいて故障確率に変換する異常度合/異常確率変換手段と、前記故障確率を前記輸送種別、輸送路線、輸送距離の、少なくとも1つ以上の情報に対応する前記重み付け情報に基づき補正する計算を行い、前記診断対象機器の異常度合として出力する補正計算手段とからなることを特徴とする。
【0017】
特に列車に搭載される機器においては、係る構成によれば、時間並びに距離に寄与しない情報、例えば快速・普通列車などの列車の種別や運用路線、といった走行距離や走行時間等の使用時間(使用頻度)に起因しない情報に基づいて故障度合を補正するように構成している。快速列車は、普通列車よりも加速や制動や駅停車の回数が少ないため、加速や制動に関する機器や駅停車時に動作する機器は、普通列車よりも快速列車の方が寿命が長くなると考えられる。また、場合によっては快速列車は普通列車よりも最高速度が高いため、回転体の負荷が増加し、車体の振動も増加するため、車輪や台車の寿命が短くなると考えられる。さらに、運用路線が異なると、乗客数が変わるため、車両重量や車両振動が変わり、車輪や台車の寿命に影響する。また、運用路線が変わると、レールの状態に起因して車両振動が変わるため、車輪や台車の寿命に影響する。このように、これらの情報を用いて診断を行うことにより、故障確率の精度をより高めることが可能となり、その信頼性を向上することが期待できる。
【0018】
本発明の前記補正計算手段は、前記輸送機器の故障モード毎の故障確率を算出する手段と、前記故障モード毎の故障確率及び/または該故障モード毎の故障確率の平均値から前記輸送機器の全体の故障確率を算出する手段を含む、ことを特徴とする。
【0019】
係る構成によれば、故障モード毎の異常度合いのみならず、全体の異常度合をも把握することができることから、これらの異常度合による故障確率をもって診断対象機器の交換、修理等の事前対応策を有効的に講じることができる。
【0020】
本発明の前記輸送種別が普通、快速を含む列車種別、輸送路線が運行路線、輸送距離が走行距離であり、前記異常度合計算部の計算手段は、前記機器情報と前記異常度合比較基準値との差分を算出する減算器であり、前記異常度合補正部の前記補正計算手段は、前記故障確率に前記列車種別、運行路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応する前記重み付け情報を乗算し、該故障確率を補正する乗算器であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の異常度合確率算出方法は、診断対象機器の機器情報と前記対象機器の診断の基準となる異常度合比較基準値とを比較し、前記診断対象機器の異常度合いを算出する異常度合処理を行うステップと、前記診断対象機器の異常度合を前記診断対象機器の故障確率に変換し、該故障確率を前記診断対象機器の使用時間に寄与しない情報に対する重み付けした情報に基づき補正し、該補正した故障確率をもって前記診断対象機器の異常度合として出力する異常度合補正処理を行うステップと、を有し、診断対象機器の機器情報と前記対象機器の診断の基準となる異常度合比較基準値とを比較して得た前記診断対象機器の異常度合いを故障確率に変換し、該故障確率を補正して補正済の補正確率を算出することを特徴とする。
【0022】
時間並びに距離に寄与しない情報、例えば鉄道システムにおける運用路線、列車種別といった走行距離や走行時間等の使用頻度に起因しない情報に基づいて故障度合を補正するように構成していることから、故障確率の精度をより高めることが可能となり、その信頼性を向上することが期待できる。
【0023】
本発明の前記異常度合補正処理を行うステップは、前記輸送機の輸送種別、輸送路線、輸送距離の、少なくとも1つ以上の情報を受けたとき、前記異常度合計算部により算出された異常度合を前記輸送機器の故障モード毎の故障確率を定めた故障曲線情報に基づいて前記異常度合計算部により算出された異常度合を故障確率に変換する異常度合/故障確率変換処理を行うステップと、前記故障確率を前記輸送機の輸送種別、輸送路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応する重み情報により補正し、前記診断対象機器の異常度合として出力する補正計算処理を行うステップからなることを特徴とする異常度合確率算出方法である。前記異常度合補正処理を行うステップは、前記輸送機の輸送種別、輸送路線の、少なくとも1つ以上の情報を受けたとき、前記異常度合計算部により算出された異常度合を前記輸送機器の故障モード毎の故障確率を定めた故障曲線情報に基づいて前記異常度合計算部により算出された異常度合を故障確率に変換する異常度合/故障確率変換処理を行うステップと、前記故障確率を前記輸送機の輸送種別、輸送路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応する前記重み付け情報により補正し、前記診断対象機器の異常度合として出力する補正計算処理を行うステップからなることを特徴とする。
