特許第5831128号(P5831128)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5831128
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】マイクロバブル洗浄装置及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/12 20060101AFI20151119BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   B08B3/12 A
   B08B3/10 Z
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-232534(P2011-232534)
(22)【出願日】2011年10月24日
(65)【公開番号】特開2013-86089(P2013-86089A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2014年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】野中 篤裕
(72)【発明者】
【氏名】松岩 和範
(72)【発明者】
【氏名】金子 正明
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 健治
(72)【発明者】
【氏名】水野 亨
【審査官】 平田 慎二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−125436(JP,A)
【文献】 特開平09−314076(JP,A)
【文献】 特開2010−104903(JP,A)
【文献】 特開平06−296937(JP,A)
【文献】 特開2009−039604(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/080629(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/12
B08B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロバブルを含有する洗浄液を用いる洗浄装置であって、
洗浄液を溜める洗浄槽と、
前記洗浄液に浸漬されて前記洗浄液に超音波振動を供給する超音波振動子と、
前記洗浄槽の内部に所定の方向の流れを形成するように前記マイクロバブルを含有した洗浄液を供給する洗浄液供給系と、を有し、
前記超音波振動子は、前記洗浄槽の内部底面と所定の間隔を有する隙間を設け、前記所定の方向の洗浄液の流れと前記所定の方向とは異なる方向の洗浄液の流れとを隔てる位置に固定され、
前記洗浄液供給系は、前記隙間に向けて前記洗浄液を供給することを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記超音波振動子は、前記内部底面と対向して、前記所定の方向に沿って前記隙間を拡大するように傾斜する裏面を有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄液供給系は、前記所定の方向において、前記超音波振動子の中心位置を超えた位置より前記洗浄液を前記洗浄槽の内部に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄液供給系はスリット状の開口部から前記洗浄液を供給することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
マイクロバブルを含有する洗浄液を用いる洗浄装置であって、
洗浄液を溜める洗浄槽と、
前記洗浄液に浸漬されて前記洗浄液に超音波振動を供給する超音波振動子と、
前記超音波振動子と前記洗浄槽の内部底面との間に所定の間隔を有するように設けられた前記洗浄槽内部の隙間に所定の方向の流れを形成するようにマイクロバブルを含有した洗浄液を供給する洗浄液供給系と、
前記洗浄液に対して前記マイクロバブルを含有させるマイクロバブル発生装置と、を有し、
前記洗浄槽は前記所定の方向に対向する下流側側面を有し、
前記下流側側面は前記洗浄液の所定の方向の流れを逆転させて前記所定の方向とは逆の方向の流れを前記洗浄液に与え、
前記超音波振動子は前記所定の方向の流れと前記所定の方向とは逆の流れとの間での洗浄液の干渉と防止する隔壁として作用し、
前記超音波振動子は、前記内部底面と対向して、前記所定の方向に沿って前記隙間を拡大するように傾斜する裏面を有し、
前記洗浄液供給系は、前記所定の方向において、前記超音波振動子の中心位置より前記下流側側面に近い位置より前記洗浄液を前記洗浄槽の内部に供給することを特徴とする洗浄装置。
【請求項6】
