特許第5830881号(P5830881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5830881
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】電動車両のバッテリ充電制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/08 20060101AFI20151119BHJP
   B60W 20/00 20060101ALI20151119BHJP
   B60L 11/12 20060101ALI20151119BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20151119BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20151119BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   B60K6/20 320
   B60L11/12ZHV
   B60L15/20 J
   B60K6/46
   B60K6/20 330
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-46589(P2011-46589)
(22)【出願日】2011年3月3日
(65)【公開番号】特開2012-183860(P2012-183860A)
(43)【公開日】2012年9月27日
【審査請求日】2014年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道
(72)【発明者】
【氏名】勝又 雄史
(72)【発明者】
【氏名】中島 孝
(72)【発明者】
【氏名】堤 淳二
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−067668(JP,A)
【文献】 特開2007−151336(JP,A)
【文献】 特開2009−214740(JP,A)
【文献】 特開2010−148250(JP,A)
【文献】 特開2008−193772(JP,A)
【文献】 特開平07−212912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/00 − 6/547
B60W 10/00 − 50/16
F02D 29/00 − 29/06
B60L 1/00 − 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリに接続された電動式の駆動機により車輪を駆動して走行可能で、該駆動機および/または、エンジン駆動される発電機からの発電電力によって前記バッテリへの充電が可能で、前記発電機からの電力を前記駆動機で消費するダイレクト配電を行う電動車両において、
前記バッテリの入力可能電力が制限状態であるのを検知するバッテリ入力可能電力制限状態検知手段と、
前記駆動機および発電機による前記発電電力が駆動機自身の損失で消費され切れずに前記バッテリへ向かう電力生成領域の運転であるのを、前記駆動機の回転数によって決まる該駆動機の駆動損失、および該駆動機回転数のもとで運転者の要求駆動力を実現するのに必要な該駆動機の要求駆動軸出力から求めた、運転者の要求駆動力を発生させるための要求駆動電力と、前記エンジン駆動される発電機の実発電電力との極性が異なる時をもって前記電力生成領域の運転であると判定して検知する電力生成領域運転検知手段と、
これら手段の検知結果に基づき、バッテリの入力可能電力が前記制限状態であり、且つ、前記電力生成領域の運転であるとき、前記駆動機および発電機による前記発電電力が前記制限状態を超えて前記バッテリへ向かうことのない電力消費領域の運転となるよう、前記駆動機への駆動機トルク指令値を同極性のまま修正する駆動機トルク指令値修正手段と
を具備して成ることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記電力生成領域運転検知手段は、運転者が指令している電動車両の走行方向と逆方向への車両移動を示す信号の発生をもって電力生成領域の運転であると判定するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記駆動機トルク指令値修正手段は、連続的に出力可能な連続定格領域内の最大トルク値まで前記駆動機トルク指令値を修正しても前記電力消費領域の運転とならないとき、一時的に出力可能な短時間定格領域内の最大トルク値に向けて前記駆動機トルク指令値を更に修正するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記駆動機トルク指令値修正手段は、前記駆動機トルク指令値を前記電力消費領域の運転となるよう修正するに際し、同極性のトルク指令値が複数存在する場合は、絶対値の大きい方のトルク指令値を選択して使用するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項5】
前記駆動機トルク指令値が、運転者によるアクセル操作に応じて決定されるものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記アクセル操作が行われない時における前記駆動機トルク指令値を、前記駆動機および/または発電機から前記バッテリへ向かう電力が駆動機の損失によって丁度0にされるような駆動機トルク値に定めたことを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータのみを動力源とする電気自動車や、電動モータおよびエンジン(内燃機関など)を動力源するハイブリッド車両のような電動車両において、
電動モータの駆動電力を蓄電しておくバッテリが過充電とならないよう、これに向かう電力を駆動機トルク指令値の制御により抑制し得るようにした電動車両のバッテリ充電制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動車両に搭載されたバッテリへの充電を適切に行わせる制御装置としては従来、例えば特許文献1または2に記載されたようなものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載のバッテリ充電制御は、エンジン駆動される発電機への発電電力指令値が変化した時、発電機の回転数指令値に対しエンジンの応答遅れ分の遅延時間を設定し、これにより、発電電力の応答をエンジン出力の応答に一致させようとするものである。
【0004】
かかるバッテリ充電制御によれば、発電機回転数指令値が増加した場合において、いち早く所望の回転数にするため発電機を力行させる電力をバッテリから出力しなければならないという状態を抑制することができる。
また、発電機回転数指令値が逆に減少した場合においても同様に、いち早く所望の回転数になるよう発電機を回生させる電力をバッテリへ充電しなければならないという状態を抑制することができる。
【0005】
その結果、例えば極低温のためバッテリの入出力電力が極めて制限されているような状態で、バッテリの入出力電力を極力減らすことができる。
また、極低温ではなく常温での走行時においても、バッテリへの不必要な入出力電力を抑えることで、バッテリの内部抵抗によるエネルギーロスを軽減することができる。
【0006】
