特許第5828993号(P5828993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5828993
(24)【登録日】2015年10月30日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】複合基板および機能素子
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/38 20060101AFI20151119BHJP
【FI】
   C30B29/38 D
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-520763(P2015-520763)
(86)(22)【出願日】2014年12月15日
(86)【国際出願番号】JP2014083165
【審査請求日】2015年4月27日
(31)【優先権主張番号】特願2013-261037(P2013-261037)
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】岩井 真
(72)【発明者】
【氏名】今井 克宏
(72)【発明者】
【氏名】坂井 正宏
【審査官】 安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/022122(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/176291(WO,A1)
【文献】 特開2007−106667(JP,A)
【文献】 特開2003−063897(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/129246(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/051163(WO,A1)
【文献】 特開2006−054231(JP,A)
【文献】 特開2005−136167(JP,A)
【文献】 特開2009−111423(JP,A)
【文献】 特許第4301251(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
H01L 33/00
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サファイア基板、および前記サファイア基板上に設けられた窒化ガリウム結晶層を備える複合基板であって、前記複合基板が、13族元素窒化物からなる発光素子構造を前記窒化ガリウム結晶層上に設けるための複合基板であり、前記複合基板の反りが5.08cm当たり、+40μm以上、+80μm以下であり、前記サファイア基板の底面に形成された耐熱性材料からなる膜を有しており、前記耐熱性材料が前記発光素子構造の形成温度に対して耐熱性を有することを特徴とする、複合基板。
【請求項2】
前記窒化ガリウム結晶層の表面が鏡面であり、前記サファイア基板の底面が、平均粗さRaが10nmより大きく、500nm以下である半鏡面であることを特徴とする、請求項1記載の複合基板。
【請求項3】
前記複合基板が円板状であり、前記複合基板の寸法が、直径φ50mm以上であることを特徴とする、請求項1または2記載の複合基板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の複合基板を製造する方法であって、
前記サファイア基板上に前記窒化ガリウム結晶層をフラックス法によって窒素含有雰囲気下に融液から育成することを特徴とする、複合基板の製造方法
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載の複合基板上に気相法によって13族元素窒化物からなる前記発光素子構造形成することを特徴とする、発光素子の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合基板および機能素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、窒化ガリウムなどの13族元素窒化物を用いて、青色LEDや白色LED、青紫色半導体レーザなどの半導体デバイスを作製し、その半導体デバイスを各種電子機器へ応用することが活発に研究されている。従来の窒化ガリウム系半導体デバイスは、主に気相法により作製されている。具体的には、サファイア基板やシリコンカーバイド基板の上に窒化ガリウムの薄膜を有機金属気相成長法(MOVPE)などによりヘテロエピタキシャル成長させて作製される。この場合、基板と窒化ガリウムの薄膜との熱膨張係数や格子定数が大きく異なるため、高密度の転位(結晶における格子欠陥の一種)が窒化ガリウムに生じる。このため、気相法では、転位密度の低い高品質な窒化ガリウムを得ることが難しかった。
【0003】
フラックス法は、液相法の一つであり、窒化ガリウムの場合、フラックスとして金属ナトリウムを用いることで窒化ガリウムの結晶成長に必要な温度を800℃程度、圧力を数MPaに緩和することができる。具体的には、金属ナトリウムと金属ガリウムとの混合融液中に窒素ガスが溶解し、窒化ガリウムが過飽和状態になって結晶として成長する。こうした液相法では、気相法に比べて転位が発生しにくいため、転位密度の低い高品質な窒化ガリウムを得ることができる。
