特許第5831985号(P5831985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5831985
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】コンデンサユニット
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/26 20060101AFI20151126BHJP
   H01G 9/06 20060101ALI20151126BHJP
   H01G 2/04 20060101ALI20151126BHJP
【FI】
   H01G9/00 521
   H01G9/06 Z
   H01G1/03 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-35115(P2012-35115)
(22)【出願日】2012年2月21日
(65)【公開番号】特開2013-171995(P2013-171995A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】309035062
【氏名又は名称】日立エーアイシー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139479
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 一泰
(72)【発明者】
【氏名】山口 清治
(72)【発明者】
【氏名】小又 一義
(72)【発明者】
【氏名】小暮 克洋
【審査官】 田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−304101(JP,A)
【文献】 実開昭59−171324(JP,U)
【文献】 特開平10−208983(JP,A)
【文献】 実開昭61−109131(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/26
H01G 2/04
H01G 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に位置決め用の突起を設けた筒状ケースにコンデンサ素子を収納した複数のコンデンサと、それらのコンデンサがそれぞれ貫入する貫通孔を有しその貫通孔の周辺部分で前記位置決め用の突起を挟み込む2枚の取付板とを有するコンデンサユニット。
【請求項2】
外周面に位置決め用の突起を設けた筒状ケースにコンデンサ素子を収納した複数のコンデンサと、それらのコンデンサがそれぞれ貫入する貫通孔を有しその貫通孔の周辺部分で前記位置決め用の突起を挟み込む2枚の取付板と、その取付板のあいだを保間しながら固定する保間部材とを有するコンデンサユニット。
【請求項3】
外周面に位置決め用の突起を二カ所設けた筒状ケースにコンデンサ素子を収納した複数のコンデンサと、それらのコンデンサがそれぞれ貫入する貫通孔を有しその貫通孔の周辺部分で前記位置決め用の突起ともう一カ所設けた突起を外側から挟み込む2枚の取付板とを有する請求項1または請求項2のコンデンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンデンサを組み込んだコンデンサユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力半導体素子を用いた半導体電力変換装置などの直流フィルタ回路には、アルミ電解コンデンサやフィルムコンデンサなどの平滑用コンデンサが接続される。
使用されるコンデンサは、印加電圧、必要静電容量、リプル電流、寿命などから選定され、大電力の半導体電力変換装置では、複数のコンデンサが直列/並列に接続される。
そしてこの接続例として、特許文献1には、コンデンサを立てて横にならべる方法で、コンデンサの筒状ケース胴部に、環状の取付金具を設け、個々に、取付板にネジ止めする従来例と、その改善のために、コンデンサの外部端子のある上部端面と筒状ケースの底端面とをゴム板付き絶縁板とゴム板付き取付板とで一括して挟み込み、保間部材で保間しながら固定する方法が記載されている。そして、各コンデンサの外部端子は、それぞれ接続導体(以下、バスバー)により結線されていること記載されている。
【0003】
特許文献1の従来例と同様な構成として、図4は、コンデンサ取付を示す正面図であり、バスバーによる配線を行う前の状態を示している。コンデンサ1には金属製の取付脚10が、締付ネジ11を締め付けることで装着されるが、外部端子3とバスバーの取り付け位置を合せる必要があり、コンデンサ1を軸方向に回転させ、別に用意した冶具を用いて外部端子3の位置を調整しながら、締付ネジ11を締め付ける。
その後、取付脚10の取付部12を取付基板13にネジ止めすれば、コンデンサを固定出来るが、この後、コンデンサの外部端子3にバスバー配線するに当たり、バスバーの取付穴と外部端子3の位置を合せる必要があることより、取付部12は一旦仮止めとし、バスバーを仮止めするなどして、外部端子3の位置を調整してから本締めとする必要がある。以上の通り、図4の固定方法は煩雑であり、特にコンデンサ数が多い場合では組み付けに長時間を要する。特に、コンデンサの数が増え、3列以上になると、中央のコンデンサの取付脚の締付ネジの締め付けは、ドライバが入れにくくなり容易でなくなりやすい。
