特許第5831590号(P5831590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニー株式会社の特許一覧
特許5831590通信制御方法、通信システム、および管理サーバ
<>
  • 特許5831590-通信制御方法、通信システム、および管理サーバ 図000027
  • 特許5831590-通信制御方法、通信システム、および管理サーバ 図000028
  • 特許5831590-通信制御方法、通信システム、および管理サーバ 図000029
  • 特許5831590-通信制御方法、通信システム、および管理サーバ 図000030
  • 特許5831590-通信制御方法、通信システム、および管理サーバ 図000031
  • 特許5831590-通信制御方法、通信システム、および管理サーバ 図000032
  • 特許5831590-通信制御方法、通信システム、および管理サーバ 図000033
  • 特許5831590-通信制御方法、通信システム、および管理サーバ 図000034
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5831590
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】通信制御方法、通信システム、および管理サーバ
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/34 20090101AFI20151119BHJP
   H04W 16/08 20090101ALI20151119BHJP
【FI】
   H04W52/34
   H04W16/08
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-95742(P2014-95742)
(22)【出願日】2014年5月7日
(62)【分割の表示】特願2010-75336(P2010-75336)の分割
【原出願日】2010年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-140260(P2014-140260A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2014年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】澤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】木村 亮太
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/023587(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送信装置および第1の受信装置と、前記第1の送信装置に割り当てられている周波数を利用する第2の送信装置および第2の受信装置と、からなる通信システムにおける、前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出するステップと;
前記第2の受信装置に望まれる前記受信品質に基づいて前記第1の受信装置における干渉許容量を算出するステップと;
前記第1の受信装置における前記干渉許容量が確保されるように前記第1の送信装置の送信パラメータを設定するステップと;
前記第1の受信装置に前記第2の送信装置が与える干渉が、前記第1の受信装置における前記干渉許容量の範囲内になるよう、前記第2の送信装置の送信電力を設定するステップと;
を含む、通信制御方法。
【請求項2】
前記第1の受信装置における干渉許容量を算出するステップは、所定の上限値を上回らない範囲で前記第1の受信装置における干渉許容量を算出するステップである、請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項3】
前記第1の送信装置の前記送信パラメータを設定するステップは、前記第1の受信装置における干渉許容量が確保されるように前記第1の送信装置の送信電力を変化させるステップである、請求項2に記載の通信制御方法。
【請求項4】
前記第1の送信装置の前記送信パラメータを設定するステップは、前記第1の受信装置における干渉許容量が確保されるように前記第1の送信装置の送信レートを変化させるステップである、請求項2に記載の通信制御方法。
【請求項5】
前記第1の送信装置の前記送信パラメータを設定するステップは、前記第1の受信装置における干渉許容量が確保されるように、前記第1の送信装置の送信電力の変化量、および前記第1の送信装置の送信レートの変化量を設定するステップである、請求項2に記載の通信制御方法。
【請求項6】
前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出するステップは、前記第2の受信装置の所要SINRに基づいて前記受信品質を算出することを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の通信制御方法。
【請求項7】
前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出するステップは、前記第2の受信装置の実際のSINRに基づいて前記受信品質を算出することを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の通信制御方法。
【請求項8】
前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出するステップは、前記第2の受信装置に望まれる受信品質の変化レベルを前記受信品質として算出することを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の通信制御方法。