【0024】
係る構成によれば、時間並びに距離に寄与しない情報、例えば鉄道システムにおける運用路線、列車種別といった走行距離、走行時間等の使用頻度に起因しない情報に基づいて故障度合を補正するように構成していることから、故障確率の精度をより高めることが可能となり、その信頼性を向上することが期待できる。
【0025】
本発明の前記補正計算処理を行うステップは、前記輸送機器の故障モード毎の故障確率を算出するステップと、また前記故障モード毎の故障確率から前記輸送機器全体の故障確率を算出するステップを含む、ことを特徴とする。
【0026】
本発明の前記輸送機の輸送種別が普通、快速を含む列車種別、輸送路線が運行路線、輸送距離が走行距離であり、前記機器情報と前記異常度合比較基準値との差分を算出する減算器であり、前記補正計算処理を行うステップは、前記故障確率に前記輸送機の列車種別、運行路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応する前記重み情報を乗算し、該故障確率を補正することを特徴とする。
【0027】
本発明の鉄道保守システムは、鉄道車両に搭載される診断対象機器の状態を診断する際に、前記診断対象機器に関する情報と前記異常度合比較基準情報とを元に前記診断対象機器の異常度合を算出する異常度合算出部と、前記異常度合計算部による異常度合を前記診断対象機器の故障確率に変換し、かつ該故障確率を前記診断対象機器の使用時間に寄与しない情報に基づいて補正し、該補正した故障確率を前記診断対象機器の異常度合として出力する異常度合補正部と、前記異常度合補正部から出力された補正済み故障確率による異常度合を表示する表示部を有し、前記診断対象機器の機器情報と、該診断対象機器が正常状態において測定した過去正常データである異常度合比較基準情報とを元に、前記診断対象機器の異常度合を算出し、該異常度合をもって前記診断対象機器の状態を推定することを特徴とする。
【0028】
係る構成によれば、鉄道の輸送機器(車両機器)情報と異常度合比較基準情報から求めた故障度合の故障確率より、例えば運用する路線・種別を決定し、車両を寿命まで運用する等の車両運用の効率向上が見込める鉄道保守システムを提供することができる。
【0029】
本発明の前記診断対象機器は列車に搭載される輸送機器であり、前記使用頻度情報は前記列車種別、路線の、少なくとも1つ以上の情報であり、前記異常度合計算部は、前記輸送機器の機器情報と前記輸送機器の診断の基準となる異常度合比較基準値とから前記輸送機器の異常度合いを算出する計算手段からなり、前記異常度合補正部は、前記列車種別、路線の、少なくとも1つ以上の情報を受けたとき、前記異常度合計算部により算出された異常度合を前記輸送機器の故障モード毎の故障確率を定めた故障曲線情報に基づいて故障確率に変換する異常度合/異常確率変換手段と、前記故障確率を前記列車種別、路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応して重み付けした情報に基づき補正する計算を行い、前記輸送機器の異常度合として出力する補正計算手段とからなることを特徴とする。
【0030】
係る構成によれば、故障モード毎の異常度合いのみならず、全体の異常度合いも確認することができる。
【0031】
本発明の前記補正計算手段は、前記輸送機器の故障モード毎の故障確率を算出する手段と、前記故障モード毎の故障確率及び/または該故障モード毎の故障確率の平均値から前記輸送機器の全体の故障確率を算出する手段を含み、前記表示部は、前記補正計算手段により算出した前記故障モード毎の故障確率を異常度合及び/又は前記全体の故障確率を表示するディスプレイからなることを特徴とする。
【0032】
係る構成によれば、鉄道保守システムにおける故障モード毎の異常度合いのみならず、全体の異常度合いも確認することができる。
【0033】
本発明の前記輸送機の輸送種別が普通、快速を含む列車種別、輸送路線が運行路線、輸送距離が走行距離であり、前記異常度合計算部の計算手段は、前記機器情報と前記異常度合比較基準値との差分を算出する減算器であり、前記異常度合補正部の前記補正計算手段は、前記故障確率に前記輸送機の列車種別、運行路線の、少なくとも1つ以上の情報に対応する前記重み付け情報を乗算し、該故障確率を補正する乗算器であることを特徴とする。
【実施例1】
【0034】
本実施例では、鉄道などの輸送機器の故障確率算出装置及び方法の例を用いて説明する。例えば、鉄道保守システムにおいて、診断対象機器の使用時間に寄与しない情報、例えば運用路線、列車種別といった走行距離、走行時間等の使用頻度に起因しない情報に対応する補正情報(故障曲線情報並びに重み付け情報)に基づいて故障度合を補正するように構成した故障確率算出装置及び方法である。
