特許第5830954号(P5830954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5830954
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】車両用シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/06 20060101AFI20151119BHJP
   B60N 2/44 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   B60N2/06
   B60N2/44
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-136581(P2011-136581)
(22)【出願日】2011年6月20日
(65)【公開番号】特開2013-1328(P2013-1328A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直希
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−298104(JP,A)
【文献】 実開昭58−019836(JP,U)
【文献】 実開昭61−191936(JP,U)
【文献】 実開平01−081133(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/06
B60N 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両フロア及びシートのいずれか一方に固定される第1レールと、
前記車両フロア及び前記シートのいずれか他方に固定され、前記第1レールに対し相対移動可能に連結された第2レールとを備え、
前記第1レールは、幅方向に並設された一対の第1側壁部と、これら両第1側壁部の先端から互いの対向する幅方向内側にそれぞれ張り出して更に該第1側壁部の基端側に折り返された一対の第1折返し壁部と、前記第1レールの長手方向における所定位置で前記第1折返し壁部の先端から更に延出する規制部とを有し、
前記第2レールは、前記両第1側壁部間で幅方向に並設された一対の第2側壁部と、これら両第2側壁部の先端から互いに離隔する幅方向外側にそれぞれ張り出して更に前記第1側壁部及び前記第1折返し壁部に包囲されるように折り返された一対の第2折返し壁部と、前記第2レールの長手方向における所定位置で隣り合う前記第2側壁部及び前記第2折返し壁部に幅方向で対向するようにそれぞれ形成された側壁部取付孔及び折返し壁部取付孔とを有し、
前記第2レールの幅方向両側のそれぞれにおいて前記第2側壁部及び前記第2折返し壁部間に幅方向で橋渡しされるように前記側壁部取付孔及び前記折返し壁部取付孔に挿設され、前記第1レール及び前記第2レールの相対移動方向において、前記第1折返し壁部の移動軌跡を開放するとともに前記規制部の移動軌跡を遮る一対の係止部材を備えたことを特徴とする車両用シートスライド装置。
【請求項2】
車両フロア及びシートのいずれか一方に固定される第1レールと、
前記車両フロア及び前記シートのいずれか他方に固定され、前記第1レールに対し相対移動可能に連結された第2レールとを備え、
前記第1レールは、幅方向に並設された一対の第1側壁部と、これら両第1側壁部の先端から互いの対向する幅方向内側にそれぞれ張り出して更に該第1側壁部の基端側に折り返された一対の第1折返し壁部と、前記第1レールの長手方向における所定位置で前記第1折返し壁部の先端から更に延出する規制部とを有し、
前記第2レールは、前記両第1側壁部間で幅方向に並設された一対の第2側壁部と、これら両第2側壁部の先端から互いに離隔する幅方向外側にそれぞれ張り出して更に前記第1側壁部及び前記第1折返し壁部に包囲されるように折り返された一対の第2折返し壁部と、前記第2レールの長手方向における所定位置で隣り合う前記第2側壁部及び前記第2折返し壁部に幅方向で対向するようにそれぞれ形成された側壁部取付孔及び折返し壁部取付孔とを有し、
前記第2側壁部及び前記第2折返し壁部間に幅方向で橋渡しされるように前記側壁部取付孔及び前記折返し壁部取付孔に挿設され、前記第1レール及び前記第2レールの相対移動方向において、前記第1折返し壁部の移動軌跡を開放するとともに前記規制部の移動軌跡を遮る係止部材を備え、
前記係止部材は、前記側壁部取付孔又は前記折返し壁部取付孔の一方向で対向する内壁面に両端部が圧接するように折り返された板ばねであることを特徴とする車両用シートスライド装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用シートスライド装置において、
