特許第5829947号(P5829947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5829947
(24)【登録日】2015年10月30日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20151119BHJP
【FI】
   B25F5/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-36472(P2012-36472)
(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公開番号】特開2013-169632(P2013-169632A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 竜之助
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−254376(JP,A)
【文献】 特開2008−302467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
H02K 9/06
H02K 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータの出力軸に取り付けられて該モータを冷却する遠心ファンと、前記モータと前記遠心ファンとの間に配置されて、該遠心ファンによる冷却用空気を集める環状の集風部材と、を収容して前後方向に延びる筒状のハウジングに、前記遠心ファンの外側で前記ハウジングの内部と外部とを連通させて前記モータを冷却した空気が排出される風窓を、該ハウジングの周方向で複数形成した電動工具であって、
前記モータを前記出力軸を前向きにして前記ハウジング内に収容すると共に、前記遠心ファン及び前記風窓を前記モータの後側に配置して、
前記集風部材に、前記モータの後側で各前記風窓の内側に位置する壁体を、該集風部材の周方向でスリットを挟んでくし歯状に配列したことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
各前記壁体を、前記出力軸の軸方向で、前記集風部材から前記遠心ファンのブレードの頂部を越えて突出させて、前記スリットを前記遠心ファンと重なる位置に配置したことを特徴とする請求項に記載の電動工具。
【請求項3】
前記ハウジングの前記周方向で、該ハウジングの内壁と各前記壁体との間の隙間を一定に設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記出力軸の軸方向で、前記ハウジングの内壁と各前記壁体との間の隙間を一定に設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項5】
前記集風部材と前記壁体とを金属製として、該集風部材に該壁体を一体に形成したことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータと、モータを冷却する遠心ファンと、遠心ファンによる冷却用空気を集める環状の集風部材と、を収容したハウジングに、前記遠心ファンの外側でハウジングの内部と外部とを連通させる風窓を形成した電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、電動工具のハウジングの端面に、モータの冷却用空気の吸入口が形成されて、この端面に装着されるテールカバーに、縞状の貫通部を、前記吸入口と一致しない位置に穿設し、前記端面とテールカバーとの間に隙間を設けた電動工具が開示されている。特許文献1の電動工具によれば、ハウジングの端面とテールカバーとの間の隙間寸法が、コンクリートの破砕片の大きさよりも小さいことから、前記破砕片が前記隙間を通過できず冷却用空気の吸入口からハウジングの内部に侵入することを防止できる。これに加えて冷却用空気の通路を、テールカバーの縞状の貫通部から前記隙間を介して前記吸入口へ至るように形成できる。
【0003】
一方特許文献2には、モータやモータを冷却するためのファン等を収容したハウジングの後方に、複数の風窓を設けた後方ハウジングをねじ止めして、この後方ハウジングの内面で風窓の位置にフィルタを設けた電動工具が開示されている。特許文献2の電動工具によれば、前記フィルタは通気性と防水性とを有することから、このフィルタによって、モータの冷却用空気を風窓からハウジングの内部に取り入れつつ、水滴や粉塵がハウジングの内部に侵入することを防止できる。これにより、ハウジングに収容されたファンが粉塵等の異物で損傷することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭64−40258号公報