特許文献2に記載のバッテリ充電制御は、車両の加速に用いる駆動出力を、発電された発電電力に応じて制限するというものであり、以下の利点がある。
【0007】
つまり通常の発電制御に当たっては、アクセル開度や車速より決まる要求駆動出力を発電電力で賄うように当該発電制御を行うが、極低温時などでバッテリの入出力電力が制限されている状態において、駆動機から要求駆動出力をそのまま出力してしまうと、エンジン出力の内、エンジン回転数を上昇させるために使用する出力分だけ発電電力が減ってしまい、この分だけバッテリから電力の持ち出しが必要となり、バッテリの劣化や故障につながる。
【0008】
これに対し特許文献2に記載のバッテリ充電制御によれば、実際に発電されている電力を検知し、駆動出力をその電力値で制限するため、バッテリに対する電力の過度な入出力を回避することができ、バッテリの劣化や故障に関する上記の問題を緩和することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08−065813号公報
【特許文献2】特開2001−292501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1,2に記載のバッテリ充電制御技術は、以下に説明するような問題に対処し得ない。
【0011】
例えば、エンジンにより発電機を駆動し、その発電電力をバッテリに充電し、バッテリからの電力で電動モータを駆動して走行する、所謂シリーズ式ハイブリッド車両においては、
極低温時などでバッテリの保護のためこれに対する入出力電力が制限されている場合、例えば上述した特許文献1,2のようなバッテリ充電制御技術を用いて、バッテリへの充放電が行われないようにするために、駆動要求に応じて発電機が実際に発電した発電電力を過不足なく駆動機で消費するような制御を行う。
【0012】
また、バッテリの充放電が完全に制限されておらず、不都合を生ずることのない所定の入出力可能電力だけ充放電可能な場合においても、
駆動要求に応じてバッテリへの充放電がバッテリの入出力可能電力以内となるよう、発電機が駆動要求を補う態様で発電を行うと同時に、実際に発電された発電電力をバッテリ入出力可能電力以内で過不足無く電動モータで消費するような制御を実施する。
以下、上記した2種類の制御態様をまとめて、本明細書では「ダイレクト配電制御」と称する。
【0013】
かかるダイレクト配電制御では、バッテリの入出力可能電力と、アクセル開度や車速などから算出される所望の駆動トルクを実現するために必要な駆動電力とを演算し、バッテリでは補えない駆動電力分を発電電力指令値として発電機の制御に資する。
そして、発電電力指令値を実現するように発電機が制御されたことで発生した実発電電力と、バッテリ入出力可能電力範囲内のバッテリ電力とを電動モータの駆動電力として消費するための駆動トルクを算出し、これを電動モータの駆動制御に資する。
【0014】
しかして、上記のダイレクト配電制御中に、登坂路面での坂道発進等の登坂シーンで、登坂路面の勾配が更に急になり、車速が減少し続け、ついには車両が停止し、更に進行方向とは逆方向へずり下がった場合に、以下の問題を生ずる。
【0015】
この場合、車両が前進する方向の駆動トルクを要求しているにもかかわらず、電動モータ回転数(車速)が極性を反転されることとなり、そのため電動モータは回生状態によって車両の「ずり下がり」を抑制しようとする。
このとき、ダイレクト配電制御を継続するには、電動モータが回生する電力の内、バッテリ入出力可能電力を超える分を発電機で放電する必要があるため、発電機に対して発電指令(正の発電電力指令値)から放電指令(負の発電電力指令値)に切り替えるのが一般的である。
【0016】
ところでエンジンには大きな応答遅れがあり、上記のように発電指令から放電指令に切り替わったとき、エンジンに供給する燃料をカットしたとしても、エンジンは応答遅れの間、エンジントルクを放電状態相当値となし得ず、発電状態相当値のままにしている。
その結果、発電機の発電電力と電動モータの回生電力との合計電力が、バッテリ入出力電力制限中にもかかわらず、バッテリを過充電させてしまい、バッテリの劣化や性能低下を生じさせ、最悪の場合はバッテリを故障させてしまうことがある。
【0017】
特許文献1,2のバッテリ充電制御ではかかる問題に対処することができない。
特に特許文献1のバッテリ充電制御では、エンジンの燃料噴射または燃料カットの応答遅れに合わせて、発電機の応答を遅らせてしまうことになるため、発電指令から放電指令に変化したとしても、発電状態が継続されてしまい、上記の問題が特に顕著になってしまうという懸念がある。
また特許文献2のバッテリ充電制御では、駆動出力を実発電電力で制限してしまうことから、電動モータとしては回生トルクを掛けたい場合であっても、発電電力が残ってしまっていると力行せざるを得ず、本来「ずり下がり」を防止するためのトルクを施すことができない、という懸念がある。
【0018】
なお、これらの問題および懸念はバッテリへの入力電力が0に近い極めて小さな値に制限されている状態で生じるため、上記したシリーズ式ハイブリッド車両のダイレクト配電時に限らず、外部電源の電力により充電器を用いて充電されたバッテリ電力のみで走行する電気自動車においても発生する。
つまり電気自動車においては、走行開始直後の未だバッテリが満充電状態であるなどのため充電を制限されていて、車両が登坂路で「ずり下がり」を生ずる場合や、電動モータが車輪により逆駆動されて回生電力を発生する場合に上記の懸念が発生する。
【0019】
本発明は、バッテリが充電を制限されている状態で、発電電力がバッテリに向かう電力生成領域での運転(要求トルク)となる場合、バッテリに向かう当該余分な電力を駆動機トルク指令値の増大により消費することで、充電制限状態のバッテリへ電力が向かうのを防止、または抑制して上記の問題および懸念を払拭可能にした電動車両のバッテリ充電制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的のため、本発明による電動車両のバッテリ充電制御装置は、以下のごとくにこれを構成する。
先ず前提となる電動車両を説明するに、これは、
バッテリに接続された電動式の駆動機により車輪を駆動して走行可能で、該駆動機および/または、エンジン駆動される発電機からの発電電力によって上記バッテリへの充電が可能で、上記発電機からの電力を上記駆動機で消費するダイレクト配電を行うものである。
【0021】
本発明のバッテリ充電制御装置は、かかる電動車両に対し以下のようなバッテリ入力可能電力制限状態検知手段と、電力生成領域運転検知手段と、駆動機トルク指令値修正手段とを設けた構成に特徴づけられる。
バッテリ入力可能電力制限状態検知手段は、バッテリの入力可能電力が制限状態であるのを検知するものである。
電力生成領域運転検知手段は、上記駆動機および発電機による上記発電電力が駆動機自身の損失で消費され切れずに上記バッテリへ向かう電力生成領域の運転であるのを、上記駆動機の回転数によって決まる該駆動機の駆動損失、および該駆動機回転数のもとで運転者の要求駆動力を実現するのに必要な該駆動機の要求駆動軸出力から求めた、運転者の要求駆動力を発生させるための要求駆動電力と、上記エンジン駆動される発電機の実発電電力との極性が異なる時をもって上記電力生成領域の運転であると判定して検知するものである。
