特許第5831415号(P5831415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5831415
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/00 20060101AFI20151119BHJP
【FI】
   B60R21/00 628D
   B60R21/00 622C
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-204650(P2012-204650)
(22)【出願日】2012年9月18日
(65)【公開番号】特開2014-58247(P2014-58247A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2014年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(72)【発明者】
【氏名】平槇 崇
(72)【発明者】
【氏名】足立 淳
(72)【発明者】
【氏名】立花 裕之
(72)【発明者】
【氏名】山下 智久
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 一矢
【審査官】 重田 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−500225(JP,A)
【文献】 特表2009−502636(JP,A)
【文献】 特開2002−154396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を自車両の少なくとも横外側方向に向けて、水平より所定角度を有する円錐面の内部に照射する照射部と、
前記超音波の物体からの反射波を受信する受信部と、
前記自車両目標駐車領域に向けて移動する際に、当該目標駐車領域の奥側に存在している物体からの前記反射波により得られる反射波データに基づいて特定した前記物体の検出状態の変化から前記物体の高さに関する特徴を判定する物体判定部とを備え
前記物体判定部は、前記自車両が所定の距離を移動する毎に、前記反射波データを格納する記憶部を備え、
前記検出状態が、前記格納した反射波データを二次元マップ化すると共に、マップ化した前記反射波データの分布状態に基づいて前記反射波データをグループ化した際の、夫々のグループ化した前記反射波データに基づいて算出される検出頻度であり、
前記物体判定部が、前記自車両が所定の距離を移動する毎の反射波データから前記二次元マップを作成し、前記検出頻度の疎密状態から高さに関しての高物体または低物体を判定する駐車支援装置。
【請求項2】
前記物体判定部は、前記グループ化した領域の形状が前記目標駐車領域の設置位置に沿った長尺状であり、前記グループ化した領域の複数が前記目標駐車領域の設置位置に沿って並んでいるとき、夫々の領域の前記検出頻度が高い状態から低い状態に変化する物体を縁石と判定する請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記物体判定部は、前記グループ化した領域の形状が前記目標駐車領域の設置位置に沿った長尺状であり、前記グループ化した領域の複数が前記目標駐車領域の設置位置に沿って並んでいるとき、夫々の領域の前記検出頻度が変化しない場合、あるいは、低い状態から高い状態に変化する場合に、当該物体を壁と判定する請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記検出状態が、前記グループ化した領域を前記目標駐車領域の設置位置に沿って直線近似すると共に、当該領域に含まれる反射波データの数を、直線近似した直線の長さで除した演算値である請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記物体判定部は、近似直線が前記目標駐車領域の設置位置に沿って並んでいるとき、夫々の近似直線の前記演算値が高い値から低い値に変化する場合、当該物体を縁石と判定する請求項4に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記物体判定部は、近似直線が前記目標駐車領域の設置位置に沿って並んでいるとき、夫々の近似直線の前記演算値が変化しない場合、あるいは、低い値から高い値に変化する場合に、当該物体を壁と判定する請求項4に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記物体判定部は、前記物体からの反射波を受信する際に、前記目標駐車領域に対して特定範囲に存在する物体からの反射波を評価対象とする検出範囲設定部を備えている請求項1から6の何れか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
前記物体判定部は、前記反射波のうちの前記受信部に最も近い物体からの反射波に基づいて前記判定を行う請求項1から7の何れか一項に記載の駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を自車両の少なくとも横外側方向に向けて照射する照射部と、前記超音波の物体からの反射波を受信する受信部とを備える駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