【特許文献2】特開2010−36260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、破砕片や粉塵等の異物がハウジングの内部に侵入することを防ぐために特許文献1の電動工具では、ハウジングとは別にテールカバーが必要になることから、電動工具の組み立てに必要な部品点数が増加するという不都合があった。また特許文献2の電動工具においても、ハウジングに収容されたファンが異物で損傷することを防止するためには、ハウジングとは別部品であるフィルタが必要とされるため、特許文献1と同様に部品点数が増加する不都合があった。
【0006】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、部品点数を増加させずに、ハウジングに収容されているモータを冷却するファンが異物によって損傷することを抑制可能な電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る電動工具は、モータと、前記モータの出力軸に取り付けられて該モータを冷却する遠心ファンと、前記モータと前記遠心ファンとの間に配置されて、該遠心ファンによる冷却用空気を集める環状の集風部材と、を収容して前後方向に延びる筒状のハウジングに、前記遠心ファンの外側で前記ハウジングの内部と外部とを連通させて前記モータを冷却した空気が排出される風窓を、該ハウジングの周方向で複数形成した電動工具であって、前記モータを前記出力軸を前向きにして前記ハウジング内に収容すると共に、前記遠心ファン及び前記風窓を前記モータの後側に配置して、前記集風部材に、前記モータの後側で各前記風窓の内側に位置する壁体を、該集風部材の周方向でスリットを挟んでくし歯状に配列したことを特徴とする。
【0009】
請求項の発明は、請求項において、各前記壁体を、前記出力軸の軸方向で、前記集風部材から前記遠心ファンのブレードの頂部を越えて突出させて、前記スリットを前記遠心ファンと重なる位置に配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項の発明は、請求項1又は2において、前記ハウジングの前記周方向で、該ハウジングの内壁と各前記壁体との間の隙間を一定に設定したことを特徴とする。
【0011】
請求項の発明は、請求項1又は2において、前記出力軸の軸方向で、前記ハウジングの内壁と各前記壁体との間の隙間を一定に設定したことを特徴とする。
【0012】
請求項の発明は、請求項1ないしのいずれかにおいて、前記集風部材と前記壁体とを金属製として、該集風部材に該壁体を一体に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明に係る電動工具によれば、ハウジングと略直角な方向では、壁体によって、風窓からハウジングに収容された遠心ファンが臨めない状態を保つことができる。よって、風窓から侵入した異物が遠心ファンに直接当たることを防止することで、遠心ファンが異物で損傷することを抑制できる。その上、壁体を集風部材に設けたため、壁体と集風部材とを別々に用意する必要がない。したがって、電動工具の組み立てに必要な部品点数の増加を防止できる。
また、ハウジングに風窓を複数形成した場合でも、くし歯状に配列した各壁体で、各風窓から遠心ファンが臨めない状態を保つことができる。これにより、遠心ファンが異物で損傷することを抑制できる。
請求項の発明によれば、遠心ファンによって遠心方向へ放出された冷却用空気を、各壁体に沿ってスリットに誘導した後に、遠心ファンの外側に位置する風窓に導くことができる。よって、冷却用空気が風窓から排出され易くなる。
請求項の発明によれば、ハウジングの周方向で、ハウジングの内壁と各壁体との間を通過する冷却用空気に対する抵抗を少なくできる。これにより、前記冷却用空気の流れが円滑になる。
請求項の発明によれば、モータの出力軸の軸方向で、ハウジングの内面と各壁体と間を通過する冷却用空気に対する抵抗を少なくできる。これにより、当該冷却用空気の流れが円滑になる。