【請求項9】
前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出するステップは、前記第2の受信装置の所要SINRと、前記第1の受信装置の実際のSINRとの比率を前記変化レベルとして算出することを含む、請求項8に記載の通信制御方法。
【請求項10】
前記第1の受信装置における干渉許容量を算出するステップは、前記受信品質を実現するために必要な前記第1の受信装置における干渉許容量の変化分を演算し、演算により得られた干渉許容量の変化分を限度として、前記第1の送信装置が確保可能な前記第1の受信装置における干渉許容量の変化分を決定するステップである、請求項1〜4のいずれかに記載の通信制御方法。
【請求項11】
第1の送信装置および第1の受信装置による通信を管理する第1の管理サーバと;
前記第1の送信装置に割り当てられている周波数を利用する第2の送信装置および第2の受信装置による通信を管理する第2の管理サーバと;
を備え、
前記第2の管理サーバは、
前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出する算出部と;
前記第1の受信装置に前記第2の送信装置が与える干渉が、前記第2の受信装置に望まれる前記受信品質に基づいて前記第1の管理サーバにより算出される前記第1の受信装置における干渉許容量の範囲内になるよう、前記第2の送信装置の送信電力を設定する送信電力設定部と;
を有し、
前記第1の管理サーバは、
前記第2の管理サーバにより算出された前記第2の受信装置に望まれる受信品質に基づいて前記第1の受信装置における前記干渉許容量を算出する干渉許容量算出部と;
前記第1の受信装置における前記干渉許容量が確保されるように前記第1の送信装置の送信パラメータを設定する送信パラメータ設定部と;
を有する、通信システム。
【請求項12】
第1の送信装置および第1の受信装置による通信を管理する他の管理サーバと通信する通信部と;
前記第1の送信装置に割り当てられている周波数を利用する第2の送信装置および第2の受信装置による通信を制御する通信制御部と;
前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出する算出部と;
前記第1の受信装置に前記第2の送信装置が与える干渉が、前記第2の受信装置に望まれる前記受信品質に基づいて前記他の管理サーバにより算出される前記第1の受信装置における干渉許容量の範囲内になるよう、前記第2の送信装置の送信電力を設定する送信電力設定部と;
を備える、管理サーバ。
【請求項13】
第1の送信装置および第1の受信装置による通信を制御する通信制御部と;
前記第1の送信装置に割り当てられている周波数を利用する第2の送信装置および第2の受信装置による通信を管理する他の管理サーバと通信する通信部と;
前記他の管理サーバにより算出される前記第2の受信装置に望まれる受信品質に基づいて前記第1の受信装置における干渉許容量を算出する干渉許容量算出部と;
前記第1の受信装置における前記干渉許容量が確保されるように前記第1の送信装置の送信パラメータを設定する送信パラメータ設定部と;
を備える、管理サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御方法、通信システム、および管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近日、次世代の通信ネットワークとして、ヘテロジニアスネットワークが提案されている。このヘテロジニアスネットワークは、マクロセル内で、複数種類の中小規模基地局が、アンダーレイ送信またはスペクトラムシェアリングを行うことにより共存するネットワークである。中小規模基地局としては、RRH(Remote RadioHead)セル基地局、ホットゾーン基地局(Pico/micro cell eNB)、フェムトセル基地局(Home eNB)、および中継装置(リレー基地局)などがあげられる。
【0003】
このようなヘテロジニアスネットワークにおいては、例えば、マクロセル基地局とフェムトセル基地局など、異なる基地局が同一の周波数の利用する場合に、干渉の発生によりエリアキャパシティの向上が阻害されてしまうことが懸念される。この点に関し、例えば特許文献1および特許文献2には、異なる送信装置間の干渉問題を改善するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−159452号公報
【特許文献2】特表2009−542043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、受信装置および送信装置からなる第1のネットワーク、および第2のネットワークが存在し、第1のネットワークが第2のネットワークから干渉を受けている場合を考える。この場合、例えば、第1のネットワークの送信装置の送信電力を増加させることにより、第1のネットワークの受信装置における受信品質を向上させることができる。
【0006】
しかし、第1のネットワークの送信装置の送信電力を増加させると、第1のネットワークが第2のネットワークに与える干渉量が増加してしまう。したがって、一のローカルなネットワークにおける送信電力を一方的に増加させるのみでは、ネットワーク全体のキャパシティの総和を増加させることが困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、異なるネットワークの各々の送信装置の送信パラメータをネットワーク間で協調して制御することによりネットワーク全体のキャパシティの総和を増加させることが可能な、新規かつ改良された通信制御方法、通信システム、および管理サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1の送信装置および第1の受信装置と、前記第1の送信装置に割り当てられている周波数を利用する第2の送信装置および第2の受信装置と、からなる通信システムにおける、前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出するステップと;前記受信品質に基づいて前記第1の受信装置における干渉許容量を算出するステップと;前記第1の受信装置における干渉許容量が確保されるように前記第1の送信装置の送信パラメータを設定するステップと;前記第1の受信装置に前記第2の送信装置が与える干渉が、前記第1の受信装置における干渉許容量の範囲内になるよう、前記第2の送信装置の送信電力を設定するステップと;を含む、通信制御方法が提供される。