【0035】
まず、故障確率算出装置について説明する。
図1は、本実施例の故障確率算出装置の構成図である。ここで、故障確率算出装置とは、例えば、鉄道保守システムにおける輸送機器(車両機器)に関する情報(機器情報;運用状況を示すデータ)を収集し、該収集情報に基づいて輸送機器、つまり診断対象機器の故障確率を算出する装置である。
【0036】
また、鉄道保守システムとは、鉄道車両(輸送機)の輸送機器(車両機器)に関する情報を収集し、該車両情報に基づいて車両機器を診断し、該診断結果をもって鉄道車両の保守を可能とするシステムである。
【0037】
図1において、輸送機器10は、鉄道などの輸送車両に搭載される診断対象機器101、センサ102を有する。
【0038】
センサ102とは、例えば車両の異常音を測定するマイク、異種金属の熱電対(温度差)を測定するセンサ、車両の振動を測定するセンサ、車両の速度を測定するセンサ、各部品の磨耗状態を測定するセンサなどである。センサ102は、診断対象機器101に取付けられ、該機器の測定データをセンサデータとして出力する。
【0039】
故障確率算出装置20は、診断対象機器101に取り付けられたセンサ102のセンサデータSを受け、例えば鉄道車両の台車に使用されているベアリング、軸箱支持装置(軸ばね式)や車輪のブレーキ部品(ブレーキパット)などの診断対象機器101の診断を行い、その異常度合及び故障確率を算出し、出力する。
【0040】
また、故障確率算出装置20は、センサ102のセンサデータSを入力する入力部201、異常度合を計算する異常度合計算部202、情報入力部203、異常度合いを補正する異常度合補正部204、過去正常データ構築部205、異常度合補正情報を格納する格納部206、異常度合いを表示する異常度合表示部207、を有する。入力部201、情報入力部203は、入力装置を構成し、異常度合表示部201は、出力装置を構成し、異常度合計算部202及び異常度合補正部204は、演算装置を構成し、過去正常データ構築部205及び異常度合補正情報格納部206は、記憶または記録装置を構成している。
【0041】
入力部201は、センサ102により測定された一つ以上の機器情報を異常度合計算部202に入力する。機器情報とは、診断対象機器101の診断時における運用状況を測定して得た測定データ、例えばセンサデータS(S1、S2・・・)である。
【0042】
この入力方法としては、オンラインによる自動入力方法や例えば情報処理機器(PCなど)のキーボードからの手入力方法を問わない。
【0043】
過去正常データ構築部205は、過去正常データa(a1、a2・・・)を格納する過去正常データ格納データベース(過去正常データ格納DB)2051を含んでいる。
過去正常データ格納DB2051は、センサS(s1、s2・・・)毎に対応してその異常度合比較基準値となる1つ以上の過去正常データa(a1、a2・・・)が登録されている。
【0044】
ここで、過去正常データ(異常度合比較基準値)は、例えば診断対象機器が実際に正常に動作しているとき、測定した測定データ、例えばセンサデータを過去正常データとして予め過去正常データ格納DB(記憶部)に格納しておく。あるいは、異常度合比較基準値は、各診断対象機器の設計寿命等を元にして設定しても良い。すなわち、より正確な判断が可能な値であれば、異常度合比較基準値の設定は問わない。
【0045】
異常度合計算部202は、センサ102からのセンサデータ、例えばベアリングの摩耗に関するセンサデータS1が入力部201を介して入力されたとき、過去正常データ格納DB2051の過去正常データaの中から該入力センサデータに対応する過去正常データa1を読み出す。また、センサデータS1と過去正常データa1を比較し、その差分を診断対象機器101の異常度合b(b1)を算出し、該異常度合いを数字データとして出力する。
【0046】
したがって、異常度合計算部202は、過去正常データaを読み出す機能及び異常度合いを示すデータbを算出する機能を有する。
【0047】
異常度合は、過去正常データ格納DB2051に予め格納してある過去正常データa(センサデータSに対応するデータa)との比較により定義する。その比較方法としては、例えば差分・クラスタリング等の計算方法により行うことができる。
【0048】
情報入力部203は、診断対象機器の使用時間に寄与しない情報、例えば運用路線、列車種別といった走行距離、走行時間等の使用頻度に起因しない情報を異常度合補正部204に入力する。
【0049】
この入力方法としては、データとして通信等から自動的に入力する方法や入力部201の入力方法と同様にオンラインによる自動入力方法やキーボードなどの入力手段を利用して手入力する方法を問わない。
