特許第5830711号(P5830711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5830711
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】発光モジュール
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20151119BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20151119BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20151119BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20151119BHJP
   F21Y 105/00 20060101ALN20151119BHJP
【FI】
   F21S2/00 480
   F21V23/00 160
   H05B33/06
   H05B33/14 A
   F21Y105:00 100
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-239103(P2010-239103)
(22)【出願日】2010年10月25日
(65)【公開番号】特開2012-94303(P2012-94303A)
(43)【公開日】2012年5月17日
【審査請求日】2013年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】河地 秀治
(72)【発明者】
【氏名】住山 重次
(72)【発明者】
【氏名】深野 智
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−003600(JP,A)
【文献】 特開2008−153217(JP,A)
【文献】 特開2008−170509(JP,A)
【文献】 特開2009−295487(JP,A)
【文献】 特開2003−051385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 23/00−99/00
H01L 51/50
H05B 33/06
F21Y 105/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層を正電極及び負電極で挟持させた発光部と、前記正電極及び負電極と電気的に接続された給電電極と、を有する発光パネルと、
前記給電電極に電気的に接続されて前記発光部に電力供給する回路基板と、
前記発光パネル及び前記回路基板を収容するケース部と、を備えた発光モジュールであって、
前記発光パネルの給電電極は、該発光パネルの周縁領域に複数配置され、
前記回路基板は、前記発光パネルの周縁部より中央よりの領域に配置され、
前記給電電極と前記回路基板との電気的接続は、前記発光パネルの中央よりの領域から周縁部に伸びる配線により成されていることを特徴とする有機発光モジュール。
【請求項2】
前記給電電極は、同じ極性が互いに隣り合わないように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記回路基板に搭載される回路部品は、前記発光パネルの中央よりの領域に集中して配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光モジュール。
【請求項4】
前記給電電極よりも中央よりの領域に配置された配線用ランド基板を備え、
前記給電電極と前記回路基板との電気的接続は、前記配線用ランド基板を介在して成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光モジュール。
【請求項5】
前記回路基板と前記配線用ランド基板とが分離して配置されていることを特徴とする請求項4に記載の発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光パネルを用いた発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、発光層を正電極及び負電極で挟持させた発光部が透明基板上に形成されたものであり、電極間に電圧印加されたとき、発光層にキャリアとして注入された電子及びホールの再結合により生成された励起子によって発光する。
【0003】
EL素子は、発光層の蛍光物質に有機物を用いた有機EL素子と、無機物を用いた無機EL素子に大別される。特に、有機EL素子は、低電圧で高輝度の発光が可能であり、蛍光物質の種類によって様々な発光色が得られ、また、平面状の発光パネルとしての製造が容易であることから、近年、照明器具に用いることが注目されている。
【0004】