前記係止部材は、板材からなり、その板厚方向に直交する方向の端面で前記規制部に当接可能であることを特徴とする車両用シートスライド装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の車両用シートスライド装置において、
前記係止部材は、前記側壁部取付孔及び前記折返し壁部取付孔への挿入方向とは反対方向で前記側壁部取付孔又は前記折返し壁部取付孔の縁部に係合するように切り起こされた抜け止め部を有することを特徴とする車両用シートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール間の相対移動量を一定範囲内に制限可能な車両用シートスライド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、こうした車両用シートスライド装置として種々のものが提案されている。例えば特許文献1に記載された車両用シートスライド装置は、フランジ部(2a)を有するロアレール(2)と、フランジ部を包持するアッパレール(1)とを備える。そして、アッパレールの両端近傍の天板部には切込み(4)が形成されるとともに、ロアレールのフランジ部の内縁にはその両端部において切落し(2b)が形成されている。このような構造にあって、組付けに際しては、アッパレール内にロアレールを挿入した後に、アッパレールの切込みを内方に折り曲げて切曲部(1a,1b)とする。そして、ロアレールに対してアッパレールが移動する際に、アッパレールの切曲部をロアレールの切落しがなす段差(2c、2d)に当接・係止させることでこれらの間の相対移動量を一定範囲内に制限している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−19836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、アッパレールの切曲部は、ロアレール及びアッパレール間の相対移動の係止を片持ち支持で行うことになるため十分な強度を確保すべく、例えばアッパレールの板厚の増加を余儀なくされる。
【0005】
そこで、図7(a)(b)に示すように、幅方向に並設された一対の側壁部91aを有する断面略C字状のロアレール91と、該ロアレール91内でこれに相対移動可能に装着されたアッパレール92とを備える車両用シートスライド装置が提案されている。この場合、両側壁部91aには、アッパレール92の先端面92aの移動軌跡を遮る態様でロアレール91の幅方向に橋渡しされた係止ピン93の両端部がそれぞれ締結されている。従って、ロアレール91に対してアッパレール92が移動する際に、アッパレール92の先端面92aを係止ピン93に当接・係止させることでこれらの間の相対移動量を一定範囲内に制限している。係止ピン93は、アッパレール92の移動係止をロアレール91に対し両持ち支持の状態で行うことになるため十分な強度が確保できると推定される。
【0006】
しかしながら、このような構造では、ロアレール91及びアッパレール92の相対移動量の制限範囲は、例えばロアレール91における係止ピン93の位置が一定である場合、アッパレール92の移動方向における先端面92a及び係止ピン93間の距離、即ち当該方向におけるアッパレール92の長さによって決定されてしまう。換言すれば、同一のロアレール91であっても、これに装着するアッパレール92の長さが変化すると、自動的にロアレール91及びアッパレール92の相対移動量の制限範囲が変化してしまう。このため、ロアレール91及びアッパレール92の相対移動量の制限範囲の調整の自由度が著しく低下してしまう。
【0007】
本発明の目的は、レール間の相対移動量の制限範囲の調整の自由度を低下させることなく、レール間の相対移動をより堅固に係止することができる車両用シートスライド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両フロア及びシートのいずれか一方に固定される第1レールと、前記車両フロア及び前記シートのいずれか他方に固定され、前記第1レールに対し相対移動可能に連結された第2レールとを備え、前記第1レールは、幅方向に並設された一対の第1側壁部と、これら両第1側壁部の先端から互いの対向する幅方向内側にそれぞれ張り出して更に該第1側壁部の基端側に折り返された一対の第1折返し壁部と、前記第1レールの長手方向における所定位置で前記第1折返し壁部の先端から更に延出する規制部とを有し、前記第2レールは、前記両第1側壁部間で幅方向に並設された一対の第2側壁部と、これら両第2側壁部の先端から互いに離隔する幅方向外側にそれぞれ張り出して更に前記第1側壁部及び前記第1折返し壁部に包囲されるように折り返された一対の第2折返し壁部と、前記第2レールの長手方向における所定位置で隣り合う前記第2側壁部及び前記第2折返し壁部に幅方向で対向するようにそれぞれ形成された側壁部取付孔及び折返し壁部取付孔とを有し、前記第2レールの幅方向両側のそれぞれにおいて前記第2側壁部及び前記第2折返し壁部間に幅方向で橋渡しされるように前記側壁部取付孔及び前記折返し壁部取付孔に挿設され、前記第1レール及び前記第2レールの相対移動方向において、前記第1折返し壁部の移動軌跡を開放するとともに前記規制部の移動軌跡を遮る一対の係止部材を備えたことを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、前記第1レール及び前記第2レールの相対移動時、前記規制部及び該規制部の移動軌跡を遮る前記係止部材が当接することで当該移動が係止される。これにより、前記第1レール及び前記第2レールの相対移動量が一定範囲内に制限される。前記規制部及び前記係止部材が当接する際、該係止部材は前記第2レール(第2側壁部及び第2折返し壁部)に対して両持ち支持の状態で前記規制部を支えることになるため、より堅固に前記第1レール及び前記第2レールの相対移動を係止することができる。特に、前記係止部材は、前記第2レールの長手方向における任意の位置に配置できるため、前記第1レール及び前記第2レールの相対移動量の制限範囲の調整の自由度を増大することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、車両フロア及びシートのいずれか一方に固定される第1レールと、前記車両フロア及び前記シートのいずれか他方に固定され、前記第1レールに対し相対移動可能に連結された第2レールとを備え、前記第1レールは、幅方向に並設された一対の第1側壁部と、これら両第1側壁部の先端から互いの対向する幅方向内側にそれぞれ張り出して更に該第1側壁部の基端側に折り返された一対の第1折返し壁部と、前記第1レールの長手方向における所定位置で前記第1折返し壁部の先端から更に延出する規制部とを有し、前記第2レールは、前記両第1側壁部間で幅方向に並設された一対の第2側壁部と、これら両第2側壁部の先端から互いに離隔する幅方向外側にそれぞれ張り出して更に前記第1側壁部及び前記第1折返し壁部に包囲されるように折り返された一対の第2折返し壁部と、前記第2レールの長手方向における所定位置で隣り合う前記第2側壁部及び前記第2折返し壁部に幅方向で対向するようにそれぞれ形成された側壁部取付孔及び折返し壁部取付孔とを有し、前記第2側壁部及び前記第2折返し壁部間に幅方向で橋渡しされるように前記側壁部取付孔及び前記折返し壁部取付孔に挿設され、前記第1レール及び前記第2レールの相対移動方向において、前記第1折返し壁部の移動軌跡を開放するとともに前記規制部の移動軌跡を遮る係止部材を備え、前記係止部材は、前記側壁部取付孔又は前記折返し壁部取付孔の一方向で対向する内壁面に両端部が圧接するように折り返された板ばねであることを要旨とする。
同構成によれば、前記第1レール及び前記第2レールの相対移動時、前記規制部及び該規制部の移動軌跡を遮る前記係止部材が当接することで当該移動が係止される。これにより、前記第1レール及び前記第2レールの相対移動量が一定範囲内に制限される。前記規制部及び前記係止部材が当接する際、該係止部材は前記第2レール(第2側壁部及び第2折返し壁部)に対して両持ち支持の状態で前記規制部を支えることになるため、より堅固に前記第1レール及び前記第2レールの相対移動を係止することができる。特に、前記係止部材は、前記第2レールの長手方向における任意の位置に配置できるため、前記第1レール及び前記第2レールの相対移動量の制限範囲の調整の自由度を増大することができる。
【0011】
同構成によれば、前記係止部材は、前記一方向に両端部が閉じるように弾性変形させつつ前記側壁部取付孔及び前記折返し壁部取付孔に挿入してその両端部を前記側壁部取付孔又は前記折返し壁部取付孔の一方向で対向する内壁面に圧接させることで、前記第2レールに簡易に組み付けることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用シートスライド装置において、前記係止部材は、板材からなり、その板厚方向に直交する方向の端面で前記規制部に当接可能であることを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、前記規制部及び前記係止部材が当接する際、該係止部材はその板厚方向に直交する