(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の吸収体物品を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書においては、本発明の吸収体物品を実際に着用した場合に、着用者の肌に近い側を「上」といい、遠い側を「下」という。また、本発明の吸収体物品を実際に着用した場合に、着用者の体の前側に対応する側を「前」といい、後側に対応する側を「後」という。また、各図中、理解を容易にするために、実際には接触している部材を離間させて示すことがある。添付した図面中の各平面図においては、図の左側に吸収体物品等の前側が位置するように図示してある。
また、本明細書においては、「吸収体物品本体」とは、吸収体物品の構成部材である防漏体、防漏体上に設けることができるトップシート、その他吸収体物品に設けることができる各種部材を総称していうものである。これに従い、吸収体物品がおむつである場合は、吸収体物品本体をおむつ本体と呼ぶ。
さらに、本明細書においては、「吸収体の表面」とは、吸収体が露出している場合は、その表面を意味し、吸収体が拡散シート、アクイジションシート、トップシート(サーフェスシート)、コアラップシート等で被覆されている場合は、被覆している拡散シート、アクイジションシート、トップシート(サーフェスシート)、コアラップシート等の表面を意味する。
【0012】
図1は、本発明の吸収体物品の実施態様の例を示す模式図である。具体的には、
図1は、「身体接触パート(Skin−contact Part)」(以下「Sパート」ともいう。)と「身体非接触パート(Remote Part)」(以下「Rパート」ともいう。)とを有し、SパートとRパートとが一部で結合し、一体化されている子供用パンツ型おむつを示している。
図1(A)は、パンツ型おむつの態様である吸収体物品をその固定部材の左右両側の腰部シール部(図中のZ及びZ’)で切断して、吸収体物品に応力を加えて前後方向及び左右方向に引っ張って展開し、ほぼ平面状にした状態(緊張状態)を模式的に示した展開平面図である。
図1(B)は、緊張状態の
図1(A)中のIB−IB線に沿った横端面図である。
図1(C)は、吸収体物品に応力を加えない場合の(弛緩状態の)
図1(A)中のIC−IC線に沿った横端面図である。
【0013】
図1に示される本発明の吸収体物品100は、パンツ型おむつとして構成されており、基本的に、前後方向に延在し、少なくとも一部に伸縮性を有する左右一対の頭部10と、左右一対の頭部10に左右両縁が結合し、中央部が着用時に下側に垂れ下がるキャナルシート12とを有する、キャナル部材14と、着用時に、キャナル部材14の頭部10が着用者の肌に接触するように、キャナル部材14を着用者の身体に固定する、固定部材とを有する、Sパートと;体液の漏れを防ぐシート状の防漏体22と、防漏体22の上側に配置された体液を吸収しうる吸収体24とを有する、Rパートとを具備する。
【0014】
左右一対の頭部10とキャナルシート12とは、結合部78において、結合している。
【0015】
上記固定部材としては、着用時に、着用者の胴回りに位置する前方被覆部16及び後方被覆部18が用いられている。前方被覆部16及び後方被覆部18は、それぞれ、前端部又は後端部付近に、左右方向に延在するウエストギャザー20を有し、また、ウエストギャザー20より前後方向の中央部側に、左右方向に延在するシャーリングギャザー21を有している。
このように、固定部材が、前身頃を被覆する前方被覆部と、後身頃を被覆する後方被覆部とを有するのは、本発明の好ましい態様の一つである。
【0016】
前方被覆部16と後方被覆部18とは、腰部シール部Z同士、腰部シール部Z’同士で結合して一体化し、着用時に、着用者の腹部の周囲を被覆するようになっている。
このように、前方被覆部と後方被覆部とが一体化し、着用時に、着用者の腹部の周囲を被覆するのは、本発明の吸収体物品の好ましい態様の一つである。これにより、本発明の吸収体物品をパンツ型おむつとすることができる。
【0017】
キャナルシート12は、その下面の左右両側が、前方被覆部16及び後方被覆部18と、それぞれキャナル部−前端結合部80及びキャナル部−後端結合部82で結合している。これらの結合は、キャナル部の前端及び左右縁部に隙間が生じて体液の漏れが発生しないように、密閉シールする役割を果たす。
【0018】
吸収体24は、その上面の全体をサーフェスシート26により被覆されている。
【0019】
防漏体22の左右縁部には、前後方向に延在する帯状の伸縮部材28が設けられている。伸縮部材28の外側面は、前方被覆部16及び後方被覆部18とそれぞれRパート−前端結合部86及びRパート−後端結合部88において結合している。これらの結合は、RパートとSパートを一体化するためのものであって、外れないようになっていればよく、密閉性は不要である。伸縮部材28は、吸収体24の側縁部が下に垂れ下がるのを防止する効果を奏する。伸縮部材28は、着用者の肌に直接接触する必要はない。
吸収体物品100は、Rパートが伸縮部材28を有する態様であるが、本発明においては、伸縮部材を有していなくてもよい。
【0020】
吸収体物品100においては、キャナルシート12の上側から吸収体24の表面に体液を移送する通路として、キャナルシート12を構成する不織布に、微小開口が設けられている。
【0021】
キャナルシート12の下面(キャナルシート12により構成されるキャナル部の底面の下側面)の一部と吸収体24の表面(サーフェスシート26の表面)の一部とは、線状の底面結合部84で結合している。
Sパートの前方被覆部16及び後方被覆部18には、それぞれ、Rパートの前端部周辺及び後端部周辺が、帯状に、かつ、部分的に結合されている。
これにより、SパートとRパートとが外れないようになっている。
【0022】
Sパートのキャナル部は、
図1(C)に示されるように、弛緩状態では、V字型又はU字型の形状を呈し、少なくとも一部に伸縮性を有する左右一対の頭部10のみが着用者の肌に接触する。
吸収体24を有するRパートは、着用者の肌とは確実に離間するようにされている。これは、SパートとRパートとをそれぞれモジュール化することにより、Rパートに含まれる吸収体の重さによって、キャナル部の底面部が下に引っ張られ、キャナル部全体のへたりや変形が少なくなり、特に、股下部CにおいてV字型又はU字型の立体構造を保ちやすくなり、ユニットの立体構造が安定的に存在するためである。
具体的には、着用時に、吸収体(又はそれを被覆するサーフェスシート等)の表面と着用者の肌との距離が5mm以上となるのが好ましい。
【0023】
特許文献1〜3に記載の吸収体物品においては、吸収体とFLG等とが一体化されており、主に吸収体によるFLG等の部位への物理的拘束が存在しており、立体構造の安定化の障害となっているが、本発明の吸収体物品においては、例えば、吸収体物品100においては、股下部において底面結合部84で吸収体24の表面と接合されているのみであるため、Sパートにおけるキャナル部の立体構造が、Rパートの影響を受けにくくなっているため、安定的に存在することができる。
このような理由から、キャナルシート12の側面と吸収体24を被覆するサーフェスシート26との間には、間隙が存在するようになる。
【0024】
吸収体物品100においては、着用者から排出された体液は、左右一対の頭部10間の開口からキャナル部の内側に排出されてキャナルシート12の上側に受容され、その後、キャナル部内を前後方向に移動しつつ、キャナルシート12の上側から微小開口により構成される通路を通じて吸収体24の表面に移送される。
この体液の受容及び移動は、キャナル部が安定的に存在するため、極めて円滑に行われる。
【0025】
本発明においては、SパートとRパートとを別体とすることにより、吸収体の構成、大きさ、形状等を、比較的自由に設計することができる。このため、製品の多様化が容易になる。
従来の吸収体物品においては、吸収体の長さや幅は、吸収体物品の前後方向の長さ及び左右方向の幅の範囲内で、特に、着用者の股下部の狭窄な部位に適合するように設計される必要があった。
本発明においては、吸収体を含むRパートが、着用者の肌から離間した位置にあるから、股下部の狭窄な部位に適合させる必要はない。例えば、股下部に相当する短い長さにする一方で、左右方向に幅広にすることができる。
【0026】
また、本発明においては、吸収体物品をSパート及びRパートという二つのモジュールにより構成することにより、構造そのものが簡易になり、部材の数や種類の削減や、減量が可能になり、さらに製造コストが安価になる。
【0027】
以下、Sパート及びRパートについて、詳細に説明する。
【0028】
1.Sパートの全体構成及び存在状態
図2は、テープ型おむつの態様である本発明の吸収体物品におけるSパートの例を示す模式図である。
図2(A)は、Sパートに応力を加えて前後方向及び左右方向に引っ張って展開し、ほぼ平面状にした状態(緊張状態)を模式的に示した展開平面図である。
図2(B)は、緊張状態の
図2(A)中のIIB−IIB線に沿った横端面図である。
図2(C)は、Sパートに応力を加えない場合の(弛緩状態の)
図2(A)中のIIC−IIC線に沿った横端面図である。
【0029】
図2に示されるSパートSPは、前後方向に延在し、少なくとも一部に伸縮性を有する左右一対の頭部10aと、左右一対の頭部10aに左右両縁が結合し、中央部が着用時に下側に垂れ下がるキャナルシート12aとを有する、キャナル部材14aと、着用時に、着用者の胴回りに位置して、キャナル部材14aの頭部10aが着用者の肌に接触するように、キャナル部材14aを着用者の身体に固定する、固定部材として機能する前方被覆部16a及び後方被覆部18aとを有している。
【0030】
Sパートの前後方向の長さは、吸収体物品の前後方向の長さ(全長)L
Sに等しく、Sパートの左右方向の幅は、吸収体物品の左右方向の幅(全幅)W
