図1ないし
図4に示す本願第1実施例にもとづいて、本願第1発明のホットメルト接着剤のロール転写塗布方法、および本願第3発明のホットメルト接着剤のロール転写塗布装置を説明する。
凸部表面2と凹部表面3が形成されているパターンロール1に、そのパターン表面の凸部表面2に、ホットメルト接着剤供給装置10から供給されるホットメルト接着剤HMを塗布する。
凸部 と凹部 が形成されているパターンロール1と、圧胴ロール4との間に、塗布基材M1を挟み込んで圧接しつつ移動させる。
塗布基材A1を前記パターンロール1と圧胴ロール2との間に挟み込んで圧接しつつ移動させることにより、パターンロールの凸部表面2に塗布されたホットメルト接着剤HMをパターンロールの凸部表面2から前記塗布基材A1の表面に転写させる。
接着剤が表面に塗布された塗布基材A2を貼り合せ素材Bとを、一対のニップロール5,5により張り合わせる。
ホットメルト接着剤供給装置10について、
図2および
図3に示すコーターヘッド11を装備する。
コーターヘッド11は、スロット溝(接着剤孔)12、供給室13、供給路14を経て、スロルット溝12の下端の開口12aと、供給路14の上端の接着剤入口15とを連通している。
接着剤入口15は、弁機構6を経て、接着剤タンク8および圧送ポンプ9含むホットメルト接着剤供給本体7に連通している。
スロット溝(接着剤孔)12、パターンロールの軸心方向とした細幅断面のスリット形状である。スロルット溝12の下端の開口12aは、パターンロール1のパターン面と対向し、パターンロール1の凸部表面2との間に、わずかの間隙が形成されている。
図4は、凸面パターン図で、パターンロール1の凸部表面2の分布の一例を示す。
a段は、凸直線ラインPと、凹直線ライン(空白ライン)Qとが、塗布走行ライン方行(α)に交互に存在している。塗布走行ライン方行(α)と直交方向[スリット溝の長手方向]には、同一である。すなわち、塗布走行ライン方行(α)に一定間隔で凸直線ラインPが存在するパターンである。
b段は、凸円Rを千鳥状配置とし、c段は凸四角形Sを格子状配置としていて、いずれも、凹部分(空白部)Qが、塗布走行ライン方行(α)および直交方向[スリット溝の長手方向]の両方に存在している。
d段およびe段は、凸面部と凹面部が交互に混在するところの、連続繰り返し図形T、Uが塗布走行ライン方行(α)二連続している。
次に、本願第1発明による塗布作用を説明する。
本願発明の原理は、コーターヘッドのスロット溝(接着剤孔)12が非常に狭い幅(シム板の厚さにより設定されている)の基材搬送方向に対し直交方向の長孔であることにより、スロット溝より供給されるホットメルト接着剤により、パターンロールの表面にきわめて薄い膜厚(5μないし30μ)で全面塗布面が形成される(
図6参照)。
つぎに、パターンロールの凹部と対向しているホットメルト接着剤が、パターンロールの凸部と対向して接着しているホットメルト接着剤に吸引されて一体化それる。その結果として、凸部表面にのみホットメルト接着剤が塗布され、凹部にはホットメルト接着剤が付着しない。即ち、凸部表面にのみホットメルト接着剤が塗布されることとなる(
図6参照)。
図5、
図6においては、パターンロールの表面にきわめて薄い膜厚(5μないし30μ)で全面塗布面が形成される場合について説明したが、コーターヘッドのスロット溝(接着剤孔)12が更に狭い幅である場合(例えば、コーターヘッドのスロット溝(接着剤孔)12を構成するための、コーターヘッド左右半体間に挿入されるシム板の厚さが0.2mmである)には、凸部表面がコーターヘッドのスロット溝(接着剤孔)12の開口と接触しているか両者の間隔が極めて少ない場合には、コーターヘッドのスロット溝(接着剤孔)12より接着剤の流出量が少なく、滲み出し状態となり、パターンロールの表面のうち、凸部表面にのみ、ホットメルト接着剤が付着して、凹部にはホットメルト接着剤が付着しない。
