特許第5829063号(P5829063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5829063伝送システム、送信装置、および、受信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5829063
(24)【登録日】2015年10月30日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】伝送システム、送信装置、および、受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/18 20090101AFI20151119BHJP
   H04W 52/24 20090101ALI20151119BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20151119BHJP
【FI】
   H04W28/18 110
   H04W52/24
   H04W72/04 111
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-149145(P2011-149145)
(22)【出願日】2011年7月5日
(65)【公開番号】特開2013-17080(P2013-17080A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2014年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(73)【特許権者】
【識別番号】596100812
【氏名又は名称】京セラコミュニケーションシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(72)【発明者】
【氏名】大森 昭
(72)【発明者】
【氏名】久保 歳弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 史典
(72)【発明者】
【氏名】山崎 雷太
(72)【発明者】
【氏名】横山 純也
(72)【発明者】
【氏名】木村 亮一
【審査官】 倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−31883(JP,A)
【文献】 特開2006−186992(JP,A)
【文献】 特表2001−520480(JP,A)
【文献】 特開2006−203793(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/055132(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
H04H 20/00−20/84
H04N 7/14− 7/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルを有する信号を送信装置から受信装置に電波によって伝送する伝送システムにおいて、
前記送信装置から送信される前記電波の前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には、前記送信装置は、信号レベルを調整することにより、前記複数のチャンネルのうちの一部のチャンネルの送信強度を他のチャンネルの送信強度よりも高く設定する、
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
前記複数のチャンネルを有する信号とパイロット信号とを前記送信装置から前記受信装置に前記電波によって伝送し、
前記送信装置から送信される前記パイロット信号の前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には、前記送信装置は、信号レベルを調整することにより、前記パイロット信号の送信強度を変化させずに、前記一部のチャンネルの送信強度を前記他のチャンネルの送信強度よりも高く設定することを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項3】
前記受信装置は、前記受信強度が所定の閾値を下回った場合には、前記送信装置から前記受信装置に伝送される電波とは異なる伝送媒体を介してその旨を前記送信装置に通知することを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送システム。
【請求項4】
前記受信装置は、前記受信強度が所定の閾値を下回った場合には、前記送信装置から前記受信装置に伝送される電波とは周波数帯域が異なる電波を介してその旨を前記送信装置に通知することを特徴とする請求項に記載の伝送システム。
【請求項5】
前記送信装置は、前記複数のチャンネルの送信強度を等しく設定する第1送信モードと、前記一部のチャンネルの送信強度を他のチャンネルの送信強度よりも高く設定する第2送信モードとを有し、前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には前記第2送信モードで動作し、それ以外の場合には前記第1送信モードで動作することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の伝送システム。
【請求項6】
前記送信装置は、前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には前記第2送信モードで動作し、前記受信強度が前記所定の閾値よりも値が大きい他の閾値を上回った場合には前記第1送信モードで動作することを特徴とする請求項に記載の伝送システム。
