(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
工作機械は、ワークを加工する加工部と、当該加工部を制御する制御部(制御盤)とを有する。制御部が加工部の制御を行うことにより、加工部がワークを加工する。通常、制御部は加工部の背面に設けられており、開口部に扉が設けられた筐体に、加工部の制御を行う回路を実装した回路実装部及び電源部等が収納されている。
【0003】
一般に電気機器において、その稼働期間中に内部を点検したり、部品を交換したり、設定の変更を行ったりするために、筐体の扉を開いて内部を見る必要がある。工作機械の制御部も同様に定期的な保守点検等を行うために、筐体の扉を開く必要がある。
従って、扉を開くときのスペースを確保する必要があり、扉が大きい場合、そのスペースを大きく取る必要があり、結果的に工作機械の前後方向の設置スペースが大きくなるという問題があった。扉を小さくした場合、筐体に占める開口面積の割合が小さくなるので、内奥に手が届きにくくなり、作業がしづらくなる。
また、2枚の観音開きタイプの扉を用いることにした場合、各扉につき筐体への枢支構造が必要であり、2枚の扉の連結部分も含めて部品点数が増加し、組み立てコストも増加して全体的にコストが増加するという問題がある。
【0004】
このような工作機械において、付属機器として、ワークの加工により生じた加工屑を搬送するチップコンベアを設けたものがある。このチップコンベアは、制御部の下側に、すなわち加工部の下側から加工部の後方に延びるように略水平に設けられた水平部と、該水平部の後端部から斜め後ろ上方に延設された傾斜部とを有している。傾斜部の後ろ下方に、チップコンベアにより搬送された加工屑を回収するための回収ボックスが設けられている。
以上のように構成されているので、傾斜部及び回収ボックスは、制御部の扉を開けた場合に扉と干渉しないように、制御部の後方に配置する必要があり、付属機器を含めた工作機械の設置スペースが大きくなるという問題があった。
特許文献1には、傾斜部との干渉を回避すべく、制御部の扉の自由端部の下方に切欠きを設けた工作機械の発明が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の発明においては、制御部の扉に切欠きを設けた分、チップコンベアの前後方向の長さを短くすることができるが、工作機械の設置スペースの低減化には限界がある。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、円滑な扉の開閉が確保された上で、制御部の扉の開閉用のスペースを小さくすることができ、全体の設置スペースを小さくすることができる工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る工作機械は、ワークを加工する加工部と、開口部に扉が設けられた筐体に、前記加工部の制御を行う回路を実装した回路実装部が収納された制御部とを備えた工作機械において、前記扉は、複数枚の板体を折り畳み可能に連結してなる折り戸であ
り、幅方向の一端部が前記筐体に枢支された第1板体と、第2板体とが、各板体の、前記扉を閉めたときの前記筐体内側に、蝶番の各蝶片の外面が取り付けられた状態で連結されており、各板体には、前記蝶番の軸線方向でみた両端縁部に、前記軸線と交叉し、前記扉を閉めた状態で前記筐体内側に張り出す張出部が設けられ、前記第2板体の連結端部側の縁から所定距離、自由端部側に位置する部分に、前記蝶番の一方の蝶片が取り付けられ、前記第1板体の張出部は、連結端部が幅狭になっていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、複数枚の板体を折り畳んだ状態で扉を開くことができるので、折り畳んだ分、扉の開閉用のスペースを小さくすることができる。
【0010】
本発明においては、各板体の筐体内側に蝶番の各蝶片の外面が取り付けられ、筐体に枢支される板体に対して自由端部を有する方の板体が内側に折れ曲がるので、蝶番が視認されず、外観品位が良好になる。各板体の筐体外側に蝶番の各蝶片の外面が取り付けられ、自由端部を有する方の板体が外側に折れ曲がる場合と比較して、扉の開閉用のスペースを小さくすることができる。
【0012】
本発明においては、張出部により筐体に良好に扉が嵌められ、蝶番の軸部が第2板体の連結端部より自由端部寄りに位置するので、蝶番が外側から確実に視認されず、外観品位が良好である。第1板体の張出部は、連結端部が幅狭になっているので、第2板体を第1板体側に折り畳む場合に干渉しない。
【0013】
第
2発明に係る工作機械は、第
