(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5831429
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの固定具及びこの固定具を用いた太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20140101AFI20151119BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20151119BHJP
【FI】
E04D13/18ETD
H02S20/23 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-248473(P2012-248473)
(22)【出願日】2012年11月12日
(65)【公開番号】特開2014-95261(P2014-95261A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2014年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112210
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108431
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 加奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】松浦 史和
【審査官】
西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−020766(JP,A)
【文献】
特開2002−138636(JP,A)
【文献】
再公表特許第2006/121013(JP,A1)
【文献】
特表2008−506057(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/153621(WO,A1)
【文献】
米国特許第7832157(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状の固定具本体と締結用ボルトで構成され、
前記固定具本体は、前記固定具本体の外形を構成する外郭と、前記外郭の天面側に設けられた内郭を備え、
前記外郭は、中空状であり、前記外郭の底面を形成し前記外郭の中空方向に並行に形成された外郭底面孔部が設けられた外郭底面部を備え、
前記内郭は、中空状であり、前記内郭の底面を形成し前記内郭の中空方向に並行に形成された内郭底面孔部が設けられた内郭底面部を備え、
前記締結用ボルトは、ナットと嵌め合い可能な軸部と、前記軸部の一端部に軸部よりも太さが太い頭部とから構成され、
前記頭部が前記内郭に挿入され、前記軸部が前記外郭底面孔部と前記内郭底面孔部を通過し、前記軸部のうち前記外郭底面孔部及び前記内郭底面孔部を通過した部分を架台の固定穴に差し込みナットで固定することで、前記架台に取り付けられ、
矩形状の第一太陽電池モジュールの裏面側に前記第一太陽電池モジュールの長手方向に沿って並行に設けられた中空状の支持部材内に一端側を挿しこみ、矩形状の第二太陽電池モジュールの裏面側に前記第二太陽電池モジュールの長手方向に沿って並行に設けられた中空形状の支持部材内に他端側を差し込むことで前記第一太陽電池モジュールと前記第二太陽電池モジュールを接続する固定具。
【請求項2】
前記外郭底面部と前記架台とにより前記支持部材の底面を挟み込むことを特徴とする請求項1記載の固定具。
【請求項3】
固定穴が形成された架台と、
中空状の固定具本体と締結用ボルトで構成され、前記固定具本体は、前記固定具本体の外形を構成する外郭と、前記外郭の天面側に設けられた内郭を備え、前記外郭は、中空状であり、前記外郭の底面を形成し前記外郭の中空方向に並行に形成された外郭底面孔部が設けられた外郭底面部を備え、前記内郭は、中空状であり、前記内郭の底面を形成し前記内郭の中空方向に並行に形成された内郭底面孔部が設けられた内郭底面部を備え、前記締結用ボルトは、ナットと嵌め合い可能な軸部と、前記軸部の一端部に軸部よりも太さが太い頭部とから構成され、前記頭部が前記内郭に挿入され、前記軸部が前記外郭底面孔部と前記内郭底面孔部を通過し、前記軸部のうち前記外郭底面孔部及び前記内郭底面孔部を通過した部分を前記架台の前記固定穴に差し込みナットで固定することで、前記架台に取り付けられる固定具と、
矩形形状の第一太陽電池モジュールと、
前記第一太陽電池モジュールの裏面側に前記第一太陽電池モジュールの長手方向に対して並行に設けられた中空状の第一支持部材と、
矩形形状の第二太陽電池モジュールと、
