特許第5829391号(P5829391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5829391
(24)【登録日】2015年10月30日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】光走査装置及びこれを用いた光測距装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20151119BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20151119BHJP
   G01S 17/42 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   G02B26/10 104Z
   G02B26/10 C
   G01S7/481 A
   G01S17/42
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-211710(P2010-211710)
(22)【出願日】2010年9月22日
(65)【公開番号】特開2012-68349(P2012-68349A)
(43)【公開日】2012年4月5日
【審査請求日】2013年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 博隆
(72)【発明者】
【氏名】石川 智之
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 宏明
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/082827(WO,A1)
【文献】 特開2004−157796(JP,A)
【文献】 特開2009−180753(JP,A)
【文献】 特開2008−233348(JP,A)
【文献】 特開2003−177340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10 − 26/12
G01S 7/48 − 7/51
G01S 17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射面を有する可動部が互いに直交する第1、第2軸回りに揺動可能に形成され、該可動部が前記第1軸回り及び前記第2軸回りに揺動することによって前記光反射面に入射される光を対象領域内でリサージュ走査する光走査部と、
前記可動部を前記第1軸回りに揺動させる第1駆動信号及び前記可動部を前記第2軸回りに揺動させる第2駆動信号をそれぞれ前記光走査部に出力して前記可動部を前記第1軸
回り及び前記第2軸回りに揺動駆動する駆動部と、
前記可動部の前記第1軸回りの第1共振周波数に対する前記第1駆動信号の周波数のずれ量である第1ずれ量及び前記可動部の前記第2軸回りの第2共振周波数に対する前記第2駆動信号の周波数のずれ量である第2ずれ量の少なくとも一方を検出するずれ量検出部と、
を備え、
前記駆動部は、前記第1ずれ量が予め定められた第1閾値よりも大きい場合、前記第2ずれ量が予め定められた第2閾値よりも大きい場合、又は、前記第1ずれ量が前記第1閾値よりも大きくかつ前記第2ずれ量が前記第2閾値よりも大きい場合に、前記第1駆動信号の周波数及び前記第2駆動信号の周波数をこれらの周波数比を維持しつつ変更する、光走査装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記第1ずれ量が前記第1閾値よりも大きい場合には、前記第1駆動信号の周波数を前記第1ずれ量に応じて変更し、この変更された第1駆動信号の周波数に応じて前記第2駆動信号の周波数を変更する、請求項に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記第2ずれ量が前記第2閾値よりも大きい場合には、前記第2駆動信号の周波数を前記第2ずれ量に応じて変更し、この変更された第2駆動信号の周波数に応じて前記第1駆動信号の周波数を変更する、請求項に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記第1ずれ量が前記第1閾値よりも大きくかつ前記第2ずれ量が前記第2閾値よりも大きい場合には、第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数のいずれか一方を対応するずれ量に応じて変更し、この変更された周波数に応じて他方を変更する、請求項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記可動部の前記第1軸回りの揺動角度に応じた信号を出力する第1揺動角度検出部を備え、
前記ずれ量検出部は、前記第1駆動信号と前記第1揺動角度検出部の出力信号との位相差に基づいて前記第1ずれ量を検出する、請求項のいずれか一つに記載の光走査装置。
【請求項6】
前記可動部の前記第2軸回りの揺動角度に応じた信号を出力する第2揺動角度検出部を備え、
前記ずれ量検出部は、前記第2駆動信号と前記第2揺動角度検出部の出力信号との位相差に基づいて前記第2ずれ量を検出する、請求項のいずれか一つに記載の光走査装置。
【請求項7】
前記光走査部又はその近傍の温度を検出する温度センサを備え、
