(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5831871
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月9日
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20151119BHJP
H02N 2/00 20060101ALI20151119BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
H02N2/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-188213(P2011-188213)
(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公開番号】特開2013-51814(P2013-51814A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 順彦
(72)【発明者】
【氏名】菅原 哲平
【審査官】
河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−035682(JP,A)
【文献】
特開2009−033856(JP,A)
【文献】
特開平05−242966(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0207386(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を有する電子部品本体と、前記電子部品本体を両面から挾持する封止フィルムとを有する電子部品であって、前記封止フィルムの周囲は全周にわたって封止されており、前記封止フィルムの前記電子部品本体と接する内面には、前記電極に対応する位置に前記電極とコンタクトする取り出し電極部が形成され、前記封止フィルムは、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムに形成された開口部を封止する導電封止部材と、を含むことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品において、前記電子部品本体が高分子アクチュエータであることを特徴とする電子部品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子部品において、前記電極と前記取り出し電極部とが、接着されていないことを特徴とする電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関するものであり、高分子アクチュエータなどの可動する電子部品本体を外気から遮断して用いる際に好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリマアクチュエータを各種雰囲気で安定して動作させるために、封止構造を有するアクチュエータが検討されている。
図6に示す電子部品は、アクチュエータ本体115および電極125a、125bの全体を包むように被覆する封止フィルム130を有し、前記電極125a、125bに電圧を印加する導電線142の前記電極125a、125bとの少なくとも接続部位が、前記封止フィルム130と前記電子部品本体115との間に保持されている。前記封止フィルム130は、外気を遮断する性能をもつ。前記封止フィルム130と前記電極125a、125bとの間、又は、前記封止フィルム130の内部に金属層144が設けられている。
【0003】
尚、導電線142と電極125a、125bとの電気的接続は、次のようにして行う。金属層144上への電極125a、125bの形成に先立って、先端部の露出する導電線142と金属層144とを、導電性接着剤143、半田等を用いて電気的に接続した後に、先端部の露出する導電線142を覆うように、電極125a、125bを形成して、導電線142と電極125a、125bとを電気的に接続する。次に、先端部の露出する導電線142を略直角に曲げて、電極125a、125bの側壁部に接触させて、導電線142と電極125a、125bの側壁部と金属層144の面とを、導電性接着剤143を用いて連結し、金属層144の面に固定された構造とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−035682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の電子部品は、アクチュエータ本体115への外気を遮断することができるものの、上述のように電極125a、125bと導電線142とのコンタクトを確保するために、電子部品の構造が複雑になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明の電子部品は、複数の電極を有する電子部品本体と、前記電子部品本体を両面から挾持する封止フィルムと
、を有し、前記封止フィルムの周囲は全周にわたって封止されており、前記封止フィルムの前記電子部品本体と接する内面には、前記電極に対応する位置に前記電極とコンタクトする取り出し電極部が形成されて
おり、前記封止フィルムは、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムに設けられた開口部と、前記開口部を封止する導電封止部材と、を含むことを特徴としている。このことにより、電子部品本体を外気から容易に遮断でき、かつ外部接続電極と電子部品本体の電極との通電を確保することができる。また、更に取り出し電極部を小さくすることができる。
【0007】
また、本発明の電子部品は、前記電子部品本体が高分子アクチュエータであることを特徴とする。このことにより、高分子アクチュエータを容易に外気から遮断でき、高分子アクチュエータの特性を維持することができる。
【0011】
