特許第5831790号(P5831790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5831790
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02B 29/04 20060101AFI20151119BHJP
   F02D 21/08 20060101ALI20151119BHJP
   F02D 23/00 20060101ALI20151119BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
   F02B29/04 U
   F02D21/08 311B
   F02D23/00 N
   F02D21/08 301A
   F02D45/00 301E
   F02D45/00 301F
   F02D45/00 312Z
   F02B29/04 S
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-175706(P2011-175706)
(22)【出願日】2011年8月11日
(65)【公開番号】特開2013-36452(P2013-36452A)
(43)【公開日】2013年2月21日
【審査請求日】2013年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋之
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−334724(JP,A)
【文献】 特開平08−135519(JP,A)
【文献】 特開2010−223179(JP,A)
【文献】 特開2003−267025(JP,A)
【文献】 特開2009−261193(JP,A)
【文献】 特開平04−334723(JP,A)
【文献】 特開平07−011954(JP,A)
【文献】 特開平08−246881(JP,A)
【文献】 特開平11−351073(JP,A)
【文献】 米国特許第06354096(US,B1)
【文献】 特開2002−192962(JP,A)
【文献】 特開2005−299628(JP,A)
【文献】 特開2007−211595(JP,A)
【文献】 特開2009−052486(JP,A)
【文献】 特開2009−097340(JP,A)
【文献】 特開2009−121300(JP,A)
【文献】 特表2009−527694(JP,A)
【文献】 特開2009−197801(JP,A)
【文献】 特開2009−174444(JP,A)
【文献】 特開2009−221854(JP,A)
【文献】 特開2009−257052(JP,A)
【文献】 特開2010−065601(JP,A)
【文献】 特開2010−090806(JP,A)
【文献】 特開2010−127238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 29/00−29/08
F02B 47/08−47/10
F02M 25/06−25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、吸気管に走行風と吸気とを熱交換させて吸気を冷却するインタークーラを備えた内燃機関において、
前記インタークーラの上流側吸気温度を検出する上流側吸気温度検出手段と、
前記インタークーラの上流側吸気湿度を検出する上流側吸気湿度検出手段と、
前記インタークーラに配設され、前記インタークーラに当る走行風量を調節する開度調節可能なシャッタ装置と、
前記シャッタ装置の作動を制御して前記インタークーラにおける前記吸気の冷却能力を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記上流側吸気温度検出手段及び前記上流側吸気湿度検出手段の検出値から吸気の水蒸気分圧を算出し、前記水蒸気分圧と前記インタークーラ出口側吸気の飽和水蒸気分圧とを比較しながら、前記インタークーラ出口側吸気温度が該水蒸気分圧を飽和水蒸気分圧とする温度以上となるように前記シャッタ装置の作動を制御し、