Sに等しく、いずれも、吸収体物品のサイズ(例えば、Sサイズ(体重4〜8kg程度用)、Mサイズ(体重6〜11kg程度用)、Lサイズ(体重9〜14kg程度用)、Bigサイズ(体重12〜20kg程度用)、スーパーBigサイズ(体重13〜25kg程度用))に応じて適宜設定することができる。
【0031】
後方被覆部18aの左右両側には、着脱部材30が設けられている。前方被覆部16aの下面には、着脱部材30と互いに着脱自在となるように、着脱部材(図示せず)が設けられている。これらの着脱部材は、例えば、各種面ファスナーにより構成することができる。具体的には、後方被覆部18aの左右両側に設けられる着脱部材30として、粘着テープ、ベルクロテープ(雄)、前方被覆部16aの防漏体10の下面に設けられる着脱部材として、TLZ(Tape Landing Zone)(雌)、ZLZ(Zipper Landing Zone)(雌)を用いることができる。
このように、前方被覆部と後方被覆部とを着脱可能に結合させる着脱部材を有するのは、本発明の好ましい態様の一つである。これにより、本発明の吸収体物品をテープ型おむつとすることができる。
キャナルシート12aは、
図2(B)の前方被覆部の横断面図に示されるように、その下面の左右両側が、前方被覆部16aと、キャナル部−前端結合部80aで結合している。これらの結合は、キャナル部の前端及び左右縁部に隙間が生じて体液の漏れが発生しないように、密閉シールする役割を果たす。具体的には、ホットメルト接着剤等の接着剤により、隙間なく結合させる。
【0032】
着用時には、
図2(C)に示されるように、左右一対の頭部10aからキャナルシート12aが垂下する。
キャナルシート12aの左右方向の中央付近により構成されるキャナル底面32と、キャナルシート12aの左側の頭部10aから垂れ下がった部分により構成されるキャナル左側面部34と、キャナルシート12aの右側の頭部10aから垂れ下がった部分により構成されるキャナル右側面部36とにより、キャナル部が形成されている。
キャナル部は、前後方向において、前身頃F、股下部C、後身頃Rの三つの領域に区分することができる。
キャナル部は、股下部Cにおいて、最も深くなり、断面がV字型又はU字型となる立体構造を呈する。
【0033】
2.キャナル部材の構成
(1)キャナルシート
図3は、種々のキャナルシートを有するキャナル部材を示す模式的な横端面図である。
図3(A)に示されるキャナル部材14bは、左右一対の頭部10bに、キャナルシート12bの左右縁部が結合して、断面がV字型又はU字型となるように、キャナルシート12bの中央部付近が垂れ下がっている。キャナルシート12bの左右縁部は、左右一対の頭部10bを被覆していてもよい。
【0034】
図3(B)に示されるキャナル部材14cは、左右一対の頭部10bに、キャナルシート12cの左右縁部が結合して、断面がV字型又はU字型となるように、キャナルシート12cの中央部付近が垂れ下がっている点で、
図3(A)に示されるキャナル部材10bと同様であるが、キャナルシート12cの左右端部は、頭部10bとの結合部から更に内側に延在して垂れ下がっている。
この延在部は、通常は、
図3(B)に示されるように比較的短く設計される。延在部は、体液をキャナル部に受容する場合には、ガイドシートとして働き、また一時的に収容されて、留まっている体液がキャナル部の外にオーバーフローするのを防止する機能も奏する。
キャナルシート12cの左右縁部は、左右一対の頭部10bを被覆していてもよい。
【0035】
図3(C)に示されるキャナル部材14dは、左右一対の頭部10bに、キャナルシート12dの左右縁部が結合して、断面がV字型又はU字型となるように、キャナルシート12dの中央部付近が垂れ下がっている点で、
図3(A)に示されるキャナル部材10bと同様であるが、キャナルシート12dの左右端部は、頭部10bとの結合部から更に外側に延在して垂れ下がっている。
この延在部は、
図3(C)に示されるように比較的短く設計することができる。この比較的短い延在部は、頭部10bを越える体液が生じた場合に、その体液を吸収体(図示せず)上に回収する液ガイドの機能を奏する。
延在部が、比較的長く設計される場合には、例えば、キャナル部材14dに吸収体(図示せず)が結合されて配置される際に、その吸収体の側面を被覆する部分として、又はその吸収体の左右縁部と結合される部分として働く。
キャナルシート12dの左右縁部は、左右一対の頭部10bを被覆していてもよい。
【0036】
キャナルシートの材料としては、不織布を用いることができる。不織布は、比較的目付量が低いのが好ましい。具体的には、目付量10〜30g/m
2であるのが好ましい。
不織布としては、例えば、合成繊維を原料とする不織布(例えば、PE、PP、PET又はこれらの複合繊維を原料とするスパンボンド(SB)、スパンボンド・メルトブローン積層体(SMS、SMMS)等のスパンメルト不織布;カードウェブを結合したスポットボンド不織布、水流絡合(スパンレースともいう。)不織布、エアスルー不織布)を、単独で又は複合させて使用することができる。
上述した合成繊維を原料とする不織布は、通常、疎水性であるので、体液の浸透性を賦与するため界面活性剤で処理するなどの方法により、全面的に又は部分的に親水化加工を施した不織布を用いることもできる。
【0037】
本発明においてはキャナルシートの上面により構成されるキャナル部の内面側では親水性であり、キャナルシートの下面により構成されるキャナル部の外面側では疎水性であり、かつ、液不透過性である不織布が、キャナルシートとして、好適に用いられる。
この不織布をキャナルシートとして用いると、キャナル部の内面側においては、体液の受容と移動が円滑に行われる。これにより、体液の出口以外の部分からの体液のキャナル部の外への漏れを効果的に防止することができる。
具体的には、例えば、疎水性の不織布(例えば、PP製SMS)に、親水性の不織布(例えば、レーヨン不織布、コットン不織布)又はティッシュペーパーを部分的に積層した積層体が挙げられる。この積層体は、親水性の不織布又はティッシュペーパーの面がキャナル部の内面に、疎水性の不織布の面がキャナル部の外面になるよう配置される。
また、例えば、親水化処理を施された不織布に、疎水性のフィルム(例えば、PEフィルム)を積層した積層体が挙げられる。この積層体は、親水化処理を施された不織布の面がキャナル部の内面に、疎水性のフィルムの面がキャナル部の外面になるよう配置される。
【0038】
本発明においては、キャナルシートの少なくとも一部が液不透過性であるのが好ましい。この場合、体液の受容と移動がより円滑に行われる。
【0039】
(2)頭部
図4は、種々の頭部を有するキャナル部材を示す模式図である。
図4(A)、
図4(C)、
図4(E)、
図4(G)及び
図4(I)は、それぞれ弛緩状態の横端面図であり、
図4(B)、
図4(D)、
図4(F)、
図4(H)及び
図4(J)は、それぞれ緊張状態の平面図である。
図4(A)及び
図4(B)に示されるキャナル部材14eは、キャナルシート12b(例えば、PE/PPスパンボンド不織布。例えば、目付量15g/m
2)と、その左右縁部に、3本のフィラメント状の弾性糸(例えば、ポリウレタンフィラメント。例えば、600dtex)11を並列に配置して被覆させてなる左右一対の頭部10cとを有する。
弾性糸11は、
図4(B)に示されるように、前身頃Fから、股下部Cを経て、後身頃Rにわたって、前後の両端部付近を除く全長に配置されている。
頭部10cの弾性糸11は、前後方向に応力を掛けて伸長された状態でキャナルシート12bに被覆され、接着される。接着後、応力を解放して弾性糸11を弛緩状態とすると、弾性糸11は、収縮して短くなり、これによりキャナルシート12bの左右縁部と弾性糸11とが一体となって頭部10cが伸縮性を有するようになる。
キャナル部材14eは、左右一対の頭部10cに、キャナルシート12bの左右縁部が結合して、断面がV字型又はU字型となるように、キャナルシート12bの中央部付近が垂れ下がっている。
【0040】
図4(C)及び
図4(D)に示されるキャナル部材14fは、キャナルシート12b(例えば、PE/PPスパンボンド不織布。例えば、目付量15g/m
2)と、嵩高の発泡部材11a(例えば、ポリウレタン(例えば、ポリエーテル系ポリウレタン)からなる軟質発泡体シート。例えば、幅15mm。例えば、厚さ4mm)からなる左右一対の頭部10dとを有し、頭部10dの下面にキャナルシート12bの左右縁部が結合している。
発泡部材11aは、
図4(D)に示されるように、前身頃Fから、股下部Cを経て、後身頃Rにわたって、前後の両端部付近を除く全長に配置されている。
頭部10dの発泡部材11aは、前後方向に応力を掛けて伸長された状態でキャナルシート12bに被覆され、接着される。接着後、応力を解放して発泡部材11aを弛緩状態とすると、発泡部材11aは、収縮して短くなり、これにより頭部10dが伸縮性を有するようになる。
キャナル部材14fは、左右一対の頭部10dに、キャナルシート12bの左右縁部が結合して、断面がV字型又はU字型となるように、キャナルシート12bの中央部付近が垂れ下がっている。
【0041】
図4(E)及び
図4(F)に示されるキャナル部材14gは、
図4(A)及び
図4(B)に示されるキャナル部材14eに、発泡部材11b(例えば、ポリウレタン(例えば、ポリエーテル系ポリウレタン)からなる軟質発泡体シート。例えば、幅25mm。例えば、厚さ3mm)を組み合わせたものである。すなわち、頭部10eは、弾性糸11及び発泡部材11bという2種の弾性部材の組合せからなる。
弾性糸11は、
図4(F)に示されるように、前身頃Fから、股下部Cを経て、後身頃Rにわたって、前後の両端部付近を除く全長に配置されている。他方、発泡部材11bは、股下部Cと前身頃F及び後身頃Rの一部とを含む位置に配置されている。発泡部材は、弾性糸と同様にほぼ全長にわたって配置してもよいが、
