【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0031】
<合成例1:AlPO
4の合成>
工程1−1:室温下で、ビーカーにイオン交換水50mlを加え、撹拌子を入れ、撹拌した。
工程1−2:0.05molの硝酸アルミニウム9水和物(ナカライテスク製)を秤量し、上記イオン交換水に加え、撹拌しながら溶解させた。
工程1−3:別のビーカーに85wt%のリン酸(ナカライテスク製)をリン酸量換算で0.05mol秤量し、工程1−2の水に加え、撹拌を続けた(ビーカーに残ったリン酸は、イオン交換水を用いて、混合液のビーカーに加えた)。
工程1−4:混合液のビーカーに、28wt%アンモニア水(ナカライテスク製)を、ピペットを用いて少量ずつ滴下し、pHが4.3±0.3となるように調整した。
工程1−5:混合液のビーカーに蓋をして12時間室温で撹拌した。
工程1−6:混合液を遠心分離機(3000rpm×10分間)にかけ、沈殿物と上澄みに分けた。
工程1−7:沈殿物にイオン交換水を適量加え、もう一度遠心分離機にかけた(洗浄工程)。
工程1−8:沈殿物を120℃の乾燥機で12時間乾燥させた。
工程1−9:乾燥物を乳鉢に入れ、乳棒を使って解砕し、粉末状にした。
工程1−10:粉末を電気炉中1100℃で5時間焼成し、約6gの粉末を得た。
<製造例1:Pd担持体の製造>
工程2−1:室温下で、AlPO
4粉末を6g秤量し、イオン交換水30mlと撹拌子を入れたビーカーに入れ、撹拌した。
工程2−2:Pd粒子の平均粒径0.7nmの硝酸パラジウム水溶液を、Pd担持量が0.50wt%となるよう秤量し、工程2−1のビーカーに加え、撹拌した。
工程2−3:工程2−2のビーカーを加熱撹拌し、水分がなくなるまで蒸発乾固させた。
工程2−4:工程2−3の乾固物を120℃の乾燥機中で12時間乾燥させた。
工程2−5:乾燥物を乳鉢に入れ、乳棒を使って解砕し、粉末状にした。
工程2−6:この担持粉末を電気炉中500℃で3時間焼成した。
工程2−7:焼成後の粉末をペレット状に成型した。
【0032】
(実施例1)
上記<合成例1>および<製造例1>の手順により、平均粒径0.70nmのPd担持AlPO
4触媒を得た。
(実施例2、3)
工程2−2中の硝酸パラジウム水溶液の代わりに、パラジウム−pvpコロイド溶液(Pd粒子の平均粒径:1.0nm)(実施例2)、パラジウム−pvpコロイド溶液(Pd粒子の平均粒径:2.0nm)(実施例3)をそれぞれ用いたことを除き、(実施例1)と同様の手順で、触媒粉末(実施例2、3)を得た。
(比較例1、2)
工程2−2中の硝酸パラジウム水溶液の代わりに、酢酸パラジウム水溶液(Pd粒子の平均粒径:0.30nm)(比較例1)、パラジウム−pvpコロイド溶液(Pd粒子の平均粒径:2.3nm)(比較例2)をそれぞれ用いたことを除き、(実施例1)と同様の手順で、触媒粉末(比較例1、2)を得た。
(比較例3〜7)
担体として<合成例1>で得たAlPO
4の代わりに、Al
2O
3(サソール製、La
2O
31.0wt%添加Al
2O
3)を使用した以外は、それぞれ比較例1、実施例1、実施例2、実施例3、比較例2と同様の手順で触媒粉末(比較例3〜7)を得た。
【0033】
<製造後のPdの平均粒径の測定>
Pd粒子の平均粒径は、硝酸パラジウムもしくは酢酸パラジウム等の水溶液であるPd薬液またはコロイド水溶液を採取し、ゼータ電位・粒径測定システム ELSZ−2(大塚電子株式会社製)を用いて室温下で測定し、粒子径分布の積算値50%における粒径とした。
【0034】
<熱耐久処理後のPdの結晶子径の測定>
熱耐久処理後のPdの結晶子径を、試料水平型強力X線回析装置 RINT−TTRIII(メーカー名:(株)リガク)を用いて測定した。
