(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5827679
(24)【登録日】2015年10月23日
(45)【発行日】2015年12月2日
(54)【発明の名称】封止部材装着機用可変カム機構
(51)【国際特許分類】
F16H 25/12 20060101AFI20151112BHJP
F16H 1/20 20060101ALI20151112BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20151112BHJP
【FI】
F16H25/12 A
F16H1/20
F16H1/06
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-503054(P2013-503054)
(86)(22)【出願日】2011年3月21日
(65)【公表番号】特表2013-524121(P2013-524121A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2011054271
(87)【国際公開番号】WO2011124464
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2014年3月20日
(31)【優先権主張番号】MI2010A000587
(32)【優先日】2010年4月8日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】507379083
【氏名又は名称】ウェイトパック ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】WEIGHTPACK S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】コルニャーニ, カルロ
【審査官】
中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
仏国特許出願公開第00697903(FR,A1)
【文献】
米国特許第04099361(US,A)
【文献】
特開昭61−081988(JP,A)
【文献】
特開2004−332914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/12
F16H 1/06
F16H 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のスカート部(2)であって、当該スカート部(2)と同軸状に配置された回転支持構造体(6)が備えるガイド(4a,5a)に沿って移動可能な少なくとも1つのフォロアローラ(4,5)が圧接されて上下方向に案内されるトラック(3)を有し、前記フォロアローラ(4,5)が最も上昇した状態となる領域に位置する部分で前記トラック(3)が途切れているスカート部(2)と、
前記スカート部(2)に設けられた前記トラック(3)のうち、前記トラック(3)が途切れる部分の両端に近接して配設された2つの円弧状部材(14,15)であって、案内経路に沿って案内される手段(14d,15d)を備え、移動可能ないずれの位置にあるときにも、前記円弧状部材(14,15)の一面の第1部分(14a,15a)の少なくとも一部が、前記トラック(3)に対して不連続とならないように、前記トラック(3)が途切れる位置近傍の前記トラック(3)の部分に隣接して配設され、前記第1部分(14a,15a)に繋がる前記一面の第2部分(14b,15b)が、前記スカート部(2)の中心軸線に直交する平面上にある円弧状部材(14,15)と、
前記2つの円弧状部材(14,15)の互いに対向する端部の間に形成される部分において、前記スカート部(2)の中心軸線に直交する面であると共に、前記円弧状部材(14,15)が移動可能ないずれの位置にあるときにも、前記2つの円弧状部材(14,15)の前記一面における前記第2部分(14b,15b)の少なくとも一部に不連続とならずに隣接する面に位置する前記トラック(3)の部位を定める手段と
を備えることを特徴とする可変カム機構。
【請求項2】
前記スカート部(2)内に設けられ、前記スカート部(2)の中心軸線に沿った並進運動を行うための移動手段(10,11,12)を有するリング(7)を備え、
前記リング(7)は、
前記2つの円弧状部材(14,15)を保持する手段を備えて前記2つの円弧状部材(14,15)を摺動可能に収容する環状座部(7a)と、
前記リング(7)から突設された前部(20)であって、前記2つの円弧状部材(14,15)の互いに対向する端部の間に形成される部分において、前記スカート部(2)の中心軸線に直交する面にある前記トラック(3)の部位の位置を定める前部(20)とを有し、
前記円弧状部材(14,15)には、前記リング(7)の移動の際に、前記案内経路に沿って前記円弧状部材(14,15)を案内するためのローラ(14d,15d)が連結されており、
前記スカート部(2)の周壁には、前記ローラ(14d,15d)が収容される溝(2b,2c)が、前記2つの円弧状部材(14,15)のそれぞれに対して設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の可変カム機構。
【請求項3】
前記スカート部(2)に設けられる前記移動手段は、
前記スカート部(2)のカバー(2a)から延設されたガイドによって前記リング(7)を案内しながら、前記リング(7)を移動させるものであって、
前記リング(7)に設けられた孔(10a,11a,12a)に螺合する複数のネジ山付き棒状部材(10,11,12)と、