図4(F)に示されるように一部のみに配置した方が安価となる。
頭部10eは、股下部Cにおいては、3本の弾性糸11とその側面から上部にかけてを被覆する発泡部材11bとにより、弛緩状態で、極めて嵩高(例えば、厚さ7〜8mm)とすることができる。これにより、頭部10eは、嵩高となり、クッション性を有し、頭部10eと着用者の股下部の肌との優れた密着性を得ることができる。
【0042】
図4(G)及び
図4(H)に示されるキャナル部材14hは、
図4(E)及び
図4(F)に示されるキャナル部材14gと同様であるが、発泡部材11bの代わりに、ゴムシート部材11c(例えば、シリコーンゴムシート。例えば、幅20mm。例えば、厚さ2mm)を用いている点で異なる。すなわち、頭部10fは、弾性糸11及びゴムシート11cという2種の弾性部材の組合せからなる。
キャナル部材14hの機能は、キャナル部材14gとほぼ同様である。
【0043】
図4(I)及び
図4(J)に示されるキャナル部材14iは、
図4(E)及び
図4(F)に示されるキャナル部材14gと同様であるが、発泡部材11bの代わりに、発泡部材11d(例えば、ポリプロピレン製発泡体シート。例えば、幅180mm。例えば、厚さ3mm))を用いている点で異なる。より具体的には、発泡部材11dは、弾性糸11を被覆して頭部10gを構成し、更に、キャナルシート12bを下側(外側)から被覆している。発泡部材11dとキャナルシート12bとは、接着剤等により接着され、一体化されている。
弾性糸11は、
図4(J)に示されるように、前身頃Fから、股下部Cを経て、後身頃Rにわたって、前後の両端部付近を除く全長に配置されている。他方、発泡部材11dは、股下部Cと前身頃F及び後身頃Rの一部とを含む位置に配置されている。発泡部材は、弾性糸と同様にほぼ全長にわたって配置してもよいが、
図4(J)に示されるように一部のみに配置した方が安価となる。
【0044】
頭部10gは、弾性糸11及び発泡部材11dという2種の弾性部材の組合せからなる。これにより、頭部10gは、嵩高となり、クッション性を有し、頭部10gと着用者の股下部の肌との優れた密着性を得ることができる。
また、キャナルシート12bは、股下部Cにおいて、発泡部材11dにより被覆されている。これにより、股下部Cにおいて、キャナル部材14iの剛性が高くなり、着用時の着用者の体位の変化等によって生じる加重によるキャナル部材14iのへたりや変形を少なくし、
図4(I)に示されるV字型又はU字型の立体構造を常時保ちやすくなり、ひいては、体液の受容と移動を安定に行うことができる。
さらに、発泡部材11dとして、液不透過性の材料(例えば、上述したポリプロピレン製発泡体シート)を用いた場合、キャナルシート12bに親水性の不織布を使用した場合でも、股下部Cにおけるキャナル部からその外側への体液移動を防止することができる。
以上述べたように、キャナル部材14iにおいては、異なる機能材料の組合せにより製品設計の自由度を広げることができる。
【0045】
いずれのキャナル部材においても、キャナル部材の前後方向の長さL
C(全長)は、吸収体物品の全長L
Sより短い。キャナル部材の左右方向の幅(全幅)W
Cは、吸収体物品の全幅W
Sよりも短い(
図4(B)参照)。
【0046】
(3)キャナル部材の立体構造
体液の受容と移動に関わるキャナル部が安定してその機能を発揮するためには、着用時に、V字型又はU字型の断面を有する立体構造が保持されることが必要である。
そのためには、着用時に、着用者の身体の動きや体位変化による加重や隙間状態の違いにより、キャナル部が押し潰されたり、大きくゆがみ変形したりすることが起こらないようにしておくのが好ましい。特に、キャナル部が深くなる股下部C及びその前後の領域においては、立体構造をしっかりと保持するのが好ましい。
【0047】
図5は、キャナル部の立体構造が保持されやすい種々のキャナル部材を示す模式図である。
図5(A)、
図5(C)、
図5(E)、
図5(G)及び
図5(I)は、それぞれ弛緩状態の横端面図であり、
図5(B)、
図5(D)、
図5(F)、
図5(H)及び
図5(J)は、それぞれ緊張状態の平面図である。
図5(A)及び
図5(B)に示されるキャナル部材14jは、
図3(A)に示されるキャナル部材14bと同様であるが、キャナルシート12b(例えば、親水性の不織布(例えば、PETエアスルー不織布))の下側(外側)に、液不透過性フィルム15(例えば、PEフィルム(例えば、LLDPE樹脂にCaCO
3を共存させた通気性フィルム)。例えば、厚さ20μm))が設けられている。
液不透過性フィルム15は、前後方向においては、キャナル部材14jのほぼ全長にわたって、左右方向においては、キャナル部の底面部と左側面部及び右側面部の一部とを被覆するように設けられている。キャナルシート12bと液不透過性フィルム15とは、ホットメルト接着剤等の接着剤により接着されている。
キャナル部材14jにおいては、キャナルシート12bが液不透過性フィルム15により被覆されているため、キャナル部の底面部と左側面部及び右側面部の一部とが液不透過性(防漏性)となるともに、キャナルシート12bが補強され、キャナル部のへたり現象が軽減され、変形が少なくなり、V字型又はU字型の立体構造がほぼ全長にわたって保たれやすくなる。
【0048】
図5(C)及び
図5(D)に示されるキャナル部材14kは、
図3(A)に示されるキャナル部材14bと同様であるが、キャナルシート12b(例えば、親水性の不織布(例えば、PETエアスルー不織布))の下側(外側)に、液不透過性発泡部材15a(例えば、ポリウレタン(例えば、ポリエーテル系ポリウレタン)からなる軟質発泡体シート。例えば、厚さ2mm)が設けられている。
液不透過性発泡部材15aは、前後方向においては、キャナル部材14kの股下部C及びその前後にわたって、左右方向においては、キャナル部の底面部と左側面部及び右側面部の一部とを被覆するように設けられている。キャナルシート12bと液不透過性発泡部材15aとは、ホットメルト接着剤等の接着剤により接着されている。
キャナル部材14kにおいては、キャナルシート12bが液不透過性発泡部材15aにより被覆されているため、キャナル部の底面部と左側面部及び右側面部の一部とが液不透過性(防漏性)となるともに、キャナルシート12bが補強され、キャナル部のへたり現象が軽減され、変形が少なくなり、V字型又はU字型の立体構造が股下部Cを中心とする領域にわたって保たれやすくなり、その前後の領域も変形が軽減される。
【0049】
図5(E)及び
図5(F)に示されるキャナル部材14lは、
図3(A)に示されるキャナル部材14bと同様であるが、キャナルシート12b(例えば、親水性の不織布(例えば、PETエアスルー不織布))の下側(外側)に、液不透過性発泡部材15b(例えば、発泡スチロール(例えば、冷凍食品等の輸送に使用される断熱容器として用いられるもの)、硬質ウレタンフォーム。例えば、最薄部5mm、最厚部15mm)が設けられている。
液不透過性発泡部材15bは、前後方向においては、キャナル部材14kの股下部Cに、左右方向においては、キャナル部の底面部と左側面部及び右側面部の一部とを被覆するように設けられている。キャナルシート12bと液不透過性発泡部材15bとは、ホットメルト接着剤等の接着剤により接着されている。
液不透過性発泡部材15bの下側の平面部は、吸収体又はそれを被覆するサーフェスシート(いずれも図示せず)とホットメルト接着剤等の接着剤により左右方向の幅広い範囲で結合している。
キャナル部材14lにおいては、キャナルシート12bが液不透過性発泡部材15bにより被覆されているため、キャナル部の底面部と左側面部及び右側面部の一部とが液不透過性(防漏性)となるともに、キャナルシート12bが効果的に補強され、キャナル部のへたり現象が大幅に軽減され、変形がほとんどなくなり、V字型又はU字型の立体構造が股下部Cを中心とする領域にわたって保たれやすくなり、その前後の領域も変形が軽減される。
【0050】
図5(G)及び
図5(H)に示されるキャナル部材14mは、
図3(A)に示されるキャナル部材14bと同様であるが、キャナルシート12b(例えば、疎水性の不織布(例えば、PP製SMMS不織布))の上側(内側)に、吸液性発泡部材15c(例えば、圧縮プレスしたセルローススポンジシート。例えば、厚さ1mm)が設けられている。
吸液性発泡部材15cは、前後方向においては、キャナル部材14kの股下部Cに、左右方向においては、キャナル部の底面部と左側面部及び右側面部の一部とを被覆するように設けられている。キャナルシート12bと吸液性発泡部材15cとは、ホットメルト接着剤等の接着剤により接着されている。
キャナル部材14mにおいては、キャナルシート12bが吸液性発泡部材15cにより被覆されているため、キャナル部の内面において、底面部と左側面部及び右側面部の一部とが親水性となり、体液の濡れ性が優れたものとなり、体液の移動が円滑になるとともに、キャナルシート12bが効果的に補強され、キャナル部のへたり現象が大幅に軽減され、変形がほとんどなくなり、V字型又はU字型の立体構造が股下部Cを中心とする領域にわたって保たれやすくなり、その前後の領域も変形が軽減される。
【0051】
図5(I)及び
図5(J)に示されるキャナル部材14nは、
図3(A)に示されるキャナル部材14bと同様であるが、キャナルシート12b(例えば、疎水性の不織布(例えば、PP製SMMS不織布))の上側(内側)に、親水性嵩高ウェブ15d(例えば、表面親水化PET繊維ウェブ(例えば、中空PET繊維(例えば、7デニール)のカードウエッブ(例えば、目付量50g/m
2)に軽くニードルパンチを施して得られる嵩高ウェブ))が設けられている。親水性嵩高ウェブ15dは、キャナル部の内部容積の1/3程度を充填している。