【0009】
前記第1の受信装置における干渉許容量を算出するステップは、所定の上限値を上回らない範囲で前記第1の受信装置における干渉許容量を算出するステップであってもよい。
【0010】
前記第1の送信装置の前記送信パラメータを設定するステップは、前記第1の受信装置における干渉許容量が確保されるように前記第1の送信装置の送信電力を変化させるステップであってもよい。
【0011】
前記第1の送信装置の前記送信パラメータを設定するステップは、前記第1の受信装置における干渉許容量が確保されるように前記第1の送信装置の送信レートを変化させるステップであってもよい。
【0012】
前記第1の送信装置の前記送信パラメータを設定するステップは、前記第1の受信装置における干渉許容量が確保されるように、前記第1の送信装置の送信電力の変化量、および前記第1の送信装置の送信レートの変化量を設定するステップであってもよい。
【0013】
前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出するステップは、前記第2の受信装置の所要SINRに基づいて前記受信品質を算出することを含んでもよい。
【0014】
前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出するステップは、前記第2の受信装置の実際のSINRに基づいて前記受信品質を算出することを含んでもよい。
【0015】
前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出するステップは、前記第2の受信品質に望まれる受信品質の変化レベルを前記受信品質として算出することを含んでもよい。
【0016】
前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出するステップは、前記第2の受信装置の所要SINRと、前記第1の受信装置の実際のSINRとの比率を前記変化レベルとして算出することを含んでもよい。
【0017】
前記第1の受信装置における干渉許容量を算出するステップは、前記受信品質を実現するために必要な前記第1の受信装置における干渉許容量の変化分を演算し、演算により得られた干渉許容量の変化分を限度として、前記第1の送信装置が確保可能な前記第1の受信装置における干渉許容量の変化分を決定するステップであってもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の送信装置および第1の受信装置による通信を管理する第1の管理サーバと;前記第1の送信装置に割り当てられている周波数を利用する第2の送信装置および第2の受信装置による通信を管理する第2の管理サーバと;を備え、前記第2の管理サーバは、前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出する算出部と;前記第1の受信装置に前記第2の送信装置が与える干渉が、前記受信品質に基づいて前記第1の管理サーバにより算出される前記第1の受信装置における干渉許容量の範囲内になるよう、前記第2の送信装置の送信電力を設定する送信電力設定部と;を有し、前記第1の管理サーバは、前記第2の管理サーバにより算出された前記第2の受信装置に望まれる受信品質に基づいて前記第1の受信装置における干渉許容量を算出する干渉許容量算出部と;前記第1の受信装置における干渉許容量が確保されるように前記第1の送信装置の送信パラメータを設定する送信パラメータ設定部と;を有する、通信システムが提供される。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の送信装置および第1の受信装置による通信を管理する他の管理サーバと通信する通信部と;前記第1の送信装置に割り当てられている周波数を利用する第2の送信装置および第2の受信装置による通信を制御する通信制御部と;前記第2の受信装置に望まれる受信品質を算出する算出部と;前記第1の受信装置に前記第2の送信装置が与える干渉が、前記受信品質に基づいて前記他の管理サーバにより算出される前記第1の受信装置における干渉許容量の範囲内になるよう、前記第2の送信装置の送信電力を設定する送信電力設定部と;を備える、管理サーバが提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の送信装置および第1の受信装置による通信を制御する通信制御部と;前記第1の送信装置に割り当てられている周波数を利用する第2の送信装置および第2の受信装置による通信を管理する他の管理サーバと通信する通信部と;前記他の管理サーバにより算出される前記第2の受信装置に望まれる受信品質に基づいて前記第1の受信装置における干渉許容量を算出する干渉許容量算出部と;前記第1の受信装置における干渉許容量が確保されるように前記第1の送信装置の送信パラメータを設定する送信パラメータ設定部と;を備える、管理サーバが提供される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、異なるネットワークの各々の送信装置の送信パラメータをネットワーク間で協調して制御することによりネットワーク全体のキャパシティの総和を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ヘテロジニアスネットワークの構成例を示した説明図である。
