(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記封止板部に突出して設けられ、前記第二スロープリブよりも周方向一方側かつ径方向外側に配置される第三リブを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の容器用口栓。
前記押圧部は、前記封止板部に直角に前記円筒部の径方向に延在する板状部材とされるとともに、前記第二部材と前記第一部材とを所定の方向に相対回転させた際に、前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブと係合し、順次押圧することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の容器用口栓。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について、
図1から
図11を参照して説明する。
図1は、本実施形態の容器1の全体構成を示す図である。容器1は、本発明の容器用口栓20を備えるものであり、ソース、醤油、ドレッシング、油、だし、たれ、ふりかけ等の液体または粉体の各種食品や調味料等の内容物が充填されて使用されるものである。
【0016】
図1に示すように、容器1は、内容物が充填される容器本体10と、容器本体10の開口部に取り付けられた容器用口栓20と、容器用口栓20を覆うように容器本体10に対して着脱自在に取り付けられたキャップ80とを備えている。
【0017】
容器本体10は樹脂やガラス等で形成された公知の構成を有し、その形状に特に制限はない。キャップ80も樹脂等で形成された公知の構成を有する。本実施形態のキャップ80は、
図2に断面で示すように、容器本体10に形成されたスクリュー11と係合することで、容器本体10に対して着脱自在に取り付けられているが、容器本体10とキャップ80とを着脱自在とする構造については特に制限はなく、公知の各種機構を適宜採用することができる。
キャップ80は、保管時等において容器用口栓20を覆って密閉し、充填された内容物を保護したり、容器本体10内への異物の侵入を防いだりする。
【0018】
容器用口栓20は、容器本体10の上部に形成された開口部12に取り付けられており、容器1の開封前においては、内容物を保護したり容器本体10内への異物の侵入を防いだりする。容器1の開封後においては、内容物を注ぎ出すための注出口として機能する。
【0019】
容器用口栓20は、開口部12に取り付けられる第一部材21と、第一部材21に取り付けられる第二部材22とを備えている。
図3の上側は第一部材21の平面図であり、下側は当該平面図のA−A線における断面図である。第一部材21はポリエチレン樹脂等の比較的軟質の材料よりなり、略円筒状の円筒部23と、容器本体10に係合させるための係合部24とを備えている。
【0020】
円筒部23は、その内腔が容器用口栓20の開封後に内容物の流路となる。円筒部23の略円筒形状の軸線Pが延びる方向における端部のうち、容器本体10に取り付けられる側の第一端部23A側には、開封時まで容器本体10を密封するための封止板部25が形成されており、円筒部23の内腔を塞いでいる。
【0021】
図4は、円筒部23と封止板部25とを第一端部23A側から見た状態を示す図である。
図4に示すように、封止板部25と円筒部23との境界となる封止板部25の周縁には、第一端部23A側からハーフカットとしてのV溝26Aが形成されており、後述する開封操作によって容易に封止板部25が円筒部23から切り離される薄肉部位25C(第一薄肉線部、
図3参照)が形成されている。薄肉部位25Cは、円筒部23の周方向に線状に延びており、本実施形態では、軸線Pを挟んで対向する位置に、円筒部23の周方向に測った長さが互いに異なる状態で一組配置されている。
【0022】
封止板部25の周縁のうち、互いに離間する2箇所にはV溝26Aが形成されておらず、容器用口栓20の開封後も封止板部25と円筒部23との接続状態を保持する連結部27となっている。連結部27は、一組の薄肉部位25Cに一つずつ設けられている。
【0023】
封止板部25には、互いに離間する2箇所の連結部27を結ぶように曲線状のV溝26Bが形成され、薄肉部位25D(第二薄肉線部、
図3参照)が形成されている。V溝26A及び26Bが設けられていることにより、封止板部25は、容器用口栓20の開封時に2つの封止板25A及び25Bに分割される。
【0024】
薄肉部位25Dの両端は、当該両端のうちの一方が、他方に対して、円筒部23の軸線Pを対称軸として回転対称となる点よりも円筒部23の周方向一方側若しくは他方側にずれた位置に配されている。