親水性嵩高ウェブ15dは、前後方向においては、キャナル部材14nの股下部Cと前身頃F及び後身頃Rの一部とにわたって、左右方向においては、キャナル部の底面部と左側面部及び右側面部の一部とを被覆するように設けられている。キャナルシート12bと親水性嵩高ウェブ15dとは、ホットメルト接着剤等の接着剤により接着されている。
キャナル部材14nにおいては、キャナルシート12bが親水性嵩高ウェブ15dにより被覆され、充填されているため、キャナル部の内面において、底面部と左側面部及び右側面部の一部とが親水性となり、体液の濡れ性が優れたものとなり、体液の移動が円滑になるとともに、キャナルシート12bが効果的に補強され、キャナル部のへたり現象が大幅に軽減され、変形がほとんどなくなり、V字型又はU字型の立体構造が股下部Cを中心とする領域にわたって保たれやすくなり、その前後の領域も変形が軽減される。
【0052】
3.固定部材の構成及びキャナル部材との関係
Sパートは、キャナル部材と、固定部材とを有する。
固定部材は、着用時に、キャナル部材の頭部が着用者の肌に接触するように、キャナル部材を着用者の身体に固定するものであれば、特に限定されない。
固定部材に用いられる材料は、例えば、不織布、不織布と液不透過性フィルム(例えば、通気性PEフィルム)とを積層させた複層シートが挙げられる。
中でも、固定部材の少なくとも一部が液不透過性であるのが好ましい。この場合、たとえキャナル部材の端部まで体液が伝わってきても、そこから外部への滲み出し漏れを防ぐことができる。
【0053】
固定部材の構成は、特に限定されず、互いに別部材である固定部材とキャナル部材とを結合させて一体化してSパートとしてもよく(別体結合型)、固定部材とキャナル部材とを連続した一部材のものとしてSパートとしてもよい(連続一体型)。
【0054】
図6は、種々のSパートを示す模式的な平面図である。
図6(A)及び
図6(B)には、それぞれ、別体結合型のSパートが示されている。
図6(A)に示されるSパートは、
図2(A)に示されるSパートと同じものである。
図6(A)に示されるSパートは、上述したとおり、テープ型おむつの態様の吸収体物品に用いられるものである。
固定部材として機能する前方被覆部16a及び後方被覆部18aと、キャナル部材14aとを結合させて一体化してSパートが構成される。
後方被覆部18aの左右両側には、着脱部材30が設けられている。前方被覆部16aの下面には、着脱部材30と互いに着脱自在となるように、着脱部材(図示せず)が設けられている。
【0055】
図6(B)に示されるSパートは、
図1に示される吸収体物品100のSパートと同じものである(ただし、
図6(B)は、簡略化されている。)。
図6(B)に示されるSパートは、上述したとおり、パンツ型おむつの態様の吸収体物品に用いられるものである。
固定部材として機能する前方被覆部16及び後方被覆部18と、キャナル部材14とを結合させて一体化してSパートが構成される。
前方被覆部16a及び後方被覆部18aの左右縁部の腰部シール部Z同士、腰部シール部Z’同士は、互いに結合している。この結合は、キャナル部材14との一体化の前に行ってもよく、後に行ってもよく、同時に行ってもよい。
前方被覆部16aと後方被覆部18aとは、一つの原材料から切り出して製造することもできる。
【0056】
図6(C)及び
図6(D)には、それぞれ、連続一体型のSパートが示されている。
図6(C)に示されるSPは、テープ型おむつの態様の吸収体物品に用いられるものである。
図6(C)に示されるSPにおいては、キャナル部材14oは、頭部10hとキャナルシート12eとを有する。キャナルシート12eは、前方被覆部16b及び後方被覆部18bと連続した一部材(例えば、不織布)により構成されている。頭部10hは、この部材の左右縁部に、伸縮体を結合して設けられる。
後方被覆部18bの左右両側には、着脱部材30が設けられている。前方被覆部16bの下面には、着脱部材30と互いに着脱自在となるように、着脱部材(図示せず)が設けられている。
【0057】
図6(D)に示されるSPは、パンツ型おむつの態様の吸収体物品に用いられるものである。
図6(D)に示されるSPにおいては、キャナル部材14pは、頭部10iとキャナルシート12fとを有する。キャナルシート12fは、前方被覆部16c及び後方被覆部18cと連続した一部材(例えば、不織布)により構成されている。頭部10iは、この部材の左右縁部に、伸縮体を結合して設けられる。
前方被覆部16b及び後方被覆部18bの左右縁部の腰部シール部Z同士、腰部シール部Z’同士は、互いに結合している。
【0058】
図6(E)には、別体結合型のSパートが示されている。
図6(F)には、
図6(E)に示されるSパートを構成する複数の部材が示されている。
図6(E)に示されるSPは、テープ型おむつの態様の吸収体物品に用いられるものである。
図6(E)に示されるSPは、
図6(F)に示される、左右一対の頭部10jとキャナルシート12gとを有するキャナル部材14qと、固定部材として機能する、左側被覆部38及び右側被覆部40とにより構成される。
図6(E)に示されるように、キャナル部材14qの左側に左側被覆部38、キャナル部材14qの右側に右側被覆部40をそれぞれ結合部90において結合させて一体化する。左側被覆部38及び右側被覆部40の前身頃F部分を前方被覆部、後身頃R部分を後方被覆部と捉えることもできる。
左側被覆部38の後方左側及び右側被覆部40の後方右側には、それぞれ、着脱部材30が設けられている。左側被覆部38及び右側被覆部40の下面には、それぞれ、着脱部材30と互いに着脱自在となるように、着脱部材(図示せず)が設けられている。
左側被覆部38と右側被覆部40とは、一つの原材料から切り出して製造することもできる。
【0059】
4.Rパートの構成
図7及び
図8は、それぞれ、種々のRパートを示す模式図である。
図7(A)は、Rパートの平面図である。
図7(B)は、
図7(A)中のVIIB−VIIB線に沿った横端面図である。
図7(A)及び
図7(B)に示されるRパートは、シート状の防漏体22aと、吸収体24aと、サーフェスシート26aとを有する。
吸収体24aは、液不透過性の防漏体22a上に、前身頃Fから股下部Cを経て後身頃Rに至るまで連続して配置され、その上面の全体を液透過性のサーフェスシート26aが被覆している。
防漏体22aとサーフェスシート26aとは、前後左右の端部で結合し、吸収体24aが外に漏れたり、はみ出したりしないようにしている。
【0060】
図7(A)に示されるRパートは、特に大きさを限定されない。
Rパートの前後方向の長さ(全長)L
Rは、Sパートの全長L
Sと比べて選択の余地が大きい。
Rパートの全長L
Rは、Sパートの全長L
Sより短くても長くてもよいし、また、キャナル部材の全長L
Cより短くても長くてもよい。
Rパートの左右方向の幅(全幅)W
Rは、Sパートの全幅W
Sと比べて選択の余地が大きい。
Rパートの全幅W
Rは、Sパートの全幅W
Sより短くても長くてもよいし、また、キャナル部材の全幅W
Cより短くても長くてもよい。例えば、Sパートの全幅W
Sがキャナル部材の全幅W
Cより長く、かつ、Rパートの全幅W
RがSパートの全幅W
Sより長くしてもよい。
後述する
図7(I)及び
図7(J)に示されるRパートは、L
Rが比較的短く、W
Rが比較的長い例である。
【0061】
本発明において、防漏体は、体液の漏れを防ぐシート状の防漏体であれば、特に限定されない。
防漏体の材質は、一般に、バックシートとして用いられているものを用いることができる。具体的には、例えば、PE、PP、PET、EVA等の樹脂のフィルム;前記樹脂の発泡シート等の体液不透過性シートを用いることができる。体液不透過性シートは、通気性フィルム等の通気性を有するものも好適に用いられる。
また、前記樹脂のフィルムを用いる場合には、感触や外観を向上させるために、フィルムと不織布との複層シートとして用いることもできる。この場合、不織布としては、比較的低目付のSB、サーマルボンド不織布(例えば、エアスルータイプ)等が好適に用いられる。
また、前記樹脂のフィルムと後述するシート状吸収体との複層シートを用いることもできる。
また、高耐水性不織布を用いることもできる。高耐水性不織布としては、例えば、耐水度100mmH
2O以上の耐水性を有するSMS、不織布ウェブの細孔をミクロフィブリル化セルロース(MFC)やワックスで充填することにより耐水性を付与されたSMSが挙げられる。この場合、単独で用いてもよく、フィルムと高耐水性不織布との複層シートとして用いることもできる。
【0062】
防漏体は、複数の部材から構成されていてもよい。
【0063】
防漏体は、シート状であり、吸収体を上部に収納し得るものであれば、その形状を特に限定されない。
【0064】
本発明に用いられる吸収体は、体液を吸収しうるものであれば特に限定されず、従来公知の吸収体物品に用いられる吸収体を用いることができる。例えば、粉砕された木材パルプ、粉砕された木材パルプと粒状又は粉体状のSAPとを混合しマット状に成形した吸収体、薄いシート状に成形されたSAPを主成分とするシート状吸収体等を用いることができる。これらの吸収体は、その形状を保持し、同時にパルプやSAPから発生する微粉の発生や脱落を防ぐため、ティッシュペーパー、不織布、開孔フィルム等からなるコアラッピング材で被覆されているのが一般的である。本明細書においては、コアラッピング材が用いられている場合には、コアラッピング材も含めて「吸収体」と呼ぶ。
【0065】
シート状吸収体は、形態安定性、SAPの脱落防止性能等に優れる。
シート状吸収体の中でも、SAPを50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する高吸水性シートであるのが好ましい。また、高吸水性シートにおけるSAPの含有量は、高吸水性シートの安定性等の点で、95質量%以下であるのが好ましい。
【0066】
高吸水性シートは、SAPを主成分とする極薄のシート状吸収体である。高吸水性シートは、SAPの含有量が極めて高いため、厚さが極めて薄い。高吸水性シートの厚さは、1.5mm以下であるのが好ましく、1mm以下であるのがより好ましい。
