特許第5828469号(P5828469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5828469ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法および塗布装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5828469
(24)【登録日】2015年10月30日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法および塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/28 20060101AFI20151119BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20151119BHJP
   B05C 1/08 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   B05D1/28
   B05D7/24 301P
   B05C1/08
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-503604(P2015-503604)
(86)(22)【出願日】2014年8月22日
(86)【国際出願番号】JP2014072667
【審査請求日】2015年2月6日
(31)【優先権主張番号】特願2014-102918(P2014-102918)
(32)【優先日】2014年5月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591232543
【氏名又は名称】株式会社サンツール
(74)【代理人】
【識別番号】100064861
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 文雄
(72)【発明者】
【氏名】日高昇二
(72)【発明者】
【氏名】酒井寿
(72)【発明者】
【氏名】垂見成基
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−069125(JP,A)
【文献】 特開平11−042461(JP,A)
【文献】 米国特許第06472025(US,B1)
【文献】 特開昭52−000834(JP,A)
【文献】 特許第4805502(JP,B2)
【文献】 特表2013−534460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00−7/26
B05C 1/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンロールの凸部に塗布されたホットメルト接着剤をパターンロールの凸部表面から塗布基材の表面に転写させる工程を含む、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法において、
スロット溝をパターンロールの軸心方向としたコーターヘッドを、パターンロールのパターン面に対向して設け、
ホットメルト接着剤供給装置から供給されるホットメルト接着剤を、パターンロールのパターン表面に薄膜状態で供給することにより、
パターンロールの凸部表面のみに、薄膜のホットメルト接着剤を供給することを特徴とする、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法。
【請求項2】
パターンロールの凸部に塗布されたホットメルト接着剤をパターンロールの凸部表面から塗布基材の表面に転写させる工程を含む、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法において、
パターンロールのロール表面に、凸部と凹部とが混在する塗布ゾーンと、凸部が存在しない非塗布ゾーンとを形成したパターンロールを使用し、
スロット溝をパターンロールの軸心方向としたコーターヘッドを、パターンロールのパターン面に対向して設け、
