特許第5831460号(P5831460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5831460ポリイミドシームレスベルト、その製造方法、ポリイミド前駆体溶液組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5831460
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】ポリイミドシームレスベルト、その製造方法、ポリイミド前駆体溶液組成物
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20151119BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20151119BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20151119BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   G03G15/16
   G03G15/20 515
   G03G15/00 552
   C08G73/10
【請求項の数】13
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-548825(P2012-548825)
(86)(22)【出願日】2011年12月14日
(86)【国際出願番号】JP2011078970
(87)【国際公開番号】WO2012081644
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年10月10日
(31)【優先権主張番号】特願2010-279535(P2010-279535)
(32)【優先日】2010年12月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(74)【代理人】
【識別番号】100129610
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 暁子
(72)【発明者】
【氏名】中山 剛成
(72)【発明者】
【氏名】中山 知則
(72)【発明者】
【氏名】川端 明
(72)【発明者】
【氏名】高崎 範
(72)【発明者】
【氏名】廣重 健輔
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−085450(JP,A)
【文献】 特開2008−266641(JP,A)
【文献】 特開2004−115788(JP,A)
【文献】 特開2002−363284(JP,A)
【文献】 特開2002−226584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 15/20
G03G 15/00
C08G 73/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で示される繰返し単位を有するポリイミドから主としてなることを特徴とするシームレスベルト。
【化1】
化学式(1)において、Aは、25〜95モル%が下記化学式(2)で示される4価のユニットであり、75〜5モル%が下記化学式(3)で示される4価のユニットであり、Bは、15〜95モル%が下記化学式(4)で示される2価のユニットであり、85〜5モル%が下記化学式(5)で示される2価のユニットである。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項2】
化学式(1)において、Aは、25〜95モル%が前記化学式(2)で示される4価のユニットであり、75〜5モル%が前記化学式(3)で示される4価のユニットであり、0〜10モル%が脂肪族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価のユニットであり、Bは、15〜95モル%が前記化学式(4)で示される2価のユニットであり、85〜5モル%が前記化学式(5)で示される2価のユニットであり、0〜10モル%が脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価のユニットであることを特徴とする請求項1に記載のシームレスベルト。
【請求項3】
引張り破断エネルギーが100MJ/m以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のシームレスベルト。
【請求項4】
電子写真装置の中間転写用ベルトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項5】
電子写真装置の定着用ベルトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項6】
基材表面に、下記化学式(6)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸が有機溶媒中に溶解してなるポリアミック酸溶液によって構成されたポリイミド前駆体溶液組成物からなるシームレスな塗膜を形成し、前記シームレスな塗膜を加熱処理してポリイミドシームレスベルトを得ることを特徴とするシームレスベルトの製造方法。
【化6】
化学式(6)において、Aは、25〜95モル%が下記化学式(2)で示される4価のユニットであり、75〜5モル%が下記化学式(3)で示される4価のユニットであり、Bは、15〜95モル%が下記化学式(4)で示される2価のユニットであり、85〜5モル%が下記化学式(5)で示される2価のユニットである。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【請求項7】
ポリイミド前駆体溶液組成物が、ピリジン類化合物及び/又はイミダゾール類を含有することを特徴とする請求項6に記載のシームレスベルトの製造方法。
【請求項8】
ポリアミック酸溶液におけるポリアミック酸の対数粘度が、0.4以下であることを特徴とする請求項6または7に記載のシームレスベルトの製造方法。
【請求項9】
ポリアミック酸溶液のポリイミド換算の固形分濃度が20〜60質量%であって、且つ30℃における溶液粘度が50Pa・sec以下であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法。
【請求項10】
加熱処理の最高加熱温度が250℃以下であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法。
【請求項11】
回転成形法で行うことを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法。
【請求項12】
下記化学式(6)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸が有機溶媒中に溶解してなるポリアミック酸溶液によって構成されたポリイミド前駆体溶液組成物であって、
ポリアミック酸溶液におけるポリアミック酸の対数粘度が、0.4以下であることを特徴とするポリイミド前駆体溶液組成物。
【化11】
化学式(6)において、Aは、25〜95モル%が下記化学式(2)で示される4価のユニットであり、75〜5モル%が下記化学式(3)で示される4価のユニットであり、Bは、15〜95モル%が下記化学式(4)で示される2価のユニットであり、85〜5モル%が下記化学式(5)で示される2価のユニットである。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【請求項13】
ポリアミック酸溶液のポリイミド換算の固形分濃度が20〜60質量%であって、且つ30℃における溶液粘度が50Pa・sec以下であることを特徴とする請求項12に記載のポリイミド前駆体溶液組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の化学組成からなるポリイミドシームレスベルト、その製造方法、及びポリイミド前駆体溶液組成物に関する。本発明においては、ポリイミド前駆体溶液組成物が高濃度且つ低粘度のポリアミック酸溶液によって構成された場合でも、極めて高い強靭性を有するポリイミドシームレスベルトを容易に安定して得ることができる。このシームレスベルトは、高い強靭性が要求される電子写真装置の中間転写用ベルト或いは定着用ベルトとして好適に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは、耐熱性、耐薬品性、電気的特性、機械的特性などの特性が優れているので、電気・電子部品などに好適に用いられている。なかでも、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなる芳香族ポリイミドフィルムは特に線膨張係数が低く、機械的強度が高いことから、寸法安定性や機械的強度が要求されるTAB用フレキシブル基板や複写機の定着ベルトなどの用途として好適に用いられている。