図2】各中小規模基地局の概要を示した説明図である。
図3】本発明の実施形態による通信システムの構成例を示した説明図である。
図4】管理サーバの構成を示した機能ブロック図である。
図5】通信システムにおける全体動作を示したシーケンス図である。
図6】第2の受信装置20に望まれる受信品質の向上レベルMreqおよび第1の受信装置20Aにおける干渉許容量M’の関係を示した説明図である。
図7】送信電力制御により干渉許容量M’を確保する場合の干渉許容量M’と平均通信容量の関係を示した説明図である。
図8】送信レート制御により干渉許容量M’を確保する場合の干渉許容量M’と平均通信容量の関係を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて通信端末20A、20Bおよび20Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、通信端末20A、20Bおよび20Cを特に区別する必要が無い場合には、単に通信端末20と称する。
【0025】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.ヘテロジニアスネットワークの構成例
2.本発明の実施形態の概要
3.本発明の実施形態による動作の詳細な説明
3−1.受信品質向上の要否判断(ステップ1)
3−2.受信品質向上レベルの期待値Mreqの算出(ステップ2)
3−3.干渉許容量Mの算出(ステップ3)
3−4.干渉許容量Mに基づく送信電力の制御(ステップ4)
4.数値解析結果の示す本発明の実施形態の効果
5.補足
6.まとめ
【0026】
<1.ヘテロジニアスネットワークの構成例>
本発明の実施形態は、例えば、複数のローカルなネットワークが同一の周波数を利用して共存する通信システムに適用可能である。このような通信システムの一例として、ヘテロジニアスネットワークが挙げられる。
【0027】
ヘテロジニアスネットワークは、マクロセル内で、複数種類の中小規模基地局が、アンダーレイ送信またはスペクトラムシェアリングを行うことにより共存するネットワークである。中小規模基地局としては、RRH(Remote RadioHead)セル基地局、ホットゾーン基地局(Pico/micro cell eNB)、フェムトセル基地局(Home eNB)、および中継装置(リレー基地局)などがあげられる。なお、アンダーレイ送信は、互いの通信リンクに干渉を及ぼす範囲に存在する送受信機が、同一の周波数チャネルを用いて通信を行う送信形態のことである。アンダーレイ送信により周波数を二次利用する側の送信機は、一次利用者の通信リンクにとって致命的な干渉とならないように、与干渉レベルを調整する必要がある。以下、ヘテロジニアスネットワークの構成を具体的に説明する。
【0028】
図1は、ヘテロジニアスネットワークの構成例を示した説明図である。図1に示したように、ヘテロジニアスネットワークは、マクロセル基地局10(基地局10と同義)と、中継装置30と、ホットゾーン基地局31と、フェムトセル基地局32と、RRHセル基地局33と、管理サーバ16Aおよび16Bと、を備える。
【0029】
管理サーバ16Aは、マクロセル基地局10が形成するセルの状態を示す管理情報をマクロセル基地局10から受信し、この管理情報に基づいてマクロセル基地局10が形成するセルにおける通信を制御する。同様に、管理サーバ16Bは、フェムトセル基地局32が形成するセルの状態を示す管理情報をフェムトセル基地局32から受信し、この管理情報に基づいてフェムトセル基地局32が形成するセルにおける通信を制御する。また、管理サーバ16Aおよび16Bは、マクロセル基地局10および中小規模基地局が協調して動作するための機能を有する。なお、管理サーバ16の機能は、マクロセル基地局10またはいずれかの中小規模基地局に実装されていてもよい。
【0030】
マクロセル基地局10は、マクロセル内に存在する中小規模基地局30および通信端末20のスケジューリング情報を管理し、このスケジューリング情報に従って中小規模基地局30および通信端末20と通信することができる。
【0031】
ホットゾーン基地局31(ピコセル基地局、ミクロセル基地局)は、最大送信電力がマクロセル基地局10より小さく、マクロセル基地局10とはコアネットワークのX2やS1などのインタフェースを用いて通信する。なお、ホットゾーン基地局31は、どの通信端末20からもアクセス可能なOSG(Open Subscriber Group)を形成する。
【0032】
フェムトセル基地局32は、最大送信電力がマクロセル基地局10より小さく、マクロセル基地局10とはADSLなどのパケット交換ネットワークを用いて通信する。または、フェムトセル基地局32は、無線リンクによりマクロセル基地局10と通信することも可能である。なお、フェムトセル基地局32は、限られた通信端末20からしかアクセスできないCSG(Closed Subscriber Group)を形成する。
【0033】
RRHセル基地局33は、マクロセル基地局10と光ファイバで接続されている。このため、マクロセル基地局10は、地理的に異なる場所に配置されたRRHセル基地局33Aおよび33Bに光ファイバを介して信号を伝送し、RRHセル基地局33Aおよび33Bから信号を無線送信させることができる。例えば、通信端末20の位置に近いRRHセル基地局33のみを利用することも可能である。なお、制御系の機能はマクロセル基地局10に実装されており、通信端末20の分布に応じて、最適な送信形態を選択する。
【0034】
以上説明した各中小規模基地局の概要を図2にまとめた。これらホットゾーン基地局31やフェムトセル基地局32などの中小規模基地局は、マクロセル基地局10が利用する周波数を二次利用することにより、キャパシティの総和を増加させることができる。