洗浄液を溜める洗浄槽と、前記洗浄液に浸漬されて前記洗浄液に超音波振動を供給する超音波振動子と、前記洗浄槽の内部に所定の方向の流れを形成するようにマイクロバブルを含有した洗浄液を供給する洗浄液供給系と、を有する洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記超音波振動子を、前記洗浄槽の内部底面と所定の間隔を有する隙間を設け、前記所定の方向の洗浄液の流れと前記所定の方向とは異なる方向の洗浄液の流れとを隔てる位置に固定し、
前記洗浄液に対して前記マイクロバブルを含有させ、
前記マイクロバブルを含有した前記洗浄液を前記隙間に向けて前記洗浄液を供給することを特徴とする洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバブル及び超音波振動を併用した洗浄装置及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロバブルとはμm或いはnmオーダーの径を有する泡を洗浄液内に含有させ、該マイクロバブルの親油性による油分の除去作用を用いて効率的な洗浄を行うものである。また、超音波洗浄は洗浄液内に超音波領域の振動エネルギーを付与し、該エネルギーにより効率的な洗浄を図るものである。このようなマイクロバブルと超音波振動とを組み合わせた洗浄装置として、例えば特許文献1は、洗浄液の循環路と共にキャビテーションによって洗浄液中の溶存気体を気泡化する脱気装置を用いた超音波洗浄装置を用い、マイクロバブルの存在下で被洗浄物を洗浄する装置が開示されている。また、特許文献2には、低環境負荷でより洗浄力の高い洗浄方法として、洗浄液としての電解アルカリ性水にマイクロバブルを発生させ、その洗浄液中で超音波を間欠照射させて処理する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−029944号公報
【特許文献2】特開2010−137134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロバブルと超音波振動とを併用した洗浄方法では、マイクロバブル発生器によって洗浄液中に含有されることとなったマイクロバブルを圧壊させるためのエネルギーを超音波振動により得ている。但し、マイクロバブルはその性質上複数の泡が容易に結合して大きな泡となり易い。この場合圧壊に要するエネルギーは小さくなるが泡自体の共振周波数が下がってしまうために、逆に泡が超音波による振動エネルギーを吸収する作用が生じてしまう。このため、泡の結合を防止する観点から洗浄液は停滞無く常に循環されていることが望ましい。また、所謂洗浄ムラを抑制するためにも、マイクロバブルの液中での分散性を向上させることが必要であり、洗浄液は洗浄槽内を極力ムラ無く循環されることが望ましい。
【0005】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであって、洗浄槽中において循環される洗浄液が循環経路中に停滞領域を生じさせること無く、該洗浄槽内においてマイク六ブルが公的に分散した洗浄液をムラ無く循環させ、均一且つ効率的な洗浄を為すことを可能とする洗浄装置及び洗浄方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る洗浄装置はマイクロバブルを含有する洗浄液を用いる洗浄装置であって、洗浄液を溜める洗浄槽と、洗浄液に浸漬されて洗浄液に超音波振動を供給する超音波振動子と、洗浄槽の内部に所定の方向の流れを形成するようにマイクロバブルを含有した洗浄液を供給する洗浄液供給系と、を有し、超音波振動子は、洗浄槽の内部底面と所定の間隔を有する隙間を設け、所定の方向の洗浄液の流れと所定の方向とは異なる方向の洗浄液の流れとを隔てる位置に固定され、洗浄液供給系は、隙間に向けて洗浄液を供給することを特徴とする。
【0007】
なお、上述した洗浄装置にあって、超音波振動子は、内部底面と対向して、所定の方向に沿って隙間を拡大するように傾斜する裏面を有することが好ましい。また、洗浄液供給系は、所定の方向において、超音波振動子の中心位置を超えた位置より洗浄液を洗浄槽の内部に供給することが好ましい。更に、洗浄液供給系はスリット状の開口部から洗浄液を供給することが好ましい。
【0008】