【0003】
特許文献1は、電気・電子機器、電子複写機などの各種精密機器内の回転運動伝達部材であるシームレス管状体の高速回転化に対応して、従来の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなるシームレスベルトよりも長期耐久性が改良された芳香族ポリイミドを提案している。この芳香族ポリイミドは、ジアミン成分に3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを好ましくは5モル%以上、特に好ましくは20〜80モル%含有したことを特徴とするものであり、破断強度は低いものであった。
【0004】
特許文献2、3には、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなる芳香族ポリイミドフィルムを複写機の定着ベルトに用いる際の製造方法などが記載されている。
【0005】
しかしながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなる芳香族ポリイミドフィルムは成形性や強靭性において更に改良の余地があった。
【0006】
特許文献4には、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)と2,4−トルエンジアミンとからなるポリアミック酸溶液を用いて得られるポリイミドシームレスベルトが開示されている。また、特許文献4には、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−オキシジアニリンとからなるポリアミック酸溶液を用いて製造されたポリイミドシームレスベルトは機械特性が劣ること(参考例1)、また同組成で低分子量のアミック酸オリゴマーの溶液(すなわち、対数粘度が小さいポリアミック酸溶液)を用いた場合、ポリイミドシームレスベルトを得ることができなかったこと(参考例2)が記載されている。
【0007】
特許文献5及び特許文献6には、4,4’−オキシジフタル酸二無水物及び3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンとから製造されるポリイミドシームレスベルトが記載されているが、比較的対数粘度が大きい(すなわち、高分子量の)ポリアミック酸溶液組成物を用いてポリイミドシームレスベルトを製造している。また、例えば270℃未満の低い温度で長時間加熱処理して溶媒残存率が8重量%以下になるように溶媒除去を行った後、高温で加熱処理して脱水・イミド化しないと膨れが生じるなどの問題が見られたこと(特許文献5の比較例8)が記載されている。
【0008】
特許文献7には、絶縁材料として使用されるポリイミドとして、4,4’−オキシジフタル酸二無水物及び3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、4,4’−オキシジアニリン又はp−フェニレンジアミンとから製造されるポリイミドコポリマーが開示されている。例えば実施例6には、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(25モル%)及び3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(75モル%)と、p−フェニレンジアミンとから製造されたポリイミドが開示されているが、このポリイミドはエンドキャップ剤としてフタル酸を用いて製造されたものであり、十分な機械的特性を有するものではなかった。そして、特許文献7には、当該ポリイミドは1種類のジアミン成分(4,4’−オキシジアニリン又はp−フェニレンジアミン)を用いて製造されると記載されており、4,4’−オキシジフタル酸二無水物及び3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、4,4’−オキシジアニリン及びp−フェニレンジアミンとを、それぞれ特定の割合にすることによって、より強靭なポリイミドが得られることに関しては何ら記載がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−307114号公報
【特許文献2】特開2003−89125号公報
【特許文献3】特開2007−240845号公報
【特許文献4】特開2009−221397号公報
【特許文献5】特開2010−85450号公報
【特許文献6】国際公開第2008/120787号パンフレット
【特許文献7】特開平3−157428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、高濃度且つ低粘度のポリアミック酸溶液によって構成されたポリイミド前駆体溶液組成物を用いた場合でも、極めて高い強靭性を有するシームレスベルトを容易に安定して得ることができる、特定の化学組成を有したポリイミドからなるシームレスベルト、その製造方法、及び、その製造に用いるポリイミド前駆体溶液組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下の項目に関する。
1. 下記化学式(1)で示される繰返し単位を有するポリイミドから主としてなることを特徴とするシームレスベルト。
【0012】
【化1】
化学式(1)において、Aは、25〜95モル%が下記化学式(2)で示される4価のユニットであり、75〜5モル%が下記化学式(3)で示される4価のユニットであり、Bは、15〜95モル%が下記化学式(4)で示される2価のユニットであり、85〜5モル%が下記化学式(5)で示される2価のユニットである。
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
2. 化学式(1)において、Aは、25〜95モル%が前記化学式(2)で示される4価のユニットであり、75〜5モル%が前記化学式(3)で示される4価のユニットであり、0〜10モル%が脂肪族テトラカルボン酸からカルボキシル基を除いた4価のユニットであり、Bは、15〜95モル%が前記化学式(4)で示される2価のユニットであり、85〜5モル%が前記化学式(5)で示される2価のユニットであり、0〜10モル%が脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価のユニットであることを特徴とする前記項1に記載のシームレスベルト。
3. 引張り破断エネルギーが100MJ/m以上であることを特徴とする前記項1または2に記載のシームレスベルト。
4. 電子写真装置の中間転写用ベルトであることを特徴とする前記項1〜3のいずれかに記載のシームレスベルト。
5. 電子写真装置の定着用ベルトであることを特徴とする前記項1〜3のいずれかに記載のシームレスベルト。
【0017】
6. 基材表面に、下記化学式(6)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸が有機溶媒中に溶解してなるポリアミック酸溶液によって構成されたポリイミド前駆体溶液組成物からなるシームレスな塗膜を形成し、前記シームレスな塗膜を加熱処理してポリイミドシームレスベルトを得ることを特徴とするシームレスベルトの製造方法。
【0018】
【化6】
化学式(6)において、Aは、25〜95モル%が前記化学式(2)で示される4価のユニットであり、75〜5モル%が前記化学式(3)で示される4価のユニットであり、Bは、15〜95モル%が前記化学式(4)で示される2価のユニットであり、85〜5モル%が前記化学式(5)で示される2価のユニットである。
7. ポリイミド前駆体溶液組成物が、ピリジン類化合物及び/又はイミダゾール類を含有することを特徴とする前記項6に記載のシームレスベルトの製造方法。
8. ポリアミック酸溶液におけるポリアミック酸の対数粘度が、0.4以下であることを特徴とする前記項6または7に記載のシームレスベルトの製造方法。
9. ポリアミック酸溶液のポリイミド換算の固形分濃度が20〜60質量%であって、且つ30℃における溶液粘度が50Pa・sec以下であることを特徴とする前記項6〜8のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法。