前記第二太陽電池モジュールの裏面側に前記第二太陽電池モジュールの長手方向に対して並行に設けられた中空状の第二支持部材と、を備え、
前記第一支持部材の内部に前記固定具の一端側が差し込まれ、前記第二支持部材の内部に前記固定具の他端側が差し込まれることで前記第一太陽電池モジュールと前記第二太陽電池モジュールが接続される太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池モジュールを架台等に固定する固定具、及びこの固定具を用いて太陽電池モジュールを接続したものを複数並べて製造された太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールを建造物の屋根面、屋上又は地上に設置する場合、架台を組み上げ、その架台に太陽電池モジュールを固定する。太陽電池モジュールの設置に関しては、設置環境で想定されうる暴風や地震等の自然災害に耐え得る強度の確保が必要である。
【0003】
従来、太陽電池モジュールの強度を上げるために、太陽電池モジュールの周囲を金属製のフレームで囲み込んだ構造が用いられていた。しかし、太陽電池モジュールの外形全周を金属製のフレームで囲み込むため、太陽電池モジュールの強度は保つことができるが、重量が重くなるといった問題がある。また、この重量が重くなった分に耐え得るように架台等も骨組みの本数を増やすか、又は骨組みを太くする必要があった。このため、太陽光発電システム全体として重くなってしまうという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、特許文献1に記載の太陽電池モジュールの施工方法は太陽電池モジュールの周囲を金属製のフレームで囲み込む代わりに、太陽電池セルを複数枚並べて、その上下面からフィルム等で挟み込んで形成された太陽電池モジュールの裏面に支持部材が長手方向に沿って2本設けられ、この支持部材の両端部に架台の取り付け具と係合する係合部を備えた構造が採用されている。この構造により、太陽電池モジュールを補強する部材が減るため軽量化することができる。よって、架台の骨組みの本数を減らし、又は骨組みを細くすることができるため、太陽光発電システム全体として軽量化を達成することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−222930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1における太陽電池モジュール及びその施工方法については、上記太陽電池モジュールの支持部材の両端の係合部や架台の取り付け具の形状が複雑であり、また架台にもその形状に合わせた取り付け穴形状を備える必要があり、部材の低コスト化に課題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、太陽電池モジュールの設置において、簡易な構造で太陽電池モジュールを接続できる固定具及び、高強度及び軽量化を可能にした太陽光発電システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる固定具は、
中空状の固定具本体と締結用ボルトで構成され、前記固定具本体は、前記固定具本体の外形を構成する外郭と、前記外郭の天面側に設けられた内郭を備え、前記外郭は、中空状であり、前記外郭の底面を形成し前記外郭の中空方向に並行に形成された外郭底面孔部が設けられた外郭底面部を備え、前記内郭は、中空状であり、前記内郭の底面を形成し前記内郭の中空方向に並行に形成された内郭底面孔部が設けられた郭底面部を備え、前記締結用ボルトは、ナットと嵌め合い可能な軸部と、前記軸部の一端部に軸部よりも太さが太い頭部とから構成され、前記頭部が前記内郭に挿入され、前記軸部が前記外郭底面孔部と前記内郭底面孔部を通過し、前記軸部のうち前記外郭底面孔部及び前記内郭底面孔部を通過した部分を架台の固定穴に差し込みナットで固定することで、前記架台に取り付けられ、矩形状の
第一太陽電池モジュールの裏面側に前記第一太陽電池モジュールの長手方向に沿って並行に設けられた中空状の支持部材内に一端側を挿しこみ
、矩形状の第二太陽電池モジュールの裏面側に前記第二太陽電池モジュールの長手方向に沿って並行に設けられた中空形状の支持部材内に他端側を差し込むことで前記第一太陽電池モジュールと前記第二太陽電池モジュールを接続するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、中空状の固定具を介して二つの太陽電池モジュールを連結するため、簡易な構造で高強度かつ軽量化を可能にした太陽光発電システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る太陽電池モジュールを架台に載置した太陽光発電システムの全体構成を示す斜視図。
【
図2】実施の形態1に係る固定具本体の構成を示す図。