請求項の発明によれば、集風部材の熱伝導性や壁体の熱伝導性が良好になり、モータが発する熱は速やかに集風部材や壁体に伝達されて集風部材の外部や壁体の外部に放出され易くなる。これに加えて、集風部材によって集められた冷却用空気で、該集風部材や壁体を冷却できる。したがって、集風部材や壁体の放熱効果をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態のインパクトドライバの内部構造を示す図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3】(a)は図1のB−B線断面図、(b)は(a)中のC部の拡大図である。
図4】同インパクトドライバのハウジングにおける風窓付近の拡大図である。
図5】同インパクトドライバが備えるファンガイドの全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図1ないし図5を参照しつつ説明する。図1及び図2に示すようにインパクトドライバ1はハウジング2を備えている。このハウジング2は、樹脂製の左右の半割ハウジングを組み付けて形成されて、胴体部3と、ハンドル部4と、バッテリーパック装着部5とを有する。なお、インパクトドライバ1は本発明の電動工具の一例である。
【0016】
胴体部3は、筒状に形成されてインパクトドライバ1の前後方向(図1及び図2の左右方向)に延設されている。胴体部3内の前方(図1及び図2の右側)には、ハンマケース10が組み付けられている。また胴体部3内の後方(図1及び図2の左側)には、モータMが収容されている。ハンマケース10は、金属(例えばアルミニウム)によって釣り鐘状の筒状体に形成されており、ハンマケース10の後端の開口部に、ベアリングボックス11が一体に結合されている。このベアリングボックス11には各ボールベアリング12、23(図2参照。)が保持されている。図2に示すようにハンマケース10内には、ピニオン13を装着したモータMの出力軸14が挿入されている。そして、この出力軸14は前記ボールベアリング12とボールベアリング15とで軸支されている。また、ハンマケース10の前方外周で胴体部3から露出する部分にはカバー16とバンパー17とが装着されている。
【0017】
図2に示すようにハンマケース10には、スピンドル20と打撃機構21とが収容されている。スピンドル20は、ハンマケース10内にハンマケース10と同軸で収容されている。またスピンドル20の後端には中空部22が形成されている。そしてスピンドル20の後端外周は、前記ベアリングボックス11内に保持されたボールベアリング23で軸支されている。加えて、前記ピニオン13は中空部22に挿入されており、このピニオン13は、中空部22に露出する遊星歯車24、24と噛合する。
【0018】
打撃機構21は、ハンマ26と、アンビル27と、コイルばね28とを備えている。ハンマ26は、前記スピンドル20と一体回転可能かつスピンドル20の軸方向へ移動可能に連結されている。アンビル27は、ハンマ26の前方でハンマ26と同軸で軸支されている。このアンビル27の先端には、ビットを装着可能なチャック29が設けられている。コイルばね28は、スピンドル20に外装されたプレート43の外周に嵌め合わされて、ハンマ26をアンビル27に係合させる前進位置へ付勢する。
【0019】
一方図2に示すように、モータMの出力軸14の後端側の外周面には遠心ファンFが取り付けられている。図2ないし図4に示すように遠心ファンFの外側で胴体部3の左右の側面には、胴体部3の内部と外部とを連通させる風窓30が複数形成されている。本実施形態では胴体部3の左右両側面に、胴体部3の周方向Y(図4参照。)に所定間隔をおいて複数の風窓30が、前後方向で2列になるように並設されている。ここでは図4に示すように、第1列の風窓が5つ形成され、第2列の風窓も5つ形成されている。第1列の風窓30と第2列の風窓30とは、前記周方向Yにおける位置(胴体部3の高さ方向における位置)を同じくして前記左右両側面に形成されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、胴体部3内において胴体部3の前後方向で遠心ファンFとモータMとの間に、集風部材としてのファンガイド33が配置されている。ファンガイド33は、樹脂製で図5に示すように環状に成形されている。このファンガイド33には壁体34が設けられている。ファンガイド33は遠心ファンFよりも大径で、ファンガイド33の内側は通風孔35とされている。さらに、ファンガイド33の全周にはリブ案内溝36(図5参照。)が設けられている。このリブ案内溝36は、胴体部3の内壁の全周に亘って突出させた薄板状のリブ37(図2参照。)に係合される。これにより、ファンガイド33を胴体部3内に位置決めできる。