【0004】
本出願人は、Naフラックス法を利用したGaNテンプレートの製法として、特許文献1(特開2010−168236)、特許文献2(WO 2013/022122)、特許文献3(WO 2013/021804)、特許文献4(WO 2013/022123)を出願した。
【0005】
また、GaN自立基板の反りを矯正するため,GaN自立基板の表面と背面とを順番に研磨することが、特許文献5(特開2005−136167)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−168236
【特許文献2】WO 2013/022122
【特許文献3】WO 2013/021804
【特許文献4】WO 2013/022123
【特許文献5】特開2005−136167
【特許文献6】特許第4301251
【特許文献7】特開2010−219353
【特許文献8】特許第4380791
【特許文献9】特表2005−506271
【特許文献10】特開2009−111423
【特許文献11】特開2006−332714
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、フラックス法により作製した低転位GaNテンプレートを用い、MOCVD法にて、LEDやパワーデバイスの機能を実現する構造を成膜することを研究していた。GaNテンプレート基板とは、支持基板上に種結晶層および窒化ガリウム結晶層を設けてなる基板であり、この上に機能層をさらに形成するためのテンプレートとなるものである。
【0008】
具体的には、表面が平坦なサファイア基板の上にMOCVD法などにより窒化ガリウム結晶層を成膜して作製した種結晶基板を用いて、さらにその上にフラックス法により成長温度800℃〜900℃で窒化ガリウム結晶層を成長させると、最表面が低転位密度の窒化ガリウム結晶層を持つGaNテンプレートを作製できる。また、GaNテンプレート上に成膜される機能素子を均一化するために、GaNテンプレートのサファイア基板を研磨加工し、GaNテンプレートの反りを低減した。
【0009】
本発明者は、このGaNテンプレートを用いて、MOCVD法によりLED構造を作製しようと試みた。しかし、この際、高温雰囲気(例えば1000℃以上)にて発光素子構造を成膜すると、発光波長分布が生じ、所望の発光波長が得られる領域の面積比率が小さくなることが判明した。
【0010】
本発明者は、こうした発光波長分布の生じた原因について調査した。この結果、意外なことに、サファイア基板の背面を研磨加工することで室温でのGaNテンプレートの反りを小さくすると、かえって発光波長分布が大きくなることがわかった。これは、発光層を成膜するときに発光層内で組成分布が生ずるためである。
【0011】
本発明の課題は、サファイア基板、およびサファイア基板上に結晶成長した窒化ガリウム結晶層を備える複合基板において、その上に13族元素窒化物からなる発光素子構造を形成するときに、発光素子構造のバラツキを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、サファイア基板、および前記サファイア基板上に設けられた窒化ガリウム結晶層を備える複合基板であって、前記複合基板が、13族元素窒化物からなる発光素子構造を前記窒化ガリウム結晶層上に設けるための複合基板であり、前記複合基板の反りが5.08cm当たり、+40μm以上、+80μm以下であり、前記サファイア基板の底面に形成された耐熱性材料からなる膜を有しており、前記耐熱性材料が前記発光素子構造の形成温度に対して耐熱性を有することを特徴とする
【0013】
また、本発明は、前記複合基板、および窒化ガリウム結晶層上に気相法によって13族元素窒化物からなる発光素子構造形成することを特徴とする、発光素子の製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
フラックス法では成長温度800℃〜900℃にて窒化ガリウム結晶層を成長させるが、MOCVD法等の気相法によって複合基板の上に機能層を形成するときには、1000℃以上にまで温度を上げるため、複合基板の反りが生じ、機能層の組成分布を生じ、結果として機能のバラツキをもたらしたものと考えられた。
【0015】
本発明者は、この知見をもとに、複合基板の室温における反りを解消するのではなく、適当な大きさの反りを意図的に残すことを想到した。これによって、次の機能層の成膜時にその組成分布を抑制でき、機能のバラツキを抑制できることを見いだし、本発明に到達した。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は、サファイア基板1上に窒化ガリウム結晶層2を形成した状態を示し、(b)は、(a)の窒化ガリウム結晶層2の表面2aを研磨して得られた窒化ガリウム結晶層3を示し、(c)は、複合基板4を示す。
図2】(a)は、複合基板4上に機能層6を設けて形成した機能素子5を示し、(b)は、複合基板4上に機能層6Aを設けて形成した機能素子5Aを示す。
図3】(a)は、複合基板の反りの測定法を説明するための模式図であり、反りがプラスの場合を示す。(b)は、複合基板の反りの測定法を説明するための模式図であり、反りがマイナスの場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