目標駐車領域の奥側(目標駐車領域への自車両の進入側とは逆の側)に沿って高い壁や手摺りなどの物体が設置されている場合、その物体は駐車の妨げになる。
このため、従来から特許文献1に示すような、目標駐車領域の奥側に沿って障害物が設置されているか否かを判断する駐車支援装置がある。
【0003】
この駐車支援装置では、自車両を目標駐車領域に進入させる前の、自車両を目標駐車領域の設置位置に沿って前進走行させる際に、その目標駐車領域の奥側に向けて超音波を所定時間間隔で照射し、物体までの距離を測定する。
その結果、駐車路面からの突出高さが低い、例えば、縁石などから反射された反射波と、駐車路面からの突出高さが高い壁などから反射された反射波とを測定して、障害物の有無を判断する。
【0004】
これにより、縁石などの低位置にある物体の距離と、壁など高位置にある物体との距離とを比較し、夫々の物体までの距離の差が所定の値以上であれば、高位置にある物体は低位置にある物体よりも充分に遠い位置にあるとして駐車の障害物とは判断しない。一方、両物体までの距離の差が所定の値より小さい場合には、縁石などの近くに壁や手摺りなどが存在すると想定して、目標駐車領域に沿って障害物が存在すると判断していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−502636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来の駐車支援装置では、距離の異なる二つの物体を検出した場合には、近い方の物体を、縁石など駐車路面からの突出高さが低い物体であると想定している。つまり、この近い側の物体は障害物とは扱われない。その上で、遠い側の物体が障害物であるか否かが判断されている。
【0007】
また、従来の装置では、超音波を照射するのは、自車両を目標駐車領域に進入させる前の前進走行の段階である。よって、自車両から目標駐車領域の奥側に存在する物体までの距離が長くなり、物体からの反射波の減衰が大きくなって、物体の検出精度を高めるにも限界があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、物体の高さ情報を予め取得しておくことなく、物体の駐車路面からの高さ情報を得ることができる駐車支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る駐車支援装置は、超音波を自車両の少なくとも横外側方向に向けて、水平より所定角度を有する円錐面の内部に照射する照射部と、
前記超音波の物体からの反射波を受信する受信部と、
前記自車両目標駐車領域に向けて移動する際に、当該目標駐車領域の奥側に存在している物体からの前記反射波により得られる反射波データに基づいて特定した前記物体の検出状態の変化から前記物体の高さに関する特徴を判定する物体判定部とを備え
前記物体判定部は、前記自車両が所定の距離を移動する毎に、前記反射波データを格納する記憶部を備え、
前記検出状態が、前記格納した反射波データを二次元マップ化すると共に、マップ化した前記反射波データの分布状態に基づいて前記反射波データをグループ化した際の、夫々のグループ化した前記反射波データに基づいて算出される検出頻度であり、
前記物体判定部が、前記自車両が所定の距離を移動する毎の反射波データから前記二次元マップを作成し、前記検出頻度の疎密状態から高さに関しての高物体または低物体を判定する点に特徴を有する。
【0010】
このような駐車支援装置では、通常、照射部は自車両において路面から所定高さに設けられている。そのため、駐車路面(自車両が駐車する領域の路面)からの突出高さが低く、駐車時のドアの開閉等の妨げになるおそれが少ない縁石のような物体は、自車両を目標駐車領域に進入させる過程で、超音波の照射範囲から逸脱し易い。よって、このような低位置に存在する物体からの反射波の受信状態は、自車両の目標駐車領域への進入に伴って変化する。
【0011】
一方、壁のような、駐車路面からの突出高さが高く、駐車の妨げになるおそれがある物体は、自車両を目標駐車領域に進入させる過程で、超音波の照射範囲から逸脱することは少ない。よって、このような高位置に存在する物体からの反射波の受信状態は、自車両の目標駐車領域への進入に伴ってそれほど変化しない。
【0012】
本構成の駐車支援装置は、このような自車両の目標駐車領域への進入に伴い、当該目標駐車領域の奥側に存在している物体からの反射波により得られる反射波データに基づいて物体の検出状態を把握し、この検出状態の変化に基づいて、当該物体の高さに関する特徴を判定するものである。
本構成の駐車支援装置は、車両が目標駐車領域に進入する際に、物体の検出状態がどのように変化するかを捉えることで、単に一つの超音波センサを用いるだけで物体の高さ情報を得ることができる。
【0014】