ホットメルト接着剤供給装置から供給されるホットメルト接着剤を、パターンロールのパターン表面に向け供給するとともに、
パターンロールのパターン面の塗布ゾーンに、コーターヘッドの底面の接着剤開口が対向するタイミングで、前記コーターヘッドに付設したオンオフ式ホットメルト接着剤供給制御弁の開作動させることにより、
パターンロールの凸部表面のみに、ホットメルト接着剤を供給することを特徴とする、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法。
【請求項3】
パターンロールの凸部に塗布されたホットメルト接着剤をパターンロールの凸部表面から塗布基材の表面に転写させる工程を含む、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法において、
スロット溝をパターンロールの軸心方向としたコーターヘッドを、パターンロールのパターン面に対向して設け、
ホットメルト接着剤供給装置から供給されるホットメルト接着剤を、パターンロールのパターン表面に薄膜状態で供給するとともに、
ロール表面に、凸部と凹部とが混在する塗布ゾーンと、凸部が存在しない非塗布ゾーンとを形成したパターンロールを設け
パターンロールのパターン面の塗布ゾーンに、コーターヘッドの底面の接着剤開口が対向するタイミングで、開作動させるオンオフ式ホットメルト接着剤供給弁を設け、
コーターヘッドの接着剤開口より吐出するホットメルト接着剤を、パターンロールのロール表面の塗布ゾーンに限定して、
パターンロールの凸部表面のみに、薄膜のホットメルト接着剤を供給することを特徴とする、ホットメルト接着剤のロール転写塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法に関し、更に詳しくは、表面に所望のパターンの凸面が形成された塗布ロールの凸部パターン表面に接着剤を塗布しておき、この塗布ロールに接触して移動する紙あるいはプラスチックフイルム等の柔軟性を有する被塗物の表面に、これを転写して塗布する接着剤のロール転写塗布方法に関する。
【背景技術】
接着剤のロール転写塗布方法に関して、ホットメルト接着剤供給装置から供給されるホットメルト接着剤を、凸部パターンが形成されているパターンロールの凸部パターン表面に塗布する手段と、塗布基材を前記パターンロールと圧胴ロールとの間に挟み込んで圧接しつつ移動させることにより、パターンロールの凸部に塗布されたホットメルト接着剤をパターンロールの凸部表面から前記塗布基材の表面に転写させる手段と、接着剤が表面に塗布された塗布基材を貼り合せ素材と張り合わせる手段とを含むホットメルト接着剤のロール転写塗布方法が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】−−特開平10−235278号公開特許公報
【特許文献2】−−特開平10−277455号公開特許公報
【特許文献3】−−特開平11−42461号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の特開平10−235278号公開特許公報「ゴム転写ロールを有するロールコーター及びこれを用いた塗布方法」は、メッシュ状の溝を形成したメッシュロールを使用してゴム転写ロールを介して、基材表面に意匠性のある塗膜を形成している。
燃料タンクより供給された塗料を所定の膜厚を保持して基材表面に供給するものであり、ホットメルト接着剤の薄膜状態で供給する技術を開示していない。
また、基材表面に至る経路でホットメルト接着剤が露出していることで、基材表面に塗布されるホットメルト接着剤にごみその他の不純物の混入や、ホットメルト接着剤の温度変化、劣化を生じる問題点がある。
特許文献2の特開平10−277455号公開特許公報「接着剤塗布方法及び装置」は、第2ロール(転写ロール)の凸面にホットメルト接着剤を供給することで基材にホットメルト接着剤を所定のパターンで塗布するものであるが、第1ロール(メッシュロール)を介してホットメルト接着剤が供給されることで、一定の膜厚を有する塗布面が形成されることとなる。
したがって、特許文献1と同様にホットメルト接着剤の薄膜状態で供給する技術を開示していない。
