(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記QRコードが付された帳票をコピー機で複写すると、複写後の帳票のQRコードは、上記方法によりそのデータが読み取れてしまう。このため、コピー機を利用すれば、正規のQRコードが付された帳票と同じものを簡単に複製することができるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、コピー機を利用した光学読取コードの複製を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明に係る光学読取帳票は、基材の印字面に、サーマル層の赤外発色による光学読取コー
ドからなる光学読取コードと、光学読取コードを隠蔽する赤外光非吸収材からなる隠蔽層と、を備えてなるとともに、前記基材の印字面に対して前記光学読取コードをサーマルヘッドで印字したときの該サーマルヘッドの熱擦過の影響による印字痕が凹凸に紛れて確認できなくなるようにする手段とし
て、前記隠蔽層が赤外光非吸収インキにマット剤を添加した混合インキで構成されてい
ることを特徴とする。
【0007】
基材は、使用するプリンタに合わせて、例えば上質紙、再生紙、サーマル紙、熱転写用コート紙、ラベルなどの紙類や、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの樹脂フィルムを使用することができる。プリンタについては、例えばインクジェットプリンタ、レーザープリンタ、サーマルプリンタ、熱転写プリンタ等、各種印字方式のプリンタを使用することができる。
【0010】
また、本発明に係る光学読取帳票は、基材の印字面に、可視光域で淡色の赤外光吸収材からなる判定コードと、判定コードを隠蔽する赤外光非吸収材からなる隠蔽層と、を更に備えたことを特徴とする。
【0012】
なお、基材の非印字面であって光学読取コードの対応位置に、遮光性インキによる透過防止層が設けられていると良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光学読取帳票によれば、これをコピー機で複写すると、赤外光非吸収材からなる隠蔽層がトナーにより複写され、見た目には一様に再現されてしまうので、隠蔽層に隠された光学読取コードのシンボル形状を再現することは不可能である。このため、複写後の光学読取帳票は、トナーに若干の赤外光吸収特性があったとしても、光学読取コードのシンボル形状を明確に認識することができない。したがって、複写後の光学読取帳票は、光学読取コードに記録されたデータを光学読取装置で読み取ることができず、複製されたものであることを容易に判別でき、コピー機を利用した偽造を確実に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、願書に添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1〜5に本発明の第1実施形態を示す。
図1に示すように、本実施形態の光学読取帳票10は、基材11の印字面に、光学読取コード印字欄12に印字された光学読取コード13を隠蔽する隠蔽層14を設け、コピー機による光学読取コード13の複製を防止する機能を持たせたものである。
【0017】
本実施形態では、サーマルプリンタで印字できるように、基材11として赤外発色するサーマル紙を使用している。
図2に示すように、このサーマル紙11は、用紙11aの上にサーマル層11bを積層一体化したものである。サーマル層11bは、赤外発色するロイコ染料(電子供与体)と酸性物質(電子受容体)を樹脂バインダ中に固体微粒子として分散させ、これを用紙11aの上に均一に塗布することにより構成されている。そして、このサーマル層11bをサーマルヘッドで加熱すると、ロイコ染料と酸性物質の両成分が互いに反応して赤外発色し、特定波長域の赤外光を吸収する特性を有するようになっている。
【0018】
サーマル紙11の中央には読取コード印字欄12が設けられており、この印字欄12には、所定の情報を光学読取装置で読み取るための光学読取コード13が印字される。本実施形態では、光学読取コード13の一例としてモデル1のQRコードを採用し、光学読取コード(QRコード)13のシンボルのうちファインダパターン、タイミングパターン及びデータセルが、サーマル層11bを加熱することでサーマル印字される。QRコード13のデータセルには、各種のデータがコード変換されて記録される。
【0019】
読取コード印字欄12には、印字されるQRコード13を外部から視認できないように隠蔽するために、隠蔽層14が設けられている。隠蔽層14は、特定波長域の赤外光を吸収しない赤外光非吸収インキからなり、このインキをサーマル層11bの上からQRコード13のサイズに合わせて被覆印刷することにより構成されている。