前記ずれ量検出部は、前記駆動部が出力した前記第1駆動信号の周波数と前記光走査部又はその近傍の温度に応じた前記第1共振周波数とに基づいて前記第1ずれ量を検出し、前記駆動部が出力した前記第2駆動信号の周波数と前記光走査部又はその近傍の温度に応じた前記第2共振周波数とに基づいて前記第2ずれ量を検出する、請求項のいずれか一つに記載の光走査装置。
【請求項8】
前記駆動部は、
前記第1駆動信号の周波数及び前記第2駆動信号の周波数を決定する周波数決定部と、
前記周波数決定部で決定された周波数に基づいて前記第1駆動信号を生成する第1駆動回路と、
前記周波数決定部で決定された周波数に基づいて前記第2駆動信号を生成する第2駆動回路と、
を備え、
前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路は、DDS(Direct Digital Synthesizer)方式又はPLL(Phase Lock Loop)方式の周波数シンセサイザを備える、請求項のいずれか一つに記載の光走査装置。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか一つに記載の光走査装置と、
前記光走査装置の前記光反射面に向かってパルス光を出射する光源部と、
前記光源部から出射されたパルス光が前記対象領域内に存在する物体によって反射された反射光を受光する受光部と、
前記光源部によるパルス光の出射タイミングと前記受光部による反射光の受光タイミングとに基づいて前記物体までの距離を計測する測距部と、
を備えた、光測距装置。
【請求項10】
前記測距部による計測結果に基づいて前記対象領域についての距離画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部により生成された距離画像を表示する表示部と、
をさらに備える、請求項に記載の光測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部の光反射面に入射される光を対象領域内でリサージュ走査する光走査装置及びこれを用いて対象領域内に存在する物体の距離を計測する光測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザ光を対象領域内でリサージュ走査する光走査装置を利用して対象物までの距離を計測する光測距装置が知られている。
この種の光測距装置は、例えば、レーザパルスを出射する光源と、この光源から出射されたレーザパルス光を対象領域内でリサージュ走査する光走査装置と、対象領域内の対象物によって反射されたレーザパルスを受光する受光部と、レーザパルスの出射タイミングと反射光の受光タイミングとの時間差に基づいて対象物までの距離を計測する測距部と、を備える。光走査装置は、二次元ガルバノミラー等で構成される光走査部及びこの光走査部のミラーを揺動駆動する駆動部を含み、通常は光走査部(二次元ガルバノミラー)の共振現象を利用することによって広範囲な光走査を可能としている。すなわち、駆動部は、二次元ガルバノミラーの直交する二軸(x軸、y軸)回りの共振周波数近傍の周波数を有する二つの駆動信号を所定の位相差を与えつつ二次元ガルバノミラーに供給し、これにより、二次元ガルバノミラーをx軸回り及びy軸回りに揺動駆動している。
【0003】
ここで、上記二次元ガルバノミラーの走査軌跡であるリサージュパターンは、二次元ガルバノミラーをx軸回りに揺動駆動する駆動信号とy軸回りに揺動駆動する駆動信号との周波数比及び位相差によって決定される。また、上記二次元ガルバノミラーによる走査の一周期であるリサージュ周期は、二次元ガルバノミラーをx軸回りに揺動駆動する駆動信号の周波数及びy軸回りに揺動駆動する駆動信号の周波数によって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−157796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような光測距装置は、対象領域についての測距を繰り返し行うものであり、対象領域内の同じ計測位置(複数位置)にレーザパルスを出射する必要がある。レーザパルスの出射は、通常、予め設定されたタイムテーブルにしたがって行われるため、二次元ガルバノミラーはその走査軌跡(すなわち、リサージュパターン)が変わらないように駆動されなければならない。また、リサージュ周期は、対象領域についての測距時間に影響を与えるため、大幅に変えることはできない。
そのため、光測距装置においては、リサージュパターン及びリサージュ周期が変化しないように、x軸回りに揺動駆動する駆動信号の周波数、y軸回りに揺動駆動する駆動信号の周波数及びこれらの位相差が一定値に固定されているのが一般的である。この場合、二次元ガルバノミラーについて言えば、周波数及びその位相差が固定された二つの駆動信号によって上記光測距装置の仕様(測距可能範囲)を満たすような特性(特にx軸回り及びy軸回りの共振周波数)を有することが要求される。
【0006】
しかし、二次元ガルバノミラーは、その製造プロセスに起因する固体バラツキを持っており、上記光測距装置の仕様を満たすような特性を有する二次元ガルバノミラーだけを製造することは難しい。そのため、製造後の調整プロセスや製造後の選別等が必要になって製造コストが上昇してしまうという課題がある。