或いは、上記課題を解決するために、本発明に係る洗浄装置は、マイクロバブルを含有する洗浄液を用いる洗浄装置であって、洗浄液を溜める洗浄槽と、洗浄液に浸漬されて洗浄液に超音波振動を供給する超音波振動子と、超音波振動子と洗浄槽の内部底面との間に所定の間隔を有するように設けられた洗浄槽内部の隙間に所定の方向の流れを形成するようにマイクロバブルを含有した洗浄液を供給する洗浄液供給系と、洗浄液に対して前記マイクロバブルを含有させるマイクロバブル発生装置と、を有し、洗浄槽は前記所定の方向に対向する下流側側面を有し、下流側側面は洗浄液の所定の方向の流れを逆転させて所定の方向とは逆の方向の流れを洗浄液に与え、超音波振動子は所定の方向の流れと所定の方向とは逆の流れとの間での洗浄液の干渉と防止する隔壁として作用し、超音波振動子は、内部底面と対向して、所定の方向に沿って隙間を拡大するように傾斜する裏面を有し、洗浄液供給系は、所定の方向において、超音波振動子の中心位置をより下流側側面に近い位置より洗浄液を洗浄槽の内部に供給することを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る洗浄方法は、洗浄液を溜める洗浄槽と、洗浄液に浸漬されて洗浄液に超音波振動を供給する超音波振動子と、洗浄槽の内部に所定の方向の流れを形成するようにマイクロバブルを含有した洗浄液を供給する洗浄液供給系と、を有する洗浄装置を用いた洗浄方法であって、超音波振動子を、洗浄槽の内部底面と所定の間隔を有する隙間を設け、所定の方向の洗浄液の流れと所定の方向とは異なる方向の洗浄液の流れとを隔てる位置に固定し、洗浄液に対してマイクロバブルを含有させ、マイクロバブルを含有した前記洗浄液を隙間に向けて前記洗浄液を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、洗浄槽中の洗浄液の循環経路中での該洗浄液の滞留領域の発生を抑制し、マイクロバブルの凝集による結合を防止して液中でのマイクロバブルの分散性を向上させ、該洗浄槽中において洗浄液をムラ無く循環させて均一且つ効率的な洗浄を為すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明における第一の実施形態に係る洗浄装置の主要部分に関し、その概略構成を模式的に示す図である。
図2】本発明における第二の実施形態に係る洗浄装置の主要部分に関し、その概略構成を模式的に示す図である。
図3】本発明における第三の実施形態に係る洗浄装置の主要部分に関し、その概略構成を模式的に示す図である。
図4図3に示す実施形態における洗浄液の供給系を洗浄液の噴出し方向を逆に見た状態を示す図である。
図5】本発明における第四の実施形態に係る洗浄装置の主要部分に関し、その概略構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、以下に図面を参照して説明する。図1は本発明の第一の実施形態に係る洗浄装置の主要部分に関して、その概略構成を模式的に示す図である。本実施形態に係る洗浄装置100は、洗浄槽101、超音波振動子103、オーバーフロー枠105、洗浄液供給系107、洗浄液循環装置109、及びマイクロバブル発生装置111、を有する。洗浄槽101は内部に洗浄液をため、図中の矢印は洗浄槽101中での洗浄液の流れを示している。
【0013】
また、オーバーフロー枠105は不図示の排水口を介して洗浄液循環装置109に接続され、該洗浄液循環装置109は、フィルタ、蒸留槽等からなる洗浄液再生装置を有している。該洗浄液循環装置109は、その後段に接続されたマイクロバブル発生装置111を介して洗浄液供給系107に対して循環された洗浄液の供給を為す。マイクロバブル発生装置111は洗浄液に対してマイクロバブルを包含させる。なお、洗浄液循環装置109に配置されるこれら構成、及びマイクロバブル発生装置111は本発明と直接的な関係を有さず、公知の装置から構築可能であることからここでの詳述は省略する。
【0014】
本洗浄装置100において、オーバーフロー枠105は洗浄槽101の上面開口部の周囲を囲んで配置され、洗浄槽101から溢れ出る洗浄液を受け、これを洗浄液循環装置109に対して送る機能を有する。洗浄槽101は、槽の底面を構成する内部底面101a、洗浄供給系107が配置される側の一側面(以降上流側側面と称する)101b、上流側側面101bと対抗して配置される対向面(以降下流側側面と称する)101c、を有する。マイクロバブル発生装置111によってマイクロバブルを含有した状態となった洗浄液は、洗浄液供給系107により洗浄槽101の内側底面101aに沿った所定の方向の流れを形成するように洗浄槽101中に供給される。
【0015】
洗浄槽101の上流側側面101b側から洗浄槽101内部に供給された洗浄液は、内部底面101aに沿って下流側側面101c側に向かって流れる往路を形成する。下流側側面101cは、所定の方向に流れる洗浄液の流れを逆転させて、該洗浄液に対して所定の方向とは逆の流れを与える。即ち、下流側側面101cに当った洗浄液は、内部底面101aから離れ、洗浄槽101内の洗浄液の液面に向かい且つ該液面に沿って往路とは対向する向き(所定の方向とは逆の流れ)であって上流側側面101b側に向かって還流する復路を形成する。
【0016】
超音波振動子103は振動子表面103aが振動を生じ、振動子裏面103b等のその他の面では振動を生じない構造からなる。超音波振動子103は、前述した洗浄液流における往路及び復路の境目部分に配置される。より詳細には、本形態では、超音波振動子103は洗浄槽101に供給される洗浄液中において、振動子裏面103bが洗浄槽101の内側底面101aとの間に所定の間隔dを有した隙間を形成するように固定される。