さらに、前記コントローラは、前記インタークーラ出口側吸気温度が前記水蒸気分圧を飽和水蒸気分圧とする温度以上となるように、エンジンルームの暖気を前記インタークーラに当ててインタークーラ出口側吸気温度を上昇可能な電動ファンの作動を制御することを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記コントローラは、前記シャッタ装置のシャッタ開度が最小開度に達した後に前記電動ファンの作動を制御することを特徴とする請求項に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記吸気管に設けられたコンプレッサ及び排気管に設けられた排気タービンからなる過給機と、該過給機の下流側排気管から排気の一部を該過給機の上流側吸気管に供給するEGR装置と、前記インタークーラの出口側吸気温度を検出する出口側吸気温度検出手段と、前記インタークーラの出口側吸気圧力を検出する出口側吸気圧力検出手段と、を備え、
前記コントローラが、前記上流側吸気温度検出手段及び前記上流側吸気湿度検出手段の検出値から新気の水蒸気分圧Wairを算出するWair算出部と、新気の水蒸気分圧Wair、EGR率及び噴射燃料量とからEGRガスの水蒸気分圧Wegrを算出するWegr算出部と、前記出口側吸気温度センサ及び前記出口側吸気圧力センサの検出値からインタークーラ出口側吸気の飽和水蒸気分圧Wmを算出するWm算出部とを備え、
前記コントローラでWm>Wair+Wegrとなるように、インタークーラ出口側吸気温度を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記吸気湿度検出手段は、降雨状態を検出するレインライトセンサの検出信号又は降雨状態を自動検出して作動するワイパ自動作動装置の作動状態から吸気の湿度を設定するようにしたことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された内燃機関であって、インタークーラの出口側で吸気から凝縮水が発生するのを簡易な手段で防止可能にした内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の内燃機関は、排気の一部を吸気路に再循環するEGR装置が設けられ、かつ燃料の噴射量や噴射時期を制御することで、出力を向上させると共に、NOやスモークの発生を最小限に抑える運転が可能になってきた。また、ディーゼルエンジン及びその他の内燃機関では、吸気温度を下げ、単位容積当りの吸気質量を増加させて出力を向上させるため、吸気通路にインタークーラを設けている。しかし、インタークーラで吸気を冷却し過ぎると、インタークーラの出口側で吸気から凝縮水が発生する。
【0003】
この凝縮水が下流側吸気管に設けられた空燃比センサ、酸素濃度センサなどのセンサ素子に衝突すると、素子割れを起し、センサが破損するおそれがある。また、大量の凝縮水がシリンダに進入すると、ウォーターハンマー現象による衝撃の発生や蒸気爆発が起こり、シリンダ構成機器が破損するおそれがある。排気には燃料の燃焼によって生成される水蒸気が含まれるため、含有水蒸気量は吸気より多い。EGR装置を備えた内燃機関では、排気の一部が吸気管に導入されるため、インタークーラで冷却されると凝縮水が発生しやすい。
【0004】
特許文献1には、排気管と吸気管間に接続されたEGRガスの環流路に設けられたEGRクーラにおいて、EGRガスの過冷却と凝縮水の発生を防止する手段が開示されている。特許文献1に開示された内燃機関は、エンジン冷却水を循環させてEGRガスを冷却する冷却水循環路がEGRクーラに連結されている。凝縮水発生防止手段は、EGRクーラでEGRガスを過冷却させないように、EGRクーラに冷却水を送る冷却水供給管の冷却水流量を調整するものである。
【0005】
特許文献2にも、EGRクーラ通過後の吸気通路中で、凝縮水が発生するのを防止する手段が開示されている。この手段は、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)により、新気とEGRガスとを合わせた吸気の飽和水蒸気分圧未満の目標水蒸気分圧を推定すると共に、該目標水蒸気分圧に対応した目標EGRガス温度を推定する。そして、ECUにより、該目標EGRガス温度となるように、EGRクーラに供給される冷却水量を調整するか、又はEGRクーラ下流側のEGRガス路に設けられたヒータでEGRガスを加熱するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−351073号公報