【0050】
異常度合補正情報格納部206は、故障曲線データベース(以下、故障曲線格納DBと称する)2061、重み表格納データベース(以下、重み表格納DBと称する)2062を有する。
【0051】
故障曲線格納DB2061には、故障モード毎の故障度合と故障確率が対応する数字データが格納されている。換言すれば、異常度合を故障確率に変換するため、予め異常度合と故障確率とを対応付けした数字データを故障曲線格納DB2061(記憶部)に格納してある。
【0052】
この数字データは、異常度合計算部202により算出される異常度合いを故障確率に変換するための情報であって、後述する故障モード毎の異常度合b(b1、b・・・)と故障確率g(g1、g2・・・)の関係(異常度合と故障確率の数値)を示す故障曲線として表すことができる。
【0053】
故障モード毎の数字データ(故障曲線)は、故障確率算出対象とする診断対象機器101毎に定める。
【0054】
図4は、その故障曲線の一例を示すものであって、横軸に異常度合b(数値)、縦軸に異常度合における故障確率gを示している。そして、異常度合bと設計上の故障確率gとの関係を故障曲線cとして表している。この故障曲線は、例えば診断対象機器の設計時に定められるバスタブ曲線(ワイブル分布)等が挙げられる。そして、この故障曲線における横軸の異常度合と縦軸の故障確率との関係は、診断対象機器の部位により異なる。バスタブ曲線(Bath Tub Curve)は、機械や装置の時間経過(使用年数・時間)に伴う故障確率(故障の発生する確率)の変化を表示した曲線である。また、ワイブル分布(Weibull distribution)は、物体の強度を統計的に記述するためにW.ワイブルによって提案された確率分布であり、時間に対する劣化現象や寿命を統計的に記述するために利用されている。そして、これらは、何れもすでに公知(http://ja.wikipedia.org/wiki他)であるので、その詳細説明は省略する。
【0055】
故障確率gについては、予め診断対象機器の設計時に得られる異常度合と故障確率との関係を示す情報を用いる。診断対象の機器101の分だけの故障曲線を故障曲線DB2061に予め登録する。
【0056】
重み表格納DB2062は、異常度合を故障確率に変換した故障確率を補正するための情報を格納するものであって、例えば列車の種別、路線、距離の故障事例毎の重み付け情報(重み値)を有する表、つまり異常度合補正テーブルT(T10、T20、T30)を格納している。
【0057】
この異常度合補正テーブルT(T10、T20、T30)には、情報入力部203から入力される使用時間に寄与しない情報である運用路線、列車種別といった走行距離や走行時間等の使用頻度に起因しない情報、例えば図5に示す如く、列車の種別(普通、快速など)dと、路線e、距離(走行距離)fなどに関する情報及びこれらの情報に対応する重み付け情報(重み値)w(w2、w1、w3)を格納する。
【0058】
そして、この異常度合補正テーブルT(T10、T20、T30)による重み付け情報wは、故障モード毎に格納する。これらの重み付け情報は、過去の故障事例を参照して設定する。
【0059】
異常度合補正部204は、情報入力部203から入力される種別、例えば列車種別dなどの情報を受けたとき、まず該種別に対応する故障モード毎の故障曲線格納DB2061からの故障曲線cを読み出し、該故障曲線により異常度合計算部202による異常度合bを故障確率gに変換する。
【0060】
次いで、列車種別d、路線e、距離fの故障事例毎の重み表(図5のテーブルT10、T20、T30)から各情報d〜fの重み付け情報w(w1、w2、w3)を読み出し、該重み付け情報(重み付け情報の乗算値)を用いて、故障確率gに補正を加え、該補正した補正済異常度合(故障確率g)を故障確率hとして出力する。
【0061】
換言すれば、異常度合補正部204は、異常度合b(b1、b2・・・)から故障確率g(g1、g2・・・)に変換する異常度合/故障確率変換機能を実行する処理手段及び列車種別などの情報の重み付け情報に基づいて故障確率gを補正し、補正済故障確率h(h1、h2・・・)を異常度合として出力する機能を実行する処理手段を有する。
【0062】
異常度合補正部204による補正方法は、異常度合計算部202において算出された異常度合bを故障モード毎の故障曲線cにより故障確率に変換し、該故障確率に列車種別/路線/距離を示す情報d〜fの故障事例毎の重み表の重み付け情報wを乗算する計算方法により行うことができる。
【0063】