発光部の透明電極として用いられるITOは、面内抵抗が大きいので、発光層に対する電位勾配が大きくなり、発光層における輝度バラツキを生じさせることがある。このような輝度バラツキを抑制するために、正電極及び負電極を発光パネル外へ取り出すための給電電極を複数設けることにより、発光層に対する電位勾配が小さくなるようにした面状発光素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図7(a)(b)は、この種の平面状の発光パネルを用いた発光モジュールの構成例を示す。この発光モジュール101は、発光部102を有する発光パネル103と、発光パネル103の発光部102に電力供給する回路基板104と、これらを収容するケース部105とを備える。また、発光パネル103の発光部102の正電極及び負電極に夫々電気的に接続された複数の給電電極103a,103bが、発光パネル103の周縁部に沿って配置されている。ケース部105は、発光パネル103を支持するケース本体150と、ケース本体150の非発光方向に配置され、回路基板104等を保護する背面蓋151と、を備える。複数の給電電極103a,103bのうち、一部の給電電極が、回路基板104と配線107によって電気的に接続され、他の給電電極は同じ極性のもの同士が配線108によって接続されている。
【0006】
これらの電極間の接続には、アルミ等から成るワイヤを配線とするワイヤボンディングが用いられている。一般的に、ワイヤボンディングにおいては、熱によるワイヤの伸縮等によって、ワイヤが断線しないように、図8(a)に示すように、配線107,108はアーチ状になるように設けられ、多少の緩みが与えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−232286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この種の発光モジュールは、近年、発光面積の大型化がなされる一方で、モジュール形状のスリム化が求められている。発光面積を大型化するには、図7(a)(b)に示したように、複数の給電電極を、なるべく発光パネル103の周縁部よりに設けて、発光層の面積を大きくする必要がある。しかしながら、発光パネル103の周縁部に設けられた給電電極103a,103b同士を配線108でワイヤボンディングするには、アーチ状に設けられるワイヤを収容する空間がモジュール内に必要となる。そのため、図8(a)に示すように、背面蓋151の周縁部が所定の厚みとなるようにモジュールを設計する必要があり、モジュールの厚み感が増してしまう。ところが、このような厚み感を抑制するために、図8(b)に示すように、背面蓋151の周縁部を面取りしようとすると、配線108が、背面蓋151の内面に接触して破損する虞がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、発光パネルを収容するケース部の厚み感を抑制し、スリムな形状を持つ発光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る発光モジュールは、発光層を正電極及び負電極で挟持させた発光部と、前記正電極及び負電極と電気的に接続された給電電極と、を有する発光パネルと、前記給電電極に電気的に接続されて前記発光部に電力供給する回路基板と、前記発光パネル及び前記回路基板を収容するケース部と、を備え、前記発光パネルの給電電極は、該発光パネルの周縁領域に複数配置され、前記回路基板は、前記発光パネルの周縁部より中央よりの領域に配置され、前記給電電極と前記回路基板との電気的接続は、前記発光パネルの中央よりの領域から周縁部に伸びる配線により成されていることを特徴とする。
【0011】
上記発光モジュールにおいて、前記給電電極は、同じ極性が互いに隣り合わないように配置されていることが好ましい。
【0012】
上記発光モジュールにおいて、前記回路基板に搭載される回路部品は、前記発光パネルの中央よりの領域に集中して配置されることが好ましい。
【0013】
上記発光モジュールにおいて、前記給電電極よるも中央よりの領域に配置された配線用ランド基板を備え、前記給電電極と前記回路基板との電気的接続は、前記配線用ランド基板を介在して成されていることが好ましい。
【0014】
上記発光モジュールにおいて、前記回路基板と前記配線用ランド基板とが分離して配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回路基板と給電電極との電気的接続が、発光パネルの中央よりの領域から周縁部に伸びる配線により成されているので、配線の頂頭部は、発光パネルの周縁部よりも中央よりに位置する。そのため、ケース部の周縁部を面取りした場合でも、配線がケース部の内面に接触し難くなる。これにより、発光モジュールの厚み感を抑制し、スリムな形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る発光モジュールの分解斜視図、(b)は同発光モジュールの一部分解斜視図。
図2】同発光モジュールの周縁部近傍を模式的に示す上面図。
図3】同発光モジュールに用いられる発光パネルの側断面を模式的に示す図。
図4】同発光モジュールの周縁部近傍を示す側断面図。
図5】同発光モジュールの斜視図。
図6】上記実施形態の変形例に係る発光モジュールの周縁部近傍を模式的に示す上面図。
図7】(a)は従来の発光モジュールの分解斜視図、(b)は同発光モジュールの周縁部近傍を模式的に示す上面図。