一般の超音波センサは、所定時間間隔で超音波を発している。しかし、駐車支援に際して目標駐車領域の側方に存在する物体を検出する際に、不必要に精密な形状を特定する必要はない。また、本発明は車両が走行しつつ物体の検出状態を特定する必要があるため、演算負荷あるいは演算速度を向上させる必要がある。
そのため、本発明では、自車両が所定の距離を移動する毎に、受信部が受信した反射波データを記憶部に格納するように構成している。つまり、車両の速度等とは無関係に、車両の走行距離に応じて反射波データを格納する。このため、例えば、車両の運転者が走行速度を変化させた場合でも、個々の区間毎に格納データの数が変動することがなく、演算負荷が増大することもない。本構成であれば、必要最小限の反射波データを用いて物体の検出状態を特定することができるから、効率的な駐車支援装置を得ることができる。
【0016】
本構成のごとく、反射波データをマップ化することで、探知した物体の大凡の形状を知ることができる。例えば、当該形状としては、駐車に際して障害物となる壁や縁石等の長尺状のものであるか、あるいは塊状のものであるか等を区別することができる。
一方、その物体が長尺状のものであったとしても、高さの高低は形状だけでは不明である。そこで、本構成では反射波データの例えば分布状態に基づいて反射波データをグループ化する。上述のごとく、壁など背の高い物体には超音波は常に照射され反射されるから、反射波データの検出頻度は密なものとなる。一方、縁石などの背の低い物体には場合によっては超音波が上手く照射されないから、反射波データの検出頻度は疎なものとなる。
【0017】
このように、反射波データから算出した検出頻度に注目することで、その物体からの反射波の反射状況を区別することができる。反射波データからみた物体ごとの検出状態は事前に把握しておくことが可能である。よって、本構成であれば、物体の形状が把握できるだけでなく、物体の高低をも容易に知ることができる。
【0018】
本発明に係る駐車支援装置においては、前記物体判定部は、前記グループ化した領域の形状が前記目標駐車領域の設置位置に沿った長尺状であり、前記グループ化した領域の複数が前記目標駐車領域の設置位置に沿って並んでいるとき、夫々の領域の前記検出頻度が高い状態から低い状態に変化する物体を縁石と判定することができる。
【0019】
上記のごとく、高さの低い縁石は、超音波を発射する車両が接近するほど、超音波の照射範囲から逸脱する傾向がある。よって、グループ化した領域の形状が長尺状であり、そこに含まれる反射波データの検出頻度が高い状態から低い状態に変化する場合は、その物体は背の低い縁石であると判断することができる。
【0020】
本発明に係る駐車支援装置においては、前記物体判定部は、前記グループ化した領域の形状が前記目標駐車領域の設置位置に沿った長尺状であり、前記グループ化した領域の複数が前記目標駐車領域の設置位置に沿って並んでいるとき、夫々の領域の前記検出頻度が変化しない場合、あるいは、低い状態から高い状態に変化する場合に、当該物体を壁と判定することができる。
【0021】
壁のような背の高い物体に対しては、車両から物体までの距離が遠過ぎる場合を除いて超音波は物体に確実に照射される。よって、この場合には、グループ化した領域の形状が長尺状であり、そこに含まれる反射波データの検出頻度が変化しないか、低い状態から高い状態に変化する場合には、その物体は背の高い壁であると判断することができる。因みに、反射波データの検出頻度が低い状態から高い状態に変化する場合とは、自車両の走行に伴なって徐々に壁に近付く結果、反射波の分散が減少して受信精度が高まっていく場合などが含まれる。
【0022】
本発明に係る駐車支援装置においては、前記検出状態を、前記グループ化した領域を前記目標駐車領域の設置位置に沿って直線近似すると共に、当該領域に含まれる反射波データの数を、近似した直線の長さで除した演算値とすることができる。
【0023】
本発明では、検出したい物体を壁あるいは縁石などの長尺状の物体に限定する。その場合、マッピングした反射波データは直線状に近似するよう規定しておけば、データ処理の演算負荷が小さくなる。ただし、本発明では、それらの物体の高低情報を把握する必要がある。そこで、一つのグループに於いて、近似した直線の長さを求めると共に、当該グループに含まれる反射波データの数を当該直線の長さで除し、演算値を得る。この数値は、近似直線の単位長さあたりに存在する反射波データの数である。この演算値を特定の物体毎に求めておき、その物体の検出状態として予め把握しておくことで、その後の物体の特定判断が容易となる。
また、本構成のごとく反射波データを直線近似することで、例えば、モニターなどに物体の形状を模式化して表示し易くなる。その結果、車両の運転者が周囲に存在する物体の存在を把握し易くなる。
【0024】
本発明に係る駐車支援装置においては、前記物体判定部は、近似直線が前記目標駐車領域の設置位置に沿って並んでいるとき、夫々の近似直線の前記演算値が高い値から低い値に変化する場合、当該物体を縁石と判定することができる。
【0025】