最初に、本発明者が検討した複合基板とその問題点について述べる。
【0018】
まず、図1(a)に示すように、サファイア基板1の主面1aに種結晶層10を形成する。次いで、種結晶層10上に、窒化ガリウム結晶層2をフラックス法で形成する。次いで、図1(b)に示すように、窒化ガリウム結晶層2の表面2aを研磨し、研磨済の窒化ガリウム結晶層3を得る。3aは研磨面である。
【0019】
このようにして得られた複合基板14には、フラックス法による成膜と冷却に起因する反りが生じている。その反りは、一般に、図3(a)に模式的に示すように、サファイア基板を下にしたときに、上側に凸形状となっている。こうした反りは、複合基板上に更に気相法で成膜するのに際して悪影響を及ぼすものと想定された。
【0020】
そこで、本発明者は、サファイア基板1の底面1bを十分に研磨することによって、図1(c)に示すように、研磨済の支持基板1Aを形成した。1cは、研磨された底面である。これによって、支持基板の組織に加工歪みを導入し、図3(a)に示すような形態の凸状の反りをほぼ無くすることに成功した。
【0021】
本発明者は、このようにして得られた反りのほとんどない複合基板を成膜プロセスに供し、発光素子を形成することを試みた。これは、従来技術の示唆によれば、良質の発光素子が得られるものと想定されたからである。
【0022】
ところが、現実に発光素子を形成してみると、発光強度が所定値に達しない領域が広がり、全体としての発光効率が低下し、発光強度のバラツキが大きくなることを見いだした。
【0023】
本発明者は、この原因を検討した結果、成膜時に加わる熱変化によって、図3(b)に示すような形態の凹状の反りが生じ、これが成膜組成のバラツキを引き起し、結果として発光強度の分布を拡大するという想定に至った。
【0024】
本発明者は、こうした想定に基づき、機能素子を成膜する前に複合基板の反りを前記の特定範囲に制御することによって、機能素子の成膜バラツキを抑制できることを見いだした。これは、複合基板の反りを利用することでバラツキを抑制するという考え方であり、反りをできるだけ低減するという従来技術とは一線を画するものである。
【0025】
本発明では、反りの大きさを前述のように限定した複合基板4を作製し、その表面3a上に機能層を形成し、機能素子を得る。
【0026】
すなわち、図2(a)に示すように、複合基板4上に機能層6を形成し、機能素子5を得る。ここで、機能層6は複数層形成することができる。例えば、図2(b)の例では、機能層6Aは複数層6a、6b、6c、6d、6eからなり、発光素子構造を形成している。これによって、転位密度の少ない発光素子構造が得られることから、発光素子5Aの内部量子効率が向上する。
【0027】
本願でいう単結晶は、結晶の全体にわたって規則正しく原子が配列した教科書的な単結晶を含むが、それのみに限定する意味ではなく、一般工業的に流通している意味である。すなわち、結晶がある程度の欠陥を含んでいたり、歪みを内在していたり、不純物がとりこまれていたりしていてもよく、多結晶(セラミックス)と区別して、これらを単結晶と呼んで用いているのと同義である。
【0028】
(サファイア基板)
サファイアのウルツ鉱構造は、c面、a面、およびm面を有する。これらの各結晶面は結晶学的に定義されるものである。下地層、種結晶層、およびフラックス法によって育成される窒化ガリウム結晶層の育成方向は、c面の法線方向であってよく、またa面、m面それぞれの法線方向であってもよい。
【0029】
本発明の観点からは、窒化ガリウム結晶層の剥離を抑制するため、サファイア基板の厚さを窒化ガリウム結晶層の厚さよりも厚くすることが好ましい。そのため、サファイア基板の厚さは、300〜1600μmとすることが好ましく、400〜1300μmとすることが更に好ましい。
【0030】
(種結晶層)
サファイア基板上に種結晶層を形成することができる。
【0031】
種結晶層の厚さは特に限定されないが、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がさらに好ましい。また厚過ぎると成膜に時間がかり、効率が悪いので、3.0μm以下が望ましく、1.5μm以下がさらに好ましい。また、種結晶層の材質は、後述するような13族元素窒化物が好ましい。
【0032】
種結晶層は、一層であってよく、あるいは複数層であって良い。また、種結晶層の形成方法は気相成長法を好ましい一例として挙げることができ、有機金属化学気相成長(MOCVD: Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法、パルス励起堆積(PXD)法、MBE法、昇華法を例示できる。有機金属化学気相成長法が特に好ましい。
【0033】
種結晶層の転位密度は、種結晶層上に設ける窒化ガリウム結晶層の転位密度を低減するという観点から、低いことが望ましい。この観点からは、種結晶層の転位密度は、7×10cm−2cm以下が好ましく、5×10cm−2cm以下が更に好ましい。また、種結晶層の転位密度は品質の点からは低いほど良いので、下限は特にないが、一般的には、5×107cm−2以上であることが多い。
【0034】
種結晶層を構成する材質は、好ましくは蛍光顕微鏡観察により黄色発光効果が認められる窒化ガリウムである。
黄色発光する窒化ガリウムについて述べる。