【0025】
封止板部25のうち、第一端部23Aとは反対側の第二端部23B側の面には、円筒部23と平行に突出する突起部28が設けられている。突起部28は、封止板25A及び25Bにそれぞれ1つずつ設けられており、薄肉部位25Cよりも径方向内側で、かつ封止板部25の周縁に沿うように、軸線Pが延びる方向から見てそれぞれ概ね円弧状に形成される第一スロープリブ29と、第二スロープリブ30と、第三リブ31との3つの部材を有している。
【0026】
図5は、突起部28の形状を展開して示す図であり、第一スロープリブ29は、各封止板25A、25Bにおいて薄肉部位25Dよりも径方向内側に配置され、この薄肉部位25Dに沿うように連結部27から最も離れた第一端部28Aより連結部27に向かって、即ち、円筒部23の周方向一方側R1に向かって、この周方向の中途まで(本実施形態では半周の1/3程度の位置まで)延在する部材であり、軸線Pが延びる方向を向く面は、周方向一方側R1に向かって徐々に突出高さが増加する傾斜面とされている。
【0027】
第二スロープリブ30は、第一スロープリブ29よりも径方向内側に配置され、かつ第一スロープリブ29に周方向に連続するように、周方向一方側R1へ向かって周方向の中途まで延在する部材である。また、軸線Pが延びる方向を向く面は、第一スロープリブ29の軸線Pが延びる方向を向く面の傾斜に連続するように周方向一方側R1に向かって徐々に突出高さが増加している。そして、第一スロープリブ29の径方向内側を向く面と第二スロープリブ30の径方向外側を向く面とは一部で結合することで、第一スロープリブ29と第二スロープリブ30とは周方向に一部が重なっている。
【0028】
また、第二スロープリブ30は、円筒部23の軸線Pを間に挟んで略対向する二箇所に配置されているが、円筒部23の周方向に測った長さが互いに異なる。本実施形態では、
図3に示すように、軸線P回りに約90°に亘って延びる第二スロープリブ30Xと、軸線P回りに約60°に亘って延びる第二スロープリブ30Yとが設けられている。
各第二スロープリブ30において周方向一方側R1における先側の端の位置は、円筒部23の軸線Pを回転中心として180度対称な位置とされている。さらに、封止板部25の面に対して垂直な方向に測ったときの当該先側の端の高さは、互いに等しい。また、2つの第二スロープリブ30は、傾斜角度が互いに異なっている。
【0029】
さらに、この第一スロープリブ29と第二スロープリブ30とが周方向に重なって結合されている部位においては、第二スロープリブ30の軸線Pが延びる方向を向く面から軸線Pが延びる方向へ向かって、かつ径方向外側から内側に向かって表面が削り取られることで面取り部30Aが形成されている。
このように、第一スロープリブ29及び第二スロープリブ30は、薄肉部位25Dの両端の各々を始点とするスロープを有している。
【0030】
第三リブ31は、第二スロープリブ30よりも径方向外側に配置され、かつ第二スロープリブ30に周方向に連続するように、周方向一方側R1へ向かって周方向の中途まで(本実施形態では、半周程度の位置まで)延在する部材である。また、軸線Pが延びる方向を向く面は、第二スロープリブ70よりも一段低くなり略平坦に形成されており、第二スロープリブ30の径方向外側を向く面と第三リブ31の径方向内側を向く面とが一部で結合することで、第二スロープリブ30と第三リブ31とは周方向に一部が重なっている。
【0031】
係合部24は、円筒部23の外周面に設けられたフランジ部32と、フランジ部32から第一端部23A側に延びる略円筒状の係合筒部33とを備えている。
フランジ部32のうち、係合筒部33が延びる側と反対側の上面には、一対のストッパー34が設けられている。一対のストッパー34は、軸線Pを挟んで対向する位置であって、第三リブ31に対応する位相の位置に形成されている。係合筒部33には、上記内腔に突出する係合突起33Aが周方向にわたって形成されており、
図2に示すように、容器本体10の開口部12において径方向外側に突出した被係合部12Aと係合することにより、第一部材21が容器本体10に対して係合固定されている。
【0032】
係合筒部33の外周面には、径方向外側に突出した凸部33Bが周方向にわたって形成されている。凸部33Bは、第一部材21と第二部材22とを嵌合させるために用いられる。係合筒部33の外周面の微細な形状は、円筒部23の軸線Pと平行に延びる筋状の凹凸を有する形状とされている。これらの凹凸は、第二部材22における嵌合筒部42の内面に接する凹凸形状部33Cとなっている。