また、二次元ガルバノミラーは、その部材の周囲温度によって特性が変動するため、光測距装置の使用環境の変化によって上記仕様を満たさなくなるおそれもある。このような状態を避けるためには、製造後の調整プロセスや製造後の選別等において光測距装置の使用温度条件内での特性(共振周波数)変動をも考慮しなければならず、そうすると、さらなる製造コストの上昇を招くことになる。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、光走査部の共振周波数が製造バラツキや温度変化等によって変動しても、光走査部による走査軌跡を変更することなく、光走査部に出力される駆動信号の周波数を上記共振周波数に近づけることのできる光走査装置及びこれを用いた光測距装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面よると、光走査装置は、光反射面を有する可動部が互いに直交する第1、第2軸回りに揺動可能に形成され、該可動部が前記第1軸回り及び前記第2軸回りに揺動することによって前記光反射面に入射される光を対象領域内でリサージュ走査する光走査部と、前記可動部を前記第1軸回りに揺動させる第1駆動信号及び前記可動部を前記第2軸回りに揺動させる第2駆動信号をそれぞれ前記光走査部に出力して前記可動部を前記第1軸回り及び前記第2軸回りに揺動駆動する駆動部と、前記可動部の前記第1軸回りの第1共振周波数に対する前記第1駆動信号の周波数のずれ量である第1ずれ量及び前記可動部の前記第2軸回りの第2共振周波数に対する前記第2駆動信号の周波数のずれ量である第2ずれ量の少なくとも一方を検出するずれ量検出部と、を備え、前記駆動部は、前記第1ずれ量が予め定められた第1閾値よりも大きい場合、前記第2ずれ量が予め定められた第2閾値よりも大きい場合、又は、前記第1ずれ量が前記第1閾値よりも大きくかつ前記第2ずれ量が前記第2閾値よりも大きい場合に、前記第1駆動信号の周波数及び前記第2駆動信号の周波数をこれらの周波数比を維持しつつ変更する。
【0009】
本発明の他の側面によると、光測距装置は、前記光走査装置と、前記光走査装置の前記光反射面に向かってパルス光を出射する光源部と、前記光源部から出射されたパルス光が前記対象領域内に存在する物体によって反射された反射光を受光する受光部と、前記光源部によるパルス光の出射タイミングと前記受光部による反射光の受光タイミングとに基づいて前記物体までの距離を計測する測距部と、を備え
【発明の効果】
【0010】
上記光走査装置及び上記光測距装置によれば、光走査部に出力される第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数をこれらの周波数比を維持しつつ変更できるので、例えば第1駆動信号の周波数及び/又は第2駆動信号の周波数と可動部の共振周波数とにずれが生じた場合であっても、当該ずれを低減しつつリサージュパターンを一定に保つことができる。これにより、例えば可動部の揺動角度を確保するために第1,第2駆動信号を大幅に増加させる必要がなく、効率的で安定した光走査を行うことができる。また、光走査部の製造後に調整プロセスが必要になるケースを低減又は製造後の選別条件等を緩和できるので、光走査部の製造コストの上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態による光測距装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】上記光測距装置の光走査部の一例である二次元ガルバノミラーの構成を示す図である。
図3】上記光走査部の(内側)可動部の揺動角度を検出するためのピエゾ抵抗素子で構成されたブリッジ回路を示す図である。
図4】ガルバノミラーの周波数特性を示す図である。
図5】上記光測距装置の駆動部で実行される第1駆動信号及び第2駆動信号の周波数の決定(変更)処理の一例を示すフローチャートである。
図6】上記光走査部の温度−共振周波数テーブルの一例を示す図である。
図7】二つの一次元ガルバノミラーを用いて入射光を二次元走査する光走査部の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による光測距装置の概略構成を示すブロック図である。この光測距装置は、パルス光(レーザパルス)を対象領域内でリサージュ走査し、該対象領域内に存在する物体(人を含む)による反射光を受光して当該物体までの距離を計測(測距)し、その計測結果に基づく距離画像を生成して出力(表示)する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態による光測距装置1は、電磁駆動型の光走査部3と、光走査部3を駆動する駆動部5と、パルス光を出射する光源部7と、光源部7から出射されたパルス光の反射光を受光する受光部9と、光源部7から出射されたパルス光を反射した物体までの距離を計測する測距部11と、測距部11による計測結果に基づいて距離画像を生成する画像生成部13と、画像生成部13によって生成された距離画像を出力(表示)する表示部15と、を備える。
【0014】
光走査部3は、光反射面(ミラー)を有する可動部が互いに直交する第1軸及び第2軸回りに揺動可能に形成されており、光反射面に入射される光(パルス光)を対象領域内で二次元走査、より具体的にはリサージュ走査することが可能である。このような光走査部3として、例えば本出願人により提案された特許第2722314号公報に記載の二次元走査型の半導体ガルバノミラー(以下単に「二次元ガルバノミラー」という)を用いることができる。
【0015】
図2は、光走査部3の具体例としての二次元ガルバノミラー30の構成を示している。