【0020】
QRコード13をサーマル印字する際には、サーマルヘッドで熱擦過するため、隠蔽層14の表面状態が熱収縮等により変形し、隠蔽層14を構成する赤外光非吸収インキが素抜け状態になることがある。このような熱擦過の影響を受けると、隠蔽層14の上から目視でQRコード13のシンボル形状を認識することができるため、QRコード13を複製されてしまうという不具合がある。
【0021】
そこで本実施形態では、印字面のインキが素抜け状態とならないように、隠蔽層14の上に保護層15を設けたことが特徴である。保護層15は、隠蔽層14の上からサーマル紙11の全面にわたり透明なマットインキをオーバープリントすることによって、表面が凹凸状態(マット状態)になるように構成されている。このようなマットインキの一例として、UVマットOPニス(T&K TOKA製、商品名)を使用することができる。
【0022】
ところで、用紙11aに薄紙(例.紙厚80μm程度)を使用した場合、サーマル紙11を光にかざすことにより、隠蔽層14で被覆されたQRコード13が用紙11aの裏側から透けて見えてしまうことも考えられる。これを回避するために、サーマル紙11の非印字面には、光学読取コード印字欄12と対応する位置に透過防止層16が設けられている。この透過防止層16は、光を遮る遮光性インキを用紙11aの裏面にベタ塗りで全面印刷するか、あるいは地紋等で部分印刷することにより構成することができる。
【0023】
本実施形態の光学読取帳票10は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。この光学読取帳票10によれば、印字面の最表層にマットインキからなる保護層15が設けられている。このため、QRコード13の印字時に、サーマルヘッドの熱擦過の影響で印字面が荒らされても、保護層15がマットインキの特性により元々凹凸状態(マット状態)であるため、その凹凸に紛れて印字痕がまったく確認できなくなる。したがって、保護層15の上から目視でQRコード13のシンボル形状を認識することができないので、QRコード13の複製を防ぐことができる。
【0024】
また、用紙11aの裏面に設けられた透過防止層16によって、光の透過が遮られるようになっている。このため、この帳票10を光にかざしてもQRコード13が裏側から透けて見えることがなく、不正な読み取りを防ぐこともできる。
【0025】
一方、この光学読取帳票10のデータを読み取る場合、光学読取装置(QRコードリーダー)から照射された赤外光が、透明なマットインキからなる保護層15と赤外光非吸収インキからなる隠蔽層14を透過し、QRコード13のシンボルに照射される。ここで、QRコード13のシンボルはサーマル層11bの赤外発色により構成されているため、赤外光を吸収して明確に認識される。したがって、QRコード13のシンボル全体を認識することができるので、データセルに記録されたデータを正確に読み取ることができる。
【0026】
また、この光学読取帳票10をコピー機で複写した場合、赤外光非吸収インキからなる隠蔽層14がトナーによって複写され、見た目には一様な黒ベタ状態で再現されてしまうので、隠蔽層14の下に隠れたQRコード13のシンボル形状を再現することは不可能である。このため、複写後の光学読取帳票10は、トナーに若干の赤外光吸収特性があったとしても、QRコード13のシンボル形状を明確に認識することができない。したがって、複写後の光学読取帳票10は、QRコード13にコード化されたデータをQRコードリーダーで読み取ることができないため、複製されたものであることを容易に判別でき、コピー機を利用した偽造を確実に防止することができる。
【0027】
さらに、本実施形態では次のような変形例を採用しても良い。
図3に示す光学読取帳票10は、サーマル層11bの赤外発色によるQRコード13に代えて、赤外光吸収材からなるQRコード18を採用したものである。この光学読取帳票10は、例えば上質紙、再生紙、コート紙等の紙類や、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の樹脂フィルムからなる基材17の上に、IRインキ(赤外線乾燥型インキ)、炭素系の黒色顔料を含有したインキ、あるいは赤外光吸収剤を補助剤として添加したインキ等の、赤外光吸収インキでQRコード18が印字されている。なお、基材17の表面全体にマットインキによる保護層15が設けられ、基材17の裏面に遮光性インキによる透過防止層16が設けられている点は、
図2のものと同様である。
【0028】