また、特許文面1と同様に、基材表面に至る経路でホットメルト接着剤が露出していることで、基材表面に塗布されるホットメルト接着剤にごみその他の不純物の混入や、ホットメルト接着剤の温度変化、劣化を生じる問題点がある。
特許文献3の特開平11−42461号公開特許公報「接着剤のロール転写塗布方法」は、「ホットメルト接着剤供給装置から供給されるホットメルト接着剤をスムーサーロール付きスロットノズルを介して凸部パターンが形成された塗布ロールの凸部パターン表面に塗布する手段と、被塗物を前記塗布ロールと圧動ロールとの間に挟み込んで圧接しつつ移動させることにより、塗布ロールの凸部に塗布されたホットメルト接着剤を塗布ロールの凸部表面から前記被塗物の表面に転写させる手段と、前記塗布ロールと圧動ロールとの間に挟まれたホットメルト接着剤の転写領域へ向けて、ロール回転方向に逆らう方向からホットメルト接着剤の転写促進用ホットエアを吹き付ける手段とを含む接着剤のロール転写塗布方法。」を開示している。
凸部パターンが形成された塗布ロールに対するホットメルト接着剤の塗布手段として、スムーサーロール付きスロットノズルを使用している。スムーサーロール付きスロットノズルに関して、特許文献3には、[0020]に下記の記載が存在する。図12を参照して、ホットメルト接着剤供給装置100で溶融されたホットメルト接着剤を管路109を介してスロットノズル104へ供給すると、スロットノズル104の先端に設けたスムーサーロール105にほぼ接触状態で回転する塗布ロール1Aの凸部2の表面にホットメルト接着剤100が塗布される。また塗布ロール1Aの凹部3がスロットノズル104の先端部すなわちスムーサーロール105部に達したときには、ホットメルト接着剤100はスロットノズル4の接着剤戻り路107から歯車ポンプ10および管路111によってホットメルト接着剤供給装置100へ強制循環される。
塗布ロール1Aの凹部3に塗布されたホットメルト接着剤を、ホットメルト接着剤供給装置100へ強制循環させるための手段として、接着剤戻り路107および歯車ポンプ110を付設したスムーサーロール105を装備している。
前記のスムーサーロール105について、高速回転する塗布ロール1Aの凹部3から塗布されたホットメルト接着剤を確実にホットメルト接着剤供給装置8へ強制循環させることは不可能である。
よって、本願発明は、前記のスムーサーロール105を不要とすべく、凸部2の表面にのみにホットメルト接着剤を薄膜状態で塗布することを課題とする。
更に、半製品の基材表面の一部に非塗布ゾーンを形成することが所望される場合に対応して、塗布ゾーンの凸面にのみホットメルト接着剤を供給することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
本願第1発明は、パターンロールの凸部に塗布されたホットメルト接着剤をパターンロールの凸部表面から前記塗布基材の表面に転写させる工程を含む、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法において、
スロット溝をパターンロールの軸心方向としたコーターヘッドを、パターンロールのパターン面に対向して設け、
ホットメルト接着剤供給装置から供給されるホットメルト接着剤を、パターンロールのパターン表面に薄膜状態で供給することにより、
パターンロールの凸部表面のみに、薄膜のホットメルト接着剤を供給することを特徴とする、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法を提供する。
本願第2発明は、パターンロールの凸部に塗布されたホットメルト接着剤をパターンロールの凸部表面から前記塗布基材の表面に転写させる工程を含む、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法において、
パターンロールのロール表面に、凸部と凹部とが混在する塗布ゾーンと、凸部が存在しない非塗布ゾーンとを形成したパターンロールを使用し、
スロット溝をパターンロールの軸心方向としたコーターヘッドを、パターンロールのパターン面に対向して設け、
ホットメルト接着剤供給装置から供給されるホットメルト接着剤を、パターンロールのパターン表面に向け供給するとともに、