【0035】
ここで、フェムトセル基地局32の送信電力を増加させれば、通信端末20Dの受信品質を向上することができる。しかし、フェムトセル基地局32の送信電力を増加させると、フェムトセル基地局32がマクロセル内の他の通信に与える干渉量が増加してしまう。したがって、単にフェムトセル基地局32の送信電力を一方的に増加させるのみでは、マクロセル全体におけるキャパシティの総和を増加させることが困難であった。
【0036】
そこで、上記実情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、異なるネットワークの各々の送信装置(例えば、マクロセル基地局10とフェムトセル基地局32)の送信パラメータをネットワーク間で協調して制御することによりネットワーク全体のキャパシティの総和を増加させることが可能である。以下、このような本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0037】
<2.本発明の実施形態の概要>
まず、図3を参照し、例えば上述したヘテロジニアスネットワークに適用可能な、本発明の実施形態による通信システム1の構成を説明する。
【0038】
図3は、本発明の実施形態による通信システム1の構成例を示した説明図である。図3に示したように、本発明の実施形態による通信システム1は、管理サーバ16A(第1の管理サーバ)と、管理サーバ16B(第2の管理サーバ)と、受信装置20A(第1の受信装置)、受信装置20B(第2の受信装置)と、送信装置40A(第1の送信装置)と、送信装置40B(第2の送信装置)と、を備える。ここで、受信装置20Aおよび受信装置20Bは例えば図1に示した各通信端末20に対応し、送信装置40Aは例えば図1に示したマクロセル基地局10に対応し、送信装置40Bは例えば図1に示したフェムトセル基地局32に対応する。
【0039】
管理サーバ16Aは、送信装置40Aおよび受信装置20Aによる通信を制御して第1の通信サービスを実現し、管理サーバ16Bは、送信装置40Aと同一の周波数を二次利用する送信装置40Bおよび受信装置20Bによる通信を制御して第2の通信サービスを実現する。
【0040】
このような通信システム1においては、図3に示したように、送信装置40Aから送信された無線信号は通信端末20Bにおいて干渉波として作用し、送信装置40Bから送信された無線信号は通信端末20Aにおいて干渉波として作用してしまう。このため、送信装置40Aおよび40Bによる送信パラメータを適切に制御し、受信装置40Aおよび40BにおけるSINRの最適化を図ることが重要である。以下、図4および図5を参照して通信システム1における全体動作を概略的に説明した後、「3.本発明の実施形態による動作の詳細な説明」で各動作を詳細に説明する。
【0041】
図4は、管理サーバ16Aおよび16Bの構成を示した機能ブロック図である。図4に示したように、管理サーバ16Aは、ネットワーク通信部110と、干渉許容量算出部120と、送信パラメータ設定部130と、通信制御部140と、を備える。また、管理サーバ16Bは、ネットワーク通信部210と、期待値算出部220(向上レベル算出部)と、送信電力設定部230と、通信制御部240と、を備える。管理サーバ16Aのネットワーク通信部110は、管理サーバ16Bおよび送信装置40Aと通信するためのインタフェースであり、管理サーバ16Bのネットワーク通信部210は、管理サーバ16Aおよび送信装置40Bと通信するためのインタフェースである。他の構成については、以下に図5を参照して説明する通信システム1における全体動作と併せて説明する。
【0042】
図5は、通信システム1における全体動作を示したシーケンス図である。図5に示したように、通信システム1における全体動作は、以下のステップ1〜ステップ4で構成される。
【0043】
ステップ1:
管理サーバ16Bの期待値算出部220が、受信装置20Bの受信品質の向上が必要であるか否かを判断する。受信装置20Bの受信品質の向上が必要であれば、ステップ2以降の動作が行われる。
【0044】
ステップ2:
管理サーバ16Bの期待値算出部220が、受信装置20Bに望まれる受信品質の向上レベルMreqを算出する。そして、Mreqを管理サーバ16Aに通知する。なお、当該処理は、管理サーバ16Aと16Bが協調動作するための協調動作マネージャにより行われてもよい。ステップ3以降の処理も同様である。
【0045】
ステップ3:
管理サーバ16Aの干渉許容量算出部220が、Mreqを実現するために必要な受信装置20Aにおける理想的な干渉許容量M’を算出し、干渉許容量M’から実際に適用する干渉許容量M(あるいは、干渉許容量の増分M)を決定する。そして、送信パラメータ設定部130が、受信装置20Aにおいて干渉許容量Mが確保されるように送信装置40Aの送信パラメータ(送信電力または送信レート)を設定する。また、受信装置20Aにおける干渉許容量Mを管理サーバ16Bに通知する。
【0046】
ステップ4:
管理サーバ16Bの送信電力設定部130が、管理サーバ16Aにより決定された干渉許容量Mに従い、送信装置40Bの送信電力を設定する。
【0047】
なお、上記の各ステップを行う主体は特に限定されない。例えば、上記の各ステップを行う主体に、送信装置40Aまたは送信装置40Bなどが含まれてもよいし、管理サーバ16Aまたは管理サーバ16Bが含まれなくてもよい。より詳細には、上記の第1のステップ、第2のステップ、および第4のステップを送信装置40Bが行い、上記の第3のステップを送信装置40Aが行ってもよい。さらに、上記の全てのステップを管理サーバ16A、管理サーバ16B、送信装置40A、または送信装置40Bのいずれかが行ってもよい。
【0048】
<3.本発明の実施形態による動作の詳細な説明>