【
図4】実施の形態1に係る固定具を底面側から見た図。
【
図5】実施の形態1に係る固定具に取り付ける太陽電池モジュールの構成を示す図。
【
図6】実施の形態1に係る2枚の太陽電池モジュールを固定具に取り付ける方法を示す図。
【
図7】実施の形態1に係る2枚の太陽電池モジュールを第一固定具に取り付けた後の取り付け部分の拡大図。
【
図8】
図3に記載の締結用ボルトを反対に取り付けた図。
【
図9】実施の形態1に係る太陽電池モジュールを第一固定具から取り外す工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
本発明の実施の形態1について図面を参照して説明する。
図1は実施の形態1にかかる太陽電池モジュール2を架台3に載置した太陽光発電システム1の全体構成を示す斜視図である。
図1に示すように、太陽光発電システム1は複数の太陽電池モジュール2が電気的に直列接続され、これを架台3に取り付けることで構成される。複数の太陽電池モジュール2は矩形状をしており、隣接する複数の太陽電池モジュール2の短辺同士を横方向に固定具4を介して架台3に取り付けられる。こうして構成された太陽光発電システム1は建造物の屋上、屋根面、又は地上に設置して使用される。このようなに配置にすることで、架台3の本数が3本に対して太陽電池モジュール2の枚数が2枚取り付けることができる。なお、架台3には太陽電池モジュール2を固定するための固定穴3a(図示せず)を有しており、この固定穴3aに締結用ボルト14(後述する)を差し込むことで太陽電池モジュール2を固定することができる。
【0012】
図2を参照して、太陽電池モジュール2同士を接続する固定具4について説明する。
図2は実施の形態1に係る固定具4の構成を示す図である。
実施の形態1に係る固定具4は、中空状の形状をし、太陽電池モジュール2を接続する際、太陽電池モジュール2の裏面に配置された太陽電池モジュール2の強度を補強する中空状の支持部材18(後述する)の本数と同数使用される。この固定具4の底面には締結用ボルト14が通る長穴が形成されている。固定具4は太陽電池モジュール2の支持部材18に差し込まれ、太陽電池モジュール2の支持部材18の底面を固定具4と架台3で挟み込むことで太陽電池モジュール2が接続され、架台3に取り付け可能な状態となる。
【0013】
つづいて、固定具4の詳細な構造について
図3を参照して説明する。
図3は実施の形態1に係る固定具4の断面図である。
図3に示すように、固定具4は、固定具本体5と、固定具本体5を架台3に固定するための締結用ボルト14とを備えている。
【0014】
固定具本体5は、固定具本体5の外形を構成する外郭6と、外郭6の内部かつ天面側に設けられた内郭7とから構成される。
外郭6は断面矩形状かつ中空状であり、架台3に取り付けられた際に、架台3と接触する外郭底面部8と、外郭6の側面を形成する外郭側面部9と、外郭6の天面を形成する外郭天面部10と、で構成される。
内郭7は断面矩形状かつ中空形状であり、外郭天面部10の略中央部分に一部を共通した内郭天面部11と、内郭7の側面を形成する内郭側面部12と、内郭7の底面を形成する内郭底面部13と、で構成される。
締結用ボルト14は、一端部にナット29(後述する)と嵌めあい可能な軸部15、軸部15の他端部に軸部15よりも太さが太い頭部16とから構成される。
【0015】
また、外郭底面部8と内郭底面部13には締結用ボルト14の軸部15が挿入可能なサイズの外郭底面孔部17及び内郭底面孔部13aが長手方向に設けられている。さらに、内郭底面部13に設けられた孔は締結用ボルト14の頭部16は通過できないサイズとなっている。内郭側面部12の高さ(内郭底面部13の内面から内郭天面部11の内面までの間隔)は締結用ボルト14の頭部16の高さよりもわずかに大きくなっており、内郭側面部12の間隔(内郭側面部12の内面の間隔)は締結用ボルト14の頭部16の幅よりもわずかに広くなっている。例えば、締結用ボルト14の頭部16と内郭7との間には0.1mm〜1mm程度のわずかなクリアランスが設けられている。そのため、締結用ボルト14は、固定具本体5に嵌められた状態で、固定具本体5の長手方向に沿って自在に移動可能となっている。この締結用ボルト14を用いて固定具本体5を架台3に取り付けるためには、締結用ボルト14の頭部16を、内郭天面部11と内郭側面部12と内郭底面部13で囲まれたエリアに挿入し、締結用ボルト14の軸部15を内郭底面孔部13a及び外郭底面孔部17に横方向から挿入させる。なお、軸部15の長さは、少なくとも、頭部16を内郭7に挿入した際に外郭底面部8から飛び出るサイズにする必要がある。
【0016】
この固定具本体5の中空構造を容易に成形するためには、アルミニウム合金での押し出し成形による製造が考えられる。ただし、上記構造は必ずしも本発明を限定するものではなく、ステンレス鋼等の金属板での曲げ加工による成形であっても構わない。