また、本発明の電子部品は、前記電子部品本体の前記電極と前記取り出し電極部とが、接着されていないことを特徴とする。このことにより、電子部品の製造が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電子部品
は、外気を容易に遮断でき、かつ導電性を確保した電子部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態の電子部品を説明する図である。
【
図3】第1の実施形態の電子部品の変形例を説明する図である。
【
図4】第2の実施形態の電子部品を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態の例について図を参照しながら詳細に説明をする。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態の電子部品を説明する図であり、
図2は、
図1のA−A線の断面を説明する図である。また
図3は、第1の実施形態の電子部品の変形例を説明する図である。
【0020】
図1は、第1の実施形態の電子部品を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電子部品1は、樹脂フィルム13と導電封止部材9とを含む封止フィルム4を有している。封止フィルム4の周囲は全周にわたって封止され、内部に電子部品本体5(図示しない)を両面から挾持している。樹脂フィルム13は、150μm厚さのポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、樹脂フィルム13の一部は開口部とされており、この開口部には導電封止部材9が設けられている。導電封止部材9は、両面に電極が形成された絶縁性の樹脂基板であって、絶縁性の接着層を介して樹脂フィルム13の開口部を塞ぐように接着されており、全体として電子部品本体5を外部環境から遮断している。樹脂フィルム13の材質は、封止するためのガスや水分の透過性、動作させるための柔軟性が確保されれば特にPETに限られるものではない。金属を蒸着したフィルムなどを用いてもよい。
【0021】
図2は、
図1のA−A線の断面を説明する図である。
図2に示されるように、電子部品1は、電子部品本体5と、電子部品本体5を両面から挾持する封止フィルム4とを有している。電子部品本体5は、高分子アクチュエータであり、高分子アクチュエータの上下面すなわち封止フィルム4の接する2つの面には、カーボンなどの材質を含む2つの電極3が、それぞれに設けられている。一方、封止フィルム4の電極3と接する2つの内面には、それぞれの電極3に対応する位置に導電封止部材9が配置され、導電封止部材9の一面のそれぞれの電極3とコンタクトする部位に取り出し電極部7が設けられており、導電封止部材9は、樹脂フィルム13の開口部を封止するように、接着層15により、樹脂フィルム13に接着されている。また、導電封止部材9の他方の面は外部に露出しており、外部接続電極8が設けられている。取り出し電極部7、および外部接続電極8は、それぞれ導電封止部材9上に形成された電極であり、金などの金属で形成されていることが接触抵抗などの観点で望ましい。また、導電封止部材9内部には、取り出し電極部7と外部接続電極8とを電気的に接続するスルーホール(図示せず)が設けられており、外部接続電極8に接触する外部端子と電極3と導電封止部材9を介して電気的に接続することができる。尚、上下の樹脂フィルム13は、絶縁封止部材12により封止されている。絶縁封止部材12は複数の電極3同士を導通させることなく封止する部材であって、樹脂フィルム13を貼り合わせる接着剤層であってもよいし、樹脂フィルム13が絶縁性であれば、樹脂フィルム13を二つ折りにした折り返し部分が絶縁封止部材12であってもよいし、樹脂フィルム13を超音波や熱で融着した融着部を絶縁封止部材12としてもよい。
【0022】
このような電子部品1の構造にすることによって、電子部品本体5を外気から容易に遮断でき、かつ外部接続電極8と電子部品本体5の電極3との通電を確保することができる。それぞれの外部接続電極8に電圧を印加することで、電子部品本体5である高分子アクチュエータは、上下方向に湾曲した動きを発生させることができる。高分子アクチュエータは外気に曝されると湾曲する動きが悪く種類のものもあり、また多湿や特殊な環境下などのでの動作の場合などにおいても、外気を容易に遮断できることにより、高分子アクチュエータの特性を維持できる。尚、本実施形態では、導電封止部材9が絶縁性の樹脂基板であり、外部接続電極8を有している場合を例示したが、導電封止部材9全体が金属箔または金属薄板からなり、内面、外面それぞれが取り出し電極部7、外部接続電極8とされたものであってもかまわない。
【0023】
また、本発明の電子部品1は、電子部品本体5と封止フィルム4とが滑動が可能になるように、電子部品本体5の電極3と封止フィルム4との間には、接着剤などによる固定がされていない。このことにより、電子部品本体5の動きを阻害しないため、高分子アクチュエータには、好適に用いられる。さらに、本発明の電子部品1は、高分子アクチュエータの可動部側の封止フィルム4の内側に隙間10がある。このことにより、高分子アクチュエータが、より動きやすい。
【0024】
また、本発明の電子部品1は、電子部品本体5の電極3と取り出し電極部7とが、接着されておらず、さらにそれぞれの取り出し電極部7が対向する位置にある。このことにより、電子部品1の製造が容易となり、さらに電子部品1における、取り出し電極部7が無い領域の有効面積を大きくすることができる。電子部品1が高分子アクチュエータである場合、可動する領域を広くすることができる。また、図示はしないが、外部回路に設けられた接続端子によって、電子部品1のそれぞれの外部接続電極8を挟むことにより、電子部品本体5の電極3と取り出し電極部7の導通と、電子部品1の固定が容易にできる。
【0025】
図3は、第1の実施形態の電子部品の変形例を説明する図である。