以下、上述したステップ1〜ステップ4の各々を詳細に説明する。
【0049】
(3−1.受信品質向上の要否判断(ステップ1))
管理サーバ16Bの期待値算出部220は、例えば、以下の場合に受信装置20Bの受信品質の向上が必要であると判断する。
【0050】
ケースA:受信装置20Bの実際の受信品質(SINR_secondary)が、受信装置20Bに要求される所要SINR(SINR_required,seconary)を下回っている場合。すなわち、下記の数式1が満たされる場合。
【0051】
【数1】
【0052】
ケースB:管理サーバ16Bの管理下に複数の受信装置20Bが存在し、複数の受信装置20Bの各々の受信品質(SINR_secondary)が、各受信装置20Bに要求される所要SINR(SINR_required,seconary)を下回っている場合。すなわち、下記の数式2が満たされる場合。なお、数式2における添え字iは、管理サーバ16Bが管理するi番目の受信装置20Bの通信リンクを意味する。
【0053】
【数2】
【0054】
ケースC:
ある通信範囲で、一定レベル以上の平均SINRが必要であり(たとえば、QoS保証が必要な動画像伝送などの特定のアプリケーションの通信が期待される)、管理サーバ16Bが管理するネットワークのキャパシティ(C_secondary)が足りず、下記の数式3のようにキャパシティの向上(M倍)が期待される場合。
【0055】
【数3】
【0056】
(3−2.受信品質向上レベルの期待値Mreqの算出(ステップ2))
管理サーバ16Bの期待値算出部220は、例えば以下に示す方法により受信装置20Bに望まれる受信品質の向上レベルMreqを算出する。そして、管理サーバ16Bのネットワーク通信部210が、期待値算出部220により算出されたMreqを管理サーバ16Aに通知する。
【0057】
ケースA:期待値算出部220は、以下の数式4に示すように、SINR_secondaryとSINR_required,secodaryとの比率をMreqとして算出する。
【0058】
【数4】
【0059】
ケースB:期待値算出部220は、以下の数式5に示すように、各通信リンクについて受信品質の向上レベルMreqを算出する。
【0060】
【数5】
【0061】
ケースC:キャパシティCとSINRの関係は一般的に以下の数式6のように表わされるので、数式7に従って所要SINR_required,secondaryを算出することができる。期待値算出部220は、この所要SINR_required,secondaryを用い、数式4または5に従ってMreqを算出することができる。
【0062】
【数6】
【0063】
【数7】
【0064】
(3−3.干渉許容量Mの算出(ステップ3))
管理サーバ16Aの干渉許容量算出部120は、まず、管理サーバ16Bから通知されるMreqを実現できるように、受信装置20Aにおける干渉許容量M’を以下の方法により算出する。
【0065】
・ケースA:干渉許容量の算出対象がシングルリンクの場合
方法A−1:送信電力制御による干渉許容量M’の算出
管理サーバ16Aの干渉許容量算出部120は、送信装置40Aの送信電力を増加させることによりMreqに対応する干渉許容量を確保する場合、一例として以下に示す数式8に従って干渉許容量M’を算出する。なお、数式8の導出方法は、「5.補足」において説明する。
【0066】
【数8】
【0067】
なお、数式8内の各パラメータは、受信装置20A、受信装置20B、送信装置40A、および送信装置40Bによるセンシングにより取得可能であり、管理サーバ16Aまたは管理サーバ16Bを介して送受信される。
【0068】
方法A−2:送信レート制御による干渉許容量M’の算出
管理サーバ16Aの干渉許容量算出部120は、送信装置40Aの送信レートを減少させることによりMreqに対応する干渉許容量を確保する場合、一例として以下に示す数式9に従って干渉許容量M’を算出する。なお、数式9の導出方法は、「5.補足」において説明する。
【0069】
【数9】
【0070】
・ケースB:干渉許容量の算出対象がマルチリンクの場合
方法B−1:送信電力制御による干渉許容量M’の算出
管理サーバ16Aの干渉許容量算出部120は、送信装置40Aの送信電力を増加させることにより干渉許容量を確保する場合、複数の受信装置20Aの通信リンクに対するトータル干渉許容量M’を一例として以下に示す数式10に従って算出する。
【0071】
【数10】
【0072】
方法B−2:送信レート制御による干渉許容量M’の算出
管理サーバ16Aの干渉許容量算出部120は、送信装置40Aの送信レートを減少させることにより干渉許容量を確保する場合、複数の受信装置20Aの通信リンクに対するトータル干渉許容量M’を一例として以下に示す数式11に従って算出する。
【0073】
【数11】
【0074】
管理サーバ16Aの干渉許容量算出部120は、Mreqを実現するための受信装置20Aにおける理想的な干渉許容量M’を上述の方法により算出すると、この理想的な干渉許容量M’を上限として、実際に適用する干渉許容量Mを決定する。これは、場合によっては、理想的な干渉許容量M’を確保することが困難である場合が想定されるためである。
【0075】
例えば、送信装置40Aが既に最大送信電力で無線信号を送信している場合、または最大送信電力に近い電力で無線信号を送信している場合には、送信電力を十分に増加させることができず、理想的な干渉許容量M’を確保することができない。または、受信装置20Aの通信リンクにあるQos保証が期待されており、レートやレイテンシの下限値が制限される場合がある。
【0076】