高吸水性シートは、SAPを主成分とする極薄のシート状吸収体であれば、構成や製造方法を特に限定されない。
例えば、Air Laid法で得られる高吸水性シートが挙げられる。Air Laid法は、粉砕した木材パルプとSAPとを混合し、結合剤を添加してシート状に成形して高吸水性シートを得る方法である。この方法で得られる高吸水性シートとしては、例えば、米国レオニヤ(Rayonier)社製のNOVATHIN(米国登録商標)、王子キノクロス社製のB−SAP等が知られている。
また、SAPの分散スラリーを不織布等の体液透過性シートの上にコーティングする方法で得られる高吸水性シートも挙げられる。ここで、SAPの分散スラリーは、SAPとミクロフィブリル化セルロース(MFC)とを、水とエタノールとの混合溶媒に分散させたものであるのが好ましい。この方法で得られる高吸水性シートとしては、例えば、(株)日本吸収体技術研究所製のMegaThin(登録商標)が知られている。
そのほかに、例えば、起毛状不織布にSAPを大量に担持させ、ホットメルト接着剤、エマルションバインダー、水性繊維等で固定する方法で得られる高吸水性シート、繊維状SAPをPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維と混合してウェブ状に成形する方法で得られる高吸水性シート、SAP層の上下をティッシュで挟んだSAPシートが挙げられる。
【0067】
吸収体は、防漏体の上部に、少なくとも1層配置される。すなわち、吸収体は、1層であってもよく、2層以上(複数層)であってもよい。
また、吸収体は、折りたたんだ状態で配置することもできる。
【0068】
本発明においては、Rパートが、更に、サーフェスシートを有していてもよい。サーフェスシートとしては、従来の吸収体製品のトップシートとして用いられているものを用いることができるが、抗菌性等のスキンケア性能を付与してもよい。また、本発明者らが、国際公開第02/00154号パンフレットで提案したような特殊なスキンコンタクトシートを用いることもできる
【0069】
図7(C)は、別の態様のRパートの平面図である。
図7(D)は、
図7(C)中のVIID−VIID線に沿った縦端面図である。
図7(C)及び
図7(D)に示されるRパートは、
図7(A)及び
図7(B)に示されるRパートと同様であるが、吸収体24aの代わりに、前部及び後部に存在する二つの吸収体24bを有する点で異なる。
前後方向の中央部の吸収体24bが存在しない部分においては、防漏体22aとサーフェスシート26aとが結合されている。
この態様のRパートは、吸収体のない中央部を折り曲げ線として前後に折り畳みやすいという利点がある。
【0070】
図7(E)は、更に別の態様のRパートの平面図である。
図7(F)は、
図7(E)中のVIIF−VIIF線に沿った横端面図である。
図7(E)及び
図7(F)に示されるRパートは、
図7(A)及び
図7(B)に示されるRパートと同様であるが、吸収体24aの代わりに、左右両側に存在する二つの細長い吸収体24cを有する点で異なる。
左右方向の中央部の吸収体24cが存在しない部分においては、防漏体22aとサーフェスシート26aとが結合されている。
この態様のRパートは、吸収体のない中央部を折り曲げ線として左右に折り畳みやすいという利点がある。
【0071】
図7(G)は、更に別の態様のRパートの平面図である。
図7(H)は、
図7(G)中のVIIH−VIIH線に沿った横端面図である。
図7(G)及び
図7(H)に示されるRパートは、
図7(A)及び
図7(B)に示されるRパートと同様であるが、吸収体24aの代わりに、左右両縁部を上側に折り返し、中央部が1層、その左右両側が2層となっている吸収体24dを有する点で異なる。
この態様のRパートは、吸収体が1層である中央部を折り曲げ線として左右に折り畳みやすいという利点がある。
【0072】
図7(I)は、更に別の態様のRパートの平面図である。
図7(J)は、
図7(I)中のVIIJ−VIIJ線に沿った横端面図である。
図7(I)及び
図7(J)に示されるRパートは、シート状の防漏体22bと、2個の吸収体24eと、サーフェスシート26bとを有する。
シート状の防漏体22bは、前後方向の長さが比較的短く(例えば、100〜150mm)、ほぼ股下部Cのみに存在する。
シート状の防漏体22bは、左右方向の幅が比較的長く(例えば、200mm程度)、左右にウイング状に延在している。
2個の吸収体24eは、それぞれ、例えば、長方形のもの(例えば、長さ100mm、幅50mm)が用いられ、防漏体22bの左右両側に配置され、その上面の全体を液透過性のサーフェスシート26bが被覆し、更に、その上側を左右縁部が上側に折り返された防漏体22bが被覆している。防漏体22bの幅方向の中央部には、吸収体が存在していない。
防漏体22bとサーフェスシート26bとは、前後の端部で結合している。
防漏体22bは、左側の吸収体24eの下面、左側面及び上面の3面を被覆し、左側の吸収体24eの前側及び後側において、吸収体24eのない縁部で折り返し部分同士が結合され、吸収体24eが内部に配置された袋状のカプセルを形成している。同様に、防漏体22bは、右側の吸収体24eの下面、右側面及び上面の3面を被覆し、右側の吸収体24eの前側及び後側において、吸収体24eのない縁部で折り返し部分同士が結合され、吸収体24eが内部に配置された袋状のカプセルを形成している。
左右両側のカプセルは、対向する開口部を有する。この開口部は、キャナル部から移送された体液の入口となる。
【0073】
図8(A)は、更に別の態様のRパートに応力を加えて前後方向及び左右方向に引っ張って展開し、ほぼ平面状にした状態(緊張状態)の展開平面図である。
図8(B)は、
図8(A)中のVIIIB−VIIIB線に沿った横端面図である。
図8(A)及び
図8(B)に示されるRパートは、シート状の防漏体22aと、吸収体24fと、サーフェスシート26aとを有する。
吸収体24fは、前後方向の中央部が凹んだ形状をしており、液不透過性の防漏体22a上に、前身頃Fから股下部Cを経て後身頃Rに至るまで連続して配置され、その上面の全体を液透過性のサーフェスシート26aが被覆している。
この態様のRパートは、吸収体の左右方向の幅が狭くなっている中央部分を折り曲げ線として前後に折り畳みやすいという利点がある。
【0074】
防漏体22aとサーフェスシート26aとは、前後左右の端部で結合し、吸収体24aが外に漏れたり、はみ出したりしないようにしている。
防漏体22aの左右の縁部、より具体的には、防漏体22aとサーフェスシート26aとの左右の端部の結合部には、フィラメント状の2本の伸縮部材28aが防漏体22aとサーフェスシート26aとに挟まれて設けられている。
伸縮部材28aは、従来の吸収体物品におけるインナーレッグギャザー(ILG)やアウターレッグギャザー(OLG)のように、着用者の身体に密着して体液の横漏れを防止する目的のものではなく、その前後方向の長さを縮める作用を奏することにより、下側に凸状の形状(C字型)に変形して起立しやすくして、Rパートの表面とキャナル部の底面部の曲面との接触面積を大きくするためのものである。
このように、防漏体の左右縁部に、その前後方向の長さを縮める作用を奏する伸縮部材を有するのは、本発明の吸収体物品の好ましい態様の一つである。
また、このように、防漏体が、着用時に、少なくとも股下部において、下側に凸状の形状となるのは、本発明の吸収体物品の好ましい態様の一つである。
【0075】
図8(C)は、更に別の態様のRパートに応力を加えて前後方向及び左右方向に引っ張って展開し、ほぼ平面状にした状態(緊張状態)の展開平面図である。
図8(D)は、
図8(C)中のVIIID−VIIID線に沿った横端面図である。
図8(C)及び
図8(D)に示されるRパートは、
図8(A)及び
図8(B)に示されるRパートと同様であるが、更に、サーフェスシート26aの前後端部にそれぞれSパート(図示せず)とRパートとを着脱自在に結合させる着脱部材30aを有し、また、サーフェスシート26aの股下部Cの左右方向の中央部に、前後方向に延在し、キャナル部の底面部に着脱自在に結合させる粘着部材42を有する点で異なる。
着脱部材30aは、着脱部材30と同様のものを用いることができる。例えば、各種面ファスナーにより構成することができる。具体的には、着脱部材30aとして、粘着テープ、ベルクロテープ(雄)、Sパートに設けられる着脱部材として、TLZ(雌)、ZLZ(雌)を用いることができる。
粘着部材42は、使用前には、はく離紙で被覆しておくのが好ましい。
図8(C)及び
図8(D)に示されるRパートは、着脱部材30a及び粘着部材42の作用により、Sパートと着脱可能となっている。
このように、SパートとRパートとが着脱可能であるのは、本発明の吸収体物品の好ましい態様の一つである。
【0076】
図8(E)は、更に別の態様のRパートに応力を加えて前後方向及び左右方向に引っ張って展開し、ほぼ平面状にした状態(緊張状態)の展開平面図である。
図8(F)は、
図8(E)中のVIIIF−VIIIF線に沿った縦端面図である。
図8(E)及び
図8(F)に示されるRパートは、
図8(A)及び
図8(B)に示されるRパートと同様であるが、防漏体22cが前後端部で上側に折り返され、折り返し部分の左右縁部がサーフェスシート26aと結合して、前方ポケット部44及び後方ポケット部46を形成している点で異なる。
この態様のRパートは、前方ポケット部44及び後方ポケット部46により、前後漏れの発生をより効果的に抑制することができる。
【0077】
5.Sパートのキャナルシートの下面の一部とRパートの吸収体(又は吸収体を被覆するサーフェスシート若しくは拡散シート)の表面の一部との結合状態