本窒化ガリウム結晶は、バンドからバンドへの励起子遷移(UV)に加えて、2.2〜2.5eVの範囲にブロードなピークが現れる。これは、黄色発光(YL)または黄色帯(YB)と呼ばれている。
蛍光顕微鏡を用いることで、この範囲の黄色発光のみを励起し、黄色発光の有無を検出することができる。
【0035】
こうした黄色発光は、窒素欠損のように結晶にもともとある自然欠陥に関与した輻射プロセスに起因する。こうした欠陥は発光中心となる。おそらくは、反応環境に由来するNi,Co,Cr,Tiなどの遷移元素等の不純物が窒化ガリウム内に取り込まれることで、黄色発光中心を形成しているものと考えられる。
こうした黄色発光する窒化ガリウム結晶は、例えば、特表2005−506271に例示されている。
【0036】
(窒化ガリウム結晶層)
窒化ガリウム結晶層とサファイア基板との自然剥離が生ずると、複合基板として利用できない。このため、窒化ガリウム結晶層の剥離を抑制するという観点からは、窒化ガリウム結晶層の厚さ(成膜直後の厚さ)を100μm以下とすることが好ましく、50μm以下とすることが更に好ましく、20μm以下がいっそう好ましい。
【0037】
また、窒化ガリウム結晶層の厚さ(成膜直後の厚さ)は、種結晶層の転位をフラックス法による窒化ガリウム育成時に消滅させ、その最表面の結晶性を良好なものとする、という観点からは、3μm以上が好ましく、10μm以上が更に好ましい。
【0038】
窒化ガリウム結晶層の製法は特に限定されないが、有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法、パルス励起堆積(PXD)法、MBE法、昇華法などの気相法、フラックス法などの液相法を例示できる。
【0039】
窒化ガリウム結晶層をフラックス法によって育成する場合には、フラックスの種類は、窒化ガリウム結晶を生成可能である限り、特に限定されない。好適な実施形態においては、アルカリ金属とアルカリ土類金属の少なくとも一方を含むフラックスを使用し、ナトリウム金属を含むフラックスが特に好ましい。
【0040】
フラックスには、ガリウム原料物質を混合し、使用する。ガリウム原料物質としては、ガリウム単体金属、ガリウム合金、ガリウム化合物を適用できるが、ガリウム単体金属が取扱いの上からも好適である。
【0041】
フラックス法における窒化ガリウム結晶の育成温度や育成時の保持時間は特に限定されず、フラックスの組成に応じて適宜変更する。一例では、ナトリウムまたはリチウム含有フラックスを用いて窒化ガリウム結晶を育成する場合には、育成温度を800〜950℃とすることが好ましく、850〜900℃とすることが更に好ましい。
【0042】
フラックス法では、窒素原子を含む気体を含む雰囲気下で単結晶を育成する。このガスは窒素ガスが好ましいが、アンモニアでもよい。雰囲気の圧力は特に限定されないが、フラックスの蒸発を防止する観点からは、10気圧以上が好ましく、30気圧以上が更に好ましい。ただし、圧力が高いと装置が大がかりとなるので、雰囲気の全圧は、2000気圧以下が好ましく、500気圧以下が更に好ましい。雰囲気中の窒素原子を含む気体以外のガスは限定されないが、不活性ガスが好ましく、アルゴン、ヘリウム、ネオンが特に好ましい。
【0043】
(複合基板の加工および形態)
好適な実施形態においては、複合基板が円板状であるが、角板などの他の形態でも良い。また、好適な実施形態においては、複合基板の寸法が、直径φ50mm以上である。これによって、機能素子の量産に適した、取り扱い易い複合基板を提供できる。
【0044】
本発明においては、複合基板の反りが、5.08cm当たり、+40μm以下、+80μm以下である。この反りは、特開2009−111423に記載されている方法で測定される値である。
【0045】
具体的には、図3を参照しつつ述べる。
ここで、図3(a)に示す例では、試料(複合基板)4のサファイア基板1Aの底面1cが凹状となり、窒化ガリウム結晶層が凸状となるように、複合基板が反っている。この反りを正(+の記号で示す)とする。また、図3(b)に示す例では、試料(複合基板)4のサファイア基板1Aの底面1cが凸状となり、窒化ガリウム結晶層が凹状となるように、複合基板が反っている。この反りを負(−の記号で示す)とする。複合基板4の底面1cが形成する曲面を「反り曲面」とする。
【0046】
また、反り曲面と平面Pとの距離の平均値が最も小さくなるような平面を想定し、この平面を最適平面Pとする。そして、この反り曲面と最適平面Pとの距離を測定する。すなわち、底面の長さ2インチ(5.08cm)の領域内において、底面1cのうち最適平面P上にある点をzpとする。また、底面1cのうち最適平面Pと最も離れた点をzvとする。点zvと最適平面Pとの距離を反りW(R)とする。11は、試料と平面Pとの隙間である。
言い換えると、反りW(R)は、底面1cにおいて、最適平面Pに最も近い点zpと最も遠い点zvとの高低差である。
【0047】
この反りW(R)を+40μm以上、+80μm以下とすることによって、本発明の前記効果を奏することができる。この観点からは、反りW(R)を+50μm以上とすることが更に好ましく、また、+70μm以下とすることが更に好ましい。
【0048】