10. 加熱処理の最高加熱温度が250℃以下であることを特徴とする前記項6〜9のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法。
11. 回転成形法で行うことを特徴とする前記項6〜10のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法。
【0019】
12. 前記化学式(6)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸が有機溶媒中に溶解してなるポリアミック酸溶液によって構成されたポリイミド前駆体溶液組成物であって、ポリアミック酸溶液におけるポリアミック酸の対数粘度が、0.4以下であることを特徴とするポリイミド前駆体溶液組成物。
13. ポリアミック酸溶液のポリイミド換算の固形分濃度が20〜60質量%であって、且つ30℃における溶液粘度が50Pa・sec以下であることを特徴とする前記項12に記載のポリイミド前駆体溶液組成物。
【発明の効果】
【0020】
本発明によって、特定の化学構造を有した、極めて高い強靭性を有するポリイミドからなるシームレスベルト、その製造方法、及び、その製造に用いるポリイミド前駆体溶液組成物を提供することができる。また、本発明においては、高濃度且つ低粘度のポリアミック酸溶液によって構成されたポリイミド前駆体溶液組成物を用いた場合でも、極めて高い強靭性を有するポリイミドシームレスベルトを容易に安定して得ることができる。本発明のシームレスベルトは、高い強靭性が要求される電子写真装置の中間転写用ベルト或いは定着用ベルトとして好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のシームレスベルトを構成するポリイミドは、前記化学式(1)で示される繰返し単位を有する。換言すれば、本発明のポリイミドは、全テトラカルボン酸成分100モル%中、25〜95モル%、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは40〜85モル%が3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類、75〜5モル%、好ましくは70〜5モル%、より好ましくは60〜15モル%が4,4’−オキシジフタル酸類であり、全ジアミン成分100モル%中、15〜95モル%、好ましくは15〜80モル%、より好ましくは15〜70モル%がパラフェニレンジアミン類、85〜5モル%、好ましくは85〜20モル%、より好ましくは85〜30モル%が4,4’−オキシジアニリンである。
【0022】
ここで、テトラカルボン酸類とは、テトラカルボン酸、その酸二無水物及びそのエステル化化合物など、ジアミン類とはジアミン及びジイソシアネートなどの、いずれもポリイミドのテトラカルボン酸成分或いはジアミン成分として用いられる誘導体を表す。
【0023】
また、テトラカルボン酸成分及びジアミン成分は、本発明の効果の範囲内で、他のテトラカルボン酸類やジアミン類を含んでもよいが、いずれの成分も概ね10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、特に0モル%である。他のテトラカルボン酸類としては、例えば、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’ −テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,2:4,5−二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3;5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。他のジアミン類としては、例えば、1,6−ジアミノヘキサン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノプロパン、trans−1,4−ジアミノシクロへキサン、cis−1,4−ジアミノシクロへキサン、1,10−デカメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、好ましくは重量平均分子量が500以下のポリオキシプロピレンジアミンなどの脂肪族ジアミンを挙げることができる。
【0024】
本発明においては、シームレスベルトを構成するポリイミド、或いは原料のポリイミド前駆体溶液組成物を構成するポリアミック酸溶液のポリアミック酸を、前記の特定の化学組成にすることによって、成形性や強靭性が更に改良されたポリイミドシームレスベルトを提供することができた。なお、本発明においては、ポリアミック酸とは、低分子量のいわゆるアミック酸オリゴマーをも含むものである。
【0025】
本発明では、強靭性の一つの指標として、フィルムでの引張り破断時における単位体積あたりの破断エネルギーを用いた。すなわち、本発明のシームレスベルトを構成するポリイミド(本発明のポリイミド)は、単位体積あたりの破断エネルギーが極めて大きい。言い換えれば、本発明のポリイミドは、外部から力を受けても容易に破断しない。さらに、本発明では、強靭性の他の指標として、引張り弾性率、引張り破断強度、及び引張り破断伸度を用いた。これらのいずれの機械的特性についても、本発明のポリイミドは特に優れたものである。
【0026】
すなわち、本発明のシームレスベルトを構成するポリイミドは、フィルムでの引張り破断エネルギーが、好ましくは100MJ/m以上、より好ましくは110MJ/m以上、特に好ましくは140MJ/m以上である。また引張破断強度は、好ましくは180MPa以上、より好ましくは230MPa以上であり、引張破断伸度は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であり、引張弾性率は、好ましくは2.5GPa以上、より好ましくは3.5GPa以上である。このような特に優れた強靭性や機械的特性は、本発明の特定の化学組成によって達成されたものであり、テトラカルボン酸成分及び/又はジアミン成分として他のものを用いたのでは達成することはできない。
【0027】
一方で、生産性や成形性の点からは高濃度且つ低粘度のポリアミック酸溶液を用いることが好ましいが、ポリアミック酸の対数粘度が低い、すなわち低分子量のものであると、通常、十分な機械的特性を有するポリイミドを得ることが難しくなる。つまり、ポリイミドにおいては、通常、原料のポリアミック酸溶液の低粘度化、ポリアミック酸の低分子量化と機械的特性とを両立させることは難しい。
【0028】
しかしながら、本発明のシームレスベルトを構成するポリイミドが前記化学式(1)で示される繰返し単位を有する場合、換言すれば、原料のポリイミド前駆体溶液組成物を構成する本発明のポリアミック酸溶液のポリアミック酸が前記化学式(6)で示される繰り返し単位を有する場合、ポリアミック酸の対数粘度が0.4以下の低分子量であっても、極めて高い強靭性を有するポリイミドシームレスベルトを容易に安定して得ることができる。なお、後述するが、本発明のポリアミック酸は優れた溶解性を有し、それが、ポリアミック酸の低分子量化を可能にし、高濃度且つ低粘度のポリアミック酸溶液を用いること、その場合でも高い強靭性を有するポリイミドシームレスベルトが得られることを可能にしている一因と考えられる。
【0029】
本発明のポリアミック酸溶液を構成するポリアミック酸は、テトラカルボン酸成分が、全テトラカルボン酸成分100モル%中、25〜95モル%、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは40〜85モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類、及び75〜5モル%、好ましくは70〜5モル%、より好ましくは60〜15モル%の4,4’−オキシジフタル酸類からなり、ジアミン成分が、全ジアミン成分100モル%中、15〜95モル%、好ましくは15〜80モル%、より好ましくは15〜70モル%のパラフェニレンジアミン類、及び85〜5モル%、好ましくは85〜20モル%、より好ましくは85〜30モル%の4,4’−オキシジアニリンからなる。この範囲外の組成になると、特にポリアミック酸の対数粘度が小さい、低分子量のポリアミック酸溶液を用いる場合、シームレスベルトの成形時に割れなどの問題が起こり、高い強靭性を有するポリイミドシームレスベルトを容易に安定して得ることが難しくなる。