このような場合、管理サーバ16Aの干渉許容量算出部120は、理想的な干渉許容量M’を上限として、実際に適用する干渉許容量Mをベストエフォートで決定する。なお、干渉許容量算出部120は、送信電力の増加および送信レートの減少を組み合わせることにより、理想的な干渉許容量M’により近い干渉許容量Mを決定してもよい。例えば、送信電力の増加により得られる干渉許容量をM1、送信レートの減少により得られる干渉許容量をM2とすると、送信電力の増加および送信レートの減少を組み合わせることにより、干渉許容量M=M1・M2を得ることができる。
【0077】
そして、管理サーバ16Aの送信パラメータ設定部130は、干渉許容量算出部120により決定された干渉許容量Mを確保するために、送信装置40Aの送信パラメータを変更する。例えば、送信パラメータ設定部130は、送信装置40Aの送信電力をM倍に変更してもよい。または、送信パラメータ設定部130は、送信装置40Aの現在の送信電力が、変更後の送信レートの所要SNIRを満たすために必要な送信電力のM倍になるように、送信装置40Aの送信レートを変更してもよい。さらに、送信パラメータ設定部130は、送信電力の増加により得られる干渉許容量M1と、送信レートの減少により得られる干渉許容量M2の乗算値がMになるように、送信電力を増加させ、かつ送信レートを減少させてもよい。
【0078】
また、管理サーバ16Aのネットワーク通信部110が、干渉許容量算出部120により決定された干渉許容量Mを管理サーバ16Bに通知する。
【0079】
(3−4.干渉許容量Mに基づく送信電力の制御(ステップ4))
管理サーバ16Bの送信電力設定部230は、管理サーバ16Aから通知される干渉許容量Mに基づき、送信装置40Bが受信装置20Aに与える干渉量が干渉許容量M以下になる範囲内で、送信装置40Bの送信電力を増加させる。
【0080】
(シングルリンクに対する送信電力の設定)
具体的には、送信電力設定部230は、以下のようにして送信装置40Bの更新後の送信電力P’tx,secondaryを算出する。
【0081】
【数12】
【0082】
(マルチリンクに対する送信電力の設定)
また、送信電力設定部230は、干渉許容量Mが与えられた場合、各通信リンクの送信電力を以下の数式13に示すように均等に算出できる。
【0083】
【数13】
【0084】
または、送信電力設定部230は、数式14に示すように、各通信リンクの送信電力を、各通信リンクの所要干渉許容量(Mreq(i))に従って重み付けして算出してもよい。
【0085】
【数14】
【0086】
<4.数値解析結果の示す本発明の実施形態の効果>
送信装置40Aおよび受信装置20A間、送信装置40Bおよび受信装置20B間で本発明の実施形態により得られる平均通信容量の増加量を数値解析したので、以下で数値解析結果を説明する。なお、数値解析においては、送信装置40Aおよび送信装置40B間の距離を300mと仮定し、受信装置20Aおよび20Bが送信装置40Bから50m以内に存在し、M=M’であると仮定した。
【0087】
図6は、受信装置20Bに望まれる受信品質の向上レベルMreqおよび受信装置20Aにおける干渉許容量M’の関係を示した説明図である。図6を参照すると、送信電力制御(TPC)および送信レート制御(RC)のいずれを利用しても、M’はMreqに対して指数的に増加することが確認できる。特に、今回の解析結果では、Mreqを40dB以上にするとM’が急激に増加するので、この領域でM’を制御することが有効であると考えられる。
【0088】
また、送信電力制御を行う場合の方が、送信レート制御を行う場合より、同一のMreqに対するM’の増加量が大きいことが分かる。これは、送信電力制御を行う場合には、送信装置40Aから受信装置20Bへの干渉量、および送信装置40Bから受信装置20Aへの干渉量の双方が増加するので、送信装置40Aの送信電力をさらに増加させる必要があるからである。実際の運用においては、各送信装置40の送信電力には上限があるので、管理サーバ16Aはその上限を超えない範囲でMを制御する。
【0089】
図7は、送信電力制御により干渉許容量M’を確保する場合の干渉許容量M’と平均通信容量の関係を示した説明図である。図7に示したように、送信電力制御により干渉許容量M’を確保する場合、送信装置40Aおよび受信装置20A間の通信容量(TPC,PS)はM’に対して一定となるように制御される。このため、送信装置40Bおよび受信装置20B間の通信容量(TPC,SS)の増加分が、全体の通信容量の増加分となることが分かる。
【0090】
また、図7に示したように、送信装置40Bおよび受信装置20B間の通信容量は、M’が5dB程度に達すると飽和する傾向がある。すなわち、M’を無制限に増やしても、全体の通信容量の増加に寄与しないと考えられる。そこで、管理サーバ16Aの干渉許容量算出部120は、干渉許容量Mの値を、所定の上限値(例えば、5dB)を上回らない範囲で決定してもよい。
【0091】
図8は、送信レート制御により干渉許容量M’を確保する場合の干渉許容量M’と平均通信容量の関係を示した説明図である。図8に示したように、送信レート制御により干渉許容量M’を確保する場合、送信装置40Aの送信電力は一定に保たれるため、送信装置40Aおよび受信装置20A間の通信容量はM’の増加に対して減少する傾向にある。しかし、送信装置40Aおよび受信装置20A間の通信容量の減少分に対して、送信装置40Bおよび受信装置20B間の通信容量の増加分の方が大きいので、全体の通信容量は増加する。
【0092】
また、送信電力制御の場合と同様に、送信装置40Bおよび受信装置20B間の通信容量は、M’が5dB程度に達すると飽和する傾向がある。すなわち、M’を無制限に増やしても、全体の通信容量の増加に寄与しないと考えられる。そこで、管理サーバ16Aの干渉許容量算出部120は、送信レート制御により干渉許容量を確保する場合にも、干渉許容量Mの値を、所定の上限値(例えば、5dB)を上回らない範囲で決定してもよい。
【0093】
(5.補足)
以下では、Mreqに基づいて干渉許容量M’を算出するための数式8および数式9を導出する過程を説明する。
【0094】