1発明において、前記第1板体は、該第1板体の
、前記扉を閉めたときの前記筐体外側の連結端部側に緩衝部材を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、扉が閉じられて、第1板体に第2板体が重なる場合に傷つくことがなく、第2板体が第1板体に密着される。また扉が閉じた後は、切削油等の浸入を防止することができる。
【0015】
第
3発明に係る工作機械は
、ワークを加工する加工部と、開口部に扉が設けられた筐体に、前記加工部の制御を行う回路を実装した回路実装部が収納された制御部とを備えた工作機械において、前記扉は、複数枚の板体を折り畳み可能に連結してなる折り戸であり、幅方向の一端部が前記筐体に枢支された第1板体と、第2板体とが、各板体の、前記扉を閉めたときの前記筐体内側に、蝶番の各蝶片の外面が取り付けられた状態で連結されており、各板体
には、前記蝶番の軸
線方向でみた両端縁部に、
前記軸線と交叉し、前記扉を閉めた状態で前記筐体内側に張り出す張出部が設けられ、前記第1板体は、連結端部に突設され、前記蝶番の一方の蝶片が取り付けられる取付部と、前記連結端部
側の縁から所定距離、枢支端部側に
位置する部分に、前記第1板
体に交叉するように
、該第1板体の、前記扉を閉めたときの前記筐体内側に突設された補強部とを有し、前記第2板体の連結端部
側の縁から所定距離、自由端部側に
位置する部分に、前記蝶番の他方の蝶片が取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、張出部により筐体に良好に扉が嵌められ、蝶番の軸部が第2板体の連結端部より自由端部寄りに位置するので、蝶番が外側から確実に視認されず、外観品位が良好である。第1板体の取付部に蝶番の蝶片が取り付けられるので、第2板体を第1板体側に折り畳む場合に張出部が妨げになることがない。
【0017】
第
4発明に係る工作機械は、第
3発明において、前記第1板体は、前記取付部の
、前記扉を閉めたときの前記筐体外側に緩衝部材を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、扉が閉じられて、第1板体に第2板体が重なる場合に傷つくことがなく、第2板体が第1板体に密着される。また扉が閉じた後は、切削油等の浸入を防止することができる。
【0019】
第
5発明に係る工作機械は、第
3又は第
4発明において、前記取付部は、前記第1板体の
連結端部側の縁の、前記扉を閉めたときの前記筐体内部寄りの部分に設けられ、前記第2板体は、前記取付部を嵌め込む凹部を有することを特徴とする。
【0020】
本発明においては、扉を閉じた場合に、第1板体と第2板体とが略同一平面上にあり、外観品位がより良好になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、扉が複数枚の板体を折り畳み可能に連結してなる折り戸であるので、円滑な扉の開閉が確保された上で、制御部の扉の開閉用のスペースを小さくすることができ、工作機械全体の設置スペースを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るマシニングセンタを示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係るマシニングセンタ及びチップコンベアを示す側面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る制御部を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る制御部を示す正面図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る扉が完全に開いた状態を示す制御部の斜視図である。
【
図7】
図6の蝶番の取付部分(A)、及び係止錠の取付部分(B)を示す一部拡大図である。
【
図8】本発明の実施の形態1に係る扉が開いた状態を示す制御部の正面図である。
【
図11】本発明の実施の形態1に係る扉が完全に開いた状態から閉じるまでの途中の状態を示す制御部の斜視図である。
【
図14】本発明の実施の形態1に係る扉が完全に閉じた状態を示す制御部の斜視図である。
【
図17】本発明の実施の形態2に係る扉が完全に開いた状態を示す制御部の斜視図である。
【
図18】
図17のXVIII −XVIII 線断面図である。
【
図20】本発明の実施の形態2に係る扉が完全に開いた状態から閉じるまでの途中の状態を示す制御部の斜視図である。
【
図23】本発明の実施の形態2に係る扉が完全に閉じた状態を示す制御部の斜視図である。