パターンロールのパターン面の塗布ゾーンに、コーターヘッドの底面の接着剤開口が対向するタイミングで、前記コーターヘッドに付設したオンオフ式ホットメルト接着剤供給制御弁の開作動させることにより、
パターンロールの凸部表面のみに、ホットメルト接着剤を供給することを特徴とする、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法を提供する。
本願第3発明は、パターンロールの凸部に塗布されたホットメルト接着剤をパターンロールの凸部表面から前記塗布基材の表面に転写させる工程を含む、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法において、
スロット溝(接着剤孔)12をパターンロールの軸心方向としたコーターヘッドを、パターンロールのパターン面に対向して設け、
ホットメルト接着剤供給装置から供給されるホットメルト接着剤を、パターンロールのパターン表面に薄膜状態で供給するとともに、
ロール表面に、凸部と凹部とが混在する塗布エリヤと、凸部が存在しない非塗布エリヤとをパターンロールの軸心方向に形成したパターンロールを設け、
パターンロールのパターン面の塗布ゾーンに、コーターヘッドの底面の接着剤開口が対向するタイミングで、開作動させるオンオフ式ホットメルト接着剤供給弁を設け、
コーターヘッドの接着剤開口より吐出するホットメルト接着剤を、パターンロールのロール表面の塗布エリヤに限定して、
パターンロールの凸部表面のみに、薄膜のホットメルト接着剤を供給することを特徴とする、ホットメルト接着剤のロール転写塗布装置を提供する。
【発明の効果】
本発明は、特許文献1、特許文献2および特許文献3の発明には、開示されていないところの、ホットメルト接着剤の薄膜状態でパターンロールの凸面にホットメルト接着剤の薄膜状態で供給することにより、基材に対するホットメルト接着剤の塗布量を顕著に削減する効果を有する。
さらに、パターンロールの凸面にホットメルト接着剤を直接塗布するものであることで、ホットメルト接着剤のロール転写塗布に当り、転写ロール、接着剤貯留部が 存在しない。よって、ホットメルト接着剤の露出、滞留部分を無いことにより、ホットメルト接着剤の過熱による劣化や油煙の発生、ホットメルト接着剤の揮発成分の飛散が無いことで、装置周辺の汚染の防止により作業環境を良好に維持する効果を有する。
また、凹面のみが存在する塗布範囲(非塗布ゾーンが存在する塗布面)に対するロール転写塗布に際し、コーターヘッドよりのホットメルト接着剤の供給を無くして、凸面のみに薄膜状態のホットメルト接着剤を塗布することで、所望の塗布面を得ることのできる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
図1】は、本願発明を第1実施例を示す、ホットメルト接着剤のロール転写塗布装置の略図。
図2】は、コーターヘッドの縦断面図。
図3】は、同じく横断面図。
図4】は、パターンロールの凸部パターンの種々の実施例を示す、パターンロール表面の部分平面図
図5】は、本願発明の原理を示し、コーターヘッドよりパターンロール表面へのホットメルト接着剤塗布タイミングにおける説明図で、a図は断面略図、b図は部分平面図。
図6】は、同じく凸部への塗布完了タイミングにおける説明図で、a図は断面略図、b図は部分平面図。
図7】は、第2実施例におけるパターンロールのロール面の展開図で、塗布ゾーンと非塗布ゾーンの分布を示す。
図8】は、同じくパターンロールの縦断面図。
図9】は、本願発明の第2実施例を示す、ホットメルト接着剤のロール転写塗布装置の略図。
図10】は、オン作動のホットメルト接着剤制御制御装置の縦断面図。
図11】は、同じくオフ作動の縦断面図。
図12】は、公知のホットメルト接着剤のロール転写塗布装置の、図1同様の略図。
【発明を実施するための形態】
図1ないし図4に示す本願第1実施例にもとづいて、本願第1発明のホットメルト接着剤のロール転写塗布方法、および本願第3発明のホットメルト接着剤のロール転写塗布装置を説明する。
凸部表面2と凹部表面3が形成されているパターンロール1に、そのパターン表面の凸部表面2に、ホットメルト接着剤供給装置10から供給されるホットメルト接着剤HMを塗布する。