そして駆動機トルク指令値修正手段は、上記両手段の検知結果に基づき、バッテリの入力可能電力が前記制限状態であり、且つ、上記電力生成領域での運転であるとき、上記発電電力が上記制限状態を超えて上記バッテリへ向かうことのない電力消費領域の運転となるよう、上記駆動機への駆動機トルク指令値を同極性のまま修正するものである。
【発明の効果】
【0022】
上記した本発明による電動車両のバッテリ充電制御装置によれば、バッテリの入力可能電力が制限状態である間に、駆動機および発電機による発電電力が駆動機自身の損失で消費され切れないでバッテリへ向かう電力生成領域の運転である場合、発電電力が上記制限状態を超えてバッテリへ向かうことのない電力消費領域の運転となるよう、駆動機トルク指令値を同極性のまま修正することから、
バッテリに向かおうとしている電力を、上記駆動機トルク指令値の増大による駆動機の損失増大によって消費することができる。
これにより、入力可能電力制限状態のバッテリへ電力が制限状態を超えて向かうのを防止、または抑制し得て、バッテリの過充電を防止、または抑制することができ、バッテリの過充電による劣化、性能低下、および故障を回避することができる。
また上記電力生成領域の運転を検出するに際し、運転者の要求駆動力を発生させるための要求駆動電力と、エンジン駆動される発電機の実発電電力との極性が異なるダイレクト配電不能状態か否かにより、当該電力生成領域の運転であるか否かを判定して電力生成領域の運転を検出するため、簡単なダイレクト配電不能判定によって電力生成領域の運転を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施例になるバッテリ充電制御装置を内包するハイブリッド車両のパワートレーンを、その制御系とともに示す略線図である。
図2図1における制御系のシステムコントローラが実行するバッテリ充電制御プログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。
図3図2のメインルーチンにおける要求駆動電力演算処理に関した機能別ブロック線図である。
図4図3における要求駆動トルク演算部が要求駆動トルクを演算するに当たって用いる駆動モータのトルク特性を示す特性線図である。
図5図4に代えて用い得る駆動モータトルク特性の他の例を示す特性線図である。
図6図2のメインルーチンにおいて要求駆動電力を演算するときに用い得る駆動モータの回転数と、トルクと、等電力線との関係を示す動作特性図である。
図7図2のメインルーチンにおいて発電指令値であるエンジントルク指令値および発電機回転数指令値を求めるに際して用いるエンジン性能線図である。
図8図2のメインルーチンにおいて駆動モータトルク指令値を求めるためのサブルーチンを示すフローチャートである。
図9図8のサブルーチンにおいて、発電電力を消費し切ることができる場合における駆動モータトルク指令値の演算処理に関した機能別ブロック線図である。
図10図8のサブルーチンにおいて、発電電力を消費し切ることができない場合における駆動モータトルク指令値の演算処理を示すフローチャートである。
図11】駆動モータトルク指令値を増大させるに際して、動作点を電力生成領域から電力消費領域へと変化させる時の、駆動モータトルク指令値の変更要領を説明するのに用いた駆動モータの領域線図である。
図12】第1実施例の対策を施さなかった場合におけるバッテリ充電制御の動作タイムチャートである。
図13】第1実施例の対策を施した場合におけるバッテリ充電制御の動作タイムチャートである。
図14】本発明の第2実施例になるバッテリ充電制御装置を内包するハイブリッド車両のパワートレーンを、その制御系とともに示す略線図である。
図15図14における制御系のシステムコントローラが実行するバッテリ充電制御プログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。
図16図14のメインルーチンにおいて駆動電力指令値を求めるための処理を示す機能別ブロック線図である。
図17】第2実施例の対策を施さなかった場合におけるバッテリ充電制御の動作タイムチャートである。
図18】第2実施例の対策を施した場合におけるバッテリ充電制御の動作タイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<第1実施例の構成>
図1は、本発明の第1実施例になるバッテリ充電制御装置を内包するハイブリッド車両のパワートレーンを、その制御系とともに示す。
図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンは、エンジン1と、発電モータ2および発電インバータ3より成る発電機4と、駆動インバータ5および駆動モータ6より成る駆動機7と、駆動モータ6に左右駆動車輪10L,10Rを駆動結合するための減速機8とで構成し、本実施例におけるハイブリッド車両は、車輪10L,10Rを以下のように駆動されるシリーズ式ハイブリッド車両とする。
【0025】
エンジン1によって発電モータ2を駆動し、当該エンジン駆動される発電モータ2からの発電電力を発電インバータ3により交流→直流変換すると共に該発電インバータ3による制御下でこの発電インバータ3から出力する。
発電インバータ3から制御下に出力された直流電力は、駆動インバータ5により直流→交流変換すると共に該駆動インバータ5による制御下で駆動モータ6に向け出力し、該モータ6の駆動に供する。
【0026】
駆動モータ6の回転動力は減速機8を介して車輪10L,10Rに伝達され、これら車輪10L,10Rの駆動により車両を走行させることができる。
そして、車輪10L,10Rの駆動(車両の走行)中に消費し切れなかった発電インバータ3からの余剰制電力はバッテリ9へ充電しておき、発電インバータ3からの直流電力だけでは車輪10L,10Rの駆動(車両の走行)に必要な電力を賄い得ず、電力不足になる走行時はバッテリ9からの電力をも消費しつつ、要求駆動トルクで車輪10L,10Rを駆動して車両を走行させる。
【0027】
なお、バッテリ9の蓄電状態が低下してこれへの充電が必要になった場合、エンジン1を始動させて発電モータ2のエンジン駆動によりバッテリ9への充電を行うが、
このときのエンジン始動は、発電モータ2が電動機として機能し、エンジン1をクランキングさせるものとする。
【0028】
また、電力を消費させる必要が発生した場合、発電モータ2を電動機として機能させ、これからの駆動トルクでエンジン1を力行回転させることにより、当該電力消費を行うことができる。
更に、車両の減速を含むコースティング(惰性)走行時は、車輪10L,10Rからの回転力によって駆動モータ6を逆駆動することにより車輪10L,10Rを回生制動し、このとき駆動モータ6が発電した電力を駆動インバータ5により交流から直流に変換してバッテリ9へ充電し、エネルギーの回収によってエネルギー効率を向上させることができる。
【0029】
エンジン1はエンジンコントローラ11によって出力を制御され、発電機4は発電機コントローラ12によって上記の作用が得られるよう制御され、バッテリ9はその制御データをバッテリコントローラ13によって収集され、駆動機7は駆動機コントローラ14によって上記の作用が得られるよう制御されるものとする。
そして、これらコントローラ11〜14は、共通なシステムコントローラ15によって統合制御されるものとする。
【0030】
エンジンコントローラ11は、システムコントローラ15からのエンジントルク指令値TE*を実現するために、エンジン回転数やエンジン温度などの信号に応じて、エンジン1のスロットル開度や、点火時期や、燃料噴射量を調整するものである。
