特許第5830484号(P5830484)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5830484無効電力比率制御器、無効電力比率制御方法、およびこれを用いた発電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5830484
(24)【登録日】2015年10月30日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】無効電力比率制御器、無効電力比率制御方法、およびこれを用いた発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/18 20060101AFI20151119BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20151119BHJP
   H02J 3/50 20060101ALI20151119BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20151119BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20151119BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20151119BHJP
【FI】
   H02J3/18
   H02J3/38 120
   H02J3/50
   H02J7/00 J
   H02J7/34 E
   H02M7/48 R
   H02M7/48 E
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-65392(P2013-65392)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-192992(P2014-192992A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】マテ ファニー
(72)【発明者】
【氏名】大屋 徹治
(72)【発明者】
【氏名】永山 祐一
【審査官】 小宮 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/135822(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/070141(WO,A1)
【文献】 特開2007−020361(JP,A)
【文献】 特開2008−104284(JP,A)
【文献】 米国特許第06803679(US,B1)
【文献】 中国特許出願公開第102723722(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00−7/12
7/34−7/36
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギーを利用した発電装置と、該発電装置に接続された第一のインバータと、
蓄電池と、該蓄電池に接続された第二のインバータと、
制御器を備え、
該第一のインバータと該第二のインバータが連係点で接続され、該制御器が該連係点を経由した負荷への電力供給を制御する発電システムにおいて、
該連係点の電圧を測定する第一の電圧測定器と、該連係点の電流を測定する第一の電流測定器と、該第二のインバータの出口電圧を測定する第二の電圧測定器と、該第二のインバータの出口電流を測定する第二の電流測定器を備え、
該制御器が、該第二のインバータから出力される有効電力に基づいて 、該第一のインバータから出力される無効電力と、該第二のインバータから出力される無効電力の比を変化させることを特徴とする発電システム。
【請求項2】
請求項の発電システムにおいて、
該制御器が、無効電力の比を、電圧―無効電力垂下特性に基づいて変化させることを特徴とする発電システム。
【請求項3】
請求項の発電システムにおいて、
該制御器が、該蓄電池由来の有効電力と負荷により要求される無効電力により、該電圧−無効電力垂下特性の比例定数を算出する演算ユニットを備えることを特徴とする発電システム。
【請求項4】
再生可能エネルギーを利用した発電装置と蓄電池とを有する発電設備用の制御器において、
該蓄電池由来の有効電力に基づいて、
該発電装置由来の無効電力と、該蓄電池由来の無効電力の比を変化させ
該有効電力は該蓄電池由来の電流及び電圧から算出され、
該無効電力は該蓄電池および連係点由来の電流及び電圧から算出されることを特徴とする制御器。
【請求項5】
無効電力の比を、電圧―無効電力垂下特性に基づいて変化させることを特徴とする請求項の制御器。
【請求項6】