図8】(a)(b)は従来の発光モジュールの周縁部近傍を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る発光モジュールについて、図1乃至図5を参照して説明する。図1(a)(b)に示すように、本実施形態の発光モジュール1は、発光部2を有する発光パネル3と、発光部2に電力供給する回路基板4と、発光パネル3及び回路基板4を収容するケース部5と、を備える。発光部2は、後述するように、発光層を正電極及び負電極で挟持させたものであり、ここでは有機EL素子が用いられる。発光パネル3は、発光部2の正電極及び負電極と電気的に接続された複数の給電電極3a,3bを有する。給電電極3a,3bは、発光パネル3の周縁領域に複数配置され、回路基板4と電気的に接続されている。回路基板4は、発光パネル3の周縁部よりも中央よりの領域に配置される。なお、発光モジュール1は、図中の破線矢印方向に光を導出するものとし、以下の説明において、この方向を発光方向といい、破線矢印方向と正対する方向を非発光方向という。
【0018】
本実施形態においては、発光モジュール1は、給電電極3a,3bよりも中央よりの領域に配置された配線用ランド基板(以下、ランド基板)6を備える。給電電極3a,3bは、ランド基板6を介在して回路基板4と電気的に接続されている。回路基板4とランド基板6との電気的接続は、配線7によって成されている。また、ランド基板6と給電電極3a,3bとの電気的接続は、配線8によってなされている。本例では、給電電極3aを発光部2の正電極に接続された電極、給電電極3bを発光部2の負電極に接続された電極であるものとする。また、これら配線7,8は、いずれも発光パネル3の中央よりの領域から周縁部に伸びるように設けられる。
【0019】
ケース部5は、発光パネル3を支持するケース本体50と、ケース本体50の非発光方向に配置され、回路基板4等を保護する背面蓋51と、を備える。なお、発光パネル3の形状は、発光モジュール1の用途に応じた任意の形状が用いられ、ケース部5は発光パネル3の形状に対応した形状に形成されるが、本例では、図示したような長尺矩形状のものとする。ケース部5の構成材料としては、例えば、ABS樹脂やアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等のプラスチック材料、又は表面に絶縁処理が施されたアルミニウム等の金属材料が用いられる。
【0020】
ケース本体50は、発光方向に開口した凹部52(後述する図4も参照)を有する缶形状の部材であり、この凹部52に発光パネル3が嵌装されている。凹部52の底部は、発光パネル3を支持する支持部53と、給電電極3a,3bを非発光方向に露出させるため、それら給電電極3a,3bと対応する位置に形成された複数の開口部54とを備える。発光パネル3は、接着部材(不図示)によって支持部53に貼着される。接着部材は、適宜に緩衝部材又は充填剤等として機能するものが好ましい。支持部53の非発光方向の面には、回路基板4及びランド基板6が配置される。回路基板4は、支持部53の中央よりの領域に、支持部53の長手方向と平行に配置される。ランド基板6は、回路基板4の両端部を挟むように、支持部53の長手方向とは直角方向に夫々配置される。これら回路基板4及びランド基板6は、耐熱性、耐湿性及び応力緩和性に優れる芯材入りのアクリル系両面接着テープ等によって支持部53に接着固定される。支持部53には、背面蓋51を係止するための係止部55が設けられている。
【0021】
背面蓋51は、発光方向に開口した凹部56(図4参照)を有する缶形状の部材であり、この凹部56によって、回路基板4、ランド基板6及び配線7,8を収容するための空間が確保される。背面蓋51の外周縁は、周縁部近傍に向かうに従って傾斜するように、面取りされた形状に形成されている。また、背面蓋51は、その中央よりの領域が更に凹んだ収容部57を有し、この収容部57によって、回路基板4に搭載される各種の回路部品41を収容するための空間が確保される。また、背面蓋51の側面部には、ケース本体50の係止部55と係止するための係止部58が設けられている。
【0022】
回路基板4には、配線回路及びランド基板6と配線7で接続するための結線部42a,42b(後述する図2参照)が形成された汎用のプリント配線板が用いられる。配線板には、好ましくは、ガラス繊維布にエポキシ樹脂等を含侵させて硬化させたガラス繊維板(例えば、FR−4(FLAME Retardant Type4))等、難燃性及び低導電率を両立した基材が用いられる。この回路基板4には、発光モジュール1外に配された調光装置等から出力される調光制御信号を受信する調光制御回路や、発光パネル3に供給する電流を制御する電流制御回路といった各種の回路部品41が搭載される。また、各配線回路の両端部の結線部42a,42bには、好ましくは、金めっき等が施される。更に、回路基板4には、外部電力を取り入れると共に、他の発光モジュール1と接続するための外部コネクタ(不図示)が搭載されている。なお、背面蓋51には、外部コネクタを露出させるための端子口(不図示)が形成されている。
【0023】