【0017】
外郭底面部8に構成された外郭底面孔部17の形状について
図4を参照して説明する。
図4は実施の形態1に係る固定具4を底面側から見た図である。
固定具本体5には、架台3と接する外郭底面部8に中空方向と並行に外郭底面孔部17が形成されている。また、同様に内郭底面部13にも中空方向と並行に内郭底面孔部13aが形成されている。固定具本体5は端部の一方のみが開構造となっている外郭底面孔部17を介した架台3の固定手段として、固定のための締結用ボルト14が備えられている。架台3に形成された固定穴3aに対して、外郭底面孔部17を通過させた締結用ボルト14が差し込まれ、ナット29で軸部15を固定することにより、固定具4が架台3に固定される。なお、
図4では外郭底面孔部17は一方だけ開構造である必要はなく、両方開構造であっても勿論よい。
【0018】
内郭底面孔部13aは、外郭天面部10及び内郭天面部11の略中央部分に形成されているが、締結用ボルト14の頭部16を内郭7に挿入した際、軸部15が通過可能えあれば一方側に寄せられて形成されていても構わない。なお、締結用ボルト14を組み付けるために、上記の一方の端部を開とした外郭底面孔部17を備えたが、端部を切り欠くことで、締結用ボルト14の軸部15を先に外郭底面孔部17に通してから、頭部16を内郭7に嵌めて、外郭6に組み付けることも出来る。
【0019】
つづいて、固定具4に取り付ける太陽電池モジュール2の構造について
図5を参照して説明する。
図5は、実施の形態1に係る固定具4に取り付ける太陽電池モジュール2の構成を示す図である。
太陽電池モジュール2は、電気的に直列接続された複数の太陽電池セルが主にEVA(エチレン酢酸ビニル)などの封止材により、ガラスなどの受光面材と樹脂フィルムなどの裏面保護シートとで一体化され、この太陽電池モジュール2の裏面保護シートの表面には、太陽電池モジュール2の短辺から突出する複数の長尺状の支持部材18を備えている。この支持部材18は太陽電池モジュール2の長辺に平行になるように一定の間隔を空けて接着材などにより備え付けられている。なお、この支持部材18は中空形状をしておりこの中空形状の内部に固定具4を差し込み可能となっている。
【0020】
図6は実施の形態1に係る2枚の太陽電池モジュール2を固定具4に取り付ける方法を示す図である。
図6を参照して、2枚の太陽電池モジュール2が固定具4に接続する方法について説明する。
所定の間隔に第一支持部材19と第二支持部材20が備え付けられた第一太陽電池モジュール21と、第一支持部材19と第二支持部材20の間隔と同一間隔に第三支持部材22と第四支持部材23が備え付けられた第二太陽電池モジュール24とを接続する第一固定具25及び第二固定具26を架台3に仮固定する。この仮固定の方法として、締結用ボルト14の軸部15を架台3に設けられた締結用ボルト14の固定穴3aに挿入する。なお、第一支持部材19と第二支持部材20の間隔と、第三支持部材22と第四支持部材23の間隔と、第一固定具25と第二固定具26の間隔は略同じ間隔となっている。本実施の形態1では、一枚の太陽電池モジュール2に備える支持部材18の本数は2本で、固定具4の個数も2個であるが、この個数に決まったものではなく、支持部材の本数と固定具4の数が同じであればよい。固定具4の数を増やすことで太陽光発電システム1全体として重量は重くなるが第一太陽電池モジュール21と第二太陽電池モジュール24を接続する強度を強くすることができる。また、逆に固定具4の数を減らすことで太陽光発電システム1全体として重量を軽くすることができる。
【0021】
第一固定具25の一端側が第一支持部材19内に差し込まれ、他端側が第三支持部材22内に差し込まれる。同様に第二固定具26の一端側が第二支持部材20内に差し込まれ、他端側が第四支持部材23内に差し込まれる。
差し込み方法は、上述したように仮固定した第一固定具25に第一太陽電池モジュール21の第一支持部材19の底面である第一支持部材底面部27を第一固定具25と架台3の間に挟み込むように差し込む。また、同様に仮固定した第二固定具26に第二太陽電池モジュール24の第二支持部材20の底面である第二支持部材底面部28を第二固定具26と架台3の間に挟み込むように差し込む。このように差し込むことで、第一支持部材底面部27及び第二支持部材底面部28が架台3と外郭底面部8の間に挟まり、ナット29を締結用ボルト14の軸部15に勘合させることにより固定される。なお、第一太陽電池モジュール21及び第二太陽電池モジュール24は短辺同士に隙間を設けるように設置し、第一支持部材19及び第二支持部材20の端部は架台3に略三分の一程度に載せることとする。なお、第一太陽電池モジュール21と第二太陽電池モジュール24間に隙間を設けることで、風の通り路が形成されるため、台風などの強風発生時において太陽電池モジュール2にかかる風荷重を低減することが出来る。また、固定具4を太陽電池モジュール2の支持部材18の内部にスライドさせることが出来るため太陽電池モジュール2を設置させるときに位置あわせがしやすくなる。