【請求項7】
前記一部のチャンネルは、他のチャンネルに比較して優先順位が高いチャンネルであり、前記送信装置は、前記第2送信モードでは当該優先順位が高いチャンネルのみを送信することを特徴とする請求項またはに記載の伝送システム。
【請求項8】
複数のチャンネルを有する信号を電波によって受信装置に伝送する送信装置において、
当該送信装置から送信した前記電波の前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には、信号レベルを調整することにより、前記複数のチャンネルのうちの一部のチャンネルの送信強度を他のチャンネルの送信強度よりも高く設定する、
ことを特徴とする送信装置。
【請求項9】
送信装置から伝送される複数のチャンネルを有する信号を電波によって受信する受信装置において、
前記送信装置から送信した前記電波の前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には、前記送信装置に通知して、信号レベルを調整させることにより、前記複数のチャンネルのうちの一部のチャンネルの送信強度を他のチャンネルの送信強度よりも高く設定させる、
ことを特徴とする受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送システム、送信装置、および、受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マイクロ波通信を行う1対の無線機において、受信信号の受信レベルから無線区間の降雨減衰量を測定し、測定結果を他の無線機に送信信号にて伝達し、他の無線機は伝達された測定結果に基づいて、送信レベルを調整することにより、雨天時でも良好な通信を行う無線機に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−122102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術では、複数の送受信される信号に複数のチャンネルの情報が含まれている場合、これらのチャンネルの全てに対してAGC(Automatic Gain Control)を実行するため、通信区間の通信状況が悪化した場合、全てのチャンネルの情報を受信できなくなるという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、通信状況が悪化した場合でも特定のチャンネルの情報を確実に伝送可能な伝送システム、送信装置、および、受信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、複数のチャンネルを有する信号を送信装置から受信装置に電波によって伝送する伝送システムにおいて、前記送信装置から送信される前記電波の前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には、前記送信装置は、信号レベルを調整することにより、前記複数のチャンネルのうちの一部のチャンネルの送信強度を他のチャンネルの送信強度よりも高く設定することを特徴とする。
このような構成によれば、通信状況が悪化した場合でも特定のチャンネルの情報を確実に伝送可能な伝送システムを提供することができる。
また、他の発明は、複数のチャンネルを有する信号とパイロット信号とを前記送信装置から前記受信装置に前記電波によって伝送し、前記送信装置から送信される前記パイロット信号の前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には、前記送信装置は、信号レベルを調整することにより、前記パイロット信号の送信強度を変化させずに、前記一部のチャンネルの送信強度を前記他のチャンネルの送信強度よりも高く設定する。
このような構成によれば、パイロット信号を利用して、伝送路の減衰量を調べることができる。
【0007】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記受信装置は、前記受信強度が所定の閾値を下回った場合には、前記送信装置から前記受信装置に伝送される電波とは異なる伝送媒体を介してその旨を前記送信装置に通知することを特徴とする。
このような構成によれば、異なる伝送媒体を用いることによって、通信状況が悪化したことを送信装置に確実に伝えることができる。
【0008】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記受信装置は、前記受信強度が所定の閾値を下回った場合には、前記送信装置から前記受信装置に伝送される電波とは周波数帯域が異なる電波を介してその旨を前記送信装置に通知することを特徴とする。
このような構成によれば、例えば、降雨減衰によって電波の伝送状態が悪化した場合であっても伝送状態が悪化した旨を送信装置に確実に伝えることができる。
【0009】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記送信装置は、前記複数のチャンネルの送信強度を等しく設定する第1送信モードと、前記一部のチャンネルの送信強度を他のチャンネルの送信強度よりも高く設定する第2送信モードとを有し、前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には前記第2送信モードで動作し、それ以外の場合には前記第1送信モードで動作することを特徴とする。