図4に示す光学読取帳票10は、基材に赤外発色するサーマル紙11を使用したものであるが、サーマル紙11の上に形成される隠蔽層19の構成が異なっている。この隠蔽層19は、赤外光吸収特性を有しない黒色インキにマット剤(粒子径の大きい無色顔料)を添加した混合インキを使用し、この混合インキをサーマル層11bの上から光学読取コード印字欄12(QRコード13のサイズ)の領域に限定して印刷したものである。なお、QRコード13がサーマル層11bの赤外発色により構成され、サーマル紙11の裏面に遮光性インキによる透過防止層16が設けられている点は、
図2のものと同様である。
【0029】
図5に示す光学読取帳票10は、
図3のものと同様に赤外光吸収材からなるQRコード18を採用し、
図4のものと同様に赤外光を吸収しない黒色インキにマット剤を添加した混合インキで隠蔽層19を印刷したものである。なお、基材17の裏面に遮光性インキによる透過防止層16が設けられている点は、
図2のものと同様である。
【0030】
これら
図3,4,5に示す例によれば、いずれも光学読取コード印字欄12にマットインキを印刷した保護層15か、あるいは赤外光を吸収しない黒色インキにマット剤を添加した混合インキを印刷した隠蔽層19が設けられている。このため、QRコード13,18の印字時に、サーマルヘッドの熱擦過の影響を受けても、元々マット状態の保護層15や隠蔽層19の凹凸に紛れて印字痕がまったく確認できなくなる。したがって、保護層15や隠蔽層19の上から目視でQRコード13,18を確認することができず、QRコード13,18の複製を防ぐことができる。
【0031】
また、上記と同様の理由により、光学読取帳票10をコピー機で複写した場合、コード化されたデータを光学読取装置で認識することができない。よって、複製されたものであることを容易に判別でき、コピー機を利用した偽造を確実に防止することが可能になる。
【0032】
〔第2実施形態〕
図6〜10に本発明の第2実施形態を示す。
図6に示すように、本実施形態の光学読取帳票20は、隠蔽層14の上に熱擦過に強いインキでオーバープリントした保護層21を設けたことを特徴とするものである。上述したとおり、光学読取コード印字欄12にサーマル印字する際に、サーマルヘッドの熱擦過の影響によって隠蔽層14の表面状態が熱収縮等により変形し、隠蔽層14の赤外光非吸収インキが素抜け状態になってしまう。そこで本実施形態では、印字面が素抜け状態とならないように、隠蔽層14の上から透明な耐熱擦過性インキを全面にオーバープリントすることで保護層21が形成されている。このような耐熱擦過性インキの一例として、UVインキ:Z7011(JSR製、商品名)を使用することができる。
【0033】
また、本実施形態では次のような変形例を採用しても良い。
図8に示す光学読取帳票20は、サーマル層11bの赤外発色によるQRコード13に代えて、赤外光吸収材からなるQRコード18を採用したものである。この光学読取帳票20は、例えば上質紙、再生紙、コート紙等の紙類や、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の樹脂フィルムからなる基材17の上に、IRインキ(赤外線乾燥型インキ)、炭素系の黒色顔料を含有したインキ、あるいは赤外光吸収剤を補助剤として添加したインキ等の、赤外光吸収インキでQRコード18が印字されている。なお、基材17の表面全体に耐熱擦過性インキによる保護層21が設けられ、基材17の裏面に遮光性インキによる透過防止層16が設けられている点は、
図7のものと同様である。
【0034】
図9に示す光学読取帳票20は、基材に赤外発色するサーマル紙11を使用したものであるが、サーマル紙11の上に形成される隠蔽層22の構成が異なっている。この隠蔽層22は、赤外光吸収特性を有しない黒色の耐熱擦過性インキを使用して、このインキをサーマル層11bの上から光学読取コード印字欄12(QRコード13のサイズ)の領域に限定して印刷したものである。なお、QRコード13がサーマル層11bの赤外発色により構成され、サーマル紙11の裏面に遮光性インキによる透過防止層16が設けられている点は、
図7のものと同様である。
【0035】
図10に示す光学読取帳票20は、
図8のものと同様に赤外光吸収材からなるQRコード18を採用し、
図9のものと同様に赤外光吸収特性を有しない黒色の耐熱擦過性インキで隠蔽層22を印刷したものである。なお、基材17の裏面に遮光性インキによる透過防止層16が設けられている点は、
図7のものと同様である。
【0036】
本実施形態の光学読取帳票20によれば、いずれも光学読取コード印字欄12に耐熱擦過性インキを印刷した保護層21か、あるいは赤外光吸収特性を有しない黒色の耐熱擦過性インキを印刷した隠蔽層22が設けられている。このため、QRコード13,18の印字時に、サーマルヘッドの熱擦過の影響を受けても保護層21や隠蔽層22の表面状態の変化が無くなるので、印字痕がまったく確認できなくなる。したがって、保護層21や隠蔽層22の上から目視でQRコード13,18を認識することができず、QRコード13,18の複製を防ぐことができる。