【0030】
なお、前述の通り、テトラカルボン酸成分及びジアミン成分は、本発明の効果の範囲内で、通常は約10モル%以下の範囲で、脂肪族テトラカルボン酸二無水物や脂肪族ジアミンなどの他のテトラカルボン酸類やジアミン類を含んでもよい。
【0031】
本発明のポリイミドシームレスベルトの製造に用いるポリイミド前駆体溶液組成物(本発明のポリイミド前駆体溶液組成物)は、前記化学式(6)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸が有機溶媒中に溶解してなるポリアミック酸溶液、および必要に応じて添加されてもよい充填材などによって構成されている。換言すれば、本発明のポリイミド前駆体溶液組成物は、前記化学式(6)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸が有機溶媒中に溶解してなるポリアミック酸溶液、または、このポリアミック酸溶液に必要に応じて充填材などの添加剤を添加した溶液組成物である。
【0032】
ポリアミック酸溶液は、ポリアミック酸及び/又はアミック酸オリゴマーが有機溶媒に均一に溶解した溶液である。このポリアミック酸溶液、特に比較的高分子量のポリアミック酸からなるポリアミック酸溶液は、有機溶媒中で、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを、イミド化を抑制するために120℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下の温度で、例えば0.1〜50時間程度反応させることによって好適に調製することができる。
【0033】
また、比較的低分子量のアミック酸オリゴマーからなるポリアミック酸溶液は、前記反応を、水を介在させて、分子量を低分子量へ調節することによって好適に得ることができる。具体例としては、特開昭57−131248号公報に記載されているように、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを実質的に等モル量使用して、その酸無水物1モルに対して約0.5〜40モル倍の水を含有する有機溶媒中で100℃以下の温度で反応させ、その反応液が均一溶液となった後で、その反応液から遊離の水を除去する方法を好適に挙げることができる。或いは、特開2008−144159号公報に記載されているように、ジアミンとジアミンに対して過剰モル量のテトラカルボン酸二無水物とを、前記テトラカルボン酸二無水物に対して1/3モル倍を越える量の水を含有する溶媒中で反応し、次いで全体としてジアミンとテトラカルボン酸二無水物とが実質的に等モル量になるようにジアミン、又はジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを加えて更に反応する方法を好適に挙げることができる。
【0034】
本発明のポリアミック酸溶液は、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とが実質的に等モルであることが好ましい。具体的にはジアミン成分とテトラカルボン酸成分とのモル比が、好ましくは1:0.95〜1:1.05、より好ましくは1:0.98〜1:1.02である。この範囲外では、得られるポリイミド膜(ポリイミドシームレスベルト)の機械的特性が低下することがある。
【0035】
なお、本発明のポリアミック酸溶液組成物においては、本発明の効果の範囲内において、未反応のジアミン成分及び/又はテトラカルボン酸成分を少量含んでいても構わないが、フタル酸のようなエンドキャップ剤は、十分な機械的特性が得られないので好ましくない。
【0036】
ポリアミック酸溶液の調製に用いられる溶媒は、ポリアミック酸を溶解し得るものであって、常圧での沸点が300℃以下の有機極性溶媒が好ましく、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタムなどの窒素原子を分子内に含有する溶媒、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ヘキサメチルスルホルアミドなどの硫黄原子を分子内に含有する溶媒、例えばクレゾール、フェノール、キシレノールなどのフェノール類からなる溶媒、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラグライムなどの酸素原子を分子内に含有する溶媒、その他、アセトン、ジメチルイミダゾリン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、テトラメチル尿素などを挙げることができる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上を混合して好適に使用することができる。
【0037】
本発明のポリアミック酸溶液において、ポリアミック酸に起因する固形分濃度は、限定されないが、ポリイミド前駆体と溶媒との合計量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。固形分濃度が5質量%より低いと、生産性が悪くなることがある。
【0038】
本発明のポリアミック酸溶液において、ポリアミック酸は高分子量でも低分子量でもよく、その対数粘度(ηinh)は0.05〜3.5、好ましくは0.10〜3.0、より好ましくは0.15〜2.5の範囲のものが好適に使用できる。また、アミック酸構造の一部(50モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは5モル%以下)が脱水反応を起こしてイミド環を形成したものであっても構わない。なぜなら、このポリアミック酸は、低分子量でも高分子量でも有機溶媒に対する溶解性が高く、且つイミド環を形成しても溶解性が低下することが少ないからである。この良好な溶解性によって、本発明のポリアミック酸溶液、或いはポリイミド前駆体溶液組成物は、保存時のゲル化が抑制されて保存安定性が良好であり、また極めて成形性が良好である。
【0039】
したがって、本発明のポリアミック酸溶液は、低濃度の溶液のみでなく、ポリイミド換算の固形分濃度が20〜60質量%、好ましくは25〜60質量%、より好ましくは30〜60質量%であって、且つ30℃における溶液粘度が50Pa・sec以下、好ましくは30Pa・sec以下、より好ましくは20Pa・sec以下の、高濃度且つ低溶液粘度の溶液を好適に用いることができる。なお、溶液粘度の下限値は、限定するものではないが、好ましくは0.5Pa・sec以上、通常は1Pa・sec以上である。
【0040】
さらに、前述の通り、本発明においては、ポリアミック酸の対数粘度が0.4以下の低分子量であっても、極めて高い強靭性を有するポリイミドシームレスベルトを容易に安定して得ることができる。
【0041】
本発明のシームレスベルトの製造方法は、基材表面に、前記化学式(6)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸が有機溶媒中に溶解してなるポリイミド前駆体溶液によって構成されたポリイミド前駆体溶液組成物からなるシームレス塗膜を形成し、前記シームレス塗膜を加熱処理することを特徴とする。
【0042】
本発明のポリイミド前駆体溶液組成物は、前記化学式(6)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸が有機溶媒中に溶解してなる、前記のようなポリアミック酸溶液によって構成され、必要に応じて他の添加成分を含有してなる。したがって、本発明のポリイミド前駆体溶液組成物の溶媒は、ポリアミック酸溶液の調製に用いられる溶媒を好適に用いることができる。ポリアミック酸溶液に必要に応じて添加される他の添加成分には特に限定はなく、本発明のポリイミド前駆体溶液組成物は、用途に応じて、有機樹脂や無機材料からなる微細粉末状の充填材や、顔料、滑剤、消泡剤などの公知の樹脂の添加成分を含有することができる。
【0043】
本発明のポリイミド前駆体溶液組成物は、さらにピリジン類化合物及び/又はイミダゾール類を含有することが好ましい場合がある。ポリイミド前駆体溶液組成物がピリジン類化合物及び/又はイミダゾール類を含有する場合、ポリイミド前駆体溶液組成物からなる塗膜を比較的低温で加熱処理しても、得られるシームレスベルトの破断エネルギーをより大きくすることができ、したがって、シームレスベルトを得るための加熱処理温度を低く抑えることができるので好適である。
【0044】