このような構成によれば、閾値に応じてこれら2つの送信モードを切り換えることにより、電波の受信状況に応じて最適な伝送を行うことができる。
【0010】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記送信装置は、前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には前記第2送信モードで動作し、前記受信強度が前記所定の閾値よりも値が大きい他の閾値を上回った場合には前記第1送信モードで動作することを特徴とする。
このような構成によれば、閾値にヒステリシスを設けることで、安定した動作を達成することができる。
【0011】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記一部のチャンネルは、他のチャンネルに比較して優先順位が高いチャンネルであり、前記送信装置は、前記第2送信モードでは当該優先順位が高いチャンネルのみを送信することを特徴とする。
このような構成によれば、優先順位が高い特定のチャンネルの情報を確実に伝送することができる。
【0012】
また、本発明は、複数のチャンネルを有する信号を電波によって受信装置に伝送する送信装置において、当該送信装置から送信した前記電波の前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には、信号レベルを調整することにより、前記複数のチャンネルのうちの一部のチャンネルの送信強度を他のチャンネルの送信強度よりも高く設定することを特徴とする。
このような構成によれば、通信状況が悪化した場合でも特定のチャンネルの情報を確実に送信可能な送信装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、送信装置から伝送される複数のチャンネルを有する信号を電波によって受信する受信装置において、前記送信装置から送信した前記電波の前記受信装置における受信強度が所定の閾値を下回った場合には、前記送信装置に通知して、信号レベルを調整させることにより、前記複数のチャンネルのうちの一部のチャンネルの送信強度を他のチャンネルの送信強度よりも高く設定させることを特徴とする。
このような構成によれば、通信状況が悪化した場合でも特定のチャンネルの情報を確実に受信可能な受信装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信状況が悪化した場合でも特定のチャンネルの情報を確実に伝送可能な伝送システム、送信装置、および、受信装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る伝送システムの構成例を示すブロック図である。
図2図1に示す送信側補償部の詳細な構成例を示すブロック図である。
図3図1に示す受信側補償部の詳細な構成例を示すブロック図である。
図4】実施形態の動作の概要を説明するための図である。
図5】受信側補償部において実行される処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図6】送信側補償部において実行される処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図7】閾値を説明するための図である。
図8】変形実施態様の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
(A)実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。この図に示すように、本実施形態に係る伝送システムは、送信側補償部10、モデム20、送信部30、アンテナ40,50、受信部60、受信側補償部70、および、モデム80を主要な構成要素としている。
【0018】
ここで、送信側補償部10は、複数のチャンネル(キャリア)を有する映像信号(例えば、90〜222MHzの帯域の信号)およびパイロット信号(例えば、70MHzの信号)を有するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を入力し、モデム20から供給される情報を参照して、降雨時における送信信号の減衰を補償する処理を必要に応じて施して出力する。モデム20は、アンテナ40,50間で送受信される電波の周波数とは異なる周波数(例えば、429MHz)の電波によってモデム80から情報を受信する。
【0019】
送信部30は、送信側補償部10から供給されるOFDM信号を、例えば、23GHz帯域の信号にアップコンバート(Up Convert)して、アンテナ40から送信する。アンテナ40は、例えば、パラボラアンテナによって構成され、送信部30から供給される23GHz帯域の信号を電波としてアンテナ50に向けて送信する。
【0020】
アンテナ50は、アンテナ40と同様に、例えば、パラボラアンテナによって構成され、アンテナ40から送信された23GHz帯域の電波を受信する。受信部60は、アンテナ50によって受信された23GHz帯域の電波を、ダウンコンバート(Down Convert)して出力する。
【0021】
受信側補償部70は、受信部60から供給される信号からパイロット信号を抽出し、その受信強度を閾値と比較して受信状態の良否を判定し、送信側補償部10の動作(通常動作または降雨時減衰動作)を切り換えるための切換信号をモデム80を介して送信側に通知する。
【0022】