【0004】
また、その改善である特許文献1の取付構造を、図5に示すように、絶縁板14、ゴム板15aと取付基板13、ゴム板15bで、一括してコンデンサ1をこれらの平板で挟む構造であり、保間部材9で保間しながらネジ16により締め付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7−22536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のような、コンデンサの上下端部を平板で挟み込む方法では、以下の欠点がある。
1)平板のうち、コンデンサ底面側の取付板は金属板でも構わないが、外部端子のある上部端面側の絶縁板は、バスバー側にあるため絶縁性が大である必要がある。しかし高絶縁の絶縁板は高価である。
2)大型の半導体電力変換装置では電圧が高く、例えば1000VDCを超える場合もある。従って、硬質板とゴム板は耐トラッキング性(火花放電に対する耐電圧特性)が高い材質である必要が有り高価となる。
3)ゴム板のゴムの劣化を考慮する必要がある。
4)組付け寸法に関し、硬質板とゴム板の厚さの分、大きくなる。
5)ゴム板および絶縁板は熱抵抗が大きい(熱伝導性が低い)。また上下を板で覆う構造のため自然対流、風冷の効果を得にくい。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するもので、具体的には、組立容易、安価、小体積にて、自然対流、風冷を阻害しないコンデンサ固定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、下記のコンデンサユニットを提供するものである。
(1)外周面に位置決め用の突起を設けた筒状ケースにコンデンサ素子を収納した複数のコンデンサと、それらのコンデンサがそれぞれ貫入する貫入孔を有しその貫入孔部分で前記位置決め用の突起を挟み込む2枚の取付板とを有するコンデンサユニット。
(2)外周面に位置決め用の突起を設けた筒状ケースにコンデンサ素子を収納した複数のコンデンサと、それらのコンデンサをそれぞれ貫入する貫入孔を有しその貫入孔部分で前記位置決め用の突起を挟み込む2枚の取付板と、その取付板のあいだを保間しながら固定する保間部材とを有するコンデンサユニット。
(3)外周面に位置決め用の突起を二カ所設けた筒状ケースにコンデンサ素子を収納した複数のコンデンサと、それらのコンデンサがそれぞれ貫入する貫通孔を有しその貫通孔の周辺部分で前記位置決め用の突起ともう一カ所設けた突起を外側から挟み込む2枚の取付板とを有する(1)または(2)のコンデンサユニット。
【発明の効果】
【0009】
複数のコンデンサを組み込んだコンデンサユニットにあたって、本願構造により、外部端子間の接続が容易で、放熱性に優れたコンデンサユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態を示す取付板を示している。
図2】本発明の実施の形態を示すコンデンサユニットの一部断面図を示している。
図3】本発明の別の実施の形態を示すコンデンサユニットの一部断面図を示している。
図4】本発明の別の実施の形態を示すコンデンサユニットの一部断面図を示している。
図5】従来のコンデンサユニット構造例を示す正面図を示している。
図6】従来のコンデンサユニットの別の構造例を示す一部断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に述べるコンデンサは、フィルムコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、電気二重層コンデンサなどであり、特に限定しないが、半導体電力変換装置の直流フィルタ回路ではアルミ電解コンデンサまたはフィルムコンデンサが一般的に使用される。
【0012】
本発明に述べる筒状ケースは、開放端部と底部と側面部とを有する筒状体で、内部にコンデンサ素子を収容する。また、開放端部は、外部端子を貫通させた封口板で封口する。
断面は、円、楕円、長円、長方形など特に限定なく使用できる。また、材質としては、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属、またはプラスチックが使用できる。
【0013】
本発明に述べる位置決め用の突起は、筒状ケースの側面部(胴部)の外周面に設ける突起で、リング状または間欠的なリング状に設け、全体的には取付板と平行に設ける。位置決め用の突起の断面形状は、長方形、台形、半円、半楕円、それらの類似の形状またはそれらの組み合わせとなる。
また、取付板と平行に設けるこの位置決め用の突起は、1列または2列で設ける。
【0014】
本発明に述べる取付板は、複数のコンデンサを同時に保持する板で、2枚一組で用いる。材質としては、金属板、プラスチック板、樹脂含侵の積層板またはそれらの組み合わせが使用できる。