該蓄電池由来の有効電力と負荷により要求される無効電力により、該電圧−無効電力垂下特性の比例定数を算出する演算ユニットを備えることを特徴とする請求項の制御器。
【請求項7】
再生可能エネルギーを利用した発電装置と、該発電装置に接続された第一のインバータと、
蓄電池と、該蓄電池に接続された第二のインバータを備え、
該第一のインバータと該第二のインバータが連係点で接続され、該連係点を経由して負荷へ電力供給するシステムの制御方法において、
該第一のインバータから出力される無効電力と、該第二のインバータから出力される無効電力の比を電圧―無効電力垂下特性に基づいて変化させることを特徴とするシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,独立系統を構築する電源の無効電力比率制御に関するものであり,特に該電源が蓄電池システムと再生可能エネルギーにより構築される電源の無効電力比率制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーの電力系統への導入が益々進んでいる。しかしながら,その出力不安定性のため,上記再生可能エネルギーの導入は電力系統の電圧や周波数変動をもたらし,あらたな技術的課題を提起している。
【0003】
再生可能エネルギーの出力する有効電力変動は,セル電池と周波数変換用のインバータにより構築される蓄電池システムにより平滑化が可能である。上記インバータが自励式インバータである場合,該インバータは有効電力と無効電力を独立に,かつ自由に制御可能である。
【0004】
インバータの体格は,出力可能な最大皮相電力により決まる。この皮相電力は電力系統に出力する有効電力と無効電力の二乗和の平方根により定義される。蓄電池システムのインバータが蓄電池より系統へ充放電をしている間に大きな無効電力を出力するよう制御されると,IGBT等のインバータ内半導体スイッチング素子が過負荷となり,損傷のおそれがある。
【0005】
上記IGBTの過負荷を避けるためには,電圧変動が発生した時の無効電力出力を適切に制御する手法が必要である。上記手法の一つが,特許文献1で公開されている。特許文献1は,大規模系統に連係される風力発電システムと該風力発電システムに並列接続された蓄電池システムの制御方法および制御装置に関するものであり,蓄電池システムの過負荷を回避しながら系統の電圧変動や周波数変動を抑制する統合制御手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2012/070141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は大規模系統に関連する技術であった。しかしながら,マイクログリッドは系統連係状態もしくは独立系統状態で運用される。再生可能エネルギーと蓄電システムが独立系統用電源を構築し,該独立系統に連係する負荷へ有効電力と無効電力を供給する場合,独立系統用電源システムは常に有効電力・無効電力バランスを保つこととなる。すなわち,再生可能エネルギーと蓄電池システムによる出力された有効電力の和は負荷で消費される有効電力に等しく,同様に再生可能エネルギーと蓄電システムにより供給される無効電力の和は,負荷により消費される無効電力に等しい。
【0008】
再生可能エネルギーから出力される有効電力が負荷で消費される有効電力より小さい場合,需給バランスを保つように蓄電池システムから有効電力が自動的に引き出される。このとき上記蓄電池システム内のインバータ皮相電力が,インバータ定格電力より大きくなるとインバータは過負荷となり,半導体スイッチング素子が損傷するおそれがある。
【0009】
特許文献1の制御システムは,蓄電池システムにより充電率を計算し,メインコントローラへ該充電率を送信し,メインコントローラが上記下位制御器へ第二の運転モードのロジックに従い,無効電力指令を調整するステップを有する。特許文献1に開示される制御手法は風力発電や蓄電池システムといった発電ユニットとメインコントローラ間に,高信頼で高速な通信を必要とする集中制御を採用している。特に,充電率検出はリプル電流のフィルタリングに所定の時間を要する。
【0010】
上記の第二の運転モードは時間遅れを回避することができず,該時間遅れはたとえ短時間ではあっても蓄電池システムに過負荷を強いる。
【0011】
インバータを過負荷から保護するためには,上記時間遅れを考慮した該皮相電力に対してある程度のマージンを持たせたインバータ出力指令を出さなければならない。このマージンがインバータの利用率を下げる。
【0012】
上記を鑑み,本発明は、蓄電池システムに備えられるインバータの利用率を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため,本発明は以下の構成を備える。
【0014】