【
図26】本発明の実施の形態3に係る扉が閉じられた状態を示す一部断面図である。
【
図27】本発明の実施の形態4に係る制御部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係るマシニングセンタ1を示す斜視図、
図2はマシニングセンタ1及びチップコンベア15を示す側面図、
図3は制御部4を示す斜視図、
図4は制御部4を示す正面図、
図5は
図4のV−V線断面図である。
図1中、チップコンベア15は省略している。
【0024】
マシニングセンタ(工作機械)1は、図示しない加工対象であるワークと工具とを相対移動させることによって、ワークに所望の例えばフライス削り、穴空け、切削等の機械加工を施すものである。
マシニングセンタ1は、基台2と、基台2の上部に設けられ、工具を用いてワークを加工する加工部33と、加工部33を囲繞するカバー30と、カバー30の後方に設けられ、加工部33の制御を行う回路を実装した回路実装部等を有する制御部4とを備える。マシニングセンタ1の後方には、チップコンベア15、回収ボックス19、及びクーラントタンク20が配されている。
【0025】
基台2は、マシニングセンタ1の前後方向に長い略直方体状に形成されている。基台2の芯部は、軽量化、高強度化及び低コスト化のため、肉抜き成形されている。基台2の下部の四隅には高さ調節が可能な脚部21が夫々設けられ、これら4本の脚部21が工場等の床面に設置される。
【0026】
カバー30は略直方体の箱状をなし、加工部33は、ワークを載置するテーブル34、及び工具を装着する主軸35等を備える。カバー30の正面にはスライド式の開閉扉が設けられている(図示せず)。この開閉扉を開くことにより、テーブル34に対してワークの着脱を行うことができる。
【0027】
カバー30の側面には、開口部が設けられ、該開口部に点検ハッチ31,32が夫々着脱可能に設けられている。点検ハッチ31,32を取り外して前記開口部を開放することで、加工部33の保守点検等を行うことができる。
【0028】
図3に示すように、制御部4は、略直方体状の筐体5と、該筐体5に設けられた開口部の扉6とを有し、筐体5内に回路実装部及び電源部(図示せず)等が収納されている。制御部4は、筐体5の背面がカバー30の背面に取り付けられ、基台2の後側の斜め上方に延設された支持部材11,11に筐体5の底面が支持されている。
扉6は矩形板状をなし、板体7(第1板体)と板体8(第2板体)とからなる折り戸である。
図5に示すように、扉6は、板体7の幅方向一方側が、上部はネジ12を介し、下部はピン13を介して筐体5に回動自在に枢支された片開き扉である。扉6の筐体5への枢支構造は、従来の一枚扉の枢支構造と同一にして、ユーザにより扉を選択できるようにすることも可能である。
板体7と板体8とは、板体8の連結端部が板体7の連結端部の外側に重なる状態で、後述する2個の蝶番9により連結されている。
【0029】
チップコンベア15は、加工部33での加工により生じた加工屑を回収ボックス19に搬送するものである。
図2に示すように、チップコンベア15は、制御部4の下側に、すなわちカバー30の下側からカバー30の後方に延びるように略水平に設けられた水平部151と、水平部151の後端部に斜め後ろ上方に延びるように設けられた傾斜部152と、搬送された加工屑を回収ボックス19に落下させるためのシュート153とを備える。水平部151は、基台2の後方に配置されたキャスター付きのクーラントタンク20上に設けられている。傾斜部152の上端には、加工屑を搬送するコンベアベルト(図示せず)を回転駆動するモータ154が設けられている。シュート153の上部には操作盤155が設けられており、オペレータはこの操作盤155を用いてチップコンベア15の駆動操作を行う。回収ボックス19は車輪を有しており、移動自在に構成されている。
【0030】
以下に、制御部4の扉6について詳述する。構造を理解しやすくするために、扉6が開いた状態から説明する。
図6は扉6が完全に開いた状態を示す制御部4の斜視図、
図7Aは
図6の蝶番9の取付部分を示す一部拡大図、
図7Bは係止錠10の取付部分を示す一部拡大図、
図8は扉6が開いた状態を示す制御部4の正面図、
図9は
図8のIX−IX線断面図、
図10は
図9の扉6の連結部分Xの拡大図である。係止錠10は、扉6を筐体5に一時的に係止しておくための錠であり、いわゆるパチン錠である。
板体7は、板本体71と、板本体71の上端縁部,下端縁部に設けられ、筐体内側に張り出した張出部72,73と、板本体71の枢支端部に設けられ、筐体内側に張り出した張出部74とを備える。