【0033】
図6の上側は、第二部材22の底面図及び平面図、下側は上側図におけるB−B線における断面図である。
第二部材22はポリプロピレン、ポリスチレン樹脂等の比較的硬質な材料よりなっており、注出口35が形成された筒状部36と、第一部材21に嵌合させるための嵌合部37と、容器用口栓の開封時に封止板部25を押圧する押圧リブ(押圧部)38とを備えている。
【0034】
筒状部36は、円筒部39と、円筒部39の第一端部39Aに接続されたテーパー状の縮径部40とを有する。縮径部40によって円筒部39の径よりも小さい径となった筒状部36の端部の開口に、注出口35が形成されている。
【0035】
嵌合部37は、円筒部39と縮径部40との接続部位の稜線から円筒部39の径方向外側に突出する略円盤状のフランジ部41と、フランジ部41の周縁から注出口35と反対側に延びる略円筒状の嵌合筒部42とを有する。
【0036】
フランジ部41のうち、嵌合筒部42が延びる裏面には、円筒部39を囲むように略円筒状の支持壁43が形成されている。支持壁43と嵌合筒部42との間であって、軸線Pを挟んで対向する位置には、一対のスペーサー44が設けられている。そして各スペーサー44は、
図6の底面図に示すように、押圧リブ38とほぼ同一の位相に位置するが、少し周方向他方側R2に位相がずれて形成されている。
【0037】
嵌合筒部42の内面には、第一部材21の凸部33Bに対応した形状の凹部45と、凹部45よりもフランジ部41から離れた位置に設けられ、径方向内側に突出する嵌合突起46とがそれぞれ周方向にわたって設けられている。嵌合筒部42の内面の微細な表面形状は、略平滑とされており、第一部材21に形成された凹凸形状部33Cに接する面となっている。嵌合筒部42の内面と凹凸形状部33Cとが接していることにより、係合筒部33と嵌合筒部42との接触面が互いに平滑面である場合と比較して接触面積が小さい。これにより、第一部材21に対して第二部材22を回転させる際の摺動抵抗が小さく、開栓のためのトルクを小さくすることができる。
嵌合筒部42の外面には、軸線Pが延びる方向に延びる複数のリブ47が周方向に等間隔で形成されている。リブ47は、第二部材22の回転操作時(後述)における滑り止めとして機能する。
【0038】
押圧リブ38は、円筒部39及び縮径部40によって支持されるとともに軸線Pを挟んで対向するように設けられ、円筒部39の第二端部39Bから軸線Pに向かって突出して延びる板状をなす一対の支持部38Aと、これら一対の支持部38A同士を接続し、短手方向が軸線Pが延びる方向に一致する平板状の接続部38Bとを有している。また、一対の支持部38Aと接続部38Bとは軸線Pが延びる方向を向く端面が同一面上に位置しており、第二部材22の回転操作時(後述)においてこの端面が第一スロープリブ29、第二スロープリブ30及び第三リブ31に係合する。
【0039】
第一部材21と第二部材22とは、軸線Pが延びる方向から見たときに、封止板部25の各連結部27と押圧リブ38とが重なるように位置決めされた状態で互いに嵌合されている。
図2に示すように、第一部材21と第二部材22とが嵌合した状態において、第一部材21の凸部33Bは第二部材22の凹部45内に位置し、円筒部23は、第二端部23Bが円筒部39と支持壁43との間に収容されている。これにより、第一部材21と第二部材22とは、略同軸に嵌合されており、軸線Pが延びる方向における相対移動が不能、かつ当該軸線Pを中心に相対回転可能となっている。
【0040】
上記のように構成された本実施形態の容器1の使用時の動作について説明する。
容器1に内容物が充填された食品の製造時においては、開口部12から容器本体10内に内容物を充填後、容器用口栓20を開口部12に取り付け、キャップ80を締めることにより完成する。その後、キャップ80が輸送中に外れないように必要に応じてシュリンクフィルム等で覆う等してから出荷される。
【0041】
容器1の開封前においては、容器用口栓に形成された封止板部25によって円筒部23の内腔が塞がれているため、容器本体10が密封されている。
容器1の開封時は、使用者はキャップ80を取り外し、容器本体10を保持しながら、容器用口栓20の第二部材22を所定の方向(本実施形態では注出口35側から見て右回り、即ち周方向一方側R1)に回転させる。すると、容器本体10に固定された第一部材21に対して、第二部材22が当該所定の方向に相対回転する。
【0042】
図7は、容器1の開封時における封止板部25及び押圧リブ38の動きを示す図である。第二部材22の回転操作により、各押圧リブ38は、
