特許第5831987号(P5831987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5831987
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】ワーク吸着装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/08 20060101AFI20151126BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20151126BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20151126BHJP
【FI】
   B23Q3/08 A
   H01L21/30 503C
   G03F7/20 501
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-63138(P2012-63138)
(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公開番号】特開2013-193167(P2013-193167A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233332
【氏名又は名称】ビアメカニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石塚 祐基
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−066872(JP,A)
【文献】 特開平11−239991(JP,A)
【文献】 実開昭63−133942(JP,U)
【文献】 米国特許第05372357(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/08
B25B 11/00
G03F 7/20 − 7/24
H01L 21/027
H01L 21/67 −21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧吸引手段に連通する複数の吸着孔が開口形成されたテーブルにワークを吸着して保持するワーク吸着装置において、複数の貫通孔が開口形成されて前記ワークのサイズに合わせたエリアを有し、前記吸着孔による吸着エリアに存在する前記貫通孔は前記吸着孔と同じピッチで形成され、前記吸着孔による吸着エリアから外れた部分に存在する前記貫通孔には前記吸着孔の負圧を当該貫通孔に導くための連通溝が内部に設けられたプレートを備え、前記テーブル上に前記プレートが載置され、当該プレート上に前記ワークが載置されることを特徴とするワーク吸着装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを吸着して保持する吸着テーブルのワーク吸着範囲を変更するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工装置でプリント基板などの板状のワークの表面に加工を施す際、ワークは搬送方向に移動する移動テーブル上に固定されて、加工される。
【0003】
移動テーブルは、例えば特許文献1に記載されているように、ベース上にX方向に移動自在のXテーブルが載置され、Xテーブル上にY方向に移動自在のYテーブルが載置され、Yテーブル上に回転自在にθテーブルが支持された構成であり、θテーブル上に設けられた吸着テーブルを用いて、ワークは移動テーブルに固定される。
【0004】
従来の吸着テーブルは、図5で示すように表面にワーク6を吸着するための多数の吸着孔5が設けられており、吸着孔5は吸着テーブル4下部の空洞部8に連通し、空洞部8は真空源9に接続されている。真空源9を作動させることで空洞部8を負圧にし、連通する吸着孔5に吸着力を発生させ、この吸着力により吸着テーブル4に載置されたワーク6は吸着されて、固定される。
【0005】
このような構成では、吸着テーブル4はワーク6のサイズに合わせて製作されるため、ワーク6のサイズ変更には対応できなかった。ワーク6のサイズが吸着孔5が形成されているエリアより小さい場合には、ワーク6が載置されていないエリアの吸着孔5を通して空洞部8と外部空間とが連通してしまい、空洞部8の負圧を十分に上げることができず、ワーク6を十分に保持できなくなってしまうからである。
【0006】
近年のワークサイズの多様化により、異なるサイズのワーク6に対応するために、吸着テーブル4をワーク6が載置される吸着エリアとワーク6が載置されない非吸着エリアに分け、ワーク6のサイズに合わせた吸着エリアを形成する構成が用いられるようになった。例えば、従来の問題を改善するために特許文献2が提案されている。吸着テーブル4の下部で空洞部8から吸着孔5までの連通経路を開閉することにより、吸着エリアでは連通させて吸着孔5によりワーク6を吸着できるようにし、非吸着エリアでは閉鎖して吸着孔5から外部空間へエアが漏れることを防ぎ、ワーク6のサイズに合わせた吸着エリアを形成して、異なるサイズのワーク6に対応できるようにしている。
【0007】
このような構成の場合、ワーク6のサイズが吸着孔5が形成されているエリアより小さい場合には対応できるが、大きい場合には、やはり対応することができない。上記従来技術のどちらにも言えることであるが、ワーク6端部近傍に吸着孔5がないとワーク6端部での吸着力が不足し、ワーク6の固定が不十分になることから稼動停止する場合もあり、作業効率を低下させる原因となってしまうからである。
また、吸着テーブル4下部の連通経路を開閉する機構は複雑なものであるため、装置生産コストを増大させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−219011号公報(段落0024)
【0009】