【0017】
従来の洗浄装置では、超音波振動子103は例えば洗浄槽101の外部に固定されて内部底面101aを振動板として用いる態様、或いは前述した洗浄液の往路の下方に配置される態様がある。しかし、これら態様では往路と復路との境目部分に乱流が生じてマイクロバブル同士が結合し、単なる泡を構成する可能性が高い。結合によるマイクロバブルの減少のみならず、これら泡の存在による超音波の吸収により、当該洗浄装置では洗浄効率の低下を招く。また、例えば、上流側側面101bの内部底面101aから離れた位置から洗浄液を供給するような構成の場合には、往路の下方に洗浄液の滞留域を形成する可能性もあった。
【0018】
本発明では、前述した往路と復路との境目部分に配置された板状の該超音波振動子103に対して、該往路及び復路の間である所定の方向の流れと所定の方向とは逆の流れと間での洗浄液の干渉を防止する隔壁の役割を担わせている。即ち、超音波振動子裏面103bの下側では洗浄液は往路のみの流れを形成し、振動子表面103aの上側では洗浄液は復路のみの流れを形成し、該超音波振動子103を挟んで所定の方向の洗浄液の流れと所定の方向とは逆の流れとが存在し得る位置にて該超音波振動子103を固定している。
【0019】
当該構成により、往路と復路との間での流れの干渉を防ぐこととなり、前述した乱流の発生を防止することが可能となる。また、洗浄液供給系107は、この振動子裏面103bと洗浄槽内部下面101aとの間の隙間dに洗浄液を供給し、該隙間dにおいて洗浄液が往路のみとなる層流を形成するように配置される。従って、この隙間dにおいて洗浄液が滞留する可能性のある領域の発生を抑制し、該滞留域に生じ易い汚れ等汚染物の溜まりを防止することも可能となる。なお、本実施形態では往路及び復路での洗浄液の流れが対向する態様を例示しているが、本発明は当該形態に限定されない。例えば被洗浄物の形状大きさ等に応じ、復路における洗浄液の流れる方向を所定の方向とは対向はしないが異なる方向とし、洗浄槽101内における洗浄液の循環状態の最適化を図っても良い。
【0020】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。図2は、図1と同じ様式にて本発明の第二の実施形態に係る洗浄装置200の概略構成を模式的に示す図である。なお、第一の実施形態において説明した諸構成と同様の構成に関しては、図2において同じ参照番号等を用いて示すこととし、その詳細についての説明はここでは省略する。本実施形態では、超音波振動子203の形状において第一の実施形態と異なっている。前述したように、超音波振動子103の裏面103bは振動せず、従って洗浄液の流速の遅くなる該振動子裏面103bと接した領域では、該洗浄液の流速が極端に遅くなる、或いは滞留状態に近い状態となる恐れがある。この場合、振動子裏面103bに付着するマイクロバブル同士が結合し、気泡化する可能性が高くなってしまう。マイクロバブルではない比較的大きな気泡は超音波を吸収してしまうため、洗浄効率が落ちてしまうという弊害がある。
【0021】
本形態では、振動子裏面203bを流れ方向に対して所定の斜度で上方に傾斜させることにより、該振動子裏面203bに付着するマイクロバブル等の泡が洗浄液の流れで押し流され易くなり、泡の結合を抑制することを可能としている。なお、所定の斜度は、洗浄液の流速、洗浄液の粘度、マイクロバブルの含有量等に応じて、泡の結合を抑制可能な状態を得るために適宜変更されることが望ましい。従って、該所定の角度は、洗浄液循環状態においてマイクロバブルの滞留を抑制可能な角度として把握されることが望ましい。或いは、該傾斜は超音波振動子103が内部底面101aと対向する面について、洗浄液の流れの所定の方向に沿って隙間が拡大するように設けられる。
【0022】
また、第一の実施形態において振動子裏面103bと洗浄槽内部底面101aとの間として規定された所定の間隔dに関しては、第一の実施形態では振動子裏面103bの全域において一定としている。また、振動子表面103aも洗浄液復路における流れ方向と平行とされている。第二の実施形態では該所定の間隔dは洗浄液往路の上流端での振動子裏面203bと内部底面101aとの間隔として規定される。なお、第二の実施形態では振動子表面203aは第一の実施形態における振動子表面103aと同様とされることが好ましいが、当該態様に限定されず、振動子裏面203bが所定の傾斜を有する構造からなる超音波振動子203であれば良い。
【0023】
次に本発明の第三の実施形態について述べる。第二の実施形態では、マイクロバブルの結合を抑制するために超音波振動子103の形状を超音波振動子203の形状へと変化させている。これに対し、第三の実施形態では洗浄液供給系107の形状を変化させている。なお、第三の実施形態におけるその他の構成について上述した第一の実施形態の諸構成と同様であるためここでの詳述は省略する。図3は第三の実施形態に係る洗浄装置300の概略構成を模式的に示す図であり、図4は該洗浄装置300における洗浄液供給系307を洗浄槽101内の下流側側面101c側から見た状態を示している。