図7に示す矢印の方向、即ち周方向一方側R1に移動し、突起部28に乗り上げていく。この時、押圧リブ38を介して、第二部材22には容器本体10から離間する方向に移動しようとする力が作用するが、第一部材21と第二部材22とは、軸線Pが延びる方向にほとんど相対移動できないように互いに嵌合されている。また、第二部材22の回転操作により、押圧リブ38は、まず薄肉部位25Dの両端のうちの一方(
図4に符号25Daで示す。)の位置に到達し、当該一方の位置において薄肉部位25C、25Dを断裂させる。この時点では、押圧リブ38は、薄肉部位25Dの両端のうちの他方(
図4に符号25Dbで示す。)の位置には到達していない。
【0043】
突起部28に押圧リブ38が乗り上げる時には、まず第一スロープリブ29に乗り上げることによって、径方向外側に押圧力が作用する。即ち、径方向外側における薄肉部位25Cと薄肉部位25Dとの接続部位付近の封止板部25が押し込まれ、
図8に示すように、封止板部25が2枚の封止板に分かれていくきっかけとなる亀裂が形成される。
【0044】
第二部材22をさらに回転操作すると、押圧リブ38が
図4に符号25Daで示す側に位置する第一スロープリブ29を乗り越えて第二スロープリブ30へ到達したときに、押圧リブ38は、薄肉部位25Dの両端のうち
図4に符号25Dbで示す他方の位置に到達する。そこからさらに第二部材22を回転操作すると、押圧リブ38は、当該他方の位置において薄肉部位25C、25Dを断裂させる。これにより、薄肉部位25Dの両端は、互いに異なるタイミングで断裂し、各封止板25A、25Bを分割するための断裂の起点となる。
薄肉部位25Dの両端を起点として薄肉部位25C、25Dが断裂されることにより、封止板部25は、各封止板25A、25Bに分割されつつ、薄肉部位25C、25Dが容器本体10の内部に向かって変位するように押し込まれる。
【0045】
使用者が第二部材22をさらに回転させると、
図9に示すように、押圧リブ38は、第一スロープリブ29を乗り越えて第二スロープリブ30上を移動することによって、次に径方向内側に押圧力が作用する。これにより、より亀裂に近い位置に押圧力が作用していくこととなり、上述した亀裂が発生した部位から徐々に薄肉部位25C、25Dが切り裂かれていき、塞がれていた円筒部23の内腔に開口が形成されていく。
【0046】
この時、第二スロープリブ30に形成された面取り部30Aによって、押圧リブ38が第二スロープリブ30の径方向内側部分に干渉することなく、滑らかに第一スロープリブ29から第二スロープリブ30へ移動することができる。
【0047】
第二部材22をさらに回転させ、回転量が半回転ほどになると、押圧リブ38は第二スロープリブ30を乗り越えて第三リブ31上に移動する。それとともに、第二部材22のスペーサー44と第一部材21のストッパー34とが接触し、それ以上、第二部材22を回転させることができなくなる。この状態において、封止板部25は2枚の封止板25A、25Bに分割され、
図10及び
図11に示すように、第三リブ31と押圧リブ38とが係合し、第三リブ31が押圧リブ38に押し込まれた状態で保持される。こうして、円筒部23の内腔が開通される。
【0048】
この時点で押圧リブ38が接触する第三リブ31は、第二スロープリブ30よりも一段低くなっているため、第二部材22が逆回転する等により押圧リブ38が再び第二スロープリブ30に移動する事態は発生しにくい。その結果、押圧リブ38による封止板部25の押し込み状態が保持され、容器用口栓20の開封状態が保持される。
【0049】
なお、容器用口栓20の開封後も、連結部27において各封止板25A、25Bと円筒部23との接続が維持されるため、開封によって各封止板25A、25Bが液体容器10内に落下することはない。
【0050】
容器用口栓20が開封されたあと、使用者は容器本体10を傾けることにより、注出口35から内容物を注ぎ出すことができる。使用後は、キャップ80を装着することにより、
図11に示すように、キャップ80の内面に設けられた略円筒状の封止栓81が注出口35にはまり込んで容器本体10が密閉される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の容器用口栓20及び容器1によれば、第二部材22を把持して所定の方向に回転させるだけで容易に開封することができる。したがって、力の弱い女性やこども、高齢者等でも大きな力を必要とせずに容易に開封して内容物を利用することができる。
また、内容物の流路となる円筒部23及び39の内面等に触れることなく開封することができるため、衛生面でも優れている。
