特許第5827615号(P5827615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5827615
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】車両用排気構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20060101AFI20151112BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20151112BHJP
   H01M 10/60 20140101ALI20151112BHJP
【FI】
   B60K1/04 Z
   B60K11/06
   H01M10/60
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-284919(P2012-284919)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-125160(P2014-125160A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 敬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴士
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 博視
(72)【発明者】
【氏名】井上 真
(72)【発明者】
【氏名】松浦 文昭
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−089531(JP,A)
【文献】 特開2008−141945(JP,A)
【文献】 特開2011−194988(JP,A)
【文献】 特開2010−149647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60K 11/06
H01M 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートと前記車両用シートの車両後方に配された車両荷室とを備える車両に設けられ、前記車両用シートの下方に配されたバッテリを冷却した後の排気を、前記車両荷室内に排出することが可能な車両用排気構造であって、
前記バッテリの車両後方に配されるとともに前記バッテリに向けて開口されたダクト吸気口を有する排気ダクトによって、少なくとも一部が構成される第1排気路と、
一端部が前記第1排気路の排気口である第1排気口と接続され、他端部が前記車両荷室に設けられたデッキボードの車両前端部と前記車両用シートのシートバックとの間隙である第2排気口とされる第2排気路と、を備え、
前記第2排気路は、前記第1排気口と前記シートバックの背面との間に設けられ、
前記バッテリを冷却した後の排気は、前記第1排気路及び前記第2排気路を通り、前記第2排気口から前記車両荷室内に排出可能な構成とされる車両用排気構造。
【請求項2】
前記シートバックの前記背面と前記第1排気口との間に生じる空間を下方から覆う形で延びる延設部を備え、
前記延設部によって前記第2排気路の一部が構成されている請求項1に記載の車両用排気構造。
【請求項3】
前記延設部は、前記シートバックの前記背面を覆う表皮材の一部を延長することで構成されている請求項2に記載の車両用排気構造。
【請求項4】
前記第1排気口は、前記シートバックの背面と対向配置されるとともに、車両前方に向けて開口されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用排気構造。
【請求項5】
前記排気ダクトは、その一端部が前記ダクト吸気口とされ、その他端部が上方に開口されたダクト排気口とされ、
前記第1排気口は、前記ダクト排気口に対して、車両前方に配されるとともに、車幅方向におけるいずれか一方側にオフセットされている請求項4に記載の車両用排気構造。
【請求項6】