再生可能エネルギーを利用した発電装置と、該発電装置に接続された第一のインバータと、蓄電池と、該蓄電池に接続された第二のインバータと、制御器を備え、該第一のインバータと該第二のインバータが連係点で接続され、該制御器が該連係点を経由した負荷への電力供給を制御する発電システムにおいて、該制御器が、該第二のインバータから出力される有効電力に基づいて、該第一のインバータから出力される無効電力と、該第二のインバータから出力される無効電力の比を変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、蓄電池システムに備えられるインバータの利用率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明第一実施例である,太陽光発電システムと蓄電池システム,および主制御器により構築される独立電源システム説明図。
図2】本発明第一実施例の主制御器内制御ブロック説明図。
図3】本発明第一実施例の,他インバータの出力に応じて変化する電圧−無効電力の垂下特性説明図。
図4】本発明第一実施例の,電圧−無効電力垂下特性制御の演算ブロック説明図。
図5】本発明第一実施例の,自励式インバータの主回路構成説明図。
図6】本実施例第一実施例の主制御器内有効電力,無効電力算出演算ブロック説明図。
図7】本実施例第一実施例の再生可能エネルギーが風力発電システムである場合の説明図。
図8】本発明第一実施例の,再生可能エネルギー制御器の他の配置例説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例の説明の前に、特許文献1の技術について説明する。特許文献1では,風力発電システムと蓄電池システムの制御方法を開示しており,該制御方法は,蓄電池システムに要求される電力指令に基づいて選択される2つの運転モードを備える。
【0018】
特許文献1の電源システムは,主制御器より有効電力指令と無効電力指令を受け取る風力発電制御器と,該制御器により制御される複数の風力発電機と,蓄電池,インバータ,そして該インバータを制御し,主制御器からの出力指令を入力する蓄電池制御器により構成される。
【0019】
第一の運転モードは,主制御器から上記風力発電制御器と上記蓄電池制御器に出力される出力指令が,風力発電システムと蓄電システムそれぞれの定格皮相電力以内の運転モードである。
【0020】
第二の運転モードは,蓄電池システムがメインコントローラにより要求される出力指令が該蓄電池システムの充電率により変化する定格皮相電力を超える場合は,下位制御器である風力発電制御器と蓄電池制御器へ,蓄電池システムからの無効電力出力指令を低減し,該低減量に相当する無効電力出力を増加するよう風力発電制御器へ指令を更新する。
【0021】
このような特許文献1の技術では、上述のような課題がある。
【0022】
以下,上述の課題を解決し得る本発明の実施例を,図面を用いて説明する。本実施例の再生可能エネルギー制御器は蓄電池システムの出力する有効電力が該蓄電池システムの定格に近づく場合には,上記再生可能エネルギーと上記蓄電池システムの無効電力比率調整により上記再生可能エネルギーによる無効電力出力を増加させるものである。その結果,上記再生可能エネルギーシステムは蓄電池システムの過負荷を回避し,該インバータの利用率を改善することができる。この効果は、以下実施例で説明する、蓄電池由来(蓄電池システム2)の有効電力に基づいて、発電装置由来(自然エネルギーシステム1)の無効電力と、該蓄電池由来の無効電力の比を変化させる主制御器4を有する ことで達成可能である。
【実施例1】
【0023】
本発明第一実施例の独立系統向け電源システムを,図1を用いて説明する。図1に示す独立系統は,再生可能エネルギーシステム1,蓄電池システム2,負荷3,系統インピーダンス5,6,電流センサ81,83,電圧センサ82,84,そして主制御器4により構成される。
【0024】
再生可能エネルギーシステム1は負荷3に電力を供給する。再生可能エネルギー1より出力される電力が負荷3の消費電力より大きい場合,該余剰電力は蓄電池システム2に充電される。逆に,再生可能エネルギー1より出力される電力が負荷3の消費電力より小さい場合は,再生可能エネルギー1からの出力電力と蓄電池システム2からの出力電力の合計が負荷3の消費電力と一致するように,蓄電池システム2の蓄電池が放電される。
【0025】
本実施例において,系統インピーダンス5,6はそれぞれのインダクタンスX_1,X_2に比較し,該インピーダンスの抵抗値R_1,R_2が十分小さく,無視可能である。
【0026】
負荷3により消費される有効電力P_LOADは,再生可能エネルギーシステム1から出力される有効電力P_RESと,蓄電池システム2から出力される有効電力P_BESSの和に等しい。有効電力P_RESは,入手可能なエネルギーにより制限され,蓄電池システム2は自動的に式P_BESS=P_LOAD−P_RESを満たす有効電力P_BESSを出力する。