・数式8の導出
管理サーバ16Bが要求するMreqから受信装置20Aの干渉許容量M’および送信装置40Bの実際の送信電力増加量M’reqを算出するための方法の一例として、受信装置20AのSINR条件と受信装置20BのSINR条件による2元連立一次方程式を解くことが挙げられる。
【0095】
まず、受信装置20AのSINR条件として、以下の数式15が考えられる。
【0096】
【数15】
【0097】
また、受信装置20BのSINR条件として、以下の数式16が考えられる。
【0098】
【数16】
【0099】
ここで、数式15および数式16を整理すると、M’およびM’reqに関する連立方程式が得られる。
【0100】
【数17】
【0101】
上記数式17をM’について解くと数式8が得られ、上記のステップ3でMが決定された後に数式17をM’reqについて解くと数式12が得られる。
【0102】
なお、数式15〜17、数式8および数式12中の各パラメータは、以下のように表わすこともできる。
【0103】
【数18】
【0104】
上記の数式18に示した各パラメータを数式8および数式12に代入すると、M’を以下に示す数式19で表現し、M’reqを以下に示す数式20で表現することもできる。
【0105】
【数19】
【0106】
【数20】
【0107】
・数式9の導出
送信レートを制御して受信装置20Aの干渉許容量M’および送信装置40Bの実際の送信電力増加量M’reqを確保する場合にも、受信装置20AのSINR条件と受信装置20BのSINR条件による2元連立一次方程式を解くことにより、M’およびM’req得ることができる。
【0108】
まず、受信装置20AのSINR条件として、以下の数式21が考えられる。
【0109】
【数21】
【0110】
また、受信装置20BのSINR条件として、以下の数式22が考えられる。
【0111】
【数22】
【0112】
数式21および数式22を整理すると、以下に示す2元連立一次方程式が得られる。
【0113】
【数23】
【0114】
上記数式23をM’について解くと数式9が得られ、上記のステップ3でMが決定された後に数式23をM’reqについて解くと数式12が得られる。
【0115】
また、数式18に示した各パラメータを数式9および数式12に代入すると、M’を以下に示す数式24で表現し、M’reqを以下に示す数式25で表現することもできる。
【0116】
【数24】
【0117】
【数25】
【0118】
<6.まとめ>
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、受信装置20Aにおける干渉許容量Mを、送信装置40Aの送信電力を増加させること、または送信装置40Aの送信レートを減少させることにより確保する。そして、送信装置40Bは、受信装置20Aに与える干渉が干渉許容量Mを超えない範囲で送信電力を設定する。かかる構成により、図7および図8を参照して説明したように、ネットワーク全体の通信容量を効果的に増加させることが可能である。
【0119】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0120】
また、管理サーバ16に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した管理サーバ16の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【0121】
また、補足であるが、本明細書における「二次利用」は、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用して追加的あるいは代替的な通信サービス(第2の通信サービス)を行うことをいう。ここで、第1の通信サービスと第2の通信サービスとは、異なる種類の通信サービスであってもよく、又は同一の種類の通信サービスであってもよい。異なる種類の通信サービスは、例えば、デジタルTV放送サービス、衛星通信サービス、移動体通信サービス、無線LANアクセスサービス、又はP2P(Peer To Peer)接続サービスなどの複数種類の通信サービスから選択される2以上の異なる種類の通信サービスであってもよい。
【0122】
一方、同一の種類の通信サービスは、例えば、移動体通信サービスにおける、通信事業者により提供されるマクロセルによるサービスと、ユーザやMVNO(Mobile Virtual Network Operator)により運用されるフェムトセルによるサービスとの間の関係を含んでもよい。また、同一の種類の通信サービスは、LTE−A(Long Term Evolution−Advanced)に準拠した通信サービスにおける、マクロセル基地局により提供されるサービスと、スペクトラムホールをカバーするために中継局(リレーノード)により提供されるサービスとの間の関係を含んでもよい。
【0123】
さらに、第2の通信サービスは、スペクトラムアグリゲーション技術を用いて集約された複数の断片的な周波数帯を利用するものであってもよい。また、第2の通信サービスは、マクロセル基地局により提供されるサービスエリア内に存在する、フェムトセル群、中継局群、マクロセル基地局よりも小さなサービスエリアを提供する中小基地局群より提供される補助的な通信サービスであってもよい。上記の本発明の各実施形態の要旨は、このようなあらゆる種類の二次利用の形態に広く適用可能なものである。
【符号の説明】
【0124】
16、16A、16B 管理サーバ
20、20A、20B 受信装置
40、40A、40B 送信装置
110、210 ネットワーク通信部
120 干渉許容量算出部
130 送信パラメータ設定部
140 通信制御部
220 期待値算出部
230 送信電力設定部
240 通信制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8