前記第1排気口は、前記デッキボードの下方に配されるとともに前記デッキボードの車両前端よりも車両後方に配されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両用排気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用排気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動力源であるバッテリが搭載された車両(ハイブリッド車や電気自動車など)として、例えば、下記特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1では、ファンによって車室内の空気をバッテリ(電池パック)に送風し、バッテリの温度調節を行う構成が記載されている。バッテリに送風された空気は、バッテリを冷却した後、排気する必要がある。このため、特許文献1の車両では、車両荷室に車両の外部まで延びる排気ダクトを設け、バッテリからの排気を車両の外部に排出する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−149647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリからの排気を車両の外部に排出する構成では、排気ダクトの長さが大きくなりやすい。排気ダクトが長いと、その分だけ車両荷室のスペースが小さくなり好ましくない。そこで、車両荷室を構成する部品の間(例えば、デッキボックスと車両ボデーとの間)に生じるスペースを排気経路の一部(排気ダクトの代わり)として用いることで排気ダクトの長さを短くする構成が考えられる。
【0005】
しかしながら、車両荷室を構成する部品間のスペースを排気経路の一部として用いた場合には、排気ダクトに比べて排気経路の密閉性が低くなることから、排気が部品の隙間など予期しない箇所から漏れることが懸念される。
【0006】
漏れ出した排気は、乗員に不快感を感じさせる可能性がある。例えば、漏れ出した排気によって車室内の冷たい空気が乗員側に押し出される結果、乗員が不快感を感じる事態が考えられる。また、例えば、車両荷室に設けられたスペアタイヤに排気が接触した場合には、スペアタイヤのにおいが排気に付着することが考えられる。このような排気が予期しない箇所から漏れると、乗員がスペアタイヤのにおいを嗅いでしまうことがあり好ましくない。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、バッテリを冷却した後の排気が予期しない箇所から漏れ出す事態を抑制することが可能な車両用排気構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、車両用シートと前記車両用シートの車両後方に配された車両荷室とを備える車両に設けられ、前記車両用シートの下方に配されたバッテリを冷却した後の排気を、前記車両荷室内に排出することが可能な車両用排気構造であって、前記バッテリの車両後方に配されるとともに前記バッテリに向けて開口されたダクト吸気口を有する排気ダクトによって、少なくとも一部が構成される第1排気路と、一端部が前記第1排気路の排気口である第1排気口と接続され、他端部が前記車両荷室に設けられたデッキボードの車両前端部と前記車両用シートのシートバックとの間隙である第2排気口とされる第2排気路と、を備え、前記第2排気路は、前記第1排気口と前記シートバックの背面との間に設けられ、前記バッテリを冷却した後の排気は、前記第1排気路及び前記第2排気路を通り、前記第2排気口から前記車両荷室内に排出可能な構成とされることに特徴を有する。
【0009】
本発明では、バッテリを冷却した後の排気を、デッキボードの車両前端部と車両用シートのシートバックとの間隙である第2排気口から車両荷室内に排出することができる。これにより、バッテリを冷却した後の排気が予期しない箇所から漏れ出す事態を抑制できる。また、デッキボードの車両前端部と車両用シートのシートバックとの間隙である第2排気口から排気を排出する構成とすれば、シートバックによって排気が遮蔽される結果、車両前方へ向かう事態が抑制される。このため、排気が乗員に向かう事態を抑制できる。また、第2排気口をデッキボードの車両前端部と車両用シートのシートバックとの間隙として設けることでバッテリから第2排気口までの距離を比較的短くすることができる。また、第2排気口を別部材で構成する必要がない。このため、より簡易な排気構造とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記シートバックの前記背面と前記第1排気口との間に生じる空間を下方から覆う形で延びる延設部を備え、前記延設部によって前記第2排気路の一部が構成されているものとすることができる。
【0011】
延設部によって、第1排気口からの排気がシートバックの下方に向かうことを防止することができ、排気を第2排気口からより確実に排出することができる。
【0012】
また、前記延設部は、前記シートバックの前記背面を覆う表皮材の一部を延長することで構成されているものとすることができる。
【0013】