【0027】
蓄電池システム2は蓄電池ユニットまたは蓄電池バンク21,および該蓄電池バンクに接続される自励式インバータ22,そして負荷連係点7の電圧(V_PCC)を入力とし,該自励式インバータを制御する制御器23を備える。蓄電池システム2は系統インピーダンス6を介して負荷連係点7に接続される。蓄電池システム2の制御器23は,V_PCCより連係点7の電圧振幅V_PCC_AMPを算出する振幅算出器と,インバータ22より出力する無効電力を指令値に一致するよう制御する無効電力制御器と,電圧−無効電力の垂下特性制御器を備える。該電圧−無効電力垂下特性制御器は無効電力指令値を算出する。蓄電池システムは、負荷連係点7に、系統インピーダンスを介して接続されている。制御器23が該無効電力制御器により該指令値に基づきインバータ23から出力する無効電力を制御することにより,連係点7の電圧を許容変動範囲内に保つ。
【0028】
上記垂下特性制御器は,数式1により無効電力指令値を算出する。
【0029】
【数1】
【0030】
ここで,V_PCC_AMPは連係点7の電圧振幅値,V*は連係点7の電圧指令値,k_BESSは定数,そしてQ_BESSは蓄電池システム2から負荷3に供給する無効電力指令値である。
【0031】
蓄電池システム2の制御器23で実施される電圧−無効電力垂下特性制御の演算ブロックを図4aに示す。
【0032】
電圧センサ84により検出された連係点7の電圧V_PCCより算出された電圧振幅V_PCC_AMPと,連係点電圧指令値V*は減算器101に入力され,該差は乗算器102に出力される。乗算器102は数式1のk_BESSの逆数を減算器101の出力に乗算し,蓄電池システム2の無効電力指令値Q_BESSを算出する。乗算器102の出力である無効電力指令値Q_BESSは図示しない無効電力制御器に出力され,インバータ22より出力される無効電力は該無効電力制御器により上記指令値Q_BESSに一致するよう制御される。
【0033】
本実施例の再生可能エネルギーシステム1は太陽光パネル11と,太陽光パネル11に接続される自励式インバータ12と,インバータ12を制御する制御器13により構成される太陽光発電システムである。再生可能エネルギーシステム1は,連係点7に系統インピーダンス5を介して接続される。制御器13は,主に2つの制御器を有する。第一の制御器は,所定の日射における発電電力を最大化する最大電力追従演算器(MPPT:Maximum Power Point Tracking)であり,第二の制御機能は連係点7の電圧を変動許容範囲内に維持する電圧−無効電力垂下特性制御器である。
【0034】
MPPTは当該技術分野では広く知られた技術である。
【0035】
再生可能エネルギーシステム1の垂下特性制御器は数式2に従い無効電力指令値を算出する。
【0036】
【数2】
【0037】
ここで,V*は連係点7の電圧指令値であり,数式1に示される指令値と同じ値を有する。また,k_RESは蓄電池システム2により出力される有効電力P_BESSに応じて変化する変数,Q_RESは再生可能エネルギー1より負荷3に供給する無効電力指令値である。k_RESは主制御器4により演算され,制御器13に出力される。
【0038】
制御器13で実行される再生可能エネルギーシステム1の電圧−無効垂下特性制御器の演算ブロックを図4bに示す。
【0039】
電圧センサ84により検出された連係点7の電圧V_PCCより算出された電圧振幅V_PCC_AMPと,連係点電圧指令値V*は減算器103に入力され,該差は乗算器104に出力される。乗算器104は数式2中のゲインk_RESの逆数を減算器103の出力に乗算する。k_RESは主制御器4により算出される値である。乗算器104の出力は,再生可能エネルギーシステム1の無効電力の指令値Q_RESとなり,図示しない再生可能エネルギーシステム1の無効電力制御器に出力される。
【0040】
自励式インバータ22の主回路構成を,図5に示す。自励式インバータの動作原理について,図5を用いて説明する。端子PとNには直流電源(もしくは電力貯蔵要素)が接続され,該インバータに直流電力を供給する。該インバータは,ゲート信号端子を持つ半導体スイッチング素子により構成されるブリッジの高周波スイッチングにより,上記直流電力が交流電力に変換され,所望の交流電圧もしくは交流電流を出力する。上記ゲート端子電圧は,上記半導体スイッチング素子を適切な導通時比率で駆動するよう,制御器23により演算・出力される。図5の自励式インバータは,半導体スイッチング素子としてIGBT220m,220n,220o,220p,220q,220rを用いている。しかし,本発明において上記半導体スイッチング素子はIGBTに限定されず,IGCTやMOS−FET,GTO等の素子を用いても同様の効果を奏す。自励式インバータ12も自励式インバータ22と同様の構成を備えるが,重複説明を回避するため,説明を省略する。