ランド基板6には、回路基板4と同様の汎用のプリント配線板が用いられる。図2に示すように、ランド基板6は、その長手方向に平行に配置された正電極線6a及び負電極線6bが形成されている。給電電極3a,3bとランド基板6の正電極線6a及び負電極線6bとを接続する配線8は、上述したように、発光パネル3の中央よりの領域から周縁部に伸びるように配置されている。正電極線6a及び負電極線6bは、結線部のみが露出し、他の部分が絶縁材料によって被覆されていてもよい(不図示)。
【0024】
次に、発光パネル3の構成について、上述した図1(a)(b)に加えて、図3を参照して説明する。発光パネル3は、透光性を有する基板31上に、発光部2を形成し、発光部2の外側を封止材32で被覆したものである。発光部2は、透明導電膜から成る正電極2a、発光機能を有する発光層2b、光反射性を有する負電極2cを、順に基板31上に積層形成したものである。
【0025】
基板31は、ソーダライムガラスや無アルカリガラス等の透光性ガラスや、透光性樹脂材料等から成り、矩形板状に形成される。
【0026】
正電極2aは、発光層2bにホールを注入するための電極であり、仕事関数の大きい金属、合金、導電性化合物又はこれらの混合物から成る電極材料が用いられ、好ましくは、仕事関数が4eV以上のものが用いられる。特に、ITO(酸化インジウムスズ:インジウムチンオキサイド)、SnO(酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)等の透光性の導電材料が好ましい。正電極2aは、これらの電極材料を、基板31の表面に、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等の方法により成膜及びパターニングすることによって形成される。
【0027】
発光層2bは、例えば、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、ジスチルアリーレン誘導体、及びこれらの発光性化合物から成る基を分子構造の一部に有する化合物、高分子材料、各種蛍光色素の混合材料等が用いられる。なお、ここでは、発光パネル3として、発光層2bに有機材料を用いた例を示すが、発光層2bに無機材料を用いてもよい。発光層2bは、正電極2aの表面に上述した化合物を、例えば、真空蒸着法により成膜及びパターニングすることによって形成される。なお、発光層2bは、複数の異なる材料が積層されたものであってもよく、これら複数層の間に電位を調整するためのバッファ層等を介在させてもよい。
【0028】
負電極2cは、発光層2bに電子を注入するための電極であり、仕事関数の小さい金属、合金、導電性化合物又はこれらの混合物から成る電極材料が用いられ、好ましくは、仕事関数が5eV以下のものが用いられる。特に、リチウム、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、マグネシウム−銀混合物、Al/Al混合物、Al/LiF混合物等の反射性の導電材料が好ましい。負電極2cも正電極2aと同様の方法により形成される。
【0029】
なお、正電極2a及び発光層2bの間には、正電極2aから発光層2bへのホール注入効果を促進するホール注入・輸送層(不図示)が設けられてもよい。また、発光層2b及び負電極2cの間には、好ましくは、負電極2cから発光層2bへの電子注入効果を促進する電子注入・輸送層(不図示)が設けられる。
【0030】
このように構成された発光パネル3においては、回路基板4から所定の電力が供給されることにより、発光層2bが発光する。発光した光は、正電極2aを透過して、又は負電極2cによって反射されて、基板31側から発光パネル3外へ取り出される。なお、発光パネル3の発光面には、基板31を傷や汚れ等から保護するため、アクリル樹脂等から成る保護層や、基板31からの光取り出し効率を高めるための拡散層等が設けられてもよい(不図示)。
【0031】
ITO等の透明電極材料は、導電性材料としては比較的電気伝導度が低いため、特に、発光部2の面積を大きくすること望まれる発光パネル3においては、給電点から遠ざかるにつれて電圧降下が生じ、発光部2に輝度のバラツキが生じることがある。そこで、ITOの電圧降下を防止するための金属のパターン、すなわち補助電極が形成される。
【0032】
補助電極は、基板31側への光の出射を妨げないよう、発光層2bが形成される箇所に対応する部分が開口するように、スパッタリング等の方法により成膜される。ここで、補助電極は、その開口箇所の周縁部がITO等から成る正電極2aと接すると共に、その一部が延出されて、上述した正極取り出し用の給電電極3aとなるようにパターンニングされる(図1(a)、図2参照)。給電電極3aを構成する金属の種類としては、ITOに対する密着性と導電性が良く、湿度や熱による変質が少なく、しかも、超音波接合可能な金属が好ましい。例えば、モリブデン、アルミニウム、モリブデンの3層スパッタ膜や、銀パラジウム銅の合金膜等が用いられる。
【0033】