また、その算出にあたっては、故障モード毎の故障曲線c並びに故障事例毎の重み付け情報w(w1、w2、w3)の少なくとも一つ以上用いることにより行う。これらの重み付け情報は、事例ベースで算出を行って求める。例えば、設計時に定められる設計データと実際に運用したときに得られる運用データ(過去の異常に関する事例を解析して得たデータなど)を元に求める。
【0064】
本実施例では、図4の故障曲線cにおいて、異常度合gが「4」の場合を示しており、この場合には故障確率gが60%である。つまり、異常度合bの「4」はこの故障曲線cに基づいて故障確率gが60%に変換される。
【0065】
また、列車種別/路線/距離の故障事例毎の重み表格納DB2062には、例えば図5に示す如く、異常度合補正テーブルT10、T20、T30が格納されている。
【0066】
補正テーブルとは、異常度合に重みを付ける項目、つまり路線、列車種別の少なくとも一つ含み、そしてこれらの項目に対する重み付け情報(値)が対応付けされている表である。
【0067】
本実施例の補正テーブルT10の例では、診断する車両の路線eと路線による重みw1を示している。路線名は「P」、「Q」として示している。テーブルT20の例では、列車の種別dによる重みw2を示している。列車種別は「普通」と「快速」を示している。テーブルT30の例では、過去の走行距離fと重みw3を示している。ここでの走行距離の単位は千kmである。
【0068】
例えば、補正テーブルT10における路線が「P」、補正テーブルT20における種別dが「快速」、補正テーブルT30における距離fが「10〜20」の場合には、T10における重みw1は「1.0」、T20における重みw2は「0.8」、T30における重みw3は「0.9」となる。
【0069】
したがって、この実施例における重みは、乗算により行えば、「1.0×0.8×0.9=0.72」となる。
これにより、種別、路線などの時間に寄与しない情報を加味した故障確率を算出することができる。
【0070】
異常度合表示部207は、補正された故障確率h(異常度合)を表示するディスプレイを有する。ディスプレイは、故障モード毎の異常度合(故障確率)及び診断対象機器の全体の異常度合(故障確率)を区別して表示する。
【0071】
次に、異常度合補正部204について詳述する。
図2は、異常度合補正部204の一例を示す構成図である。同図において、異常度合補正部204は、異常度合を設計時に策定された故障曲線に基づき、異常度合いを故障確率に変換する異常度合/故障確率変換手段2041と、故障確率(異常度合)に種別、路線の時間に寄与しない情報の、少なくとも一つの重み付け情報を乗算し、補正済異常度合として出力する計算手段2042とを含んでいる。
【0072】
異常度合/故障確率変換手段2041は、異常度合計算部202からの異常度合(情報)bと故障モード毎の故障曲線格納DB2061の故障曲線c(図5参照)とを受け、該異常度合bからの故障曲線cに基づく値(故障確率g)を出力する。補正計算手段2042は、列車種別/路線/距離の故障事例毎の重み表格納DB2062の列車種別の重み付け情報dと路線情報eと走行距離情報fの各情報の少なくとも1つの情報に対応する重み情報w1、w2、w3に基づいて異常度合/故障確率変換手段2041の出力値(故障確率g)に補正を加え、補正済異常度合h(h1、h2・・・)として出力する。
【0073】
また、補正計算手段2042は、故障モード毎の故障度合(h1、h2・・・)を補正する計算を行う計算手段20421及び故障モード毎の故障度合の平均値をとって機器全体の故障度合を補正する計算を行う計算手段20422を含んでいる。
【0074】
これにより、補正済異常度合hを故障モード毎の故障度合及び全体の異常度合として区別して異常度合表示部208に表示することができる。
【0075】
以下、故障確率算出装置20の処理について説明する。図3は異常度合補正部204を含む故障確率算出装置20による処理手順を示すフローチャートである。
【0076】
同図において、故障対象機器の故障確率算出装置20が診断対象機器101のセンサ102からあるセンサデータの入力を受けたとき(ステップS2041)、異常度合計算部202及び異常度合補正部204は例えば演算処理を行うCPUにより以下の手順により処理する。
【0077】
ステップS2042において、センサデータSは異常度合計算部204に入力する。そして、該異常度合計算部204により異常度合計算の処理を実行する。
【0078】
この処理は、学習データとして用意されている過去正常データ(異常度合比較基準値)aとセンサデータSとを比較し、その差分を異常度合として算出する。
【0079】
例えば、センサデータSが数値「20」として入力されたとき、過去正常データが数値「26」で表すことができるとすれば、以下のとおりになる。すなわち、センサ101から入力されたデータは異常度合計算部202の計算において、過去正常データaとセンサデータSとの差分になるので、ここでは「26−20=6」となり、診断対象機器の異常度合は、「6」となる。この異常度合については、正常値との差分の絶対値と定義する。