【0022】
つづいて、差し込まれた後の支持部材18と固定具4の位置関係については
図7を用いて説明する。
図7は、実施の形態1に係る2枚の太陽電池モジュール2を第一固定具25に取り付けた後の取り付け部分の拡大図である。なお、第二固定具26については第一固定具25と取り付け構造が同じであるため説明は省略する。
図7に示すように、第一太陽電池モジュール21は第一支持部材19が架台3と第一固定具25で挟み込まれるようにして固定される。第一固定具25は、第一固定具25の外郭底面孔部17を通過した締結用ボルト14が差し込まれた架台3の下側に突出した軸部15に座金とナット29により下側で締め付けられて固定される。こうすることで、中空状の固定部を介して二つの太陽電池モジュール2を連結することが出来るため、簡易な構造で高強度かつ軽量化を可能にした太陽光発電システム1を得ることができる。また、締結用ボルト14は太陽電池モジュール2が設置される表面に対して、外部に露出せず、締結部に降雨時に雨水がかかり難くなり、締結部の錆の発生を防ぐことが出来る。また、締結用ボルト14の頭部16の形状は本実施の形態1では、円形形状にしたが、矩形形状(例えば6角形形状)とすることで、ナット29の取り付ける際、頭部16の外形が内郭側面部12に衝突し、回転しないため、取り付けの操作性が向上する。
【0023】
また本実施の形態1に係る固定具4の締結用ボルト14の頭部16は内郭7内に収まるように取り付けられたが、
図8に示すように、締結用ボルト14を逆向きに取り付けることも可能である。内郭7の内郭底面孔部13aに内周面に軸部15のねじ部と勘合するねじ溝を備える。また、締結用ボルト14の頭部16には、ドライバーの入る溝(+溝または−溝)が形成されている。このような構成にすることで、締結用ボルト14の頭部16が外部に露出するため取り付けの操作性が向上する。また、ナット29等の部品点数も減らすことが可能である。
【0024】
次に、実施の形態1に係る第一太陽電池モジュール21又は第二太陽電池モジュール24を固定具4から取り外す工程を説明する。
図9は、実施の形態1に係る太陽電池モジュール2を第一固定具25から取り外す工程を示す図である。
太陽光発電システム1において、保守、点検時に何らかの原因で太陽電池モジュール2の交換作業が生じる場合がある。その場合、一枚の太陽電池モジュール2を交換するために、その周囲の太陽電池モジュール2まで取り外すことは作業上、好ましくない。しかし、本発明では、太陽電池モジュール2を固定している固定具4が、二つの太陽電池モジュール2間を連結して架台3の部材に固定されている状態から、取り外す場合では、固定具4を完全に取り外すことなく、取り外す太陽電池モジュール2の連結状態を解除することが出来る。
【0025】
第一太陽電池モジュール21を取り外す場合について以下に説明する。なお、第一太陽電池モジュール21を取りはずには第一固定具25と第二固定具26の両方に以下に示す操作する必要があるが同様の操作であるため、ここでは第一固定具25についてのみ説明する。
まず、第一太陽電池モジュール21を固定している第一固定具25の締結用ボルト14を緩める。締結ボルト14を緩めることで、第一固定具25が、第一固定具25の底面に設けられた外郭底面孔部17に沿って、スライドして可動することができる状態となる。つづいて、緩まった第一固定具25を、取り外す必要のない第二太陽電池モジュール24側にスライドさせる。すると第一太陽電池モジュール21の固定が外れる。これにより第一太陽電池モジュール21を上側に持ち上げるだけで取り外すことが可能であるため容易に第一太陽電池モジュール21を交換することが出来る。
【0026】
以上のように、本発明の実施の形態1にかかる固定具4は、太陽電池モジュール2の取付け作業及び、保守並びに点検時における太陽電池モジュール2の交換作業に有用であり、特に、大型の太陽光発電システム1の設置において適している。
【符号の説明】
【0027】
1 太陽光発電システム、2 太陽電池モジュール、3 架台、3a 固定穴、4 固定具、5 固定具本体、6 外郭、7 内郭、8 外郭底面部、9 外郭側面部、10 外郭天面部、11 内郭天面部、12 内郭側面部、13 内郭底面部、13a 内郭底面孔部、14 締結用ボルト、15 軸部、16 頭部、17 外郭底面孔部、18 支持部材、19 第一支持部材、20 第二支持部材、21 第一太陽電池モジュール、22 第三支持部材、23 第四支持部材、24 第二太陽電池モジュール、25 第一固定具、26 第二固定具、27 第一支持部材底面部、28 第二支持部材底面部、29 ナット