シートバックの表皮材の一部を延設部とすることで、延設部を別部材として備える構成と比べて、より簡易な構成にすることができる。また、意匠部品である表皮材の一部で延設部を構成すれば、仮に、第2排気口を通じて延設部が視認された場合であっても見栄えを損なうことがない。
【0014】
また、前記第1排気口は、前記シートバックの背面と対向配置されるとともに、車両前方に向けて開口されているものとすることができる。
【0015】
このような構成とすれば、第1排気口から第2排気路に向けて流れる排気は、シートバックの背面に当たることとなり、その勢いが低減される。これにより、排気が車両用シートを乗り越えて乗員側に向かう事態をより確実に抑制することができる。
【0016】
また、前記排気ダクトは、その一端部が前記ダクト吸気口とされ、その他端部が上方に開口されたダクト排気口とされ、前記第1排気口は、前記ダクト排気口に対して、車両前方に配されるとともに、車幅方向におけるいずれか一方側にオフセットされているものとすることができる。
【0017】
このような構成とすれば、ダクト排気口と第1排気口とを車両前後方向に沿って配列する構成と比べて、ダクト排気口から第1排気口を経て車両前方に向かう排気の勢いを弱くすることができる。このため、第1排気口からシートバックの背面に向かう排気の勢いをより弱くすることができる。
【0018】
また、前記第1排気口は、前記デッキボードの下方に配されるとともに前記デッキボードの車両前端よりも車両後方に配されているものとすることができる。
【0019】
このような構成とすれば、第1排気口からの排気がデッキボードの下方を通ることとなる。これにより、排気が上方へ向かう事態をデッキボードにて抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、バッテリを冷却した後の排気が予期しない箇所から漏れ出す事態を抑制することが可能な車両用排気構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1の車両用排気構造が設けられた車両の後部を車両前側から視た斜視図。
図2】荷室の構成を概略的に示す断面図
図3】排気ダクト及びデッキボックスを示す斜視図
図4図3のデッキボックスにおいてカバー部材を取り外した状態を示す斜視図
図5】排気ダクト及びデッキボックスを示す平面図
図6図5においてデッキボックスの車両前端部を拡大して示す拡大図
図7】デッキボックスの車両前端部を示す断面図(図6のA−A線で切断した図に対応)
図8】デッキボックスの車両前端部を示す断面図(図6のB−B線で切断した図に対応)
図9】実施形態2に係るデッキボックスの車両前端部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図8によって説明する。図1は、本実施形態の車両用排気構造が設けられた車両10の後部を車両前側から視た斜視図である。
【0023】
本実施形態の車両10は、バッテリ11が搭載された車両(例えば、電気自動車やハイブリッド自動車など)とされる。車両10には、フロントシート(図示せず)や、リアシート15が設置されている(図1参照)。
【0024】
リアシート15(車両用シート)は、着座者が着座する座面を有するシートクッション15Aと、着座者の背中や腰を受けるシートバック15Bとを備えている。シートバック15Bは、シートクッション15Aの座面後部から上方に立ち上がる形態をなしている。
【0025】
また、リアシート15には、シートバック15Bの傾きを自在に調整するためのリクライニング装置(図示せず)が設けられている。また、車両10においては、複数(本実施形態では2台)のリアシート15が、車幅方向に沿って配列されている。
【0026】
なお、本実施形態においては、両リアシート15のシートクッション15A,15Aが互いに連結されている。また、両リアシート15のシートバック15Bは、それぞれ独立して傾き角度を調整可能な構成とされる。なお、図1においては、車両進行方向に対して左側のシートバックを図示省略してある。
【0027】
バッテリ11は、図2に示すように、フロアパネル12上において、シートクッション15A(リアシート15)の下方となる位置に載置されている。バッテリ11は、例えば、複数の電池(単位セル)を多数接続してなる組電池として構成されており、金属製のカバー(図2参照)に覆われた状態で配置されている。
【0028】
このようなバッテリ11を構成する電池としては、例えば、鉛電池,ニッカド電池,ニッケル水素電池などを例示することができる。なお、バッテリ11の構成及び種類については、上述したものに限定されず適宜変更可能である。
【0029】