【0021】
またファンガイド33の後面(図2及び図5の左側)には、壁体34が、出力軸14の軸方向Xの後方側へ複数突設されている。本実施形態では、各壁体34をファンガイド33と一体に形成して樹脂製とした。図3の(a)に示すように、ファンガイド33の左半分の後面には、ファンガイド33の周方向Zに所定間隔をおいて5つの壁体34が突設されている。ファンガイド33の右半分の後面にも、周方向Zに前記所定間隔をおいて5つの壁体34が突設されている。図2及び図4に示すように各壁体34は、遠心ファンFの外側で、胴体部3の周方向Yにおける位置(胴体部3の高さ方向における位置)を同じくする2列の風窓30、30の内側と隙間を空けて対向するように配置されている。このため図4に示すように、胴体部3と略直角な方向では、各風窓30から遠心ファンFが臨めない構造となっている。
【0022】
さらに図2に示すように各壁体34の突設長を、前記軸方向Xでファンガイド33の後面から遠心ファンFのブレード38の頂部を越える長さに設定した。その結果、ファンガイド33の周方向Zで隣り合う壁体34同士の間に、軸方向Xに長いスリット39(図3の(b)及び図5参照。)が形成される。これにより図5に示すようにファンガイド33の側面視では、5つの壁体34がスリット39を挟んで前記周方向Zに配列されたくし歯状となる。そして、遠心ファンFとスリット39とを側面視したときは、図1及び図3から理解できるように、各スリット39が遠心ファンFと重なる位置に配置される。また図3の(a)(b)に示すように各壁体34の側面形状は、胴体部3の内壁面の形状に合わせた円弧状とされている。図2に示すように各壁体34の外側面と胴体部3の内壁とを隙間Wを空けて対向配置させることで、この隙間Wの寸法を胴体部3の周方向Y(図4参照。)で一定に設定できる。本実施形態では、隙間Wの寸法を約1mmに設定した。加えて各壁体34の後端面の形状は、胴体部3の後端側の内壁面と平行な直線状とされている。図2に示すように各壁体34の後端面と前記後端側の内壁とを隙間W1を空けて対向配置させることで、この隙間W1の寸法を軸方向X(図2参照。)で一定に設定できる。
【0023】
一方図1に示すようにハンドル部4は、インパクトドライバ1の側面視で胴体部3から下方へ延設されている。ハンドル部4の内部には、トリガ40を有するスイッチ41が収容されている。バッテリーパック装着部5は、ハンドル部4の下端に形成されている。バッテリーパック装着部5にはバッテリーパック42が着脱自在に装着される。操作者がトリガ40をハンドル部4内に押し込んでスイッチ41がオン状態になると、バッテリーパック42はモータMへ給電する。
【0024】
次に本実施形態のインパクトドライバ1の動作を説明する。図1に示すトリガ40をハンドル部4内へ押し込むことで、モータMが駆動して図2に示すスピンドル20が回転する。すると、ハンマ26を介してアンビル27が回転し、アンビル27に装着したビットでねじ締めが可能になる。ねじの締め付け作業に伴ってアンビル27への負荷が高まると、ハンマ26が図2に示すコイルばね28の付勢に抗して後退することでアンビル27との係合を解除する。これと同時にコイルばね28の付勢によって、ハンマ26がスピンドル20と共に回転しつつ前進してアンビル27と再係合する。この係脱の繰り返しによってアンビル27に回転方向への間欠的な打撃が加えられて、ねじの増し締めが可能になる。
【0025】
またモータMの出力軸14の回転に伴って遠心ファンFが回転すると、胴体部3の左右の側面に設けた吸気口(図示せず。)から冷却用空気が、胴体部3内に導入された後に、モータMの空気取入口(図示せず。)からモータMの内部に取り入れられる。その後冷却用空気は、前記内部を流通してファンガイド33の通風孔35(図5参照。)に吸い込まれて遠心ファンFに集められる。これにより、冷却用空気でモータMを内側から冷却できる。遠心ファンFに集められた冷却用空気は、モータMの出力軸14の軸方向X(図2参照。)と交差する遠心方向に放出されて、各壁体34(図3の(a)(b)参照。)の内側面に沿ってスリット39(同図参照。)に誘導される。各スリット39に誘導された冷却用空気は、隙間W(図2参照。)を流通した後に各風窓30から胴体部3の外部へ排出される。このとき、隙間Wの寸法は胴体部3の周方向Y(図4参照。)で一定に設定されていることで、冷却用空気が胴体部3の内壁と各壁体34との間を流通するときの抵抗を少なくできる。よって、冷却用空気の流れが円滑になる。加えて隙間W1(図2参照。)の寸法も軸方向X(図2参照。)で一定に設定されているため、遠心ファンFに集められた冷却用空気が胴体部3の後端側の内壁と各壁体34の後端面との間を流通するときの抵抗を少なくできる。よって、前記内壁と前記後端面との間における冷却用空気の流れも円滑になる。