凸部 と凹部 が形成されているパターンロール1と、圧胴ロール4との間に、塗布基材M1を挟み込んで圧接しつつ移動させる。
塗布基材A1を前記パターンロール1と圧胴ロール2との間に挟み込んで圧接しつつ移動させることにより、パターンロールの凸部表面2に塗布されたホットメルト接着剤HMをパターンロールの凸部表面2から前記塗布基材A1の表面に転写させる。
接着剤が表面に塗布された塗布基材A2を貼り合せ素材Bとを、一対のニップロール5,5により張り合わせる。
ホットメルト接着剤供給装置10について、図2および図3に示すコーターヘッド11を装備する。
コーターヘッド11は、スロット溝(接着剤孔)12、供給室13、供給路14を経て、スロルット溝12の下端の開口12aと、供給路14の上端の接着剤入口15とを連通している。
接着剤入口15は、弁機構6を経て、接着剤タンク8および圧送ポンプ9含むホットメルト接着剤供給本体7に連通している。
スロット溝(接着剤孔)12、パターンロールの軸心方向とした細幅断面のスリット形状である。スロルット溝12の下端の開口12aは、パターンロール1のパターン面と対向し、パターンロール1の凸部表面2との間に、わずかの間隙が形成されている。
図4は、凸面パターン図で、パターンロール1の凸部表面2の分布の一例を示す。
a段は、凸直線ラインPと、凹直線ライン(空白ライン)Qとが、塗布走行ライン方行(α)に交互に存在している。塗布走行ライン方行(α)と直交方向[スリット溝の長手方向]には、同一である。すなわち、塗布走行ライン方行(α)に一定間隔で凸直線ラインPが存在するパターンである。
b段は、凸円Rを千鳥状配置とし、c段は凸四角形Sを格子状配置としていて、いずれも、凹部分(空白部)Qが、塗布走行ライン方行(α)および直交方向[スリット溝の長手方向]の両方に存在している。
d段およびe段は、凸面部と凹面部が交互に混在するところの、連続繰り返し図形T、Uが塗布走行ライン方行(α)二連続している。
次に、本願第1発明による塗布作用を説明する。
本願発明の原理は、コーターヘッドのスロット溝(接着剤孔)12が非常に狭い幅(シム板の厚さにより設定されている)の基材搬送方向に対し直交方向の長孔であることにより、スロット溝より供給されるホットメルト接着剤により、パターンロールの表面にきわめて薄い膜厚(5μないし30μ)で全面塗布面が形成される(図6参照)。
つぎに、パターンロールの凹部と対向しているホットメルト接着剤が、パターンロールの凸部と対向して接着しているホットメルト接着剤に吸引されて一体化それる。その結果として、凸部表面にのみホットメルト接着剤が塗布され、凹部にはホットメルト接着剤が付着しない。即ち、凸部表面にのみホットメルト接着剤が塗布されることとなる(図6参照)。
図5図6においては、パターンロールの表面にきわめて薄い膜厚(5μないし30μ)で全面塗布面が形成される場合について説明したが、コーターヘッドのスロット溝(接着剤孔)12が更に狭い幅である場合(例えば、コーターヘッドのスロット溝(接着剤孔)12を構成するための、コーターヘッド左右半体間に挿入されるシム板の厚さが0.2mmである)には、凸部表面がコーターヘッドのスロット溝(接着剤孔)12の開口と接触しているか両者の間隔が極めて少ない場合には、コーターヘッドのスロット溝(接着剤孔)12より接着剤の流出量が少なく、滲み出し状態となり、パターンロールの表面のうち、凸部表面にのみ、ホットメルト接着剤が付着して、凹部にはホットメルト接着剤が付着しない。
また、コーターヘッドのセット位置は、パターンロールの周面につき360度選択自由であるので、前記の場合に開口を上向範囲とすると有効的である。
本発明の実施にあたり、パターンロールの凹部3の表面の合計面積が増大する場合等の、ホットメルト接着剤の吐出量が多い場合には、凹部3の表面に、ホットメルト接着剤が付着するおそれがある。
その対策として、ホットメルト接着剤の吐出量の削減を必要とする。
ホットメルト接着剤HM−2の吐出量の削減手段として、パターンロールの凹部パターン表面の合計面積がパターンロールの凸部パターン表面の合計面積に比して増大するに対応して、パターンロールの回転数を増大させる。