なお、本実施形態の車両10は、2基のバッテリ11を備えており、各バッテリ11は、各シートバック15Bの下方にそれぞれ配されている。以下の説明では、車両進行方向に対して左側に配されるバッテリ11に符号11Aを付け、右側に配されるバッテリ11に符号11Bを付けるものとする。
【0030】
リアシート15の車両後方には、荷室13(車両荷室)が設けられている。図2は、荷室13の構成を概略的に示す断面図である。フロアパネル12において荷室13の底面を構成する箇所には、上方に向かって開口する凹部12Aが形成されている。この凹部12Aには、スペアタイヤ14を収容可能な構成となっている。
【0031】
図1に示すように、荷室13においてスペアタイヤ14よりも高い位置には、荷物を収納することが可能なデッキボックス17A,17B,30(収納ボックス)が設置されている。デッキボックス17A,17B,30は、平面視においてスペアタイヤ14の周辺に配されている。
【0032】
具体的には、デッキボックス17A,17Bは、荷室13の後部において車幅方向の各端部にそれぞれ配置されており、デッキボックス30は、荷室13の前部に配置されている。デッキボックス30は、図2に示すように、シートバック15Bの下端部とほぼ同じ高さで配置されている。
【0033】
デッキボックス30は、上方に開口された収容凹部31を有している。この収容凹部31内に荷物を収容することが可能となっている。また、デッキボックス17A,17Bは上方に開口された収容凹部18A,18Bをそれぞれ有している。
【0034】
荷室13には、図2に示すように、2枚のデッキボード19,20が車両前後方向(図2の左右方向)に配列されている。相対的に車両後方に配されるデッキボード19は、デッキボックス17A,17Bに跨る形で載置されている。
【0035】
また、デッキボード20は、デッキボックス30の収容凹部31を上方から覆う形で配されており、収容凹部31の開口縁部によって支持されている。
【0036】
本実施形態の車両10には、バッテリ11A,11Bを冷却した後の排気を荷室13内にそれぞれ排出する排気構造が設けられている。次に、この排気構造について詳しく説明する。
【0037】
本実施形態の排気構造は、バッテリ11A(又はバッテリ11B)を冷却した後の排気をデッキボード20の前端部とシートバック15Bとの間から荷室13内に排出するものとされ、排気ダクト25A(又は排気ダクト25B)と、デッキボックス30の車両前端部と、デッキボード20の車両前端部と、を主体にして構成されている。
【0038】
なお、デッキボックス30は、図3に示すように、車幅方向に配列された2つの部品から分割構成されている。以下の説明では、デッキボックス30の左側(車両進行方向に対して左側)部分を構成する部品をボックス構成部材30Aと呼び、右側(車両進行方向に対して右側)部分を構成する部品をボックス構成部材30Bと呼ぶものとする。
【0039】
バッテリ11Aからの排気を排出するための排気構造は、排気ダクト25Aと、ボックス構成部材30Aの車両前端部と、デッキボード20の車両前端部と、を主体にして構成されている。また、バッテリ11Bからの排気を排出するための排気構造は、排気ダクト25Bと、ボックス構成部材30Bの車両前端部と、デッキボード20の車両前端部と、を主体にして構成されている。
【0040】
なお、バッテリ11Aに係る排気構造と、バッテリ11Bに係る排気構造とは、排気ダクト25Aと排気ダクト25Bとが左右対称な形状をなしている点で相違するものの、それ以外は概ね同じ構成とされる。このため、以下の説明では、主にバッテリ11Aに係る排気構造について説明をする。
【0041】
排気ダクト25Aは、図2及び図3に示すように、バッテリ11Aの車両後方に配されている。排気ダクト25Aの一端部には、バッテリ11Aに向けて開口されたダクト吸気口26が形成されている。
【0042】
排気ダクト25Aは、図2に示すように、車両後方に向かうにつれて上昇傾斜する形で延びており、その上端部(他端部)には、上方に開口され、略方形状をなすダクト排気口27が形成されている。
【0043】
ボックス構成部材30Aは、図3及び図4に示すように、収容凹部31の一部を構成するボックス本体部32と、ボックス本体部32の前端壁部33に取り付けられるカバー部材40とから構成されている。
【0044】
ボックス本体部32の前端壁部33(デッキボックスにおける車両前端部)は、車幅方向に長い略板状をなし、ダクト排気口27を上方から覆う形で配されている。前端壁部33において、ダクト排気口27と重なる箇所には、方形状をなす貫通孔33Aが上下方向に貫通されている。
【0045】
排気ダクト25Aの上端部(他端部)には、ダクト排気口27を取り囲む形でフランジ部28が形成されている。フランジ部28の上面には、図7に示すように、方形枠状をなすシール部材28Aが配置されている。