結晶子径の算出には2θ=40.0〜40.2°付近をPdのピークとして使用した。
【0035】
(触媒評価法)
触媒粉末を2tの圧力を加えて圧縮成形した後、これを粉砕し直径2.5mm程度のペレットに圧縮成形したものを評価サンプルとした。
<熱耐久処理>
工程3−1:ペレットを3g秤量し、COとO
2ガスおよび水蒸気を添加できるアルミナ製反応管に入れた。
工程3−2:この反応管を電気炉で加熱し、反応管内に、2体積%のCO(残余N
2)のガスと、5体積%のO
2(残余N
2)のガスとを2分間隔で交互に流通させた。水蒸気をガスに常時5体積%添加した。また、ガス量は10L/分とした。
工程3−3:アルミナ製反応管内の温度が1000℃になるよう、電気炉を加熱し、5時間の間ガス流通下で保持した。
【0036】
<触媒の活性評価>
熱耐久処理後の触媒の活性評価を、ガス流通式の触媒評価装置を用いて浄化率を測定することにより行った。
サンプル量は、各1.5gとした。
モデルガスとして、体積で、CO:0.65%、C
3H
6:3000ppmC、NO:1500ppm、O
2:0.7%、H
2O:3%、CO
2:10%、N
2:残余のモデルガスを用いた。ガス流量は、15L/分であり、SVは約300000時間
−1であった。
浄化率測定は、
図1のグラフに示すように、150℃まで20℃/分の昇温速度で昇温し(昇温)、5分間、150℃に保った後に(安定化)、20℃/分で600℃まで昇温し(昇温)、600℃で3分間維持して、触媒通過後のガス組成を、赤外分光計(メーカー名:(株)堀場製作所、型番:MEXA−6000FT)を用いて測定し(浄化率測定保持)、この測定値から下記の式により浄化率を算出した。
浄化率(%)=(触媒の入りガス濃度(体積%)−触媒の出ガス濃度(体積%))/触媒の入りガス濃度(体積%)×100
【0037】
(結果)
実施例1〜3および比較例1〜2で得られたリン酸アルミニウム焼成体の粉末をX線回折計器(メーカー名:(株)リガク、型番:RINT)で測定したところ、トリディマイト型結晶構造を有するリン酸アルミニウム焼成体の生成が確認された。
【0038】
さらに、
図1および
図2に触媒特性評価結果のグラフを示す。
本発明に係る触媒では、下記実施例1〜3、および
図2のグラフに示されているように、平均粒径0.50nm〜2.0nmのPd粒子を含浸法により0.50wt%担持したAlPO
4触媒では、600℃のNOxについて、熱耐久処理後でも、驚いたことに、約78%の浄化率を示す従来触媒(Pd担持Al
2O
3)(
図2中(d)〜(e))より優れた浄化率80%超の浄化能(
図2中(a)〜(c))を示した。
【0039】
そして、下記実施例1〜3および比較例1、2、ならびに
図3のグラフに示されるように、0.50nm未満および2.0nm超の平均粒径のPd粒子を含浸法により担持したAlPO
4触媒では、熱耐久処理後において、約40nm超(
図3中(d)、(e))と、結晶子径が大幅に成長してしまい、本発明に係る触媒(
図3中(a)〜(c))より、大きな粒径となってしまった。
【0040】
上記のように、本発明の態様に係る平均粒径0.50nm〜2.0nmのPd粒子を担持したAlPO
4触媒(実施例1〜3)は、平均粒径が0.50nm未満若しくは2.0nm超(比較例1、2)であるPd粒子を担持するAlPO
4触媒、およびPd担体Al
2O
3触媒(比較例3〜7)の両方に対して、熱耐久処理後でも良好な触媒活性を維持した。そして、本発明の態様に係る触媒と、比較例および従来の触媒との性能差には、上記平均粒径0.50nm〜2.0nmのPd粒子による、AlPO
4上での粒成長の抑制が、大きく影響することが明らかになった。