方向の端面で前記規制部を支えることになるため、例えば板厚方向に前記規制部を支える場合に比べて、より堅固に前記第1レール及び前記第2レールの相対移動を係止することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の車両用シートスライド装置において、前記係止部材は、前記側壁部取付孔及び前記折返し壁部取付孔への挿入方向とは反対方向で前記側壁部取付孔又は前記折返し壁部取付孔の縁部に係合するように切り起こされた抜け止め部を有することを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、前記係止部材は、前記挿入方向の反対方向で前記抜け止め部が前記側壁部取付孔又は前記折返し壁部取付孔の縁部に係合することで、前記第2レールからの脱落を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、レール間の相対移動量の制限範囲の調整の自由度を低下させることなく、レール間の相対移動をより堅固に係止することができる車両用シートスライド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明が適用される車両用シートを示す側面図。
図2】本発明の一実施形態を示す分解斜視図。
図3】(a)(b)は、同実施形態を示す縦断面図。
図4】(a)〜(c)は、図3(a)のA−A線、B−B線及びC−C線に沿った断面図。
図5】同実施形態の組付態様を示す断面図。
図6】係止部材を示す斜視図。
図7】(a)(b)は、従来形態を概略的に示す横断面図及び縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図6を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1に示すように、車両フロア2には、第1レールとしてのロアレール3が前後方向に延在する態様で固定されるとともに、該ロアレール3には、第2レールとしてのアッパレール4がロアレール3に対し前後方向に相対移動可能に装着されている。
【0019】
なお、ロアレール3及びアッパレール4は、幅方向(図1において紙面に直交する方向)でそれぞれ対をなして配設されており、ここでは前方に向かって左側に配置されたものを示している。そして、両アッパレール4には、乗員の着座部を形成するシート5が固定・支持されている。ロアレール3及びアッパレール4の相対移動は基本的に係止状態にあって、該係止状態を解除するための解除ハンドル6が設けられている。
【0020】
図2に示すように、ロアレール3は、板材からなり、幅方向両側で上下方向に延びる一対の第1側壁部11及びこれら第1側壁部11の基端(下端)間を連結する第1連結壁部12を有する。そして、各第1側壁部11の先端(上端)には、幅方向内側に張り出して更に第1側壁部11の基端側に折り返された第1折返し壁部13が連続形成されている。
【0021】
一方、前記アッパレール4は、板材からなり、図4(a)〜(c)に併せ示すように、ロアレール3の両第1折返し壁部13間で上下方向に延びる一対の第2側壁部14及びこれら第2側壁部14のロアレール3から離隔する基端(上端)間を連結する第2連結壁部15を有する。そして、各第2側壁部14の先端(下端)には、幅方向外側に張り出して更に第1側壁部11及び第1折返し壁部13に包囲されるように折り返された第2折返し壁部16が連続形成されている。
【0022】
つまり、ロアレール3及びアッパレール4は、開口側が互いに突き合わされたU字状のレール断面をそれぞれ有しており、主として第1及び第2折返し壁部13,16との係合によって上下方向に抜け止めされている。これらロアレール3及びアッパレール4により形成されるレール断面は、矩形状をなすいわゆる箱形である。ロアレール3は、アッパレール4と協働して空間Sを構成する。
【0023】
なお、図3(a)及び図4(c)に示すように、各第2折返し壁部16及びこれに対向する第1側壁部11間には、前後一対の転動部材20が装着されており、アッパレール4は、ロアレール3との間で転動部材20を転動させる態様で、該ロアレール3に対し長手方向(前後方向)に摺動自在に支持されている。
【0024】
図3(a)(b)に示すように、ロアレール3の各第1折返し壁部13の長手方向中間部には、当該方向に所定の間隔をもってその先端(下端)から上向きに複数の切り欠き13aが形成されるとともに、各隣り合う切り欠き13a間に四角歯状のロック爪13bが形成されている。従って、複数のロック爪13bは、前記所定の間隔をもってロアレール3の長手方向に並設されている。また、ロアレール3の両第1折返し壁部13の長手方向両端部には、第1折返し壁部13の先端(下端)から更に下方にステップ状に延出する規制部17が形成されている。複数のロック爪13bの全てが、ロアレール3(第1折返し壁部13)の長手方向で両規制部17間に挟まれるように配置されていることはいうまでもない。