【0046】
フランジ部28は、シール部材28Aを介して貫通孔33Aの孔縁部33Bに対して下方から接触されている。つまり、貫通孔33Aの孔縁部33Bは、フランジ部28を受けるフランジ受け部とされる。
【0047】
カバー部材40は、デッキボックス30の車両前端部を構成する部材とされ、図3及び図7に示すように、車幅方向に延びており、下方に開口された形状をなしている。カバー部材40は、ダクト排気口27及び貫通孔33Aを上方から覆うと共に、前端壁部33との間に排気経路(ボックス側排気路R2)を構成するための部材とされる。
【0048】
カバー部材40は、図7に示すように、収容凹部31を構成するカバー後壁部42(側壁部)と、カバー後壁部42の上端から車両前方に延びるカバー上壁部41と、カバー上壁部41の車両前端から下方に延びるカバー前壁部43と、を備えている。
【0049】
前端壁部33(下壁部)は、カバー上壁部41の下方において、カバー上壁部41と対向配置されている。これにより、カバー上壁部41、カバー後壁部42、カバー前壁部43、前端壁部33に囲まれた空間にボックス側排気路R2が形成されている。
【0050】
カバー上壁部41の下面には、図8に示すように、前端壁部33に向かって突出された取付爪41Aが形成されている。この取付爪41Aに対応して、前端壁部33には、上方に突き出す突出部34が設けられている。取付爪41Aは、突出部34の上壁部に貫通形成された取付孔34Aに挿通された後、取付孔34Aの孔縁部に対して下方から係止する構成となっている。
【0051】
また、カバー上壁部41の上面には、デッキボード20の車両前端部が載置される構成となっている。つまり、カバー上壁部41は、デッキボード20を下方から支持可能な支持壁部とされる。カバー後壁部42は、その下端において、前端壁部33の上面に支持されている。
【0052】
カバー前壁部43は、その下端において、前端壁部33の上面に支持されている。また、カバー部材40の内面には、図7に示すように、リブ45が形成されている。リブ45は、カバー前壁部43、カバー上壁部41、カバー後壁部42に亘って延びる形で形成されている。このようなリブ45を設けることで、カバー部材40の剛性をより高くすることができる。
【0053】
カバー前壁部43(対向壁部)は、シートバック15Bの背面15Cと対向配置されている。カバー前壁部43には、図3に示すように、矩形状をなすボックス排気口43A(デッキボックスに設けられた排気口)が形成されている。ボックス排気口43Aは、図8に示すように、シートバック15Bの背面15C(車室後側の面)と対向配置され、車両前方に向けて開口されている。
【0054】
ボックス排気口43Aは、カバー前壁部43に貫通形成された複数の貫通孔によって構成されている。つまり、ボックス排気口43Aには、格子状をなす格子部43Bが設けられている。これにより、ボックス排気口43Aを通じてカバー部材40の内部に物が侵入する事態を抑制することができる。
【0055】
以上の構成により、排気ダクト25Aのダクト排気口27から排出された排気は、貫通孔33A(ボックス側排気路R2の吸気口)を通じて、カバー部材40(カバー上壁部41、カバー後壁部42、カバー前壁部43)と前端壁部33に囲まれた空間(ボックス側排気路R2)を通り、ボックス排気口43Aから排出される。
【0056】
また、ボックス排気口43Aは、図5及び図6に示すように、ダクト排気口27に対して車両前方(図6の下方)に配されている。また、ボックス排気口43Aは、カバー前壁部43において2箇所に形成されている。
【0057】
2つのボックス排気口43A,43Aは、車幅方向(図6の左右方向)に沿って配列されている。2つのボックス排気口43A,43Aのうち、一方のボックス排気口43Aは、ダクト排気口27に対して、車幅方向の一方側にオフセットされている。これに対して、他方のボックス排気口43Aは、ダクト排気口27に対して、車幅方向の他方側にオフセットされている。
【0058】
ボックス排気口43Aと対向されるシートバック15Bの背面15Cには、これを覆う形で表皮材16が設けられている。表皮材16としては、例えば、合成樹脂、牛革等の獣皮(本革)、織布、不織布などが用いられ、その材質は適宜変更可能である。
【0059】
シートバック15Bの下端には、表皮材16の一部を延長してなる表皮材延長部21(延設部)が設けられている。表皮材延長部21は、図8に示すように、車両後方に向かうにつれて上方に向かうように湾曲されている。表皮材延長部21の先端部(延設部の延設端)は、前端壁部33における車両前端部に対して、例えば、ピン22などの固定手段によって固定されている。