図2に示すように、二次元ガルバノミラー30は、枠状の固定部31と、固定部31の内側に配置されて一対の第1トーションバー32,32によって揺動可能に支持された外側可動部33と、外側可動部33の内側に配置されて第1トーションバー32,32に軸方向が直交する一対の第2トーションバー34,34によって揺動可能に支持された内側可動部35と、を備える。ここで、第1トーションバー32,32の中心軸をy軸(第1軸)とし、第2トーションバー34,34の中心軸をx軸(第2軸)とする。
【0016】
内側可動部35の中央部には光反射面(ミラー)36が形成され、外側可動部33及び内側可動部35の周縁部にはそれぞれ第1駆動コイル37、第2駆動コイル38が形成されている。第1駆動コイル37の端部は、固定部31に形成された第1電極端子39,39に接続され、第2駆動コイル38の端部は、固定部31に形成された第2電極端子40,40に接続されている。
また、第1駆動コイル37に磁界を作用させる一対の第1永久磁石41,41及び第2駆動コイル38に磁界を作用させる一対の第2永久磁石42,42が固定部31を挟んでそれぞれ対向配置されている。ここで、固定部31、第1トーションバー32,32、外側可動部33、第2トーションバー34,34及び内側可動部35は、半導体基板から一体的に形成される。
【0017】
第1トーションバー32,32には、外側可動部33のy軸回りの揺動動作、すなわち、第1トーションバー32,32の捩れによって生じる歪み(応力)を検出するための第1〜第4ピエゾ抵抗素子R1〜R4が設けられている。第1〜第4ピエゾ抵抗素子R1〜R4は、例えばP型拡散抵抗によって第1トーションバー32,32の固定部31の根元近傍に形成されており、第1トーションバー32,32に生じる引張歪み及び圧縮歪みを検出する。
同様に、第2トーションバー34,34には、内側可動部35のx軸回りの揺動動作、すなわち、第2トーションバー34,34の捩れによって生じる歪み(応力)を検出するための第5〜第8ピエゾ抵抗素子R5〜R8が配置されている。
そして、第1〜第4ピエゾ抵抗素子R1〜R4、及び、第5〜第8ピエゾ抵抗素子R5〜R8は、それぞれ図示省略した配線によって接続されて、図3に示すようなブリッジ回路45(入力電圧Vi,出力電圧Vo)を構成している。
【0018】
二次元ガルバノミラー30においては、第1駆動コイル37及び第2駆動コイル38に駆動電流(振動電流)が供給されると、第1駆動コイル37及び第2駆動コイル38に流れる振動電流と第1永久磁石41,41及び第2永久磁石42,42による磁界とによって外側可動部33及び内側可動部35にそれぞれローレンツ力が作用して内側可動部35がx軸回り及びy軸回りに揺動する。このように内側可動部35がx軸回り及びy軸回りに揺動することによって、光反射面36に入射されるパルス光は対象領域内でリサージュ走査される。ここで、二次元ガルバノミラー30は、x軸回り及びy軸回りの二つの固有振動モード(共振周波数)を有しており、第1駆動コイル37及び第2駆動コイル38には、駆動部5からそれぞれ対応する共振周波数又はその近傍の周波数の振動電流が駆動信号として供給される。
なお、以下の説明において、光走査部3(内側可動部35)のy軸回りの共振周波数、すなわち、外側可動部33及び内側可動部35を含む可動部全体のy軸回りの共振周波数を「第1共振周波数」といい、光走査部3(内側可動部35)のx軸回りの共振周波数を「第2共振周波数」という。
【0019】
また、二次元ガルバノミラー30においては、外側可動部33及び内側可動部35がy軸回りの一方に傾斜すると、第1,4ピエゾ抵抗素子R1,R4は引張応力を受けるとともに第2,3ピエゾ抵抗素子R2,R3は圧縮応力を受け、外側可動部33及び内側可動部35がy軸回りの他方に傾斜すると、第1,4ピエゾ抵抗素子R1,R4は圧縮応力を受けるとともに第2,3ピエゾ抵抗素子R2,R3は引張応力を受ける。第1〜第4ピエゾ抵抗素子R1〜R4はP型拡散抵抗によって形成されており、引張応力を受けると抵抗値が増加し、圧縮応力を受けると抵抗値が減少する。このため、第1〜第4ピエゾ抵抗素子R1〜R4で構成されたブリッジ回路(図3参照)からは外側可動部33及び内側可動部35のy軸回りの揺動角度(振れ角)に応じた電圧が正弦波として出力される。このブリッジ回路の出力電圧Voをモニタすることで外側可動部33及び内側可動部35のy軸回りの揺動角度(振れ角)を連続的に検出することができる。
同様に、第5〜第8ピエゾ抵抗素子R5〜R8で構成されたブリッジ回路(図3参照)の出力電圧Voをモニタすることで内側可動部35のx軸回りの揺動角度(振れ角)を連続的に検出することできる。
したがって、第1〜第4ピエゾ抵抗素子R1〜R4で構成されるブリッジ回路(以下「第1ブリッジ回路」という)が本発明の「第1揺動角度検出部」に相当し、第5〜第8ピエゾ抵抗素子R5〜R8で構成されるブリッジ回路(以下「第2ブリッジ回路」という)が本発明の「第2揺動角度検出部」に相当する。
【0020】
図1に戻って、駆動部5は、内側可動部35(及び外側可動部33)をy軸回りに揺動させる第1駆動信号(振動電流)及び内側可動部35をx軸回りに揺動させる第2駆動信号(振動電流)を光走査部3に出力して内側可動部35をx軸回り及びy軸回りに揺動駆動する。なお、第1駆動信号と第2駆動信号との位相差は一定値に固定されている。
第1駆動信号の周波数、第2駆動信号の周波数は、それぞれ光走査部3の第1共振周波数、第2共振周波数に相当する値(例えば、設計値)として予め設定されているが、上述したように、製造バラツキや使用環境(特に、温度)の変化などによって光走査部3の実際の第1共振周波数及び第2共振周波数が上記設計値と異なる(周波数特性がシフトする)場合がある。