前記スカート部(2)の前記カバー(2a)に配設されて、同時に駆動を行う複数の駆動手段(10b,11b,12b,13)と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の可変カム機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変カム機構に関するものであり、特に封止体装着機用の可変カム機構に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの機械装置に、カム機構として知られている機構を用いることが知られている。このカム機構は、少なくとも1つのフォロアローラを案内するトラックが周壁に形成された円筒状のスカート部を有する。フォロアローラは、スカート部と同軸状に設けられた回転構造体が有するガイドによって支持されている。具体的には、フォロアローラが作動シリンダなどのような適切な手段によってトラックと接した状態に保持され、いわゆる圧接された状態が得られるようになっている。
【0003】
従って、フォロアローラは、スカート部に設けられたトラックの形状によって定まる移動を行い、従来技術により提供されるカム機構においては、このトラックの形状により、カム機構が、当該カム機構に組み合わされたフォロアローラを、単一で全く同一の運動規則に従って案内可能に構成されるという、単一の形態が定まるようになっている。
【0004】
その様なフォロアローラは、ほとんど共通性のない様々な状況において作動するように設計された手段にそれぞれ組み合わされて用いられ、当該フォロアローラを備えた機械装置を使用している際にも頻繁に状況が変化しうる。このような状況の変化は、例えば、上記手段が、機械装置に対して求められる要求に応じて寸法上の変更が生じうる対象物を取り扱う必要がある場合に生じる。
【0005】
例えば、キャップを装着しようとする容器の寸法に応じて長さが異なるストローを備えた、一般的にトリガと称されるピストル状の封止部材を装着するように設計されたキャップ装着機として知られる機械装置の場合が、これに相当する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、歪みや摩耗を招くような衝突や不連続性が生じることのないような最適なフォロアローラの運動状態を維持しながら、組み合わされたフォロアローラの上下往復動の行程、即ち、フォロアローラの軌道において生じるフォロアローラの最高位と最低位との間隔を、極めて単純な操作で意図するとおりに変更可能な可変カム機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような本発明の目的は、添付の特許請求の範囲に開示した構成を備えることを特徴とする発明による可変カム機構によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】フォロアローラを備えて構造体中に挿入された可変カム機構を、2つの許容限界状態の中間の状態で示す斜視図である。
【
図2】移動可能範囲において、最小の上下往復動を伴う軌道へとフォロアローラを誘導した状態の可変カム機構を示す斜視図である。
【
図3】移動可能範囲において、最小の上下往復動を伴う軌道へとフォロアローラを誘導した状態の可変カム機構を、
図2とは異なる角度で示す斜視図である。
【
図4】
図2及び
図3に示す状態において、可変カム機構に設けられたリングを示す斜視図である。
【
図5】
図2及び
図3に示す状態において、可変カム機構に設けられたリングを示す斜視図である。
【
図6】最大の上下往復動を伴う軌道へとフォロアローラを誘導した状態の可変カム機構を示す斜視図である。
【
図7】最大の上下往復動を伴う軌道へとフォロアローラを誘導した状態の可変カム機構を示す斜視図である。
【
図8】
図6及び
図7に示す状態において、可変カム機構に設けられたリングを示す斜視図である。
【
図9】
図6及び
図7に示す状態において、可変カム機構に設けられたリングを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面中の限定されない例によって示された、本発明の好ましいが限定されない実施形態についての以下の説明から、より明確になるであろう。
【0010】
図を参照すると、
図1に示すように、符号1は全般に可変カム機構を示しており、可変カム機構1は、トラック3を備えた円筒状のスカート部2を有する。
図1に示すように、2つのフォロアローラ4及び5がトラック3に沿って案内されるようになっており、フォロアローラ4が構造体6内に設けられたガイド4aに沿い、またフォロアローラ5が構造体6内に設けられたガイド5aに沿ってそれぞれ移動可能となっている。構造体6は、スカート部2と同軸状に設けられ、図示しないエアシリンダなどの適切な手段を用い、フォロアローラ4及び5を介してトラック3に圧接された状態を維持しながら、図中の矢印で示す方向に回転可能である。
【0011】
フォロアローラ4は支持部材4bに、またフォロアローラ5は支持部材5bにそれぞれ組み付けられており、これら支持部材4b及び5bは、一実施形態において、充填ラインにおいて容器に挿入されるトリガを着脱可能に装着するための手段を支持する。
【0012】
図から明らかなように、トラック3は、フォロアローラ4及び5が最高位となる領域に位置する面3a及び3bによって途切れている。
【0013】
更に、本発明による可変カム機構は、スカート部2の内部に設けられたリング7を備えており、このリング7には、ガイド支柱8で案内しながら、スカート部2の中心軸線に沿ってリング7の並進運動を行う移動手段が設けられている。ガイド支柱8は、スカート部2のカバー2aから延設されており、環状プレート9にその下端部が固定され、孔8aを介してリング7に組み付けられている。