また、コーターヘッドのセット位置は、パターンロールの周面につき360度選択自由であるので、前記の場合に開口を上向範囲とすると有効的である。
本発明の実施にあたり、パターンロールの凹部3の表面の合計面積が増大する場合等の、ホットメルト接着剤の吐出量が多い場合には、凹部3の表面に、ホットメルト接着剤が付着するおそれがある。
その対策として、ホットメルト接着剤の吐出量の削減を必要とする。
ホットメルト接着剤HM−2の吐出量の削減手段として、パターンロールの凹部パターン表面の合計面積がパターンロールの凸部パターン表面の合計面積に比して増大するに対応して、パターンロールの回転数を増大させる。
その結果として、パターンロールの凹部パターン表面の増加に対し、ホットメルト接着剤の吐出時間の減少で対応する。
さらに、下記の条件変更によっても、ホットメルト接着剤の吐出量を変更可能であり、適宜設定値を選択するものである。
1.スロットダイの接着剤吐出量は、ホットメルト接着剤供給装置の接着剤供給用のポンプの回転数
2.パターンロールの凸部パターン表面と、スロットダイの接着剤孔の開口とのわずかの間隙の調整
3.ホットメルト接着剤供給装置のホットメルト供給路の温度
4.スロットダイの接着剤の断面幅
[有効例1]
凸部凸部パターン:直線状の凸部を回転方向に一定間隔で配置
軸心方向に、全幅
回転方向に、凸部と凹部を交互とし、凸部と凹部と間隔を7,2mm、
凸部の幅を1mm
凸部の高さ1mm
塗布基材への塗布面: 塗布ラインの進行方向に、7、2mmの間隔で1mmの幅の塗布直線ライン
塗布面の膜厚: 5μないし30μ
スロットダイの底面のスリット(接着剤孔)開口:9mmX0.2mmの長方形
ホットメルト接着剤供給装置の接着剤供給用のポンプの回転数: 19rpm
パターンロールの凸部パターン表面と、スロットダイの接着剤孔の開口との間隙:0,015ないし0,05mm
ホットメルト接着剤供給装置のホットメルト供給路の温度:160℃
パターンロールの温度: 130℃ないし60℃
[有効例2]
凸部凸部パターン: 円形の凸部を格子状配置
軸心方向に、凸部と凹部を交互とし、凸部と凹部と間隔を4mm
回転方向に、凸部と凹部を交互とし、凸部と凹部と間隔を5mm、
凸部の直径:2mm
凸部の高さ:1mm
塗布基材への塗布面: 塗布ラインの進行方向に、5mmの間隔で40mmの幅の塗布直線ライン
塗布面の幕厚:5μないし30μ
スロットダイの底面のスリット(接着剤孔)開口:幅90mmX0.2mmの長方形
ホットメルト接着剤供給装置の接着剤供給用のポンプの回転数: −10rpm
パターンロールの凸部パターン表面と、スロットダイの接着剤孔の開口との間隙: 0.015ないし0.05mm
ホットメルト接着剤供給装置のホットメルト供給路の温度: 160℃
パターンロールの温度: 130℃ないし65℃
上記の有効例は、塗布条件の一例を示すものであり、限定条件を示すものではない事を付記する。
つぎに、塗布不良の塗布条件の一例を示す。
[参考例1]
実施例1において、パターンロールの回転数38rpmにおいては、ホットメルト接着剤の一部が凹部の表面に接地し、塗布不良となった。
[参考例2]
実施例2において、
ホットメルト接着剤供給装置の接着剤供給用のポンプの回転数:30rpm、パターンロールの凸部パターン表面と、スロットダイの接着剤孔の開口との間隙:0、1mm、においては、ホットメルト接着剤の一部が凹部の表面に接地し、塗布不良となった。
以上の事例より、本発明によりホットメルト接着剤をパターンロールの凸部パターン表面のみに塗布するためには、パターンロールの凸部パターン表面と、スロットダイの接着剤孔の開口との間隙をきわめて極小‐接触に近い値とすることが好ましく、塗布面の膜厚をきわめて薄くすることが望ましいことが推定される。
以下 本願第2発明および第4発明を、
図7ないし