さらに、プルタブタイプの口栓及び容器と異なり、開封時に内容物の飛散等が生じにくく、切り離された廃棄物が発生しないため、環境への負荷が少なく、取り扱いが容易な容器とすることができる。
【0052】
また、第一部材21及び第二部材22にストッパー34及びスペーサー44が設けられており、第二スロープリブ30より低い第三リブ31が設けられているため、開封後の第二部材22は、ストッパー34と第二スロープリブ30との間(
図3に示す範囲R1)でしか相対回転できず、実質的にほぼ位置決めされる。したがって、押圧リブ38が封止板部25を押し込んだ開封状態が好適に維持され、封止板部25が再び円筒部23の内腔を塞いでしまう等の不具合の発生を防止することができる。
【0053】
さらに、封止板部25にV溝26Bが形成されているため、開封後に封止板部25は2枚の封止板25A及び25Bに分割されて容器本体10内部に向かって押し込まれる。その結果、円筒部23の内腔は、
図10及び
図11に示すように、封止板25Aによって規定される第一流路C1と、封止板25Bによって規定される第二流路C2との2つの流路に概ね分割される。このため、内容物が粘度の高い液体等であっても各封止板25A、25Bにより好適に注出口35へ導かれる。加えて、容器本体10の内外における流体の入れ替えが第一流路C1及び第二流路C2によりスムーズに行われ、容器本体10内に空気が進入しにくいことによる注出不良や、逆に一気に空気が進入して多量の内容物が一度に注ぎ出される「脈流」と呼ばれる現象を起こしにくい。したがって、常に安定して内容物を注出することができる容器とすることができる。
【0054】
また、例えば、第二部材の注出口35の口径を変更することによって注出量を調整することができるため、各種容器に対して第一部材21を共用することが可能となる。
【0055】
(変形例1)
次に、上述の実施形態の変形例について説明する。
図12は、本変形例の容器用口栓における押圧リブを拡大して示す断面図である。
図13は、
図12のC矢視図である。
図12及び
図13に示すように、本変形例では、上述の実施形態にて説明した押圧リブ38とは形状が異なる押圧リブ48を備えてる。
【0056】
押圧リブ48は、第二部材22の円筒部39との接続部分が他の部分よりも薄肉に形成されている。さらに、押圧リブ48の板厚方向の両面には、押圧リブ48の捻れを防止するための補強部48aが形成されている。補強部48aは、押圧リブ48の板厚方向の両面から当該両面に対して交差する方向(
図13には直交する例を示す)へと張り出して形成されている。補強部48aは、第一部材21側へと向かうに従って漸次小さくなるように形成されており、補強部48aは第一スロープリブ29、第二スロープリブ30、及び第三リブ31のいずれにも接触しないようになっている。
【0057】
本変形例の構成によれば、第二部材22を第一部材21に対して回転操作したときに押圧リブ48は補強部48aに補強された状態で第一スロープリブ29、第二スロープリブ30、及び第三リブ31に接し、封止板部25を変形させることができる。
【0058】
また、押圧リブ48と円筒部39との接続部分が肉薄となっているので、成形型に樹脂を充填することによって第二部材22を形成する場合に、引けにより円筒部39の形状が歪む程度を低く抑えることができる。
【0059】
(変形例2)
次に、上述の実施形態の他の変形例について説明する。
図14は、本変形例の容器用口栓における押圧リブを拡大して示す断面図である。
図15は、
図14のD矢視図である。
図14及び
図15に示すように、本変形例では、上述の実施形態及び変形例1で説明した押圧リブ38、48とは形状が異なる押圧リブ49を備えている。
押圧リブ49は、円筒部39の内面から離間して形成されており、また、上述の補強部48aを備える。また、
図15に示すように、押圧リブ49において補強部48aが形成された部分の近傍は、押圧リブ49における他の部分よりも僅かに肉薄に形成されている。
【0060】
本変形例の場合、成形型に樹脂を充填することによって第二部材22を形成する場合に押圧リブ49の引けによる円筒部39の歪みは生じない。
また、押圧リブ49において肉薄に形成された部分は補強部48aによって補強されてるので、押圧リブ49が変形しにくい。
なお、押圧リブ49において円筒部39の軸線に近い内側部分の肉厚を厚くすることにより押圧リブ49をさらに補強することもできる。
【0061】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において実施形態の構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0062】