【0014】
リング7を移動させる移動手段は、ネジ山付きの3つの棒状部材10、11及び12を備えている。これら棒状部材10、11及び12は、リング7に形成された孔10a、11a及び12aに螺合しており、棒状部材10、11及び12には、いずれもリングギヤ13に噛合するピニオンギヤ10b、11b及び12bがそれぞれ設けられているので、棒状部材10、11及び12が同時に回転駆動されることにより、リング7の適正な移動が確保されるようになっている。このような動きは、ピニオンギヤ12bに直接取り付けられている手回しハンドル12cを用い、使用者により必要に応じて上述の機構に与えられる。
【0015】
リング7は、全般に符号14及び15で示される2つの円弧状部材を格納するための環状座部7aを備える。これら円弧状部材14及び15は、ネジ穴16b及び17bに螺合するネジ16a及び17aを用いてリング7に固定された2つの下部プレート16及び17、並びにネジ穴18b及び19bに螺合するネジ18a及び19aを用いて円弧状部材14及び15に固定された2つの上部プレート18及び19により、リング7に対する上下方向の相対位置を維持しながら環状座部7a内で摺動可能となっている。
【0016】
円弧状部材14及び15は、それぞれの一面が環状座部7aから突出して第1部分14a及び15aを形成している。これら第1部分14a及び15aは、後述する移動範囲の全域において、トラック3が途切れる部分に近接したトラック3の対応部分に対して不連続となることなく、少なくとも一部が隣接して設けられている。第1部分14a及び15aは、中間部分14b及び15bを介し、第2部分14c及び15cと繋がっており、第2部分14c及び15cは、常に、スカート部2の中心軸線に直交する平面上にある。
【0017】
なお、円弧状部材14及び15には、後に詳述するように当該円弧状部材14及び15を移動経路内で移動させるべく、スカート部2の周壁に形成された溝2b及び2c内に収容されるように構成されたローラ14d及び15dが設けられている。
【0018】
最後に、符号20は、トラック3が途切れている部分に対応する領域においてリング7から突出するように一体的に形成された前部を示しており、前部20の下面20aは、スカート部2の中心軸線に直交する平面上にある。
【0019】
本発明の作動は以下のとおりである。
可変カム機構が
図2、
図3、
図4、及び
図5に示すような状態にあるとき、フォロアローラ4及び5が案内される軌道は、ます最初にスカート部2によって得られるトラック3により形成され、次にトラック3から離脱した後、円弧状部材15の第1部分15aによって引き続き形成される。この第1部分15aは、前述の通り、不連続とならないようにトラック3に隣接してトラック3に並設されているため、フォロアローラ4及び5はスムーズに通過することができる。
【0020】
次に、フォロアローラ4及び5は、円弧状部材15の中間部分15b及び第2部分15c、並びに前部20に設けられた下面20aに沿って案内される。このとき、第2部分15cと下面20aとが同一平面上に配置されていることから、フォロアローラ4及び5は第2部分15cと下面20aとの繋ぎ目部分をスムーズに通過する。
【0021】
フォロアローラ4及び5の軌道は、下面20aから離脱した後、円弧状部材14の第2部分14c、中間部分14b及び第1部分14aにおいても同様に形成され、フォロアローラ4及び5は、第1部分14aを通過した後に再びトラック3に接した状態となる。
【0022】
上述のように構成される可変カム機構1は、トラック3が途切れる部分に対して径方向で対向する位置におけるトラック3と接している場合に得られるような最低位から、前部20の下面20aに接している場合に得られるような最高位まで、最小の上下往復動を伴う軌道にフォロアローラ4及び5を誘導する。
【0023】
但し、可変カム機構1は、様々な作動要求に従うべく、
図1に示すような中間的な変更状態を経由し、
図6、
図7、
図8及び
図9に示すような状態まで、連続的に自身の形態を変化させることができるようになっている。このような形態の変化により、常に同じレベルのままである最低位と、下面20aに接した状態にあって、極めて単純な操作で作業者が変更可能な最高位との間の最大の上下往復動を伴う軌道をフォロアローラ4及び5にもたらすことが可能となる。
【0024】
実際には、手回しハンドル12cを操作してリング7を上昇させることにより、下面20aを上昇させると共に円弧状部材14及び15を一緒に上昇させるだけでよい。このとき、ローラ14d及び15dが溝2b及び2cに接していることにより、それぞれ対応する円弧状部材14及び15が移動し、前述したような最適な状態でフォロアローラ4及び5が案内される軌道が形成されるように、円弧状部材14の第1部分14a、中間部分14b及び第2部分14c、並びに円弧状部材15の第1部分15a、中間部分15b及び第2部分15cが配置される。
【0025】
上述した本発明は、様々な変形や変更が可能であり、それらは全て添付の特許請求の範囲に含まれるものである。また、各構成は詳細にわたり技術的均等物との置き換えが可能である。
【0026】
本出願が優先権を主張するイタリア国特許出願MI2010A000587において開示するものは、参照によりここに編入される。
【0027】
各請求項に示される技術的特徴には参照符号が付されているが、それらの参照符号は、請求項についての理解を高めることのみを目的とするものであって、それらの参照符号を用いて例示される各構成要素の解釈に何ら限定的な影響を及ぼすものではない。