【0080】
次に、ステップS2043において、異常度合補正部204により、故障曲線cと列車種別/速度d〜fとの情報を用いて異常度合の補正を行う。
【0081】
この処理に際しては、上述したように、まず異常度合補正より補正された故障確率の出力を行う。
【0082】
すなわち、図5に示す故障モード毎の故障曲線c(変換手法)を用いて異常度合bの故障確率gへの変換処理を行う。つまり、異常度合bから故障曲線cに基づく変換処理(異常度合/故障確率変換手段2041)においては、異常度合bと故障曲線cを用いて異常度合を故障曲線に対応付けられる値gに変換する。
【0083】
具体的には、図2に示す異常度合/故障確率変換手段2042において、異常度合「6」に対応する故障曲線501の値が60%である場合、60%に変換(故障確率g)する。故障曲線cは、上述したように設計時もしくは運用時において、寿命と故障の起きる確率を設定する曲線である。
【0084】
次に、列車種別dの重みw2、路線eの重みw1、走行距離fの重みw3のうち少なくとも一つを補正計算手段2042へ入力する。そして、該補正計算手段2042により、異常度合/故障確率変換手段2042からの故障確率g(異常度合)にこれらの重み付け情報を乗算し、故障確率を出力する。
【0085】
例えば、異常度合bが「6」、故障曲線cとして異常度合「6」に対応する故障確率が60%であるとする。この場合、まず異常度合から故障曲線cに基づく異常度合/故障確率変換手段2041において、60%として変換(故障確率g)する。次に、列車種別dの重みw2が「1.0」、路線eの重みw1が「0.8」、走行距離fの重みw3が「0.9」の場合、補正計算手段2042では、それぞれの乗算を行う。
【0086】
すなわち、列車種別に対して、図4に示す補正テーブル(図4)に基づく補正情報が0.72であるとすると、最終的な装置出力値となる故障確率は、「60×0.72=43.2」となる。この実施例における故障確率は、43.2(%)となる。本実施例では、60×1.0×0.8×0.9=
43.2となる。故障確率については、43.2(%)となる。
【0087】
これによって、使用頻度を加味した故障確率を算出ができる。その分だけ、故障確率を向上させることができる。また、故障モード毎に故障確率の表示以外に、全体の故障確率も把握できることから、鉄道システム全体の故障による事前対策を講じることが可能である。例えば、診断対象機器のメンテナンス効率を適確にかつ効率的に実行することができ、また列車運行時にオペレータによる確認により、交通機関の安全確認も可能である。
【0088】
また、鉄道の輸送機器(車両機器)情報と異常度合比較基準情報から求めた故障度合の故障確率に対し、例えば運用する路線・種別などの重み情報を元に故障モード毎の補正を施し、車両を寿命まで運用する等の車両運用の効率向上が見込める鉄道保守システムである。
【0089】
故障確率算出装置及び故障確率算出方法は、自動車、バス、航空機、船舶などの交通機関に適用可能である。
【0090】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能である。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0091】
また、上記の構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、上記構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル等の情報は、メモリや、ハードディスクなどの記録装置、または、ICカードなどの記録媒体に置くことができる。
【0092】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。
【符号の説明】
【0093】
10 輸送機器
101 診断対象機器
102 センサ
20 診断対象機器の故障確率算出装置
201 入力部
202 異常度合計算部
204 異常度合補正部
2081 故障確率
2082 モードの故障確率
205 過去正常データ構築部
2051 過去正常データ(異常度合比較基準値)格納データベース
206 異常度合補正情報格納部
2061 故障モード毎の故障曲線格納データベース
2062 列車種別/路線/距離の故障事例毎の重み表格納データベース
203 情報入力部
208 異常度合表示部
2081 ディスプレイ
S センサデータ
a 過去正常データ
b 異常度合
c 故障曲線
T テーブル
d 種別
e 路線
f 距離
w 重み情報(値)
図1
図2
図3
図4
図5