(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、気流中に構造物を配置した場合、その後流側にカルマン渦などの渦が発生し、該渦によって生じる渦励振により構造物に破損がもたらされる場合がありうる。例えば、このような渦の発生周波数が構造物の固有振動数に近づいた場合、共振が生じ構造物に破損がもたらされうる場合がある。
【0005】
このような渦励振による破損は、上記のようなトラフ式太陽熱集熱装置においても起こりうる。すなわち、トラフ式太陽熱集熱装置の曲面鏡は概して、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向の断面形状が一様に形成され、また、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における上下の縁部が直線的に形成されるものであることから、強風発生時においては、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における上下の縁部に大規模な渦が発生しやすい構成となっているため、該上下の縁部にて発生する渦による渦励振に起因して曲面鏡に破損がもたらされる場合がありうる。
【0006】
近年、様々な環境対策の推進が図られる中で、特許文献1に開示されるような太陽電池モジュールの開発とともに、太陽熱集熱装置の開発も脚光を浴びるようになり、太陽熱集熱装置の現実的な実用化に向けて該装置に対する仕様、例えば耐風速や装置寿命などの仕様において、従来技術の仕様よりも、より一層の高性能化が求められるようになってきている。従って、従来における耐風速仕様においては問題とされていなかった上記のような渦励振に起因する曲面鏡の破損も、求められる高性能化仕様の高耐風速条件においては十分に対策を図ることの必要性が生じ、よって、上記のようなトラフ式太陽熱集熱装置において、特に、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における上下の縁部において生じうるような渦の流れを制御することが可能な渦制御手段の提供の要望が存在する。
【0007】
本発明は上記課題に鑑み、曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置であって、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における上下の縁部において生じうるような渦の流れを制御することが可能な渦制御手段を有することで、より高い耐風速仕様が該装置に対して求められる際においても渦励振に起因するような曲面鏡の破損を回避することを可能とするトラフ式太陽熱集熱装置を提供することを目的とする。
【0008】
ちなみに、特許文献1に開示される装置において、不規則な渦の発生の抑制しうるように構成されるジグザグに屈曲した板状部材を備えることが開示されているが、特許文献1に開示される装置は、本願発明のような曲面鏡を有して構成されるトラフ式太陽熱集熱装置を対象とするものではなく、平面的立体形状の太陽電池モジュールを対象とするものであり、また、上記ジグザグに屈曲した板状部材の配置も風切り音の軽減を目的とするものであり、これらの点において本発明とは異なるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、該集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置において、前記曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部に、該外縁部にて発生する渦の流れを制御する渦制御手段を備え
、前記渦制御手段は、前記曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の前記外縁部に、該外縁部に沿って開口する開口部であって該外縁部にて発生する渦を細分化しうるように構成された開口部を有して形成され、前記曲面鏡の前記外縁部に沿って開口する開口部は、ワイヤーを使用して画成される、太陽熱集熱装置が提供される。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明では、特に上記のようなトラフ式太陽熱集熱装置に対して、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部に、該外縁部にて発生する渦の流れを制御する渦制御手段を配置することで、より高い耐風速仕様が該装置に対して求められる際においても渦励振に起因するような曲面鏡の破損を回避することを可能とする。
また、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部にて発生する渦を細分化しうるように渦制御手段を形成することで、該外縁部にて発生する渦の発生周波数を高周波化して、該渦の発生周波数と太陽熱集熱装置の固有振動数との差を大きくすることができ、渦励振に起因する反射鏡面の破損を回避することを可能とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、
曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、該集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置において、前記曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部に、該外縁部にて発生する渦の流れを制御する渦制御手段を備え、前記渦制御手段は、前記曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の前記外縁部に、該外縁部に沿って開口する開口部であって該外縁部にて発生する渦を細分化しうるように構成された開口部を有して形成され、前記曲面鏡の前記外縁部に沿って開口する開口部は、板材を使用して画成される、太陽熱集熱装置が提供される。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、
前記渦制御手段は、前記曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の両外縁部の少なくともいずれか一方の外縁部に備えられる、請求項1または請求項2に記載の太陽熱集熱装置が提供される。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記渦制御手段は、
前記開口部とともに、前記曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の前記外縁部に、該外縁部に沿って配置される凹凸構造であって該外縁部にて発生する渦を細分化しうるように構成された凹凸構造を有して形成される、請求項3に記載の太陽熱集熱装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
各請求項に記載の発明によれば、曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、該集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置において、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部にて発生する渦の流れを制御する渦制御手段を配設することで、より高い耐風速仕様が該装置に対して求められる際においても渦励振に起因する曲面鏡の破損を回避することを可能にする、という共通の効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を用いて本発明に係るトラフ式太陽熱集熱装置の実施形態について説明する。
図1は、本発明のトラフ式太陽熱集熱装置の一実施形態の全体斜視図である。
図2は、
図1に示す曲面鏡の外縁部の部分拡大図であり、
図3は、
図2に示す曲面鏡の外縁部に備えられた凹凸構造の拡大図である。
図1から
図3の各図において、1は曲面鏡、2は集熱管、3は支持フレーム、4はバックアップストラクチャ、5はサポートチューブ、6は集熱管サポート、7はマウントストラクチャ、8は渦制御手段、9は凹凸構造、10は突起体、をそれぞれ示す。
【0021】
樋状に延びた曲面鏡1は、該曲面鏡の焦線に太陽光を集光する集光反射鏡として構成され、この樋状に延びた曲面鏡1を延在させ一つの集光反射鏡ユニットを構成している。樋状に延びた曲面鏡1の反射面は、太陽熱の反射率を向上させるために、多くのプラントでは、ガラス鏡板を使用している。また、一部のプラントにおいては、金属や耐熱樹脂の上に、めっき、蒸着、研磨、塗装などの方法を用いている。
【0022】
曲面鏡1として、ガラス鏡板を使用した場合においては、飛び石などにより割れや破損が生じやすいことが考えられる。このことに基づいて、本実施形態においては、可撓性を有する金属板から構成されて且つ表面に反射皮膜が適用された反射板にて、曲面鏡1が形成されるものとする。この場合における鏡面は、例えば、研磨面もしくはフィルム鏡の貼付、金属蒸着膜などにて形成されるものとする。また、反射板の材質としては、例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。
【0023】
支持フレーム3は、所定の曲面形状を有して曲面鏡1を支持するように形成された係合面を備えて構成される。このような係合面を有して構成される支持フレーム3によれば、平板として形成された反射板を、支持フレーム3の係合面上に適切に配設することで所定の曲面形状を有する曲面鏡1を形成するようにすることもでき、この場合においては、プレス加工などによる鏡自体の曲面形状形成のための加工処理を不要とすることを可能としうる。
【0024】
本実施形態において支持フレーム3は、求められる軽量性や剛性あるいは加工性などの観点から、コの字状の断面を有する部材で形成されるものとする。しかしながら、性能を確保する上で十分な剛性や強度などが得られるような断面形状を有する部材であれば他の断面形状の部材が使用されてもよい。尚、支持フレーム3の係合面と反射板との組立あるいは結合は、リベット接合やネジ締結、あるいは、溶接や接着などの適切なプロセスにて行われるものとする。また、支持フレームの材質としては、例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。