モデム80は、アンテナ40,50間で送受信される電波の周波数とは異なる周波数(例えば、429MHz)の電波によってモデム20に対して切換信号を送信する。
【0023】
図2は、図1に示す送信側補償部10の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、送信側補償部10は、分配器11、OFDM−SP(Signal Processor)12、BPF(Band Pass Filter)13、GC(Gain Control)付増幅器14、混合器15、判定部16、および、I/F(Interface)17を主要な構成要素としている。
【0024】
ここで、分配器11は、入力されたOFDM信号を2分配して一方はOFDM−SP12へ出力し、他方はBPF13へ出力する。OFDM−SP12は、複数のチャンネルの信号の中から特定のチャンネルの信号を抽出するとともに、信号レベルを調整して出力する。
【0025】
BPF13は、OFDM信号の帯域を通過させ、それ以外の帯域を減衰して出力する。GC付増幅器14は、BPF13から出力される信号を所定の利得で増幅して出力する。混合器15は、OFDM−SP12またはGC付増幅器14から出力される信号を送信部30に供給する。
【0026】
判定部16は、I/F17から供給される切換信号に基づいて、動作状態を切り換える処理を実行する。I/F17は、モデム20から供給される信号の表現形式を適宜変換して判定部16に供給する。
【0027】
図3は、図1に示す受信側補償部70の構成例を示す図である。この図に示すように、受信側補償部70は、BPF71、増幅器72、検波器73、比較判定部74、および、I/F75を有している。
【0028】
ここで、BPF71は、受信部60から供給されるOFDM信号からパイロット信号(例えば、70MHzの信号)を通過させ、他の信号を減衰させて出力する。増幅器72は、BPF71から出力される信号を所定の利得で増幅して出力する。
【0029】
検波器73は、増幅器72から出力される信号を検波することにより、パイロット信号の受信強度を検出する。比較判定部74は、検波器73によって検出された受信強度と、閾値とを比較し、比較結果に基づいて切換信号を生成して出力する。I/F75は、比較判定部74から出力される信号の表現形式を適宜変換してモデム80に供給する。
【0030】
(B)実施形態の動作原理の説明
つぎに、図4を参照して、本実施形態の動作原理を簡単に説明する。図4は、降雨時における送信信号と受信信号の関係を示す図である。図4(A)は、通常動作時における送信信号の状態を示す図である。この図において横軸は周波数を示し、縦軸は電力を示している。また、台形のそれぞれは各チャンネルの信号を示している。図4(A)に示すように、通常時は全てのチャンネルの信号が同じ電力レベルで送信される。なお、このような動作モードを以下では「第1送信モード」と称する。図4(B)は晴天時(降雨減衰が生じていない場合)における受信信号の電力レベルを示す図である。この図に示すように、晴天時には受信電力レベルは、適正な再生が可能な電力レベルである閾値Thp1を上回っている。
【0031】
図4(C)は降雨時における受信信号の電力レベルを示している。この図に示すように、降雨に起因する電波の減衰である「降雨減衰」が大きい場合には、閾値Thp1を下回るレベルまで受信信号の電力レベルが減衰する。このような場合には、全てのチャンネルの信号の再生が困難になってしまう。
【0032】
そこで、本実施形態では、降雨時において、受信電力が閾値Thp1以下になった場合には、受信側補償部70がモデム80を介して送信側に動作を切り換えるための切換信号を送信する。その結果、送信側補償部10では、図4(D)に示すように、例えば、緊急性または重要性が高い情報を含む「優先順位」が高い特定のチャンネル(この例では特定の1チャンネル)を選択し、特定のチャンネルの送信電力を他のチャンネルよりも高く設定する(図4(D)の例では、特定のチャンネルのみを通常時よりも高い電力で送信している)。なお、このような動作モードを「第2送信モード」と称する。このように特定のチャンネルの送信電力を高く設定することにより、図4(E)に示すように、受信側における電力を閾値Thp1以上に維持することができる。その結果、降雨等によって伝送路の環境が悪化した場合であっても、緊急性または重要性が高い情報を含む特定のチャンネルについては確実に受信することが可能になる。なお、降雨が終わった場合には、図4(A)に示す第1送信モードに復帰する。
【0033】
つまり、本実施形態では、降雨によって伝送路の状況が悪化した場合には、特定のチャンネルの電力を他のチャンネルよりも高く設定することにより、特定のチャンネルについては受信を可能とする。また、モデム20,80により、アンテナ40,50とは異なる周波数帯域を用いて降雨減衰が生じたことを通知することで、降雨の影響を受けることなく、降雨減衰の発生を確実に通知することができる。
【0034】
(C)実施形態の詳細な動作の説明
つぎに、図5,6に示すフローチャートを参照して図1に示す実施形態の動作について説明する。以下では、図5を参照して受信側において実行される処理について説明した後、図6を参照して送信側において実行される処理について説明する。
【0035】
図5は、図3に示す受信側補償部70において実行される処理の流れを説明するための図である。なお、図5の処理は、例えば、所定の周期(例えば、数秒周期)で実行される。この図に示す処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0036】