そこで、本実施形態における駆動部3は、第1駆動信号の周波数と光走査部3の実際の第1共振周波数とのずれ、及び/又は、第2駆動信号の周波数と光走査部3の実際の第2共振周波数とのずれを検出し、その検出結果に応じて第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数を変更する。但し、光走査部3による光走査のパターン(すなわち、リサージュパターン)を変更しないように、第1駆動信号の周波数と第2駆動信号の周波数との比(周波数比)を一定に維持する。ここで、通常は第2駆動信号の周波数の方が第1駆動信号の周波数よりも高くなっており、二次元ガルバノミラー30の内側可動部35はx軸回りに高速で揺動駆動され、y軸回りに低速で揺動駆動される。
【0021】
駆動部5は、第1駆動信号を生成して光走査部3に出力する第1駆動回路51と、第2駆動信号を生成して光走査部3に出力する第2駆動回路53と、出力された第1駆動信号の周波数と光走査部3の第1共振周波数とのずれ量である第1ずれ量を検出する第1ずれ量検出部55と、出力された第2駆動信号の周波数と光走査部3の第2共振周波数とのずれ量である第2ずれ量を検出する第2ずれ量検出部57と、第1ずれ量検出部55及び第2ずれ量検出部57の検出結果に基づいて第1,第2駆動信号の周波数を決定(変更)する周波数決定部59と、を含む。
【0022】
第1駆動回路51及び第2駆動回路53は、それぞれ周波数決定部55で決定された周波数に基づいて第1駆動信号、第2駆動信号を生成して光走査部3に出力する。第1駆動回路51及び第2駆動回路53は、DDS(Direct Digital Synthesizer)方式又はPLL(Phase Locked Loop)方式の周波数シンセサイザを備えており、基準クロック信号から自由に周波数を発生させることができる。これにより、第1駆動回路51及び第2駆動回路53はそれぞれ高分解能で駆動信号の周波数を変更(設定)することができる。
なお、DDS方式又はPLL方式の周波数シンセサイザの構成は公知であるので詳細な説明は省略するが、一般に、DDS方式の周波数シンセサイザは、加算器、位相レジスタ、正弦波変換部(波形ROM)、D/A変換部及び低域フィルタを含んで構成され、PLL方式の周波数シンセサイザは、位相比較器、低域フィルタ及び電圧制御発振器を含んで構成される。
【0023】
第1ずれ量検出部55は、第1駆動回路51から出力された第1駆動信号と上記第1ブリッジ回路の出力信号(すなわち、内側可動部35のy軸回りの揺動角度信号)との位相差に基づいて上記第1ずれ量を検出する。
第2ずれ量検出部57は、第2駆動回路53から出力された第2駆動信号と上記第2ブリッジ回路の出力信号(すなわち、内側可動部35のx軸回りの揺動角度信号)との位相差に基づいて第2ずれ量を検出する。
【0024】
ここで、第1,第2ずれ量検出部55,57による上記第1ずれ量、第2ずれ量の検出方法について図4を用いて簡単に説明する。
図4は、ガルバノミラーの周波数特性を示す図であり、図4(a)は、駆動信号の周波数に対するミラーの揺動角度(ゲイン)を示し、図4(b)は、駆動信号の周波数に対する駆動信号とミラーの揺動角度(信号)との位相(差)を示している。
【0025】
図4に示すように、ガルバノミラーがその共振周波数(ここでは1300Hz)と同一の周波数を有する駆動信号で駆動されると、当該駆動信号とミラーの揺動角度(信号)との間には−90°の位相差が発生する。すなわち、駆動信号とミラーの揺動角度信号との位相差が−90°でない場合には、駆動信号の周波数とガルバノミラーの共振周波数とが一致していない、換言すれば、製造バラツキや温度変化などによってガルバノミラーの周波数特性(共振周波数)がシフトしていると考えることができる。ガルバノミラーの周波数特性は予め取得しておくことが可能であるから、駆動信号とミラーの揺動角度信号との位相差を検出することで、駆動信号の周波数と実際のガルバノミラーの共振周波数とのずれ量(あるいは、共振周波数のシフト量)を把握することができる。
【0026】
これを利用することで、すなわち、光走査部3(内側可動部35)のy軸回り及びx軸回りの周波数特性に基づいて、第1ずれ量検出部55及び第2ずれ量検出部57は、第1駆動信号の周波数と第1共振周波数とのずれ量(第1ずれ量)、第2駆動信号の周波数と第2共振周波数とのずれ量(第2ずれ量)をそれぞれ検出することができる。
具体的には、第1ずれ量検出部55は、光走査部3(内側可動部35)のy軸回りについて図4(b)に対応する駆動周波数−位相(差)特性をテーブル等として有しており、第1駆動信号と第1ブリッジ回路の出力信号との位相差から第1ずれ量(第1共振周波数のシフト量)を検出する。また、第2ずれ量検出部57は、光走査部3(内側可動部35)のx軸回りについて図4(b)に対応する駆動周波数−位相(差)特性」をテーブル等として有しており、第2駆動信号と第2ブリッジ回路の出力信号との位相差から第2ずれ量(第2共振周波数のシフト量)を検出する。
【0027】
周波数決定部59は、第1ずれ量検出部55及び第2ずれ量検出部57の検出結果に応じて第1駆動信号及び第2駆動信号の周波数を変更する必要があるか否かを判断し、必要があると判断した場合には、第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数をこれらに比(周波数比)を一定に維持しながら変更する。