【0025】
バックアップストラクチャ4は、支持フレーム3に一体化されて該支持フレーム3を補強するように構成される。また、バックアップストラクチャ4の材質としては、支持フレーム3と同様に例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。本実施形態におけるバックアップストラクチャ4は、求められる軽量性や剛性あるいは加工性などの観点から、あらかじめ肉盗みをした金属板をプレス加工して形成するものとされてもよい。バックアップストラクチャ4と支持フレーム3との一体化は、本実施形態においては、支持フレーム3の係合面以外の側面部とバックアップストラクチャ4の側面部とが複数ヶ所にてネジ締結されることによって行われるものとする。しかしながら、バックアップストラクチャ4と支持フレーム3との一体化はネジ締結に限定されることはなく、リベットあるいは溶接や接着などにて一体化されてもよい。
【0026】
そして、これらの支持フレーム3とバックアップストラクチャ4とは協働して、曲面鏡1の曲面形状を所定の精度に確保すべく、曲面鏡1の自重を支え且つ風圧力等の外部荷重に対しても十分な強度及び剛性をもたらす役割を果たすべく構成されるものとする。
【0027】
サポートチューブ5は、バックアップストラクチャ4を支持するとともに、バックアップストラクチャ4と一体化された支持フレーム3と、該支持フレーム3に結合される反射板とを支持するものとして構成される。また、サポートチューブ5は、トラフ式太陽熱集熱装置を設置する設置面と曲面鏡支持構造部との間に配置され曲面鏡支持構造部を支持するマウントストラクチャ7に連結されるものとして構成される。サポートチューブ5の材質としては、支持フレーム3やバックアップストラクチャ4と同様に例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。
【0028】
ところで、先に述べたように、近年の様々な環境対策の推進が図られる中で、上記のようなトラフ式太陽熱集熱装置の現実的な実用化に向けて、該装置に対する耐風速仕様などにおいて、従来技術のものよりも、より一層の高性能化が求められるようになってきており、このことにともない、従来における耐風速仕様においては問題とされていなかった渦励振に起因する曲面鏡の破損も、求められる高性能化仕様の高耐風速仕様においては十分に対策を図ることの必要性が生じ、よって、特に、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における上下の縁部において生じる渦の流れを制御しうるような渦制御手段の提供の要望が存在する。
【0029】
このことに対応すべく、本発明においては、曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、該集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置に対して、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部に、該外縁部にて発生する渦の流れを制御する渦制御手段が配置することで、より高い耐風速仕様が該装置に対して求められる際においても渦励振に起因する曲面鏡の破損を回避することを可能とする。
【0030】
図1から
図3に示す本発明の一実施形態のトラフ式太陽熱集熱装置においては、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部にて発生する渦の流れを制御する渦制御手段8が、突起体10を有して構成される。突起体10は、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部に、該外縁部に沿って配置される凹凸構造9であって該外縁部にて発生する渦を細分化しうるように構成される凹凸構造9をもたらすように構成配置される。このような突起体10により形成される凹凸構造9を有して渦制御手段8を構成することで、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部にて発生する渦の発生周波数を高周波化して、該渦の発生周波数と太陽熱集熱装置の固有振動数との差を大きくすることができ、渦励振に起因する反射鏡面の破損を回避することを可能とする。
【0031】
曲面鏡1の外縁部に突起体10より形成される凹凸構造9についての具体的な形態は、所望の耐風速などの仕様を満足すべく、風洞試験などの評価試験や解析評価などに基づいて決定される。突起体10の形状は、本実施形態においては、ひれ状の板材にて形成されるものとされるが、これに限られることはなく、例えば円錐状に形成されてもよく、また、円錐状に形成される場合においても、曲面鏡の上記外縁部に凹凸構造9をもたらすことができればよく、特に先端が鋭角に形成されるというような必要はなく、丸みを帯びて形成されてもよい。
【0032】