発電機コントローラ12は、システムコントローラ15からの発電機回転数指令値NG*を実現するために、発電機4の回転数や電圧などの状態に応じて、発電インバータ3をスイッチング制御するものである。
【0031】
バッテリコントローラ13は、バッテリ9へ充放電される電流や電圧を基にバッテリ蓄電状態SOC(State Of Charge:充電状態)を計測し、結果をシステムコントローラ15へ出力するほか、バッテリ9の温度や内部抵抗、および蓄電状態SOCに応じて入力可能電力Pinと、出力可能電力Poutとを演算し、これら演算結果をシステムコントローラ15へ出力するものである。
【0032】
駆動機コントローラ14は、システムコントローラ15からの駆動機7に対する駆動トルク指令値PD* を実現するために、駆動モータ6の回転数や電圧などの状態に応じて、駆動トルク指令値PD*を実現するよう、駆動インバータ5をスイッチング制御するものである。
【0033】
システムコントローラ15は、運転者によるアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)APO、車速VSP(または、駆動モータ回転数Nm)、路面勾配αなど、車両状態および環境状況に係わる制御情報や、
バッテリコントローラ13からのバッテリ蓄電状態SOC、入力可能電力Pin、出力可能電力Poutや、
発電機コントローラ12からの発電機回転数指令値NG*や発電電力などに基づき、
エンジンコントローラ11へのエンジントルク指令値TE*を演算してエンジン1の制御に供し、また、
発電機コントローラ12への発電機回転数指令値NG*を演算して発電機4の制御に供し、更に、
駆動機コントローラ14への駆動トルク指令値PD* を演算して駆動機7の制御に供するものである。
【0034】
<バッテリ充電制御>
図1におけるシステムコントローラ15は、図2〜11につき以下に説明するようにして本発明が狙いとするバッテリ充電制御を遂行し、この制御結果に応動して、図1における駆動機コントローラ14は当該バッテリ充電制御を完遂させる。
なお以下では、バッテリ9の温度が低下していて、バッテリ9への充放電が制限されている(バッテリ入力可能電力(Pin)=小、バッテリ出力可能電力(Pout)=小である)のを図示せざるバッテリ入力可能電力制限状態検知手段が検知し、運転者の駆動要求に応じた電力を発電機4で発電しつつ、実発電電力を駆動機7で消費する通常のダイレクト配電制御を行っている場合につき説明を展開することとする。
【0035】
図2は、システムコントローラ15が実行するバッテリ充電制御プログラムで、先ずステップS201において、運転者がアクセル操作により必要としている要求駆動トルクを発生させるのに必要な要求駆動電力PD0を演算する。
かかる要求駆動電力PD0の演算に当たっては、図3の機能別ブロック線図により示すごとく、先ず要求駆動トルク演算部21において、予め求めておいた図4に例示する要求駆動トルクマップを基に、アクセル開度APOおよび駆動モータ6の回転数Nmから要求駆動トルクTD0を求める。
次に乗算器22において、上記の要求駆動トルクTD0に駆動モータ回転数Nmを乗じて、駆動モータ回転数Nmのもと要求駆動トルクTD0を出力させるのに必要な要求駆動軸出力を求める。
【0036】
図3の駆動モータ損失演算部23においては、予め計測しておいた駆動モータ6の回転数NmおよびトルクTD0と、駆動インバータ5のDC側電圧(バッテリ9の電圧)と、駆動機7(駆動インバータ5および駆動モータ6)の損失との関係(駆動モータ損失マップ)を基に、駆動モータ回転数Nm、駆動モータトルクTD0、および駆動インバータ電圧(バッテリ電圧)から、駆動機7(駆動インバータ5および駆動モータ6)の駆動損失を求める。
加算器24においては、乗算器22で求めた要求駆動軸出力に、演算部23で求めた駆動機7の駆動損失を加算して、運転者が必要としている要求駆動トルクTD0を発生させるのに必要な駆動機7の要求駆動電力PD0を求める。
【0037】
なお、図3の要求駆動トルク演算部21が要求駆動トルクTD0を求めるに当たって用いる要求駆動トルクマップは、図4に例示するような要求駆動トルクマップに代え、図5に示すごとく、駆動モータ回転数Nmが負の領域(すなわち逆走時)において、アクセル開度APO=0%(全閉)での要求駆動トルクTD0を、駆動機7の電力収支が駆動機7での損失(消費)により0kW(バッテリ9への電力が0kW)にされるような「電力0kWライン」上のトルク値に定めた要求駆動トルクマップを用いることができる。
【0038】
この場合も図3の要求駆動トルク演算部21は、図5の要求駆動トルクマップを基に、アクセル開度APOおよび駆動モータ回転数Nmから要求駆動トルクTD0を求める。
しかし、駆動モータ回転数Nmが負の領域(逆走時)であって、且つ、アクセル開度APOがAPO=0%(全閉)の時は、要求駆動トルクTD0が図5に示す「電力0kWライン」上の値であるものの、それ以外のとき要求駆動トルクTD0は、図4の要求駆動トルクマップを基に求めたと同じ値になる。
【0039】
また要求駆動トルクTD0を発生させるのに必要な要求駆動電力PD0は、図3の乗算器22、駆動モータ損失演算部23および加算器24で求める代わりに、予め計測により取得しておいた図6に例示するような駆動モータ6の動作特性マップ(駆動インバータ5のDC側電圧ごとに異なる)、つまり駆動インバータ5のDC側電圧に対する損失を考慮した消費(生成)電力PDと、駆動モータ回転数Nmと、駆動モータトルクTDとの関係を表したマップを基に、現在の駆動モータ回転数Nmおよび要求駆動トルクTD0から、これらNm,TD0の組み合わせに対応する電力PDを要求駆動電力PD0として求めることができる。
【0040】
次いで図2のステップS202において、駆動機7の上記要求駆動電力PD0を発電機4で生成し得るよう、発電機4の要求発電電力PG*に上記の要求駆動電力(PD0)を設定して
PG* =(PD0)
となす。
【0041】
次のステップS203においては、要求発電電力PG* や各種車両信号を基に、要求発電電力PG* を発電機4で生成するのに必要なエンジントルク指令値TE*と、発電機回転数指令値NG* とを算出する。
【0042】
エンジントルク指令値TE*図1のエンジンコントローラ11に指令するが、エンジン1の燃費等を考慮して予め設定したエンジン・発電機の回転数と、エンジントルクとの関係を示す図7のエンジン運転点マップを基に、要求発電電力PG* および最適燃費線から図7に例示するごとくに求める。
なお要求発電電力PG* が0kW以下である場合は、発電機4を力行動作させて電力を放電することになるため、エンジン1の燃料噴射をカットした上、要求発電(放電)電力PG*に対応するフリクショントルクを図7より算出し、このフリクショントルクをエンジントルク指令値TE* に設定するのは言うまでもない。
【0043】
発電機回転数指令値NG*図1の発電機コントローラ12に指令するが、図7のエンジン運転点マップを基に、要求発電電力PG* および最適燃費線から図5に例示するごとくに求める。
【0044】
図2のステップS204においては、発電機4で発電された電力を余すことなく駆動機7で消費するため、先ず、計測した発電インバータ3のDC側電圧(バッテリ9の電圧)と発電機インバータ3のDC側電流とを掛け合わせて、本発明の目的に照らして駆動機7が完全に消費し切るべき消費要求電力(実発電電力)を算出し、この消費要求電力を駆動機7の駆動電力指令値PD* に設定する。