板体8は、板本体81と、板本体81の上端縁部,下端縁部に設けられ、筐体内側に張り出した張出部82,83と、板本体81の自由端部に設けられ、筐体内側に張り出した張出部84とを備える。
【0031】
図7Aに示すように、蝶番9は、軸部90と、軸部90の軸方向の中央部に回動可能に連結した蝶片91と、軸部90の軸方向の両端部に回動可能に連結した蝶片92とを備える。
図10に示すように、蝶片91の外面が板本体71の筐体側内面の連結端部に取り付けられている。板体8の板本体81の連結端部より自由端部側には、上下方向に延びる台板93が設けられており、蝶片92の外面が台板93の内面に取り付けられている。従って、蝶番9の軸部90は、板本体81の連結端部より自由端部側に位置している。
板体7の張出部73には、連結端部に向かうに従い、漸次的に幅狭になる傾斜部75が設けられている。板体7の張出部72にも同様に、連結側に傾斜部75が設けられている(
図6参照)。連結部分において、張出部72,73の外側に張出部82,83が重なる。板本体71の外面の連結端部より少し枢支端部側に、例えばスポンジ(クロロプレン)等の合成樹脂製のパッキング等の緩衝部材76が設けられている。
【0032】
図6に示すように、筐体5の開口部には、筐体外側に突出し、扉6が開口部を閉塞する場合に張出部72,73,74,82,83,84の内側に嵌められる略矩形枠状の嵌合枠部51が設けられている。
【0033】
図6及び
図7に示すように、制御部4は、筐体5の短側面の開口部側の上下方向に2個、係止錠10のレバー101、該レバー101に取り付けられ、端部に係止バーを有する係止部102を備える。板体8の張出部84の上下方向に2個、前記係止バーに係止されるフック103を備える。係止錠10において、フック103を係止部102の係止バーに係止させ、その後レバー101を筐体5の短側面側へ倒すことで、筐体5と扉6とが分離しないように止めることができる。前記短側面側へ閉じられたレバー101を開いて、係止部102とフック103との係止を解除することで、筐体5と扉6とを分離して、扉6を開けることができる。
【0034】
図6〜
図10に示すように、板体7が筐体5の開口部を閉じた状態から180度回転した状態において、筐体5は完全に開口している。このとき、扉6は、板体7に連結された板体8が連結部から折れ曲がっている分、すなわち、最大で板体8の幅(横)方向の長さ分、筐体5から突出していることになる。筐体5を完全に開口することができるので、筐体5内に組み付けられた回路実装部及び電源等の各種の部品の保守点検を支障なく行うことができる。
【0035】
図11は扉6が完全に開いた状態から閉じるまでの途中の状態を示す制御部4の斜視図、
図12は
図11のXII −XII 線断面図、
図13は
図12の連結部分XIII の拡大図である。
図11は、板体8が折れ曲がっている状態で、
図6の状態から板体7を略90度反時計回りに回転させた状態を示す。このとき、板体8の先端部が筐体5の開口部に向かうことになる。
【0036】
図14は扉6が完全に閉じた状態を示す制御部4の斜視図、
図15は
図14のXV−XV線断面図、
図16は
図15の連結部分XVI の拡大図である。
扉6の連結部分を筐体5の開口側に押さえつつ、板体8の自由端部を筐体5の開口部の幅方向端部に合わせることによって扉6が閉まり、筐体5の開口部が閉塞される。張出部72,73,74,82,83,84は、筐体5の嵌合枠部51に嵌められる。
このとき、
図16に示すように、連結部分で板本体71の外側に板本体81が重なるので蝶番9が視認されず、外観品位は良好である。上述したように、板本体71の外面には緩衝部材76が設けられているので、板本体71に板本体81が重なる場合に傷つくことがなく、板本体81が板本体71に密着される。また扉6が閉じた後、緩衝部材76は切削油等が筐体5内に浸入することを防止する。
【0037】
本実施の形態のマシニングセンタ1は以上のように構成されているので、最大でも板体8の横幅分、扉6を筐体5から突出させるのみで、扉6を開閉することができる。板体7の張出部72,73は傾斜部75を有し、連結端部が幅狭になっているので、板体8を板体7側に折り畳む場合に干渉せず、板体8を板体7側に折り畳んだ状態で円滑に扉6を開閉することができる。扉6を半分に折り畳んだ状態で開閉するので、扉開閉用のスペースは従来の一枚扉の場合の略半分で済み、マシニングセンタ1の前後方向の長さを短くすることができ、設置スペースを低減することができる。
【0038】