【0025】
一方、アッパレール4の各第2側壁部14の長手方向中間部には、当該方向に間隔をあけて一対の側壁部取付孔14aが形成されるとともに、アッパレール4の各第2折返し壁部16には、図4(a)に併せ示すように、各側壁部取付孔14aに幅方向で対向して折返し壁部取付孔16aが形成されている。側壁部取付孔14a及び折返し壁部取付孔16aは、上下方向で第1折返し壁部13(ロック爪13b)の下端及び規制部17の下端間に配置されている。
【0026】
そして、幅方向で隣り合う側壁部取付孔14a及び折返し壁部取付孔16aには、第2側壁部14及び第2折返し壁部16間に幅方向で橋渡しされる態様で係止部材40が挿設されている。図6に示すように、この係止部材40は、例えば金属製の板材をU字状に折り曲げた板ばねからなり、互いに概ね平行に広がる一対の係合片41と、これら両係合片41間を接続する略半円筒状の連結部42とを一体的に有する。そして、両係合片41の中央部には、連結部42側を基端に互いに離隔する外側に切り起こされた抜け止め部43が配置されている。なお、係止部材40の自由状態では、両係合片41の端部41a間の上下方向の距離は、側壁部取付孔14aの上下方向の両内壁面間の距離よりも若干大きく設定されている。
【0027】
このような構成にあって、係止部材40をアッパレール4に組み付ける際には、長手方向で両規制部17間に側壁部取付孔14a及び折返し壁部取付孔16aが配置されるように予めロアレール3及びアッパレール4を組み付けた状態で、図5に示すように、アッパレール4内から幅方向外側に向けて側壁部取付孔14a及び折返し壁部取付孔16aに順次、係止部材40を挿入する。すなわち、連結部42を先頭にして側壁部取付孔14a及び折返し壁部取付孔16aに順次、係止部材40を挿入する。このとき、係止部材40は、両係合片41又は両抜け止め部43が側壁部取付孔14aの上下方向の両内壁面に押圧されることで、当該方向に両係合片41等が閉じるように弾性変形する。そして、連結部42が折返し壁部取付孔16aを貫通するとともに両抜け止め部43が側壁部取付孔14aを通過すると、係止部材40は、側壁部取付孔14aの上下方向の両内壁面から両抜け止め部43が解放されることで、上下方向に両係合片41が開くように弾性復帰する。この際、係止部材40は、両抜け止め部43が側壁部取付孔14aへの挿入方向とは反対方向(即ち幅方向内側)で該側壁部取付孔14aの縁部に係合することで、アッパレール4からの脱落が抑制される。同時に、係止部材40は、両係合片41の端部41aを側壁部取付孔14aの上下方向の両内壁面に圧接させることで、アッパレール4に保持される。
【0028】
ここで、第2側壁部14及び第2折返し壁部16間に幅方向で橋渡しされる係止部材40が、ロアレール3及びアッパレール4の相対移動方向において、第1折返し壁部13の移動軌跡を開放するとともに規制部17の移動軌跡を遮ることはいうまでもない。従って、ロアレール3及びアッパレール4の相対移動時、該当の規制部17及び係止部材40が当接することで当該移動が係止される。この際、係止部材40は、図3(a)に示すように、その前後方向(両係合片41の板厚方向である上下方向に直交する方向)の端面41bで規制部17に当接する。これにより、ロアレール3及びアッパレール4の相対移動量が一定範囲内に制限される。
【0029】
図2に示すように、アッパレール4の両第2折返し壁部16には、前側の折返し壁部取付孔16aよりも更に前側で円形の軸取付孔16bがそれぞれ形成されるとともに、両折返し壁部取付孔16aの中間部で軸取付孔16bを中心とする扇状の透孔16cがそれぞれ形成されている。なお、アッパレール4の第2連結壁部15には、軸取付孔16bよりも更に前側で幅方向に並設された一対のスリット状の支持孔21が形成されている。これら両支持孔21は前後方向に延在する。
【0030】
また、図3(a)に示すように、アッパレール4の両第2側壁部14には、前記軸取付孔16bと同心の円形の軸取付孔14bがそれぞれ形成されるとともに、両側壁部取付孔14aの中間部で軸取付孔14bを中心とする扇状の透孔14cがそれぞれ形成されている。軸取付孔14b,16bは、互いに同等の内径を有しており、透孔14c,16cは、図4(b)に併せ示すように、互いに同等の開口形状を有して幅方向に対向している。
【0031】