【0045】
次のステップS205においては、上記のように設定した駆動電力指令値PD* を駆動機7で完全に消費し切るための駆動モータトルク指令値TD* を算出する。
この駆動モータトルク指令値TD* は、図1に示すごとく駆動機コントローラ14に指令して、駆動機7の制御に供する。
【0046】
ステップS205で駆動モータトルク指令値TD* を算出するに当たっては、図8の制御プログラムを実行して当該算出を行う。
先ずステップS601において、図2のステップS201で求めた要求駆動電力PD0と、ステップS204で求めた駆動電力指令値PD*(消費要求電力:実発電電力)との極性(符号)が同じか否かをチェックする。
【0047】
要求駆動電力PD0および駆動電力指令値PD*(消費要求電力:実発電電力)の極性が同じであれば、この駆動電力指令値PD*(消費要求電力:実発電電力)を特別な制御なしに駆動機7で消費し切る通常のダイレクト配電制御を行い得る電力消費領域での運転であることを意味し、
要求駆動電力PD0および駆動電力指令値PD*(消費要求電力:実発電電力)の極性が同じでなければ、車両が走行レンジの走行方向とは逆方向への前記した「ずり下がり」を生じて、駆動機7が回生により発電を行うとき、発電機4の放電が指令されているのに、エンジン1が応答遅れにより発電機4を過渡的に発電状態に維持するため、駆動電力指令値PD*(消費要求電力:実発電電力)を駆動機7で消費し切る通常のダイレクト配電制御を行い得ない電力生成領域での運転であることを意味する。
従ってステップS601は、本発明における電力生成領域運転検知手段に相当する。
【0048】
なお、かように駆動電力指令値PD*(消費要求電力:実発電電力)を駆動機7で消費し切る通常のダイレクト配電制御を行い得ない現象(電力生成領域の運転)は、そのほかに、例えばバッテリ9の充放電制限中に車両がコースティング(惰性)走行を行って、駆動機7が車輪10L,10Rによる逆駆動(回生制動)により発電する場合も発生する。
【0049】
ステップS601において要求駆動電力PD0および駆動電力指令値PD*(消費要求電力:実発電電力)の極性(符号)が同じである(駆動電力指令値PD*を駆動機7で消費し切る通常のダイレクト配電制御を行い得る)と判定する電力消費領域判定時は、
ステップS602において、駆動電力指令値PD*を駆動機7で確実に消費するよう、図9のブロック線図で示す要領で駆動モータトルク指令値TD* を演算する。
【0050】
図9の駆動モータ損失演算部31においては、予め計測しておいた駆動モータ6の回転数Nmおよび駆動電力指令値PD*と、駆動インバータ5のDC側電圧(バッテリ9の電圧)と、駆動機7(駆動インバータ5および駆動モータ6)の損失との関係(駆動モータ損失マップ)を基に、駆動モータ回転数Nm、駆動電力指令値PD*、および駆動インバータ電圧(バッテリ電圧)から、駆動機7(駆動インバータ5および駆動モータ6)の駆動損失を求める。
【0051】
減算機32においては、駆動電力指令値PD*から上記の駆動機7(駆動インバータ5および駆動モータ6)の駆動損失を差し引いて両者の差値(PD*−駆動損失)を求める。
除算機33において、この差値(PD*−駆動損失)を駆動モータ回転数Nm(実際は単位を合わせるため、単位[rad/s]を持つ駆動モータ回転速度)で割ることにより、駆動モータトルク指令値TD*を算出する。
【0052】
この駆動モータトルク指令値TD*は、図1の駆動機コントローラ14へ送信して駆動機7の制御に供し、駆動電力指令値PD*を余すことなく駆動機7で消費しつつ、運転者の要求駆動力(要求加速)を実現することができる。
【0053】
図8のステップS601において、エンジン1の制御応答遅れで要求駆動電力PD0および駆動電力指令値PD*の極性が同じでない(発電から放電または放電から発電へと発電電力の極性反転を伴う過渡状態のため、エンジンの応答遅れに起因して駆動電力指令値PD*を駆動機7で消費し切る通常のダイレクト配電制御を行い得ず、余剰電力が充放電制限状態のバッテリ9に出入りする)と判定する電力生成領域判定時は、
ステップS603において、電力生成領域での運転から電力消費領域での運転となすための駆動モータトルク指令値TD* を演算する。
【0054】
この演算は、図10の制御プログラムを実行して、以下のごとくにこれを行う。
図10のステップS701においては、図6と同様な図11の駆動モータ動作特性マップ(駆動インバータ5のDC側電圧ごとに異なる)に示すごとく、現在の運転点BまたはC(駆動電力指令値PD*を実現する駆動モータトルク指令値TD*および駆動モータ回転数Nmの組み合わせ)を電力消費領域の運転点(B´,C´またはB″,C″)となすための駆動モータトルク指令候補値TD1を求める。
【0055】
ここで、図11に例示した駆動モータ動作特性マップにおける「電力0kWライン」は、現在の駆動インバータ5のDC側電圧、および駆動モータ回転数Nmのもと、駆動機7の損失を考慮した上で、駆動電力指令値PD*で決まる電力を駆動機7で消費し切ってバッテリ9へ向かわせなくすることが(電力消費領域となすことが)可能な駆動モータトルク指令値TD*を示し、現在の駆動モータ回転数Nmにおける「電力0kWライン」上の駆動モータトルク指令値TD*が、現在の運転点BまたはCを電力消費領域の運転点(B´,C´またはB″,C″)となすための駆動モータトルク指令候補値TD1である。
【0056】
図11の駆動モータ動作特性マップにおける第2象限象および第4象限は基本的に、駆動モータ6の誘起電圧を回生し、発電する電力生成領域になるが、駆動機7自身が損失を持っていることから、全てが電力生成領域にはなり得ず、図11に示すごとく一部が電力消費領域となるような位置に「電力0kWライン」が存在する。
【0057】
なお図11の駆動モータ動作特性マップは、駆動機7が連続的に出力可能な連続定格出力のみに限ったマップではなく、一時的に出力可能な短時間定格出力をも許容するトルク指令値まで含んだマップである。
このため、駆動モータトルク指令値TD*を連続定格領域内の最大トルク値まで増大させても電力消費領域の運転とならない場合は、駆動モータトルク指令値TD*を更に、短時間定格領域内の最大トルク値に向けて増大させることとなる。
従って、駆動電力指令値(PD*)が駆動機7の連続定格出力を超えた値である場合でも、短時間定格領域のトルク指令値の出力により、当該大きな駆動電力指令値(PD*)を確実に実現することができる。
【0058】
図10のステップS702においては、ステップS701で求めた駆動モータトルク指令候補値(TD1)が、図11に示すように2つ存在し、且つそれぞれが同図に示すように同極性か否かをチェックする。
同極性の駆動モータトルク指令候補値(TD1)が、図11にB´,C´またはB″,C″で示すように2つ存在する場合は、ステップS703において、両者のうちの絶対値が大きい方(B´またはC´)の駆動モータトルク指令候補値(TD1)を駆動モータトルク指令値TD*と定める。
しかし同極性の駆動モータトルク指令候補値(TD1)が1つだけの場合は、ステップS704において、当該1つの駆動モータトルク指令候補値(TD1)を駆動モータトルク指令値TD*と定める。
【0059】