ステップS10では、比較判定部74は、処理回数をカウントするための変数C1,C2に初期値として“0”を代入する。
【0037】
ステップS11では、比較判定部74は、検波器73からその時点における受信電力Prを取得する。より具体的には、検波器73は増幅器72から供給されるパイロット信号を検波し、その受信電力を示す情報を比較判定部74に供給する。比較判定部74は、検波器73から検出された受信電力を示す情報を取得し、変数Prに格納する。なお、パイロット信号については、送信状態が第1送信モードまたは第2送信モードのいずれかに拘わらず、常に一定の電力で送信されているものとする。
【0038】
ステップS12では、比較判定部74は、受信電力Prが所定の閾値Thp1以下であるか否かを判定し、Pr≦Thp1が成立する場合にはステップS13に進み、それ以外の場合にはステップS14に進む。例えば、アンテナ40,50の間で降雨があり、それによる降雨減衰によって受信電力が減少し、Pr≦Thp1が成立する場合にはステップS13に進む。
【0039】
ステップS13では、比較判定部74は、Pr≦Thp1が成立した回数をカウントする変数C1の値を1だけインクリメントする。
【0040】
ステップS14では、比較判定部74は、ステップS11で検出した受信電力Prが所定の閾値Thp2より大きいか否かを判定し、Pr>Thp2が成立する場合にはステップS15に進み、それ以外の場合にはステップS16に進む。なお、図7に示すように、Thp2>Thp1の関係が成立しているものとする。例えば、アンテナ40,50の間の降雨が止み、降雨減衰の改善によって受信電力が増加し、Pr>Thp2が成立する場合にはステップS15に進む。
【0041】
ステップS15では、比較判定部74は、Pr>Thp2が成立した回数をカウントする変数C2の値を1だけインクリメントする。
【0042】
ステップS16では、比較判定部74は、Pr≦Thp1が成立した回数をカウントする変数C1の値が所定の閾値Thc1以上であるか否かを判定し、C1≧Thc1が成立する場合にはステップS17に進み、それ以外の場合にはステップS20に進む。例えば、Thp1=10である場合、Pr≦Thp1が成立した回数が10回(C1=10)になると、C1≧Thc1が成立するとしてステップS17に進む。
【0043】
ステップS17では、比較判定部74は、降雨減衰によって受信電力が減衰していることを示すアラームを発出する。例えば、筐体に設けられた所定のLED(Light Emitting Diode)を点灯することにより、降雨減衰によって受信電力が減衰していることを示すことができる。もちろん、これ以外の方法であってもよい。
【0044】
ステップS18では、比較判定部74は、I/F75およびモデム80を介して降雨減衰側切換信号を出力する。なお、降雨減衰側切換信号とは、送信側補償部10の動作を降雨減衰に対応するモード(第1送信モード)へ切り換えるための信号である。この信号を受信した場合の送信側補償部10の動作については、図6を参照して後述する。
【0045】
ステップS19では、比較判定部74は、処理回数をカウントする変数C1に値0を代入して初期化する。
【0046】
ステップS20では、比較判定部74は、Pr>Thp2が成立した回数をカウントする変数C2の値が所定の閾値Thc2以上であるか否かを判定し、C2≧Thc2が成立する場合にはステップS21に進み、それ以外の場合にはステップS24に進む。例えば、Thp2=10の場合、Pr>Thp2が成立した回数が10回(C2=10)になると、C2≧Thc2が成立するとしてステップS21に進む。
【0047】
ステップS21では、比較判定部74は、ステップS17で発出したアラームを解除する。例えば、先ほどの例では、筐体に設けられた所定のLEDを消灯する。
【0048】
ステップS22では、比較判定部74は、I/F75およびモデム80を介して通常側切換信号を出力する。なお、通常側切換信号とは、送信側補償部10の動作を通常動作(第2送信モード)へ切り換えるための信号である。この信号を受信した場合の送信側補償部10の動作については、図6を参照して後述する。
【0049】
ステップS23では、比較判定部74は、処理回数をカウントする変数C2に値0を代入して初期化する。
【0050】
ステップS24では、比較判定部74は、処理を終了するか否かを判定し、処理を継続すると判定した場合(ステップS24:No)にはステップS11に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS24:Yes)には処理を終了する。
【0051】
つぎに、図6を参照して、図2に示す送信側補償部10において実行される処理の流れを説明する。なお、図6の処理は、例えば、所定の周期(例えば、数秒周期)で実行される。この図に示す処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0052】
ステップS30では、判定部16は、モデム20およびI/F17を介して、受信側補償部70から切換信号を取得する。
【0053】
ステップS31では、判定部16は、ステップS30で取得した切換信号を参照し、切換信号が図5のステップS22で出力された通常側切換信号である場合(ステップS31:Yes)にはステップS32に進み、それ以外の場合(ステップS31:No)にはステップS34に進む。
【0054】
ステップS32では、判定部16は、OFDM−SP12の動作を停止させる。OFDM−SP12が動作を停止されると、OFDM−SP12から出力がされなくなるので、GC付増幅器14のみの出力が混合器15に供給される。