【0037】
また、上記と同様の理由により、光学読取帳票20をコピー機で複写した場合、コード化されたデータを光学読取装置で認識することができない。よって、複製されたものであることを容易に判別でき、コピー機を利用した偽造を確実に防止することが可能になる。
【0038】
〔第3実施形態〕
図11,12に本発明の第3実施形態を示す。
図11に示すように、本実施形態の光学読取帳票30は、NIP(ノンインパクトプリンタ)で光学読取コード印字欄12に印字したものであり、NIP特有の光沢によるコードの不正読み取りを防ぐようにしたものである。通常、NIPで印字すると印字面にトナー光沢や凹凸感が現れるため、印字された文字やコードの形状を確認されてしまう恐れがある。
【0039】
そこで本実施形態では、
図12に示すように、基材17の上に赤外光吸収特性を有する黒色トナーでQRコード31を印刷し、このQRコード31の背景に、黒色トナーと同色の赤外光非吸収材で隠蔽層32を印刷するようにした。また、QRコード31以外の部分には、透明なトナー、いわゆるクリアトナーで保護層33が印刷されている。
【0040】
本実施形態の光学読取帳票30によれば、光学読取コード印字欄12を除いた部分にクリアトナーが使用されているため、QRコード31のコード部分に現れるトナー光沢や凹凸感が目立たなくなる。したがって、トナー光沢や凹凸感によって目視でQRコード31を確認することができず、QRコード31の不正な読み取りや複製を防止することができる。
【0041】
なお、一般的に黒色トナーには赤外光吸収特性を有するものが使用されているが、これに代えて、赤外光吸収特性の無い黒色トナーを使用してQRコード31の周辺の印字を行っても良い。この場合には、赤外光吸収特性の無い隠蔽層32の印刷は不要になる。
【0042】
〔第4実施形態〕
図13,14に本発明の第4実施形態を示す。
図13に示すように、本実施形態の光学読取帳票40は、光学読取コード印字欄12とは別に、真偽判定用の判定コード印字欄41を設けたことが特徴である。通常、赤外光吸収特性のある黒色インキで光学読取コード18を印字し、赤外光吸収特性の無い黒色インキで隠蔽層14を印刷した場合でも、両者の可視光域における濃度を完全に一致させることは不可能である。このため、画像解析を利用すれば濃淡の差によって光学読取コード18を不正に読み取ることができるので、偽造される恐れがある。
【0043】
そこで本実施形態では、光学読取コード印字欄12の隣に、この帳票40が本物か偽物かを判定する判定コード印字欄41が設けられ、この欄に判定コード42が印字されている。判定コード42は、本例ではQRコードからなり、
図14に示すように、可視光域では淡色となる赤外光吸収インキをサーマル層11bの上に直接印刷することにより構成されている。また、判定コード印字欄41には、印字される判定コード42を外部から目視できないように隠蔽するため、隠蔽層43が設けられている。隠蔽層43は、特定波長域の赤外光を吸収しない黒色インキからなり、このインキをサーマル層11bの上から判定コード42を覆うように被覆印刷することにより構成されている。
【0044】
本実施形態の光学読取帳票40を利用する際には、光学読取装置(QRコードリーダー)で判定コード印字欄41の判定コード42を読み取って真偽判定を行う。
【0045】
ここで、QRコードリーダーから照射された赤外光は、赤外光非吸収インキからなる隠蔽層43を透過し、赤外光吸収インキからなる判定コード42に吸収される。これにより、判定コード42が明確に認識され、その判定コード42を正規のコードと照合して一致すれば、光学読取コード印字欄12に印字されたQRコード13が本物であると判定してデータを読み取るようにする。これに対して、認識された判定コード42が正規のコードでないか、あるいは判定コード印字欄41にそもそも判定コード42が印字されていない場合には、光学読取コード印字欄12に印字されたQRコード13が偽物であると判定してデータを読み取らないようにすれば良い。
【0046】
このように、本実施形態の光学読取帳票40によれば、光学読取装置を利用して判定コード42を認識することで初めて光学読取コード印字欄12を読み取ることによって、真偽判定を行うようにした。しかも、可視光域で淡色の赤外光吸収インキを使用して判定コード42を印字したことにより、この判定コード42と隠蔽層43は可視光域における濃淡の差が0となるため、可視光域で画像解析を利用して判定コード42を読み取ることは不可能である。したがって、光学読取帳票40の真偽判定性を高めることができる。
【0047】
また、判定コード印字欄41は、判定コード42の上を隠蔽層43で覆われているため、判定コード42を赤外光以外ではまったく確認することができず、判定コード42が印字されていることさえも認識されることがない。したがって、この光学読取帳票40は、内情を知る者しか作製することができないため、複製防止性を高めることができる。