なお 同極性の駆動モータトルク指令候補値(TD1)が、図11にB´,C´またはB″,C″で示すように2つ存在する理由は、同図の駆動モータ動作特性マップにおける第2象限象および第4象限は基本的に、駆動モータ6の誘起電圧を回生し、発電する電力生成領域であるが、駆動機7自身が損失を持っていることから、この損失で回生発電電力を消費する電力消費領域が、トルク・回転数の極性(符号)反転域近くに、つまり図11の横軸および縦軸と、「電力0kWライン」との間に存在し、「電力0kWライン」が同図に示すように鋭角を持つためである。
【0060】
ここで、例えば図11の駆動モータ動作特性マップにおける第2象限を例に取って説明すると、トルクが大きい側(B´)の電力消費領域は、「電力0kW線」からトルクを増加させると消費電力が大きくなり、トルクが小さい側(B″)の電力消費領域では、「電力0kW線」からトルクを小さくさせると消費電力が大きくなる。
【0061】
そして、登り坂での車両の後退を防止する方向に制御するのであれば、トルクを大きくする方向で、且つ、逆走させないためにトルクの符号が逆転することのないように運転する必要がある。
このため、駆動モータトルク指令値TD*として絶対値の大きい方の候補値TD1を用いることで、駆動モータトルク指令値TD*を常に同一方向に掛けることができることとなり、トルク制御を同方向へ連続的に行うことができる。
【0062】
図8のステップS603(図10の制御プログラム)で上記のごとくに増大させた駆動モータトルク指令値TD*は、図1の駆動機コントローラ14へ送信して駆動機7の制御に供し、駆動電力指令値PD*を余すことなく駆動機7で消費しつつ、運転者の要求駆動力(要求加速)を実現することができる。
従ってステップS603は、本発明における駆動機トルク指令値修正手段に相当する。
【0063】
<第1実施例の効果>
上記した第1実施例によるバッテリ充電制御の効果を、図12,14に基づき以下に説明する。
図12,14は何れも、極低温のためバッテリ9が電力の入出力(充放電)を略0に制限されたダイレクト配電制御による登坂中、瞬時t1にアクセルペダルの踏み込みにより要求駆動力TD0および駆動モータトルク指令値TD*が図示のごとくに増大して車速VSPを上昇させていたが、瞬時t2より登坂路勾配αが急になったことで車速VSPが図示のごとくに低下し、瞬時t3より遂には車両が車速VSP<0により示すごとく「ずり下がり」を生じた場合の動作タイムチャートである。
【0064】
第1実施例の対策を施さない場合、図12につき以下に説明するような問題を生ずる。
図12に示すごとく、「ずり下がり」開始瞬時t3に要求発電電力PG*は直ちに充電指令から放電指令に切り替わるものの、エンジン1は自身の応答遅れのため、かかる指令の切り替えに即座に応答し得ず(即座に放電を行う状態に移行し得ず)、この応答遅れ時間のt3〜t4中、図12の実発電電力波形(ハッチング)により示すとおり、発電機4を発電状態のままにしている。
【0065】
そのため、ダイレクト配電の継続では逆走トルクを出力せざるを得なくなるが、車両状態として好ましくないため、前進トルク=回生トルクを出力することになる。
その結果、駆動機7で消費し切れなかった発電電力と、「ずり下がり」に伴う駆動機7の回生電力との合計電力(図12にハッチングを付して示した電力分)が充放電制限状態のバッテリ9へ入力されることになり、過充電によってバッテリ9が劣化したり、故障するという問題を生ずる。
【0066】
これに対し、第1実施例の対策を施した場合、図13につき以下に説明する通り、上記の問題を解消することができる。
つまり、「ずり下がり」開始瞬時t3における要求発電電力PG*の充電指令から放電指令への切り替わりに対するエンジン1の応答遅れ(t3〜t4)に起因して、図13の実発電電力波形(ハッチング)により示すとおり、発電機4が発電状態のままにされていても、
第1実施例においては図8のステップS603(図10の制御プログラム)で駆動モータトルク指令値TD* を電力消費領域での運転となるよう増大させるため(図13にハッチングを付して示した)、これにより駆動機7の損失が図13にハッチングを付して示すように増大されることとなり、駆動機7で消費し切れなかった発電電力と、「ずり下がり」に伴う駆動機7の回生電力との合計電力(図12にハッチングを付して示した電力分)を駆動機7内で消費し切ることができる。
【0067】
なお図13の瞬時t4において、エンジン1の上記応答遅れが解消され、実発電電力が正値(発電状態)から負値(放電状態)に移行した瞬時t4以降は、通常とおりの図12と同様なダイレクト配電制御を行うことができる。
この結果、充放電制限状態のバッテリ9が過充電によって劣化したり、故障するという問題を回避することができる。
【0068】
また第1実施例においては、駆動モータトルク指令値TD* を電力消費領域での運転となるよう増大させるに際し、図13にハッチングを付して示すように同極性のまま前進トルクを増大させるため、登坂路での「後退」抑制にも寄与して大いに有利である。
【0069】
第1実施例においては更に、図8のステップS601で要求駆動電力PD0および駆動電力指令値PD*(消費要求電力:実発電電力)の極性が異なると判定した場合に、つまり「ダイレクト配電」中、運転者が指令している車両の走行方向(選択レンジ)と逆方向への車両移動(ずり下がり)を示す信号が発生した場合に、電力生成領域の運転であると判定するため、
ハイブリッド車両の「ダイレクト配電」時における電力生成領域の運転を確実に検出し得て、充放電が制限されているバッテリ9への入出力電力を0kWに維持することにより、当該バッテリ9の過充電による劣化や故障を防止するという上記の効果を確実に達成することができる。
【0070】
また第1実施例においては、駆動モータトルク指令値TD*を電力消費領域での運転となるよう増大させるに際し、連続定格領域内の最大トルク値まで増大させても電力消費領域の運転とならない場合、駆動モータトルク指令値TD*を更に、短時間定格領域内の最大トルク値に向けて増大させるため、
駆動電力指令値(PD*)が駆動機7の連続定格出力を超えた値である場合でも、短時間定格領域のトルク指令値の出力により、当該大きな駆動電力指令値(PD*)を確実に実現して上記の効果を達成することができる。
【0071】
第1実施例においては更に図11につき前述したごとく、駆動モータトルク指令値(TD*)を電力消費領域での運転となるよう増大させるに際し、同符号のトルク指令値が複数存在する場合、絶対値の大きな値へと増大させるため、以下の効果が得られる。
【0072】
図11に例示した駆動機7の動作特性図(NT出力特性図)において、駆動モータトルク指令値(TD*)および駆動モータ回転数Nmの極性が相互に異なる第2象限および第4象限の電力消費領域(力行領域)は、駆動モータトルク指令値(TD*)を目盛った縦軸および駆動モータ回転数Nmを目盛った横軸付近(トルクや回転数の符号が切り替わる付近)である。
この領域では、所望のトルクを得るために電動機に発電となる方向へ電流を施すことになるが、その間電動機内部での損失によりエネルギーが失われることにより電力消費領域(力行領域)が発生する。
【0073】
この際、第2象限を例に取った場合、或る回転数において電力消費となるトルク指令値が2つ存在する領域では、トルク指令値の大きい側の電力消費領域は、電力0kW線からトルクを増加させる方向になると消費電力が大きくなるが、トルクが小さい側の電力消費領域では、電力0kW線からトルクを小さくさせる方向になると消費電力が大きくなる。