このような近似直線の演算値の高低の特性は、上記反射波データのグループ化した領域における検出頻度の特性と同義である。よって、本構成のごとく、演算値が高い値から低い値に変化する場合には、当該物体を縁石と判定することができる。近似した直線について演算値の差を設ける場合には、例えば、演算値が高い場合にはモニターに実線で表示し、演算値が低い場合には点線で表示するなど、各種の手法を用いて区別することができる。
【0026】
本発明に係る駐車支援装置においては、前記物体判定部は、近似直線が前記目標駐車領域の設置位置に沿って並んでいるとき、夫々の近似直線の前記演算値が変化しない場合、あるいは、低い値から高い値に変化する場合に、当該物体を壁と判定することができる。
【0027】
このように、当該演算値が変化しない場合、あるいは、低い値から高い値に変化する場合には、当該物体を壁と判定することができる。
【0028】
本発明に係る駐車支援装置においては、前記物体からの反射波を受信する際に、前記目標駐車領域に対して特定範囲に存在する物体からの反射波を評価対象とする検出範囲設定部を、前記物体判定部に備えておくことができる。
【0029】
本構成のごとく、目標駐車領域に対して特定範囲に存在する物体からの反射波だけを評価対象にすることで、例えば隣接する駐車車両の角部で反射した反射波データを排除することができる。よって、不要な反射波データによって、物体の形状認識に誤差が生じ難く、また、演算処理の負荷が軽減された駐車支援装置を得ることができる。
【0030】
本発明に係る駐車支援装置において、前記物体判定部は、前記反射波のうちの前記受信部に最も近い物体からの反射波に基づいて前記判定を行うよう構成することができる。
【0031】
本構成のごとく、反射波データの取得に際して、物体からの反射波の全てではなく、受信部に最も近い物体からの反射波のみを評価対象とすることで、物体判定部における判定処理の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】駐車支援装置を示すブロック図
図2】目標駐車領域を説明するための平面図
図3】縁石と壁とが並設されている場合のソナーによる検出動作を示す説明図
図4】縁石と壁とが並設されている場合のソナーによる検出動作を示す説明図
図5】縁石と壁とが並設されている場合のソナーによる検出動作を示す説明図
図6】反射波データに基づいて作成した二次元マップの一例を示す説明図
図7】反射波データに基づいて作成した二次元マップの一例を示す説明図
図8】反二次元マップから得た近似直線の反射波検出頻度を示す説明図
図9】第1実施例に係る二次元マップの例を示す説明図
図10】駐車支援制御のフローチャート
図11】検出範囲設定部により設定する判定範囲の説明図
図12】第2実施例に係る二次元マップの例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る駐車支援装置の構成図を示す。
駐車支援装置Aは、例えば図2に示すように車両通路1の片側に沿って駐車車両2の間に設定した目標駐車領域3に、自車両4を縦列駐車させる電子制御ユニット5(以下、単にECU5という)を備えている。
【0034】
ECU5は、図2に示すように、目標駐車領域3と、その目標駐車領域3への車両通路1の側からの駐車移動経路6とを設定し、自動操舵による駐車支援制御を実行して自車両4を後進移動させる。
【0035】
ECU5には、駐車車両2や目標駐車領域3の奥側に沿って設置してある物体7としての縁石7a或いは壁7bなどの存在位置を検出するソナー8と、目標駐車領域3の奥側に沿って設置してある物体7の駐車路面1aからの突出高さに関する特徴を判定する物体判定部9と、物体判定部9による判定結果に基づいて駐車移動経路6を補正する経路補正部10とを接続してある。
【0036】
ソナー8は、図2に示すように、自車両4の後輪近くの左右両側に装着してあり、ここから超音波が左右対称方向に、あるいは、駐車態様に応じて左右何れか一方向に照射される。ソナー8は、図1に示すように、超音波を例えば数ミリ秒程度の所定時間間隔で照射する照射部8aと、当該超音波に係る駐車車両2又は物体7からの反射波を受信する受信部8bと、超音波の往復時間に基づいて物体7の存在位置を検出する位置検出部8cとを備えている。
【0037】
照射部8aは、図3乃至図5に示すように、車両前後方向に対して直交する略水平な基準軸Bの方向に照射される。ただし、超音波は、基準軸Bに対して角度αを有する円錐面11aの内部に照射されるから、超音波の照射範囲11は自車両4から離間するほど広がり、遠距離側ほど超音波は減衰する。
【0038】
ソナー8には、適切に物体を検出することが出来る最大検出距離LMが基準軸Bに沿って設定されている。これ以上遠い物体は、超音波の減衰が過大となって必ずしも正確な測定が出来なくなる。本実施形態では、最大検出距離LMは、例えば自車両4の横幅と略同じ距離乃至は2倍の距離に設定してある。
このソナー8による物体7からの反射波に基づき、本実施形態では、目標駐車領域3に沿って存在する縁石7aあるいは壁7bを、形状を特定しつつ検出する。
【0039】
本実施形態では、自車両4の左右に夫々一つ設けたソナー8を用い、自車両4が目標駐車領域3に向かって進入している最中に、検出した物体7が例えば縁石7aであるか壁7bであるかの判別を行う。そのためには、以下のようなソナー8の特性を利用する。