図2に示すように、チップコンベア15、回収ボックス19、及びクーラントタンク20等の付属機器は、扉6が開いた場合にチップコンベア15の傾斜部152に扉6が当たらないように配置すればよく、本実施の形態の場合、扉6は略半分に折り畳んだ状態で開くので、従来の一枚扉の場合と比較して、扉の半分だけ、付属機器の配置の前後方向の長さを短くすることができる。本実施の形態の扉6のように、板体8の自由端部の下部に切り欠きを設けることで、前記前後方向の長さをより短くすることができる。以上のように、本実施の形態においては、付属機器を含めたマシニングセンタ1の設置スペースを低減することができる。
【0039】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係るマシニングセンタは、実施の形態1に係るマシニングセンタ1と同様の構成を有し、制御部14の扉16の板体17と板体18との連結構造が、マシニングセンタ1の制御部4の板体7と板体8との連結構造と異なる。
【0040】
図17は扉16が完全に開いた状態を示す制御部14の斜視図、
図18は
図17のXVIII −XVIII 線断面図、
図19は
図18の扉16の連結部分XIX の拡大図である。図中、
図6〜10と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
扉16の板体17は、板本体71と、板本体71の上端縁部,下端縁部に設けられ、筐体内側に張り出した張出部72,73と、板本体71の枢支端部に設けられ、筐体内側に張り出した張出部74とを備える。板体17は、板本体71の連結端部側に連結部77を有する。連結部77は、板本体71の連結端部よりも枢支端部側の位置から連結端部を越えて延びる取付部772と、連結端部から枢支端部側に、板本体71から筐体内側に向けて突設され、板本体71に直角な補強部771とを備える。取付部772に蝶番9の蝶片91が取り付けられる。補強部771と取付部772は、平面断面視が略L字状をなす。取付部772の外面に、例えばスポンジ(クロロプレン)等の合成樹脂製のパッキング等の緩衝部材76が設けられている。
板体18は、板本体81と、板本体81の上端縁部,下端縁部に設けられ、筐体内側に張り出した張出部82,83と、板本体81の自由端部に設けられ、筐体内側に張り出した張出部84とを備える。
【0041】
図19に示すように、蝶番91の外面が板体17の取付部772の内面に取り付けられている。板体18の板本体81の連結端部より自由端部側には、上下方向に延びる台板93が設けられており、蝶片92の外面が台板93の内面に取り付けられている。従って、蝶番9の軸部90は、板本体81の連結端部より自由端部側に位置している。板体18は連結端部側の板本体81と台板93で凹部を形成する。
【0042】
図17〜
図19に示すように、板体17が筐体5の開口部を閉じた状態から180度回転した状態において、筐体5は完全に開口している。このとき、扉16は、板体17に連結された板体18が連結部から折れ曲がっている分、すなわち、最大で板体18の幅(横)方向の長さ分、筐体5から突出していることになる。筐体5を完全に開口することができるので、作業者は、筐体5内に組み付けられた回路実装部及び電源等の各種の部品の保守点検を支障なく行うことができる。
【0043】
図20は扉16が完全に開いた状態から閉じるまでの途中の状態を示す制御部14の斜視図、
図21は
図20のXXI −XXI 線断面図、
図22は
図21の扉16の連結部分XXIIの拡大図である。
図21は、板体18が折れ曲がっている状態で、
図18の状態から板体17を略90度反時計回りに回転させた状態を示す。このとき、板体18の先端部が筐体5の開口部に向かうことになる。
【0044】
図23は扉16が完全に閉じた状態を示す制御部14の斜視図、
図24は
図23のXXIV−XXIV線断面図、
図25は
図24の扉16の連結部分XXV の拡大図である。
扉16の連結部分を筐体5の開口側に押さえつつ、板体18の自由端部を筐体5の開口部の幅方向端部に合わせることによって扉16が閉まり、筐体5の開口部が閉塞される。張出部72,73,74,82,83,84は、筐体5の嵌合枠部51に嵌められる。
このとき、
図25に示すように、蝶番9の軸部90は、板本体81の連結端部より自由端部側に位置しているので、蝶番9は視認されず、外観品位が良好である。上述したように、板本体71の外面には緩衝部材76が設けられているので、板本体71に板本体81が重なる場合に傷つくことがなく、板本体81が板本体71に密着される。また扉16が閉じた後、緩衝部材76は切削油等が筐体5内に浸入することを防止する。上述したように、取付部772は板本体71の外面より少し内寄りに設けられ、蝶番9の蝶片92は、台板93上に設けられ、板本体81の連結端部側に凹部を有するので、板本体81の連結端部と取付部772とは嵌り合い、板本体71と板本体81とが略同一平面上にあって外観が良好である。