【0026】
さらに本実施形態では図2ないし図4に示したように各壁体34を、遠心ファンFの外側で各風窓30と対向させて配置したことで、胴体部3の外部で胴体部3と略直角な方向においては各風窓30から遠心ファンFが臨めない状態を保つことができる。したがって、仮に風窓30から胴体部3の内部に粉塵等の異物が侵入した場合でも、この異物が遠心ファンFに直接当たることを防止できる。よって、遠心ファンFが異物で損傷することを抑制できる。
【0027】
<本実施形態の効果>
本実施形態のインパクトドライバ1では、胴体部3の外部で胴体部3と略直角な方向においては壁体34によって、風窓30から胴体部3に収容された遠心ファンFが臨めない状態を保つことができる。よって風窓30から胴体部3の内部に侵入した異物が、遠心ファンFに直接当たることを防止できる。よって、遠心ファンFが異物で損傷することを抑制できる。その上、壁体34をファンガイド33に設けたため、壁体34とファンガイド33とを別々に用意する必要がない。したがって、インパクトドライバ1の組み立てに必要な部品点数の増加を防止できる。
【0028】
また図4に示したように胴体部3に、複数の風窓30を前後方向で2列になるように並設した場合でも、壁体34を、各風窓30の内側と対向させてファンガイド33の周方向Zにスリット39を挟んで複数配列したくし歯状としたことで、胴体部3の外部で胴体部3と略直角な方向においては各風窓30から遠心ファンFが臨めない状態を保つことができる。これにより、遠心ファンFが異物で損傷することを抑制できる。
【0029】
さらに遠心ファンFとスリット39とを側面視したときは、各スリット39が遠心ファンFと重なる位置に配置される。このため、遠心ファンFによって遠心方向に放出された冷却用空気を、各壁体34の内側面に沿ってスリット39に誘導した後に、遠心ファンFの外側に位置する各風窓30に導くことができる。よって、冷却用空気が各風窓30から排出され易くなる。
【0030】
加えて、各壁体34の外側面と胴体部3の内壁との間の隙間Wの寸法を胴体部3の周方向Yで一定に設定したことで、前記内壁と各壁体34との間を流通する冷却用空気に対する抵抗を少なくできる。これにより、冷却用空気の流れが円滑になる。その上、各壁体34の後端面と胴体部3の後端側の内壁との間の隙間W1を軸方向Xで一定に設定したことで、前記後端側の内壁と各壁体34の後端面との間を流通する冷却用空気に対する抵抗も少なくできる。これにより、前記後端側の内壁と前記後端面との間における冷却用空気の流れも円滑になる。
【0031】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。例えば、上述した実施形態では、ファンガイド33と各壁体34とを樹脂で一体に形成したが、これに限らず、ファンガイドと各壁体とを、鉄やアルミニウム等の金属で一体に形成してもよい。この場合には、ファンガイドの熱伝導性や各壁体の熱伝導性が良好になり、モータMが発する熱が速やかにファンガイドや各壁体に伝達される。その結果、この熱がファンガイドの外部や各壁体の外部に放出され易くなる。これに加えて、ファンガイドによって遠心ファンFに集められた冷却用空気で、ファンガイドや壁体を冷却できる。したがって、ファンガイドや壁体の放熱効果がより向上することになる。
【0032】
また上述した実施形態では、本発明をインパクトドライバに適用する例を示したが、これに限らず、例えば本発明をグラインダ等の電動工具に適用してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1・・インパクトドライバ、2・・ハウジング、3・・胴体部、14・・モータの出力軸、30・・風窓、33・・ファンガイド、34・・壁体、38・・遠心ファンのブレード、39・・スリット、F・・遠心ファン、M・・モータ、W・・壁体の外側面と胴体部の内壁との間の隙間、X・・出力軸の軸方向、Y・・胴体部の周方向、Z・・ファンガイドの周方向。
図1
図2
図3
図4
図5