【0040】
図3乃至図5は、駐車路面1aからの突出高さの低い縁石7aと、突出高さの高い壁7bとに対して超音波を照射した例を示す。このうち縁石7aの高さは通常20cm程度である。よって、タイヤが縁石7aに接触しないのであれば、自車両4のドアが開閉しても縁石7aに接触することはなく、自車両4の駐車に際して縁石7aが障害となることは少ない。
ソナー8は、図3に示すごとく、自車両4の所定の高さの位置に設けてある。よって、図3および図4のごとく、自車両4の位置が縁石7aからある程度の距離だけ離れている場合には、縁石7aを物体として検出することが出来る。
一方、図5に示すごとく、自車両4が縁石7aに近付き、縁石7aが超音波の照射範囲11から逸脱するようになると縁石7aを検出できなくなる。
よって、縁石7aの検出態様としては、当初、縁石7aは明瞭に検出できているが、自車両4の接近に伴なって検出が困難となり、ついには検出できなくなるといったものになる。
【0041】
尚、自車両4におけるソナー8の装着高さ、および、ソナー8の照射範囲11は既知であるから、物体7が何れの距離で検出不能になるかを測定することで、物体7の高さを知ることが出来る。
【0042】
また、図3乃至図5には、駐車路面1aからの突出高さの高い壁7bに対して超音波を照射した例も併せて示す。この場合は、図4および図5に示すごとく、自車両4と壁7bとの距離に拘わらず、超音波は確実に壁7bに照射される。ただし、図3に示すごとく、自車両4と壁7bとの距離が最大検出距離LM以上の場合は、壁7bを検出することはできない。
【0043】
一方、自車両4と壁7bとの距離が短くなった場合でも、多くの場合は壁7bを検出することが出来る。ソナー8には、それ以上物体に接近すると物体を検出することができない最小検出距離が存在するが、この最小検出距離は、通常、数十cmと短い。よって、扉を開閉できる程度に壁7bと自車両4との距離を設定する本実施形態においては、当該最小検出距離は無視することができる。
以上のことから、壁7bの検出態様としては、当初、壁7bは最大検出距離LM以上に離れているため壁7bを検出することはできないが、自車両4が壁7bに対して最大検出距離LMよりも近付いた場合には、壁7bを明確に検出できるようになるといったものになる。
【0044】
このように高さの異なる障害物から得られる反射波データの特性を利用して、本実施形態では以下のごとく障害物判定を行う。
尚、ここで反射波データとは、障害物からの反射波に基づいて算出される自車両4(ソナー8)から障害物までの距離データを指す。
【0045】
図6及び図7には、反射波データに基づき、路面上において物体7がどのように存在するかをプロットした二次元マップを示す。
これらの図では、横方向に縁石7a或いは壁7b等の物体7を設置し、この物体7に向けて自車両4がS字カーブを描きながら接近する際に得られた物体7の位置を示している。自車両4が物体7に対して後退接近する間、ソナー8は一定の時間間隔で発信部8aから超音波を照射する。この一定の時間間隔は使用するソナー8の規格などによって予め設定されている。一般的には、ソナー8が超音波を照射する都度、受信部8bが反射波を受信し、位置検出部8cが物体の位置を演算する。ソナー8は、超音波を一定時間間隔で照射し、その反射波を受信するので、送受信データを全て蓄積することも可能である。しかし、仮に自車両4の走行速度が変化すると、単位走行距離当たりに蓄積されるデータ数が変動し、判定基準が異なるものになるため好ましくない。また、過剰に多くのデータを演算して記憶する必要もない。
【0046】
そこで、本実施形態の装置では、受信部8bが得た全ての反射波データを用いるのではなく、自車両4が所定の距離を走行する毎に得られた反射波データのみを物体判定部9の記憶部9bに格納する。これにより、障害物を検出するために必要最低限のデータ処理を行えばよく、処理効率が向上し、判定基準も安定する。
具体的には、まず、物体7からの反射波から求めた物体7までの距離データ(反射波データ)を記憶部9bに格納する。さらに、この反射波データに基づいて路面平面上での物体7の検出位置を演算して、図6に示すごとく二次元マップを作成する。この際、自車両4におけるソナー8の照射範囲11は既知であり、また、距離データを得たときの自車両4の位置と姿勢(傾き)は、ステアリング角やGPSデータ等から求められる。よって、自車両4が所定の距離を走行する毎の反射波データから、上記二次元マップを作成することができる。
【0047】
この二次元マップに基づいて物体7の検出状態を判断するが、その際には、予め設定した数のプロットを用いて物体7を直線近似する。図6には、自車両4が位置P1に達した状態を示している。この状態では、記憶部9bには、自車両4が所定の距離を進む毎に格納したZ回分の反射波データが記憶されている。これらの反射波データに基づいて物体7の位置に関するデータが演算され、それらが、図6に示すごとく二次元マップ上にプロットされる。因みに図7は、その後、自車両4が位置P2に達し、それまでに格納したZ回分の反射波データを処理して作成した二次元マップの例である。
【0048】