【特許文献2】特開2010−223179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2では、EGRガスの冷却手段として、EGRクーラに冷却水供給管を設け、EGRガスと冷却水とを熱交換させるようにしている。また、特許文献2では、EGRガスを加熱するヒータを設け、EGRガスの温度を調整するようにしている。そのため、設備が大掛かりとなり、高コストとなるという問題がある。また、特許文献1では、EGRガスがEGRクーラを通過し、吸気管から吸入された空気と合流した後のことが考慮されていない。そのため、空気の湿度や水蒸気分圧、さらには外気温度等の影響によって、吸気管中で凝縮水が発生してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、簡易かつ低コストな手段で、吸気管に設けられたインタークーラの出口側吸気で凝縮水の生成を確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、本発明の内燃機関は、車両に搭載され、吸気管に走行風と吸気とを熱交換させて吸気を冷却するインタークーラを備えた内燃機関において、インタークーラの上流側吸気管の吸気温度を検出する上流側吸気温度手段と、インタークーラの上流側吸気管の吸気湿度を検出する上流側吸気湿度手段と、インタークーラに配設され、インタークーラに当る走行風量を調節する開度調節可能なシャッタ装置と、前記シャッタ装置の作動を制御して前記インタークーラにおける前記吸気の冷却能力を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記上流側吸気温度検出手段及び前記上流側吸気湿度検出手段の検出値から吸気の水蒸気分圧を算出し、前記水蒸気分圧と前記インタークーラ出口側吸気の飽和水蒸気分圧とを比較しながら、前記インタークーラ出口側吸気温度が該水蒸気分圧を飽和水蒸気分圧とする温度(露点温度)以上となるように前記シャッタ装置の作動を制御し、さらに、前記コントローラは、前記インタークーラ出口側吸気温度が前記水蒸気分圧を飽和水蒸気分圧とする温度以上となるように、エンジンルームの暖気を前記インタークーラに当ててインタークーラ出口側吸気温度を上昇可能な電動ファンの作動を制御するものである。
【0010】
本発明の内燃機関では、走行風を冷却媒体としたインタークーラを備えているので、冷却水供給管を必要とせず、構成を簡易かつ低コストにできる。また、コントローラで、吸気の水蒸気分圧を算出し、インタークーラ出口側吸気温度が露点温度以上となるようにシャッタ装置の作動を制御するので、確実に凝縮水の生成を防止できる。そのため、水滴によりセンサ素子やシリンダ構成部位が破損するのを防止できる。
【0011】
本発明は、さらに、前記コントローラは、前記インタークーラ出口側吸気温度が前記水蒸気分圧を飽和水蒸気分圧とする温度以上となるように、エンジンルームの暖気を前記インタークーラに当ててインタークーラ出口側吸気温度を上昇可能な電動ファンの作動を制御することを特徴とする。これによって、吸気路にヒータ等を設置する必要がなくなり、構成を簡易かつ低コストにできる。
【0012】
また、コントローラは、シャッタ装置のシャッタ開度が最小開度に達した後に電動ファンの作動を制御するようにするとよい。このように、シャッタ装置による制御を優先することで、電動ファンによりエンジンルーム内の暖気が当てられることによる単位容積当りの吸気質量低下を抑制することができる。
【0013】
本発明において、吸気管に設けられたコンプレッサ及び排気管に設けられた排気タービンからなる過給機と、過給機の下流側排気管から排気の一部を過給機の上流側吸気管に供給する低圧EGR装置と、インタークーラの出口側吸気温度を検出する出口側吸気温度検出手段と、インタークーラの出口側吸気圧力を検出する出口側吸気圧力検出手段とを備え、コントローラが、上流側吸気温度検出手段及び上流側吸気湿度検出手段の検出値から新気の水蒸気分圧Wairを算出するWair算出部と、新気の水蒸気分圧、EGR率及び噴射燃料量からEGRガスの水蒸気分圧Wegrを算出するWegr算出部と、出口側吸気温度センサの検出値からインタークーラ出口側吸気の飽和水蒸気分圧Wmを算出するWm算出部とを備え、コントローラでWm>Wair+Wegrとなるように、インタークーラ出口側吸気温度を制御するとよい。
【0014】
排気には燃料の燃焼によって生成される水分が含まれるため、含有水蒸気量は吸気より多い。インタークーラより下流側の吸気管にEGRガスを循環させる低圧EGR装置を備えた内燃機関では、インタークーラの出口側吸気で凝縮水が発生しやすい。これに対し、本発明では、コントローラで、新気の水蒸気分圧Wair及びEGRガスの水蒸気分圧Wegrを夫々算出し、吸気の飽和水蒸気分圧WmがWm>(Wair+Wegr)となるように、インタークーラ出口側吸気温度を制御するので、確実に凝縮水の生成を防止できる。