複合基板の反りは、レーザ変位計によって測定できる。レーザ変位計とは、レーザ光を複合基板の底面に照射することにより、背面の変位を測定する装置をいう。レーザの波長を633nmとし、測定方式には表面粗度に応じてレーザフォーカス方式、光干渉方式を用いることができる。
【0049】
複合基板の反りを抑制するために、支持基板の底面を処理することができる。こうした処理としては、以下のものがある。
まず、研削(グライディング)とは、砥粒をボンドで固定した固定砥粒を高速回転させながら対象物に接触させて、対象物の面を削り取ることをいう。かかる研削によって、粗い面が形成される。複合基板の底面を研削する場合、硬度の高いSiC、Al23、ダイヤモンドおよびCBN(キュービックボロンナイトライド、以下同じ)などで形成され、粒径が10μm以上、100μm以下程度の砥粒を含む固定砥粒が好ましく用いられる。
【0050】
また、研磨(ラッピング)とは、遊離砥粒(固定されていない砥粒をいう、以下同じ)を介して定盤と対象物とを互いに回転させながら接触させて、または固定砥粒と対象物とを互いに回転させながら接触させて、対象物の面を磨くことをいう。かかる研磨によって、研削の場合よりも面粗さが小さい面であって微研磨(ポリシング)の場合より粗い面が形成される。硬度の高いSiC、Al23、ダイヤモンドおよびCBNなどで形成され、粒径が0.5μm以上15μm以下程度の砥粒が好ましく用いられる。
【0051】
また、複合基板の底面をエッチングする場合、エッチング剤によるウェットエッチングが好ましく行なわれる。エッチング剤としては、NH3およびH22の混合溶液、KOH溶液、NaOH溶液、HCl溶液、H2SO4溶液、H3PO4溶液、H3PO4およびH2SO4の混合溶液などが好ましく用いられる。ここで、上記の溶液および混合溶液の溶媒としては水が好ましく用いられる。また、上記エッチング剤は、水などの溶媒により、適宜希釈して用いることもできる。
【0052】
微研磨(ポリシング)とは、遊離砥粒を介して研磨パッドと対象物とを互いに回転させながら接触させて、または固定砥粒と対象物とを互いに回転させながら接触させて、対象物の面を微細に磨いて平滑化することをいう。かかる微研磨によって、研磨の場合よりも面粗さが小さい結晶成長面が形成される。
【0053】
このような微研磨の方法には、機械的ポリシングまたは化学機械的ポリシング(以下、CMPという)が好ましく用いられる。機械的ポリシングまたはCMPとは、それぞれ、砥粒を含むスラリーを介して研磨パッドと対象物とを互いに回転させながら接触させることにより、対象物の面を機械的または化学的かつ機械的に微研磨する方法をいう。砥粒としては、面粗さRaおよびRyを小さくするため、平均粒径が0.1μm以上3μm以下の微粒子であって、硬度が高いSiC、Si34、Al23、ダイヤモンド、CBNなどや、硬度の低いSiO2、CuO、TiO2、ZnO、NiO、Cr23、Fe23、CoO、MnOなどが、単独または併用で用いられる。また、化学的なポリシング効果を高めるため、スラリーは、pH≦5の酸性、または、pH≧9の塩基性とされていること、または過酸化水素(H22)、ジクロロイソシアヌル酸、硝酸、過マンガン酸カリウム、塩化銅などの酸化剤が添加されて、ORP(酸化還元電位)が高められていること(たとえば、ORP≧400mV)が好ましい。
【0054】
最終的な複合基板における窒化ガリウム結晶層(研磨後)の厚さは、本発明の観点からは、100μm以下が好ましく、50μm以下が更に好ましく、20μm以下がいっそう好ましい。また、窒化ガリウム結晶層(研磨後)の厚さは、機能素子の性能を向上させるためのある一定レベルの結晶品質を保つという観点からは、5μm以上が好ましい。
【0055】
また、好適な実施形態においては、窒化ガリウム結晶層の表面が鏡面である。鏡面とは、高い平滑度で研磨された光沢を持つ表面であり、表面の凹凸による光の散乱が実質的に無く、透明材料においては高い光透過性を持つ面である。ここでいう、鏡面の平均粗さ(Ra)は、Ra=0.1nm〜10nmの範囲を指す。
【0056】
また、好適な実施形態においては、支持基板の底面が半鏡面である。半鏡面とは、平滑度が適度に調整された研磨表面であり、表面の凹凸による光の散乱があり、透明材料においては光の透過性が鏡面に比べて若干劣り、目視あるいは簡便な計測で鏡面との区別が可能な面である。
ここでいう、半鏡面とは、平均粗さRaが10nmより大きく、500nm以下の状態のものを指す。平均粗さRaが500nmを超えるものは、粗面と定義する。
本発明の半鏡面のRaは、好ましくは、100nm以上、500nm以下であり、さらに好ましくは、250nm以上、500nm以下である。
【0057】
また、複合基板の底面(支持基板の底面)上に、耐熱性材料からなる膜を形成することによって、複合基板の反りを減少させ、本発明の範囲内とすることができる。こうした耐熱性材料は、複合基板上にLEDなどの発光素子構造を形成する際の温度に対する耐熱性を有する材料である。こうした膜を構成する材料としては、SiO、Taが好ましい。また、こうした膜の形成方法としては、密着強度の高い膜が形成できる、プラズマCVDが好ましい。
【0058】
この膜の膜厚を大きくするほど、一般に複合基板の反りの絶対値が小さくなる傾向がある。このため、膜厚は、最終的な複合基板の反りの大きさに応じて適宜変化させる。ただし、複合基板の底面上の膜の安定性の観点からは、膜厚は3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましい。同様の理由から、膜厚は、15μm以下が好ましく、10μm以下が更に好ましい。
