(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5832004
(24)【登録日】2015年11月6日
(45)【発行日】2015年12月16日
(54)【発明の名称】熱交換手段、遺体冷却手段、遺体冷却システム
(51)【国際特許分類】
A61G 17/04 20060101AFI20151126BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20151126BHJP
B65D 81/18 20060101ALI20151126BHJP
A23B 4/06 20060101ALI20151126BHJP
A01N 1/00 20060101ALI20151126BHJP
【FI】
A61G17/04 C
F25B1/00 399Y
B65D81/18 B
A23B4/06 501H
A01N1/00
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-114491(P2015-114491)
(22)【出願日】2015年6月5日
【審査請求日】2015年7月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515154481
【氏名又は名称】株式会社ネオテック
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100189876
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 将晴
(72)【発明者】
【氏名】増田啓至
(72)【発明者】
【氏名】中尾清秀
【審査官】
増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3099785(JP,U)
【文献】
実開平02−055935(JP,U)
【文献】
実開平05−036275(JP,U)
【文献】
特開2004−105679(JP,A)
【文献】
実開平06−038945(JP,U)
【文献】
特開2003−079680(JP,A)
【文献】
特開2007−051855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 17/04
A01N 1/00
A23B 4/06
B65D 81/18
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換対象に載置されて、前記熱交換対象と熱交換させる熱交換手段であって、
外殻をなす外袋体と、前記外袋体の中に交換可能に内包される内袋体と、前記熱交換対象と前記熱交換手段との接触面積を拡大させる接触促進手段とを含み、
前記内袋体は、流動体からなる伝熱媒体を含み変形可能とされ、
前記接触促進手段は、気体と、気体流制御手段とを含んだ袋体からなり、
前記気体は、前記内袋体と前記熱交換対象との間に含まれ、
前記気体流制御手段が、前記熱交換手段が前記熱交換対象に載置されることにより加圧された前記気体の少なくとも一部を前記袋体から押し出させ、押し出させた前記気体が逆流しないように制御させる
ことを特徴とする熱交換手段。
【請求項2】
前記外袋体は、平面状をなす袋体であって、
前記外袋体の下方に伝熱層、上方の面に断熱層が備えられていること
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換手段。
【請求項3】
前記接触促進手段が、前記気体を含んで下方にたるむように、前記外袋体の下方に形成された第2の袋体であって、
前記気体流制御手段は、気体流路を含み、
前記気体流路が、前記気体の流路をなすようにされた重ね部とされ、第2の袋体又は前記外袋体のいずれかの位置に備えられ、加圧時には前記重ね部が開いて、前記気体の一部を逃がし、前記外袋体の内外の気圧が等圧時には前記重ね部が閉じて気体の流入を抑制させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱交換手段。
【請求項4】
第2の袋体が、金属を表面に有する天然繊維と、金属を表面に有する化学繊維と、繊維径10μm以上80μm以下の金属繊維の内の少なくともいずれかを、第2の袋体が変形容易とされる低密度で含んでいる、
ことを特徴とする請求項3に記載の熱交換手段。
【請求項5】
前記内袋体の内部が、隔壁により一つの管路をなすように仕切られ、前記管路の両端部をなす位置に、前記伝熱媒体の流出口と流入口が開閉可能に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の熱交換手段。
【請求項6】
前記熱交換対象を人の遺体とする遺体冷却手段であって、前記熱交換対象に載荷される面圧が、2g/cm2以上かつ8g/cm2以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の熱交換手段を含む遺体冷却手段。
【請求項7】
前記遺体冷却手段のいずれかの周縁に連結手段を含み、
複数個の前記熱交換手段が、前記連結手段により連結された状態で、少なくとも前記遺体の腹部を覆って、前記遺体を冷却保存させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の遺体冷却手段。
【請求項8】