ピリジン類化合物及び/又はイミダゾール類の添加量は、限定するものではないが、ポリアミド酸のアミド酸構造に対して(アミド酸構造1モル当たり)、好ましくは0.01〜5.0モル当量、より好ましくは0.01〜1.0モル当量である。なお、ポリアミド酸のアミド酸構造の数は、原料のテトラカルボン酸成分1分子当たり2個のアミド酸構造を形成するものとして計算される。
【0045】
ピリジン類化合物は、化学構造中にピリジン骨格を有する化合物のことであり、例えばピリジン、3−ピリジノール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、6−tert−ブチルキノリン、アクリジン、6−キノリンカルボン酸、3,4−ルチジン、ピリダジンなどを好適に挙げることができる。
【0046】
イミダゾール類化合物としては、例えば、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−エチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、及び1−メチル−4−エチルイミダゾールなどが好適に使用できる。
【0047】
これらのピリジン類化合物及びイミダゾール類化合物は、単独または2種以上を併用して使用することができる。
【0048】
ポリイミド前駆体溶液組成物の30℃における溶液粘度は、限定されないが、好ましくは1000Pa・sec以下、より好ましくは0.5〜500Pa・sec、さらに好ましくは1〜300Pa・sec、特に好ましくは3〜200Pa・secであることが取り扱い上好適である。溶液粘度が1000Pa・secを超えると、流動性がなくなるため、金属やガラスなどへの均一な塗布が困難となり、また、0.5Pa・secよりも低いと、金属やガラスなどへの塗布時にたれやハジキなどが生じることがあり、また高い特性のポリイミドシームレスベルトを得ることが難しくなることがある。
【0049】
本発明のシームレスベルトの製造方法は、前記化学式(6)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸が有機溶媒中に溶解してなるポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)を用いることに特徴があり、シームレスベルトを成形する方法は、従来公知の方法を好適に用いることができる。例えば回転成形法、すなわち基材の役割をする円筒形の金型を回転させながら金型(内側乃至外側)表面にポリイミド前駆体溶液組成物からなる無端管状塗膜(シームレスな塗膜)を形成し、前記シームレスな塗膜を比較的低温で加熱処理して溶媒除去を行って自己支持性膜(皮膜の流動が発生しない状態、溶媒の除去と共に重合及び一部イミド化反応が進んでいる)を形成し、次いで自己支持性膜をそのまま或いは必要に応じて基材から剥がして加熱処理して脱水・イミド化する方法によってシームレスベルトを好適に得ることができる。なお、ここで用いた「溶媒除去」或いは「脱水・イミド化」は、当該工程で、それぞれ溶媒除去のみ、或いは脱水・イミド化のみが進行することを意味しない。通常、溶媒除去工程でも相当程度の脱水・イミド化は進行するし、脱水・イミド化工程でも残存溶媒の除去が進行する。
【0050】
加熱処理条件は、概ね100℃以上、好ましくは120℃〜600℃、より好ましくは150℃〜500℃、更に好ましくは150℃〜350℃で、好ましくは段階的に温度を上げながら、0.01時間〜30時間、好ましくは0.01〜10時間加熱処理を行うことが好ましい。なお、本発明においては、特に250℃以下、好ましくは150〜250℃の比較的低温で加熱処理を行うことによっても、高い強靭性を有するシームレスベルトを容易に安定して得ることができる。
【0051】
本発明のシームレスベルトを構成するポリイミドは、極めて高い強靭性を有するので、特に複写機などの電子写真装置の中間転写、定着、或いは搬送用のシームレスベルトなどとして好適に用いることができる。
【0052】
本発明のシームレスベルトは、本発明の前記化学式(1)で示される繰返し単位を有するポリイミドから主としてなり、必要に応じて他の添加成分を含有したものであってもよい。また、本発明のシームレスベルトは、さらに他の樹脂層や金属層を積層することができる。
【0053】
本発明のシームレスベルトの厚みは、使用する目的に応じて適宜選択すればよいが、通常20〜200μm程度である。
【0054】
本発明のシームレスベルトを、電子写真装置の中間転写用ベルトとして使用する場合には、導電性フィラーを含有させて、表面抵抗率が10〜1016Ω/□、体積抵抗率が10〜1016Ω・cmの半導電性を付与することが好適である。
【0055】
本発明における導電性フィラーとしては、通常の中間転写シームレスベルトに用いられる導電性もしくは半導電性の微粉末が使用でき、特に制限はないが、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そして、これらを単独、あるいは2種以上を併用して使用してもよい。本発明では、カーボンブラックを導電性フィラーとして使用することが好ましいが、特に、平均一次粒子径が5〜100nmのものが好ましく、特に10〜50nmのものが好ましい。平均一次粒子径が100nmを超えるものは、機械特性や電気抵抗値の均一性が不十分になり易い傾向がある。
【0056】
導電性フィラーの配合量は、フィラーの種類、粒子径、分散状態によっても異なるが、ポリイミド(固形分)100重量部に対して、1〜50重量部の範囲が好ましく、2〜30重量部がより好ましい。本発明では、導電性フィラーを選択することと適当な配合量の組み合わせにより、中間転写ベルトに適した表面抵抗率(10〜1016Ω/□)と体積抵抗率(10〜1016Ω・cm)の範囲に調整される。
【0057】
本発明のシームレスベルトを、電子写真装置の定着用ベルトとして使用する場合には、熱伝導性を付与するためにシリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナなどの充填材を添加したり、ゴム弾性を付与するために例えばフッ素樹脂粉末を添加したり、発熱体である金属箔と積層したりすることが好適である。
【0058】
充填剤の添加量は、ポリイミド(固形分)100重量部に対して、1〜50重量部の範囲が好ましく、2〜30重量部がより好ましい。
【0059】
熱伝導率は、0.15W/mK以上、好ましくは0.20W/mK以上とすることが好適である。
【0060】
さらに、電子写真装置の定着用ベルトとして使用する場合には、表面にゴム弾性層、或いは離型層を積層したシームレスベルトとして好適に用いられる。離型層(剥離層)は、シームレスベルトの表面の剥離性を向上させるものであれば特に限定するものではなく、それ自身公知の、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、もしくはその変性物であるテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体(TFE/VdF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体(CTFE/VdF)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニル(PVF)などを用いて好適に構成できる。また、ゴム弾性層も同様の材料で構成することが可能である。それらの表面層に導電性フィラーを含有することも好適である。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0062】
以下の例で用いた特性の測定方法を以下に示す。
<固形分濃度>
固形分濃度[質量%]は、試料溶液(その質量をw1とする)を、熱風乾燥機中120℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で30分間加熱処理して、加熱処理後の質量(その質量をw2とする)を測定し、次式によって算出した。
【0063】
固形分濃度[質量%]=(w2/w1)×100
【0064】
<対数粘度>
試料溶液を、固形分濃度に基づいて濃度が0.5g/dl(溶媒はNMP)になるように希釈した。この希釈液を、30℃にて、キャノンフェンスケNo.100を用いて流下時間(T)を測定した。測定した希釈液の流下時間(T)とブランクのNMPの流下時間(T)を用いて、次式から対数粘度を算出した。
【0065】
対数粘度={ln(T/T)}/0.5
【0066】
<溶液粘度(回転粘度)>
トキメック社製E型粘度計を用いて30℃で測定した。
【0067】