【0059】
(機能層および機能素子)
こうして得られた複合基板上に機能層を気相法で形成する。
こうした機能層は、単一層であってよく、複数層であってよい。また、機能としては、高輝度・高演色性の白色LEDや高速高密度光メモリ用青紫レーザディスクなどに用いることができる。
【0060】
複合基板上に気相法、好ましくは有機金属気相成長(MOCVD)法により半導体発光ダイオード(LED)を作製すると、LED内部の転位密度が複合基板と同等となる。
【0061】
機能層の成膜温度は、成膜速度の観点から、950℃以上が好ましく、1000℃以上が更に好ましい。また、欠陥を抑制するという観点からは、機能層の成膜温度は、1200℃以下が好ましく、1150℃以下が更に好ましい。
【0062】
機能層の材質は、13族元素窒化物が好ましい。13族元素とは、IUPACが策定した周期律表による第13族元素のことである。13族元素は、具体的にはガリウム、アルミニウム、インジウム、タリウム等である。また、添加剤としては、炭素や、低融点金属(錫、ビスマス、銀、金)、高融点金属(鉄、マンガン、チタン、クロムなどの遷移金属)が挙げられる。低融点金属は、ナトリウムの酸化防止を目的として添加する場合があり、高融点金属は、坩堝を入れる容器や育成炉のヒーターなどから混入する場合がある。
【0063】
発光素子構造は、例えば、n型半導体層、このn型半導体層上に設けられた発光領域およびこの発光領域上に設けられたp型半導体層を備えている。図2(b)の発光素子5Aでは、窒化ガリウム結晶層3上に、n型コンタクト層6a、n型クラッド層6b、活性層6c、p型クラッド層6d、p型コンタクト層6eが形成されており、発光素子構造6Aを構成する。
【0064】
また、前記発光構造には、更に、図示しないn型半導体層用の電極、p型半導体層用の電極、導電性接着層、バッファ層、導電性支持体などを設けることができる。
【0065】
本発光構造では、半導体層から注入される正孔と電子の再結合によって発光領域で光が発生すると、その光をp型半導体層上の透光性電極又は13族元素窒化物単結晶膜側から取り出す。なお、透光性電極とは、p型半導体層のほぼ全面に形成された金属薄膜又は透明導電膜からなる光透過性の電極のことである。
【0066】
n型半導体層、p型半導体層を構成する半導体の材質は、III −V 族系化合物半導体からなり、以下を例示できる。
AlyInxGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)
n型導電性を付与するためのドープ材としては、珪素、ゲルマニウム、酸素を例示できる。また、p型導電性を付与するためのドープ材としては、マグネシウム、亜鉛を例示できる。
【0067】
発光構造の設けられた13族元素窒化物膜の表面は、平坦面であってもよい。しかし、特開2006−332714と同様に、13族元素窒化物膜表面に凹凸を設け、半導体層での光の導波方向を変えて、外部量子効率を上げることができる。
【0068】
電極の好ましい材料としては、Ni、Pd、Co、Fe、Ti、Cu、Rh、Au、Ru、W、Zr、Mo、Ta、Pt、Ag及びこれらの酸化物、窒化物からなる群から選択される少なくとも一種を含む合金または多層膜があげられる。これらは、400℃以上の温度でアニールすることにより、p型半導体層と良好なオーミック接触を得ることができる。特に、Niの上にAuの多層膜が好ましい。電極の総膜厚としては50Å〜10000Åが好ましい。特に、透光性の電極として用いる場合は、50Å〜400Åが好ましい。また、非透光性電極とする場合は、1000Å〜5000Åが好ましい。
【0069】
n型半導体層と13族元素窒化物膜との間には剥離層を形成することができる。こうした剥離層の材質は、低温GaNバッファ層、ZnO、TiNを例示できる。
【0070】
発光構造を構成する各半導体層の成長方法は、種々の気相成長方法を挙げることができる。例えば、有機金属化合物気相成長法(MOCVD(MOVPE)法)、分子線エピタキシー法(MBE法)、ハイドライト気相成長法(HVPE法)等を用いることができる。その中でもMOCVD法によると、迅速に結晶性の良好なものを得ることができる。MOCVD法では、GaソースとしてTMG(トリメチルガリウム)、TEG(トリエチルガリウム)などのアルキル金属化合物が多く使用され、窒素源としては、アンモニア、ヒドラジンなどのガスが使用される。
【0071】
発光領域は、量子井戸活性層を含む。量子井戸活性層の材料は、n型半導体層およびp型半導体層の材料よりもバンドギャップが小さくなるように設計される。量子井戸活性層は単一量子井戸(SQW)構造であっても多重量子井戸(MQW)構造であってもよい。量子井戸活性層の材質は以下を例示できる。
量子井戸活性層の好適例として、AlxGa1-xN/AlyGa1-yN系量子井戸活性層(x=0.15、y=0.20)であって、膜厚がそれぞれ3nm/8nmであるものを3〜5周期形成させたMQW構造が挙げられる。
【0072】