【0015】
また、Wair、Wegr及びWmの算出は、すでに内燃機関に設けられている既存のセンサ類の検出値から算出可能であるので、新たなセンサの設置など設備改造をほとんどする必要がない。そのため、コスト増となることはない。
【0016】
なお、吸気の温度、湿度又は圧力を検出する手段は、センサで直接これらの状態値を検出する代わりに、他の状態値を求めて、それらの値から算出するようにしてもよい。特に、吸気湿度は、吸気の温度、圧力、水蒸気分圧等を検出し、それらの値から算出できる。
【0017】
本発明において、吸気湿度検出手段は、降雨状態を検出するレインライトセンサの検出信号又は降雨状態を自動検出して作動するワイパ自動作動装置の作動状態から吸気の湿度を設定するとよい。これによって、吸気湿度センサを設けなくて済むので、装置をさらに低コスト化できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車両に搭載され、吸気管に走行風と吸気とを熱交換させて吸気を冷却するインタークーラを備えた内燃機関において、インタークーラの上流側吸気管の吸気温度を検出する上流側吸気温度手段と、インタークーラの上流側吸気管の吸気湿度を検出する上流側吸気湿度手段と、インタークーラに配設され、インタークーラに当る走行風量を調節する開度調節可能なシャッタ装置と、前記シャッタ装置の作動を制御して前記インタークーラにおける前記吸気の冷却能力を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記上流側吸気温度検出手段及び前記上流側吸気湿度検出手段の検出値から吸気の水蒸気分圧を算出し、前記水蒸気分圧と前記インタークーラ出口側吸気の飽和水蒸気分圧とを比較しながら、前記インタークーラ出口側吸気温度が該水蒸気分圧を飽和水蒸気分圧とする温度(露点温度)以上となるように前記シャッタ装置の作動を制御し、さらに、前記コントローラは、前記インタークーラ出口側吸気温度が前記水蒸気分圧を飽和水蒸気分圧とする温度以上となるように、エンジンルームの暖気を前記インタークーラに当ててインタークーラ出口側吸気温度を上昇可能な電動ファンの作動を制御するので、簡易かつ低コストな手段で、インタークーラの出口側吸気から凝縮水が生成するのを確実に防止できる。これによって、水滴によるセンサやシリンダ構成部位の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を車両に搭載されたディーゼルエンジンに適用した第1実施形態の全体構成図である。
図2】第1実施形態で、インタークーラの設置位置を示す説明図である。
図3】第1実施形態のインタークーラの斜視図であり、(A)はシャッタ装置が開状態を示し、(B)はシャッタ装置が閉状態を示す。
図4】第1実施形態で、吸気の含有水蒸気量を示す図表である。
図5】第1実施形態の運転操作手順を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態で、インタークーラの設置位置を変えた変形例を示す説明図である。
図7】本発明装置の第2実施形態を示すブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0021】
(実施形態1)
本発明を車両に搭載されたディーゼルエンジンに適用した第1実施形態を図1図5に基づいて説明する。図1に示す本実施形態のディーゼルエンジン10において、複数のシリンダブロック12が設けられ、各シリンダブロック12の上部にシリンダヘッド14が設けられている。各シリンダヘッド14の中央に燃料噴射装置16が設けられ、シリンダヘッド14の燃料噴射装置16の両側に、吸気導入部及び排気排出部が設けられている。該吸気導入部は、吸気マニホールド17を介して吸気管18に接続され、該排気排出部は、排気マニホールド19を介して排気管20に接続されている。
【0022】
吸気管18及び排気管20の途中に、吸気管18に設けられたコンプレッサ及び排気管20に設けられた排気タービンからなる過給機22が設けられている。過給機22より下流側の排気管20には、ディーゼル・パーティキュレート・フィルタを備えた排ガス浄化装置24が設けられている。過給機22の上流側排気管20と過給機22の下流側吸気管18とを接続する高圧EGR管26と、高圧EGR管26に介設され、EGRガスを浄化する触媒装置28と、高圧EGR管26の出口部に設けられ、高圧EGR管26を流れるEGRガスの流量を調節可能な高圧EGRバルブ30とからなる高圧EGR装置32が設けられている。