尚、記憶部9bに対しては、必ずしもZ個分のデータが格納されるとは限らない。物体7の状態によっては、所定のデータ格納タイミングであっても反射波が得られず、反射波データを格納できない場合があるからである。
【0049】
このZ回分のプロットを得た後、これらのプロットに基づいて物体7を直線近似する。本実施形態では、ソナー8が検出するのは縁石7aおよび壁7bであって、何れも目標駐車領域に沿って直線状に存在する。よって、上記Z回分の物体に関する位置データを用いて物体を直線近似する。
【0050】
直線近似は、例えば、現在から過去までZ回分のプロットを、例えば、ハフ変換やRANSAC或いは平均二乗法など各種の算術手法を用いて行うことができる。また、得られたプロットのうち同一物体を示すものと判断できるプロットの集合のうち最初のものと最後のものとを単に直線で結んでもよい。このようにして例えばn回目の演算で得られた直線は、上記二次元マップ上において、 Y=an・X+bn のような直線式で表すことができる。
【0051】
このような直線近似および数式化は、新たな反射波データが格納される度に再演算される。つまり、既に格納されたZ回分のデータに対し、新たな反射波データが記憶部9bに格納されると、入れ替わりに最古の反射波データが削除される。
図6では直線式として Y=a1・X+b1が求められる。図7では直線式として
Y=a2・X+b2が求められる。これらのプロットが同じ物体7からの反射波データに基づくものであれば、a1≒a2、かつ、b1≒b2となる。尚、係数aおよび係数bについて予め許容できる偏差(しきい値)を設定しておくことで、演算毎に得られる近似直線が同じ物体7を示すものか否かを判断することができる。
【0052】
このように特定した直線状の物体7は、まだ、縁石7aであるか壁7bであるかは不明である。そこで、直線化を行う一方、その直線化に用いられたZ回分の反射波データの検出頻度を計算する。前述のごとく、壁7bからは比較的安定的に反射波が返ってくるが、高さの低い縁石7aの場合には、自車両4との距離によっては反射波が得られにくい。そこで、以下に示すように反射波の検出頻度を求めることで、検出した物体7が縁石7aであるか壁7bであるかを特定する。
【0053】
例えば、図6に示すように自車両4がP1に達したとき、それまでには最大でZ個のプロットが得られているはずである。しかしながら自車両4と物体7との距離関係などによって上手く反射波データが得られないことがある。そのため、二次元マップ上に示されるプロットの数Znは、通常はZ個よりも少なくなる。本実施形態では、新たな反射波データの格納タイミングが訪れる毎に、例えば、二次元マップ上に示されているプロットの数Znを確認し、これを最大総数であるZで除し、検出頻度Knを求める。
検出頻度Kn(%)=(Zn/Z)×100
また、この他に、同じ物体を示すZn個分のプロットの集合を直線近似した場合の、当該直線の長さをLnとして、 検出頻度Kn(%)=(Zn/Ln)×100 としてもよい。
当該検出頻度Knは、二次元マップ上にプロットされる物体に関する位置データの疎密度を表すものと解釈することができる。物体判定部9は、この検出頻度Knの増減傾向に基づいて、物体7が縁石7aであるか壁7bであるかを判断する。
【0054】
そのために、図8に示すごとく、物体7に関する位置データの演算タイミングと、求めた検出頻度Knとの関係に着目する。図8では、横軸に走行距離をとり、縦軸には演算した検出頻度Knをとっている。演算検出頻度Knは、自車両4の所定の走行距離毎に反射波データを格納し、そのタイミング毎に演算されるから、図8の横軸は単に演算の回数を記しているともいえる。図8の例では、当初、略全ての機会に反射波データを取得できたため検出頻度Knは100%に近い値を示している。しかしその後、例えば自車両4の縁石7aへの接近に伴なって反射波データが受信できなくなり、検出頻度Knが次第に減少する。図8に示すように、検出頻度Knについては予め閾値Zaを設定しておく。ここでは、例えば50%に設定している。図8に示すごとく、検出頻度Knが減少し、あるタイミングで閾値Zaを下回る場合、検出頻度Knの減少は、上述のごとく、自車両4が背の低い縁石7aに接近したことに起因すると判断できる。よって、図8のような傾向が得られた場合には、当該物体7は縁石7aと判定することができる。
【0055】
以下には、このような判定手法を用いた駐車支援制御の一実施例を示す。
駐車支援制御は、運転者の支援開始操作によって開始される。例えば図2に示すごとく、自車両4が車両通路1を前進走行しており、走行方向の前方側に駐車可能な空き領域を見つけた運転者が、運転席近くにあるタッチ式ディスプレイ(図示せず)の支援開始操作部(図示せず)をON操作することで駐車支援制御が開始される(図10、ステップ#1)。
【0056】
支援開始操作部がON操作されると、例えば図2に示すように、そのときの自車両4の位置を原点とするX−Z座標を設定すると共にソナー8が作動開始する(図10、ステップ#2)。
自車両4の前進走行に伴ない、ソナー8は、空き領域の前後に駐車してある駐車車両2の車両側面の位置を検出する(ステップ#3)。前進走行を終了した自車両4は、自己の存在位置を検出し、その位置を基準に、図2に示すような目標駐車領域3と当該目標駐車領域3までの駐車移動経路6とを設定する(ステップ#4)。
【0057】
目標駐車領域3は、特に前方側の駐車車両2aの側面部分を基準に設定される。通常は、駐車車両2aの側面の方向に基づいて、目標駐車領域3の並び方向を設定する。また、目標駐車領域3の前後に駐車車両2がある場合には、前後の駐車車両2の夫々から所定間隔を隔てた中央位置に目標駐車領域3が設定される。
【0058】
ECU5は、目標駐車領域3が設定されると、駐車移動経路6を演算する。後退移動の初期では駐車車両2aに接触しないように円弧状の初期経路6aが設定される。駐車車両2aを回避した位置からは、目標駐車領域3の奥側に向けて直線状の直線経路6bが設定される。さらに、移動経路6が目標駐車領域3の設置位置に沿うように、再び円弧状の終期経路6cが設定され、全体として連続する略S字状の経路が設定される。
【0059】
この後、運転者が例えばシフトレバー(図示せず)を後進位置に操作することで、自動操縦による後進移動が開始される(図10、ステップ#5)。
【0060】
自車両4の後進移動に伴ない、ソナー8による物体7の探知が開始される(図10、ステップ#6)。自車両4が所定距離だけ後退する毎に、物体7からの反射波データが記憶部9bに格納される。
【0061】
尚、図11に示すごとく、物体判定部9は、反射波を受信する際に、目標駐車領域3に対して特定範囲に存在する物体7からの反射波のみを評価対象とする。これは、物体判定部9の中に備えた検出範囲設定部9aが、矩形の特定範囲12を設定することで行う。
【0062】
特定範囲12は、図11に示すように、二点鎖線で示された目標駐車領域3のうち後輪軸の中央位置RCから奥側にあって、前後の駐車車両2の間に矩形状に設定される(図10、ステップ#7)。例えば、目標駐車領域3から奥側に5m、自車両4の後方側に1m、自車両4の前方側に1mの判定範囲12が設定される。
なお、自車両4の後方側及び前方側の範囲については、目標駐車領域3の前後に存在する駐車車両2の位置を考慮して、これら駐車車両2に重ならないように適宜設定することとしてもよい。
【0063】
このように、後輪軸の中央位置RCから奥側にだけ判定範囲を設定することで、自車両4が最初の前進走行を行って目標駐車領域3を設定する際に、駐車車両2からの反射波をカットすることができる。これにより、駐車車両からの反射波がノイズとなることがなく、奥側にある物体7の位置検出が正確なものとなる。さらに、反射波による探知領域を制限することで、物体7の位置特定に係る演算負荷を少なくすることもできる。
【0064】
ソナー8が物体7を探知すると、物体判定部9は、その物体7が、縁石7aであるか壁7bであるかを判定する(図10、ステップ#7,8)。この判定は、上述のごとく、反射波データに基づいて算出した物体に関する位置データを二次元マップ化すると共に、二次元マップに示されるプロットの検出頻度Knの変化に基づいて行われる。
【0065】
図9に、得られた二次元マップの例を示す。
図9は、飛び石状の縁石7aと壁7bとが併設してある場所(図2参照)において、直近の物体7のみを検出可能なソナー8を用いて行った物体検出の例である。直近の物体からの反射波データのみを用いることで、物体7を特定するための演算負荷を軽減することができる。
例えば、自車両4が位置P1にあるとき、そこに至るまでに得られた格納回数がZ回分の位置データが図9のように得られたとする。
【0066】
この場合は、例えばある距離内に存在するプロットどうしを一つのグループとして、それらについて個々に直線近似を行う。尚、グループ化についてはRANSAC等の既知の技術を用いてもよい。P1の位置においては四つの直線が特定できる。このうち、自車両4に近い側に連続する直線G1,G2が得られ、それよりも遠い位置に直線F1,F2が得られた。直線G1,G2および直線F2は実線で示したように、グループを構成するプロットの間隔が密な直線である。一方、直線F1は、プロットの間隔が疎な直線であり、破線で示した。これは、近くの物体7(直線G1,G2,F2)については反射波データが確実に得られた一方、遠くの物体7(直線F1)については、当初、自車両4からの距離が遠いために反射波データが確実に得られなかったことによる。
【0067】
前記実線表記と破線表記とは、検出頻度Knの差によるものである。ここでの検出頻度Knは、一つのプロット群のグループについて得られる直線の長さをLnとし、そのグループを構成するプロットの数をZnとして、
検出頻度Kn=(Zn/Ln)×100
とした。
仮に、一つの直線を形成するグループについて全てのプロットが完全に連続して得られた場合には、Zn/Lnは最大値を示す。よって、検出頻度Knに閾値を設定する場合には、この最大値に対して任意の係数を乗じて閾値を設定しておくとよい。図9における実線あるいは破線は、例えば、この閾値以上の値であったものを実線とし、閾値に満たなかったものを破線としたものである。
【0068】