導電性接着剤としては、例えばAu/Ge系半田を厚さ0.5〜100μm程度で使用することができる。また、前記発光構造を導電性接着剤を介して別体の導電性支持体に対して接合することができる。導電性支持体は、発光構造を支持する約割を担うと共に、p型半導体層への電流注入機能をも有する。導電性支持体の材料としては、GaAs、SiC、Si、Ge、C、Cu、Al、Mo、Ti、Ni、W、Ta、CuW、Au/Ni等が挙げられる。
【0073】
(用途)
本発明は、高品質であることが要求される技術分野、例えばポスト蛍光灯といわれている高演色性の青色LEDや高速高密度光メモリ用青紫レーザ、ハイブリッド自動車用のインバータに用いるパワーデバイスなどに用いることができる。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
(種結晶基板の作製)
MOCVD法を用いて、直径2インチ、厚さ500μmのc面サファイア基板の上に、530℃にて、低温GaNバッファ層を40nm堆積させたのちに、1050℃にて、厚さ3μmのGaN膜を積層させた。室温まで自然冷却したのちに、基板の反りを測定したところ、GaNが成膜された面を上にした場合に凸形状となっており、平坦面においたときの最大高さ−最小高さで定義される、2インチウェハーの反りは、+20μmであった。TEM観察による欠陥密度は、1×10/cmであった。有機溶剤、超純水でそれぞれ10分間超音波洗浄した後に乾燥させて、これを種結晶基板とした。
【0075】
(液相法GaN結晶成長)
次いで、種結晶基板の上面上にフラックス法によって窒化ガリウムを成長した。
アルミナ坩堝を用い、金属Gaと金属Naをモル比で20:80で秤量し、種結晶基板とともに、坩堝の底に配置した。
【0076】
本実施例では、育成時間を20時間とすることで、180μm厚さの窒化ガリウム結晶を成長させた。基板の反りはサファイアが下になるように配置したとき、凸形状であり、平坦面においたときの最大高さ−最小高さで定義される、2インチウェハー反りは、+250μmであった。
【0077】
この窒化ガリウム結晶は、蛍光顕微鏡測定の際に黄色発光しないものであった。また、この窒化ガリウム結晶は、蛍光顕微鏡測定において、青白い発光をする場合があった。この発光の起源についてはよくわかっていないが、本製法特有のものである。発光波長は430から500nmまでのブロードなスペクトルであることがPLスペクトル測定によりわかっている。
【0078】
(複合基板の作成)
成長した窒化ガリウム結晶を以下の工程で、研磨加工した。
固定砥粒の砥石による研削(グラインディング)によって面だしした後、ダイヤモンドスラリーなどの遊離砥粒を用いて研磨(ラッピング)し、その後、酸性やアルカリ性のCMPスラリーを用いて精密研磨(ポリッシュ)した。
【0079】
窒化ガリウム結晶の研磨後の厚さは、本発明の観点からは、15μmとした。研磨後のウェハーの反りは、サファイアが下になるように配置したとき、凸形状であり、平坦面においたときの最大高さ−最小高さで定義される、2インチウェハーの反りは、室温にて、+120μmであった。
【0080】
次に、この研磨された窒化ガリウムを保護膜によって保護し、研磨定盤に窒化ガリウムを下向きにして貼り付け、サファイア基板を、以下の工程で、研磨加工し、加工歪みを導入した。
固定砥粒の砥石による研削(グラインディング)によって面だしした後、平均粒径1〜10μmのダイヤモンドスラリーなどの遊離砥粒を用いて研磨(ラッピング)し、その後、コロイダルシリカ砥粒を含有した酸性やアルカリ性のCMPスラリーを用いて半鏡面とした(ポリッシュ)。
これを、スクラブ洗浄(ブラシを用いたこすり洗い)し、超純水にて超音波洗浄した後に乾燥させて、LED構造成膜用の基板とした。
【0081】
こうして得られた複合基板の研磨後の厚さは、本発明の観点からは、450μmとした。サファイア研磨後のウェハーの反りは、前記同様に室温にて、+80μmであり、サファイア研磨前と比べて、40μm小さくなっていた。
カソードルミネッセンス装置により、この複合基板の表面の液相法窒化ガリウム膜のダークスポット密度を測定したところ、約1×10/cmであった。
【0082】
(LED構造の成膜)
MOCVD法により、以下の工程で、LED構造を成膜した。室温から、1050℃まで約15分で昇温し、窒素と水素とアンモニアの混合雰囲気にて、15分保持してサーマルクリーニングを行った後、厚さ2μmのn−GaN層を1050℃で堆積させ、ついで750℃に降温して、InGaN/GaNによる多重量子井戸(活性層)を10ペア堆積した。さらに、AlGaNによる電子ブロック層を0.02μm成長させ、その後、1000℃に昇温してから、p−GaN(pクラッド層;厚さ80nm)、p+GaN(pコンタクト層;厚さ20nm)を堆積し、その後室温まで放冷した。
【0083】
MOCVD炉より取り出して、目視にて観察したところ、クラックは観察されなかった。また、微分干渉顕微鏡で観察したところ、表面は平坦であることが確認された。
このウェハーを用いて、通常のフォトリソグラフィ工程にて、0.3mm角のLED素子を作成し、約3.5Vの電圧を電極に印加したところ、波長約460nmの青色で発光することが確認できた。発光波長の面内分布を測定したところ、460±5nmの範囲であった。また、ウェハーの約7割の面積は460±2.5nmの範囲に入っていた。
【0084】
(実施例2)
窒化ガリウム結晶の研磨後の厚さを10μmとした以外は、実施例1と同様に実験を行った。窒化ガリウム側と、サファイア側の両方を研磨して得られた445μmの厚さの複合基板の反りは、前記同様に凸形状であり、室温にて、+40μmであった。