【特許文献2】特開2003−174078号公報(段落0014〜段落0016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、ワークサイズの変更に対応することが困難であり、あるいは複雑な構成であることから装置生産コストを増大させ作業効率を低下させるという上記従来技術の問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明は、図1で示すように、複数の吸着孔5が開口形成された吸着エリア(以下、テーブル吸着エリアという。)を有する吸着テーブル4と、吸着テーブル4の複数の吸着孔5に連通して負圧にする負圧吸引手段とを有し、吸着テーブル4に載置されたワーク6を吸着して保持するワーク吸着機構において、テーブル吸着エリア全体をカバーする広さを持ち、ワーク6のサイズに合わせたエリア(以下、プレート吸着エリアという。)に複数の貫通孔2が開口形成され、テーブル吸着エリアに対応する貫通孔2は吸着孔5と同じピッチで形成されており、貫通孔2を吸着孔5に連通させるように位置合わせして吸着テーブル4の上に載置する吸着プレート1を設け、プレート吸着エリアのテーブル吸着エリアから外れた部分に貫通孔2がある場合には、吸着拡張エリアとして、テーブル吸着エリアから外れた部分の貫通孔2に吸着孔5とをつなぐ連通溝3を設けることにより、ワーク6を吸着するエリアを拡張できるので、吸着孔5が形成されているエリアより大きいワーク6を吸着して保持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、貫通孔と連通溝を設けた吸着プレートを吸着テーブルに載置するのみの簡単な構成であることから、ワークのサイズ変更に合わせて容易に対応できる。
【0013】
貫通孔と連通溝を設けた吸着プレートを用いたワーク吸着機構は、従来の吸着テーブル下部の連通経路を開閉することにより吸着エリアを切り替える機構に比べると、安価に製作できるため、装置生産コストを低減できる。
【0014】
また、吸着プレートのワークが載置されるエリアの端部に貫通孔を増設することで、ワーク端部での吸着力を強化することができ、ワークの固定が不十分なことが原因で引き起こされていた稼動停止を低減でき、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】吸着エリアを拡張する場合の図である。
図2】吸着プレートの構成例1を示す図である。
図3】吸着プレートの構成例2を示す図である。
図4】吸着エリアを縮小する場合の図である。
図5】従来の吸着テーブルを示す平面図およびA−A断面図である。
【0016】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
吸着テーブル4に載置される吸着プレート1は、吸着孔5が形成されているテーブル吸着エリア全体をカバーする広さを持ち、プレート吸着エリアに複数の貫通孔2が開口形成されている。テーブル吸着エリアに対応する貫通孔2は吸着孔5と同じピッチである。
【0018】
テーブル吸着エリアに対応するエリアから外れたエリアに形成された貫通孔2には、吸着拡張エリアとして、吸着プレート1の吸着テーブル4との当接面側に、吸着孔5とつなぐための連通溝3を形成する。
【0019】
連通溝3は、図2で示すように、吸着拡張エリアに隣接する複数の吸着孔5をつなぐ縦溝と、吸着拡張エリアの複数の貫通孔2と縦溝とをつなぐ縦溝とは交差する方向の複数の横溝とにより櫛歯状に形成する。
【0020】
吸着拡張エリアの貫通孔2および連通溝3は、エッチングやドリル、エンドミル加工により形成するとよい。
【0021】
テーブル吸着エリアに対応する貫通孔2を吸着孔5に連通させるように位置合わせして吸着プレート1を吸着テーブル4の上に載置し、ワーク6をプレート吸着エリアを覆うように載置することで、ワーク6は吸着されて、保持される。
【実施例2】
【0022】
吸着テーブル4に載置される吸着プレート1は、吸着孔5が形成されているテーブル吸着エリア全体をカバーする広さを持ち、プレート吸着エリアに複数の貫通孔2が開口形成されている。テーブル吸着エリアに対応する貫通孔2は吸着孔5と同じピッチである。
【0023】
テーブル吸着エリアに対応するエリアから外れたエリアに形成された貫通孔2には、吸着拡張エリアとして、吸着プレート1の吸着テーブル4との当接面側に、吸着孔5とつなぐための連通溝3を形成する。
【0024】
連通溝3は、図3で示すように、吸着拡張エリアに隣接する複数の吸着孔5をつなぐ縦溝と、吸着拡張エリアの複数の貫通孔2をつなぐ複数の縦溝と、これら縦溝とは交差する方向の複数の横溝とにより格子状に形成する。
【0025】
吸着拡張エリアの貫通孔2および連通溝3は、エッチングやドリル、エンドミル加工により形成するとよい。
【0026】
テーブル吸着エリアに対応する貫通孔2を吸着孔5に連通させるように位置合わせして吸着プレート1を吸着テーブル4の上に載置し、ワーク6をプレート吸着エリアを覆うように載置することで、ワーク6は吸着されて、保持される。
【実施例3】
【0027】
吸着テーブル4に載置される吸着プレート1は、吸着孔5が形成されているテーブル吸着エリア全体をカバーする広さを持ち、プレート吸着エリアに複数の貫通孔2が開口形成されている。テーブル吸着エリアに対応する貫通孔2は吸着孔5と同じピッチである。
【0028】
吸着プレート1にワーク6によって覆われないエリアがある場合には、図4で示すように、非吸着エリアとして貫通孔2を設けない。
【0029】
テーブル吸着エリアに対応する貫通孔2を吸着孔5に連通させるように位置合わせして吸着プレート1を吸着テーブル4の上に載置し、ワーク6をプレート吸着エリアを覆うように載置することで、ワーク6は吸着されて、保持される。
【0030】
実施例1〜3において、吸着プレートの材質は、錆が出ないことからステンレス鋼が好ましく、板厚が0.3〜0.5mmのステンレス鋼の吸着プレートに対しては、0.1mm程度の深さで連通溝3を形成するとよい。
【符号の説明】
【0031】
1 吸着プレート
2 貫通孔
3 連通溝
4 吸着テーブル
5 吸着孔
6 ワーク
7 サブテーブル
8 空洞部
9 真空源
図1
図2
図3
図4
図5