その結果として、パターンロールの凹部パターン表面の増加に対し、ホットメルト接着剤の吐出時間の減少で対応する。
さらに、下記の条件変更によっても、ホットメルト接着剤の吐出量を変更可能であり、適宜設定値を選択するものである。
1.スロットダイの接着剤吐出量は、ホットメルト接着剤供給装置の接着剤供給用のポンプの回転数
2.パターンロールの凸部パターン表面と、スロットダイの接着剤孔の開口とのわずかの間隙の調整
3.ホットメルト接着剤供給装置のホットメルト供給路の温度
4.スロットダイの接着剤の断面幅
[有効例1]
凸部凸部パターン:直線状の凸部を回転方向に一定間隔で配置
軸心方向に、全幅
回転方向に、凸部と凹部を交互とし、凸部と凹部と間隔を7,2mm、
凸部の幅を1mm
凸部の高さ1mm
塗布基材への塗布面: 塗布ラインの進行方向に、7、2mmの間隔で1mmの幅の塗布直線ライン
塗布面の膜厚: 5μないし30μ
スロットダイの底面のスリット(接着剤孔)開口:9mmX0.2mmの長方形
ホットメルト接着剤供給装置の接着剤供給用のポンプの回転数: 19rpm
パターンロールの凸部パターン表面と、スロットダイの接着剤孔の開口との間隙:0,015ないし0,05mm
ホットメルト接着剤供給装置のホットメルト供給路の温度:160℃
パターンロールの温度: 130℃ないし60℃
[有効例2]
凸部凸部パターン: 円形の凸部を格子状配置
軸心方向に、凸部と凹部を交互とし、凸部と凹部と間隔を4mm
回転方向に、凸部と凹部を交互とし、凸部と凹部と間隔を5mm、
凸部の直径:2mm
凸部の高さ:1mm
塗布基材への塗布面: 塗布ラインの進行方向に、5mmの間隔で40mmの幅の塗布直線ライン
塗布面の幕厚:5μないし30μ
スロットダイの底面のスリット(接着剤孔)開口:幅90mmX0.2mmの長方形
ホットメルト接着剤供給装置の接着剤供給用のポンプの回転数: −10rpm
パターンロールの凸部パターン表面と、スロットダイの接着剤孔の開口との間隙: 0.015ないし0.05mm
ホットメルト接着剤供給装置のホットメルト供給路の温度: 160℃
パターンロールの温度: 130℃ないし65℃
上記の有効例は、塗布条件の一例を示すものであり、限定条件を示すものではない事を付記する。
つぎに、塗布不良の塗布条件の一例を示す。
[参考例1]
実施例1において、パターンロールの回転数38rpmにおいては、ホットメルト接着剤の一部が凹部の表面に接地し、塗布不良となった。
[参考例2]
実施例2において、
ホットメルト接着剤供給装置の接着剤供給用のポンプの回転数:30rpm、パターンロールの凸部パターン表面と、スロットダイの接着剤孔の開口との間隙:0、1mm、においては、ホットメルト接着剤の一部が凹部の表面に接地し、塗布不良となった。
以上の事例より、本発明によりホットメルト接着剤をパターンロールの凸部パターン表面のみに塗布するためには、パターンロールの凸部パターン表面と、スロットダイの接着剤孔の開口との間隙をきわめて極小‐接触に近い値とすることが好ましく、塗布面の膜厚をきわめて薄くすることが望ましいことが推定される。
以下 本願第2発明および第4発明を、図7ないし図11示す第2実施例にもとづき説明する。
第2実施例は、第1実施例におけるパターンロールのロール表面に、パターンロールの回転方向に、凸部と凹部とが混在する塗布ゾーンXと、凸部が存在しない非塗布ゾーンYとを形成する。即ち、基材の塗布面について、凸部表面2の分布について、基材の縦方向(基材の走行方向)に、凸部表面2が点在する塗布ゾーンXと、凸部表面2が存在しない非塗布ゾーンYとを混在させて形成する(図7参照)。
パターンロールのロール表面に、薄膜のホットメルト接着剤を供給するにあたり、薄膜のホットメルト接着剤の供給を、パターンロールのロール表面の塗布ゾーンXに限定する。
パターンロールのパターン面の塗布ゾーンXに、コーターヘッドの底面の接着剤開口が対向するタイミングで、前記コーターヘッドに付設したオンオフ式ホットメルト接着剤供給制御弁20の開作動させることにより、パターンロールの塗布ゾーンXにのみ、ホットメルト接着剤を供給する(図8参照)。
コーターヘッドの接着剤開口より吐出するホットメルト接着剤を、パターンロールのロール表面の塗布ゾーンに限定する。