尚、凹凸構造9の高さや配置間隔について本実施形態においては、本出願人の鋭意研究に基づき、凹凸構造9の高さについては好適には、曲面鏡1の開口幅(W)の0.5%以上の高さとされ、また、凹凸の配置間隔については好適には、凹凸の高さに対して10倍以下の配置間隔とされるものとする。しかしながら、凹凸構造9の高さや配置間隔については、耐風速仕様などの具体的な仕様により最適な構成は異なるものになることが考えられ、これに限定されるものではない。また、本実施形態において渦制御手段8は、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の上側の外縁部11及び下側の外縁部12の両方に備えられるものとされているが、このような形態に限定されることはなく、曲面鏡1の上側の外縁部11及び下側の外縁部12の少なくともいずれか一方の外縁部に備えられるように構成されてよい。
【0033】
図4は、本発明のトラフ式太陽熱集熱装置の別の一実施形態の全体斜視図である。
図5は、
図4に示す曲面鏡の外縁部の部分拡大図である。
図4及び
図5の各図において、18は渦制御手段、19は凹凸構造、をそれぞれ示す。尚、
図4及び
図5に示される構成品において、
図1から
図3に示される構成と同様の構成品については同一の参照番号を付するものとする。
【0034】
図4及び
図5に示す本発明の別の一実施形態のトラフ式太陽熱集熱装置においては、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部にて発生する渦の流れを制御する渦制御手段18は、曲面鏡1の該外縁部に対して直接的に凹凸加工して形成される凹凸構造19を有して構成される。本実施形態における凹凸構造19もまた、
図1から
図3に示される実施形態と同様に、曲面鏡1の外縁部にて発生する渦を細分化しうるように構成配置され、これにより、発生する渦の発生周波数を高周波化して、該渦の発生周波数と太陽熱集熱装置の固有振動数との差を大きくすることができ、渦励振に起因する曲面鏡1の破損を回避することを可能とする。
【0035】
曲面鏡1の外縁部を直接的に凹凸加工して形成される凹凸構造19についての具体的な形態は、所望の耐風速などの仕様を満足すべく、風洞試験などの評価試験や解析評価などに基づいて決定される。本実施形態においては、凹凸構造のそれぞれの凹凸が矩形状に形成されるものとされるが、これに限られることはなく、曲面鏡1の外縁部にて発生する渦を細分化しうる形状とされればよく、例えば、凹凸加工の角部が鋭角でなく、丸みを帯びた形状とされてもよい。
【0036】
尚、凹凸構造19の高さや配置間隔について本実施形態においては、
図1から
図3に示された実施形態と同様に、凹凸構造の高さについては好適には、曲面鏡の開口幅(W)の0.5%以上の高さとされ、また、凹凸の配置間隔については好適には、凹凸の高さに対して10倍以下の配置間隔とされるものとする。しかしながら、凹凸構造19の高さや配置間隔については、耐風速仕様などの具体的な仕様により最適な構成は異なるものになることが考えられ、これに限定されるものではない。また、本実施形態において渦制御手段18は、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の上側の外縁部及び下側の外縁部の両方に備えられるものとされているが、このような形態に限定されることはなく、曲面鏡1の上側の外縁部及び下側の外縁部の少なくともいずれか一方の外縁部に備えられるように構成されてよい。
【0037】
図6は、本発明のトラフ式太陽熱集熱装置の別の一実施形態の全体斜視図である。
図7は、
図6に示す曲面鏡の外縁部の部分拡大図である。
図6及び
図7の各図において、28は渦制御手段、29は開口部、30はワイヤーをそれぞれ示す。尚、
図6及び
図7に示される構成品において、
図1から
図3に示される構成と同様の構成品については同一の参照番号を付するものとする。
【0038】
図6及び
図7に示す本発明の別の一実施形態のトラフ式太陽熱集熱装置においては、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部にて発生する渦の流れを制御する渦制御手段28は、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部に、該外縁部に沿って開口する開口部29であって該外縁部にて発生する渦を細分化しうるように構成された開口部29を有して形成される。そして、本実施形態においては、曲面鏡1の外縁部に沿って開口する該開口部29は、ワイヤー30を使用して画成される。このような開口部29を有して渦制御手段28を構成することで、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部にて発生する渦の発生周波数を高周波化して、該渦の発生周波数と太陽熱集熱装置の固有振動数との差を大きくすることができ、渦励振に起因する反射鏡面の破損を回避することを可能とする。
【0039】
曲面鏡1の外縁部にワイヤー30にて画成される開口部29の具体的な形態は、所望の耐風速などの仕様を満足すべく、風洞試験などの評価試験や解析評価などに基づいて決定される。また、使用されるワイヤーについては、発生する渦を細分化するという観点からは、その表面粗さが粗い方が、より大きな効果が得られ、本実施形態においては、螺旋状に束ねられたワイヤーあるいは組紐状になったワイヤーが使用されるものとする。しかしながら、表面が滑らかなワイヤーにおいても発生する渦を細分化させることは可能であり、本実施形態にて使用されるような螺旋状に束ねられたワイヤーあるいは組紐状になったワイヤーに限られるものではない。