<シームレスベルトの状態観察>
得られたシームレスベルトを目視により状態を判断した。シームレスベルトの状態観察は、発泡または割れなどが全くないものを○、発泡または割れなどが全体の30%程度のものを△、これ以上発泡または割れているものを×とした。
【0068】
<機械的特性(引張試験)>
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を行い、引張弾性率、引張破断伸び、引張破断強度を求めた。
【0069】
<引張り破断エネルギーの測定>
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。引張り破断エネルギーは、ASTM D882のA2.1 引張り破断エネルギーの決定法に基づいて算出した。
【0070】
以下の例で使用した化合物の略号について説明する。
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物
PPD:p−フェニレンジアミン
ODA:4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)
HMD:1,6−ジアミノヘキサン
TMD:1,4−ジアミノブタン
1,2−DMZ:1,2−ジメチルイミダゾール
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
【0071】
〔実施例1〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにPPDの6.88g(0.064モル)及びODAの29.72g(0.148モル)と、ODPAの19.73g(0.064モル)及びs−BPDAの43.67g(0.148モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.3質量%、溶液粘度5.1Pa・sec、対数粘度0.68のポリアミック酸溶液を得た。
【0072】
得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0073】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0074】
これらの結果を表1に示した。
【0075】
〔実施例2〕
実施例1で得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、次いで200℃で30分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0076】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0077】
これらの結果を表1に示した。
【0078】
〔実施例3〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の1.32g、s−BPDAの41.17g及びODAの14.01g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.48重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの35.03g及びPPDの11.35gを溶解させ、さらにs−BPDAの30.88g及びODPAの32.56gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.3質量%、溶液粘度5.7Pa・sec、対数粘度0.21のポリアミック酸溶液を得た。
【0079】
得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0080】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0081】
これらの結果を表1に示した。
【0082】
〔実施例4〕
実施例3で得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、次いで200℃で30分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0083】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0084】
これらの結果を表1に示した。
【0085】
〔実施例5〕
実施例3で得られたポリアミック酸溶液にイソキノリンの0.1モル当量を加え、25℃で4時間撹拌したポリイミド前駆体溶液組成物を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、次いで200℃で30分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0086】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0087】
これらの結果を表1に示した。
【0088】
〔実施例6〕
実施例3で得られたポリアミック酸溶液に1,2−DMZの0.1モル当量を加え、25℃で4時間撹拌したポリイミド前駆体溶液組成物を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、次いで200℃で30分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0089】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0090】
これらの結果を表1に示した。
【0091】
〔実施例7〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにPPDの11.85g(0.110モル)及びODAの21.94g(0.110モル)と、ODPAの33.98g(0.110モル)及びs−BPDAの32.23g(0.110モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.2質量%、溶液粘度5.0Pa・sec、対数粘度0.65のポリアミック酸溶液を得た。
【0092】
得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0093】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0094】
これらの結果を表1に示した。
【0095】
〔実施例8〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の1.95g、s−BPDAの42.54g及びODAの14.48g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.50重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの21.72g及びPPDの19.55gを溶解させ、さらにs−BPDAの10.64g及びODPAの56.07gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.1質量%、溶液粘度5.4Pa・sec、対数粘度0.22のポリアミック酸溶液を得た。
【0096】
得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0097】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0098】
これらの結果を表1に示した。
【0099】
〔実施例9〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにPPDの17.41g(0.161モル)及びODAの13.82g(0.069モル)と、ODPAの21.40g(0.069モル)及びs−BPDAの47.37g(0.161モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.1質量%、溶液粘度5.3Pa・sec、対数粘度0.64のポリアミック酸溶液を得た。
【0100】
得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0101】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0102】
これらの結果を表1に示した。
【0103】