圧縮機で圧縮させた1次冷媒を気化させて、冷気を発生させる冷凍機を含んだ遺体冷却システムであって、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の前記熱交換手段に含まれる前記伝熱媒体が、前記1次冷媒と熱交換されて冷却された2次冷媒と入れ替えられて、前記内袋体の中の前記伝熱媒体が所定の温度とされ、前記内袋体が前記冷凍機から分離されて前記外袋体に内包されて遺体を冷却させる、
ことを特徴とする遺体冷却システム。
【請求項9】
圧縮機で圧縮させた1次冷媒を気化させて、冷気を発生させる冷凍機を含んだ遺体冷却システムであって、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の前記熱交換手段に含まれる前記伝熱媒体の中に循環管路が配設され、
前記循環管路の中に、前記1次冷媒と熱交換されて冷却された2次冷媒が前記冷凍機から送出され前記循環管路に循環されて、前記内袋体に封入されている前記伝熱媒体が前記2次冷媒と熱交換されて冷却され、
前記内袋体が、前記冷凍機から分離されて、前記外袋体に内包されて遺体を冷却させる、
ことを特徴とする遺体冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外面が平坦でない対象に接して熱を伝達させる熱交換手段に関する。また、棺に収容させた遺体の腐敗を防止するために冷却保存させる遺体冷却手段、遺体冷却システムに関する。熱を伝達させる外面が平坦でない対象は、人の遺体に限定されない。
【背景技術】
【0002】
従来、棺に収容した遺体には着衣を介して、ドライアイスを約5kg以下のブロック状に分割して、布で包んで接しさせて、冷却させていた。一方、地球温暖化の抑制のために、炭酸ガスの発生を抑制することが急務となっている。また、災害時などにおいてドライアイスの入手が困難になる場合や、ドライアイスの入手が困難な地域もある。そこで、これまでもドライアイスを使わないでも、遺体を冷却保存できる技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、遺体にあてるプラスチックス製袋とアルミ製中空冷却板とを備えた冷却器と、冷凍機とからなる冷却装置の技術が開示されている。アルミ製中空冷却板には、冷却ガスを循環させている。また、アルミ製中空冷却板には、ポリウレタン層をポリ塩ビ板等のカバーに固定して、断熱材を設けている。プラスチックス製の袋には不凍液が封入され、一面がアルミ製中空冷却板に接した状態で、他面が遺体に密着するようにして遺体を冷却させる。冷凍機は、冷媒を圧縮させ、その圧縮された冷媒を気化させ冷却ガスとし、フレキシブルチューブを通して冷却ガスを冷却器に循環させる。
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、冷却器を、横たえた遺体の胸部又は腹部に載せて遺体を冷却させるようにする。そうすると、不凍液とアルミ製中空冷却板を含む冷却器が、遺体に載せられた状態で遺体を冷却させるため、金属板を含む冷却器の荷重により遺体の腹部が押されて、遺体の口から体液が漏出される可能性があるという課題があった。
【0005】
また、腹部の病気により腹部が窪んだ状態となっている遺体の場合には、冷却器を腹部にあてがっても、アルミ製中空冷却板を含む冷却器と腹部の窪んだ部分との間には隙間が空いて、接触する範囲が限られることに加えて、冷気を維持することができないため、十分な冷却効果が得られないという課題があった。
【0006】
さらに、子供から老人までの、様々に異なる大きさ、体格の遺体に適用させようとすると、多くの種類の形態の冷却器を備えておく必要があるほか、冷却器に冷凍機が接続された状態で機能するため、冷却器の数と同数の数の冷凍機を備えさせることが必要であるなど、コストがかかると共に、遺体によって冷却器を使い分ける必要があり煩雑であるという課題があった。
【0007】
また、冷却器に接続させる冷凍機を、目立たないように覆って配置させたとしても、棺の近くに冷凍機を配置した場合には、冷凍機を駆動させる際に、棺の近くで駆動騒音が発生することになる。また、棺から遠くに配置した場合には、冷却ガスのフレキシブルチューブが長くなり、冷却効率が低下するという課題があった。更に、プラスチックス製袋の中の不凍液が漏れた場合には、遺体を汚す可能性があるという課題もあった。
【0008】
特許文献2には、遺体を完全に包み込むシート体と、シート体に着脱自在な保冷体とからなる遺体保冷具の技術が開示されている。シート体は樹脂シートに金属薄膜を形成した断熱シートとされ、保冷体は、少なくとも片面に通水性を有する袋状シートに吸水性樹脂を充填したものとされている。金属薄膜はアルミ蒸着層とされ、この金属薄膜により魔法瓶状態で遺体が保管されることにより、吸水性樹脂に吸水させて凍結させた水の解凍時間が、長く維持されるとされている。
【0009】
特許文献2によれば、水を吸収させた保冷体は冷凍庫に入れて予め凍結させておき、凍結させた保冷体をシート体に設けたポケットに挿入し、断熱シートに包んだ遺体を、凍結させた保冷体により冷却するとしている。なお、ポケットに入れた保冷体の温度が所定の温度になった場合には、取替えられるようにされている。また、遺体を包んだシート体と袋状シートは、遺体とともに火葬されるとしている。
【0010】