本実施例の特長の一つである,主制御器4による再生可能エネルギーシステム1と蓄電池システム2の無効電力出力比率調整について,以下説明する。
【0041】
制御器13を介し,インバータ12を制御する主制御器4の制御演算ブロックを図2に示す。主制御器4は電力計算ユニット41と,電圧−無効電力垂下特性傾き演算ユニット42を備える。電力計算ユニット41は,電流センサ81,電圧センサ82の出力より蓄電池システム2の出力する有効電力P_BESSを算出し,電流センサ83,電圧センサ84の出力より負荷で消費される無効電力Q_LOADを算出する。
【0042】
演算ユニット42は,電力計算ユニット41の出力であるP_BESSとQ_LOADを入力とし,数式2中のゲインk_RESを算出する。
【0043】
電力計算ユニット41の電力算出演算ブロックを図6に示す。電力計算ユニット41は電圧センサ82より線間電圧検出値V_BESS_ab,V_BESS_bcを入力する。該線間電圧検出値V_BESS_ab,V_BESS_bcは演算ブロック110pにより相電圧に変換される。位相検出演算器(PLL)113pは(蓄電池システム2の連係点における)系統電圧位相θ_BESSを検出し,制御ブロック111p,112pに2つの正弦波信号であるcos(θ_BESS),sin(θ_BESS)を出力する。
【0044】
演算ブロック110pの出力である相電圧V_BESS_a,V_BESS_b,V_BESS_cはブロック111pによりd−q変換される。電流センサ81により検出された相電流検出値はブロック112pによりd−q変換される。上記相電圧,上記相電流のd−q変換演算は,以下の数式であらわされる。
【0045】
【数3】
【0046】
【数4】
【0047】
【数5】
【0048】
【数6】
【0049】
ブロック114pと115pは乗算器であり,ブロック116pは加算器である。有効電力P_BESSはブロック114p,115p,116pそしてブロック111p,112pにより算出された電圧,電流のd−q変換値を用い,計算式P=V_d×I_d+V_q×I_qを実行することにより算出される。
【0050】
電圧センサ84により検出される,負荷連係点7の線間電圧検出値V_PCC_abとV_PCC_bcは,ブロック110qにより相電圧V_PCC_a,V_PCC_b,そしてV_PCC_cに変換される。位相検出演算器(PLL)は負荷連係点7の系統電圧位相θ_PCCを検出し,ブロック111q,112qに二つの正弦波信号cos(θ_PCC)とsin(θ_PCC)を出力する。相電圧V_PCC_a,V_PCC_b,V_PCC_cはブロック111qによりd−q変換され,また電流センサ83により検出された相電流I_LOAD_a,I_LOAD_b,I_LOAD_cはブロック112qによりd−q変換される。ここで,ブロック111q,112qは,入力変数のd−q変換を数式3乃至6に従い実行する。
【0051】
ブロック114q,115qは乗算器であり,116qは減算器である。負荷3で消費される無効電力Q_LOADは,ブロック114q,115q,116qおよびブロック111q,112qにより算出された電圧,電流のd−q変換値を用いて,演算式Q=V_q×I_d―Vq_Idを実行することにより算出される。
【0052】
図3を用いて,本実施例の特長の一つである 蓄電池システム2の出力する有効電力に基づいた電圧−無効電力垂下特性制御器の動作原理を説明する。
【0053】
垂下特性14は数式1に従って制御器23内の演算で実行される電圧−無効電力特性により固定される特性である。蓄電池システム2の出力する有効電力が小さい場合,蓄電池システム2は大きな無効電力を出力することが可能である。
【0054】
一方,蓄電池システム2が大きい場合,蓄電池システム2より出力可能な無効電力は小さな値に制限される。蓄電池システム2に含まれるインバータ22の過負荷を回避するため,電圧−無効電力垂下特性傾き演算ユニット42は,電圧・電流センサ81,82,83,84の情報をもとに計算される蓄電池システム2が負荷3に供給する有効電力に従い,無効電力比率Q_BESS/Q_RESを変化させる。
【0055】