【0023】
過給機22の下流側排気管20と過給機22の上流側吸気管18とを接続する低圧EGR管34と、低圧EGR管34に介設された低圧EGRクーラ36と、EGR管34の出口部に設けられ、低圧EGR管34を流れるEGRガスの流量を調節可能な低圧EGRバルブ37とからなる低圧EGR装置38が設けられている。
【0024】
過給機22の下流側吸気管18に、吸気を冷却するインタークーラ40Aが設けられている。吸気管18の入口18aには、フィルタ装置42と、フィルタ装置42の下流側に、吸気流量を検出するエアフローセンサ44、吸気温度センサ46及び吸気湿度センサ48が設けられている。また、これらセンサの下流側吸気管及びインタークーラ下流側の吸気管に、シリンダ内に吸引される吸気量を調節する吸気スロットル弁50及び52が設けられている。各吸気マニホールド17には、吸気温度センサ54、吸気圧力を検出するブーストセンサ56及びA/Fセンサ58が設けられている。
【0025】
ディーゼルエンジン10の運転開始で、排気eによって過給機22の排気タービンが駆動され、過給機22のコンプレッサによって大気が吸気管18に吸引される。また、前記各センサ類から検出信号がECU60に入力される。ECU60は、これらの検出信号に応じて、吸気スロットル弁50,52、EGRバルブ30、36、燃料噴射装置16、及びインタークーラ40Aに設けられた後述するシャッタ装置及び電動ファン等を制御する。
【0026】
かかる構成において、中低負荷時には、高圧EGR装置32で多量の排気を吸気管18に再循環させ、排気中NO量を低減する。高負荷時には、低圧EGR装置38から少量の排気を比較的高精度で吸気管18に再循環させ、排気中NO量を低減する。また、吸気管18に設けられた吸気温度センサ46、54及びA/Fセンサ58により、シリンダに導入される新吸気とEGRガスとの混合ガスの温度及びO濃度を検出し、これら検出信号をECU60に入力する。ECU60は、これらの検出信号に応じて、過給圧、低圧EGR装置38及び高圧EGR装置32から導入されるEGRガス量、燃料噴射装置16の燃料噴射量、噴射時期を制御する。これによって、排気中のNO量を最小限に抑えることができる。なお、過給圧は、可変ベーンを備えた過給機の可変ベーンの角度調節、又はウェイストゲートを備えた過給機のウェイストゲートの開度調節等によって調節される。
【0027】
図2及び図3に、インタークーラ40Aの構成を示す。インタークーラ40Aは、車体ボディ70の前部72に設けられている。前部72にエンジンルーム74が設けられ、エンジンルーム74の内部にディーゼルエンジン10が配置されている。前部72には通風口72aが設けられている。車両が走行すると、通風口72aから走行風wが入り、インタークーラ40に当り、インタークーラ40Aに導入される吸気aを冷却する。インタークーラ40Aの走行風wが流入する入口側に、シャッタ装置74が設けられ、走行風wの出口側に電動ファン76が設けられている。
【0028】
シャッタ装置76は、横方向に並列に配置された複数の開閉板762と、開閉板762の軸764とリンク機構を介して接続された駆動軸766と、真空ポンプ(図示省略)によって駆動され、駆動軸766を駆動する負圧アクチュエータ768とから構成されている。インタークーラ40Aのハウジング402に吸気入口管404が設けられ、吸気入口管404から吸気aが導入される。負圧アクチュエータ768によって開閉板762が回転し、その開度が調節される。走行風wは、ハウジング402内の熱交換部406で吸気aと熱交換し、吸気aを冷却する。
【0029】
シャッタ装置76の反対側には、エンジンルーム74の内部空間に面して電動ファン78が設けられている。電動ファン78はエンジンルーム74内の暖気hをインタークーラ40の熱交換部406に送り、吸気aの温度を上昇させる。ECU60によって負圧アクチュエータ768が駆動され、開閉板762の開度を調節すると共に、ECU60によって、電動ファン78の発停が制御される。図3(A)は、開閉板762の開度が最大となり、かつ電動ファン78が停止することで、吸気aの最大冷却時を示す。図3(B)は、開閉板762の開度が最小となり、かつ電動ファン78が駆動し、エンジンルーム74の暖気hを熱交換部406に送り、吸気aを加熱している状態を示している。