また、負極取り出し用の給電電極3bが、負電極2cと接するように、且つ正電極2a及び給電電極3aと接しないように、基板31上にパターンニングされて形成される。この給電電極3bは、負極層2cの補助電極の一部として形成されてもよい。これら給電電極3a,3bは、同プロセスにより同時に形成される。これらのパターニングの後、透明電極上に発光層2b等を有する発光部2が形成される。これらの電極及び発光部2は、いずれもナノオーダーの薄膜であり、基板31の厚みに比べれは、実質的には殆ど厚みがない。
【0034】
給電電極3a,3bは、図1(a)及び図2に示したように、同じ極性が互いに隣り合わないように配置されていることが望ましい。つまり、同じ極性の給電電極3a,3bが夫々離れた位置に設けられることにより、給電点が分散し、発光部2に対する印加電圧が均一化するので、輝度バラツキが生じ難くなる。
【0035】
封止材32は、図1(a)に示すように、発光部2等を覆い、かつ給電電極3a,3bが露出するように、基板31上に接着固定される。封止材32は、ピンホールが無く、封止能力の高い銅箔が好適に用いられる。
【0036】
回路基板4とランド基板6、及びランド基板6と給電電極3a,3bは、図4に示すように、夫々配線7,8をボンディングすることにより結線される。配線7,8には、純アルミニウム線が好適に用いられる。この純アルミニウム線は、超音波接合により、常温かつ短時間で、各結線部を接合することができる。配線7,8の径は、発光パネル3の消費電流や材質等を考慮して決定される。
【0037】
上述のようにして構成された発光モジュール1は、給電電極3a,3bとランド基板6とを接続する配線8が、発光パネル3の中央よりの領域から周縁部に伸びるように配置されているので、配線8の頂頭部は、発光パネル3の周縁部よりも中央より位置する。そのため、背面蓋51の周縁部を面取りした場合でも、配線8が、背面蓋51の内面に接触し難くなる。これにより、図5に示すように、背面蓋51の周縁部を面取りしたことにより、発光モジュール1の厚み感を抑制し、スリムな形状を有する発光モジュール1が得られる。
【0038】
発光モジュール1は、図1(a)に示したように、回路基板4に搭載される回路部品41が、発光パネル3の中央よりの領域に集中して配置されることが望ましい。こうすれば、図5に示したように、発光モジュール1の中央は背高になるが、それ以外の部分を低背化することができ、モジュール単品としてはスリムな形状に見せることができる。また、この低背化されたスペースに、複数の発光モジュール1同士を接続する際の配線をセッティングすることができ、発光モジュール1を用いた照明器具等の器具設計の自由度を高めることができる。
【0039】
また、本実施形態においては、ランド基板6は、給電電極3a,3bよりも中央よりの領域に配置されると共に、給電電極3a,3bは、ランド基板6を介在して回路基板4と電気的に接続されている(例えば、図2参照)。こうすれば、給電電極3a,3bとランド基板6とを近接させ、配線8の結線距離を短くすることができる。これにより、回路基板4の熱等による配線8の伸縮量が少なくなり、結線箇所及び配線8自体に課される熱応力も小さくなるので、配線8の断線を抑制することができる。更に、本実施形態においては、回路基板4とランド基板6とが分離して配置され、これらが配線7によって接続されている。こうすれば、ランド基板6と給電電極3a,3bとを接続する配線8が、回路基板4全体の熱伸縮の影響を受け難くなるので、配線8の断線等を抑制することができる。
【0040】
次に、本実施形態の変形例に係る発光モジュールについて、図6を参照して説明する。この変形例に係る発光モジュール1は、回路基板4に、給電電極3a,3bと並列に配された回路パターン(不図示)が内装されており、給電電極3a,3bと回路基板4とが、配線9により直接電気的に接続されているものである。また、回路基板4には、配線9を結線するための結線部43a,43bが設けられている。配線9は、上述した配線8(図2参照)と同様、発光パネル3の中央よりの領域より周縁部に伸びるように配設されている。その他の構成も、上述の実施形態と同様である。
【0041】
この構成によれば、モジュールの組立に際して、複数の基板をケース本体に接合する必要がなく、また、それらの間の電気的な接続を行なう必要もないので、作業工程が少なくなり、モジュールの生産性を向上させることができる。
【0042】
なお、本発明は、給電電極が発光パネルの周縁部に並列に配置されると共に、給電電極と回路基板とを接続する配線が、発光パネルの中央よりの領域から周縁部に伸びる配線により成されていれば、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、発光パネル3の長手方向の両端部に給電電極3a,3bが形成された例を示したが、これと直交する方向の両端部にも給電端子(不図示)が形成され、これらの給電電極の近傍にランド基板が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 発光モジュール
2 発光部
2a 正電極
2b 発光層
2c 負電極
3 発光パネル
3a 給電電極
3b 給電電極
4 回路基板
41 回路部品
5 ケース部
6 ランド基板(配線用ランド基板)
7 配線
8 配線
9 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8