また、取付板間側の特に位置決め用の突起と接触する部分に、絶縁用の絶縁層もしくは絶縁シートまたは、挟み込み安定用のゴム弾性層もしくはゴム弾性シートを設けてもよい。また、軽量でも硬度を得るために、ボス加工、縁部の折り曲げ加工などの強度加工をおこなってもよい。
また、2枚一組の取付板には、同じ位置に、コンデンサがそれぞれ貫入する貫入孔を有している。貫入孔の直径は、コンデンサに設けた位置決め用の突起の外径よりも小さく、かつ、本突起以外のコンデンサの外径よりも大きい大きさとする。貫通穴は、単に打ち抜いた孔でも良いが、内壁に傾斜を付け、位置決め用の突起との当接面が勘合するようにしても良い。
二枚の取付板で、位置決め用突起を挟む方法は限定しないが、ボルトネジで締め付ける方法が
好適である。この場合、二枚の取付板の両方にボルトネジが貫通する穴を設け、ボルトネジおよびナットで締め付けても良いが、一方の取付板を、タッピングとすれば、ネジ締め時にナットを固定する必要がなく、締付作業が取付板の一方面からだけとなり好適である。
また、少なくとも一方の取付板には、必要に応じて、たとえば外部装置との固定のための取付穴等の固定手段を有している。
位置決め用の突起が1列の場合は、その突起の側面と反対側の側面から挟み込む。
位置決め用の突起が2列の場合は、位置決め用の突起ともう一方の突起の外側から挟み込む。突起が二列の場合、取付板の間隔を広く出来、ユニット剛性が増すことより、耐振性が必要な
場合に好適である。
なお、少なくとも一方の取付板がばね弾性を有していると、位置決め用の突起に対して安定した挟み込みが得られて好ましい。ただし、装置に装着する側の取付板があまりばね弾性を有しすぎると、装置が振動したときに、それ以上に過度に振動しやすくなり好ましくない。従って、取付板の組み合わせとしては、装置に装着する側の取付板は、ばね弾性が相対的に少なく、もう一方の取付板は、ばね弾性が相対的に大きいのが好ましい。取付板の構成物の比率を変えるほか、金属板と樹脂含侵の積層板との組み合わせや、取付板の厚さの厚いものと薄いものとの組み合わせなど特に限定なく組み合わせられる。
【0015】
本発明に述べる保間部材は、取付板間のスペーサーとして用いるもので、金属、プラスチックなど材質は限定しない。形状も限定しないが、円筒形とし、二枚の取付板を締め付けるボルトネジが通る構造が好適である。保間部材を用いることでユニット剛性が増す。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態を示す、取付板を示している。取付板5には、コンデンサを差し込んで挟み込むための貫通穴6を複数マトリックス状に設けている。また、この貫通穴6のあいだまたは取付板の周辺にはコンデンサを固定するための複数のネジ用孔7を設けている。また、この取付板5は2つ一組で用いるが、少なくとも一方の取付板5には、適宜、取付穴等の固定手段17を設けている。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態を示す、バスバーによる配線を行う前の状態を示している。コンデンサ1は、開放端部を有する筒状ケース2内にコンデンサ素子を収納し、開放端部に設けた絶縁性の封口板で封口している。その封口板には外部端子3を設けている。筒状ケース2は、アルミニウム製であり、胴部の外周面を水平に一週するリング状の位置決め用突起4が設けてある。ここでコンデンサ1は、外部端子3―筒状ケース2間が絶縁されているので、取付板5は、金属製を採用出来、3.2mm厚の鉄板である。取付板5には、位置決め用突起4より小さく、コンデンサ1の胴部より大きな直径の貫通穴6が設けられている。取付板5aは上から、取付板5bは下からコンデンサ1を通し位置決め用突起4を挟む。また、取付板5にはネジ用貫通孔7a、取付板5bにはネジ用タッピング孔7bが設けられ、ボルトネジ8により締め付け、コンデンサ1を固定している。
【0019】
図3は、本発明の実施の形態を示す別の実施例を示す。基本構造は図1と等しいが、保間部材9を介してボルトネジ8を締め付けている。
取付板5は、0.8mm厚の鉄板を用いている。薄いためボルトネジ8の締め付けにより取付板5は若干撓むが、保間部材9により撓みを防止している。
また、保間部材8の高さは、若干短くしても良い。この場合、各コンデンサの位置決め用突起4の寸法にばらつきがあっても取付板5が撓むことで正常に取り付けられる。
また保間部材9を使用することでユニット全体の剛性が増す。
【0020】
図4は本発明の実施の形態を示す別の実施例を示す。基本構造は、図2と等しいが、コンデンサ胴部には、二列の位置決め用突起4が設けてある。この場合、取付板5aと取付板5bとの間隔を広くとることが出来、ユニットの剛性が増すとともに振動に対するコンデンサ1がぶれ難く、耐振性が必要な用途に好適である。
【符号の説明】
【0021】
1…コンデンサ、2…ケース、3…外部端子、4…位置決め用突起、5、5a、5b…取付板、6…貫通穴、7…ネジ用孔、7a…ネジ用貫通孔、7a…ネジ用タッピング孔、8…ボルトネジ、9…保間部材、10…取付脚、11…保間部材、12…取付部、13…取付基板、14…絶縁板、15、15a、15b…ゴム板、16…ネジ、17…取付穴等の固定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6