〔実施例10〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の2.05g、s−BPDAの44.66g及びODAの15.20g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.52重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの7.60g及びPPDの28.73gを溶解させ、さらにs−BPDAの33.49g及びODPAの35.32gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.2質量%、溶液粘度5.2Pa・sec、対数粘度0.23のポリアミック酸溶液を得た。
【0104】
得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0105】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0106】
これらの結果を表1に示した。
【0107】
〔実施例11〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の1.95g、s−BPDAの41.54g及びODAの14.14g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.49重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの31.81g、PPDの11.45g及びHMDの2.05gを溶解させ、さらにs−BPDAの31.16g及びODPAの32.85gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.3質量%、溶液粘度6.4Pa・s、対数粘度0.25のポリアミック酸溶液組成物を得た。
【0108】
得られたポリアミック酸溶液組成物を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0109】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0110】
これらの結果を表1に示した。
【0111】
〔実施例12〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の1.91g、s−BPDAの41.67g及びODAの14.18g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.49重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの31.91g、PPDの11.49g及びTMDの1.56gを溶解させ、さらにs−BPDAの31.25g及びODPAの32.95gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.5質量%、溶液粘度7.3Pa・s、対数粘度0.24のポリアミック酸溶液組成物を得た。
【0112】
得られたポリアミック酸溶液組成物を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0113】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0114】
これらの結果を表1に示した。
【0115】
〔実施例13〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の1.97g、s−BPDAの42.94g及びODAの14.61g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.50重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの18.27g、PPDの19.73g及びHMDの2.12gを溶解させ、さらにs−BPDAの10.73g及びODPAの56.59gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.5質量%、溶液粘度7.2Pa・s、対数粘度0.24のポリアミック酸溶液組成物を得た。
【0116】
得られたポリアミック酸溶液組成物を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0117】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0118】
これらの結果を表1に示した。
【0119】
〔実施例14〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の1.98g、s−BPDAの43.07g及びODAの14.66g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.50重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの18.32g、PPDの19.79g及びTMDの1.61gを溶解させ、さらにs−BPDAの10.77g及びODPAの56.77gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.6質量%、溶液粘度6.3Pa・s、対数粘度0.23のポリアミック酸溶液組成物を得た。
【0120】
得られたポリアミック酸溶液組成物を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0121】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0122】
これらの結果を表1に示した。
【0123】
〔比較例1〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の2.19g、s−BPDAの47.69g及びPPDの8.77g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.56重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へPPDの35.06gを溶解させ、さらにs−BPDAの35.77g及びODPAの37.71gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.8質量%、溶液粘度6.7Pa・sec、対数粘度0.25のポリアミック酸溶液を得た。
【0124】
得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理したが、フィルム全体に割れが生じ、ポリイミドシームレスベルトを得ることはできなかった。
【0125】
これらの結果を表2に示した。
【0126】
〔比較例2〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の1.80g、s−BPDAの39.27g及びODAの13.36g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.46重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの53.46gを溶解させ、さらにs−BPDAの58.91gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度31.0質量%、溶液粘度8.9Pa・sec、対数粘度0.24のポリアミック酸溶液を得た。
【0127】
得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成したが、全体の30%程度に割れが生じた。
【0128】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0129】
これらの結果を表2に示した。
【0130】
〔比較例3〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の2.22g、s−BPDAの48.26g及びPPDの8.87g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.56重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へPPDの35.48gを溶解させ、さらにs−BPDAの72.39gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.3質量%、溶液粘度6.4Pa・sec、対数粘度0.23のポリアミック酸溶液を得た。