多くの火葬斎場では、シート体を遺体とともに火葬することが認められておらず、遺体の火葬前には上下のシート体を撤去することが必要となっている。特許文献2に記載の技術によれば、遺体を包んだ上側のシート体は撤去できたとしても、遺体を棺に収容したままの状態では、遺体の下に敷いた下側のシート体は撤去することができないため、特許文献2の技術が適用できる場合が、限られていた。そこで、葬儀から遺体の火葬に至るまでの期間で適用できる、遺体を冷却保存する遺体冷却手段の開発が求められてきた。
【0011】
特許文献3には、樹脂製ネット状の外袋内に、保冷シートを内装させるようにした葬儀用保冷具の技術が開示されている。保冷シートには、特許文献2と同様に、分包状に吸水樹脂を入れた袋部を複数形成させておく。そして、吸水させた袋部を冷凍庫内で予冷し、保冷シートの袋部内に氷の塊を作り、遺体の下側に敷くか、或いは、遺体の適部に接しさせて保冷するとしている。そうすると、分包させて凍結させた袋部と袋部間に溝ができて、この溝が冷気の通路となり、全域に亘り冷気が良好に流れて、遺体を入れた棺内の全体に冷気を循環させることができるとされている。
【0012】
特許文献3の技術によれば、特許文献2と同様に、多くの冷凍機を必要とせず、簡易な保冷具により遺体を冷却するという課題は解決できた。しかし、特許文献3に記載の技術によれば、凍結させた袋部と袋部との間には溝ができ、当該溝部分が遺体との接触不良部分となるとともに、その溝に沿って冷気が逃げることになる。更に、樹脂製ネットの網目から棺の中に冷気が逃げるため、棺内を全般に冷却できても、遺体の腐敗しやすい部位を集中的に冷却させることが困難であるという課題があった。
【0013】
保冷シートから棺内に冷気が逃げるため、遺体の腐敗しやすい部位を集中的に冷却させにくくなる。また、吸水性樹脂を凍結させた保冷シートの熱容量が小さいため、遺体の腐敗しないように冷却させるためには、保冷具を頻繁に交換する必要があるという課題があった。
【0014】
また、特許文献2と同様に、保冷具に入れた吸水樹脂を凍結させるために、冷凍庫で凍結させる必要があった。冷凍庫で保冷具を凍結させるには、長時間かかるほか、少量の保冷具を凍結させるためであっても、冷凍庫内全体を冷却させる必要があるという課題もあった。また、吸水性樹脂を入れて凍らせた袋部は変形しにくいため、体型や体格が異なる遺体によっては密着させにくい場合があり、遺体の冷却効果が得られにくいという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
特許文献1:特開平8−52182号公報
特許文献2:特開2002−102298号公報
特許文献3:実願2011−2982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本願の発明は、ドライアイスを使わないでも、外面が平坦でない対象、例えば体型や体格が異なる遺体、特に腹部が窪んだ状態となっている遺体であっても適用でき、平坦でない対象の窪んだ部位に接触して熱を伝達させ、伝達させた熱を逃さないように維持できる熱交換手段を提供することを課題とした。また、熱交換手段の交換の頻度も低く、簡易な構成でありながら、低コストで適用できる熱交換手段、葬儀から遺体の火葬に至るまで適用できる遺体冷却手段、遺体冷却システムを提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の発明は、熱交換対象に載置されて、前記熱交換対象と熱交換させる熱交換手段であって、外殻をなす外袋体と、前記外袋体の中に交換可能に内包される内袋体と、前記熱交換対象と前記熱交換手段との接触面積を拡大させる接触促進手段とを含み、前記内袋体は、流動体からなる伝熱媒体を含み変形可能とされ、前記接触促進手段は、気体と、気体流制御手段とを含んだ袋体からなり、前記気体は、前記内袋体と前記熱交換対象との間に含まれ、前記気体流制御手段が、前記熱交換手段が前記熱交換対象に載置されることにより加圧された前記気体の少なくとも一部を前記袋体から押し出させ、押し出させた前記気体が逆流しないように制御させることを特徴としている。
【0018】
伝熱媒体は、約−20℃の温度で流動体とされればよく、イソプロピレン、エチレングリコール等が好適であるが、限定されない。具体的には、アルコール類は約−100℃から約60℃の温度域で流動体であり、濃度の高い塩水は−20℃でも流動体の状態を維持する。内袋体は、−20℃でも柔軟性が保てる樹脂、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニール等のビニール樹脂などを成形して形成される。
【0019】
伝熱媒体は、内袋体のまま、冷凍庫・加温庫に入れて所定の温度としてもよい。しかし、冷凍機で所定の温度とさせた伝熱媒体を内袋体の中の伝熱媒体と入れ替えるようにすると、所定の温度に速やかに復帰できるため好適である。伝熱媒体の中に循環管路を設け、その循環管路を外部の循環管路に接続させて冷却された別の冷媒を循環させ、伝熱媒体を冷却させるようにしてもよい。伝熱媒体を所定の温度とした後に、外部の冷凍機から取り外し、内袋体として独立させればよい。そうすると必要な数だけの熱交換手段だけを所定の温度とすることができ、効率的である。
【0020】