図3(a)に示すように、アッパレール4内には、幅方向に中心線の延びる円柱状の支持ピン22により、ロックレバー30が回動自在に連結されている。すなわち、ロックレバー30は、図2に示すように、前後方向に延在する板材からなる柄部31を備える。この柄部31は、その長手方向全長に亘って一対の縦壁部32が幅方向に並設される態様で立設されている。これら両縦壁部32の幅方向の距離は、アッパレール4の両第2側壁部14の幅方向の距離よりも小さく設定されている。そして、両縦壁部32は、各々の前端部において保持壁33により上端縁間が幅方向に接続されるとともに、各々の後端部において天板部34により上端縁間が幅方向に接続されている。そして、両縦壁部32には、支持ピン22(軸取付孔14b,16b)と同心の円形の軸取付孔35がそれぞれ形成されている。柄部31は、両軸取付孔14b,16bに両端部の嵌挿される支持ピン22が両軸取付孔35に挿入・軸支されることで、アッパレール4に回動自在に連結されている。
【0032】
なお、保持壁33は、側面視において下向きに凸となる円弧形状を呈する。また、両縦壁部32は、前後方向における保持壁33及び軸取付孔35間で下端縁から互いに対向する幅方向内側に突設されたフランジ状の支持壁32aをそれぞれ有する。
【0033】
各縦壁部32には、天板部34の下方となる後端部において下端から下向きに一対の締結部36が前後方向に間隔をあけて突設されている、各締結部36は、前後方向に隣接配置された一対の締結片36a,36bを1組とする構成となっている。一方、ロックレバー30は、両透孔14c,16cを貫通する態様で前後方向及び幅方向に広がる平板状のロックプレート37を備える。このロックプレート37には、各締結部36に対向して上下方向に開口するスリット状の締結孔38が合計4個形成されている。ロックプレート37は、各締結孔38に該当の締結部36を挿入した後、例えば締結孔38を貫通した両締結片36a,36bの先端を前後方向に開くように圧潰させることで、柄部31に締結・固定される。
【0034】
また、ロックプレート37には、締結部36よりも幅方向外側で前後方向に並設された複数(3個)のロック孔39が前記所定の間隔をもって形成されている。図4(b)に併せ示すように、各ロック孔39は、第1折返し壁部13に対向して上下方向に開口しており、ロアレール3の長手方向で隣り合う複数(3個)のロック爪13bと合致可能な位置に配置されている。
【0035】
そして、図4(b)に実線で示すように、ロックプレート37が上昇するようにロックレバー30が支持ピン22周りに回動するとき、各ロック孔39に対応するロック爪13bを嵌入可能となっている。各ロック孔39に対応するロック爪13bを嵌入するとき、ロアレール3及びアッパレール4の相対移動が係止される。一方、図4(b)に2点鎖線で示すように、ロックプレート37が下降するようにロックレバー30が支持ピン22周りに回動するとき、各ロック孔39が対応するロック爪13bから外れるように設定されている。このとき、ロアレール3及びアッパレール4の相対移動の係止が解除される。
【0036】
アッパレール4内には、図2に示すように、1本の線材からなるワイヤスプリング50が配置されている。このワイヤスプリング50は、平面視において後側に開口する略コ字状に成形されており、左右対称で前後方向に延在する一対の延設部51を有するとともに、これら両延設部51の前端間を幅方向に接続する接続部52を有する。図3(a)に併せ示すように、ワイヤスプリング50は、各延設部51の長手方向中間部を上方に湾出してなる固定部53を有するとともに、該固定部53の後側で後方に向かって前記支持ピン22に時計回りに巻回してなるコイル部54を有する。そして、ワイヤスプリング50は、コイル部54を含む両延設部51の固定部53よりも後側の部位で第1付勢部55を形成するとともに、接続部52及び両延設部51の固定部53よりも前側の部位で第2付勢部56を形成する。
【0037】
ワイヤスプリング50は、各固定部53をアッパレール4の該当の支持孔21から突出させる態様で概ね柄部31内に配置され、コイル部54において支持ピン22を介してアッパレール4(両第2側壁部14)に支持されている。ワイヤスプリング50は、両固定部53を支持孔21の後端面に接触させており、コイル部54(支持ピン22)よりも後側で第1付勢部55の後端部をロックプレート37の下面に弾性的に接触させている。つまり、第1付勢部55は、アッパレール4との固定位置(固定部53)を支点にコイル部54を含めて曲げ変形されており、該固定位置を支点にロックレバー30を付勢している。従って、ロックレバー30は、ワイヤスプリング50(第1付勢部55)によりロックプレート37が上昇する側、即ち各ロック孔39に対応するロック爪13bが嵌入する側に回動付勢されるとともに、柄部31(天板部34)の上面が第2連結壁部15の下面に当接することでその回動が係止されている。