例えば、上述の実施形態では、封止板部25にV溝26A、26Bを設けることにより薄肉部位25C、25Dを形成する例を説明したが、他の形状の溝により薄肉部位25C、25Dが形成されてもよい。例えば、薄肉部位25C、25Dは、封止板部25を軸線Pが延びる方向に貫通する断裂線とされ、軸線Pが延びる方向の容器1側を向く面にフィルム状の部材を設けるフィルムインサートを施した構造であってもよい。この構造によると、押圧リブ38が突起部28を押圧した時に、上記断裂線に沿って上記フィルム状の部材が裂け、円筒部23の内腔が開通する。
【0063】
また、支持壁43と嵌合筒部42との間に、ストッパー34と干渉し、かつ第二部材22の回転操作によりストッパー34が乗り越え可能な突起を形成してもよい。この場合、開封時に所定のタイミング(例えば、スペーサー44がストッパー34に接触する直前等)でクリック感を発生させて、使用者に当該タイミングを認識させることができ、使用感を向上させることができる。
【0064】
さらに、第一部材21において突起部28の配置を周方向の配置を逆転することによって、第二部材22の回転方向を左回り、または右回りのいずれか一方の任意の方向に設定できる。また、開栓時に大きな応力が作用する第二部材22における押圧リブ38の接続部38Bは、例えば、軸線Pが延びる方向から見た時に十字形状とされてもよい。
逆に、強度的に問題がなく、突起部28と確実に係合できれば上記接続板は一枚の板とされなくともよく、軸線Pの位置で2つに分割されていてもよい。
【0065】
そして、キャップ80に代えて、第二部材にヒンジで接続された蓋を設け、この蓋によって容器用口栓20開封後の容器1の密閉を行ってもよい。この場合、当該蓋は第二部材と一体成形されていてもよい。
【0066】
また、容器本体10に充填される内容物は食品には限定されず、各種の液体や粉体等の内容物の容器に本発明の容器用口栓20及び容器1を適用することができる。
さらに、容器本体10の代わりに、例えばゲーブルトップ型等の紙製容器が用いられてもよい。本発明の容器用口栓20は、プルタブタイプの口栓と異なり、開封時に容器用口栓20を容器本体10から離間させるような力を作用させる必要がないため、剛性の比較的低い紙製容器にも好適に用いることができる。
【0067】
加えて、内容物が食品でない等の場合、必ずしも封止板部25に連結部27が設けられなくてもよい。この場合、第二部材22の回転操作によって封止板部25が円筒部23から完全に切り離され、容器本体10内に落下する。
【0068】
なお、上述の実施形態に対する構成の変更、削除、及び置き換え等は、上記各例には限られない。
【実施例】
【0069】
次に、本発明の容器用口栓及び容器についてより詳細に説明する。
本実施例では、上述の実施形態で説明した構成を有する容器用口栓が取り付けられた容器を製造した。容器用口栓の材料としては、低密度ポリエチレン(実施例1)、及び低密度ポリエチレンに20%の炭酸カルシウムを含有させた複合材料(実施例2)が採用されている。また、比較対象として、肉薄部位25Dの両端の位置が円筒部23の軸線Pを回転中心として180度対称とされた構造を有する口栓を用いて、低密度ポリエチレンを材料とした場合(比較例1)及び低密度ポリエチレンに20%の炭酸カルシウムを含有させた複合材料(比較例2)について検討した。
【0070】
上記各実施例及び各比較例においては、薄肉部位25C、25Dが繋がっている状態を0度として、円筒部23の軸線P回りに第一部材21に対して第二部材22を回転させ、各回転角度における開栓トルクを計測した。
【0071】
図16は、上記各実施例及び各比較例の結果を示すグラフである。
図16に示すように、実施例1と比較例1とを比較した結果、実施例1の構成の方が比較例1の構成よりも開栓トルクのピーク値が小さく。軽い力で開栓することができることが分かった。また、実施例1においては、回転角度が50°前後の時点と回転角度が70°前後の時点との2つのタイミングで開栓トルクが高まってる。これは、薄肉部位25Dの両端を順次破断させたことに対応している。
【0072】
次に、実施例1と実施例2とを比較した結果、炭酸カルシウムを含有させた方が全体として開栓トルクが小さいことがわかった。なお、比較例1と比較例2とを比較した結果、炭酸カルシウムを含有させることは、肉薄部位25Dの両端の位置が円筒部23の軸線Pを回転中心として180度対称とされた構造を有している場合であっても開栓トルクを低下させる効果があることがわかった。