内袋体に封入されている伝熱媒体は流動体であり、内袋体とともに変形可能とされている。そうすると、対象の表面に凸部と凹部がある場合、例えば腹部が窪んだ形状の遺体が対象の場合であっても、内袋体は、対象の凸部の外縁、例えば胸骨下部の外縁と腹部の下方とに支えられるようにして垂れ下がり、内袋体と窪んだ腹部との間の隙間が小さな状態となる。これにより、外面が平坦でない熱交換対象、例えば遺体の腹部でも、熱交換手段と熱交換対象との間の隙間を小さな隙間として、伝熱媒体と遺体との間の熱交換を円滑に行わせ、遺体と効率的に熱交換させることが可能である。
【0021】
接触促進手段は、押し出される気体が含まれた袋体であればよく、袋体の中に低密度で繊維が封入されていてもよい。袋体は、外袋体の一部をなしてもよく、外袋体とは異なる袋体であってもよい。内袋体が下方に垂れ下がって袋体の気体が加圧され、熱交換対象と袋体との隙間の空気を押し出して、隙間を更に小さくさせる。例えば、遺体の窪んだ腹部と袋体との隙間が更に小さくなる。接触促進手段に備えられる気体流制御手段の作用により、加圧された気体は接触促進手段から外部に押し出される反面、外部からの気体の逆流が抑制されるため、伝熱媒体と対象との間の隙間は小さいままで、伝熱媒体の温度に近い状態のまま維持され、効率的に熱交換がされる。特に、袋体の下面に伝熱層が設けられると、熱交換がより円滑に行われる。
【0022】
外袋体も、−20℃でも柔軟性が保てる樹脂、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニール等のビニール樹脂などからなればよいが、限定されない。外袋体に内袋体が交換可能に内包されているため、内袋体の温度が所定の範囲を外れた場合には、所定の温度の内袋体と交換することにより温度を維持することが可能である。また、火葬斎場に運ばれる前に、内袋体を外袋体から抜き出して、外袋体を遺体から抜き出すようにすれば、仮に硬化した遺体に熱交換手段が挟まった状態となっていても、遺体から熱交換手段を取り外すことが容易である。
【0023】
本発明の第2の発明は、第1の発明の熱交換手段において、前記外袋体は、平面状をなす袋体であって、前記外袋体の下方に伝熱層、上方の面に断熱層が備えられていることを特徴としている。外袋体が二層の袋とされて、外袋体の上方の袋の上側に断熱層が形成され、外袋体の下方の袋に接触促進手段が形成され、更に接触促進手段の下方に伝熱層が形成されてもよい。
【0024】
接触促進手段とされる方の面、例えば遺体に面する面に伝熱層が備えられることにより、遺体を冷却させやすく、他方の面、例えば遺体に接触していない面に断熱層が備えられることにより、熱を無駄に放熱しにくくなり、遺体と熱交換手段が効率的に熱交換をすることが可能となる。
【0025】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の熱交換手段において、前記接触促進手段が、前記気体を含んで下方にたるむように、前記外袋体の下方に形成された第2の袋体であって、前記気体流制御手段は、気体流路を含み、前記気体流路が、前記気体の流路をなすようにされた重ね部とされ、第2の袋体又は前記外袋体のいずれかの位置に備えられ、加圧時には前記重ね部が開いて、前記気体の一部を逃がし、前記外袋体の内外の気圧が等圧時には前記重ね部が閉じて気体の流入を抑制させることを特徴としている。
【0026】
第2の袋体は、外袋体が二層に形成された下方の袋体でもよく、外袋体に添着されて一体とされた外袋体とは別の袋体であってもよい。また、外袋体に添着される態様は限定されず、例えば接着されてもよく、熱溶着されてもよく、ホックで係止されるだけであってもよい。接触促進手段が内部に気体を含んで下方に弛むようにされているため、内部の空気が押し出されやすく、伝熱層が遺体の形状に沿いやすく、遺体と外袋体との隙間を小さくしやすい。二層をなす境界層を通気可能な層として、上方の袋体に気体流路を設けるようにしてもよい。
【0027】
本発明の第4の発明は熱交換手段であって、第2の袋体が、金属
を表面に有する天然繊維と、金属
を表面に有する化学繊維と
、繊維径10μm以上80μm以下の金属繊維の内の少なくともいずれかを、第2の袋体が変形容易とされる低密度で含んでいることを特徴としている。
【0028】
第2の袋体に、繊維に金属蒸着されたもの、又は金属繊維が、遺体の形状に沿って変形しやすいように低密度で含まれている。熱交換手段の載置により、低密度で含められていた金属繊維等が圧縮されて、熱交換対象と内袋体との間の小さな隙間の中で密度が高くなる。そして、隙間の中に熱伝導率の低い天然繊維等や空気が含まれていても、金属繊維等の熱伝導率が高い金属の表面が互いに接触して伝熱させることにより、伝熱媒体と熱交換対象との間の伝熱を効果的にさせ、熱交換の時間が短縮される。金属は、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム等限定されない。金属繊維の太さが10μmから80μmの細径であることにより圧縮されやすい。
【0029】
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の熱交換手段において、前記内袋体の内部が、隔壁により一つの管路をなすように仕切られ、前記管路の両端部をなす位置に、前記伝熱媒体の流出口と流入口が開閉可能に形成されていることを特徴としている。伝熱媒体が所定の温度域を外れた状態になっている場合には、流出口を開いて流入口から所定の温度の伝熱媒体を流入させれば、速やかに且つ確実に隔壁により形成された管路に沿って所定の温度の伝熱媒体が、内袋体の中に流入される。これにより、速やかに所定の温度の伝熱媒体を含む内袋体を得ることができる。