【0030】
図4は、吸気aに含まれる水蒸気量(水蒸気分圧)を示す。図中、Wmは吸気aの水蒸気含有可能量(飽和水蒸気分圧)(g/L)を示し、Wairは新吸気中に含まれる水蒸気量(g/L)を示し、WegrはEGRガス中に含まれる水蒸気量(g/L)を示す。吸気aの水蒸気含有可能量Wmは、吸気aの圧力と温度に影響され、例えば、吸気aの圧力が低減すると増加し、吸気aの圧力が増加すると、減少する。また、吸気aの温度が低いと、減少し、吸気aの温度が高いと、増加する。また、水蒸気含有可能量Wmに対する影響は、圧力より温度のほうが大きい。
【0031】
燃料が燃焼したとき、水が生成されるため、EGRガスの含有水蒸気量Wegrは新気より多い。また、EGRガスの温度は高いため、水蒸気含有可能量Wmは新気より多くなる。図4に示すように、EGRガスが混合した後の吸気aの水蒸気量は、新気及びEGRガスに含まれる水蒸気量が合計される。過給機22によって過給された後、吸気aの圧力は上昇するが、温度も上昇するため、水蒸気含有可能量Wmは若干多くなる。その後、吸気aがインタークーラ40Aで冷却されると、水蒸気含有可能量Wmが減少し、吸気aの含有水蒸気量と水蒸気含有可能量Wmとの差が凝縮水生成量Wnとなる。
【0032】
次に、図5により、ディーゼルエンジン10の運転操作手順を説明する。始動時には、シャッタ装置76を全開とし、電動ファン78を停止させ、インタークーラ40Aの冷却能力を最大としておく(S10)。次に、ECU60のWair算出部602で、新気の含有水蒸気量Wair(g/L)を算出する(S12)。水蒸気量Wairは、エアフローセンサ44、吸気温度センサ46及び吸気湿度センサ48の検出値から算出する。
【0033】
次に、ECU60のWegr算出部604で、低圧EGR装置38から再循環されるEGRガスの含有水蒸気量Wegr(g/L)を算出する(S14)。水蒸気量Wegrは、次の式から算出される。
Wegr=Wair×EGR率/(1−EGR率)+噴射燃料から燃焼時に生成される水蒸気量Wf×EGR率・・・(1)
なお、EGR率=EGRガス量/(新気量+EGRガス量)である。
次に、Wm算出部606で、吸気温度センサ54及びブーストセンサ56の検出値から、ECU60の記憶部607に記憶されている相関マップ(吸気の温度・圧力と飽和水蒸気量との相関マップ)によって、水蒸気含有可能量Wm(g/L)を算出する(S16)。
【0034】
次に、これらの算出量から、Wn算出部608で、凝縮水生成量Wn(g/L)を算出する(S18)。Wn>0(又は多少の許容値を見込む場合、Wn>許容値)のとき(S20)、凝縮水が生成するので、シャッタ装置76の開度を縮小し、インタークーラ出口側吸気温度を水蒸気含有可能量Wmを飽和水蒸気分圧とする温度(露点温度)以上に上昇させる(S22)。Wn≦0のとき、シャッタ装置76の開度を拡大し、インタークーラ出口側吸気温度を下降させ(S24)、その後、S12に戻る。シャッタ装置76の開度を縮小する際に、シャッタ装置76の開度が全閉となったとき(S26)、電動ファン78を稼動させる(S28)。次に、S30〜S38で、S12〜S20と同様の操作を行い、Wn>0のとき(S38)、S30に戻る。Wn≦0のとき(S38)、電動ファン78を停止させ(S40)、その後、S12に戻る。
【0035】
本実施形態によれば、吸気aに含まれる水蒸気量(Wair+Wegr)と、吸気aの水蒸気含有可能量Wmとを算出し、常時、これらを比較しながら、シャッタ装置76の開度と電動ファン78の発停とを制御し、インタークーラ40Aの出口側吸気温度を、水蒸気含有可能量Wmを飽和水蒸気分圧とする温度(露点温度)以上に制御しているので、凝縮水の生成を確実に防止できる。そのため、低圧EGR装置38から含有水蒸気量が多いEGRガスを吸気に再循環させていても、インタークーラ40Aの出口側で、吸気aの凝縮水生成を確実に防止できる。従って、吸気aに含まれる水滴によって、各種センサ類が破損されるおそれがなくなると共に、シリンダ内に水滴が進入して、シリンダ構成部位を破損させる蒸気爆発等を起こすおそれがなくなる。
【0036】
また、本実施形態のインタークーラ40Aは、走行風wの流量をシャッタ装置76によって調節する冷却手段と、電動ファン78の発停によるに加熱手段とを採用しているので、凝縮水生成防止手段を簡易かつ低コスト化できる。
【0037】