【0055】
ステップS33では、判定部16は、GC付増幅器14に対して、全チャンネルを対象としてAGC(Automatic Gain Control)動作をするように指示する。この結果、GC付増幅器14は、全チャンネルの信号が同じ電力となるように調整して出力する。GC付増幅器14から出力された信号は、混合器15を介して出力され、送信部30において、例えば、32GHzにアップコンバートされた後、アンテナ40から送信される。このとき、アンテナ40から送信される信号の電力は図4(A)に示すようになる。また、受信部60において受信される信号は図4(B)に示すようになる。すなわち、送信側は、第1送信モードで動作する。なお、ステップS33の処理が終了すると、ステップS37に進む。
【0056】
ステップS34では、判定部16は、ステップS30で取得した切換信号を参照し、切換信号が図5のステップS18で出力された降雨減衰側切換信号である場合(ステップS34:Yes)にはステップS35に進み、それ以外の場合(ステップS34:No)にはステップS37に進む。
【0057】
ステップS35では、判定部16は、GC付増幅器14の動作を停止させる。GC付増幅器14が動作を停止されると、GC付増幅器14から出力がされなくなるので、OFDM−SP12のみの出力が混合器15に供給される。
【0058】
ステップS36では、判定部16は、OFDM−SP12に対して、一部のチャンネルのみを対象にAGC動作を実行させる。具体的には、OFDM−SP12は、分配器11から供給される複数のチャンネルの信号の中から特定のチャンネルの信号を抽出するとともに、信号レベルを調整して出力する。例えば、アンテナ40から送信される信号は図4(D)に示すように、特定のチャンネルのみに電力が集中され(例えば、通常よりも数〜十dB程度電力がアップされる)他のチャンネルの送信が停止される。すなわち、送信側は第2送信モードで動作する。このように、特定のチャンネルに電力を集中することで、受信側では、図4(E)に示すように、降雨減衰に拘わらず当該チャンネルについては確実に受信することができる。なお、図4には示していないが、このとき、パイロット信号については、第1送信モードと同じ電力で送信する。パイロット信号は、伝送路の減衰量を調べる機能を有しているからである。
【0059】
ステップS37では、判定部16は、処理を終了するか否かを判定し、処理を継続すると判定した場合(ステップS37:No)にはステップS30に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS37:Yes)には処理を終了する。
【0060】
つぎに、以上のフローチャートを参照して具体的な動作について説明する。例えば、晴天時において通常動作(図4(A)に示す動作)をしている状態で、降雨が始まり、降雨減衰が顕著になると、受信側では、パイロット信号の受信電力が減少するのでステップS12においてYesと判定され、カウンタC1の値がインクリメントされる。前述したように、図5の処理は所定の周期で繰り返されるので、受信電力の減少が継続すると、カウンタC1の値がThc1以上になり、ステップS16でYesと判定されてステップS17に進む。ステップS17ではアラームが発出され、ステップS18において降雨減衰側切換信号が出力され、ステップS19においてカウンタC1がリセットされる。
【0061】
降雨減衰側切換信号が出力されると、送信側では、ステップS34においてYesと判定され、ステップS35およびステップS36において第2送信モードに移行する。これにより、図4(D)に示すように特定のチャンネルに送信電力が集中した状態で送信が行われる。このような状態では、降雨減衰による減衰後でも閾値Thp1以上の受信電力があるので当該チャンネルについては受信が可能となる。これにより、受信側は、全てのチャンネルが受信不能になるのではなく、優先順位が高い情報については受信することができる。
【0062】
このような状態において、降雨が終了すると、降雨減衰が改善される。前述のようにパイロット信号は送信モードによらず同じ電力で送信されているので、降雨減衰が改善されると、受信電力が改善される。その結果、受信電力がThp2を上回った場合には、ステップS14でYesと判定され、カウンタC2の値がインクリメントされる。そして、カウンタC2の値がThc2以上になると、ステップS21においてアラームが解除され、ステップS22で通常側切換信号が出力され、ステップS23でカウンタC2がリセットされる。
【0063】
その結果、ステップS31でYesと判定されるので、ステップS32,S33において、第1送信モードに推移し、図4(A)に示す動作モードになる。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態によれば、降雨減衰時には、特定のチャンネルに送信電力を集中することにより、重要性または緊急性が高い情報を確実に伝送することが可能になる。
【0065】
また、以上の実施形態では、アンテナ40,50とは異なる周波数の信号を用いてモデム20,80間で切換信号を送受信するようにしたので、降雨減衰によって切換信号自体が受信できなくなることを防止できる。
【0066】
また、以上の実施形態では、ダウンコンバート後のパイロット信号(約70MHz)を用いて降雨減衰の有無を検出するようにしたので、ダウンコンバート前の信号(23GHz)を用いる場合に比較して、回路を単純化するとともに回路規模を縮小することができる。また、映像信号はシステム毎にチャンネルの配置が異なることから、パイロット信号を用いることにより、どのようなシステムにも対応することが可能になる。