本発明の吸収体物品においては、SパートとRパートとは、少なくともSパートのキャナルシートの下面の一部とRパートの吸収体(又は吸収体を被覆するサーフェスシート若しくは拡散シート)の表面の一部とが結合している。これにより、キャナル部に受容された体液を、通路を経由して吸収体の表面に円滑に移送することが可能になる。
【0078】
図9及び
図10は、種々の本発明の吸収体物品を示す股下部Cにおける模式的な横端面図である。
図9(A)に示される吸収体物品100aは、
図3(A)に示されるキャナル部材14bを有するSパートと、
図7(A)及び
図7(B)に示されるRパートとを有する。
Sパートのキャナルシート12bの下面とRパートの吸収体24aを被覆するサーフェスシート26aの表面とは、左右方向の中央部において、前後方向に延在する底面結合部84aで、結合している。
このように、キャナルシートの下面の左右方向の中央部の一部と、吸収体又はそれを被覆するサーフェスシート等の表面の一部とが、底面結合部において結合しているのは、本発明の吸収体物品の好ましい態様の一つである。
底面結合部84aは、左右方向の幅が短い線状のものであるが、左右方向の幅が長い帯状のものとしてもよい。
底面結合部84aは、股下部Cのみに存在していてもよく、股下部Cから前身頃F及び/又は後身頃Rに延在していてもよい。底面結合部が、股下部Cを含む領域で、前後方向に延在するのは、本発明の吸収体物品の好ましい態様の一つである。
【0079】
図9(B)に示される吸収体物品100bは、
図3(A)に示されるキャナル部材14bを有するSパートと、
図7(E)及び
図7(F)に示されるRパートとを有する。
Sパートのキャナルシート12bの下面とRパートの吸収体24cを被覆するサーフェスシート26aの表面とは、左右方向の中央部(吸収体24cの存在しない箇所)において、前後方向に線状に延在する底面結合部84bで、結合している。
底面結合部84bは、左右方向の幅が短い線状のものであるが、左右方向の幅が長い帯状のものとしてもよい。
底面結合部84bは、股下部Cのみに存在していてもよく、股下部Cから前身頃F及び/又は後身頃Rに延在していてもよい。
【0080】
図9(C)に示される吸収体物品100cは、
図9(B)に示される吸収体物品100bと同様であるが、サーフェスシート26cが左右縁部において下側に折り返され、伸縮部材28bを被覆している。伸縮部材28bは、上述した伸縮部材28aと同様の機能を奏するため、底面結合部84cを、左右方向の幅が長い帯状のものとすることが容易となる。
底面結合部84cは、左右方向の幅が長い帯状のものであるが、左右方向の幅が短い線状のものとしてもよい。
底面結合部84cは、股下部Cのみに存在していてもよく、股下部Cから前身頃F及び/又は後身頃Rに延在していてもよい。
【0081】
図10(A)に示される吸収体物品100dは、
図3(A)に示されるキャナル部材14bを有するSパートと、
図8(A)及び
図8(B)に示されるRパートとを有する。
Sパートのキャナルシート12bの下面とRパートの吸収体24aを被覆するサーフェスシート26aの表面とは、左右方向の中央部及びその左右両側において、前後方向に延在する底面結合部84d及び側面結合部92の3箇所で結合している。
この態様の吸収体物品においては、キャナル部のV字型又はU字型にフィットするように、Rパートが下側に凸状の形状(C字型)に変形して起立し、キャナル部の底面から側面にかけての部分と結合して補強するため、キャナル部の立体構造が保たれやすくなり、着用者の体位に変化や動作によってキャナル部がつぶれたり、変形したりすることが大幅に抑制される。
このように、キャナルシートの下面の左右方向の中央部の一部に加え、キャナルシートの下面の左右縁部付近の一部と、吸収体又はそれを被覆するサーフェスシート等の表面の一部とが、左右の側面結合部において結合しているのは、本発明の吸収体物品の好ましい態様の一つである。
側面結合部92は、股下部Cのみに存在していてもよく、股下部Cから前身頃F及び/又は後身頃Rに延在していてもよい。側面結合部が、股下部Cを含む領域で、前後方向に延在するのは、本発明の吸収体物品の好ましい態様の一つである。
【0082】
この態様の吸収体物品においては、Sパートのキャナルシート12bの下面とRパートの吸収体24aを被覆するサーフェスシート26aの表面とは、3箇所で結合しているが、キャナル部の底面から側面にかけて連続的に結合していてもよい。
このような側面結合部を持つ吸収体物品は、着用時に下側に凸の形状を形成しやすくなり、特に、股下部においては下側に凸の形状が大きくなる。
【0083】
図10(B)に示される吸収体物品100eは、
図9(C)に示される吸収体物品100cと同様であるが、Sパートのキャナルシート12bの下面とRパートの吸収体24cを被覆するサーフェスシート26cの表面とが、左右方向の中央部及びその左右両側において、前後方向に延在する底面結合部84e及び側面結合部92aの3箇所で結合している点で異なる。
3箇所で結合することの効果は、
図10(A)に示される吸収体物品100dと同様である。
図10(B)に示される吸収体物品100eにおいては、左右方向の中央部に吸収体が存在しないため、左右に折れ曲がりやすくなっているので、キャナル部の断面形状が、
図10(A)に示される吸収体物品100dがU字型に近い形状を呈するのと比べて、V字型に近くなる。
この態様の吸収体物品においては、Sパートのキャナルシート12bの下面とRパートの吸収体24cを被覆するサーフェスシート26cの表面とは、3箇所で結合しているが、キャナル部の底面から側面にかけて連続的に結合していてもよい。
【0084】
図10(C)に示される吸収体物品100fは、
図3(A)に示されるキャナル部材14bを有するSパートと、左右両側にカプセルを有するRパートとを有する。
Rパートにおいては、防漏体22dの上に、左右方向のほぼ全域にわたって延在する吸収体24gと、吸収体24gの上を被覆する拡散シート48と、拡散シート48の左右両側の上に存在する2個の吸収体24hが設けられている。
シート状の防漏体22dは、前後方向の長さが比較的短く(例えば、120mm程度)、ほぼ股下部Cのみに存在する。
シート状の防漏体22dは、左右方向の幅が比較的長く(例えば、300mm程度)、左右にウイング状に延在している。
2個の吸収体24hは、それぞれ、例えば、長方形のもの(例えば、長さ100mm、幅50mm)が用いられる。
防漏体22dは、左右の縁部で上側に折り返され、前端及び後端(いずれも図示せず)において、折り返し部分同士が結合され、袋状のカプセルを形成している。
左右両側のカプセルは、対向する開口部を有する。この開口部は、キャナル部から移送された体液の入口となる。
【0085】
拡散シート48は、尿の移動を可能とする流路を有する構造であれば特に限定されないが、体液吸収性や体液保持性を有しないのが、尿の移動が速やかに行われる点で好ましい。具体的には、凸部に開孔を有する凹凸シート部材(開孔凹凸シート部材)が好適に挙げられる。
【0086】
Sパートのキャナルシート12bの下面とRパートの吸収体24gを被覆する拡散シート48の表面とは、左右方向の中央部において、前後方向に延在する底面結合部84fで結合している。また、Sパートのキャナルシート12bの下面とRパートの防漏体22dの折り返し部の端部とは、左右両側において、前後方向に延在するSパート−Rパート側縁結合部94で結合している。このように、SパートとRパートとは、
図10(C)中、3箇所で結合して一体化している。
また、図示しないが、Rパートの前後端は、キャナルシート12bの下面(外面)にホットメルト接着剤等の接着剤により部分的に結合されている。
【0087】
図10(C)に示されるカプセル型の吸収体物品は、股下部Cにおいて、着用者の排泄部を完全に覆うように収容することができる。したがって、例えば、女性用の失禁用品や夜用の生理用ナプキンに好適に用いられる。
【0088】
6.SパートとRパートとのその他の結合状態
本発明の吸収体物品においては、機能上は、上述したように、Sパートのキャナルシートの下面の一部とRパートの吸収体(又は吸収体を被覆するサーフェスシート若しくは拡散シート)の表面の一部とが結合していればよく、その他の箇所では、SパートとRパートとは結合していなくてよいが、結合していた方が、外観が優れたものとなる。
Rパートの全長L
RがSパートの全長L
Sより長い場合は、Rパートの前端及び/又は後端付近の左右両側縁部を、Sパートの固定部材(例えば、前方被覆部及び/又は後方被覆部)に接着剤により結合させることができる。
Rパートの全長L
RがSパートの全長L
S以下である場合は、Rパートの前端及び/又は後端を、Sパートの固定部材(例えば、前方被覆部及び/又は後方被覆部)に接着剤により結合させることができる。その場合、結合の態様は、特に限定されず、左右両縁部及び中央部の3箇所としてもよいし、一定間隔でスポット的に結合してもよいし、全面を帯状に結合してもよい。この場合、液密に結合させる必要はない。
中でも、Rパートの全長L
Rがキャナル部材の全長L
C以下である場合、例えば、股下部CのみにRパートが存在するような場合は、Rパートの前端及び後端が、キャナルシートに、左右方向に部分的に又は全域に結合させることができる。
【0089】
7.体液の移送
本発明の吸収体物品においては、キャナルシートの上側から吸収体の表面に体液を移送する通路が設けられている。
通路は、例えば、キャナルシート自体が有する微小開口(例えば、キャナルシートが液透過性の不織布で構成されている場合、液透過性の不織布の細孔)、キャナルシートに設けられたスリット、キャナルシートに設けられた切欠きが挙げられる。
本発明の吸収体物品を着用している着用者が体液を排出した場合、排出された体液が、キャナルシートの上側に受容され、その後、前後方向に移動しつつ、キャナルシートの上側から上述した通路を通じて吸収体の表面に移送される。
【0090】
8.本発明の吸収体物品の製造方法