【0030】
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明の熱交換手段を含む遺体冷却手段であって、前記熱交換対象を人の遺体とし、前記熱交換対象に載荷される面圧が、2g/cm
2以上かつ8g/cm
2以下であることを特徴としている。
【0031】
面圧が、2g/cm
2以上、例えば各辺が20cm、30cmの矩形をなす熱交換手段であれば1.2kg以上であることにより、遺体を冷却させる熱容量を確保でき、接触促進手段に含まれる気体を接触促進手段から押し出して、遺体冷却手段と遺体との間の熱交換が円滑に行われる。面圧8g/cm
2以下、例えば各辺が20cm、30cmの矩形をなす熱交換手段であれば4.8kg以下であることにより、遺体の口から体液を漏出させることがなくなる。これにより対象が遺体であっても冷却させて腐敗を防止させることができると共に、口から体液を押し出させることがないという有利な効果がある。
【0032】
本発明の第7の発明は、第6の発明の遺体冷却手段において、前記遺体冷却手段のいずれかの周縁に連結手段を含み、複数個の前記熱交換手段が、前記連結手段により連結された状態で、少なくとも前記遺体の腹部を覆って、前記遺体を冷却保存することを特徴としている。
【0033】
遺体冷却手段の大きさ・数・形状は限定されず、遺体の大きさ、体格に応じて、遺体が腐敗しやすい胸部・腹部等にあてがうようにできる大きさ・数・形状であればよい。複数の大きさ・形状の遺体保存手段を備えておけば、子供から老人まで、遺体の大小・形状にかかわらず、腐敗し易い腹部・胸部を覆うことができる。連結手段は、両面ファスナー、ホック等の公知の連結手段であればよく、遺体冷却手段同士の隙間が小さくなるように連結されればよい。
【0034】
これにより、遺体が腐敗しやすい胸部・腹部等の全面を覆うような状態に適正に配置でき、遺体を効率的に冷却させることが可能である。例えば、遺体の手を胸の前で組んで、棺に寝かせる場合には、組んだ手の先方部分だけを、連結させた遺体冷却手段から外部に出させるように遺体冷却手段を配列させて、ずれ落ちないようにすればよい。なお、必ずしも全面を覆う必要はなく、個々の遺体の状態に応じて、冷却範囲を決めればよいことは勿論のことである。
【0035】
本発明の第8の発明は、遺体冷却システムであって、圧縮機で圧縮させた1次冷媒を気化させて、冷気を発生させる冷凍機を含んだ遺体冷却システムであって、第1から第7の熱交換手段に含まれる前記伝熱媒体が、前記1次冷媒と熱交換されて冷却された2次冷媒と入れ替えられて、前記内袋体の中の前記伝熱媒体が所定の温度とされ、前記内袋体が前記冷凍機から分離されて前記外袋体に内包されて遺体を冷却させることを特徴としている。
【0036】
第8の発明によれば、一の冷凍機により、多くの熱交換手段又は遺体冷却手段を短時間で冷却させられる遺体冷却システムとなる。また、所定の温度域から外れた伝熱媒体を、速やかに冷却させた2次冷媒に入れ替え交換させて、冷却状態に回復することが可能である。これにより、冷凍庫又は冷蔵庫に入れて冷却させるよりも早く、伝熱媒体を冷却状態に回復することが可能であると共に、必要な量の伝熱媒体だけを、簡易な構成で効率的に冷却させることができる。
【0037】
本発明の第9の発明は、遺体冷却システムであって、圧縮機で圧縮させた1次冷媒を気化させて、冷気を発生させる冷凍機を含んだ遺体冷却システムであって、第1から第7の熱交換手段に含まれる伝熱媒体の中に循環管路が配設され、前記循環管路の中に、前記1次冷媒と熱交換されて冷却された2次冷媒が前記冷凍機から送出され前記循環管路に循環されて、前記内袋体に封入されている前記伝熱媒体が前記2次冷媒と熱交換されて冷却され、前記内袋体が、前記冷凍機から分離されて、前記外袋体に内包されて遺体を冷却させることを特徴としている。
【0038】
第9の発明によれば、一の冷凍機により、多くの熱交換手段又は遺体冷却手段を短時間で冷却させられる遺体冷却システムとなる。また、所定の温度域から外れた伝熱媒体を、伝熱媒体の内部から2次冷媒により冷却させて、冷却状態に回復できることが可能である。これにより、冷凍庫又は冷蔵庫に入れて冷却させるよりも早く、伝熱媒体を冷却状態に回復することが可能であると共に、必要な量の伝熱媒体だけを、簡易な構成で効率的に冷却させることができる。
【発明の効果】
【0039】
・第1の発明によれば、外面が平坦でない熱交換対象、例えば遺体の腹部でも、熱交換手段と熱交換対象との間の隙間を小さな隙間として、伝熱媒体と遺体との間の熱交換を円滑に行わせ、遺体と効率的に熱交換させることが可能である。加圧された気体は接触促進手段から外部に押し出される反面、外部からの気体の逆流が抑制されるため、伝熱媒体と対象との間の隙間は小さいままで、伝熱媒体の温度に近い状態のまま維持され、効率的に熱交換がされる。内袋体の温度が所定の範囲を外れた場合には、所定の温度の内袋体と交換することにより温度を維持することが可能である。
・第2の発明によれば、熱を無駄に放熱しにくくなり、遺体と熱交換手段が効率的に熱交換をすることが可能となる。
・第3の発明によれば、接触促進手段が内部に気体を含んで下方に弛むようにされているため、内部の空気が押し出されやすく、伝熱層が遺体の形状に沿いやすく、遺体と外袋体との隙間を小さくしやすいという有利な効果がある。
【0040】