ここで、「ずり下がり」を防止する方向に制御するのであれば、トルクを大きくする方向、かつ、車両を逆走させないためにトルクの符号が逆転することのないように運転する必要がある。
【0074】
ところで本実施例においては、駆動モータトルク指令値(TD*)を電力消費領域(力行領域)での運転となるよう変化させるに際し、同符号のトルク指令値が複数存在する場合、絶対値の大きなトルク指令値へと増大させるため、トルク指令値を常に同一方向に掛けることができ、トルク制御を連続的に行うことができる。
【0075】
また第1実施例においては、図3の要求駆動トルク演算部21で要求駆動トルクTD0を求めるに当たり、図5に例示するような要求駆動トルクマップを基に、つまり駆動モータ回転数Nmが負の領域(すなわち逆走時)において、アクセル開度APO=0%(全閉)での要求駆動トルクTD0を、駆動機7の電力収支が駆動機7での損失(消費)により0kW(バッテリ9への電力が0kW)にされるような「電力0kWライン」上のトルク値に定めた要求駆動トルクマップを基に、アクセル開度APOおよび駆動モータ回転数Nmから要求駆動トルクTD0を求めるため、以下のような効果を得ることができる。
【0076】
かように、駆動モータ回転数Nmが負の領域(逆走時)においてアクセル開度APO=0%(全閉)での要求駆動トルクTD0を「電力0kWライン」上のトルク値に設定する場合、ハイブリッド車両が前進から登り坂で後退した時の要求駆動電力が正から負に変化することがなくなり、結果として要求駆動トルクTD0が「0」以上の値を維持し続ける。
従って、この要求駆動トルクTD0から図3での処理により求めた要求駆動電力PD0、および図3のステップS202でこの要求駆動電力PD0相当値に定めた要求発電電力PG*も、正から負に変化することなく0以上の値を維持し続ける。
そのため、発電機4を発電状態から放電状態に切り替える必要がなくなり、発電機4の応答遅れに起因して、充放電制限状態のバッテリ9へ電力が向かう過充電を緩和することができ、登り坂後退時における駆動モータトルク指令値(TD*)の増大処理負荷を減ずることができる。
【0077】
<第2実施例の構成>
図14は、本発明の第2実施例になるバッテリ充電制御装置を内包する電気自動車のパワートレーンを、その制御系とともに示す。
図14に示す電気自動車のパワートレーンおよびその制御系は、図1のパワートレーンおよびその制御系からエンジン1と、発電モータ2および発電インバータ3より成る発電機4と、エンジンコントローラ11と、発電機コントローラ12とを除去したもので、
駆動インバータ5および駆動モータ6より成る駆動機7と、駆動モータ6に左右駆動車輪10L,10Rを駆動結合するための減速機8と、バッテリ9と、バッテリコントローラ13と、駆動機コントローラ14と、システムコントローラ15とで構成する。
【0078】
本実施例における電気自動車は、バッテリ9をバッテリコントローラ13による制御下で外部電源により充電され、バッテリ9からの電力のみをエネルギー源として駆動される駆動機7が、減速機8を介し車輪10L,10Rをすることにより走行可能なものとする。
駆動インバータ5は、バッテリ9から供給される直流の電力を、交流電力に変換すると共に制御下に駆動モータ6へ向かわせて、駆動モータ6を駆動制御する。
【0079】
車両の減速を含むコースティング(惰性)走行時は、車輪10L,10Rからの回転力によって駆動モータ6を逆駆動することにより車輪10L,10Rを回生制動し、このとき駆動モータ6が発電した電力を駆動インバータ5により交流から直流に変換してバッテリ9へ充電し、エネルギーの回収によってエネルギー効率の向上を図る。
【0080】
バッテリコントローラ13は、バッテリ9へ充放電される電流や電圧を基にバッテリ蓄電状態SOC(State Of Charge:充電状態)を計測し、結果をシステムコントローラ15へ出力するほか、バッテリ9の温度や内部抵抗、および蓄電状態SOCに応じて入力可能電力Pinと、出力可能電力Poutとを演算し、これら演算結果をシステムコントローラ15へ出力する。
【0081】
駆動機コントローラ14は、システムコントローラ15からの駆動機7に対する駆動トルク指令値PD* を実現するために、駆動モータ6の回転数や電圧などの状態に応じて、駆動トルク指令値PD*を実現するよう、駆動インバータ5をスイッチング制御する。
【0082】
システムコントローラ15は、運転者によるアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)APO、車速VSP(または、駆動モータ回転数Nm)、路面勾配αなど、車両状態および環境状況に係わる制御情報や、
バッテリコントローラ13からのバッテリ蓄電状態SOC、入力可能電力Pin、出力可能電力Poutなどに基づき、
駆動機コントローラ14への駆動トルク指令値PD* を演算して駆動機7の制御に供するものである。
【0083】
<バッテリ充電制御>
図14におけるシステムコントローラ15は、図15,16につき以下に説明するようにして本発明が狙いとするバッテリ充電制御を遂行する。
なお以下では、坂道途中の充電スタンドでバッテリ9を満充電にした後、登坂路走行を再開したが、つまりバッテリ蓄電状態SOCがSOC=100%で、バッテリ9への充電が制限されている(バッテリ入力可能電力Pin=小または0kW)状態で登坂路走行を再開したが、登坂路勾配αの増大で車両が停止し、「ずり下がり」を生じた場合につき、バッテリ充電制御の説明を展開することとする。
本実施例でも、上記のごとくバッテリ9への充電が制限されている状態であるのを、図示せざるバッテリ入力可能電力制限状態検知手段により検知するものとする。
【0084】
システムコントローラ15は、先ず図15のステップS1201において、運転者がアクセル操作により必要としている要求駆動トルクTD0を発生させるのに必要な要求駆動電力PD0を演算する。
かかる要求駆動電力PD0の演算に当たっては、図3の機能別ブロック線図に基づき前述したと同様、先ず要求駆動トルク演算部21において、図4または図5に例示する予定の要求駆動トルクマップを基に、アクセル開度APOおよび駆動モータ6の回転数Nmから、運転者がアクセル操作により必要としている要求駆動トルクTD0を求める。
次に乗算器22において、上記の要求駆動トルクTD0に駆動モータ回転数Nmを乗じて、駆動モータ回転数Nmのもと要求駆動トルクTD0を出力させるのに必要な要求駆動軸出力を求める。
【0085】
更に駆動モータ損失演算部23において、予め計測しておいた駆動モータ6の回転数NmおよびトルクTD0と、駆動インバータ5のDC側電圧(バッテリ9の電圧)と、駆動機7(駆動インバータ5および駆動モータ6)の損失との関係(駆動モータ損失マップ)を基に、駆動モータ回転数Nm、駆動モータトルクTD0、および駆動インバータ電圧(バッテリ電圧)から、駆動機7(駆動インバータ5および駆動モータ6)の駆動損失を求める。
その後、加算器24において、乗算器22からの要求駆動軸出力に、演算部23で求めた駆動機7の駆動損失を加算して、運転者が必要としている要求駆動トルクTD0を発生させるのに必要な駆動機7の要求駆動電力PD0を求める。
【0086】