図3で示した垂下特性43は蓄電池システム2より出力される有効電力P_BESSがP1の場合に,制御器13で演算される電圧−無効電力垂下特性を示し,垂下特性44はP_BESSがP2の場合の制御器13で演算される電圧−無効電力垂下特性を示す。ここで,P1はP2より小さい値である。負荷3により要求される無効電力Q_LOADが同じ値であっても,定常状態において,無効電力比率Q_BESS_2/Q_RES_2<Q_BESS_1/Q_RES_1となる。このようになるのは、 垂下特性44が、主制御器4中の演算ユニット42がP_BESSとQ_LOADを入力として算出したk_RESによるものだからである。すなわち、主制御器4が蓄電池システム2の有効電力と負荷3により要求される無効電力により電圧−無効電力垂下特性の比例定数を算出する演算ユニットを備える ことにより、上記無効電力比率を適切な範囲に抑えることが可能となる。なお比例定数の絶対値は、蓄電池システム2の有効電力に対して減少関数である。
【0056】
ここで,Q_BESS_1,Q_RES_1はP_BESSがP1のときの蓄電池システム2および再生可能エネルギーシステム1より出力される無効電力出力値であり,Q_BESS_2,Q_RES_2はP_BESSがP2のときの蓄電池システム2および再生可能エネルギーシステム1より出力される無効電力出力値である。
【0057】
次に、電圧−無効電力垂下特性傾き演算ユニット42における傾きk_RES演算プロセスを以下に説明する。定常状態において,連係点電圧は数式1および数式2より以下の式を満たす。
【0058】
V_PCC_AMP=V*−k_BESS×Q_BESS=V*−k_RES×Q_RES。それゆえ,定常状態においては数式7および数式8が成り立つ。
【0059】
【数7】
【0060】
【数8】
【0061】
本実施例においては,負荷3により蓄電池システム2に要求される無効電力は,数式9に示される蓄電池システム2の出力可能な無効電力に比べて小さい。
【0062】
【数9】
【0063】
インバータ22の過負荷の回避および該インバータの利用率を改善するための傾きk_RESは,蓄電池システム2の出力する有効電力P_BESSを用いて数式10に示すように選択することが可能である。
【0064】
【数10】
【0065】
ここで,S_BESSは蓄電池システム2の定格皮相電力である。k_RESは有効電力P_BESSに対し,減少関数である。
【0066】
以上説明した実施例1では、再生可能エネルギーを利用した発電装置である太陽光パネル11と、太陽光パネル11に接続された第一のインバータである自励式インバータ12と、蓄電池を有する蓄電池バンク21と、蓄電池バンク21に接続された第二のインバータである自励式インバータ22と、主制御器4を備え、自励式インバータ12と自励式インバータ22が連係点7で接続され、主制御器4が連係点7を経由した負荷3への電力供給を制御する発電システムにおいて、主制御器4が、自励式インバータ22から出力される有効電力に基づいて、自励式インバータ12から出力される無効電力と、自励式インバータ22から出力される無効電力の比を変化させるものである。 この無効電力の比は、電圧ー無効電力垂下特性に基づいて変化させている。 この主制御器4は,蓄電池システム2が大きな有効電力を出力している場合には再生可能エネルギー1の出力する無効電力を増やすことにより蓄電池システム2から出力される無効電力を低減し,蓄電池システム2の系統連係用インバータ22の過負荷を回避することが可能である。
【0067】
インバータ22の過負荷を回避することにより,特許文献1の手法に比べて制御マージンを小さくすることが可能であり,インバータ22の利用率を向上することが可能である。)
実施例1の発電システムはさらに、連係点7の電圧を測定する第一の電圧測定器である電圧センサ84と、連係点7の電流を測定する第一の電流測定器である電流センサ83と、自励式インバータ22の連係点7側の電圧を測定する第二の電圧測定機である電圧センサ82と、自励式インバータ22の連係点7側の電流を測定する第二の電流測定器である電流センサ81を備えている。 そのため、電圧センサおよび電流センサにより検出された電圧検出値と電流検出値をもとに、蓄電池システム2の有効電力を算出し、また、負荷3が要求する無効電力を算出することができる。この計算は、主制御器4の電力計算ユニットで行われる。
【0068】
図7に別の実施例を示す。図7は、再生可能エネルギーシステム1を用いた発電システムの別の例である。図7は、太陽光発電システムの代わりに風力タービン発電システム11を用いている点でのみ、図1と異なる。図8も別の実施例を示している。図8図1との唯一の違いは、主制御器4が再生可能エネルギーシステム1のコンポーネントの一つである点である。
【0069】
本発明は実施例1に記載した構成に限定されない。再生可能エネルギーシステム1は太陽光発電システムに限定されない。たとえば,図7に記載のように風力発電システムであっても良い。また,主制御器4の位置は適宜変更でき、例えば図8に示すように再生可能エネルギーシステム1の制御器に組み込まれても良い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8