図11示す第2実施例にもとづき説明する。
第2実施例は、第1実施例におけるパターンロールのロール表面に、パターンロールの回転方向に、凸部と凹部とが混在する塗布ゾーンXと、凸部が存在しない非塗布ゾーンYとを形成する。即ち、基材の塗布面について、凸部表面2の分布について、基材の縦方向(基材の走行方向)に、凸部表面2が点在する塗布ゾーンXと、凸部表面2が存在しない非塗布ゾーンYとを混在させて形成する(
図7参照)。
パターンロールのロール表面に、薄膜のホットメルト接着剤を供給するにあたり、薄膜のホットメルト接着剤の供給を、パターンロールのロール表面の塗布ゾーンXに限定する。
パターンロールのパターン面の塗布ゾーンXに、コーターヘッドの底面の接着剤開口が対向するタイミングで、前記コーターヘッドに付設したオンオフ式ホットメルト接着剤供給制御弁20の開作動させることにより、パターンロールの塗布ゾーンXにのみ、ホットメルト接着剤を供給する(
図8参照)。
コーターヘッドの接着剤開口より吐出するホットメルト接着剤を、パターンロールのロール表面の塗布ゾーンに限定する。
図9ないし
図11を参照して、オンオフ式ホットメルト接着剤供給弁20を説明する。
コーターヘッド11に、ガンモジュール21、マニホールド22を図示のごとく付設して、マニホールド22のヒーティングホース取入口24に供給されたホットメルト接着剤を、通路25、通路26を介して、コーターヘッド11に供給する。ガンモジュール21の弁室23内に弁体27を介在させることで、弁体27の移動により、通路26と通路25との連通を開閉自在とする。
ガンモジュール21の弁室23内に弁体作用部27Aを挿入するとともに、ガンモジュール21の上部に、閉(オフ)操作用エヤ取入口28および開(オン)操作用エヤ取入口29を設ける。コーターヘッド11、ガンモジュール21およびマニホールド22には、ヒーター32を装備して、供給するホットメルト接着剤を設定温度範囲内に加熱する。
図9において、33は、ヒーティングホース、34は、ホットメルト接着剤供給源(ホットメルト接着剤タンクおよび供給ポンプを含む)である。
電磁弁30により、操作エヤ源31より、閉(オフ)操作用エヤ取入口28および開(オン)操作用エヤ取入口29への操作エヤの供給を制御する。
図12は、オンオフ式ホットメルト接着剤供給弁20の開(オン)作動によるホットメルト接着剤の供給状態を示し、
図13は、オンオフ式ホットメルト接着剤供給弁20の閉(オフ)作動によるホットメルト接着剤の供給停止状態を示す。
電磁弁30をコンピューター制御することにより、バターロールの塗布ゾーンに対応させて、開(オン)作動させることで、塗布ゾーンXがコーターヘッドと対向するタイミイングでホットメルト接着剤を供給する。
凸部表面2が5mmX5mmの四角形、5mmΦの円形であっても、塗布ゾーンXは10cm以上となることにより、第1実施例を適用することで、凸部表面のみにホットメルト接着剤を塗布することが可能となる。
凹部表面のみが存在する塗布範囲(非塗布ゾーンY)に対するロール転写塗布に際し、コーターヘッドよりのホットメルト接着剤の供給を無くし、凹部表面と凸部表面とが混在する塗布範囲(塗布ゾーンX)に対するロール転写塗布に際し、コーターヘッドよりのホットメルト接着剤を供給することにより、凸面のみに薄膜状態のホットメルト接着剤を塗布することできて、所望の塗布面を得ることのできる効果を有する。
さらに、一度設定した塗布量は長期にわたって安定した塗布ができ、また塗布量を変更する場合には接着剤の供給圧力を変えるだけで、容易に塗布量を変えることができる効果を有する。
また、スムーザーロールその他の付加装置を必要とすることなく、コーターヘッドによる塗布手段のみで、パターンロールの凸部パターン表面のみにホットメルト接着剤を供給することができることにより、装置の簡素化によるコスト低減と、保守を容易にする効果を有する。