なお、要求駆動トルクTD0を発生させるのに必要な要求駆動電力PD0は、図3の乗算器22、駆動モータ損失演算部23および加算器24で求める代わりに、予め計測により取得しておいた図6に例示するような駆動モータ6の動作特性マップ(駆動インバータ5のDC側電圧ごとに異なる)、つまり駆動インバータ5のDC側電圧に対する損失を考慮した消費(生成)電力PDと、駆動モータ回転数Nmと、駆動モータトルクTDとの関係を表したマップを基に、現在の駆動モータ回転数Nmおよび要求駆動トルクTD0から、これらNm,TD0の組み合わせに対応する電力PDを要求駆動電力PD0として求めることができる。
【0087】
図15のステップS1202においては、上記の要求駆動電力(PD0)に応じ駆動機7への駆動電力指令値(PD*)を算出する。
この算出に当たっては図16のブロック線図により示すごとく、要求駆動電力(PD0)を、温度やSOC等によるバッテリ9への充放電電力の制限(バッテリ入出力可能電力Pin,Pout)で制限して駆動電力指令値(PD*)となす。
従ってステップS1202は、本発明における電力生成領域検知手段および駆動機トルク指令値修正手段に相当する。
【0088】
図16における制限器41は、要求駆動電力(PD0)と、バッテリ入出力可能電力Pin,Poutとを入力される。
バッテリ入出力可能電力Pin,Poutは、バッテリ9の温度制限や蓄電状態SOCに応じて設定され、バッテリ9に入力する電力を正符号(+)の電力値とし、バッテリ9から出力される電力を負符号(−)の電力値として定義する。
【0089】
制限器41は、要求駆動電力(PD0)をバッテリ入出力可能電力Pin,Poutに応じ以下のように制限する。
つまり制限器41は、バッテリ入力可能電力Pinを極性反転させた値(-Pin)を下限リミット値とし、バッテリ出力可能電力Poutを極性反転させた値(-Pout)を上限リミット値として、要求駆動電力(PD0)を制限した後の電力値を駆動電力指令値(PD*)と定める。
なお、上記のようにバッテリ入出力可能電力Pin,Poutを極性反転させてリミット値とする理由は、駆動機7の電力が正で電力消費の場合はバッテリ9から電力を持ち出し、駆動機7の電力が負で電力回生時はバッテリ9に電力を充電することになるためである。
【0090】
図15のステップS1203においては、上記のように定めた駆動電力指令値(PD*)を駆動機7で確実に消費し切るための駆動モータトルク指令値TD* を算出する。
この算出に当たっては、図2のステップS205におけると同様の処理により、つまり図8〜10につき前述したようにして当該算出を行う。
図14のシステムコントローラ15は、この駆動モータトルク指令値TD* を図示のごとく駆動機コントローラ14に指令して、駆動機7の制御に供する。
【0091】
<第2実施例の効果>
上記した第2実施例によるバッテリ充電制御の効果を、図17,18に基づき以下に説明する。
図17,18は何れも、坂道途中の充電スタンドでバッテリ9を満充電(バッテリ蓄電状態SOCがSOC=100%で、バッテリ充電制限状態)にし、登坂路走行を再開した直後の瞬時t1に、アクセルペダルの踏み込みにより要求駆動力TD0(駆動モータトルク指令値TD*)が図示のごとくに増大して車速VSPを上昇させていたが、瞬時t2より登坂路勾配αが急になったことで車速VSPが図示のごとくに低下し、瞬時t3より遂には車両が車速VSP<0により示すごとく「ずり下がり」を生じた場合の動作タイムチャートである。
【0092】
第2実施例の対策を施さない場合、図17につき以下に説明するような問題を生ずる。
図17の「ずり下がり」開始瞬時t3より、駆動機7が車輪10L,10Rにより進行方向(選択レンジ)とは逆の方向へ回転されるため、駆動機軸出力は図示のごとく負値となり、駆動機7が回生電力を発生する。
【0093】
そして駆動機7の回生電力が、図17の最下段に示す駆動機自身の固有損失を上回るようになる瞬時t4からは、駆動機消費電力が0kWレベルを通過して図示のごとく負値となり、当該負値の消費電力(余剰電力)がバッテリ9に向かい、これへの充電を行おうとする。
しかし、バッテリ9は前記した通り満充電状態で、充電を制限されており、それにもかかわらず駆動機7からの回生電力がバッテリ9に向かって、これを充電するのでは、バッテリ9が過充電によって劣化したり、故障するという問題を生ずる。
【0094】
これに対し、第2実施例の対策を施した場合、図18につき以下に説明する通り、上記の問題を解消することができる。
つまり、駆動機7の回生電力が駆動機自身の固有損失を上回るようになる瞬時t4からは、図15のステップS1202(図16の制限器41)が、要求駆動電力(PD0)をそのまま駆動電力指令値(PD*)とするのでなく、バッテリ入力可能電力Pinの極性反転値(-Pin)を下限リミット値とし、バッテリ出力可能電力Poutの極性反転値(-Pout)を上限リミット値として、要求駆動電力(PD0)を制限した後の電力値を駆動電力指令値(PD*)と定めるため、
図15のステップS1203でこの駆動電力指令値(PD*)から求めた駆動モータトルク指令値(TD*)が図示のごとく、駆動モータ6で発生した回生発電電力を駆動機7の損失増大PDlossで消費させることができるようなトルク値まで上昇されることとなる。
【0095】
従って、駆動機7で消費し切れなかった発電電力と、「ずり下がり」に伴う駆動機7の回生電力との合計電力を駆動機7内で消費し切る電力消費領域の運転となすことができ、
第2実施例においても、第1実施例におけると同様に、駆動機7は前進トルクを維持しつつ、バッテリ9への入力を0kWに維持し得て、充放電制限状態のバッテリ9が過充電によって劣化したり、故障するという問題を回避することができる。
【0096】
第2実施例においては更に、駆動モータトルク指令値TD* を上記のようにして電力消費領域での運転となるよう増大させるに際し、第1実施例におけると同様に、そして図18に示すように同極性のまま前進トルクを増大させるため、登坂路での「後退」抑制にも寄与して大いに有利である。
【0097】
また第2実施例において、図3における要求駆動トルク演算部21が図5の要求駆動トルクマップを基に、アクセル開度APOおよび駆動モータ6の回転数Nmから要求駆動トルクTD0を求める場合、
駆動モータ回転数Nmが負の領域(すなわち逆走時)において、アクセル開度APO=0%(全閉)での要求駆動トルクTD0が、「電力0kWライン」上のトルク値に定められることとなり、
電気自動車が登坂路で後退「ずり下がり」することによる電力回生を確実に回避し得て、充放電制限状態のバッテリ9の過充電を確実に防止するすることができる。
【0098】
<その他の実施例>
なお第1実施例では、ハイブリッド車両がシリーズ式ハイブリッド車両である場合について説明を展開したが、
エンジンでも車輪を駆動するようにした、所謂パラレル式ハイブリッド車両に対しても本発明の上記した着想は適用可能であり、この場合も前記したと同様な作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 エンジン
2 発電モータ
3 発電インバータ
4 発電機
5 駆動インバータ
6 駆動モータ
7 駆動機
8 減速機
9 バッテリ
10L,10R 駆動車輪
11 エンジンコントローラ
12 発電機コントローラ
13 バッテリコントローラ
14 駆動機コントローラ
15 システムコントローラ
21 要求駆動トルク演算部
22 乗算器
23 駆動モータ損失演算部
24 加算器
31 駆動モータ損失演算部
32 減算器
33 除算器
41 制限器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18