図3に示すように、電子部品1は、樹脂フィルム13と導電封止部材9を含む封止フィルム4を有している。封止フィルム4の周囲は全周にわたって封止され、内部に電子部品本体5a、5bを両面から挾持している。封止フィルム4の片面に、導電封止部材9が設けられており、導電封止部材9は、絶縁性の樹脂基板であり、金などの金属からなる外部接続電極8a、8bを有している。外部接続電極8a、8bは、取り出し電極部(図示しない)を介し、電子部品本体5a、5bの片面にそれぞれ設けられた電極(図示しない)と電気的に導通が可能とされている。外部回路に設けられた2つの接続端子によって、電子部品1の外部接続電極8a、8bを上面から押さえることにより、電子部品本体5への導通と、電子部品1の固定が容易にできるうえ、電子部品本体5a、5bをそれぞれ独立に通電して動作させることが可能となる。尚、本実施形態では、外部接続電極8は2つである場合を例示したが、これにかぎられるものではなく、さらに多くの外部接続電極8があってもかまわない。
【0026】
次に、本実施形態に係る電子部品1の製造方法について説明する。
【0027】
はじめに、複数の電極3を有する電子部品本体5(
図2参照)に、取り出し電極部7が内面に設置された封止フィルム4を被せる。封止フィルム4は、上面視して長方形であり、三辺が絶縁封止部材12により封止された袋状になっている。また、封止フィルム4の一部である樹脂フィルム13は、2つの取り出し電極部7に対応する位置に、2つの開口部が形成されており、その開口部を封止するように、それぞれの導電封止部材9が、接着層15により、固定され設けられている。また導電封止部材9は、外部接続電極8を有しており、外部接続電極8は、取り出し電極部7と電気的に接続されている。
【0028】
次に、封止フィルム4の位置合わせを行いながら、封止フィルム4の減圧排気を行う。電子部品本体5の複数の電極3と封止フィルム4に設置された取り出し電極部7が、接触可能なように、位置合わせを行いながら、袋状になっている封止フィルム4の長方形の一辺から、減圧排気を行う。減圧排気によって、封止フィルム4の内面が、電子部品本体5を、両面から挾持するように、電子部品本体5に動きを妨げない程度に接触する。
【0029】
次に、封止フィルム4の封止を行う。減圧排気を行いながら、袋状になっている封止フィルム4の長方形の一辺を絶縁封止部材12の接着、あるいは熱圧着等により封止を行う。尚、必要に応じ、電子部品本体5の全周にわたって、熱圧着による封止フィルム4の封止を行ってもかまわない。
【0030】
最後に、不必要な封止フィルム4の切断を行う。以上の工程を経ることで、外気を容易に遮断でき、かつ導電性を確保した電子部品1を提供できる。尚、本実施形態では、樹脂フィルム13と取り出し電極部7が、接着層15により、固定されている場合を例示したが、樹脂フィルム13と取り出し電極部7が一体の構造であってもかまわない。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の他の実施形態の例を説明する。
図4は本発明の他の実施形態の電子部品を説明する図であり、
図5は、
図4のB−B線の断面を説明する図である。
【0032】
図4は本発明の他の実施形態の電子部品を説明する図である。
図4に示すように、本実施形態に係る電子部品1は、封止フィルム4と外部接続電極8を有している。封止フィルム4は、図示はしないが、複数の電極3を有する電子部品本体5を両面から挾持している。また封止フィルム4は、150μm厚さのポリエチレンテレフタレート(PET)であり、封止フィルム4の周囲は全周にわたって封止されている。封止フィルム4の一面には、金などの金属からなる外部接続電極8が設けられている。図示はしないが、外部接続電極8は、複数の電極3と電気的に導通が可能となっている。
【0033】
図5は、
図4のB−B線の断面を説明する図である。
図5に示されるように、電子部品1は、電子部品本体5と、電子部品本体5を両面から挾持する封止フィルム4を有している。電子部品本体5は、高分子アクチュエータであり、高分子アクチュエータの上下面すなわち封止フィルム4の接する2つの面には、カーボンなどの材質を含む2つの電極3が、それぞれに設けられている。一方、封止フィルム4の電子部品本体5の電極3と接する2つの内面には、それぞれの電極3に対応する位置に、それぞれの電極3とコンタクトする2つの取り出し電極部7が形成されている。取り出し電極部7は、金などの金属からなる。また、封止フィルム4には、外部接続電極8が設けられており、外部接続電極8は、それぞれの取り出し電極部7と導電性接着剤等により、固定され、電気的に接続されている。
【0034】
また、本発明の電子部品1の封止フィルム4は、上面視して、長方形の形状で、かつ長方形の一辺が開放された袋状になっている。袋状になっている封止フィルム4の開口部、すなわち長方形の一辺には、
図5に示されるように、外部接続電極8、取り出し電極部7および絶縁封止部材12が設置されており、もう一方の対向する一辺は、絶縁封止部材12により、封止されている。開口部にある絶縁封止部材12は、樹脂などの絶縁性の材料であり、封止フィルム4の開口部を封止するように、封止フィルム4と取り出し電極部7に接着剤等により、固定されている。
【0035】
このような電子部品1の構造にすることによって、外気を容易に遮断でき、かつ外部接続電極8と電子部品本体5の電極3との導電性を確保することができる。それぞれの外部接続電極8に電圧を印加することで、電子部品本体5である高分子アクチュエータは、上下方向に湾曲した動きを発生させることができる。また、外部接続電極8は、可撓性を持たせており、図示はしないが、外部回路に設けられた接続端子によって、電子部品1のそれぞれの外部接続電極8を挟むことにより、電子部品本体5の電極3と取り出し電極部7の導通と、電子部品1の固定が容易にできる。尚、本実施形態では、外部接続電極8と取り出し電極部7が導電性接着剤等により、固定されている場合を例示したが、外部接続電極8と取り出し電極部7が一体の構造であってもかまわない。
【符号の説明】
【0036】
1 電子部品
3 電極
4 封止フィルム
5 電子部品本体
7 取り出し電極部
8 外部接続電極
9 導電封止部材
10 隙間
12 絶縁封止部材
13 樹脂フィルム
15 接着層