【0045】
本実施の形態のマシニングセンタは以上のように構成されているので、最大でも板体18の横幅分、扉16を筐体5から突出させるのみで、扉16を開閉することができる。板体17の取付部772に蝶番9の蝶片91が取り付けられ、取付部772が張出部72,73の端部から突出している分、該端部が蝶番9の軸部90から離隔しているので、板体18を板体17側に折り畳む場合に張出部72,73が妨げになることがなく、板体18を板体17側に折り畳んだ状態で円滑に扉16を開閉することができる。補強部771により扉16の連結部分の強度は確保されている。扉16を半分に折り畳んだ状態で開閉するので、扉開閉用のスペースは従来の一枚扉の場合の略半分で済み、マシニングセンタの前後方向の長さを短くすることができ、設置スペースを低減することができる。
チップコンベア15、回収ボックス19、及びクーラントタンク20等の付属機器は、扉16が開いた場合にチップコンベア15の傾斜部152に扉16が当たらないように配置すればよく、本実施の形態の場合、扉16は略半分に折り畳んだ状態で開くので、従来の一枚扉の場合と比較して、扉の半分だけ、付属機器の配置の前後方向の長さを短くすることができる。従って、付属機器を含めたマシニングセンタの設置スペースを低減することができる。
【0046】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る制御部の扉26は、制御部の筐体5に枢支された板体27に板体28を連結してなり、連結部分の構成が実施の形態1及び2に係る連結部分の構成と異なる。
図26は、扉26が閉じられた状態を示す一部断面図である。図中、
図16と同一部分は同一符号を付している。
図26に示すように、板体27の板本体71の外面に蝶番9の蝶片91の外面が取り付けられ、板体28の板本体81の第1板体の外面に蝶番9の蝶片92の外面が取り付けられている。
【0047】
本実施の形態の扉26は以上のように構成されており、板体28を板体27の外側に折り曲げた状態で、扉26を開閉する。実施の形態1,2の扉6,16と異なり、自由端部を有する板体28を外側に折り曲げるので、扉26が一枚扉状に展開しないようにする。
本実施の形態のマシニングセンタは、上述したように板体28を板体27の外側に折り曲げた状態で扉26を開くことで、扉開閉用のスペースを従来の一枚扉の場合の略半分にすることができ、マシニングセンタの前後方向の長さを短くして設置スペースを低減することができる。チップコンベア15等の付属機器を含めたマシニングセンタの設置スペースを低減することができる。
【0048】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る制御部24の扉36は、制御部の筐体5に枢支された板体37に板体38を連結してなり、連結部分の構成が実施の形態1〜3に係る連結部分の構成と異なる。図中、
図6と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図27は、制御部24を示す斜視図である。
図27に示すように、板体37の張出部82の自由端部側にガイドローラ85が設けられており、制御部24の筐体5の開口部の上縁に沿って、ガイドレール52が設けられている。ガイドローラ85はガイドレール52に移動可能に係止されている。
【0049】
本実施の形態においては、板体38を板体37側に折り曲げた状態で、ガイドローラ85を扉36の枢支端部側に移動させることにより、扉36を開くことができる。
本実施の形態のマシニングセンタは、上述したように板体38を板体37の内側に折り曲げた状態で扉36を開くので、扉開閉用のスペースは従来の一枚扉の場合の略半分で済み、マシニングセンタの前後方向の長さを短くすることができ、設置スペースを低減することができる。チップコンベア15等の付属機器を含めたマシニングセンタの設置スペースを低減することができる。
【0050】
なお、上述の実施の形態においては、扉6,16,26,36が2枚扉である場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、3枚以上の板体を有する折り戸として構成することにしてもよい。
本発明は上述した実施の形態1〜4の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。