具体的には、周波数決定部59は、第1駆動信号及び第2駆動信号のいずれか一方の周波数を第1ずれ量検出部55又は第2ずれ量検出部57の検出結果に基づいて決定(変更)し、他方の周波数については、両者の周波数比が変化しないように、上記変更された一方の周波数に応じて決定(変更)する。そして、第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数を変更後の値に更新するとともに、更新された第1駆動信号の周波数を第1駆動回路51に出力し、更新された第2駆動信号の周波数を第2駆動回路53に出力する。
【0028】
図5は、駆動部5において実行される第1,第2駆動信号の周波数の決定(変更)処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS1では、第1駆動信号及び第2駆動信号を光走査部3に出力する。ここで出力される第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数は、前回の決定(変更)処理において更新された周波数であり、全く更新されていない場合にはそれぞれの初期値(すなわち、光測距装置1の製造時に設定されている値)である。
【0029】
ステップS2では、第1駆動信号の周波数と第1共振周波数(y軸回りの共振周波数)とのずれ量(第1ずれ量)、及び、第2駆動信号の周波数と第2共振周波数(x軸回りの共振周波数)とのずれ量(第2ずれ量)を検出する。上述したように、本実施形態において、第1ずれ量は第1駆動信号と第1ブリッジ回路の出力信号との位相差に基づいて検出され、第2ずれ量は第2駆動信号と第2ブリッジ回路の出力信号との位相差に基づいて検出される。
【0030】
ステップS3では、検出された第1ずれ量が第1閾値以下であるか否かを判定する。この第1閾値は、例えば第1駆動信号の大きさ(電流値)を一定としたときに光測距装置1がy軸方向の走査幅(内側可動部35のy軸回りの振れ角)を十分に確保できなくなるおそれがある値として予め設定される。但し、これに限るものではなく、第1閾値は光測距装置1の仕様等に応じて任意に設定することができる。第1ずれ量が第1閾値以下であればステップS4に進み、第1ずれ量が第1閾値を超えていればステップS5に進む。
【0031】
ステップS4では、検出された第2ずれ量が第2閾値以下であるか否かを判定する。この第2閾値は、例えば第1駆動信号の大きさ(電流値)を一定としたときに光測距装置1がx軸方向の走査幅(内側可動部35のx軸回りの振れ角)を十分に確保できなくなるおそれがある値として予め設定される。但し、これに限るものではなく、第2閾値は、第1閾値と同様に、光測距装置の仕様等に応じて任意に設定することができる。第2ずれ量が第2閾値以下であれば本フローを終了する。この場合、第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数は更新されない。一方、第2ずれ量が第2閾値を超えていればステップS7に進む。
【0032】
ステップS5では、ステップS4と同様に、検出された第2ずれ量が第2閾値以下であるか否かを判定する。第2ずれ量が第2閾値以下であればステップS10に進み、第2ずれ量が第2閾値を超えていればステップS6に進む。
【0033】
ステップS6では、第1ずれ量と第1閾値との比(第1ずれ量/第1閾値)と、第2ずれ量と第2閾値との比(第2ずれ量/第2閾値)を比較する。そして、(第2ずれ量/第2閾値)≧(第1ずれ量/第1閾値)であればステップS7に進み、(第2ずれ量/第2閾値)<(第1ずれ量/第1閾値)であればステップS10に進む。
【0034】
ステップS7では、第2駆動信号の周波数を検出された第2ずれ量に応じて変更する。すなわち、第2駆動信号の周波数を光走査部3(内側可動部35)の実際の第2共振周波数に近づけるように変更する。
ステップS8では、第1駆動信号と第2駆動信号との周波数比を一定に保つように、ステップ7で変更された第2駆動信号の周波数に応じて第1駆動信号の周波数を変更する。
ステップS9では、第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数を上記ステップS7、S8で変更された値に更新する。
【0035】
ステップS10では、第1駆動信号の周波数を検出された第1ずれ量に応じて変更する。すなわち、第1駆動信号の周波数を光走査部3(内側可動部35)の実際の第1共振周波数に近づけるように変更する。
ステップS11では、第1駆動信号と第2駆動信号との周波数比を一定に保つように、ステップ10で変更された第1駆動信号の周波数に応じて第2駆動信号の周波数を変更する。
ステップS12では、第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数を上記ステップS10、S11で変更された値に更新する。
【0036】
このようにして、駆動部5は、検出した第1ずれ量が第1閾値よりも大きい場合には第1駆動信号の周波数を第1ずれ量に応じて変更し、この変更された第1駆動信号の周波数に応じて第2駆動信号の周波数を変更する。また、検出した第2ずれ量が第2閾値よりも大きい場合には第2駆動信号の周波数を第2ずれ量に応じて変更し、この変更された第2駆動信号の周波数に応じて第1駆動信号の周波数を変更する。さらに、検出した第1ずれ量が第1閾値よりも大きくかつ検出した第2ずれ量が第2閾値よりも大きい場合には、閾値に対するずれ量の割合が大きい方の駆動信号の周波数を変更し、この変更後の周波数に応じて閾値に対するずれ量の割合が小さい方の駆動信号の周波数を変更する。ここで、第1駆動回路51及び第2駆動回路53は、DDS方式又はPLL方式の周波数シンセサイザを備えており、高分解能での周波数の設定が可能である。これにより、変更された周波数の第1、第2駆動信号を確実に出力することができ、光走査部3を効率的かつ安定して駆動することができる。