【0038】
第1付勢部55にコイル部54を配設しているのは、第1付勢部55の前後方向への延出長を抑えながらも、曲げ変形時の弾性係数を実質的に低減させるためである。なお、ワイヤスプリング50の両固定部53は、支持孔21の前端面に非接触とされている。そして、ワイヤスプリング50(第2付勢部56)の接続部52は、保持壁33よりも前側に配置されている。
【0039】
前記解除ハンドル6は、筒材を曲げ成形してなり、両アッパレール4の前側でこれらを幅方向に橋渡しするように成形されている。図2に示すように、解除ハンドル6の後方に延出する先端部61は、前記両縦壁部32間の幅方向の距離よりも外径の小さい円筒形状を呈しており、その下部には、幅方向に延在するスリット状の支持溝62が形成されている。
【0040】
図3(a)に示すように、解除ハンドル6は、各先端部61が対応する柄部31(ロックレバー30)の保持壁33よりも下側、且つ、両支持壁32aよりも上側で両縦壁部32間に挿入されている。そして、先端部61は、ワイヤスプリング50の接続部52が支持溝62に嵌入することで係止・抜け止めされる。つまり、支持溝62の後端面62aは、解除ハンドル6の先端部61の外れを抑制するための接続部52との係合面となっている。また、両縦壁部32間に挿入された先端部61は、その後方延長線上に支持ピン22が対向するように配置されている。これにより、両縦壁部32間に先端部61が過剰に挿入されたとしても、支持ピン22に当接するまでの一定の範囲に制限されている。
【0041】
そして、両縦壁部32間に挿入された先端部61は、支持溝62においてワイヤスプリング50により上昇するように付勢されることで、先端部61の上部及び下部を保持壁33の下面及び両支持壁32aの上面にそれぞれ当接させる態様で、実質的に支持ピン22周りにロックレバー30と一体回転するように保持される。つまり、ワイヤスプリング50は、解除ハンドル6がロックレバー30と一体回転するように解除ハンドル6を弾性的に保持する機能を併せ有している。ワイヤスプリング50の接続部52で先端部61(解除ハンドル6)を弾性的に保持しているのは、例えばロックレバー30に対して適度な節度感をもってこれに連結するためである。あるいは、意図しない外力などで先端部61(解除ハンドル6)が支持ピン22周りに本来の操作方向とは逆方向に回動しようとした際に、ロックレバー30に対する先端部61の揺動を許容してロックレバー30に過大な負荷が作用することを回避するためである。また、解除ハンドル6の先端部61を係止等するワイヤスプリング50(第2付勢部56)の接続部52を保持壁33よりも前側に配置したのは、解除ハンドル6がロックレバー30に対して接続部52を中心に揺動することを抑制するためである。
【0042】
次に、本実施形態の動作について説明する。
まず、解除ハンドル6の操作力が解放されているものとする。このとき、ワイヤスプリング50(第1付勢部55)の付勢力により、先端部61(解除ハンドル6)と一体でロックレバー30が支持ピン22周りにロックプレート37が上昇する側、即ち各ロック孔39が対応するロック爪13bに嵌入する側に回動されることで、前述の態様でロアレール3及びアッパレール4の相対移動が係止される。そして、アッパレール4に支持されるシート5の前後方向の位置が保持される。
【0043】
ここで、解除ハンドル6がその前端を持ち上げるように操作されたとする。このとき、ワイヤスプリング50(第1付勢部55)の付勢力に抗して、先端部61(解除ハンドル6)と一体でロックレバー30が支持ピン22周りにロックプレート37が下降する側、即ち各ロック孔39が対応するロック爪13bから外れる側に回動されることで、前述の態様でロアレール3及びアッパレール4の相対移動の係止が解除される。そして、アッパレール4に支持されるシート5の前後方向の位置調整が可能になる。特に、ロアレール3に対しアッパレール4が最前方又は最後方へと移動すると、前述の態様で該当の規制部17及び係止部材40が当接することで当該移動が係止される。これにより、ロアレール3及びアッパレール4の相対移動量が一定範囲内に制限される。この際、係止部材40は、アッパレール4(幅方向で隣り合う第2側壁部14及び第2折返し壁部16)に両持ち支持された状態で規制部17に当接するため、当該移動をより堅固に係止する。