本発明の吸収体物品は、その製造方法を特に限定されないが、Sパート及びRパートをそれぞれ形成する工程と、その後、SパートとRパートとを結合させる工程とを行うことにより、製造することができる。
このように、Sパート及びRパートをそれぞれモジュール化することにより、製造工程が簡易になり、したがって、投資コストを抑制することができるとともに、生産性も優れたものとなる。
【0091】
以下、本発明の吸収体物品のより具体的な実施態様の例について説明する。
【0092】
図11は、本発明の吸収体物品の実施態様の別の例を示す模式図である。
図11(A)は、パンツ型おむつの態様である吸収体物品をそのウエストギャザーの左右両側の腰部シール部(図中のZ及びZ’)で切断して、吸収体物品に応力を加えて前後方向及び左右方向に引っ張って展開し、ほぼ平面状にした状態を模式的に示した平面展開図である。
図11(B)は、前記の状態の
図11(A)中のXIB−XIB線に沿った横端面図である。
図11(C)は、吸収体物品に応力を加えない場合の(弛緩状態の)
図11(A)中のXIC−XIC線に沿った横端面図である。
【0093】
図11に示される吸収体物品101は、
図1に示される本発明の吸収体物品100と同様であるが、キャナルシートの上側から吸収体の表面に体液を移送する通路として、種々のスリットが設けられている点で異なる。以下、
図1に示される本発明の吸収体物品100の説明としては省略した部分も含めて、詳細に説明する。なお、以下の説明において、各部材の材料は、例示である。
【0094】
図11に示される吸収体物品101は、子供用パンツ型おむつ(スーパーBigサイズ(体重13〜25kg程度用))として構成されている。
以下に説明する吸収体物品101の各部材の大きさは、スーパーBigサイズである場合の一例であり、適宜変更することができるものであり、また、吸収体物品のサイズが異なれば、当然各部材の大きさも変わってくる。また、以下に説明する吸収体物品101の各部材の大きさは、特に記載のない限り、緊張状態のものである。
【0095】
SパートSPは、全長が690mm、全幅が360mm(弛緩状態では200mm)である。
キャナルシート部材は、全長が550mm、全幅が140mmである。キャナルシート12の折り畳み部分を拡げた幅は、220mmである。左右一対の頭部10の幅は、20mmである。
前方被覆部16は、全長が130mmである。後方被覆部18は、全長が160mmである。
【0096】
RパートRPは、全長が550mm、全幅が190mmである。
吸収体24は、股下部Cにおいて幅が狭くなっている砂時計状であり、全長が490mm、全幅が最大180mm、最小90mmである。
【0097】
Sパートは、
図6(B)に示される別体結合型である。
キャナル部材14の前後端部の下面と前方被覆部16及び後方被覆部18の上面とは、それぞれ、キャナル部−前端結合部80及びキャナル部−後端結合部82でホットメルト接着剤により帯状に連続的に結合し、防漏性を有するように一体化されている。
【0098】
キャナル部材14は、左右一対の頭部10(2本のポリウレタンフィラメントが伸張状態でその上下面が粘着剤により支持体である不織布に結合されて構成されている。)と、左右一対の頭部10間を連結する疎水性のキャナルシート12(目付量15g/m
2のSMMS不織布)とを有する。
キャナルシート12は、疎水性であるため、その細孔は、体液を吸収体の表面に移送する通路としての機能は奏しない。
【0099】
キャナルシート12の前身頃Fには、左右に横切るC字型の前部スリット50と、それより後側に存在する前後方向に延在する細かい線状の前方スリット群52とが設けられている。前部スリット50及び前方スリット群52は、Sパートのキャナル部からRパートの吸収体24へ体液を移送する通路(前方出口)となる。
また、キャナルシート12の後身頃Rから股下部Cにかけての領域には、左右に横切るC字型の後部スリット54と、それより前側に存在する前後方向に延在する細かい線状の後方スリット群56とが設けられている。後部スリット54及び後方スリット群56は、Sパートのキャナル部からRパートの吸収体24へ体液を移送する通路(後方出口)となる。
【0100】
前方被覆部16及び後方被覆部18は、それぞれ、2枚の不織布(目付量13g/m
2のPP製のSMMS不織布)から構成されている。
前方被覆部16の前端付近及び後方被覆部18の後端付近には、それぞれ、全幅にわたって、ウエストギャザー20(厚さ0.35mm、幅1mmのゴム糸3本が12mm間隔で配置され、前方被覆部16及び後方被覆部18を構成する2枚の不織布に挟まれることにより構成されている。)が設けられている。
前方被覆部16のウエストギャザー20より後側及び後方被覆部18のウエストギャザー20より前側には、それぞれ、シャーリングギャザー21(400dtexのポリウレタンフィラメント3本が20mm間隔で配置され、前方被覆部16及び後方被覆部18を構成する2枚の不織布に挟まれることにより構成されている。)が設けられている。
前方被覆部16及び後方被覆部18の左右縁部には、腰部シール部Z、Z’が設けられており、腰部シール部Z同士、腰部シール部Z’同士が結合して、パンツ型おむつを形成する。
【0101】
前方被覆部16の前端から70mm後側の位置にキャナル部材14の前端が位置するように配置され、キャナル部材14の前端及びその周囲の左右側縁と前方被覆部16の下面とが、ホットメルト接着剤でスポット的に結合され、かつ、後方被覆部18の後端から70mm前側の位置にキャナル部材14の後端が位置するように配置され、キャナル部材14の後端及びその周囲の左右側縁と後方被覆部16の下面とが、ホットメルト接着剤でスポット的に結合されている。
【0102】
Rパートにおいて、吸収体24は、シート状の防漏体22の上側に配置され、その上面を液透過性のサーフェスシート26で被覆されている。防漏体22とサーフェスシート26とは、吸収体24が漏れ出ないように、左右両縁でホットメルト接着剤により結合されている。
防漏体22は、厚さ18μmのPE通気性フィルムと目付量12g/m
2のPP/PEスパンボンド不織布との積層体である。
吸収体24は、SAPとパルプとの混合物(SAP/パルプ=60/40(質量比))を圧縮して厚さ1.5mmとし、目付量20g/m
2のティッシュで被覆したものである。
サーフェスシート26は、目付量20g/m
2のPE/PET製エアスルー不織布である。
【0103】
防漏体22の左右縁部には、伸縮部材28(4本のポリウレタンフィラメントを並列に配置し(幅30mm)、不織布で被覆して構成されている。)が設けられている。伸縮部材28の左右方向の内側の下端が、防漏体22の下面に結合され、サーフェスシート26の上面に折り畳まれた状態で配置される。
伸縮部材28は、吸収体24の側縁部が下に垂れ下がるのを防ぐためのものであって、伸縮部材28自体が着用者の肌に直接接触する必要はない。
【0104】
SパートとRパートとの間においては、
図1を用いて説明したように、キャナルシート12の下面(キャナルシート12により構成されるキャナル部の底面の下側面)の一部と吸収体24の表面(サーフェスシート26の表面)の一部とが、ホットメルト接着剤により、股下部Cから前身頃Fにかけて延在する線状の底面結合部84(長さ230mm、幅5mm)で結合している。
また、Sパートの前方被覆部16及び後方被覆部18の下面と、Rパートの折り畳まれた伸縮部材28とが、それぞれ、Rパート−前端結合部86及びRパート−後端結合部88で、結合されている。
これにより、SパートとRパートとは、一体化している。SパートとRパートとの前方及び後方の結合は、底面結合部84での結合を補強する役割も果たしている。
【0105】
図11(C)に示されるように、Sパートのキャナル部材14は、弛緩状態では、左右一対の頭部10の間隔が狭くなり、キャナルシート12により形成されるキャナル部は深くなってV字型又はU字型の形状を呈する。
吸収体物品101の着用時には、少なくとも一部に伸縮性を有する左右一対の頭部10のみが着用者の肌に接触することになり、吸収体24を含むRパートは着用者の肌とは確実に離間する。
【0106】
図12は、本発明の吸収体物品の実施態様の更に別の例を示す模式図である。
図12(A)は、テープ型おむつの態様である吸収体物品に応力を加えて前後方向及び左右方向に引っ張って展開し、ほぼ平面状にした状態を模式的に示した平面展開図である。
図12(B)は、前記の状態の
図12(A)中のXIIB−XIIB線に沿った横端面図である。
図12(C)は、吸収体物品に応力を加えない場合の(弛緩状態の)
図12(A)中のXIIC−XIIC線に沿った横端面図である。なお、以下の説明において、各部材の材料は、例示である。
【0107】
図12に示される吸収体物品102は、子供用テープ型おむつ(Mサイズ(体重6〜11kg程度用))として構成されている。
以下に説明する吸収体物品102の各部材の大きさは、Mサイズである場合の一例であり、適宜変更することができるものであり、また、吸収体物品のサイズが異なれば、当然各部材の大きさも変わってくる。また、以下に説明する吸収体物品102の各部材の大きさは、特に記載のない限り、緊張状態のものである。
【0108】
吸収体物品102は、前後方向に延在し、少なくとも一部に伸縮性を有する左右一対の頭部10kと、左右一対の頭部10kに左右両縁が結合し、中央部が着用時に下側に垂れ下がるキャナルシート12hとを有する、キャナル部材14rと、着用時に、キャナル部材14rの頭部10kが着用者の肌に接触するように、キャナル部材14rを着用者の身体に固定する、固定部材として機能する前方被覆部16b及び後方被覆部18bとを有する、身体接触パートSPと;体液の漏れを防ぐシート状の防漏体22eと、防漏体22eの上側に配置された体液を吸収しうる吸収体24iとを有する、身体非接触パートRPとを具備する。
【0109】
SパートSPは、全長が450mm、全幅が340mmである。