【0037】
図1に戻って、光源部7は、光走査部3の内側可動部35に形成された光反射面36に向かってパルス光を出射するものであり、光源71と、光源71の駆動を制御する光源制御部73と、投光光学系75と、を含む。
【0038】
光源71は、例えばレーザダイオードであり、光源制御部73からの駆動(出射)信号によって発光してパルス光(レーザパルス)を出射する。
光源制御部73は、光源71によるパルス光の出射タイミングを制御する。光源制御部73は、例えば対象領域内の計測位置と出射時刻(タイミング)とが関連付けられたタイミングテーブルを備えており、例えば内側可動部35(光反射面36)の所定の揺動角度(例えば、0°)を基準として予め設定されたタイミング(計測位置)で光源71を発光させる。
投光光学系75は、光源71が発したパルス光を好ましい状態(例えば平行光)に変換するものであり、例えばコリメータレンズを含む。
【0039】
光源部7から出射されたパルス光(平行光)は、光走査部3の光反射面36で反射されて対象領域内をリサージュ走査される。上述したように、リサージュパターンは一定に維持されるから、上記タイミングテーブルに基づいて光源71を発光させることで対象領域内の一定の位置(複数位置)にパルス光が出射される。
【0040】
受光部9は、光源部7から出射されたパルス光の反射光を受光して検知するものであり、例えばフォトセンサを用いることができる。上述したように、光源部7からのパルス光は光走査部3によって対象領域内の一定の位置(複数位置)に出射される。これらの位置に何らかの物体が存在すれば、光源部7から出射されたパルス光は存在する物体によって反射される。受光部9はこの対象領域内に存在する物体による反射光を受光する。なお、受光部9は、反射光を直接受光するものであってもよいし、光走査部3(光反射面36)を介して受光するものであってもよい。
【0041】
測距部11は、光源部7によるパルス光の出射タイミングと、受光部9による反射光の受光タイミングと、を入力し、両者の時間差(光飛行時間)に基づいてパルス光を反射した物体又は人までの距離を計測する。測距部11による距離の計測は、対象領域内の各計測位置において、すなわち、光源部7からのパルス光の出射毎に行なわれ、その計測結果が画像生成部13に出力される。
【0042】
画像生成部13は、測距部11によって計測された距離に基づいて各計測位置の画素値を決定し、対象領域についての距離画像を例えば光走査部3による走査の一周期毎に生成する。生成される距離画像は、計測された距離毎に色が異なる画像、すなわち、対象領域内の存在する物体についてはその距離や奥行きが反映された三次元的な画像とすることができる。この画像生成部13で生成された距離画像は表示部15に出力される。
【0043】
表示部17は、ディスプレイを備え、画像生成部13から出力された距離画像を表示する。表示部17に表示される距離画像によって対象領域内に物体が存在するか否かを認識できることはもちろん、物体が存在する場合には、当該物体の対象領域内における位置、当該物体までの距離、当該物体の形状なども認識することができる。また、距離画像は走査周期毎に更新されるから、当該物体の姿勢の変化をも認識するができる。
【0044】
次に、以上のような構成を有する光測距装置1の全体的な作用について説明する。
図示省略したメインスイッチ等がONされて光測距装置1が起動すると、駆動部5は第1駆動信号及び第2駆動信号を光走査部3に出力して内側可動部35(光反射面36)をx軸回り及びy軸回りに揺動駆動する。また、光源部7からはタイミングテーブルに基づいてパルス光が出射される。これにより、対象領域には、光走査部3によるリサージュ走査軌跡上の予め設定された各計測位置にパルス光が出射され、測距部9によって当該各計測位置について測距が行われる。そして、対象領域内の全ての計測位置での測距が完了すると(すなわち、光走査部3による走査の一周期毎に)、画像生成部11によって対象領域についての距離画像が生成され、この生成された距離画像が表示部13に表示される。
【0045】
ここで、駆動部3は、第1駆動信号の周波数と光走査部3の第1共振周波数との第1ずれ量及び第2駆動信号の周波数と光走査部3の第2共振周波数との第2ずれ量を検出し、これらの検出結果に応じて第1駆動信号及び第2駆動信号の周波数を両者の周波数比を一定に維持しつつ変更する。これにより、光走査部3の実際の第1,第2共振周波数がその設計値からずれていた場合や温度変化によって変動した場合であっても、第1駆動信号及び第2駆動信号の振幅(すなわち、駆動電流値)を増加させることなく、光走査部3による走査幅(光反射面36の振れ角)を十分に確保でき、光走査部3の効率的な駆動が可能になる。また、リサージュパターンは変わらないので、対象領域における各計測位置で安定した測距を行うことができる。この結果、従来に比べて、光走査部3の製造後に調整プロセスが必要となるケースを低減又は製造後における選別基準を緩和することができ、その結果、製造コストの上昇を抑制できる。
【0046】
なお、以上では本発明の一実施形態として光測距装置について説明したが、本発明の他の実施形態として光走査部3及び駆動部5を含む光走査装置として構成することができることはいうまでもない。この場合には、別体で構成された光源から光反射面36に光が入力され、当該光走査装置はこの入力された光を対象領域内でリサージュ走査できる。また、以下に述べる上記実施形態の変形例は光走査装置として構成した場合にもそのまま適用することができる。