・第4の発明によれば、隙間の中に熱伝導率の低い天然繊維等や空気が含まれていても、金属繊維等の熱伝導率が高い金属の表面が互いに接触して伝熱させることにより、伝熱媒体と熱交換対象との間の伝熱を効果的にさせ、熱交換の時間が短縮される。
・第5の発明によれば、速やかに所定の温度の伝熱媒体を含む内袋体を得ることができる。
・第6の発明によれば、対象が遺体であっても冷却させて腐敗を防止させることができると共に、口から体液を押し出させることがないという有利な効果がある。
【0041】
・第7の発明によれば、遺体が腐敗しやすい胸部・腹部等の全面を覆うような状態に適正に配置でき、遺体を効率的に冷却させることが可能である。例えば、遺体の手を胸の前で組んで、棺に寝かせる場合には、組んだ手の先方部分だけを、連結させた遺体冷却手段から外部に出させるように遺体冷却手段を配列させて、ずれ落ちないようにすればよい。
・第8の発明によれば、冷凍庫又は冷蔵庫に入れて冷却させるよりも早く、伝熱媒体を冷却状態に回復することが可能であると共に、必要な量の伝熱媒体だけを、簡易な構成で効率的に冷却させることができる。
・第9の発明によれば、冷凍庫又は冷蔵庫に入れて冷却させるよりも早く、伝熱媒体を冷却状態に回復することが可能であると共に、必要な量の伝熱媒体だけを、簡易な構成で効率的に冷却させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図9】葬儀斎場における遺体冷却手段を使用する態様を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
低温であっても変形可能な伝熱媒体を変形可能な内袋体に内包させ、伝熱媒体を熱交換対象に載せることにより、伝熱媒体と熱交換対象との間にあく隙間が小さくなり、その小さな隙間に伝熱層を張り出させるようにして、効率的に熱交換できるようにした。実施例1から実施例4では遺体を冷却させる場合の実施例を説明し、実施例3と実施例4では遺体冷却システムを説明する。
【実施例1】
【0044】
実施例1では、
図1から
図4を参照して、遺体を冷却させる遺体冷却手段10を説明する。
図1は、手を組んで横たえられた遺体100の腹部101と胸部102を、複数の遺体冷却手段10を組み合わせて配置して、遺体を冷却して腐敗を防止する遺体冷却手段の説明図である。発明の理解を容易にするため、遺体の上半身を破線で、内袋体30を一点鎖線で示し、遺体の右下腹部に載せられた遺体冷却手段のみを実線で示している。
図2は遺体冷却手段10の平面図である。
図3は遺体冷却手段の構成を断面により説明する説明図である。
図4は遺体の腹部に遺体冷却手段10を装着させる装着説明図である。
【0045】
実施例1の遺体保存手段10は、平面形状は限定されないが、平坦な袋体とされ、上面には一方に開閉可能な開口部21が形成され、その内部が二層に形成された外袋体20と、その上方層に内包される内袋体30と、接触促進手段として機能される空気31が含まれた下方層32とからなっている。二層の境界層22は通気可能なシート体とされている。外袋体20はビニール樹脂等の柔軟な樹脂材からなり、袋体をなすように熱溶着されて構成され、開口部21(
図2一点鎖線部)を開放させて内袋体30を差し込んで装填させ(
図3(B)図参照)、開口部を閉じて内袋体を密閉させるようにする(
図3(C)図参照)。ここで開口部21は袋体をなすシート体が、開口縁部に沿って上下に重ねられ、その重ね部23に、公知の鉤状部又は環状部が設けられた両面ファスナー等が係合しあうようにして開閉可能とされている。
【0046】
外袋体20に、内包される内袋体30は、ビニール樹脂の周囲を熱溶着させた袋体であって、外袋体20の形状・大きさに適合されたものとされている。内袋体30は、遺体に載せた際に遺体に負荷される面圧が2g/cm
2から8g/cm
2となる重さと平面積とされている。内袋体の中には、伝熱媒体33としてのエチレングリコールが封入されている。内袋体30は、後述する遺体冷却システムを使って、伝熱媒体の温度が−20℃に冷却された状態で(
図7から
図9参照)、外袋体20の中に装填され、外袋体の開口部21が密閉される。この外袋体20の密閉度は高いものでなくてもよく、内外の圧力が同一であれば、気体が流出しない程度のものであればよい。
【0047】
外袋体の上方層の上面には、発泡ウレタン材等の公知の材質の断熱材24が貼着されている。また、下方層の下面にはアルミ蒸着等の伝熱処理がされ伝熱層25とされている。ここで、下方層は第2の袋体とされて、空気31が含まれ、外袋体の下方の面26が自重により下方にたるむようにされている。ここで
図4を参照して、遺体冷却手段10を遺体の胸部の中央部に載置させる手順と作用を説明する。まず、外袋体20の下方がたるむようにされた状態で、外袋体の下方の面26を、上方に迫り出した遺体部分103に接触させる(
図4(A)図参照)。
【0048】
そして、遺体冷却手段10を腹部が窪んだ遺体に載せた状態にすると、下方層32の空間が縮減されて加圧され、下方層32に含まれている空気31が上方層に通気される(
図4(B)図参照)。上方層に通気された空気は、外袋体の側縁に設けられている外袋体シートを折り返して形成させた気体流路27が開き、そこから外部に流出される(
図4(B)図矢印参照)。気体流路の形態は限定されない。例えば、外袋体の上部に形成させた前記の重ね部23に形成された両面ファスナーに、短尺の非係合部を形成させておき、外袋体の下方部を閉じた状態とし、冷却されて重い気体を外袋体から流出させないようにし、冷却されていない軽い気体が外袋体の中に逆流されないようにしてもよい。