【0060】
これにより、表皮材延長部21は、シートバック15Bの背面15Cと、ボックス排気口43Aとの間に生じる空間R4を下方から覆う構成となっている。これにより、空間R4から排気や物品がリアシート15の下方に向かうことを防止する構成となっている。
【0061】
また、起立姿勢におけるシートバック15Bの下端部は、前端壁部33よりも下方に配されている。このため、シートバック15Bの下端部と前端壁部33とを連結する形で配される表皮材延長部21は、ボックス排気口43Aよりも下方に配されている。また、シートバック15Bの背面15Cと表皮材延長部21に囲まれた空間は、下方に窪む凹部21Aとされる。
【0062】
なお、本実施形態では、シートバック15Bが回動する際には、表皮材延長部21の基端部も回動することになる。この結果、シートバック15Bが前傾姿勢にある状態では、表皮材延長部21の基端部は、前端壁部33よりも高い位置に配される。表皮材延長部21は、シートバック15Bが起立姿勢にある状態では、前端壁部33よりも下方に配されている。このため、表皮材延長部21がシートバック15Bの回動の妨げになることがない。なお、図7及び図8においては、前傾姿勢のシートバック15Bにおける表皮材延長部21を2点鎖線で図示している。
【0063】
ボックス排気口43Aは、デッキボード20の下方に配されるとともにデッキボード20の車両前端よりも車両後方に配されている。そして、デッキボード20の車両前端とシートバック15Bの背面15Cとの間には、間隙S2が設けられている。
【0064】
次に、バッテリ11Aに係る排気構造の作用について説明する。まず、車両10に設けられたファンなどの送風装置(図示せず)からバッテリ11Aに送られた空気は、バッテリ11Aの冷却を行った後、排気として、排気ダクト25Aのダクト吸気口26から排気ダクト25A内に導入される(この時の排気の流れを図2の矢線F1で示す)。
【0065】
排気ダクト25A内(ダクト側排気路R1)を通って上昇する排気は、ダクト排気口27から貫通孔33Aを通って、カバー部材40の内部(ボックス側排気路R2)に導入される(この時の排気の流れを図7の矢線F2で示す)。
【0066】
カバー部材40の内部に排出された排気は、2つのボックス排気口43Aから排出される(この時の排気の流れを図6の矢線F3で示す)。これにより、ボックス排気口43Aからシートバック15Bの背面15Cに向かって排気が排出される。
【0067】
このように本実施形態では、バッテリ11Aを冷却した後の空気をシートバック15Bの背面に向かって排出可能な排気路(第1排気路H1)が、排気ダクト25Aのダクト側排気路R1と、ボックス側排気路R2から構成されている。
【0068】
ボックス排気口43A(第1排気路の第1排気口)から排出された排気は、デッキボード20と前端壁部33の間に形成された空間R3を通過し、シートバック15Bとデッキボックス30の間の空間R4に達する。
【0069】
シートバック15Bとデッキボックス30の間の空間R4の下方には、表皮材延長部21が配されている。このため、空間R4に達した排気は、下方に向かうことがなく、上方に流れる。この結果、ボックス排気口43Aから排出された排気は、デッキボード20の車両前端とシートバック15Bの背面15Cとの間の間隙S2を通じて、荷室13内(より具体的には、シートバック15Bの後方であって、デッキボード20の上方の空間)に排出される(この時の排気の流れを図8の矢線F4で示す)。
【0070】
このように本実施形態では、ボックス排気口43Aから排出された排気を荷室13内に排出可能な排気路(第2排気路H2)が、デッキボード20と前端壁部33の間に形成された空間R3と、シートバック15B、デッキボックス30、表皮材延長部21に囲まれた空間R4によって構成されている。
【0071】
つまり、第2排気路H2は、ボックス排気口43Aとシートバック15Bの背面15Cとの間に設けられており、一端部がボックス排気口43Aと接続され、他端部が間隙S2(第2排気路の排気口である第2排気口)とされる。
【0072】
以上のように、バッテリ11Aを冷却した後の排気は、第1排気路H1及び第2排気路H2を通り、ボックス排気口43Aから荷室13内に排出可能な構成となっている。
【0073】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、バッテリ11Aを冷却した後の排気を、デッキボード20の車両前端部とリアシート15のシートバック15Bとの間隙S2である第2排気口から荷室13内に排出することができる。これにより、バッテリ11Aを冷却した後の排気が予期しない箇所から漏れ出す事態を抑制できる。