【0024】
図1等に示す従来の洗浄液供給系107は、円形の開口より洗浄槽101内部に洗浄液を供給している。これに対して、本実施形態では洗浄槽101の内部底面101a及び前述した洗浄槽111内の上流側側面101bと平行、即ちこれらの交線と平行に延在するスリット状の開口部である洗浄液供給口307aより洗浄液の供給を行っている。より詳細には、本実施形態における洗浄液供給系307は、前述した交線と平行に延在する第一のパイプ部307bと、該第一のパイプ部307bと連結されて該第一のパイプ部307b内に洗浄液を供給する第二のパイプ部307cとを有する。前述した洗浄液供給口307aは、該第一のパイプ部307bに対してその内部と外部とを連結するように形成されている。第一のパイプ部307bは洗浄槽101の上流側側面101b近傍に配置され、振動子裏面103bと洗浄槽内部底面101aとの間に形成される所定の間隔dに向けて洗浄液供給口307aより線状に洗浄液を供給する。
【0025】
以上の構成とすることにより、所定の水圧で洗浄液を線状に供給することで、振動子裏面103bと洗浄槽内部底面101aとの間の隙間に倣った層流を形成することとなり、乱流域の生成が抑制できる。従って、マイクロバブルを含有した洗浄液を広い範囲に拡散しつつ洗浄槽101内に洗浄液を供給することが可能となり、供給時における洗浄液の流速を増加した場合であってもマイクロバブルの結合を抑制することが可能となる。また、振動子裏面103bと洗浄槽内部底面101aとの間の隙間の上流側側面101bに沿った延在方向の広い領域で洗浄液を供給することにより、マイクロバブルの存在分布を層内で均一化して泡の結合の可能性を低減して、マイクロバブルでの状態を長時間維持することも出来る。更に、該存在分布の均一化により、洗浄槽101内の広い範囲において洗浄効率を高めることも出来る。
【0026】
次に、本発明の第四の実施形態について述べる。図5は、図1と同じ様式にて本発明の第四の実施形態に係る洗浄装置400の概略構成を模式的に示す図である。なお、第一の実施形態において説明した諸構成と同様の構成に関しては、図5において同じ参照番号等を用いて示すこととし、その詳細についての説明はここでは省略する。本実施形態では、洗浄液供給系407において第一の実施形態と異なっている。本実施形態における洗浄液供給系407は、マイクロバブルを含有する洗浄液を超音波振動子103の振動子表面103bにより多く供給するために、洗浄液供給口407aを洗浄槽101内に突出するように配置している。
【0027】
より詳細には、第一の実施形態と同様の構造からなる筒状の洗浄液供給系407を洗浄槽101の内部に突き出させ、洗浄液供給開口407aを洗浄槽101内の下流側側面101cの近傍に配置している。洗浄液が洗浄槽101内に放出されることによって洗浄液の流速変化等が生じそれによりマイクロバブルの結合が進展し始めるが、放出位置を超音波振動が供給される位置に近づけることにより、洗浄槽101内で実際に洗浄が行われる領域により多量のマイクロバブルを存在させることが可能となる。
【0028】
また、洗浄液の流速が低下しきる前に下流側側面101cによって洗浄液が復路を流れることとなり、洗浄液が超音波振動子103を巻き込むような流れを生成する。これにより、洗浄損101内での洗浄液の滞留領域をより低減することができる。なお、洗浄液供給口407aの配置は、洗浄液の特性等の条件によって異なるが、超音波振動子103の中心位置よりも下流側側面101cに近い位置に配置されれば好適な効果が得られる。
【0029】
以上述べたように、本発明によれば、洗浄槽中の洗浄液の循環経路中での該洗浄液の滞留領域の発生を抑制し、マイクロバブルの凝集による結合を防止することが可能となる。また、乱流の発生を抑制できることから、マイクロバブルの洗浄液中での分散性を向上させると共に、洗浄液自体の洗浄槽内部での循環ムラを抑制し、結果として該洗浄槽内において均一且つ効率的な洗浄を為すことが可能となる。なお、前述した第二乃至第四の実施形態に関しては各々個別にこれらを用いることとしても良いが、これらを適宜組み合わせて用いることによってより好適な効果が得られる。
【符号の説明】
【0030】
100、200、300、400:洗浄装置、 101:洗浄槽、 101a:内部底面、 101b:上流側側面、 101c:下流側側面、 103、203:超音波振動子、 103a:振動子表面、 103b、203b:振動子裏面、 105:オーバーフロー枠、 107、307、407:洗浄液供給系、 307a、407a:洗浄液供給口、 307b:第一のパイプ部、 307b:第二のパイプ部、 109:洗浄液循環装置、 111:マイクロバブル発生装置
図1
図2
図3
図4
図5