【0044】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ロアレール3及びアッパレール4の相対移動時、規制部17及び係止部材40が当接することで当該移動が係止される。これにより、ロアレール3及びアッパレール4の相対移動量が一定範囲内に制限される。規制部17及び係止部材40が当接する際、該係止部材40はアッパレール4(第2側壁部14及び第2折返し壁部16)に対して両持ち支持の状態で規制部17を支えることになるため、より堅固にロアレール3及びアッパレール4の相対移動を係止することができる。特に、係止部材40は、周辺部品(例えばロックレバー30など)との干渉を回避できれば、アッパレール4の長手方向における任意の位置に配置できるため、ロアレール3及びアッパレール4の相対移動量の制限範囲の調整の自由度を増大することができる。
【0045】
(2)本実施形態では、係止部材40は、アッパレール4に内方から組み付ける際、上下方向に両端部41aが閉じるように弾性変形させつつ側壁部取付孔14a及び折返し壁部取付孔16aに挿入してその両端部41aを側壁部取付孔14aの上下方向で対向する内壁面に圧接させることで、アッパレール4に簡易に組み付けることができる。
【0046】
(3)本実施形態では、規制部17及び係止部材40が当接する際、該係止部材40はその板厚方向に直交する方向の端面41bで規制部17を支えることになるため、例えば板厚方向に規制部17を支える場合に比べて、より堅固にロアレール3及びアッパレール4の相対移動を係止することができる。
【0047】
(4)本実施形態では、係止部材40は、側壁部取付孔14a及び折返し壁部取付孔16aへの挿入方向の反対方向で抜け止め部43が側壁部取付孔14aの縁部に係合することで、アッパレール4からの脱落を抑制することができる。
【0048】
(5)本実施形態では、ロアレール3及びアッパレール4の組付け後の後工程で、従来例のストッパ構造のようなアッパレール4の折曲作業を不要にできる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0049】
・前記実施形態において、係止部材40の抜け止め部は、折返し壁部取付孔16aの縁部に係合することで、アッパレール4からの脱落を抑制するものであってもよい。
・前記実施形態において、係止部材40は、その板厚方向の端面で規制部17を支えるようにアッパレール4に組み付けてもよい。
【0050】
・前記実施形態において、アッパレール4に設ける係止部材40は、アッパレール4の幅方向片側に1個であってもよい。
・前記実施形態において、規制部17及び係止部材40を、ロアレール3及びアッパレール4の各々の幅方向片側にのみ配設するようにしてもよい。
【0051】
・前記実施形態において、規制部17をロアレール3(第1折返し壁部13)の長手方向中間部に配置するとともに、係止部材40をアッパレール4の長手方向両端部に配置してもよい。この場合、ロアレール3の幅方向片側に配置する規制部17は、1個でもよいし長手方向に間隔をあけて配置した一対であってもよい。
【0052】
・前記実施形態において、幅方向で隣り合う側壁部取付孔14a及び折返し壁部取付孔16aに両端部が圧入又は溶着されて第2側壁部14及び第2折返し壁部16間に橋渡しされる平板状又は楔状の係止部材であってもよい。
【0053】
・前記実施形態において、ロアレール3又はアッパレール4は、複数枚の板材を溶接などで結合した構造であってもよい。
・前記実施形態において、ロアレール3及びアッパレール4と、車両フロア2及びシート5の固定関係(即ち上下の配置関係)は逆であってもよい。この場合、車両フロア2側に設置されるロックレバー30の解除操作は、例えばケーブルなどを通じて適宜の操作部材から行ってもよい。
【0054】
・前記実施形態において、ロアレール3及びアッパレール4(車両用シートスライド装置)は、シート5に対し各1本ずつ配設される構成であってもよいし、各3本以上ずつ配設される構成であってもよい。
【0055】
・前記実施形態において、ロアレール及びアッパレールの相対移動に伴うシートの移動方向は、例えばその幅方向であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
2…車両フロア、5…シート、3…ロアレール(第1レール)、4…アッパレール(第2レール)、11…第1側壁部、13…第1折返し壁部、14…第2側壁部、14a…側壁部取付孔、16…第2折返し壁部、16a…折返し壁部取付孔、17…規制部、40…係止部材、41…係合片、41a…端部、41b…端面、42…連結部、43…抜け止め部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7