前記実施形態は、車体ボディ70の前部72に通風口72aが設けられ、この通風口72aに面してインタークーラ40Aを設けた例であるが、代わりに、図6に示すように、インタークーラ40Aをシリンダヘッド14の上方に配置してもよい。以下、この変形例を図6により説明する。車体ボディ70の前部72の上面に、通風路80が設けられ、通風路80の開口80aは、車両の走行時、開口80aから走行風wが進入するように前方に向けられている。また、ディーゼルエンジン10のシリンダヘッド14の上方で、かつ通風路80の内側で通風路80に面してインタークーラ40Bが配置されている。
【0038】
シャッタ装置76は、インタークーラ40からやや離れて通風路80の中ほどに設けられ、電動ファン78は、エンジンルーム74の内部空間に面し、インタークーラ40Bに対してシリンダヘッド14側に配置されている。かかる構成において、インタークーラ40Bでは、通風路80から進入する走行風wで吸気aが冷却され、電動ファン78の稼動でエンジンルーム74の暖気hがインタークーラ40Bの熱交換部に導入され、吸気aが加熱される。この変形例では、ディーゼルエンジン10の前側スペースが空くので、該スペースを他の利用に供することができる。
【0039】
(実施形態2)
次に、本発明装置の第2実施形態を図7により説明する。図7において、車両の前部フレームの上面に、降雨状態を検出し、その検出信号をECU60に送るレインライトセンサ82が設けられている。ワイパー駆動装置84及びワイパー速度センサ86が設けられ、ワイパー速度センサ86の検出信号はECU60に送られる。レインライトセンサ82で降雨状態を検出すると、その検出信号がECU60に送られる。ECU60では、その検出信号を受けると、ワイパー駆動装置84を駆動させる。駆動したワイパー駆動装置84のワイパー速度をワイパー速度センサ86で検出し、その検出信号はECU60に送られる。
【0040】
レインライトセンサ82から入力する降雨状態の有無に係る検出信号に基づいて、ECU60では吸気aの湿度を自動設定する。また、ワイパー速度センサ86から入力するワイパー速度に応じて、吸気aの湿度を何段階かに自動設定する。この自動設定した湿度に基づいて、新気に含まれる水蒸気量を算出する。これによって、吸気湿度センサが不要となり、低コスト化できる。その他の構成は第1実施形態と同一である。
【0041】
第2実施形態の変形例として、レインライトセンサ82をなくし、代わりに、降雨状態を検出して、ワイパーを自動稼動するワイパー自動駆動装置及びワイパー速度センサを設けてもよい。ECU60で、ワイパー速度センサ86から入力されるワイパー速度に応じて吸気aの湿度を何段階かに分けて設定する。これによって、レインライトセンサ82が不溶になり、さらなる低コスト化を達成できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、簡易かつ低コストな手段で内燃機関のインタークーラ出口側吸気路で凝縮水の生成を確実に防止できる。
【符号の説明】
【0043】
10 ディーゼルエンジン
12 シリンダブロック
14 シリンダヘッド
16 燃料噴射装置
17 吸気マニホールド
18 吸気管
18a 入口
19 排気マニホールド
20 排気管
22 過給機
24 排ガス浄化装置
26 高圧EGR管
28 触媒装置
30 高圧EGRバルブ
32 高圧EGR装置
34 低圧EGR管
36 低圧EGRクーラ
37 低圧EGRバルブ
38 低圧EGR装置
40A、40B インタークーラ
402 ハウジング
404 吸気入口管
406 熱交換部
42 フィルタ装置
44 エアフローセンサ
46,54 吸気温度センサ
48 吸気湿度センサ
50,52 吸気スロットル弁
56 ブーストセンサ
58 A/Fセンサ
60 ECU
602 Wair算出部
604 Wegr算出部
606 Wm算出部
607 記憶部
608 Wn算出部
70 車体ボディ
72 前部
72a 通風口
74 エンジンルーム
76 シャッタ装置
762 開閉板
764 軸
766 駆動軸
768 負圧アクチュエータ
78 電動ファン
80 通風路
80a 開口
82 レインライトセンサ
84 ワイパー駆動装置
86 ワイパー速度センサ
Wair、Wegr 水蒸気量(水蒸気分圧)
Wm 水蒸気含有可能量(飽和水蒸気分圧)
Wn 凝縮水生成量
a 吸気
e 排気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7