キャナルシート部材は、全長が370mm、全幅が120mmである。左右一対の頭部10kの幅は、15mmである。
前方被覆部16bは、全長が70mmである。後方被覆部18bは、全長が90mmである。
【0110】
RパートRPは、全長が370mm、全幅が140mmである。
吸収体24iは、長方形状であり、全長が340mm、全幅が110mmである。
【0111】
左右一対の頭部10kのポリウレタンフィラメントが存在しない内側延長部58(左右方向の長さ40mm)の先端部の下面とキャナルシート12hとは、結合部78aにおいて、結合している。
【0112】
Sパートは、
図6(A)に示される別体結合型である。
キャナル部材14rの前後端部の下面(より具体的には、左右一対の頭部10kの内側延長部58の結合部78aより外側の部分の下面)と前方被覆部16b及び後方被覆部18bの上面とは、それぞれ、キャナル部−前端結合部80b及びキャナル部−後端結合部82bでホットメルト接着剤により帯状に連続的に結合し、防漏性を有するように一体化されている。
【0113】
キャナル部材14rは、左右一対の頭部10k(3本のポリウレタンフィラメントが伸張状態でその上下面が粘着剤により支持体である不織布に結合されて構成されている。)と、左右一対の頭部10k間を連結する液透過性のキャナルシート12h(目付量15g/m
2の親水化加工を施したPE/PPスパンボンド不織布)とを有する。
液透過性のキャナルシート12hが有する細孔は、キャナルシート12hの上側から吸収体24iの表面に体液を移送する通路として機能する。
【0114】
前方被覆部16b及び後方被覆部18bは、それぞれ、1枚の不織布(目付量15g/m
2のPP製のSMMS不織布)から構成されている。
後方被覆部18bの左右両側には、着脱部材30b(ベルクロテープ(雄))が設けられている。前方被覆部16bの下面には、着脱部材30bと互いに着脱自在となるように、着脱部材(図示せず)が設けられている。これにより、吸収体物品102は、テープ型おむつとなっている。
【0115】
前方被覆部16bの前端から30mm後側の位置にキャナル部材14rの前端が位置するように配置され、キャナル部材14rの前端及びその周囲の左右側縁と前方被覆部16bの下面とが、ホットメルト接着剤で結合され、かつ、後方被覆部18bの後端から50mm前側の位置にキャナル部材14rの後端が位置するように配置され、キャナル部材14rの後端及びその周囲の左右側縁と後方被覆部16bの下面とが、ホットメルト接着剤で結合されている。
【0116】
Rパートにおいて、吸収体24iは、シート状の防漏体22eの上側に配置され、その上面を液透過性のコアラップシート27で被覆されている。防漏体22とコアラップシート27とは、吸収体24iが漏れ出ないように、左右両縁でホットメルト接着剤により結合されている。
防漏体22eは、厚さ18μmのPE通気性フィルムと目付量12g/m
2のPP/PEスパンボンド不織布との積層体である。
吸収体24iは、SAPとパルプとの混合物(SAP/パルプ=60/40(質量比))を圧縮して厚さ1.5mmとし、目付量20g/m
2のティッシュで被覆したものである。
コアラップシート27は、目付量13g/m
2の表面親水化処理を施したPP製のスパンボンド不織布である。
【0117】
SパートとRパートとの間においては、キャナルシート12hの下面(キャナルシート12hにより構成されるキャナル部の底面の下側面)の一部と吸収体24iの表面(コアラップシート27の表面)の一部とが、ホットメルト接着剤により、股下部Cから前身頃Fにかけて延在する線状の底面結合部84g(長さ120mm、幅5mm)で結合している。
また、Sパートの前方被覆部16b及び後方被覆部18bの下面と、防漏体22eの上側に折り畳まれた左右縁部(吸収体24i及びコアラップシート27の存在しない部分)とは、それぞれ、Rパート−前端結合部86a及びRパート−後端結合部88aで、結合されている。
さらに、Sパートの左右一対の頭部10kの内側延長部58の下面と、防漏体22eの上側に折り畳まれた左右縁部(吸収体24i及びコアラップシート27の存在しない部分)とは、股下部Cにおいて、Sパート−Rパート側縁結合部94aで、結合されている。
これにより、SパートとRパートとは、一体化している。SパートとRパートとの前方及び後方の結合並びに左右縁部での結合は、底面結合部84gでの結合を補強する役割も果たしている。
【0118】
図12(C)に示されるように、Sパートのキャナル部材14rは、弛緩状態では、左右一対の頭部10kの間隔が狭くなり(股下部Cにおいては40mm程度)、キャナルシート12hにより形成されるキャナル部は深くなって(股下部Cにおいて最も深くなる。)、V字型又はU字型の形状を呈する。
吸収体物品102の着用時には、少なくとも一部に伸縮性を有する左右一対の頭部10kのみが着用者の肌に接触することになり、吸収体24iを含むRパートは着用者の肌とは確実に離間する。
【0119】
着用者が体液を排出した場合、排出された体液は、キャナルシート12hの上側に受容され、その後、前後方向に移動しつつ、キャナルシート12hの上側から前記通路を通じて吸収体24iの表面に移送される。
【0120】
図13は、本発明の吸収体物品の実施態様の更に別の例を示す模式図である。
図13(A)は、テープ型おむつの態様である吸収体物品に応力を加えて前後方向及び左右方向に引っ張って展開し、ほぼ平面状にした状態を模式的に示した平面展開図である。
図13(B)は、前記の状態の
図13(A)中のXIIIB−XIIIB線に沿った横端面図である。
図13(C)は、吸収体物品に応力を加えない場合の(弛緩状態の)
図13(A)中のXIIIC−XIIIC線に沿った横端面図である。
【0121】
図13に示される吸収体物品103は、
図12に示される本発明の吸収体物品102と同様であるが、左右一対の頭部10lが外側延長部60(左右方向の長さ30mm)を有している点で異なる。
外側延長部60は、前方被覆部16b及び後方被覆部18bのそれぞれと、キャナル部−前端結合部80c及びキャナル部−後端結合部82cで結合している。
外側延長部60は、防漏体22eと、Sパート−Rパート側縁結合部94bで結合している点で異なる。
図13に示される吸収体物品103は、
図12に示される本発明の吸収体物品102と比べて、左右一対の頭部10lの左右方向への移動の自由度が大きい。
【0122】
図14は、本発明の吸収体物品の実施態様の更に別の例を示す模式図である。
図14(A)は、パンツ型おむつの態様である吸収体物品をそのウエストギャザーの左右両側の腰部シール部(図中のZ及びZ’)で切断して、吸収体物品に応力を加えて前後方向及び左右方向に引っ張って展開し、ほぼ平面状にした状態の左右方向の中央部における縦端面図である。
図14(B)は、前記の状態のSパートの平面図である。
図14(C)は、前記の状態のRパートの平面図である。
【0123】
図14に示される吸収体物品104は、
図11に示される本発明の吸収体物品101と同様であるが、SパートとRパートとが着脱可能となっている点及び各部材の大きさの点で異なる。なお、以下の説明において、各部材の材料は、例示である。
【0124】
図14に示される吸収体物品104は、子供用パンツ型おむつ(スーパーBigサイズ(体重13〜25kg程度用))として構成されている。
以下に説明する吸収体物品104の各部材の大きさは、スーパーBigサイズである場合の一例であり、適宜変更することができるものであり、また、吸収体物品のサイズが異なれば、当然各部材の大きさも変わってくる。また、以下に説明する吸収体物品104の各部材の大きさは、特に記載のない限り、緊張状態のものである。
【0125】
SパートSPは、全長が690mm、全幅が360mm(弛緩状態では200mm)である。
キャナルシート部材は、全長が570mm、全幅が140mmである。キャナルシート12の折り畳み部分を拡げた幅は、220mmである。左右一対の頭部10の幅は、20mmである。
前方被覆部16は、全長が130mmである。後方被覆部18は、全長が160mmである。
【0126】
RパートRPは、全長が500mm、全幅が210mmである。
吸収体24は、股下部Cにおいて幅が狭くなっている砂時計状であり、全長が430mm、全幅が最大170mm、最小90mmである。
【0127】
SパートとRパートとが着脱可能となっている構造について説明する。
Rパートのサーフェスシート26の前端及び後端においては、それぞれ、左右方向の3箇所に、着脱部材30c(ベルクロテープ(雄))が設けられている。
Sパートの前方被覆部16及び後方被覆部18においては、図示しないが、それぞれ、下面に、着脱部材30cと着脱自在である着脱部材(TLZ(雌))が設けられている。
Rパートの着脱部材30cが着脱自在に結合する位置は、Sパートの前方被覆部16の前端から35mm程度後側、及び、後方被覆部18の後端から35mm程度前側である。
【0128】
また、Rパートの吸収体24を被覆するサーフェスシート26の左右方向の中央部には、股下部Cにおいて、前後方向に延在する粘着部材42a(前後方向の長さ120mm、左右方向の幅5mm)が設けられており、Sパートのキャナルシート12の下面(キャナル部の底面部)と着脱自在となっている。
【0129】
このように、着脱部材30c及びこれと着脱自在な着脱部材と、粘着部材42aとの作用により、SパートとRパートとは、着脱可能となっている。
【0130】
以上、本発明の吸収体物品を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、各部の構成は、同様の機能を発揮しうる任意の構成と置換することができる。
また、各実施形態における各部の構成を任意に組み合わせて、別の実施形態とすることもできる。
【0131】
本発明の吸収体物品は、紙おむつ(子供用及び大人用)、失禁用品、トレーニングパンツ、女性用生理用品等に好適に用いられる。