図9ないし図11を参照して、オンオフ式ホットメルト接着剤供給弁20を説明する。
コーターヘッド11に、ガンモジュール21、マニホールド22を図示のごとく付設して、マニホールド22のヒーティングホース取入口24に供給されたホットメルト接着剤を、通路25、通路26を介して、コーターヘッド11に供給する。ガンモジュール21の弁室23内に弁体27を介在させることで、弁体27の移動により、通路26と通路25との連通を開閉自在とする。
ガンモジュール21の弁室23内に弁体作用部27Aを挿入するとともに、ガンモジュール21の上部に、閉(オフ)操作用エヤ取入口28および開(オン)操作用エヤ取入口29を設ける。コーターヘッド11、ガンモジュール21およびマニホールド22には、ヒーター32を装備して、供給するホットメルト接着剤を設定温度範囲内に加熱する。図9において、33は、ヒーティングホース、34は、ホットメルト接着剤供給源(ホットメルト接着剤タンクおよび供給ポンプを含む)である。
電磁弁30により、操作エヤ源31より、閉(オフ)操作用エヤ取入口28および開(オン)操作用エヤ取入口29への操作エヤの供給を制御する。
図12は、オンオフ式ホットメルト接着剤供給弁20の開(オン)作動によるホットメルト接着剤の供給状態を示し、図13は、オンオフ式ホットメルト接着剤供給弁20の閉(オフ)作動によるホットメルト接着剤の供給停止状態を示す。
電磁弁30をコンピューター制御することにより、バターロールの塗布ゾーンに対応させて、開(オン)作動させることで、塗布ゾーンXがコーターヘッドと対向するタイミイングでホットメルト接着剤を供給する。
凸部表面2が5mmX5mmの四角形、5mmΦの円形であっても、塗布ゾーンXは10cm以上となることにより、第1実施例を適用することで、凸部表面のみにホットメルト接着剤を塗布することが可能となる。
凹部表面のみが存在する塗布範囲(非塗布ゾーンY)に対するロール転写塗布に際し、コーターヘッドよりのホットメルト接着剤の供給を無くし、凹部表面と凸部表面とが混在する塗布範囲(塗布ゾーンX)に対するロール転写塗布に際し、コーターヘッドよりのホットメルト接着剤を供給することにより、凸面のみに薄膜状態のホットメルト接着剤を塗布することできて、所望の塗布面を得ることのできる効果を有する。
さらに、一度設定した塗布量は長期にわたって安定した塗布ができ、また塗布量を変更する場合には接着剤の供給圧力を変えるだけで、容易に塗布量を変えることができる効果を有する。
また、スムーザーロールその他の付加装置を必要とすることなく、コーターヘッドによる塗布手段のみで、パターンロールの凸部パターン表面のみにホットメルト接着剤を供給することができることにより、装置の簡素化によるコスト低減と、保守を容易にする効果を有する。
【産業上の利用可能性】
本願発明は、体液吸収体製品(ナフキン、使い捨ておむつ等)の製造システムにおいて、従来のデザインコート塗布装置のバターンロール面へのホットメルト接着剤の塗布に際して、ホットメルト接着剤の飛散を防止して、作業環境の改善に寄与するとともに、この種の塗布装置製造業の発展に寄与するものである。
【要約】
本願発明は、パターンロールの凸部の表面にのみにホットメルト接着剤を薄膜状態で塗布することを目的とする。
本願発明は、ホットメルト接着剤のロール転写塗布方法において、スロット溝をパターンロールの軸心方向としたコーターヘッドを、パターンロールのパターン面に対向して設け、ホットメルト接着剤供給装置から供給されるホットメルト接着剤を、パターンロールのパターン表面に薄膜状態で供給することにより、パターンロールの凸部表面のみに、薄膜のホットメルト接着剤を供給することを特徴とする。パターンロールのパターン面の塗布ゾーンに、コーターヘッドの底面の接着剤開口が対向するタイミングで、前記コーターヘッドに付設したオンオフ式ホットメルト接着剤供給制御弁の開作動させることにより、パターンロールの凸部表面のみに、ホットメルト接着剤を供給することを特徴とする。
装置周辺の汚染の防止により作業環境を良好に維持する効果を有する。
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