図9のうち自車両4が位置P1にあるとき、物体が遠近二つ存在することが判明した。しかし、これらの高さ情報はまだ明らかではない。P1の位置におけるプロットでは、二つの直線G1と直線G2との間が途切れており、この途切れた状態の判定が問題となる。つまり、物体7そのものがなくなったのか、自車両4との距離関係で物体7を検出できなくなったのかを区別する必要がある。
【0069】
この点について、本実施例では、特定のプロットの並びが、自車両4から距離の異なる他のプロットの並びに突然変化した場合には、物体7そのものが途切れたと判断する。図9では、最初のG1のプロットの並びが突然途切れ、その代わりに自車両4から遠い位置にF2のプロットの並びが出現している。このような場合は、物体7の並びが二列あり、自車両4に近い側の物体7が途切れていると判断する。
ただし、これだけでは、これらの物体7の高さ情報は依然として不明である。よって、引き続き物体7からの反射波データに基づいて二次元マップの作成を継続する。
【0070】
次に、自車両4がさらに後退した位置P2でのプロットに着目する。自車両4に近い側の直線G3に係るプロットとその外側の直線F3に係るプロットとが頻繁に入れ代わり、近い側の直線G3では、プロットの間隔が疎な状態になったのち検出されなくなった。
一方、遠い側の直線F3では次第にプロットの間隔が密になり、そののち安定して出現するようになって直線F4となった。このように、短時間でプロットが入れ替わり、その後、近い側の物体7が検出できなくなるのは、この近い側の物体7の高さが低いからと判断できる。よって、このような検出結果から、近い側の物体7が縁石7aであり、遠い側の物体7が壁7bであることが分かる。
【0071】
このようにして物体7が、縁石7aもしくは壁7bと判定されると、この判定した結果を用いて運転者への報知が行われる。例えば、判定された縁石7aもしくは壁7bに対して車両が所定距離以下となるまで接近したときに、その旨を運転者に報知する(図10、ステップ#9)。この際、当該接近した対象が、縁石7aあるいは壁7bの何れであるかが運転者によって区別できるように、当該判定した対象毎に報知の方法(音など)を変更してもよい。
【0072】
もしくは、車室内に設けられたモニターの画面上に、自車両と、判定された縁石7aおよび壁7bとの相対的な位置関係が分かるような表示画面を表示してもよい。この際に、表示画面上で、判定された縁石7a及び壁7bが運転者によって区別できるように、夫々の表示形態を異ならせるとよい。
【0073】
この判定手法は一例であり、所定距離以内に近づいても密な点群として検出できるものを壁7bと判断することもできる。また、密から疎や疎から密への点群の変化を表示モニタなどで観察して判断してもよい。
【0074】
尚、上記実施形態では、ソナー8からの超音波の照射方向が水平である場合について説明した。しかし、超音波の照射部8aとして、超音波を斜め下向きに照射したり、あるいは斜め上向きに照射するように設置することもできる。即ち、自車両4のうちソナー8の設置高さが極端に低かったり、高かったりした場合には、自車両4の後退中に縁石7aの検出頻度が適切なタイミングで変化しない場合も生じ得る。よって、ソナー8の照射角度は適宜変更するとよい。
【0075】
〔第2実施形態〕
図12には、上記実施形態とは異なるタイプのソナー8を用いて物体7の検出を行った結果得られた二次元マップの例を示す。ここで用いたソナー8は、直近の物体7に限らず、ソナー8の最大検出距離LMの内側に存在する全ての物体7からの反射波データを受信可能である。
よって、自車両4が位置P1,P2の何れにある場合でも、存在する物体7の形状が明確に現れることになる。例えば、自車両4に近い側の物体7は断続的に表示され、遠い側の物体7は連続的に表示される。近い側が縁石7a、遠い側が壁7bであるが、位置P1においては、当初はソナー8から壁7bまでの距離が遠いため得られるプロットの検出頻度Knが低く、破線の直線F2として表示した。ただし、その後は検出頻度Knが高まったため実線の直線F1として表示してある。
一方、自車両4がさらに後退した位置P2においては、壁7bは依然として連続して検出される(直線F1)が、縁石7aについては、次第にプロットの間隔が疎となり、その後消滅している。この状態は破線の直線G2として表示してある。
【0076】
このように、照射方向に沿って複数の物体を検出できるソナー8を用いる場合には、同じZ回分の反射波データを取得する場合でも、先の実施例の場合よりも多くのデータ処理が必要となる。しかし、二次元マップを作成する場合には、路上における物体7の形状がより理解し易くなる。
即ち、本発明では、何れのタイプのソナー8も適宜使い分けが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明による駐車支援装置は、各種車両の駐車支援に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
3 目標駐車領域
4 自車両
7 物体
7a 縁石
7b 壁
8a 照射部
8b 受信部
9 物体判定部
9a 検出範囲設定部
12 特定範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12