【0047】
上記実施形態では、第1駆動信号の周波数と第1共振周波数との第1ずれ量を第1駆動信号と内側可動部35のy軸回りの揺動角度信号との位相差に基づいて検出しており、y軸回りの揺動角度信号は第1トーションバー32,32に形成された第1〜第4ピエゾ抵抗素子R1〜R4で構成したブリッジ回路(図3参照)の出力電圧としている。同様に、第2駆動信号の周波数と第2共振周波数との第2ずれ量を第2駆動信号と内側可動部35のx軸回りの揺動角度信号との位相差に基づいて検出しており、x軸回りの揺動角度信号は第2トーションバー34,34に形成された第5〜第8ピエゾ抵抗素子R5〜R8で構成したブリッジ回路(図3参照)の出力電圧としている。
【0048】
しかし、これに限るものではなく、ピエゾ抵抗素子で構成したブリッジ回路の出力電圧以外の信号を内側可動部35のy軸回り及びx軸回りの揺動角度信号として検出してもよい。例えば、特開2004−78130号公報や特開2004−242488号公報に記載されているように、外側可動部33に形成された第1駆動コイル37及び内側可動部35に形成された第2駆動コイル38に発生する逆起電力を検出し、これをy軸回り及びx軸回りの揺動角度信号とすることができる。但し、この場合においては、共振周波数と一致する周波数を有する駆動信号で光走査部3が駆動されると、駆動信号と内側可動部35の揺動角度信号(逆起電力信号)との位相差は0°になる。
また、内側可動部35(外側可動部33)のy軸回りの揺動振幅(振れ角)及び内側可動部35のx軸回りの揺動振幅(振れ角)が所定値となるように第1駆動信号及び第2駆動信号の大きさ(駆動電流値)を制御する構成とした場合には、この駆動電流値を内側可動部35のy軸回り及びx軸回りの揺動角度信号とすることができる。この場合、駆動電流値は共振周波数と一致する周波数を有するときに最小となり、共振周波数からずれるほどその値が大きくなる。
【0049】
さらに、内側可動部35の揺動角度信号を用いることなく、光走査部3又はその近傍の温度に基づいて第1駆動信号の周波数と第1共振周波数との第1ずれ量及び第2駆動信号の周波数と第2共振周波数との第2ずれ量を検出するようにしてもよい。例えば、光走査部3又はその近傍の温度を検出する温度センサを設け、y軸回り及びx軸回りのそれぞれについて光走査部3又はその近傍の温度と共振周波数とが対応付けられた「温度−第1共振周波数テーブル(図6(a)参照)」及び「温度−第2共振周波数テーブル(図6(b)」参照を駆動部3に記憶させておく。このようにすれば、駆動部3は、温度センサの検出結果に基づいて温度−共振周波数テーブルを参照することにより、第1駆動信号の周波数と第1共振周波数との第1ずれ量(換言すれば、第1共振周波数の温度変化に伴うシフト量)、第2駆動信号の周波数と第2共振周波数との第2ずれ量(換言すれば、第2共振周波数の温度変化に伴うシフト量)をそれぞれ検出(算出)することができる。
【0050】
また、上記実施形態では、第1駆動信号の周波数と第1共振周波数との第1ずれ量及び第2駆動信号の周波数と第2共振周波数との第2ずれ量を検出しているが、いずれか一方のみを検出するように構成してもよい。好ましくは、高速で揺動駆動されるx軸回りに関するずれ量のみ、すなわち、第2駆動信号の周波数と第2共振周波数との第2ずれ量のみを検出するようにする。この場合、上記図5において、ステップS2で第2ずれ量のみを検出すればよく、ステップS5、S6、S10−S12が不要になる。もちろん、これとは逆に、第1駆動信号の周波数と第1共振周波数との第1ずれ量のみを検出するように構成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、光走査部として電磁駆動式の二次元ガルバノミラーを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、電磁駆動式、静電方式、圧電方式、熱方式などの各種の駆動方式で光反射面を有する可動部を揺動駆動する構成の光走査部にも適用することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、光走査部として電磁駆動式の二次元ガルバノミラーを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、二つの一次元ガルバノミラーの回転軸が互いに直交するように配置する構成の光走査部にも適用することが出来る。たとえば、図7に示すように、1次ミラーと2次ミラーの回転軸を互いに直交させて配置し、1次ミラーで水平方向に走査したレーザ光を、楕円面ミラー等を介して2次ミラーにあて、2次ミラーで垂直方向に走査することで2次元走査が実現できる。
【符号の説明】
【0053】
1…光測距装置、3…光走査部、5…駆動部、7…光源部、9…受光部、11…測距部、13…画像生成部、15…表示部、30…二次元ガルバノミラー(光走査部)、31…固定部、32…第1トーションバー、33…外側可動部、34…第2トーションバー、35…内側可動部、37…第1駆動コイル、38…第2駆動コイル、51…第1駆動回路、53…第2駆動回路、55…第1ずれ量検出部、57…第2ずれ量検出部、59…周波数決定部、91…光源、93…光源制御部、95…投光光学系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7