【0040】
尚、ワイヤー30の配置される位置や太さについて本実施形態においては、本出願人の鋭意研究に基づき、ワイヤー30の配置については好適には、曲面鏡1の開口幅(W)に対する0.5%〜10%の距離にて鏡面鏡1の外縁から平行に離間した位置に配置されるものとされ、また、ワイヤーの太さについては好適には、曲面鏡1の開口幅(W)に対する0.01%〜5%の太さとされるものとする。しかしながら、ワイヤー30の配置および太さについては、耐風速仕様などの具体的な仕様により最適な構成は異なるものになることが考えられ、これに限定されるものではない。また、本実施形態において渦制御手段28は、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の上側の外縁部及び下側の外縁部の両方に備えられるものとされているが、このような形態に限定されることはなく、曲面鏡1の上側の外縁部及び下側の外縁部の少なくともいずれか一方の外縁部に備えられるように構成されてもよい。
【0041】
また、本実施形態においては、曲面鏡1の外縁部に沿って開口する開口部29であって該外縁部にて発生する渦を細分化しうるように構成された開口部29をワイヤー30にて画成する構成とされるが、ワイヤー30の代わりに板材を使用して開口部29を形成するような構成されてもよい。さらには、曲面鏡1の外縁部に対して直接的に穴加工することにより開口部29を形成するような構成にされてもよい。
【0042】
図8は、本発明のトラフ式太陽熱集熱装置の別の一実施形態の全体斜視図である。
図9は、
図8に示す曲面鏡の外縁部の部分拡大図である。
図8及び
図9の各図において、38は渦制御手段、39は凹凸構造、40は開口部、41は突起体、42はワイヤー、をそれぞれ示す。尚、
図8及び
図9に示される構成品において、
図1から
図3に示される構成と同様の構成品については同一の参照番号を付するものとする。
【0043】
図8及び
図9に示される本発明の別の一実施形態のトラフ式太陽熱集熱装置においては、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部にて発生する渦の流れを制御する渦制御手段38は、
図1から
図3に示された実施形態において説明された突起体と同様の突起体41により曲面鏡1の外縁部に形成される凹凸構造39と、
図6及び
図7に示された実施形態において説明されたワイヤーと同様のワイヤー42により曲面鏡1の外縁部に沿って形成される開口部40とを組み合わせて構成配置することにより、より確実に曲面鏡1の外縁部にて発生する渦の細分化を図り、該外縁部に発生する渦の発生周波数を高周波化して、該渦の発生周波数と太陽熱集熱装置の固有振動数との差を大きくすることができ、渦励振に起因する曲面鏡1の破損を回避することを可能とするものである。尚、本実施形態において渦制御手段38は、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の上側の外縁部及び下側の外縁部の両方に備えられるものとされているが、このような形態に限定されることはなく、曲面鏡1の上側の外縁部及び下側の外縁部の少なくともいずれか一方の外縁部に備えられるように構成されてもよい。
【0044】
図10は、本発明のトラフ式太陽熱集熱装置の別の一実施形態の全体斜視図である。
図10において、48は渦制御手段、49は布状コンポーネント、をそれぞれ示す。尚、
図10に示される構成品において、
図1から
図3に示される構成と同様の構成品については同一の参照番号を付するものとする。
【0045】
図10に示される本発明の別の一実施形態のトラフ式太陽熱集熱装置においては、曲面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡1の外縁部にて発生する渦の流れを制御する渦制御手段48は、曲面鏡1の外縁部に配設された布状コンポーネント49を有して構成される。該布状コンポーネント49は、曲面鏡1が気流中に配置された場合に曲面鏡1の外縁部にて気流の流れに沿ってたなびくように配置構成され、曲面鏡1の外縁部にて発生する渦の整流化を図り、該外縁部に発生する渦の発生を抑制し、渦励振に起因する曲面鏡1の破損を回避することを可能とするものである。
【0046】
以上、本発明によれば、曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、該集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置において、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該曲面鏡の外縁部に、該外縁部にて発生する渦の流れを制御する渦制御手段を配置することで、より高い耐風速仕様が該装置に対して求められる際においても渦励振に起因するような曲面鏡の破損を回避することを可能とする。