【0131】
得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理したが、フィルム全体に割れが生じ、ポリイミドシームレスベルトを得ることはできなかった。
【0132】
これらの結果を表2に示した。
【0133】
〔比較例4〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の1.82g、s−BPDAの39.62g及びODAの13.48g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.47重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの47.20g及びPPDの3.64gを溶解させ、さらにs−BPDAの29.72g及びODPAの31.33gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.8質量%、溶液粘度5.2Pa・s、対数粘度0.23のポリアミック酸溶液組成物を得た。
【0134】
得られたポリアミック酸溶液組成物を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0135】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0136】
これらの結果を表2に示した。
【0137】
〔比較例5〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の1.91g、s−BPDAの20.24g、ODPAの21.34g及びODAの13.78g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.49重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの34.44g及びPPDの11.16gを溶解させ、さらにODPAの64.03gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.8質量%、溶液粘度5.2Pa・s、対数粘度0.24のポリアミック酸溶液組成物を得た。
【0138】
得られたポリアミック酸溶液組成物を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0139】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0140】
これらの結果を表2に示した。
【0141】
〔比較例6〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の1.91g、s−BPDAの41.57g及びODAの14.15g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.49重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの35.36g及びPPDの11.46gを溶解させ、さらにs−BPDAの60.27g及びODPAの2.19gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.7質量%、溶液粘度7.2Pa・s、対数粘度0.24のポリアミック酸溶液組成物を得た。
【0142】
得られたポリアミック酸溶液組成物を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成したが、全体の30%程度に割れが生じた。
【0143】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0144】
これらの結果を表2に示した。
【0145】
〔比較例7〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の2.18g、s−BPDAの47.48g及びPPDの8.73g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.55重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へPPDの34.03g及びODAの1.62gを溶解させ、さらにs−BPDAの35.61g及びODPAの37.54gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度30.6質量%、溶液粘度6.8Pa・sec、対数粘度0.25のポリアミック酸溶液を得た。
【0146】
得られたポリアミック酸溶液を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理したが、フィルム全体に割れが生じ、ポリイミドシームレスベルトを得ることはできなかった。
【0147】
これらの結果を表2に示した。
【0148】
〔比較例8〕
撹拌機、撹拌羽根、還流冷却器、窒素ガス導入管を備えた500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの335g、水の1.79g、s−BPDAの39.04g及びODAの13.29g(水のモル比[水/酸成分]が3/4、水の含有率が0.46重量%、酸成分のモル比[酸成分/ジアミン成分]が2/1)を秤取り、70℃の反応温度で3時間撹拌して反応させた。次いで、この反応溶液へODAの51.81g及びPPDの0.72gを溶解させ、さらにs−BPDAの29.28g及びODPAの30.87gを添加して、反応温度50℃で20時間撹拌して、固形分濃度31.0質量%、溶液粘度6.6Pa・s、対数粘度0.25のポリアミック酸溶液組成物を得た。
【0149】
得られたポリアミック酸溶液組成物を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0150】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0151】
これらの結果を表2に示した。
【0152】
〔参考例1〕
比較例5と同組成で、対数粘度が大きいポリアミック酸溶液組成物を用いてポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0153】
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mLのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMPの400gを加え、これにPPDの6.76g及びODAの29.23gと、s−BPDAの12.27g及びODPAの51.74gとを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.3質量%、溶液粘度8.0Pa・s、対数粘度0.87のポリアミック酸溶液組成物を得た。
【0154】
得られたポリアミック酸溶液組成物を、内径150mm、長さ300mmの円筒金型の内側表面に、回転数100rpmで回転させながら均一に塗布し、その後回転数が200rpmでこの塗膜を、120℃で30分間、150℃で10分間、200℃で10分間、250℃で10分間、次いで350℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミドシームレスベルトを形成した。
【0155】
このポリイミドシームレスベルトを用いて特性を評価した。
【0156】
これらの結果を表2に示した。
【0157】
【表1】
【0158】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明によって、特定の化学構造を有した極めて高い強靭性を有するポリイミドからなるシームレスベルト、その製造方法、及び、その製造に用いるポリイミド前駆体溶液組成物を提供することができる。また、本発明においては、高濃度且つ低粘度のポリアミック酸溶液によって構成されたポリイミド前駆体溶液組成物を用いた場合でも、極めて高い強靭性を有するポリイミドシームレスベルトを容易に安定して得ることができる。本発明のシームレスベルトは、高い強靭性が要求される電子写真装置の中間転写用ベルト或いは定着用ベルトとして好適に用いることができる。