【0049】
そして、内袋体30は柔軟であるため、窪んだ部分104に沿うように湾曲して、内袋体の両側が上方に迫り出した遺体部分103に接触するようになり接触面積が増加して、遺体冷却手段の伝熱媒体33が伝熱層25を介して遺体の広い領域と熱交換されるようになる。そして、内袋体30の自重により下方層32が押されて下がり切った状態では、伝熱層25が下に向かって張り出して、腹部の窪んだ部分104に入り込んで接触し、遺体と
内袋体との間の隙間28は小さなものとなる。また、気体流路27が閉じ、外部から空気が逆流されないようにされ、隙間28は冷気が密閉された状態となる。
【0050】
そして、中央部に遺体冷却手段10を載置させた状態で、その側面側にも同様にして遺体冷却手段11を載置させるようにする。側面側の内袋体34は、上側が遺体に密着された状態とされるが、下側には遺体との間に小さな隙間29が残される。しかし、下方層の空気が抜ける際に伝熱層が遺体の方に押しつけられると共に隙間29は小さなものとなり、伝熱層と遺体との接触面積が拡大されているため、遺体は効率的に冷却される。
【0051】
遺体を横断するように遺体の上から3枚の遺体冷却手段11,10,11が並べられ、遺体冷却手段の縁部に設けられている係合手段35により連結される。係合手段35は、開口部を閉じる両面ファスナーと同様に公知の両面ファスナー等であればよく限定されない。連結された遺体冷却手段11,10,11はずり落ちないように位置が固定され、隙間28,29が小さい状態で遺体に横断して載せられているため、冷気が逃げにくく、遺体の腐敗しやすい部位である胸部を集中的に冷却させる。
【0052】
次に
図1を参照して、手を組んだ状態に載置された複数の遺体冷却手段を組み合わせて配置させた例について説明する。勿論ここで説明する組み合わせに限定されず、遺体の大きさ、形状に応じて組み合わせられればよく、遺体の特定の部位に限定して載置させてもよい。遺体は、左右の指を交互に組み合わせて手を組み、それを腹部の上に軽くあてて安置されている。そうした場合には、手首の部分と遺体との間に僅かな隙間があく一方、上腕の内側と胸部側部とは密着した状態となる。
【0053】
分割された遺体冷却手段は、胸部を覆うと共に、手首の下から腹部側に差し込まれるように配置される。そして、手首の下から差し込まれた遺体冷却手段13の両側に、脇腹部に載置されるように遺体冷却手段14,14が載置され、その境界部を図示していない係合手段により連結される。更に、下腹部にも、同様にして遺体冷却手段15,15が係合手段により係合されて、遺体の胸部から下腹部までが連続された状態の遺体冷却手段で覆われ、遺体の腐敗が防止される。
【実施例2】
【0054】
実施例2の遺体保存手段を、
図5を参照して説明する。
図5(A)図は、断面図を示し、
図5(B)図は遺体に載置させた状態の説明図である。実施例2の遺体保存手段12は、実施例1の下方層32に金属蒸着された繊維40が低密度で含められた熱交換手段の実施例を説明する。繊維40は、その表面にアルミ、銅、鉄等の金属が蒸着によりめっきされ、内袋体30の自重により容易に嵩が小さくなるような密度で詰められている。
【0055】
この遺体保存手段12によれば、遺体100と
内袋体との間の小さな隙間41に含められている繊維の表面には、めっきにより金属薄膜が付与されているため、この金属薄膜を介して伝熱により熱が交換しやすい。気体流路27を通して内部の空気が流出され(
図5(B)図)、外部からの流入が抑制される点に関しては、実施例1と同様なので、ここでは説明を省略する。実施例1と同様な部分については、図面に符号を付して説明を省略する。
【実施例3】
【0056】
実施例3では、
図6と
図7を参照して内袋体50に内包されている伝熱媒体51を、冷却させた伝熱媒体に交換させる遺体冷却システム200について説明する。
図7は一つの内袋体と冷凍機を接続させた状態を説明する図である。遺体冷却手段の外袋体、接触促進手段は、実施例1から実施例2に例示したものによればよい。実施例4の遺体冷却手段に、内袋体に、開閉可能とされた伝熱媒体の流入口52と伝熱媒体の流出口53が設けられている。
【0057】
内袋体には、伝熱媒体を冷凍させる冷凍機54と伝熱媒体の流入口52とを接続させる流入弁55と、冷凍機54と伝熱媒体の流出口53とを接続させる流出弁56が、それぞれ冷凍機と内袋体とが分離可能に接続されるように設けられている。冷凍機54は、圧縮機57と、凝縮器58と、膨張弁59と、蒸発器60とが含まれ、それらが連結されて構成されたものであればよい。冷凍機は、蒸発器60で蒸発された1次冷媒が−20℃よりも低温となって、−20℃まで伝熱媒体51をなす2次冷媒を冷却させるように構成された熱交換器61を含んでいる。また、遺体冷却システム200には、内袋体から流出された伝熱媒体が貯留される伝熱媒体貯留タンク62が備えられる。
【0058】
内袋体は、その内部が隔壁63により一つの管路64をなすように仕切られている。内袋体の管路64には、流入弁55と伝熱媒体の流入口52と介して、熱交換器により冷却された2次冷媒が流入され、所定の範囲の温度域から外れた伝熱媒体を押し出すようにさせる。内袋体の中の伝熱媒体は、2次冷媒により押し出され、伝熱媒体の流出口53と流出弁56とを介して、伝熱媒体貯留タンク62に送り出され貯留されて、循環するように利用される。なお、破線で示したように内袋体の連結させる個数は限定されず、必要に応じた数を連結させればよい。