【0074】
また、デッキボード20の車両前端部とリアシート15のシートバック15Bとの間隙S2である第2排気口から排気を排出する構成とすれば、シートバック15Bによって排気が遮蔽される結果、車両前方へ向かう事態が抑制される。このため、排気が乗員に向かう事態を抑制できる。
【0075】
また、第2排気口をデッキボード20の車両前端部とリアシート15のシートバック15Bとの間隙S2として設けることでバッテリ11Aから第2排気口(間隙S2)までの距離を比較的短くすることができる。また、第2排気口を別部材で構成する必要がない。このため、より簡易な排気構造とすることができる。
【0076】
また、シートバック15Bの背面15Cとボックス排気口43Aとの間に生じる空間R4を下方から覆う形で延びる表皮材延長部21(延設部)を備え、表皮材延長部21によって第2排気路H2の一部が構成されている。
【0077】
表皮材延長部21によって、ボックス排気口43Aからの排気がシートバック15Bの下方に向かうことを防止することができ、排気を間隙S2(第2排気口)から、より確実に排出することができる。
【0078】
また、表皮材延長部21は、シートバック15Bの背面15Cを覆う表皮材16の一部を延長することで構成されている。
【0079】
シートバック15Bの表皮材16の一部を表皮材延長部21(延設部)とすることで、これを別部材として備える構成と比べて、より簡易な構成にすることができる。また、表皮材16の一部で延設部を構成すれば、仮に、間隙S2を通じて表皮材延長部21が視認された場合であっても見栄えを損なうことがない。
【0080】
また、ボックス排気口43Aは、シートバック15Bの背面15Cと対向配置されるとともに、車両前方に向けて開口されている。
【0081】
このような構成とすれば、ボックス排気口43Aから空間R4(第2排気路)に向けて流れる排気は、シートバック15Bの背面15Cに当たることとなり、その勢いが低減される。これにより、排気がリアシート15を乗り越えて乗員側に向かう事態をより確実に抑制することができる。
【0082】
また、排気ダクト25Aは、その一端部がダクト吸気口26とされ、その他端部が上方に開口されたダクト排気口27とされ、ボックス排気口43Aは、ダクト排気口27に対して、車両前方に配されるとともに、車幅方向におけるいずれか一方側にオフセットされている。
【0083】
このような構成とすれば、ダクト排気口27から出た排気は、カバー前壁部43においてボックス排気口43Aが形成されていない部分に当たることになる。この結果、ダクト排気口27とボックス排気口43Aとを車両前後方向に沿って配列する構成と比べて、ダクト排気口27からボックス排気口43Aを経て車両前方に向かう排気の勢いを弱くすることができる。このため、ボックス排気口43Aからシートバック15Bの背面15Cに向かう排気の勢いをより弱くすることができる。
【0084】
また、ボックス排気口43Aは、デッキボード20の下方に配されるとともにデッキボード20の車両前端よりも車両後方に配されている。
【0085】
このような構成とすれば、ボックス排気口43Aからの排気がデッキボード20の下方を通ることとなる。これにより、排気が上方へ向かう事態をデッキボード20にて抑制することができる。
【0086】
また、表皮材延長部21を備えることで、例えば、間隙S2(デッキボード20の車両前端とシートバック15Bの背面15Cとの間)を通じて、空間R4に物品が落下した場合には、表皮材延長部21によって物品が受け止められる。この結果、空間R4の下方(ひいてはシートバック15Bの下方)に物品が落下する事態を防止することができる。
【0087】
また、表皮材延長部21は、ボックス排気口43Aよりも下方に配されている。
【0088】
これにより、表皮材延長部21に受け止められた物品がボックス排気口43Aを塞ぐ事態を抑制できる。
【0089】
また、シートバック15Bの背面15Cと表皮材延長部21によって、下方に窪む凹部21Aが構成されている。
【0090】
このような構成とすれば、物品が凹部21A内に落下した場合、凹部21Aによって物品を保持し易くなる。
【0091】
また、本実施形態では、バッテリ11Aの排気構造の一部がデッキボックス30の車両前端部(カバー部材40及び前端壁部33)によって構成されている。これにより、より簡易な排気構造とすることができる。
【0092】
また、デッキボックス30における前端壁部33は、ダクト排気口27を上方から覆う構成とされる。このため、ダクト排気口27がデッキボックス30によって隠蔽され、乗員によって上方から視認される事態を抑制することができるため、見栄えを損なうことがない。