【0067】
(D)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の実施形態では、降雨減衰時には、1チャンネルのみに送信電力を集中するようにしたが、通常時よりは少ない複数のチャンネルに送信電力を集中させるようにしてもよい。具体的には、例えば、通常時に最大で22チャンネルの信号を伝送する場合に、降雨減衰時には2〜3チャンネルに電力を集中するようにしてもよい。また、他のチャンネルについては完全に送信を停止するのではなく、電力レベルを低下させた状態で送信を継続するようにしてもよい。より詳細には、降雨減衰時には1チャンネルまたは複数チャンネルの送信電力を、他のチャンネルの送信電力よりも高く設定するようにしてもよい。
【0068】
また、以上の実施形態では、受信電力が閾値Thp1以下になった場合には、特定のチャンネルのみを選択して送信するようにしたが、例えば、図8(A)に示すように、受信電力が閾値Thp3以下になった場合には、図8(B)に示すように、特定のチャンネルの送信電力を他のチャンネルよりもΔPだけ増加させる。そして、受信電力が閾値Thp4以下になった場合には、図8(C)に示すように、特定のチャンネルのみを送信し、他のチャンネルは送信を停止する。このような方法によれば、受信電力の変化に応じて送信電力を最適に設定し、特定のチャンネルを確実に受信することが可能になる。なお、図8では1チャンネルのみを特定のチャンネルとしたが、前述したように複数のチャンネルを対象として図8の制御を実行するようにしてもよい。あるいは、閾値に応じて、送信する対象となるチャンネルの数を変えるようにしてもよい。具体的には、閾値Thp3以下の場合には3チャンネルを送信し、Thp4以下の場合には1チャンネルを送信することも可能である。もちろん、これ以外の数のチャンネル数であってもよい。
【0069】
また、以上の実施形態では、受信側において受信電力と閾値を比較して切換信号を生成するようにしたが、例えば、受信側では受信電力の検出のみを行い、送信側で閾値との比較を行うようにしてもよい。また、以上の実施形態では、受信電力が閾値Thp1以下になったと複数回(Thc1回)判定された場合に、降雨減衰であると判定するようにしたが、1回判定された場合に降雨減衰と判定してもよい。また、以上の実施形態では、降雨減衰であると判定された後に、閾値Thp1よりも値が大きい閾値Thp2よりも受信電力が大きくなったと複数回(Thc2回)判定された場合に、通常時に戻すようにしたが、1回判定された場合に通常時に戻すようにしてもよい。また、Thp1=Thp2としてヒステリシスを持たないようにすることも可能である。
【0070】
また、以上の実施形態では、各種閾値Thp1,Thp2,Thc1,Thc2は固定値としたが、これらを任意に調整可能としてもよい。例えば、閾値を半導体メモリに格納し、これを書き換え可能とすることができる。
【0071】
また、以上の実施形態では、受信側において受信強度として、電力を検出するようにしたが、電圧を検出するようにしてもよい。
【0072】
また、以上の実施形態では、受信電力を検出する方法としては、ダウンコンバートされたパイロット信号を用いるようにしたが、ダウンコンバート前のパイロット信号を用いるようにしてもよい。もちろん、パイロット信号以外の信号を用いることも可能である。具体的には、ダウンコンバート前または後の映像信号を用いて受信電力を検出することも可能である。また、以上では、パイロット信号の送信電力は送信モードによらず一定としたが、映像信号の送信電力に応じてパイロット信号の電力を変化させ、受信側では受信電力の減衰量に応じて降雨減衰の有無を判定するようにしてもよい。具体的には、図4(A)に示す第1送信モードでは、各チャンネルと同じ電力でパイロット信号を送信し、図4(D)に示す第2送信モードでは選択されたチャンネルと同じ電力でパイロット信号を送信する。そして、第1送信モードで送信中に降雨減衰によって、受信電力が閾値Thp1以下になった場合に第2送信モードに移行させる。また、第2送信モードで送信中に降雨減衰が回復し、受信電力が閾値Thp2(図4(D)に示す電力で送信した場合に、降雨減衰が回復したときの電力に対応する閾値)以上になった場合には第1送信モードに推移させることができる。
【0073】
また、以上の実施形態では、モデム20,80の間では、アンテナ40,50とは異なる周波数の電波を用いて通信を行うようにしたが、電波以外の伝送媒体を用いることも可能である。例えば、ネットワークを介する電気回線によって通信したり、光通信ネットワークによって通信したりすることも可能である。
【0074】
また、図1〜3に示すブロック図は一例であって、これ以外の構成であってもよいことはいうまでもない。また、図5および図7に示すフローチャートも一例であってこれ以外の処理でもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 送信側補償部
11 分配器
12 OFDM−SP
13 BPF
14 GC付増幅器
15 混合器
16 判定部
17 I/F
20 モデム
30 送信部
40,50 アンテナ
60 受信部
70 受信側補償部
71 BPF
72 増幅器
73 検波器
74 比較判定部
75 I/F
80 モデム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8