【0085】
実施例1と同様にLED構造を成膜し、発光波長の面内分布を測定したところ、460±5nmの範囲であった。また、ウェハーの約7割の面積は460±2.5nmの範囲に入っていた。
【0086】
(実施例3)
窒化ガリウム結晶の研磨後の厚さを13μmとした以外は、実施例1と同様に実験を行った。窒化ガリウム側と、サファイア側の両方を研磨して得られた448μmの厚さの複合基板の反りは、前記同様に凸形状であり、室温にて、+70μmであった。
【0087】
実施例1と同様にLED構造を成膜し、発光波長の面内分布を測定したところ、460±5nmの範囲であった。また、ウェハーの約8割の面積は460±2.5nmの範囲に入っていた。
【0088】
(実施例4)
サファイア面をダイヤモンドスラリーによるラッピングした後の酸性やアルカリ性のCMPスラリー(コロイダルシリカ)を用いてポリッシュする工程を省いた以外は、実施例1と同様に実験した。ダイヤモンドスラリーの平均粒径は、10μmを用いた後に2μmを用いるという2段階にしたところ、実施例1と同様に、サファイア面は半鏡面であった。窒化ガリウム結晶の研磨後の厚さを15μmとした。
【0089】
窒化ガリウム側と、サファイア側の両方を研磨して得られた450μmの厚さの複合基板の反りは、前記同様に凸形状であり、室温にて、+50μmであった。実施例1と同様にLED構造を成膜し、発光波長の面内分布を測定したところ、460±5nmの範囲であった。また、ウェハーの約8割の面積は460±2.5nmの範囲に入っていた。
【0090】
(実施例5)
実施例1と同様に、複合基板を作製した。その後で、さらに、複合基板の底面1cにSiO膜をプラズマCVDにて成膜した。SiO膜の厚さは5ミクロンとした。すなわち、複合基板の厚さは455ミクロンとなった。複合基板の室温での反りは前記同様に凸形状であり、+40μmであり、SiO成膜前と比べて40μm小さくなっていた。
【0091】
実施例1と同様に複合基板上にLED構造を成膜し、発光波長の面内分布を測定したところ、460±5nmの範囲であった。また、ウェハーの約9割の面積は460±2.5nmの範囲に入っていた。すなわち、面内均一性が実施例1よりも少し改善された。
【0092】
(実施例6)
窒化ガリウム結晶の研磨後の厚さを25μmとし、複合基板の底面1c上のSiO膜厚を10ミクロンとした以外は、実施例5と同様に実験を行った。すなわち、複合基板の厚さは、470ミクロンとなった。室温での反りは前記同様に凸形状であり、+80μmであり、SiO成膜前と比べて80μm小さくなっていた。
【0093】
カソードルミネッセンス装置により、この複合基板の表面の液相法窒化ガリウム膜のダークスポット密度を測定したところ、約8×10/cmであり実施例1よりも転位密度が少なくなっていた。
実施例1と同様に複合基板上にLED構造を成膜し、発光波長の面内分布を測定したところ、460±5nmの範囲であった。また、ウェハーの約8割の面積は460±2.5nmの範囲に入っていた。1mm角チップに切り出し、1Aの電流で駆動したところ、80%と高い内部量子効率が得られた。このときの電流密度は、100A/cmであった。すなわち、実施例1よりも大電流かつ大電流密度でLEDを駆動することができた。
【0094】
(比較例1)
ダイヤモンドスラリーの平均粒径を実施例1とは変えた以外は、実施例1と同様に実験した。固定砥粒の砥石による研削(グラインディング)によってサファイアを面だしした後、平均粒径15μmのダイヤモンドスラリーなどの遊離砥粒を用いて研磨(ラッピング)し、その後、酸性やアルカリ性のCMPスラリー(コロイダルシリカ)を用いて半鏡面とした。窒化ガリウム結晶の研磨後の厚さは10μmとした。
【0095】
窒化ガリウム側と、サファイア側の両方を研磨して得られた445μmの厚さの複合基板の反りは、前記同様に凸形状であり、室温にて、+30μmであった。
【0096】
実施例1と同様にLED構造を成膜し、発光波長の面内分布を測定したところ、460±10nmの範囲であり、発光波長分布が約2倍に大きくなった。また、460±2.5nmの範囲に入っていた面積の割合は、約4割と狭かった。
【0097】
(比較例2)
酸性やアルカリ性のCMPスラリー(コロイダルシリカ)を用いてサファイア面を鏡面とした以外は、実施例1と同様に実験した。窒化ガリウム結晶の研磨後の厚さは15μmとした。窒化ガリウム側と、サファイア側の両方を研磨して得られた450μmの厚さの複合基板の反りは、前記同様に凸形状であり、室温にて、+100μmであった。
【0098】
実施例1と同様にLED構造を成膜し、発光波長の面内分布を測定したところ、460±8nmの範囲であり、発光波長分布が約2倍に大きくなった。また、460±2.5nmの範囲に入っていた面積の割合は、約5割と狭かった。
【要約】
サファイア基板、およびサファイア基板上に結晶成長した窒化ガリウム結晶層を備える複合基板において、その上に13族元素窒化物からなる機能層を形成するときに、機能のバラツキを抑制する。複合基板4は、サファイア基板1A、およびサファイア基板1A上に設けられた窒化ガリウム結晶層3を備える。複合基板4の反りが5.08cm当たり、+40μm以上、+80μm以下である。
【選択図】 図1
図1
図2
図3