【0093】
上記構成において、デッキボックス30の車両前端部は、収容凹部31を構成するカバー後壁部42と、カバー後壁部42の上端から車両前方に延びるとともに荷室13に配置されたデッキボード20を下方から支持可能なカバー上壁部41と、カバー上壁部41の車両前端から下方に延びシートバック15Bの背面15Cと対向配置されるカバー前壁部43と、を備え、ボックス側排気路R2は、カバー後壁部42、カバー上壁部41、及びカバー前壁部43に囲まれた空間とされ、ボックス排気口43Aは、カバー前壁部43を貫通することで形成されている。
【0094】
デッキボード20を支持する壁部であるカバー上壁部41によってボックス側排気路R2を構成することで、より簡易な排気構造とすることができる。
【0095】
また、排気ダクト25Aの他端部には、フランジ部28が設けられ、前端壁部33には、ボックス側排気路R2の吸気口である貫通孔33Aが貫通形成され、貫通孔33Aの孔縁部33Bは、フランジ部28を受けるフランジ受け部とされる。
【0096】
吸気口である貫通孔33Aの孔縁部33Bによってフランジ部28を受ける構成とすることで、排気ダクト25Aとボックス側排気路R2の接続をより確実に行うことができる。
【0097】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図9によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、デッキボックス130を構成するボックス構成部材130Aの構成が上記実施形態と相違する。
【0098】
図9に示すように、本実施形態では、ボックス本体部32の前端壁部133が車両前方に向かうにつれて下降傾斜する形で延設されている。これにより、前端壁部133においてボックス排気口43Aよりも車両前側の部分は、下降傾斜する傾斜壁部133Aとされる。
【0099】
前端壁部133の車両前端部は、ボックス排気口43Aの開口縁部のうち、下側の開口縁部を構成するものとされる。これにより、物品が傾斜壁部133Aの上面に落下した場合に、ボックス排気口43A側(車両後方)に物品が移動する事態を抑制することができる。
【0100】
また、本実施形態では、上記実施形態で例示した表皮材延長部21を備えておらず、その代わりに傾斜壁部133Aの先端からボックス側延設部121(延設部)が延設されている。ボックス側延設部121は、シートバック15Bの背面とボックス排気口43Aとの間に生じる空間R4を下方から覆う構成となっている。これにより、空間R4から排気や物品がリアシート15の下方に向かうことを防止することができる。
【0101】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0102】
(1)上記実施形態では、フロントシート及びリアシートを備える車両を例示し、車両用シートとしてリアシートを例示したが、これに限定されない。車両として、フロントシート(運転席及び助手席)の一列のみを備えた車両を例示してもよく、そのような車両においては、車両用シートとしてフロントシートを例示することができる。
【0103】
(2)上記実施形態では、ボックス排気口43Aがデッキボード20の車両前端よりも車両後方に配されている構成を例示したが、これに限定されない。例えば、ボックス排気口43Aがデッキボード20の車両前端と車両前後方向において同じ位置に配されていてもよい。
【0104】
(3)上記実施形態1のボックス本体部32の前端壁部33を車両前方に向かうにつれて下降傾斜する形で延設する構成としてもよい。
【0105】
(4)排気ダクト25Aの形状や延設方向は、上記実施形態で例示したものに限定されず適宜変更可能である。例えば、排気ダクト25Aの一部が車幅方向に沿って延びていてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10…車両、11A…バッテリ、13…荷室(車両荷室)、15…リアシート(車両用シート)、15B…シートバック、15C…シートバックの背面、20…デッキボード、21…表皮材延長部(延設部)、25A…排気ダクト、26…ダクト吸気口、27…ダクト排気口、43A…ボックス排気口(第1排気口)、121…ボックス側延設部(延設部)、H1…第1排気路、H2…第2排気路、R1…ダクト側排気路(第1排気路を構成)、R2…ボックス側排気路(第1排気路を構成)、R3…空間(第2排気路を構成)、R4…空間(シートバックの背面と第1排気口との間に生じる空間、第2排気路を構成)、S2…間隙(第2排気口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9