【0059】
次に、複数の伝熱媒体を同時に冷却させる状態を、
図7を参照して説明する。
図7は複数の内袋体50,50と冷凍機54を接続させた状態の遺体冷却システムを説明する説明図である。冷凍機54には伝熱媒体を流出させる流出基管65と、伝熱媒体を流入させる流入基管66が備えられ、流入弁55は流出基管65に分離可能に接続され、流出弁56は流入基管66に分離可能に接続される。冷凍機54で冷却された伝熱媒体は、内袋体の流入口52から流入され、流出口53から内部の伝熱媒体を押し出すようにして、冷却されていない伝熱媒体と交換される。複数の内袋体50,50が、冷凍機54に接続されて伝熱媒体が交換されてもよく、一つの内袋体50の伝熱媒体が交換されてもよい。
【実施例4】
【0060】
実施例4では、
図8を参照して内袋体70に内包されている伝熱媒体の中に配設されたフレキシブルチューブからなる循環管路71の中に、冷却された2次冷媒を循環させて、伝熱媒体を冷却させて遺体冷却手段とする遺体冷却システムについて説明する。実施例4の遺体冷却手段は、実施例3とは異なり内袋体70の中に循環管路71を配設させている。実施例4の遺体冷却手段は、内袋体に、伝熱媒体の流入弁72が循環管路71の流入側に、伝熱媒体の流出弁73が循環管路71の流出側に設けられている。
【0061】
循環管路71に冷凍機から送り出される2次冷媒を循環させる点については、実施例3の遺体冷却システムと同様であるので、冷凍機についての説明は、
図9に実施例3と同一の符号を付して説明を省略する。循環管路の中に流入された2次冷媒74は、その周囲を取り囲んでいる伝熱媒体75を冷却させる。実施例4の遺体冷却システムによれば、実施例3の遺体冷却システムに比較して、伝熱媒体を2次冷媒で伝熱して冷却させるため冷却に時間が必要となるが、伝熱媒体を濃度の高い食塩水などとすることにより、遺体冷凍システムを低コストで構成することができる。
【0062】
図9は、葬儀斎場を説明する説明図である。葬儀斎場には会葬者が遺体80を見送る葬式を行う葬儀会場81と、遺体冷却手段の冷却室82とが含まれて構成されている。冷却室82の中には、冷凍機83と、遺体冷却手段を冷凍機に接続させて冷却させる冷却スペース84と、冷凍庫85とが含まれている。一つの葬儀斎場の中で、予め必要な複数の遺体冷却手段を冷却させておき、冷凍庫85の中に仮保管しておく。
【0063】
そして遺体80を冷却していた遺体冷却手段が所定の温度域から外れたことを確認して、仮保管されていた冷却状態にある遺体冷却手段と交換させるようにする。冷凍庫85から出した遺体冷却手段の数に応じて、遺体冷却手段を冷凍機83で冷却させて補充するようにする。
(その他)
【0064】
・上記の説明は、−20℃の温度で遺体を冷却させる例により熱交換手段を説明したが、対象は遺体に限定されず、生鮮食品でもよく限定されず、また温度が限定されないことは勿論のことである。また、冷却に限らず、保温に適用されてもよく、保温に適用される熱交換手段には、伝熱媒体は−20℃で凍結する伝熱媒体でもよいのは勿論のことである。
・実施例で示した遺体冷却手段の配置も例示にすぎず、遺体の腐敗しやすい部位だけを集中的に冷却させるように配置してもよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
100…遺体、101…腹部、102…胸部、103…上方に迫り出した遺体部分、
104…腹部の窪んだ部分、
200…遺体冷却システム、
10,11,13,14,15…遺体冷却手段、12…遺体冷却手段、
20…外袋体、21…開口部、22…境界層、23…重ね部、24…断熱材、
25…伝熱層、26…下方の面、27…気体流路、28…隙間、29…隙間、
30…内袋体、31…空気、32…下方層、33…伝熱媒体、34…内袋体、
35…係合手段、
40…繊維、41…隙間、
50…内袋体、51…伝熱媒体、52…流入口、53…流出口、
54…冷凍機、55…流入弁、56…流出弁、57…圧縮機、58…凝縮器、
59…膨張弁、60…蒸発器、61…熱交換器、62…伝熱媒体貯留タンク、
63…隔壁、64…管路、65…流出基管、66…流入基管、70…内袋体、
71…循環管路、72…流入弁、73…流出弁、74…2次冷媒、75…伝熱媒体、
80…遺体、81…葬儀会場、82…冷却室、83…冷凍機、
84…冷却スペース、85…冷凍庫、
【要約】
【課題】
外面が平坦でない熱交換対象、例えば体型や体格が異なる遺体の窪んだ部位に接触して熱を伝達させ、伝達させた熱を逃さないように維持できる熱交換手段を提供することを課題とした。
【解決手段】
熱交換対象に載置されて、熱交換対象と熱交換させる熱交換手段10において、外殻をなす外袋体20と、前記外袋体の中に交換可能に内包される内袋体30と、前記熱交換対象と前記熱交換手段との接触面積を拡大させる接触促進手段とを含み、前記内袋体30は、流動体からなる伝熱媒体33を含み変形可能とされ、接触促進手段は、気体31と、気体流制御手段27とを含んだ袋体からなり、気体が内袋体と熱交換対象との間に含まれ、気体流制御手段27が、熱交換手段10が載置されることにより加圧された気体31の少なくとも一部を袋体から押し出させ、押し出させた気体が逆流しないように制御させる。
【選択図】
図3