【0048】
〔第5実施形態〕
図15,16に本発明の第5実施形態を示す。
図15に示すように、本実施形態の光学読取帳票50は、光学読取コード印字欄12とは別に、偽造者を欺くための擬似コード印字欄53を設けたことが特徴である。上述したとおり、赤外光吸収特性のある黒色インキで光学読取コード18を印字し、赤外光吸収特性の無い黒色インキで隠蔽層14を印刷した場合、両者の可視光域における濃度が完全には一致しないため、画像解析により光学読取コード18を不正に読み取られる恐れがある。
【0049】
そこで本実施形態では、光学読取コード印字欄12の隣に、複写による偽造を防ぐための擬似コード印字欄53が設けられ、この欄に擬似コード54が印字されている。擬似コード54は、本例ではQRコードからなり、
図16に示すように、基材17の上に赤外光吸収特性の無い黒色インキで印字することにより構成されている。擬似コード54は、見た目には通常のQRコードと何ら変わらないが、データが記録されていない空のコードである。
【0050】
これに対して、光学読取コード印字欄12は、光学読取コード51と隠蔽層52を備えている。光学読取コード51は、擬似コード54と同じ種類のQRコードからなり、本例では基材17の上に赤外光吸収特性を有する緑色インキで印字することにより構成されている。また、光学読取コード(QRコード)51の背景には、基材17の上に赤外光吸収インキと同色の赤外光吸収特性の無い緑色インキで隠蔽層52が印刷されている。
【0051】
なお、光学読取コード51と隠蔽層52のインキの色は、基材17の地色と同じ色であるのが好ましい。正規の光学読取コード印字欄12がより目立たなくなるからである。また、擬似コード54を赤外光吸収特性の無い黒色インキで印字したが、これに代えて、赤外発色しないサーマル層(図示略)を加熱印字することにより構成しても良い。
【0052】
本実施形態の光学読取帳票50のデータを読み取る場合、光学読取装置(QRコードリーダー)から照射された赤外光が、赤外光吸収特性を有する緑インキで構成されたQRコード51に吸収される。これにより、QRコード51のシンボルを認識することができるので、データセルに記録されたデータを読み取ることができる。
【0053】
一方、この光学読取帳票50をコピー機で複写した場合には、QRコード51と隠蔽層52が共に緑色トナーによって複写され、光学読取コード印字欄12が見た目には一様なベタ状態で再現されるので、QRコード51が隠されていることが分からない。また、擬似コード54は黒色トナーによって複写され、見た目にはコードのシンボルが再現されるが、これをQRコードリーダーで読み取っても、データが記録されていないため読み取ることができない。したがって、複製しようとする者は、コピー機の複写によってQRコード(擬似コード)54を複写したつもりになるが、実際には利用することができず、しかもなぜ複写したQRコード(擬似コード)54が読み取れないのか理由が分からない。よって、コピー機による複製を確実に防止することができる。
【0054】
また、本実施形態では光学読取コード印字欄12の隣に擬似コード印字欄53を設けたが、これと同じ構成で擬似コード54が無い場合には、目視で光学読取コード12が不明確となる。すなわち、帳票を光学読取装置に固定して読み取る方式か、又は光学読取装置に搬送して読み取る方式のように、帳票の所定位置を読み取る方式でないと、どの部分に光学読取コード印字欄12があるのかが分からない。ところが、本実施形態によれば、光学読取コード印字欄12の隣に目視可能な擬似コード54が設けられているため、この擬似コード54が光学読取コード(QRコード)51を読み取る際の目印となる。よって、光学読取装置の読取方式に左右されないため、帳票のレイアウトの自由度が高くなり、かつ、読取位置の明確化を図ることができるという効果もある。
【0055】
以上のとおり、上述した実施形態では、基材11や17の裏面に遮光性インキで透過防止層16を設けてあるが、これは必須の構成ではない。例えば使用する用紙として、填料やフィラーの多い透けにくい紙や、白色度が高く光を反射しやすい紙などを選定することにより、透かして見えなければ透過防止層16を設ける必要は無くなる。また、光学読取コード13,1831,51、判定コード42、擬似コード54の例としてQRコードを採用したが、これに限らず、例えばCODE39、CODE128、JAN、ITF等のバーコードや、PDF417、データマトリックス、MaxiCode等のその他の2次元コードを採用しても良い。すなわち、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内であれば、当業者の通常の創作能力によって多くの変形が可能である。